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2012/05/27

カード 組合集会等の食堂利用拒否 オリエンタルモーター事件(東京地裁-高裁-最高裁二小)

 本件は組合が11件について救済命令を申し立てた事案だが、初審の千葉地労委は、労働時間等に関する団体交渉を除き、いずれも不当労働行為であるとして、会社に対し、誠意ある団体交渉の実施、組合事務所の貸与、組合加入状況調査による支配介入の禁止、食堂利用拒否の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、中労委は初審命名主文のうち組合備品の撤去、組合旗の撤去、上部団体の入構拒否、組合規約及び組合員名簿の提出を強要したことに関してポスト・ノーティスを命じた部分を変更し、そのほかは命令を支持した。
 これを不服として、会社が行政訴訟を提起したものであるが、ここでは問題を食堂の集会利用等の使用拒否の一点に絞ってとりあげる。

 オリエンタルモーター上告審判決最高裁第二小法廷平成7年9月8日『労働判例』679号の意義(要点)
 組合執行委員長らによる守衛への暴言、脅迫を契機として業務に支障のない限り食堂の集会利用等の使用を承認してきた慣行を変更し不許可とした事案につき、東京地裁は不当労働行為に当たらないとして、中労委の救済命令を違法として取り消した。ところが、控訴審東京高裁は、それでは組合活動が著しく困難となるとして、不当労働行為に当たるとした。上告審最高裁第二小法廷判決は控訴審の判断を覆し、これまで業務に支障のない限り使用を認めてきたとしても、それが食堂の使用について包括的に許諾していたということはできないし、食堂の無許可使用を続けてきた組合の行為は正当な組合活動に当たらないとした。さらに条件が折り合わないまま、施設利用を許諾しない状況が続いていることをもって不当労働行為には当たらないとしたことから、企業施設の組合活動の正当性を「許諾」と「団体交渉等による合意」に基づく場合に限定した国労札幌地本判決の枠組に従った判断と評価できる。
 なお、企業施設における組合活動の指導判例である国労札幌地本判決の判示する「権利の濫用と認められるような特段の事情」について、本判決では「使用者が労働組合による企業施設の利用を拒否する行為を通して労働組合の弱体化を図ろうとする場合に不当労働行為が成立し得ることはいうまでもない」としたうえで「本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、組合の弱体化を図ろうとしたものであるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」としている。食堂使用を一切認めなくても、そのことから弱体化の意図があるとは断じえないとしており、安易に法益調整を持ち込まない判断は妥当なものである。  河合伸一裁判官の反対意見があるが、プロレーバー的な法益調整論であり、先例の趣旨と反しており容認できるものではない。

オリエンタルモーター事件 東京地裁平成2年2月21日判決『労働判例』559『労働関係民事裁判例集』 41巻1号 16頁 『判例時報』1368号  136頁
http://web.churoi.go.jp/han/h00383.html

(要点)組合集会等の会社食堂の使用拒否は不当労働行為にあたらない。

(事件の概要)
 
 オリエンタルモータ-は東京都に本社のある精密小型モーターおよび制御用電子回路などの製造・販売を行う、従業員約2000人の企業で、柏(豊四季)、土浦、高松、鶴岡に事業所を有する。
 全日本金属情報機器労働組合東京地方本部オリエンタルモーター支部は同社及び子会社の従業員により昭和49年12月に結成され、昭和50年に組合結成を会社に通知し、同年夏季一時金をめぐって時限ストライキも実施された。組合は柏と土浦の事業所における組合事務所設置・貸与を求め、いったんは会社が了解したが、合意はなされていなかった。会社は組合結成通知以来、柏市の豊四季事業所において、暫定的に会場使用許可願の提出があれば業務に支障のない限り、集会などのために労働組合が食堂を利用することを認めていたが、昭和51年2月23日「K守衛事件」の頃から労使関係が緊迫化した。これは、組合が食堂の一角で春闘学習会を行っていたところ守衛のK近づき、学習会参加者氏名をメモにとったところ、組合執行委員長が抗議して、記録用紙の交付を迫り、守衛から提出させた。翌日組合は、K守衛の行動は内政干渉として抗議したところ、会社側は、就業時間後の巡回と居残っている者の人数・氏名を確認することは守衛の重要業務であり、私権・施設管理権の行使として正当なものであり「K守衛事件」は重大な業務妨害行為であるとして、記録用紙の返還を求めるとともに、今後も内政干渉との主張を維持するならば、会社施設の使用を一切認めないとの警告および通告を行った。ところが、組合は会場使用許可用紙を、使用届に書き換えて提出するなどして、無許可で食堂を使用し、会社側も退去を求め電灯を消すなどして対抗した。その後、会社は使用目的、人数、時間を明確にして前日までに使用願を提出すること、外部団体役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得るなどを条件として、食堂利用を認める方針を示したが、組合はこの条件を受け容れず外部者の入場を制限しないなどの要求を行った。会社側は施設管理権を無視した要求であるとして食堂使用は許可できない旨文書で回答した。
 会社は同年7月に食堂の出入り口に扉をつけて施錠した。食堂内の組合備品も撤去した。
組合は千葉県地労委に救済を申立、地労委は、会社が使用する場合を除いて、組合会議、職場大会、分会大会等のための会場利用を許可すること、組合事務所問題が解決するまで組合備品を食堂に保管して使用することを認めるよう勧告したが、会社は食堂が組合事務所化するおそれがあるとして認めなかったたため、千葉地労委は昭和53年1月13日http://web.churoi.go.jp/mei/m01050.htmlに食堂利用拒否が不当労働行為に当たるとして救済命令を発し、平成62年5月20日中労委の命令http://web.churoi.go.jp/mei/m02241.htmlも同様だったため、会社が不服として行政訴訟を提起したものである。

判旨-救済命令取消。不当労働行為にあたらない
 「一般に使用者は職場環境を適正良好に保持し、規律のある業務運営態勢を確保するため、企業施設を管理する権限を有するものであり、労働組合は当然に企業施設を利用する権利を保障されているものではないから、使用者が労働組合にその企業施設の使用を拒否したとしても、それが団結権保障の趣旨等からみて右施設管理権の濫用であるという特段の事情がない限り、右使用拒否は不当労働行為にはならないというべきである。本件食堂使用も原告の企業施設であり、右の理が妥当するから、本件においても特段の事情の存否を検討する。前認定によれば、原告は補助参加人〔全日本金属情報機器労働組合東京地方本部オリエンタルモーター支部〕に対し、従来は会場使用許可願の提出があれば業務に支障のない限り使用を認めたきたのに、前記K守衛の事件を契機として同51年2月27日補助参加人の食堂使用許可願を却下したものである。右の使用拒否は、労使間の慣行となりつつあった取扱いを変更したものであるところ、原告は前記のとおり補助参考人による守衛業務の妨害行為があったことを拒否の理由としている。‥‥そうすると、原告がK守衛の事件を契機に、その後補助参加人の食堂利用について従前の取扱いを変更したことには合理的な理由がないとはいえないのであって、これをもって施設管理権の濫用とまでいうことはできない」。「右事件が起きてか以来補助参加人に対して食堂の使用を一切許容していないが、これも特段不当労働行為を構成するものではないというべきである。なぜなら補助参加人は‥‥所定の使用許可願用紙を勝手に書き換えた使用届を提出するのみで原告の許可なく食堂を使用するようになり‥‥原告の施設管理権を無視しているといわれても仕方のない態度をとっていたものであり、他方、原告は、食堂使用につき一応考慮に値するルールを提案し、労使間の合意の形成に努める姿勢を取っていたものということができるのであるから、一切の使用を許可しなかったとしても、そのことが原告の施設管理権の濫用に当たるとはいえないからである」。

オリエンタルモーター事件東京高裁平成2年11月21日判決『労働判例』583号『労働関係民事裁判例集 』41巻6号  971頁 判例タイムズ 757号  194頁
http://web.churoi.go.jp/han/h00434.html
会社及び中労委の控訴
一審一部取消

判旨-食堂利用拒否は不当労働行為にあたる
「食堂の使用を、一時的にはともかく、一切拒否し続けるならば、補助参加人の組合活動を著しく困難にすることが明らかであり‥‥組合運営の支配介入に当たるものというべきである。‥‥第一審原告が補助参加人に食堂の使用を一切不許可としたことは、施設管理権の濫用に当たるというべきである」

オリエンタルモーター事件 最高裁第二小法廷判決平成7年9月8日『労働判例』679号
http://web.churoi.go.jp/han/h00640.html

会社及び中労委の上告
控訴審判決の一部破棄自判

判旨-食堂利用拒否は不当労働行為にあたらない
「労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると特段の事情のある場合を除いては、当該企業施設を管理運用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動には当たらない(最高裁五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁)。もとより、使用者が労働組合による企業施設利用を拒否する行為を通じて労働組合の弱体化を図ろうとする場合に不当労働行為が成立し得ることはいうまでもないが、右に説示したとおり、使用者が組合集会等のための企業施設を利用を労働組合又はその組合員に許諾するかどうかは、原則として使用者の自由な判断に委ねられており、使用者がその使用を受忍しなければならない義務を負うものではないから、右の権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、使用者が利用を許諾しないからといって、直ちに団結権を侵害し、不当労働行為を構成するということはできない。(中略)これを本件について考えてみると、組合結成通知を受けてからK守衛事件まで約九箇月にわたり、上告人は、許可願いの提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用の許可をしていたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をえていたということはできず、その取り扱いを変更することが許されなくなるものでもない。(中略)また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を利用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合側からの提案も、上告人の施設管理権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の施設管理権を無視した要求と上告人 が受けとめたことは無理からぬところである。(中略)本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的には大きいといえないこと。組合事務所を認められていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること。上告人が労働委員会の勧告を拒否したことの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に食堂の使用を許諾しない状況が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認められるべき特段の事情があるとはいえず、組合の食堂利用拒否が上告人の食堂使用拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」

河合伸一裁判官の反対意見(抜粋)
多数意見は、上告人が組合による食堂の使用を拒否していること及び本件照会票を配付して組合加入状況を調査したことがいずれも不当労働行為に当たらず、本件命令一及び二は取り消されるべきものであるというのであるが、私はこれに賛成することができない。
その理由は、以下のとおりである。
第一右上告理由第三点について
一企業施設の利用関係は使用者の有する施設管理権に服するものであり、労働組合が当然に企業施設を利用する権利を保障されているものでないことは、多数意見の説くとおりである。しかし同時に、憲法二八条は労働者の団結権及び団体行動権を保障しており、労働組合法も労使対等の理念に基づく団体交渉を助成し、労働者の団結と団体行動を擁護することをその目的として宣言しているのであるから、使用者の施設管理権の行使がこれらの法的要請に反するものであってはならないことも、多言を要しないところである。そして、現実には、使用者が施設管理権の行使としてする行為と労働組合が組合活動としてする行為が衝突し、正常な労使関係を実現するため、その間の調整を図る必要のある場面を生ずることは、避けることができない。多数意見は、その引用する判例とともに、右調整の手法として、権利濫用の法理を用いるものである。そのこと自体については、私も本件において特に異を唱えるものではない。しかし、その場合、右に説示したところからすれば、前示の法的要請が、
施設管理権の濫用の有無を判断するについての要素として作用することを認めなければならない。そして、一般に、具体的な権利行使が濫用に当たるかどうかについては、当事者間の利益較量等の客観的事情と権利行使者の意図等の主観的事情の両面を考慮してこれを判断すべきことは、ほば異論のないところである。したがって、本件のように施設管理権の行使としてされた使用者の行為をその濫用と評価すべきか否かは、主として、その行為によって使用者が確保しようとした利益に比較して労働者の団結権等に及ぼす支障の程度が過大であったか否か、使用者のその行為が労働者の団結権等を侵害する意図に基づくものであったか否かの両面から、これを判断すべきことになる。そして、使用者の行為が労使間の一連の対立ないし紛争の経緯の中で行われた場合には、右の判断もまた、その経緯の全体を視野に置いてしなければならないのである。
二原審が適法に確定した事実及び記録によれば、右の判断をするについて考慮すべき本件の事実関係として、多数意見の摘記するもののほか、次の事実がある。
1 上告人の昭和五〇年ころの従業員数は、子会社を含め約九七〇名であった。組合の加入者数は、同年七月の統一時限ストライキの当時には約六〇〇名程度に及んでいたが、本件に関する千労委昭和五〇年(不)第三号不当労働行為救済申立事件(昭和五三年一月に命令発令)の結審時には、約五〇名になっていた。2 本件食堂は、豊四季事業所内に所在し、四〇〇人分以上のテーブル、椅子等が配置され、従業員のサークル活動、勉強会等に利用されていた。昭和五一年七月までは、その出入口に施錠し得る扉がなく、事実上自由に出入りできる状態であった。
3 組合は、その公然化以来、各種の集会のため頻繁に食堂を使用していたが、K守衛事件が起きるまで、上告人が組合の集会のための食堂使用そのものを拒否したことはなかった(当時、食堂利用に関して両者間に対立があったのは、組合がその備品を食堂内に設置したことについてであった。)。
4 K守衛事件においては、同守衛は、組合の学習会が行われている食堂内の一角に近づいて参加者の氏名を記録したのであるが、本件命令及び初審命令によれば、それ以前には、食堂内での組合の集会についてその種の行為がされたことはなく、遠くから人数を確認するだけであったと認定されている。
三以上によれば、本件について、次のとおり指摘することができる。
1 労働組合が、組織を維持し、その結成の目的に沿う諸活動をするためには、各種の集会を持つことが不可欠である。
本件の組合は、いわゆる企業内組合であって、しかも結成から日も浅かったから、企業内施設に集会の場所を求めるのは自然の成り行きであり、現に、昭和五一年二月のK守衛事件を理由に上告人がこれを拒否し始めるまでの九箇月余、本件食堂を使用して頻繁に各種の集会を開いてきた。組合事務所を持たない組合にとって、以後食堂の使用が不可能になることは、組合の維持、運営を困難にするであろうことは、容易に推認できるところである。殊に、当時の組合は、組合事務所の貸与に関する問題のほか、就業時間中の組合活動の範囲に関する団体交渉拒否の問題、人事異動に関する団体交渉拒否の問題等、多くの問題を抱えて上告人と対立し(右二件の団体交渉拒否が不当労働行為に当たるものであったことは、多数意見も、その第三において認めるところである。)、同年一〇月には千葉地労委に本件救済申立てをすることになる状況にあったから、これらに関する組合の諸活動のためにも、大小各種の集会を催す必要があったのであって、これが不可能又は困難になることは、前示の労使対等の団体交渉の助成という労働組合法の要請に反して組合の団体交渉能力を著しく減殺し、ひいては組合員の団結権等に重大な障害を及ぼすものであったと考えられる。これに対し、食堂の前記のとおりの状況からして、これを組合の集会に使用させることにより、上告人の業務や他の従業員による使用に具体的な支障が生ずることはほとんど考えられない。
そうすると、上告人が組合の集会のための食堂使用を全面的に拒否した行為は、それによって守るべき利益に比較して、組合及び組合員の団結権等に与える障害が著しく過大であったことが明らかである。
2 上告人が組合に対し食堂の使用を拒否する理由として主張するのは、K 守衛事件における組合側の行動あるいはその後の組合の主張や行動が上告人の施設管理権を無視するものであって容認できないというところにある。
しかしながら、まず、右事件において組合側が暴言、脅迫等の行為をした事実は認められていない。かえって、当時の上告人と組合との間の対立関係を背景にK守衛の前記行動を見れば、組合がこれを組合活動に対する介入と受け取ったのも無理からぬところである。その後の組合の食堂使用の態様には、多数意見のいうとおり、正当な組合活動とはいえないところもあるが、それとても、当時の組合として食堂を使用せざるを得ない緊急の状況があったことと、右事件以後の会社の対応が硬直的であったことを考えると、それを理由に、上告人が従来の取扱いを一方的に変更し、組合に対して自己の定めた食堂使用に関する準則を押しつけようとすることを正当化するものということはできない。
 また、上告人が昭和五一年三月一八日に組合にした申入れは、一定の条件の下に組合大会開催のための食堂使用を許可するというものにすぎない。まだ組合事務所を持たず、しかも頻繁に各種の会合を開くことが不可欠であった当時の組合としては、そのままでは右申入れに同意することができなかったのは当然である。しかも、右申入れとこれに対する組合の反対提案との間には、集会目的の点を除いては、実質的にさしたる懸隔はなく、双方で誠実に交渉することによってその間の調整をすることも可能であった。しかるに、上告人は、白己の申入れの条件に固執し、千葉地労委の勧告にもかかわらず、その内容の変更に一切応じようとしなかったのである。
 本件事実関係の経緯に照らせば、上告人は、このような態度を貫くことによって、組合の活動に深刻な支障が生じ、ひいては組合員の団結権等が侵害されることを認識していたことは明らかであって、むしろ、これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ない。
四以上を総合して判断すると、上告人が組合に対して食堂の使用を一切不許可とした行為は施設管理権の濫用と認めるべきであり、したがって、これを不当労働行為に当たるとした原審の判断は、結論において正当として是認することができ、原判決に所論の違法はなく、この点に関する論旨は理由がない。

論評
辻村昌昭 施設管理権および照会票による組合員調査と支配介入--オリエンタルモーター事件・最高裁第2小法廷判決(平成7.9.8)の研究〔含 判決文〕『労働法律旬報』1383 1996『現代労働法学の方法』信山社2010所収
道幸哲也「組合集会等を目的とする従業員食堂の使用禁止及び三六協定締結のための組合加入調査の不当労働行為性--オリエンタルモーター事件(最高裁判決平成7.9.8)」『判例時報』1567 1996
秋田成就「労働判例研究-839-会社が食堂の使用を許可しないこと,三六協定に際し組合加入の有無を調査したことと不当労働行為の成否--オリエンタルモーター事件(最高裁判決平成7.9.8)『ジュリスト』1086 1996
判例要解--組合員調査と不当労働行為の成否--オリエンタルモーター事件(最高裁判決平成7.9.8)『労働法学研究会報 』 47(2) 1996 

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