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2012年4月の18件の記事

2012/04/30

入手資料整理70

9646河上和雄「企業の施設管理権と組合活動--昭和54年10月30日最高裁第三小法廷判決について(最近の判例から)」『法律のひろば』33(1)1980
9647橋詰洋三「コンスピラシー理論による団結活動抑圧」『労働法律旬報』988 19799648横井芳弘「報告 特別権力関係論の復活--庁舎管理権と組合掲示板の利用--全逓新宿等郵便局事件・東京地裁判決(昭五四・二・二七)」籾井 常喜他問題点の検討・討論--公有物管理・庁舎管理権絶対視の意味するもの 『労働法律旬報』984 1979
9649西谷敏「施設管理権の法的性格とその限界」『法学雑誌』大阪市立大学法学会26(3・4), 1980
9650石橋洋「施設管理権と組合活動の正当性」日本労働法学会誌 57 1981

平清盛の感想第17回4/29放映分

 ドラマは、平清盛が棟梁となり、源義朝の任下野守、源義賢が義朝勢力と対抗するため東国に下向した仁平3年(1153)の設定だったが、源為義が、次男の義賢(木曽義仲の父)を嫡男として、長男の義朝を廃嫡したというシーンがあった。
 しかし元木泰雄の『河内源氏』中公新書2011年を読むと、これより12年前の義朝が板東に下向した永治元年(1141)以前に義賢が東宮体仁親王(のちの近衛)の親衛隊長である帯刀先生という栄職にあったことから、もうこの時点で、弟の義賢が嫡男とされ、義朝は廃嫡されていたと述べている。ウィキペディアでもそう書かれている。jまた、義賢が東国に下向したのは、保延六年(1140)に殺人犯を匿って地位を失い不遇となっていたためで、仁平3年には嫡男は四男の頼賢に譲られていたと元木氏は書いている。
 永治元年の義朝の東国下向は、平氏と対抗するために東国武士との結びつきを再建、強化するという大役を背負ったものという通説を否定し、たんに坂東に追放されたのだと説明している。
 にもかかわらず、義朝が下野守という河内源氏としては50年ぶりの受領に就任したのは、美福門院近臣を通じて、荘園の立荘に関与したためと推察されている。
 源義経の母常磐御前は中宮藤原呈子(関白忠通養女のちの九条院)の雑仕女であったが、呈子は実は二条朝に太政大臣となる藤原伊通の女で、皇后藤原得子が白川御所に迎えて養女としていたのである。入内させるために忠通の養女になった。
 したがって、任下野守も義朝が常磐と結ばれたのも、美福門院に荘園寄進によって接近し認められた結果なのであって、元木氏が言うには常磐は義朝が美福門院・関白忠通派であることの象徴である。つまり常磐が義朝を美福門院・忠通に接近させるきっかけとなったというのではなく逆である。
 一方、源為義は藤原忠実に臣従し奉仕に精励していたことはドラマでも再三強調されていることだが、東三条殿やそれに付随する御倉町の接収のための警護などで働き、摂関家内部の警察力となった。次男の義賢は、摂関家領の荘官の地位も与えられていたが年貢未納で解任されてたりしたが、頼長の男色行為の相手でもあり、肉体的にも結ばれていたし、為義とその一族は、忠通・頼長を裏切ることなく緊密な関係にあり、それは保元の乱まで継続したのである。
 兄弟の権力抗争、摂関家であれ武家であれしょっちゅうあることだが、河内源氏が保元の乱で父子相剋の悲劇となったのはそうした事情を掘り下げないとなかなかわかりにくい。
 
 
 
 

2012/04/29

カード 国労札幌地本ビラ貼り判決

 企業施設構内における組合活動の指導判例は、国労札幌地本ビラ貼り事件・最高裁昭和54年10・30第三小法廷判決民集33巻6号647頁『労働判例』329号である。
国労札幌地本事件とは、原告が国労札幌地本札幌支部の組合員、被告が国鉄。国労は昭和44年春闘に際して、各地方本部に対して示した行動指針の一環としてビラ貼付活動を指令した。原告らは支部・分会の決定を受けて「合理化反対」「大幅賃上げ」等を内容とする春闘ビラ(ステッカー)を勤務時間外職員詰所にある自己又は同僚組合員の使用するロッカーに、後日はがした痕跡が残らないように、セロテープ、紙粘着テープによって少ない者は2枚、最も多い者は32枚貼付した(原告以外の組合員も含めて総計310個のロッカーに五百数十枚のビラを貼った)。原告らは貼付行動の際、これを現認した職制と応酬、制止をはねのけたことが裁判所により認定されたが、この原告の行為が掲示板以外での掲示類を禁止した通達に違反し、就業規則に定めた「上司の命令に服従しないとき」等の懲戒事由に該当するとして、原告らを戒告処分に付し、翌年度の定期昇給一号俸分の延伸という制裁を課したのに対し、戒告処分の無効を訴えたものである。
 一審(札幌地裁昭47・12・22)は被告勝訴、原審(札幌高裁昭49.8.29)は一転して原告の請求を全面的に認めたが、最高裁第三小法廷は全員一致で再度逆転原判決破棄自判して、原告の請求を終局的に斥けた。【註1】

 この判決の意義は、戦後プロレイバー労働法学のきわめて悪質な学説のひとつ「受忍義務説」を明確に排除したこと、「労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であつて定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないもの」であり「使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであつて、正当な組合活動として許容され」ないとするものである。
 本判決は救済命令取消訴訟に大きな影響をもたらし、以降大多数のビラ貼り事案については正当な組合活動として許容する下級審判例はほとんどみられなくなっただけでなく、無許可集会等多くの企業施設構内の組合活動に関する事案で本判決が引用され、概ねその趣旨に沿った判決を下している。
 代表的なものとして二例を挙げると、済生会中央病院事件 最高裁第二小法廷平成元年12月11日判決『労働判例』552号は、事実上の休憩時間と目される時間帯に、業務や急患への対応に配慮された方法で行われた無許可集会について、現実に業務に支障を生じていないから、「特段の事由」に当たるとして、この集会への警告を不当労働行為とする中労委の救済命令を支持した第一審・控訴審の判断に対し、病院側の権利の濫用と認められる「特段の事情」があるとは解されないとして、本件警告は労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから不当労働行為に該当する余地はないとして、原判決を破棄したものである。
 同判決は「特段の事情」にプロレイバー的な法益調整論を導入をして風穴を開けようとした中労委や下級裁判所の判断を明確に否定したことで、最高裁が「受忍義務説」を明確に排除した国労札幌地本判決の企業秩序定立権を重んじる判断を維持したことで意義のある判決といえよう。
 この判決によって複数併存組合での差別のような「特段の事情」があるケースを除いて、勤務時間にかかる無許可集会が正当な組合活動とされる余地はなくなったと考える。
 オリエンタルモーター事件最高裁第二小法廷平成7年9月8日『労働判例』679号は組合執行委員長らによる守衛への暴言、脅迫を契機として業務に支障のない限り食堂の集会利用等の使用を承認してきた慣行を変更し不許可とした事案にきつき、それでは組合活動が著しく困難となるとして、不当労働行為に当たるとした控訴審の判断を覆し、これまで業務に支障のない限り使用を認めてきたとしても、それが食堂の使用について包括的に許諾していたということはできないし、食堂の無許可使用を続けてきた組合の行為は正当な組合活動に当たらないとした。さらに条件が折り合わないまま、施設利用を許諾しない状況が続いていることをもって不当労働行為には当たらないとしたことから、企業施設の組合活動の正当性を「許諾」と「団体交渉等による合意」に基づく場合に限定した国労札幌地本判決の枠組に従った判断と評価できる。これらの判例を見る限り、国労札幌地本判決の判例法理は安定的に推移しているとみることができるのである。【註2】
 国労札幌地本判決は、当初組合活動に非常に厳しいもので「権利の濫用と認められる特段の事情」というのは裁判所はほとんど認めないのではないか、したがって、使用者の許諾しない施設内の組合活動は労働組合法によって保護されないとみられていた。中労委は「特段の事情」に法益調整論を持ち込み、風穴を開けようとしたが、この試みは成功していない。
  しかし、国労札幌地本判決以降も最高裁はビラ配りなど若干の判決で、無許可の施設内の組合活動を理由とした懲戒処分を無効とした判例も少なからずあるので注意を要するのである。
  そうした判例で引用されているのは、目黒電報電話局事件最高裁第三小法廷昭和52年12月13日判決の「形式的にこれに(就業規則)違反するようにみえる場合でも、ビラの配布が局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右規定の違反になるとはいえないと解するのを相当である」という見解で、形式的には規則違反でも実質的に秩序を乱していない行為については、規則違反とはならないという趣旨で組合活動等を許容する判断を下している例である。
 倉田学園事件・最高裁第三小法廷平成6年12・20民集48巻8号1496頁は就業時間前に職員室において、ビラを二つ折りにして、机の上に置いたというもので、業務に支障を来していないこと、ビラの内容も団体交渉の結果や活動状況で違法・不当な行為をそそのかす内容が含まれていないため、無許可で職場ニュースを配布したことを理由とする組合幹部の懲戒処分は懲戒事由を定める就業規則上の根拠を欠く違法な懲戒処分と判示した。
 また明治乳業福岡工場事件 最高裁第三小法廷昭和58・11・1『労働判例』417号は組合支部長の地位にある従業員が昼の休憩時間に食堂において『赤旗』号外や共産党の参議院議員選挙法定ビラを食堂において、手渡しまたはと食卓に静かに置くという態様のビラ配りについて工場内の秩序を乱すことのない特別の事情が認められる場合は就業規則違反とみなすことができないという判断である。
  以上の二判例について、私は国労兵庫鷹取分会事件神戸地裁昭和63年3月22日決定『労働判例』517号のように詰所内における休憩時間におけるビラ配布妨害排除の仮処分申請を否認した判例があるように「権利の濫用」「特別の事情」として許容しない下級審判例もあることから疑問なしとしない。明治乳業福岡工場事件については、組合活動というより組合支部長個人の政治活動の事案ともいえる。また横井大三裁判官の「職場内に政治的ないし感情的対立を生じさせ、その秩序を乱すおそれのある行為であることを否定できない」との反対意見がある。
 なお、近年の施設管理権判例では光仁会病院事件東京高裁平成21年8月19日判決http://web.churoi.go.jp/han/h10253.htmlがある。組合分会長が108日間にわたって病院正門の左右に計4~5本、赤地に白抜きで「団結」等と記された組合旗を無許可で設置した事案だが、高裁は組合旗設置を正当な組合活動ということはできず懲戒処分を行うこと自体は不相当とはいえないが、停職3 か月、その間、賃金不支給、本件病院敷地内立入禁止という懲戒処分は、懲戒事由(本件組合旗設置)に比して著しく過重であって相当性を欠くものであり、組合活動に対する嫌悪を主たる動機としてなされたものであるから不当労働行為に該当するした。最高裁
第二小法廷は平成22年9月2http://web.churoi.go.jp/han/h10310.html上告を棄却している・
 

国労札幌地本事件判決抜粋-思うに、企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・合目的的に配備組織して企業秩序を定立し、この企業秩序のもとにその活動を行うものであつて、企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。
 ところで、企業に雇用されている労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されている場合が少なくない。しかしながら、この許容が、特段の合意があるのでない限り、雇用契約の趣旨に従つて労務を提供するために必要な範囲において、かつ、定められた企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまるものであることは、事理に照らして当然であり、したがつて、当該労働者に対し右の範囲をこえ又は右と異なる態様においてそれを利用しうる権限を付与するものということはできない。また、労働組合が当然に当該企業の物的施設を利用する権利を保障されていると解すべき理由はなんら存しないから、労働組合又はその組合員であるからといつて、使用者の許諾なしに右物的施設を利用する権限をもつているということはできない。もつとも、当該企業に雇用される労働者のみをもつて組織される労働組合(いわゆる企業内組合)の場合にあつては、当該企業の物的施設内をその活動の主要な場とせざるを得ないのが実情であるから、その活動につき右物的施設を利用する必要性の大きいことは否定することができないところではあるが、労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであることは既に述べたところから明らかであつて、利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない、というべきである。右のように、労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であつて定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないものというべきであるから、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで叙上のような企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであつて、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない。
 二 そこで、以上の見地に立つて、本件について検討する。
 原審が確定した前記の事実によれば、本件ビラの貼付が行われたロツカーは上告人の所有し管理する物的施設の一部を構成するものであり、上告人の職員は、その利用を許されてはいるが、本件のようなビラを貼付することは許されておらず、また、被上告人らの所属する国労も、上告人の施設内にその掲示板を設置することは認められているが、それ以外の場所に組合の文書を掲示することは禁止されている、というのであるから、被上告人らが、たとえ組合活動として行う場合であつても、本件ビラを右ロツカーに貼付する権限を有するものでないことは、明らかである。そして更に、前記の事実によると、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、賃金引上げ等の要求を組合員各自がみずから確認し合つてその意思を統一し、もつて組合の団結力の昂揚をはかり、あわせて上告人当局に右要求をアピールする等のために、国労のいわゆる春闘の一環として行われた組合活動であり、上告人の許可を得ないでされたものであるところ、右ロツカーの設置された部屋の大きさ・構造、ビラの貼付されたロツカーの配置、貼付されたビラの大きさ・色彩・枚数等に照らすと、貼付されたビラは当該部屋を使用する職員等の目に直ちに触れる状態にあり、かつ、これらのビラは貼付されている限り視覚を通じ常時右職員等に対しいわゆる春闘に際しての組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼすものとみられるのであつて、このような点を考慮するときは、上告人が所有・管理しその事業の用に供している物的施設の一部を構成している本件ロツカーに本件ビラの貼付を許さないこととしても、それは、鉄道事業等の事業を経営し能率的な運営によりこれを発展させ、もつて公共の福祉を増進するとの上告人の目的にかなうように、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保する、という上告人の企業秩序維持の観点からみてやむを得ないところであると考えられ、貼付を許さないことを目してその物的施設についての上告人の権利の濫用であるとすることはできない。本件ビラの貼付が被上告人らの所属する国労の団結力の昂揚等を図るのに必要であるとしてされたものであり、ビラの文言も上告人その他の第三者の名誉を毀損しその他不穏当にわたるものがあるとまではいえず、剥離後に痕跡が残らないように紙粘着テープを使用して貼付され、貼付されたロツカーの所在する部屋は旅客その他の一般の公衆が出入りしない場所であり、被上告人らの本件ビラ貼付により上告人の本来の業務自体が直接かつ具象的に阻害されるものでなかつた等の事情のあることは、先に判示したところからうかがい得ないわけではないが、これらの事情は、いまだもつて上記の判断を左右するものとは解されないところである。したがつて、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、上告人の企業秩序を乱すものとして、正当な組合活動であるとすることはできず、これに対し被上告人らの上司が既述のようにその中止等を命じたことを不法不当なものとすることはできない。
 そして、日本国有鉄道法三一条一項一号は、職員が上告人の定める業務上の規程に違反した場合に懲戒処分をすることができる旨を定め、これを受けて、上告人の就業規則六六条は、懲戒事由として「上司の命令に服従しないとき」(三号)、「その他著しく不都合な行いのあつたとき」(一七号)と定めているところ、前記の事実によれば、被上告人らは上司から再三にわたりビラ貼りの中止等を命じられたにもかかわらずこれを公然と無視してビラ貼りに及んだものであつて、被上告人らの各行動は、それぞれ上告人の就業規則六六条三号及び一七号所定の懲戒事由に該当するものというべきである。
 そうすると、被上告人らの各行動は懲戒事由に該当しないとした原審の判断は、ひっきよう、法令の解釈、適用を誤つたものであり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。」(後略)

もっと短い要旨 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/s1013-4e.html#4-2

判例評釈等参考文献の主なもの(このほか多くの書物に論評がある)

(最初の番号は自宅のファイルのNO.なので一般には関係ない)

河上和雄 企業の施設管理権と組合活動--昭和54年10月30日最高裁第三小法廷判決について(最近の判例から)『法律のひろば』33(1)1980
9391池田 恒男「国労札幌ビラ貼り事件」最高裁判決の「画期的」意義--現代日本法の一断面」『社會科學研究』33(5)
9392山口 浩一郎   「使用者の施設管理権と組合活動の自由--最高裁「国労札幌地本事件」判決を素材として 」『労働法学研究会報 』 31(3) [1980.01.25 ]
石橋洋「最近の判例法理の検討-1-企業内組合活動の自由と施設管理権」『労働法律旬報』994 1980〔※ネット公開〕http://hdl.handle.net/2298/14057
9613国労札幌支部事件最高裁判決をめぐって-国鉄側代理人の見解 鵜沢秀行「職場内活動のゆき過ぎを是正した妥当な判決」国労側代理人の見解 宮里邦雄「団結権への配慮に欠ける『施設管理権絶対優先論』」国労札幌支部事件 最高裁第三小法廷昭54・10・30判決『労働判例』329
鼎談下井隆史・西谷敏・渡辺章「ビラ貼りと企業秩序・施設管理権--最高裁昭和五四年一〇月三〇日判決をめぐって」『ジュリスト』709 1980
9611籾井常喜「国労札幌地本事件・最高裁一〇・三〇判決の意味するもの」『労働法律旬報』
竹下英男「国労札幌ビラ貼り事件判決(最判昭和54.10.30)」『日本労働法学会誌』55 1980
0.30) 」
角田邦重「法的理性を喪失した最高裁判所の「企業秩序」論--国労札幌ビラ貼り事件・最高裁判決批判」『労働法律旬報』990 1979
2464片岡曻「団結権の解釈をめぐる正統と逆流-最高裁国労札幌地本判決によせて」『労働法律旬報』988、1979
佐藤昭夫「労使対等を敵視するもの--国労札幌ビラ貼り事件・最高裁判決について 」(最高裁一〇.三〇判決を問う<特集>) 『労働法律旬報』988、1979
國武輝久「戦後的状況の転換点--ビラ貼り活動と施設管理権 (最高裁一〇.三〇判決を問う<特集>)」『労働法律旬報』988、1979

国労札幌地本事件最高裁判決の意義

一 プロレーバー学説(受忍義務説)の明確な排除

(一)戦後労政の基本方針
  
 戦後状況の中で縦横に行われる労働組合の企業内組合活動に対抗し、労働行政は、早い時期から企業内組合活動には厳しい姿勢をとっていた。
  昭和23年12月22日労発32号日労働次官通牒「民主的労働組合及び民主的労働関係の助長について」では「就業時間中の組合活動はこれを認めないこと」という方針が打ち出され、昭和25年5月13日労発第157号(労政局通牒)「労働協約の締結促進について」では「組合活動の自由は、他人の権利を尊重する義務を伴うものであって無制限のものではない。とくに使用者の施設管理の権限、労働規律維持の権限に抵触する組合活動は、使用者の承認なくしては行いえないものである」とされた。【註3】
 また昭和23年6月21日に決定されたの日経連の協約締結指針のなかでは「一般組合員の就業時間中における組合活動は、明らかに組合活動の行き過ぎであると同時に経営者側の無為無策によるものであって、組合専従者の問題と同様、組合の自主性独立性に反する不当な組合慣行というべきである」という観点を示した。
 日経連は経営権確立運動を展開し、昭和25年6月13日の「労働協会締結促進運動に対する要望」において「企業経営の存続する限り、労働秩序を維持する権限及び会社の施設管理権は使用者に所属する権限であり、この権限に基づいて使用者は、就業時間中及び会社構内における組合活動を制限することは出来る」と謳った。【註4】
 つまり、労働協約、就業規則等であらかじめ確認されたもの以外は、経営内での活動は使用者の許容する範囲に限られるものであって、使用者に裁量の権限がある、という見解が打ち出されていた。
  労働大臣の私的諮問機関労使関係法研究会が昭和41年に提出した報告書では「事業場は当然使用者の管理に属し、労働者は、みずからの労働力を使用者の処分に委ねるために事業場に出入りを許され、就業時間中は使用者の指揮命令のもとに労務に服する義務を負う」ことや「労働組合は、労働者が団結を通じてみずからの経済的地位の向上ををはかることを目的として自主的に結成する団体であって、本来使用者ないし企業とは別個独立の存在である」ことを理由として「労働組合運動は、一般に就業時間外に、かつ、事業場の外において行われるのが原則である」とし「就業時間中に、あるいは事業場内で労働者が労働組合活動を行うことは使用者の包括的、個別的承認がない限り、当然には許されないのが原則である」。との所見を示した(労使関係研究会報告書『労使関係運用の実情及び問題〔第三分冊〕』日本労働協会昭和42年)。【註5】

 
 (二)労務指揮権+施設管理権の空隙
  
  使用者の経営権確立運動は、企業内組合活動を規制する根拠として、当初は労働規律から施設利用までカバーする「経営権」に求めていたが、包括的な経営権の観念を裁判所が必ずしも受け入れなかった。そのために根拠は「労務指揮権」+「施設管理権」であるとされるようになった。
  しかし、「労務指揮権」はその法的根拠を労務当事者の契約に求めざるをえず、「施設管理権」の主張も脆弱性を有していた。その根拠を所有権・占有権という物権的権利に求める限り、所有権の一部をなし、建物、敷地等の会社施設を維持、保全、改良する具体的機能として内容づけられることとなり、妨害排除の物権的請求権か、無権利者による無断利用、毀損行為をとらえて行う不法行為にともなう賠償請求という、民法上の主張にとどまり従業員懲戒の根拠としては弱いという難点があり、プロレイバーにつけこむ隙を与えていた。
  また労務指揮権+物的維持管理権限に限定された施設管理権の主張は、直接労務指揮権限をもって規律しえない時間帯である、休憩時間、就業時間前、就業後の組合活動について空隙を残すことになった。
  この空隙を埋めることができるようになったのが、企業運営の諸権利を統合する上位概念として形成された「企業秩序論」と称される判例法理(昭和52年12月13日 富士重工業事件最高裁第三小法廷判決)が成立してからのことである。
 

 (三)悪質なプロレイバー学説「受忍義務説」の席捲

 プロ・レイバー労働法学の「受忍義務説」は昭和30~40年代に大きな影響を及ぼし、企業秩序を混乱させる元凶の一つとなったもので、今日でも多くの学者が支持している。【註6】
 プロ・レイバー労働法学というのはミリバントで階級的な労働組合運動を支援するため労働基本権を確立し、労働組合に市民法秩序を超える権力を付与しようとする学説なのであるから、はじめからいかがわしい性格を有している。
 わが国の最も醜悪な部分の一つであり、集団による他者、個人の自由の侵害を正当な権利の行使としている点で、近代市民法秩序を破壊することを正当化する理論なので害毒であると明確に述べなければならないし、駆逐、排撃されなければならない性質のものである。放射能よりよっぽとど悪質なものである。その影響を除染すべきである。
  私はこの害毒を駆逐するためについに立ち上がることとなった。
 「受忍義務説」は、憲法28条の労働基本権は、近代市民法秩序の核心である財産権、所有権、営業の自由を制約する契機として理解し、具体的には使用者の労務指揮権、施設管理権を制約するものとして、市民法秩序を基本的に否定し、労働組合による不法行為を権利として広範に容認しようというものだが、他人の権利を侵害することが権利だなどというべらぼうな理屈をこねているものであり、その根底には戦闘的・階級的労働組合運動を支援するというイデオロギー的背景がある。

  もう少し詳しく述べるとこうである。受忍義務説の立論の基礎は憲法28条の団結権、団体行動権をプロ・レ-バー的に広く解釈し、それは私人間効力の及ぶもので使用者の権利や自由(その中心は財産権、具体的には労務指揮権や施設管理権)を一定の制約の契機が含まれていると解するものである。片岡曻・大沼邦宏『労働団体法』青林書院1991年 p263は
 「労働組合は‥‥‥労働力の取引過程の取引過程に介入し‥‥企業の内部にまで踏み込んで集団的な規制力を及ぼそうとする‥‥それは不可避的に使用者の取引を制約することになるし‥‥市民法上の権利や自由を侵害せざるをえないのであってそれゆえ現実に久しく違法評価を受けてきたのである‥‥にもかかわらず、むしろ、それを歴史的かつ社会的所与としつつ、生存権の理念に基づいて団結権に高度の法価値を認め、積極的な法的保護を与えることを意味している。要するに団結権(広義)は、その性格上、団結活動と対立する使用者の権利の自由の譲歩なくしてありえないものである」と説き「かくして、団結権(広義)は『市民法上の諸権利に対抗しそれを制約するあらたな権利として登場してきたものであり、それを基本権として憲法上保障することじたい、全法体系を貫く価値観の転換をともなわずにはいない‥‥』(籾井常喜『組合活動の法理』からの引用)ということができよう」と述べ、団結権(広義)とは他者の市民法の諸権利を制約する権利、全法体系の価値観の転換をともなうものである断言している。
 しかも、「受忍義務説」が「正当な」組合活動と評価すべきというのは組織、運営に関わる組合活動だけではない。、片岡・大沼前掲書は「団結を維持・強化するためーに必要な活動も認容しなければならない」p273「労働者相互の働きかけの自由、それに対する干渉・妨害を抑止することが、使用者の受忍義務の中心的な内容をなす」p274、さらに「団体行動権の保障が『圧力形態としての本質の法的承認』を意味するものである以上、使用者は結局のところ、かかる本質を有する労働者の集団行動を認容し、いわば団結力に基づく威圧を甘受すべく義務づけられていると解する」p276。「業務運営や施設管理に多少の支障が生じたとしても‥‥直ちに組合活動の正当性が否定されるわけではない。損なわれる使用者の法益よりも大きな法価値が認められ、なお正当と評価されるケースは少なくないだろう」、「示威ないし圧力行動たる実質を有する組合活動の場合にも‥受忍義務が使用者に課され、それに対応する法的保護が労働者や労働組合に与えられることは基本的に承認されなければならない」p279とも述べられている。
 他者の市民法的権利を制約する権利、他者の権利を侵害する権利とはべらぼうなものである。泥棒する権利、強姦する権利と言っているのと同じたぐいのものである。泥棒されることを受忍せよ。強姦を受忍せよと言うのと同じことなのだ。

(四)受忍義務説に影響を受けた判例

 
 受忍義務説は司法にも影響を与えた。

 ①互譲調和論

 昭和34年1月12日福岡高裁判決(三井化学三池染料事件)民集10巻6号1114頁では「そもそも会社の構内管理権は決して無制限なものではなく、組合の団結権に基く、組合活動との関係で調和的に制限せらるべきであるから、会社は組合活動の便宜を考慮してある程度の譲歩を行うべきであり、組合としてもでき得る限り右管理権を尊重しなければならない」と述べた。互譲調和論といわれる。

②  使用者の受忍義務を承認した下級審判例

 互譲調和論は曖昧さを残していたが昭和38年9月28日全電通東海電通局ビラ貼事件名古屋地裁判決『判例時報』359号に至って「使用者の施設管理権も労働者の団結権保障とのかねあいから、使用者が労働者に対して施設利用の便宜を拡張するとか、禁止の解除を行うとかの意味ではなく、権利の本質的な意味で制約をうけ、そこから生じる使用者の不利益は使用者において受忍すべき場合があると考える。」と使用者の受忍義務を団結権保障のコロラリーとして承認するに至った。
 事案は昭和34年総評の指導する春闘において、同年3月全電通役員が中心となって東海電気通信局(名古屋市中区)庁舎の正面玄関やガラス窓等に、不当処分撤回、大巾賃上げ等を求める趣旨のビラ約四千枚を糊で貼付した行為が、庁舎の外観を著しく汚したものとして刑法260条の建造物損壊罪に問われたものであるが、判決は建物の大部分をビラで貼りつくすとか、醜悪で見るに耐えない等の程度に至らなければ建造物の効用を毀損したとはいえないとして、刑法260条の構成要件に至ってないと判断し、みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札する行為を拘留又は科料に処すとした軽犯罪1条33号との関係も論及し、労使の紛争状態の組合活動については同法は適用されないと断じた。更に傍論として仮に本件ビラ貼りが形式上建造物損壊に当たるとしても、それは組合活動の一環として合法的であり、違法性を欠き無罪であるとした。
  
 このようなミリバントな労働組合に都合のよい司法判断や、労働委員会の裁定例は、団結権があたかも企業内施設利用権を含み、施設管理権は制約されて当然という組合の主張にお墨付きをあたえることとなり、職場規律を乱し、労働組合をつけあがらせる一つの要因になっていたものと推察できる。
 「受任義務説」は同じプロ・レイバーからも批判され「違法性阻却説」が昭和45年頃から主張された。「受忍義務説」は広義の団結権が施設管理権を制約すると説くが、この説は組合活動の根拠を団体行動権の免責特権に求める説であって、免責特権とは本来違法、不法行為として責任を追及されるべきものについて責任を追求しないというものであるから、責任の解除にすぎず、受忍ではないと説き、積極的な請求権とは認められないし、労働組合の企業施設の利用権などというものも否認する、にもかわらず違法性を阻却すると説くものである。
 もちろん違法性阻却説というのも所詮プロレーバー学説であり、結論は受忍義務説と同じなのであるでが、プロレイバーが割れたことは、判例法理の変動に影響を与えたとみることができる。
 国労札幌地本事件判決は「労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであることは既に述べたところから明らかであつて、利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない」と述べ明確に「受認義務説」を排除した。これが同判決の意義の第一である。

註1】池田 恒男「国労札幌ビラ貼り事件」最高裁判決の「画期的」意義--現代日本法の一断面」『社會科學研究』33(5)
【註2】古川陽二「一〇・三〇判決以降の施設管理権と組合活動に関する判例動向」『労働法律旬報』1517/18 2001年
【註3】籾井常喜『経営秩序と組合活動-不当労働行為の法理経営秩序と組合活動』総合労働研究所,1965年 183頁 片岡曻・大沼邦博『労働団体法上巻』青林書院1991年321頁
【註4】籾井常喜『経営秩序と組合活動-不当労働行為の法理経営秩序と組合活動』総合労働研究所,1965年 183頁
【註5】片岡曻・大沼邦博『労働団体法上巻』青林書院1991年321頁
【註6】主な論者として本多淳亮『業務命令・施設管理権と組合活動』労働法学出版 1964 、籾井常喜『経営秩序と組合活動: 不当労働行為の法理』総合労働研究所 1965 、峯村光郎『経営秩序と団結活動』総合労働研究所 1969 、片岡曻『労働組合法の争点:法からみた労使関係のルール』総合労働研究所 1971、外尾健一『労働団体法』 筑摩書房1975

2012/04/28

カード 日本エヌ・シー・アール事件東京高裁判決

ビラ配布事案であるが日本エヌ・シー・アール事件東京高裁昭和52年7月14日判決『労働判例NO.281は組合活動は原則として就業時間外に事業場外においてなすべきことを明確に述べ、受忍義務説を明確に排除した判例として重要である。
> 「一般に事業場は、当然に使用者の管理に属し、労働者は、自己の労働力を使用者に委ねるために事業場に出入りを許され、就業時間中は使用者の指揮命令に従い労務に服する義務を負うものであり、労働組合は労働者が団結により経済的地位の向上を図ることを目的として自主的に結成加入した団体であって、使用者から独立した別個の存在である。従って、労働者の労働組合活動は原則として就業時間外にしかも事業所外においてなすべきであって、労働者が事業上内で労働組合活動をすることは使用者の承認のない限り当然には許されず、この理は労働組合運動が就業時間中の休憩時間に行われても、就業時間外に行われても変わりがないと解すべきである」と説いた。

 

 事案は大磯工場(2007年閉鎖)構内における就業時間前のビラ配りである。
 「大磯工場では従業員のうち相当多数が国鉄平塚駅前から被控訴会社大磯工場構内まで乗り入れる通勤バス三台に一台約七〇名宛分乗して午前七時三五分頃から午前七時五五分頃までの間に三回に分れ順次到着出勤するので従業員が前叙のように通路巾の狭い各通用口を長い一列縦隊となって通過することが多く、ビラを受け取らない出勤者には次ぎから次ぎにと胸元前方にビラが差し出され通行に渋滞を来しかねないこともあって、出勤者のうち職制でない従業員の多数は一応ビラを受け取っていた。しかし、前叙のとおりNCR労組が結成されていたこともあり、従業員に手渡された「おはようみなさん」が其の場に捨てられ、散乱することも多かつた」
「出勤してくる従業員を巾約一・六メートルの工場内通路の片側ないし両側にならんで迎え、出勤者一名に対し通路手前にならんだ者から順次一名が出勤者の前に「おはようみなさん」を差し出し、出勤者が受け取らなければ、次にならんだ者が続いてその出勤者の前にビラを差し出し、雨天のため従業員が雨具等を所持していたこともあつて、混乱がないではなかった」
 といった態様である。
 判決は「支部組合の採った配付方法に対し被控訴会社は配付につき被控訴会社の許可をとるように再三申し入れ協議し警告していること、前叙のように配付場所の通路が狭いこともあつて、配付により従業員の出勤に混乱を生じ、特に雨天の際には混乱と迷惑とを惹起することがあつたこと、前叙のとおり、併存するNCR組合から善処の要望もあり被控訴会社は、「おはようみなさん」の配付につき被控訴会社の許可を原則として認めるならば、配付方法としてビラボツクスの設置を提案するが右提案に固執しない態度であったのに対して、あくまで組合ビラ配布は自由であるという独自の立場に固執し、被控訴会社の協議に応ぜず、指示に従わず、前叙のとおり一過的にもせよ、繰りかえし大磯工場の敷地建物の機能を害した各控訴人の所為は相当でなく、これを正当な組合活動であると認むべき特段の事由は認められない。そして、前叙控訴
人両名の就業規則違反歴等をも参酌し同規則一一二条七号を適用した本件懲戒処分
は被控訴会社の適法な懲戒権の範囲内にあり、他意はないと認められるから、控訴
人らの不当労働行為の主張もまた採用し難い」と判示した。
 
 

なお、就業時間前のビラ配りに関する事案では、この後最高裁が懲戒処分を無効とした例があるので注意が必要である。

 住友化学工業事件 最高裁第二小法廷昭54・12・14判決『労働判例』997号は、「その配布の場所は、上告会社の敷地内ではあるが事業所内ではない、上告会社の正門と歩道との間の広場であって、当時一般人が自由に立ち入ることのできる格別上告会社の作業秩序や職場秩序が乱されるおそれのない場所であった、というのであるから、被上告人らの右ビラ配布行為は上告人の有する不当に侵害するものではない」として懲戒処分を無効とした。
 倉田学園事件 最高裁第三小法廷平成6年12・20民集48巻8号1496頁は就業時間前に職員室において、ビラを二つ折りにして、机の上に置いたというもので、業務に支障を来していないこと、ビラの内容も団体交渉の結果や活動状況で違法・不当な行為をそそのかす内容が含まれていないため、無許可で職場ニュースを配布したことを理由とする組合幹部の懲戒処分は懲戒事由を定める就業規則上の根拠を欠く違法な懲戒処分と判示した。

 住友化学工業事件については、配布場所が正門の外側の歩道との間の広場であって、一般人が自由に立ち入れる公開空地と言う微妙な場所だったことから、裁判所も施設管理権の侵害を認めにくかった事情であったと考えるが、公道でなく構内であることは間違いないから疑問なしとしない。倉田学園事件は業務に支障をきたしてない態様、違法行為をそそのかす内容でないとされていて、ビラの置き方も折りたたんで丁寧であった。
 一方、日本エヌシーアール事件は工場構内、従業員通用口前で、狭い入り口の前で、出勤する従業員を待ち構えて、通路の片側ないし両側にならんで迎え、順次一名が出勤者の前にビラを差し出し、出勤者が受け取らなければ、次にならんだ者が続いてその出勤者の前にビラを差し出し、半強制的にビラを受け取らせる態様であり、雨の日などは傘をたたむため混乱・迷惑を惹起するものであった。
 私は住友化学工業判決や倉田学園判決に批判的な見方で、これによって就業時間前のビラ配りを全面的に肯定することはできないと考える。
 日本エヌシーアール事件のような場所・態様である場合は、使用者の施設管理権の範疇で当然規制できるものと解釈する。

日本エヌ・シー・アール出勤停止 - 東京高等裁判所昭和48(ネ)304:労働http://thoz.org/hanrei/5658

秋田成就「施設管理権とビラ貼りの評価--日本エヌ・シ-・ア-ル事件を中心に」『 労働法学研究会報』28(42)1977

カード 動労甲府支部ビラ貼り事件

ビラ貼りの事案で動労甲府支部事件東京地裁昭和50年7月15日『判例時報』784号は受忍義務説を明確に否定したリーディングケースである。
> 使用者の所有権や施設管理権-「管理及び運営の目的に背馳し、業務の能率的正常な運営を一切排除する権能」-を強調する一方、たとえ企業内組合の場合であっても組合活動のために企業施設を利用する「権限」を当然有するものではないとし、それが認められない以上、使用者が無断ビラ貼りを「受忍」すべきいわれはなく、当該のビラ貼りは使用者の所有権ないし施設管理権の侵害にあたるとして、労働組合及び組合員に不法行為に基づく損害賠償責任を認めビラはがし代142,300円の支払いを動労側に命じた。

国鉄ビラはり損害賠償 - 東京地方裁判所昭和46(ワ)8842:労働 http://thoz.org/hanrei/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80/%E6%98%AD%E5%92%8C46(%E3%83%AF)8842

労働関係民事裁判例集26巻4号567頁 判例タイムズ324号157頁 判例時報784号25頁 労働判例229号35頁

下井隆史「労働組合のビラ貼り活動と民事上の責任--動労甲府支部事件を中心に」『判例タイムズ』26(14)1975

9631竹下英男「ビラ貼りの法的評価と損害賠償ー動労甲府ビラ貼り事件をめぐってー」『ジュリスト』NO.595〔1975〕

9635角田邦重「リボン闘争・ビラ貼り-中川判決の法理と問題点-ホテル・オークラ事件・動労甲府事件」討論 籾井・角田・雪入・山本「企業内組合活動の自由と東京地裁労働部中川判決批判」『労働法律旬報』888号〔1975〕

カード 大成観光(ホテルオークラ)事件

大成観光(ホテルオークラ)事件東京地裁昭和50年3月11日判決『労働判例』221号は「リボン闘争にかぎらず、ほかに鯨波(シユプレヒコール)を挙げ、握り拳を突き上げてする集団示威もそうであるが、本来労働組合が自己の負担及び利益においてその時間及び場所を設営しておこなうべきものであつて、このことは負担及び利益の帰属関係からして当然の事理に属する。ところで、勤務時間中であるという場面は、労働者が使用者の業務上の指揮命令に服して労務の給付ないし労働をしなければならない状況下のものであり、まさに使用者の負担及び利益において用意されたものにほかならないから、勤務時間の場で労働者がリボン闘争による組合活動に従事することは、人の褌で相撲を取る類の便乗行為であるというべく、経済的公正を欠くものであり‥‥‥誠意に労務に服すべき労働者の義務に違背するものと解するのが相当」と説き、リボン闘争は正当な組合活動と認められないとした名判決。

大成観光事件事件番号  東京地裁昭和47年(行ウ)第145号 (労働委員会関係裁判例データベース)http://web.churoi.go.jp/han/h00003.html

大成観光救済命令取消 - 東京地方裁判所昭和47(行ウ)145:労働 http://thoz.org/hanrei/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80/%E6%98%AD%E5%92%8C47(%E8%A1%8C%E3%82%A6)145

石橋洋「組合のリボン闘争戦術と実務上の留意点 : 大成観光(ホテルオークラ)事件(最三小判昭57・4・13労判三八三-一九)を契機にして 」『労働判例』391号1982年〔※ネット公開〕
http://hdl.handle.net/2298/14210 

9629大成観光事件 東京都地労委昭47・9・19『不当労働行為事件命令集』47集348頁 東京地裁昭50・3・11『労働関係民事裁判例集』26巻2号125頁

小西国友「 組合活動に関する正当性の判断基準--大成観光事件を契機として-上- 」『 判例時報 』1067号1983年 「組合活動に関する正当性の判断基準--大成観光事件を契機として-下-『判例時報』1073号 1983

9635角田邦重「リボン闘争・ビラ貼り-中川判決の法理と問題点-ホテル・オークラ事件・動労甲府事件」討論 籾井・角田・雪入・山本「企業内組合活動の自由と東京地裁労働部中川判決批判」『労働法律旬報』888号〔1975〕

樫原 義比古  「就業時間中のリボン闘争の正当性 」 『 日本法政学会法政論叢 』 21 1985-05-20〔※ネット公開〕http://ci.nii.ac.jp/nrid/9000004422132

竹下英男「リボン戦術の法的評価と対応手段--判例の変遷と大成観光事件判決の意義」『労働法学研究会報』26(23)1975

山口浩一郎 「リボン闘争の違法性と使用者の対抗手段--最高裁「ホテルオ-クラ事件」判決を契機として」『労働法学研究会報』 33(20), p1-20, 1982-06-04

宮原孝之「 憲法二八条とリボン闘争」『 日本法政学会法政論叢 』16 1980 〔※ネット公開〕http://ci.nii.ac.jp/naid/110002803016

高木紘一「リボン闘争の正当性--大成観光事件判決を通して 」『季刊労働法 』97 1975

坪内利彦「ホテルオ-クラ労組員のリボン闘争事件(最判昭和57.4.13)」『法律のひろば 』35(7) 1982

花見忠「リボン闘争の正当性--ホテル・オ-クラ事件最高裁判決」『ジュリスト』 771 1982

「ホテル業を営む会社の従業員で組織する労働組合が実施したいわゆるリボン闘争が労働組合の正当な行為にあたらないとされた事例(最判昭和57.4.13)」『判例時報』1042 1982

ホテル業を営む会社の従業員で組織する労働組合が実施したいわゆるリボン闘争が労働組合の正当な行為にあたらないとされた事例--ホテルオ-クラ労組員のリボン闘争事件上告審判決(最判昭和57.4.13)」『判例タイムズ』33(18) 1982

籾井常喜「最高裁「リボン着用行動違法論」批判--ホテル・オ-クラ事件・最高裁昭和五七・四・一三判決」『季刊労働法』125号 1982

森井利和「リボン闘争--ホテルオ-クラ事件(最判昭和57.4.13)(労働判例研究)」『労働法律旬報』1223 1982

小嶌 典明「リボン闘争の正当性--大成観光(ホテルオ-クラ)事件(最判57.4.13)」『日本労働法学会誌』60 1982

宮橋一夫「いわゆるリボン闘争の違法性」『警察学論集』36(5)1983

カード 国労青函地本リボン闘争事件

国労青函地本リボン闘争事件札幌高裁昭和48年5月29日判決労民集24巻3号
 
「本件リボンが‥が国労の要求を記載したもので、これを着用することによって国労の団結をはかるべきものであるところ、国鉄内には国労のほか、これと対立関係にある鉄道労働組合があることは顕著な事実であり、本件リボンの着用が鉄労組合員その他組合未加入者に心理的動揺を与え‥国労の組合員の中にも指令に反し本件リボンを着用しなかった者が相当数あったことが認められるが、これにらの者にも精神的に重圧となったことも十分考えられ、勤務時間中の本件リボンの着用は‥‥不要に職場の規律、秩序を乱すおそれのあるものというべきである」と述べ、リボン闘争が違法であり、正当な組合活動と認められないとした。

国鉄青函局職員訓告 - 札幌高等裁判所昭和47(ネ)167:労働  http://thoz.org/hanrei/%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E9%AB%98%E7%AD%89%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80/%E6%98%AD%E5%92%8C47(%E3%83%8D)167

9918 石橋主税「勤務時間内のリボン着用闘争を理由とする訓告処分の効力~国労青函地本リボン事件」『労働判例』179

9452 国労青函地本リボン闘争事件 札幌高裁昭48・5・19『判例時報』NO.706.

9629国鉄職員のリボン着用ー国鉄青函局事件 函館地裁昭47・5・19判決『労働関係民事裁判例集』23巻3号347頁 札幌高裁昭48・5・29判決『労働関係民事裁判例集』24巻3号257頁
9638 佐藤時次郎「国労青函地本訓告処分無効確認損害賠償請求控訴事件-勤務時間中のリボン着用行為は職務専念義務等に違反」『大東法学』創刊号1974〔※ネット公開〕
PDFhttp://ci.nii.ac.jp/naid/110004723168

西谷敏「リボン闘争の正当性と懲戒処分国労青函地本リボン闘争事件、札幌高裁昭48・5・29判決」『季刊労働法』 89号 1973年

2012/04/24

6月のウォーカー知事リコール投票のために労働組合陣営は6000万ドル投入

6月は我が国では通常国会の終盤で政局として重要だが、アメリカでは連邦最高裁開廷期末で重要判決が下されるのが恒例である。たぶん6月下旬の月曜日か木曜日である。特にオバマケアの憲法判断である。争点は州際通商条項なので素人には難解だが、大統領選にも影響がある。
 違憲判断を望むが、仮に合憲でも5対4の判決になりそうなので、オバマに打撃になるという観測を少し前だがBSプレミアムで放送しているABCのジス・ウィークでやっていた。その時コールター女史を初めて見たが、恐い女かと思ったら愛嬌があったのは意外だった。我が国の最高裁と違って、連邦最高裁は口頭弁論をやるが、コールターは口頭弁論だけで予測できないと発言していた。
 もう一つ重要なのが、6月5日のウィスコンシン州のウォーカー知事のリコール投票である。これは州公務員の団体交渉制限に反対する左派の仕業によるものだが、4月22日の「ニュースマックス」(保守系サイト)によると、ウォーカーを引きづり降ろすために、オバマ=労働組合陣営は6000万ドルが投入されると伝えている。http://www.newsmax.com/Headline/walker-wisconsin-recall-unions/2012/04/22/id/436674
 バージニアやノースカロライナのように州法で公務員の団体交渉を禁止している州もあるのである。しかしウィスコンシンはリベラルな土地柄なので少し心配しているが、大統領選の前哨戦としても注目している。。
 
 

2012/04/22

平清盛第16回4/22放映分の感想

忠通義絶事件と家成邸追補事件が描かれていたが史実と異なるのでコメントする。

久安6年(1150)9月26日の忠通義絶事件

 大殿藤原忠実は忠通に摂政を頼長に譲るよう説得していたが、忠通の最終回答は、法皇が摂政を召し上げるなら仕方ないが、自ら頼長に譲ることはないというものだった。激怒した忠実は頼長を伴って宇治より上洛し、摂関家の本邸である東三条殿に押入り、高陽院泰子を招き、源為義らの武士に警固させたうえで、忠通義絶の措置をとった。頼長を氏長者とし、蔵にあった氏の長者の地位を象徴する朱器台盤や渡庄券文を頼長に与えたという事件。
 史実では、その時忠通は新造の法性寺殿にいて、何の動きも示さなかった。ドラマのように忠通がいたところを襲撃させたわけではない。東三条殿は摂関家の家嫡が管領する邸宅だが、父権の行使としての押収であるから、ドラマが言うような「盗賊」行為を行ったというのは言い過ぎである。
 
 頼長の「内覧」職は忠実の要請に法皇が応えたものだが、事実上、関白と同じである。一方、法皇は忠通の摂政辞任の申し出に対し、関白に切り替えた。関白が二人いるような事態となってしまったのである。

 
仁平元年(1151)久安7年9月8日藤原家成邸追補事件 

 藤原家成は鳥羽院政初期から有力な院近臣であり「天下事一向帰家成」といわれるほどの権勢だった。事件の発端はその年の7月に頼長の雑色(頼長の男色相手だったとみられている)が家成の下部に凌辱されたため、その報復として頼長は腹臣の随身秦公春(頼長の男色相手)に、その下部の追補を命じ、家成邸に乱入し狼藉を働いたというものであって、ドラマにあるように源為義に襲撃させたというものではない。
 この事件を機に法皇は頼長を「ウトミ思召す」ようになったとされる。よりリアルなドラマを描くなら、ここでどろどろとした男色関係を描くべきだった。

 参照 橋本義彦『藤原頼長』吉川弘文館1964
 松原輝美「詩人の妄執-佐藤義清遁世考(下)」『高松短期大学紀要』22号19 92
 PDFhttp://www.takamatsu-u.ac.jp/library/06_gakunaisyupan/kiyo/no22/22_II_51-77_matsubara.pdf

2012/04/21

名阪ノンストップ特急最終運転などの様子

 近鉄の象徴的な存在だった名阪甲特急のノンストップ運転が3月20日のダイヤ改正で終了。全ての列車が津に停車することとなった。
http://www.youtube.com/watch?v=hfhu6GgFZkg
http://www.youtube.com/watch?v=3u5humGTs_o&feature

小田急ロマンスカー20000形最終運転セレモニー
http://www.youtube.com/watch?v=H-G_kge3hFs&feature

10000形最終運転セレモニー
http://www.youtube.com/watch?v=PULsi7sO7TM&feature

沼津行あさぎり号371系最終運転
http://www.youtube.com/watch?v=ZBx1rdd5lJM&feature

2012/04/16

リバタリアンサイト アクセス回数順ランキング

  マークJ.ペリー教授のブログからの引用ですが「キャピタルフリープレス」に114サイトのランキングがある。http://www.capitalfreepress.com/libertarian-website-ranking/このなかで知っていたのはリーズンとケイトー研究所、マークJ.ペリー教授のサイトとか数える程しかなかった。ロン・ポール候補の公式サイトは四位となっている。
  

2012/04/15

『平清盛』第15回4/15放映の感想

 
 藤原忠通養女呈子(近衛の中宮)と藤原頼長養女多子(近衛の皇后)の入内競争をもう少し詳しくやったほうがよかった。「天下第一の美人」といわれる多子は11歳で入内するが、美少女かどうか確認できないほど短い登場だった。
 ただ、中宮となる藤原呈子の配役はよかった。「天下第一の美人」とされる藤原多子を引きたてている。
 しかし、このストーリーでは裏で忠通と美福門院が政治的に結びついていて、美福門院が藤原呈子の入内を望んだということがわかりにくい。

 中宮・皇后宮二妻后並立期の中宮と皇后の意味は説明が必要だが、要するに、基本的には附属職司の長官が中宮大夫なのが、中宮、皇后宮大夫なのが皇后であり、中宮も皇后宮も身位は皇后、后位であることにかわりない。除目は中宮、身位は皇后という言い方もある。
 近衛天皇の二妻后では、最初の立后藤原多子が異例なことに皇后宮で、次の立后藤原呈子が中宮である。

 どちらが優位とはいえないが、前例をみていくと、中宮がどちらかというと正后というか、より有力な后でケースが多い。中宮のほうがより望ましかったと考えられる。たとえば道長女の一条后藤原彰子立后が一帝二妻后の初例だが、中宮としての立后で、政治的敗者となった道隆女の藤原定子が、中宮より皇后宮に転上させられている。歴代の摂関家当主は、中宮としての立后を望んでいたと考えられる。
 藤原多子には、忠通サイドから相当ないやがらせがあったと考えられ不遇だったといえる。保元三年には二十歳という若さなのに太皇太后に転上されている。

2012/04/14

ミシガン州、オートバイ用ヘルメット法廃止

 ミシガン州のスナイダー知事(共和)はオートバイ乗りにヘルメット着用を義務づける法を廃止して着用を任意とする法案に署名したと報道されてます。http://www.freep.com/article/20120413/NEWS06/120413019/Motorcycle-helmets-become-optional-Michigan-after-Snyder-signs-law
 ワシントンタイムズによると合衆国では31番目のヘルメット着用を義務づけない州となったということです。
 自動車保険業界と医療関係者が、事故死を増やし負傷を悪化させるとして反対していましたが、交通安全より、個人の自己決定を重んじるということです。
 無ヘルメットのオートバイ乗りが今週末に大挙して出ると予想されてます。
From The Detroit News: http://www.detroitnews.com/article/20120414/METRO/204140354#ixzz1s13YObZk
 我が国では警察主導で、ヘルメットでもシートベルトでもそうですが、個人の選択より、交通安全が重視されすぎです。
 ライダーが無ヘルメットのほうが快適だとするならそれでいいじゃないか。
  

木嶋佳苗被告死刑判決の率直な感想

 つまらない。http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-13X938/1.htm別れ話に悲観して自殺するのはありうる。「名器」に溺れたあげくのはての自殺ということでよかったのではないか。木嶋被告は美人とはいえないとの報道があるが、おしゃれで愛嬌もあり、憎めない女性のように思う。仮に詐欺であるとしても一般論としていえば詐欺師とだまされる人は鍵と鍵穴みたいな相性のある関係で、そんなに被害者に同情する必要はない。夕刊紙では無罪は五分五分でありうると報道されていた。無罪判決で世間をあっといわせたほうがよかった。
 素人裁判員が「達成感ある」とかばかげたことを言っているが、100日もこの事件のためにな拘束されたあげくのはてに、検察のいいなりみたいな判決下してくだらないと思わないのか。
 

2012/04/12

木嶋佳苗被告無罪を期待する

 日刊ゲンダイで明日判決というのを知った。事件そのものに詳しくないが、別に愛人契約で男を転がしセレブ並の生活をしたって、女性の生き方は自由だ。説教臭い検察の主張にうんざり。被告側の論理は破たんしてない、物証に乏しいから無罪でいい。女性としての能力が高い、いわゆる「名器」であることを自慢した女性として価値がある。
 木嶋被告は弁が立つし切り返しもうまいという。「婚活評論家」バラエティ番組に出てほしい。「きわもの」といったら失礼だか視聴率はとれるはず。

2012/04/08

『平清盛』第14回の感想

 本日放映の平家盛が賀茂臨時祭の舞人になったこと、従四位下叙位、右馬頭補任と熊野詣に同行したのは史実。しかし頼長との関係は脚本家の勝手な創作、ストーリーとしては強引な感じがする。たぶん大河ドラマとしては初の男色シーンで視聴率をかせぐためのもののように思える。
 藤原頼長の男色関係については東野治之「日記にみる藤原頼長の男色関係―王朝貴族のウィタセクスアリス」(『ヒストリア』84号、1979年)以降研究されていることで、保元の乱前史としても意味のあることだが、平家の武士を相手にするようなことはないはず。
 頼長が近衛生母皇后藤原得子が国母であるにもかかわらず「諸大夫の女」だから拝礼したくないとか軽蔑する底意を持っていたのは日記にもあるから史実であるが、あからさまに言い合うことはないだろう。
 家盛死去は、清盛の地位が安泰となったという意味だけである。

大河の男色シーンを解説するサイトとして面白かったのは、「.大河ドラマ『平清盛』第十四回について勝手に補足! 頼長さんの男色日記 」
http://togetter.com/li/285268頼長が両刀である例として「四月七日より始め、今日に到るまで、一百三日、其の間、余、千手陀羅尼五千遍、礼拝三千三百三十遍を満たす。魚を食らわず、女男を犯さず。是、八三の除病延命を祈るなり」
女断ち、男断ちをして祈ったとか 「巳の刻、家に帰る。魚を食ふ。男女を犯す」女も男も犯すなどと書かれている。


 
 

2012/04/07

『平清盛』第13回の感想

 4月1日放映は久安三年(1147)の祇園社頭闘乱事件だった。
 中務大輔平清盛が祇園祭に際し田楽を奉納せんとした処、田楽を守護して行った武士と、祇園社の下部と衝突し、乱闘を起こした事件である。郎党の放った矢が神殿に命中し、神官が負傷したとされる。
 これに激怒した祇園社とその本寺延暦寺が、忠盛・清盛父子の流罪を強訴した。
 ナレーションにあったとおり、これより50年前、堀河朝の嘉保二年(1095)、関白師通が、延暦寺や日吉神社の強訴に対し、武士を動員して、神輿や神人に矢を射かけて撃退したが、その4年後の師通急逝が祟りという噂が喧伝されたため、白河院政期以後、対僧兵強圧策はとられなくなっていた。
 なお、ドラマでは清盛自身が射かけたことになっているが創作だと思う。
 法皇は、摂政忠通、内大臣頼長以下の公卿を招いて、議定を開いたが、「大事たるにより」特に院近臣の首領格で世上「よるの関白」と称された、藤原顕隆(勧修寺流の実務的中級貴族)が出座を命じられた。議定の奏上とは別に、ひとり顕隆が法皇の御前に召されて奏聞している。
 結果は、頼長の春秋左氏伝を引いた忠盛有罪論は斥けられ、清盛に贖銅三十斤という罰金刑に処しただけだった。
 公卿による公的な議定よりも、院と院近臣との密談で事実上決定を下した例である。
 摂関期においても最終政務決裁者は天皇である。
 昔から象徴天皇だったという俗説には疑問をもっている。
 しかし後朱雀天皇と関白頼通に確執があったように、関白との合意が得られない政策の遂行は、太政官機構を直接動かすことができないので困難であった。しかし、院政期においては、摂関との合意によらずとも、院近臣の補佐で事実上政務決裁されたということか。
 この事件の政治史的意義は、対僧兵強圧策に転換し、諸国武士を動員して防御態勢を固め、院に強力な軍事動員力があることを示したことである。
 法皇は連日、院御所にて武士たちを閲兵する熱の入れかただった。
 そうすると、史実に即したドラマならば、法皇の閲兵が見せ場になるはずである。院権力を絵でみせるのにわかりやすいので、それのシーンがなかったのは残念だ。
 勝手な推測だが、NHK的には閲兵は戦中を連想させてよろしくないから、結局、荒唐無稽に思える「エアー弓矢」というシナリオになってしまったのかもしれない。。
 ドラマでは鳥羽法皇が内向的で傷つきやすい性格に描かれているが、史実とは違うのだと思う。

 
 今回の大河ドラマでは男色シーンがあると予告されているが、り、どの程度露骨にやるかが問題だ。
 第14回でそれがありそうだ。藤原頼長『台記』に多くの記述があり、たとえば「亥の時ばかり、讃丸来る。気味甚だ切なり、つひに偕に精を漏らす、稀有のことなり、この人常にこのことあり、感嘆最も深し」
 讃丸(藤原成親)と同時発射した。それは稀なことで、至高の快楽だみたいなことが書かれている。
 しかし、この人はホモではなく両刀使いである。女とも遊ぶが男も性的快楽追求の対象としているのである。もともと我が国には古代ヘレニズム、ストア主義、「大グレゴリウス」のような、性的快楽追求を罪悪視する思想はない。したがって性的快楽追求に貪欲なのが我が国の基層文化といえる。
 
 
 引用 橋本義彦「保元の乱前史小考」『平安貴族社会の研究』吉川弘文館1976
 元木泰雄『平清盛の闘い-幻の中世国家』角川ソフィア文庫2011

サイト「男色と日本人」http://japanese.hix05.com/Folklore/Sex/sex05.homosex.html
 

2012/04/06

三万四千円のカンパって

 組合掲示板を見たら、四月四日付の振込の証明が貼ってあった。組合員は28人くらいしかいない小さな職場なのに、よく金を出すなあと思う。なお、三月二十八日のブログに書いた三万八千円
のカンパとは別。そちらのほうはなぜか、2011年11月の領収証だった。なぜ、11月の領収証が、3月下旬になって貼っているのか意味不明である。
 5日16時50分頃、東水労ニュースと新聞全水道ともう一つが配られいた。所長はいるが在席せず。
 西友で中国吉林米十合449円を購入。売れているという評判なので試しに食べてみることとする。東京都の管理職は年収一千万超だから中国米は食わないだろうが。
 帰りの電車に日経ヴェリタスを読んでいる客がいたが、稟議書みたいなハンコが押してあったから、会社で回覧しているやつだな。
 西友はウォルマート流のEDLP(エブリデーロープライス)を「毎日価格安く」と訳してる。最初は流通の用語の意味がわからない人が多かったが、最近はエブリデープライスの良さが浸透してきたようだ。我が国のスーパーは伝統的にハイローと言って、特売日を設定して、ちらしで宣伝して購買意欲をそそるやり方だが、価格の上げ下げで客を呼ぶよりも、いつでも安いというエブリデーロープライスの方がよっぽど良心的なのであって、特売の宣伝費に金をかけるくらいだったら、その分安くしてもらったほうが良い。
 流通評論家の鈴木敏仁のコラムによれば「日本にもEDLPを標榜するスーパーマーケット企業が増えてきてますが、基本はやはりハイローでして、ウォルマート型のEDLPを目指して実施している企業はほぼない」との厳しい指摘。http://retailweb.net/030/032/

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