大阪市役所の先進性 チェック・オフの廃止
『労働法律旬報』1761号(2012・2月上旬号・写真)大阪市チェック・オフ廃止事件特集を読んだ。迂闊というか勉強不足で、私も知らなかったことだが、大阪市議会は平松邦夫市長時代の平成20年(2008)3月28日に突如チェック・オフ廃止条例が提案され即日可決したのである。五十年前から行われていた組合費給与天引きの廃止である。
大阪市職員労働組合等は、団結権の侵害として、条例制定処分等の取り消しを求める訴訟を起こしたが、大阪地裁は平成23年8月24日、法律上の争訟性に欠けるため抗告訴訟の対象となる処分の対象とはいえないとして請求を棄却した。 橋下大阪市長の職員基本条例や組合活動等のアンケートなどがマスメディアで取り上げられているが、しかしながら関淳一、平松邦夫市長時代の市政改革で組合活動の規制はかなり進んでいたのである。
すなわち、冠木克彦「「職員厚遇問題」から「チェック・オフ廃止条例」に至る組合弱体化攻撃について」によると、関淳一市長時代の平成16年にカラ残業手当や福利厚生での職員厚遇などマスメディアで大きく取り上げられたことから、大阪市は市政改革に乗り出ている。大きな成果としては、平成17年(2005)9月に「ながら条例」改正による勤務時間内組合活動を規制する条例が改正されたこと。同時期に「庁舎使用にかかる組合支部に対する便宜供与の考え方」が発せられ「必要最小限のスペースに限ること」とされたことが挙げられている。また同年12月に「市政改革マニフェスト」が提出され、マネジメント改革、コンプライアンス改革、ガバナンス改革があり、ガバナンス改革のなかに健全な労使関係の構築が挙げられており、時間内組合活動の適正化、交渉協議事項の整理、便宜供与の見直しなどが推進されたが、チェックオフの廃止は盛り込まれておらず、これは自民党など組合に批判的な市議によって政治的に推進されたものと思われる。
大阪地裁判決は「チェック・オフそれ自体は、基本的には使用者による労働組合に対する便宜供与であり、労働者の団結権から直接導かれるものではない‥‥‥」と判示しており、労組側が控訴しているが、上級審でこの判断は覆らないとすれば影響は大きい。
橋下登場以前より、大阪では改革は進んでいたのである。とくにチェック・オフ廃止はすごいことだと思う。東京の人間は大阪を馬鹿にできない。私は 東京都の庁内管理規則http://www.lawdata.org/local/tokyoreiki/g1011742001.htmlは庁舎・構内における腕章・はちまき・ゼッケン・旗・幟・プラカード・拡声器の着用又は持ち込み、集会・演説を明文で禁止しておらず、大阪府や横浜市などと比較してあまりにもひどいとこれまでブログで書いているがhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-0bb5.html
ガバナンス改革は東京都にも必要だ。私からも提案していきたいと考えている。
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