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2012/05/14

カード 休憩時間 ビラ配り 目黒電報電話局事件最高裁第三小法廷昭和52年12月13日判決民集31巻974頁

目黒電報電話局事件最高裁第三小法廷昭和52年12月13日判決民集31巻974頁 『判例時報』871号『判例タイムズ』357号6頁『労働判例』287号
  懲戒戒告処分無効確認 - 最高裁判所第三小法廷昭和47(オ)777:判決 http://thoz.org/hanrei/%E6%98%AD%E5%92%8C47%28%E3%82%AA%29777
http://www.jil.go.jp/hanrei/conts/026.htm
http://fourbrain.blogspot.com/2002/04/blog-post_3841.html
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/124.htm
事件の概要-日本電電公社目黒電報電話局施設部試験課勤務の職員Xは、昭和42年6月16日から22日まで「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書かれたプレートを着用して勤務したところ、これを取り外すよう上司から再三注意を受けた。同月23日Xはこの命令に抗議し、ワッペン・プレートを胸につけることを呼びかける目的で、「職場の皆さんへの訴え」と題したビラ数十枚を、休憩時間中に職場内の休憩室と食堂で手渡しまたは机上におくというという方法で配布した。
 電電公社は上記プレート着用行為が就業規則の五条七項「職員は、局所内において、選挙活動その他の政治活動をしてはならない」に違反する。ビラ配布行為は五条六項「職員は、局所内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配布その他これに類する行為をしようとするとき、事前に別に定める管理責任者の許可を受けなければならない」に違反し懲戒事由に該当するとして、Xを戒告処分に付したが、その効力について争われた事件である。一、二審は原告の主張を認容し、戒告処分を無効としたが、最高裁は破棄自判して一、二審の判断を覆した。

 判決抜粋-懲戒処分は適法
 
公社は設立目的からに照らしても企業性を強く要請されており、公社と職員の関係は、基本的には一般私企業における使用者と従業員との関係とその本質を異にするものではなく、私法上のものであると解される。‥‥一般私企業においては、元来、職場は業務遂行のための場であつて政治活動その他従業員の私的活動のための場所ではないから、従業員は職場内において当然には政治活動をする権利を有するというわけのものでないばかりでなく、職場内における従業員の政治活動は、従業員相互間の政治的対立ないし抗争を生じさせるおそれがあり、また、それが使用者の管理する企業施設を利用して行われるものである以上その管理を妨げるおそれがあり、しかも、それを就業時間中に行う従業員がある場合にはその労務提供業務に違反するにとどまらず他の従業員の業務遂行をも妨げるおそれがあり、また、就業時間外であつても休憩時間中に行われる場合には他の従業員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後における作業能率を低下させるおそれのあることがあるなど、企業秩序の維持に支障をきたすおそれが強いものといわなければならない。したがつて、一般私企業の使用者が、企業秩序維持の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは、合理的な定めとして許されるべきであり、特に、合理的かつ能率的な経営を要請される公社においては、同様の見地から、就業規則において右のような規定を設けることは当然許される‥‥被上告人が着用した本件プレートに記載された文言は、それ自体、アメリカ合衆国が行つているベトナム戦争に反対し、右戦争の遂行の拠点としての役割を果たす米軍立川基地の拡張の阻止を訴えようとしたものであるが‥‥わが国の政治的な立場に反対するものとして社会通念上政治的な意味をもつものであつたことを否定することができない。‥‥被上告人は右文言を記載したプレートを着用してこれを職場の同僚に訴えかけたものというべきであるから、それは社会通念上政治的な活動にあたり、しかもそれが目黒局の局所内で行われたものである以上、公社就業規則五条七項に違反することは、明らかである。‥‥ところで、公社法三四条二項は「職員は、全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない」旨を規定しているのであるが、これは職員がその勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないことを意味するものであり、右規定の違反が成立するためには現実に職務の遂行が阻害されるなど実害の発生を必ずしも要件とするものではないと解すべきである。本件についてこれをみれば、被上告人の勤務時間中における本件プレート着用行為は、前記のように職場の同僚に対する訴えかけという性質をもち、それ自体、公社職員としての職務の遂行に直接関係のない行動を勤務時間中に行つたものであつて、身体活動の面だけからみれば作業の遂行に特段の支障が生じなかつたとしても、精神的活動の面からみれば注意力のすべてが職務の遂行に向けられなかつたものと解されるから、職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い職務にのみ従事すべき義務に違反し、職務に専念すべき局所内の規律秩序を乱すものであつたといわなければならない。同時にまた、勤務時間中に本件プレートを着用し同僚に訴えかけるという被上告人の行動は、他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、この面からも局所内の秩序維持に反するものであつたというべきである。
すなわち、被上告人の本件プレート着用行為は、実質的にみても、局所内の秩序を乱すものであり、公社就業規則五条七項に違反し五九条一八号所定の懲戒事由に
該当する。 したがつて、前記のように公社就業規則に違反する被上告人の本件プレート着用に対しその取りはずしを命じた上司の命令は、適法というべきであり、これに従わなかつた被上告人の前記第一の一の(二)の行為は、公社就業規則五九条三号所定の懲戒事由である「上長の命令に服さないとき」に該当する。

被上告人の‥‥ビラ配布行為は許可を得ないで局所内で行われたものである以上、形式的にいえば、公社就業規則五条六項に違反するものであることが明らかである。もつとも、右規定は、局所内の秩序風紀の維持を目的としたものであるから、形式的にこれに違反するようにみえる場合でも、ビラの配布が局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右規定の違反になるとはいえないと解するのを相当とする。ところで、本件ビラの配布は、休憩時間を利用し、大部分は休憩室、食堂で平穏裡に行われたもので、その配布の態様についてはとりたてて問題にする点はなかつたとしても、上司の適法な命令に抗議する目的でされた行動であり、その内容においても、上司の適法な命令に抗議し、また、局所内の政治活動、プレートの着用等違法な行為をあおり、そそのかすことを含むものであつて、職場の規律に反し局所内の秩序を乱すおそれのあつたものであることは明らかであるから、実質的にみても、公社就業規則五条六項に違反し、同五九条一八号所定の懲戒事由に該当するものといわなければならない。‥‥被上告人は、本件処分は、上告人が被上告人を共産党員であると認識し、その思想信条を嫌い、そのため行つた差別待遇にほかならないとして、労働基準法(以下「労基法」という。)3条違反を主張する。しかしながら、原審の確定した事実によれば、本件処分は被上告人の前記違法な行為を理由として行われたものであることが明らかであるから、被上告人の右主張は理由がない。‥‥また、被上告人は、本件ビラ配布は正午の休憩時間を利用して行つたものであるのにこれを懲戒処分の対象とすることは、労基法34条3項に違反する、と主張する。一般に、雇用契約に基づき使用者の指揮命令、監督のもとに労務を提供する従業員は、休憩時間中は、労基法34条3項により、使用者の指揮命令権の拘束を離れ、この時間を自由に利用することができ、もとよりこの時間をビラ配り等のために利用することも自由であつて、使用者が従業員の休憩時間の自由利用を妨げれば労基法34条3項違反の問題を生じ、休憩時間の自由利用として許される行為をとらえて懲戒処分をすることも許されないことは、当然である。しかしながら、休憩時間の自由利用といつてもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。しかも、公社就業規則五条六項の規定は休憩時間中における行為についても適用されるものと解されるが、局所内において演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、休憩時間中であつても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあつて、その内容いかんによつては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるのであるから、これを局所管理者の許可にかからせることは、前記のような観点に照らし、合理的な制約ということができる。本件ビラの配布は、その態様において直接施設の管理に支障を及ぼすものでなかつたとしても、前記のように、その目的及びビラの内容において上司の適法な命令に対し抗議をするものであり、また、違法な行為をあおり、そそのかすようなものであつた以上、休憩時間中であつても、企業の運営に支障を及ぼし企業秩序を乱すおそれがあり、許可を得ないでその配布をすることは公社就業規則五条六項に反し許されるべきものではないから、これをとらえて懲戒処分の対象としても、労基法34条3項に違反するものではない。‥‥」

判決論評
菊池高志「労働契約・組合活動・企業秩序法政研究 『法政研究』49(4) 1983 〔※ネット公開〕http://hdl.handle.net/2324/1792
楠元茂「<論文>いわゆる服装斗争の法的考察 : 人権規定の第三者効力との関連において」『商経論叢』27 1978ね http://ci.nii.ac.jp/naid/110000048788
石橋洋「企業内政治活動・ビラ配布の自由と企業秩序 : 目黒電報電話局事件・明治乳業事件判決を素材として」『季刊労働法』142 1987〔※ネット公開〕http://hdl.handle.net/2298/14089
吉田 美喜夫 「企業秩序と労働者の権利・義務-目黒電報電話局事件・富士重工業事件最高裁判決(回顧と展望)『日本労働法学会誌』52 1978
外尾健一「労働判例リ-ディングケ-ス-17-目黒電報電話局事件--休憩時間の自由利用」『労働判例』720 1997
大内伸哉「判例講座 Live! Labor Law(17)企業内での政治活動は,どこまで許されるの?--目黒電報電話局事件(最三小判昭和52.12.13民集31巻7号974頁)」『法学教室』347 2009

目黒電報電話局判決の意義

●プレート着用と職務専念義務について

 判決は「勤務時間中における本件プレート着用行為は‥‥作業の遂行に特段の支障が生じなかつたとしても、精神的活動の面からみれば注意力のすべてが職務の遂行に向けられなかつたものと解されるから、職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い職務にのみ従事すべき義務に違反し、職務に専念すべき局所内の規律秩序を乱すものであつたといわなければならない。同時にまた、勤務時間中に本件プレートを着用し同僚に訴えかけるという被上告人の行動は、他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、この面からも局所内の秩序維持に反する」と述べており、単に自己の職務専念義務に反するにどまらず、他の労働者の職務への専念を妨げるものとして捉えている。
 批判的な論評を書いている菊池高志ですら「多数労働者が密接な関連・協力関係にたって業務が遂行される近代的経営の現実に立てば、他の労働者の義務遂行の障害とならないよう配慮すべき義務を負うと考えることにも合理性がある」と述べているのであるから、「他の職員の注意力を散漫にする行為」は秩序維持に反するものと言ってよい。

休憩時間と企業施設の管理権について

 一般に使用者は、労働基準法第三十四条第三項の規定により、労働者に対して休憩時間を自由に利用させる義務を負うとされるが、本件懲戒処分は休憩時間の自由利用を妨げるもので労働基準法に違反するとする被上告人の主張については次のような理由で退けた。
 休憩時間の自由利用も、それが「企業施設において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない」のであって「従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない」。局所内における「演説、集会、貼紙、掲示、ビラ掲示」は、休憩期間中になされても「その内容いかんによっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから」、これらの行為を局所管理者の許可制にした就業規則は休憩時間にも適用される。本件ビラ配布は、その目的とビラの内容ゆえに、配布態様において施設の管理に支障がなくても、企業秩序を乱すおそれがあるから、実質的にも就業規律違反であり、懲戒処分は労基法34条3項に反しないとした。
 ここで注意すべきことは、休憩時間の従業員の行動を規制する根拠として「施設管理権」だけではなく「企業秩序を維持するための規律に従うべき義務」を加えていることである。従業員には企業秩序遵守義務があるということは、本件決と同日の富士重工業事件(最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決、民集31巻1037頁)で明解の示されていた。「企業秩序」の根拠として「企業」という存在にとって不可欠を挙げ、「企業秩序」の維持確保のために「企業」に求められる権能として、(1)規則制定権(2)業務命令権(3)企業秩序回復指示・命令権(4)懲戒権を当然のこととして列挙し、このような「企業」体制を前提とした労働契約を媒介に労働者の「企業秩序遵守義務」を演繹している。「労働者は、労働契約を締結して企業に雇用されることによつて、企業に対し、労務提供義務を負うとともに、これに付随して、企業秩序遵守義務その他の義務を負うが、企業の一般的な支配に服するものということはできない」としたのである。(池田恒夫池田 恒男「国労札幌ビラ貼り事件」最高裁判決の「画期的」意義--現代日本法の一断面」『社會科學研究』33(5) 1981)
 
 「施設管理権」だけではなぜ不都合かというと、プロレイバー労働法学が施設管理権を物的管理権に限定して定義づけたためである。つまり、元来「施設管理権」とは法律用語ではなく、昭和28・9年頃使用者側から主張された政策概念としたうえ、所有権・占有権の一つの機能として位置づけ、次のように物的管理権に限定して承認するという学説が広く流布されたためである。(西谷敏「施設管理権の法的性格とその限界」『法学雑誌』大阪市立大学法学会26(3・4), 1980 )
「本来それは、使用者が企業施設に対する所有権に基づいて当該施設を支配し、それの維持、保全のための必要な措置をする等の管理を行う権能(物的管理権)をさすものと解せられ‥‥」片岡曻『法から見た労使関係のルール』労働法学出版1962 109頁
 そのように、施設管理権の物権的性格を強調しそれゆえ「物的管理権である以上、施設管理権は組合活動に対して直接向けられるべきものではない」とされる(峯村光郎『経営秩序と団結活動』総合労働研究所1969 161頁、本多淳亮『業務命令施設管理権と組合活動』労働法学出版1964 21頁
 プロレイバー学説に従うと、施設管理権は人的管理権を含まない物的管理権であるため、使用利用自体の規制とそれに違反する者に対する制裁を行う権利とはならず、組合活動の経過生じた物的損害に対し(たとえば窓ガラスを割るなど)対象を毀損するなど損害を生じたときに事後的な原状回復ないし填補を求める権利に矮小化されるのである。
 これは、休憩時間における示威運動や闘争戦術を容易にし組合に利する学説であるが、この悪質なプロレイバー学説に対抗するための判例法理として「企業秩序を維持するための規律に従うべき義務」が案出されたものとみてもよい。

就業規則の形式的違反と実質的違反

 一般にこの判決は、被用者の企業施設の政治活動、あるいは組合活動に対して厳しく規制する判例と評価されることが多いが、私はそう思わない。それはこの判決の「形式的にこれに違反するようにみえる場合でも、ビラの配布が局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右規定の違反になるとはいえないと解するのを相当とする」という部分を引用して、休憩時間もしくは就業時間外におけるビラ配布を理由とする懲戒処分を無効とした判例が少なからずあるからである(明治乳業福岡工場事件 最高裁第三小法廷昭和58・11・1『労働判例』417号、倉田学園事件・最高裁第三小法廷平成6年12・20民集48巻8号1496頁)。
 つまり、ビラ配布の成否を論ずるに当たって、当該ビラ配布の態様は問題視されるものでなかったことを認めながら、その目的・内容が規律に反し秩序を乱すおそれのあるものであったことが実質的な就業規則違反となるというのが最高裁の見解である(菊池高志上掲論文)
 つまりこの趣旨からするとビラ配りは態様・目的・内容からみて形式的にではなく実質的な規則違反がないと、懲戒処分が無効となる可能性があるのである。
 

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