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2012/05/05

カード 就業時刻前・ビラ配り 日本ナショナル金銭登録機事件横浜地裁判決

日本ナショナル金銭登録機事件横浜地裁昭43・2・9判決『労働判例』NO.172 『労働経済判例速報』805号

 就業時間前、従業員通用口前の通路及びタイムレコーダー設置の通路におけるビラ配布について会社側の無許可で配布してはならない旨の警告を無視し、ビラ配りを継続したことは、正当な組合活動と肯定できる特段の事由はなく、1~2日の出勤停止処分も適法であるとした。

 日本ナショナル金銭登録機は現在の日本NCRの前身で、キャッシュレジスター、計算機、電子計算機の製造・販売等を業務とする。藤山コンツェルンの1社として外相・自民党総務会長等を歴任した藤山愛一郎によって設立されたが、戦後はアメリカ・NCR社の子会社となった。なお、本件は大磯工場の事案であるが同工場は数年前に閉鎖している。
 事案は大筋で次のようなものである。
 全国金属労組日本ナショナル金銭登録機大磯支部(以下「支部」と略す)は昭和32年結成当時約650人を組織していたが39年10月に分裂し、翌年5月には約150人に減少していた。分裂と同時に第二組合日本NCR労組が結成され、判決当時は第二組合が多数派組合となっていた。また大磯工場は未組織の非組合員も多数存在していた。
 支部は分裂後、教宣活動の強化のため無許可で朝ビラ配布を開始していたが、会社側は直ちに中止を申し入れ、会社施設内における組合活動は就業時間内外を問わず凡て会社の許可制を建前とする方針を示した。なお就業規則に就業時間外敷地内でのビラ配布を明文で禁止する規定はない。
 支部は一連の不当労働事件の一つとして、地労委に申立てを行い、その後3年間朝ビラ配布が継続されていたところ、昭和43年2月に至って再度組合に対しビラ配布問題について協議を申し入れ、中止を要求し、協議が不調に終わると一方的にビラボックスを設置し、これを利用する配布方法に変更を要求し、これに従わなかった組合執行委員に対して懲戒処分(出勤停止1~2日)を行ったというもののである。
 問題となった配布の態様は、支部の日刊機関紙「おはようみなさん」(わら半紙の半切りないし4分の1切りのサイズ)を「晴天の日は大磯工場一号館A及びCブロックの各通用口前の幅約一・八メートルの通路上の両側に、それぞれ数名宛並び、雨天の日には同通用口のタイムレコーダーの設置してある通路上の両側または片側に数名宛並んで、毎朝就業時刻前出勤ししてくる従業員の前に」差し出すというものであり「大磯工場においては、従業員の相当多数が国鉄平塚駅から会社構内まで乗り入れるバスで通勤してくる関係上、従業員が比較的集団で右通用口を通行あることが多く、このため通用口の通路幅が狭いこともあった、従業員のほとんどがこれを受けとっていた。しかし前記のとおり組合は分裂し、別に日本NCR労働組合が結成されていたこともあり‥‥その場に放置、散乱することも多かった」というもの。
 神奈川地労委は、救済申立から7年たった、昭和47年11月24日判断を示したが、結論はあえて救済を要しないものというものであったため、組合側は施設管理権に基づく指示、命令は、企業施設の物的利用の仕方に関するものに限られ、それ以上に企業施設内における労働者の行為そのものについてまで発しうるものではないとして、ビラの配布行為を禁止できないなどとして、懲戒処分の無効を訴えたものである。

 
判決の主要部分

「‥‥およそ企業の有する施設管理権は、企業がその目的に合致するようその施設を管理する権限であって、単に物的管理のみを指称するものではないというべきであり‥‥その組合の活動が、使用者の建物、敷地等を利用して行う場合には、使用者の施設管理権に基づき使用者の意思にな反して活動することはできず、このことは特段の事情のない限り、休憩時間中あるいは就業時間外のものであっても変わることはないといわなければならない。
 ‥‥大磯工場においては、昭和四〇年四月一二日以前は同工場入口においてビラを手渡すという配付方法がとにれていなかつたこと。‥‥被告会社は配付につき被告会社の許可をとるよう再三申入れ警告をなしていること。配付場所の通路が狭いため従業員の出勤に混乱を生じることは皆無ではなく、特に雨天の日は混乱を生じる場合があったこと‥‥被告会社はビラボックスを設置して配付方法を考えていること等の事実が明らかであって、右事実下において、むあくまで配付方法についても自由であるという考えから自己の立場に固執し、被告会社の指示に従わなかった原告らの行為は、相当と言い難い。他に原告らり行為をとして肯定しうる特段の事由は認められない。‥‥
、。‥‥本件懲戒処分を課したことは被告会社の有する適法な懲戒権の範囲内にあるというべく、原告らの主張はいずれも理由がない。」

判例の論評
9615菊地高志「組合のビラ配布と施設管理権ー日本ナショナル金銭登録事件を中心としてー」日本ナショナル金銭登録機事件横浜地裁昭43・2・9判決『労働判例』NO.172

●評価-ベスト判決である。

 下級審判例であるが、「施設管理権は、企業がその目的に合致するようその施設を管理する権限であって、単に物的管理のみを指称するものではない」と人的管理を含むものと明言したことでプロレイバー受忍義務説を排除した嚆矢となる判決としての意義を評価する。
 プロレイバー受忍義務説の論理構成は「施設管理権」とは元来法律用語ではなく、昭和28・9年頃使用者側から主張された政策概念としたうえ、所有権・占有権の一つの機能として位置づけ、次のように物的管理権に限定して承認するというものである。(西谷敏「施設管理権の法的性格とその限界」『法学雑誌』大阪市立大学法学会26(3・4), 1980 )
「本来それは、使用者が企業施設に対する所有権に基づいて当該施設を支配し、それの維持、保全のための必要な措置をする等の管理を行う権能(物的管理権)をさすものと解せられ‥‥」片岡曻『法から見た労使関係のルール』労働法学出版1962 109頁
 そのように、施設管理権の物権的性格を強調しそれゆえ「物的管理権である以上、施設管理権は組合活動に対して直接向けられるべきものではない」とされる(峯村光郎『経営秩序と団結活動』総合労働研究所1969 161頁、本多淳亮『業務命令施設管理権と組合活動』労働法学出版1964 21頁
 プロレイバー学説に従うと、施設管理権は人的管理権を含まないから、狭義の業務命令権と抵触しない就業時間外、休憩時間は、示威運動であれ、騒々しい集会も、広範な組合活動が許容されることとなるが、詭弁のように思える。つまり、プロレイバー学説は、人が自らの所有権もしくは占有権の対象となる土地もしくは家屋内での他人の行動を、所有権もしくは占有権に基づいて規制できないというのも同然で、到底納得できるものではなく、本判決はそのような学説を排除し、常識的な判断をとったことに意義がある。

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