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2012/05/20

カード 無許可職場集会 東京城東郵便局事件(東京地裁昭和59年9月6日判決『労働判例』442号)

(要点)無許可集会の解散命令、集会強行を理由とする懲戒処分を支持-闘争指令下の集会であることを理由に会議室の使用を認めないことは、権利の濫用とは認められず、解散命令に従わず、無許可集会強行に積極的な役割を果たすことは懲戒理由に該当する。

(要旨)
昭和42年全逓のストライキ決行体制の確立業務規制闘争指令の下での城東支部による会議室での無許可職場集会強行及び欠勤、管理職への暴行等を理由とした郵政職員2名に対する懲戒免職処分の効力が争われ、判決はこれを有効とした。

 判決は、国労札幌地本ビラ貼り事件判決を引用したうえで「局長が会議室の使用を許可しなかったのは、全逓が同年五月一〇日、ストライキを決行する体制を確立すること及び業務規制闘争に突入することの指令を城東支部に発したため、右指令が公共企業体労働関係法一七条一項に違反するとしたためであ」り、「局長が施設の利用を許諾することは違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと判断したことについては相当な理由があるというべきであるから、会議室の使用を許可しなかったことについて権利の濫用と認められるような特段の事情はないものというべきである‥‥」と「従って、会議室使用の許可を得ないで開催された同年五月一一日及び一二日の各集会は正当な組合活動として許容されるものということはできない‥‥原告の行為は、庁舎管理者の許可なく開催された集会に参加し、管理者の解散命令に従わず、かつ、集会の開催に積極的な役割を果たした点において、国家公務員法八二条一号及び三号に該当する」と判示、情状、懲戒処分の相当性について「原告は主催者としてこれを開催したものではないけれども‥‥単に集会に参加したにとどまらず、管理者の解散命令に抗議し、あるいは集会の進行を指揮すると等積極的かつ中心的な役割を果たしており、同原告の責任はかなり重い」とした。

(判決-抜粋)

(城東局における労使関係)
 昭和四一年当時、城東局では郵便物の大幅な遅配が続き、一日三千から四千通の滞留が常態であった。吉田局長は同年七月に着任後、職場規律の乱れに対し、同年八月、城東支部三役に対し、勤務時間の厳守、不就労についてはノーワーク・ノーペイの原則で対処する、局内の麻雀は厳禁する旨通告し、右是正策を実行に移すために管理職に職員の勤務状態を点検させる等の体制を採るようになった。また、同局長は、本来当局の責任で行うべき業務運営に対し組合が不当に介入しているとして、組合の介入を排除する対策を採ることとした。まず従来城東局においては、正規の団体交渉の他に各職場において管理者とその職場の組合員の代表者との間で職場交渉といわれるものが慣行的に確立しており(中略)正規の団体交渉の決定事項の具体的運用の協議の場として機能していたが、同局長は職場交渉を認めないとし、各課長が個別に組合と話し合うのを禁止した。更に、同局長は、正規の団体交渉においても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以外の議題を制限し、交渉人員の数にも制限を加えた。(中略)同局長の前記のような措置に対して内部から不満の声が出るようになり、同年九月頃から「既得権奪還」のスローガンを掲げて吉田局長追放運動を展開、同年の年末年始の繁忙期における超勤命令拒否、物だめ闘争を経過した後、翌四二年に入ると、同支部は、春季闘争、集中処理局設置に伴う合理化反対闘争等において、同局長追放運動とからませて、業務規制闘争を行うようになった。
原告Hの行為(抜粋)-城東支部執行委員会は昭和四二年五月二日、全逓中央本部からの指導により、当時全逓が取り組んでいた合理化反対闘争等にむけての団結を強めるため、各課単位で集会を開催することを決定し、これに基づき、郵便課、保険課等で順次集会が開催され、同月九日、集配課分会S執行委員名義で吉田局長に対し、いずれも組合業務を目的として城東局会議室を同月十一日及び十二日の両日使用したい旨の庁舎使用許可願いを提出した。同局長は、これに対し、全逓が同月一○日の指令第三二号により、同月一七日に二時間、二四日に半日の各ストライキを決行する体制を確立すること、及び同十六日以降業務規制闘争に突入することとの闘争指令を発したため、東京郵政局の指示に従い、右指令は公共事業体等労働関係法一七条一項に違反するとして、前記許可願につきいずれも許可しないこととし、同月一一日午前中に同局庶務会計課主事Uを通じて、S執行委員及び原告Hに対してその旨及び理由を通知した。
(五月一一日の集会)
 このような経緯で会議室の使用が許可されなかったにもかかわらず、同日午後四時七分頃から五時十六分頃まで、同会議室において、集配課員約四〇名による職場集会が開催され、K青年部長がこれを司会した。原告Hもこれに参加したが、この中で、同原告は、開会後間もなく無許可集会として解散命令を発した貝藤課長に対して抗議し、更に午後四時三六分頃、集合した集配課員に対し、「中に入ってやろう」と言って全員を集め、同課長の再三にわたり解散命令を無視して集会を続行した。
(五月一二日の集会) 
 同月一一日の集会で前記‥‥のような混乱があったためS執行委員は、翌一二日に予定していた集会を開くべきかどうかを城東支部長O及び東京地本のI執行委員に相談したところ、二人とも集会を開くよう指示をした。そこで同月一二日においても会議室の使用が許可されていなかったにもかかわらず、同日午後〇時三三分頃から同五一分頃まで、同局会議室において、集配課員訳六〇名による集会が開催され、K青年部長がこれを司会した。原告Hもこれに参加し、解散命令を発した吉田局長及び貝藤課長に対して抗議し、右両名の再三の解散命令に従わない態度を示し、また参加者全員に対して会場使用について説明をし、更に「青年婦人部長の指揮で歌を歌って終わることとする。」などと指示した。

(判断)
「‥‥郵政省庁舎管理規程七条は、「庁舎管理者は、庁舎等において、演説、ビラ等の配布、その他これに類する行為をさせてはならない。ただし、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認める場合に限り、これを許可することができる。」と定め、また同第三条は、職員は、庁舎管理者が、庁舎管理上必要な事項を指示したときは、その指示に従わなければならない」と定められている‥‥「庁舎管理者は」同局の局長である吉田局長であることは(証拠略)により明らかであるから、結局、同局長が会議室の使用を拒否しなかったことの当否が問題となる。
 国の庁舎の管理権者は、公物たる庁舎の存立を維持し公務の円滑な遂行を図るため、その庁舎につき合理的・合目的的な秩序を定立し、公務員その他の者に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、その物的施設に許諾された目的以外には利用してはならない旨を、一般的に規則をもって定め、又は具体的に指示・命令することができ、公務員でこれに違反する者がある場合には、その任命権者は、その者に対して懲戒処分を行うことができるものと解するのが相当であり、また公務員の労働組合又はその組合員が、庁舎管理者の管理する庁舎であって定立された秩序のもとに公務の運営の用に供されているものを、その管理権者の許諾を得ることなく組合活動のために利用すること許されないというべきであるから、右の労働組合又はその組合員が庁舎管理者の許諾を得ないで庁舎を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該庁舎につきその管理権者が有する権利の濫用であるという特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営態勢を確保しうるように当該庁舎を管理利用する庁舎管理権の権限を侵し、公務の秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない(最高裁五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四八頁参照)。
以上の見地に立って本件について検討する。‥‥前記集会が行われた行われた会議室は吉田局長の管理する庁舎の一部であり、郵便局の業務のために使用されるべきものであって、全逓の組合や、その組合員に当然には使用が許されてはいないものであると認められるところ、吉田局長が会議室の使用を許可しなかったのは、全逓が同年五月一〇日、ストライキを決行する体制を確立すること及び業務規制闘争に突入することの指令を城東支部に対して発したため、右指令が公共企業体法等労働関係法一七条一項に違反するためとしたことは前記‥‥認定したとおりである。そしてこのような指令が発せられた場合において、吉田局長が城東支部に対し施設の利用を許諾することは違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと判断したことについては相当な理由があるというべきであるから、同局長が会議室の使用を許可しなかったことにつき権利の濫用であると認められる特段の事情はないというべきである。なお‥‥五月の各課単位の集会は五月一一日以前に実施され、吉田局長もこれらの集会のために庁舎を貸与することを許可していたことが認められるけれども、その後前記のような指令が全逓から発せられたのであるから、従前庁舎使用を許可していたからと言って、集配課分会の会議室使用を許可しなかったことをもって権利の濫用とすることもできない。(中略)従って会議室使用の許可を得ないで開催された同年五月一一日及び一二日の各集会は正当な組合活動として許容されるものということはできない。よって(中略)同原告の行為は、庁舎管理権者の許可なく集会に参加し、管理権者の解散命令に従わず、かつ、その集会において積極的な役割を果たした点において、国家公務員法八二条一号及び三号に該当するということができる」

 本判決の意義
 
 企業経営内における組合活動の指導判例である国労札幌地本ビラ貼り事件・最高裁昭和54年10・30第三小法廷判決民集33巻6号647頁『労働判例』329号の「使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては」「使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されない」という判例法理に基づいて判断を下しており妥当な判決である。
 本判決の意義は、公共事業体等労働関係法によって争議行為が禁止されている国の公共企業体において、スト指令下における組合集会の施設利用を拒否することは、庁舎管理者の権利の濫用に当ず、解散命令も、従わなかった場合の懲戒処分も適法としたことにある。
 違法行為を助長することとなるような集会に許諾を与えなくてよいのである。やりたいなら外でやってくださいということでよいのである。プロレイバーから異論があるかもしれないが、公共事業体等労働関係法一七条一項が「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない」で明文で禁止されている以上、スト指令下で団結を強める趣旨の集会を是認することは、違法行為の共謀、あおりに当局が加担することになるから相当な理由なのであり、妥当な判決であると私は考える。

 事案は、当時全逓が取り組んでいた合理化反対闘争等にむけて団結を強めるため、各課単位で集会を開催することが決定され、郵便課、保険課等で順次集会が開催されたが、五月一一日と一二日の集配課の集会は許可されなかった。それは、全逓が五月一〇日に、同月一七日に二時間、二四日に半日の各ストライキを決行する体制を確立すること、及び同十六日以降業務規制闘争に突入することとの闘争指令を発したため、東京郵政局の指示に従い、指令は公共事業体等労働関係法一七条一項に違反するとしたためで、組合集会のための施設利用の許諾は違法行為を助長することになると庁舎管理者が判断したためであるが、判決は相当な理由として、「権利の濫用であると認められるような特段の事情」はなく、解散命令にもかかわらず集会を強行したとは正当な組合活動とは認められず、懲戒理由に該当するとしたものである。
 なお、無許可集会の時間と人数は一一日が午後四時七分頃から五時十六分頃まで約40名、一二日が午後〇時三三分頃から同五一分頃60名であった。主催者、集合した者が勤務時間中か否かが不明であるが、一二日の集会は一般的には昼の休憩時間に相当するものであるから、休憩時間の先例ともいえそうである。
 なお、三公社五現業に適用された、公共事業体等労働関係法は、昭和60年(1985年)に電電公社・専売公社が、昭和62年(1987年)に国鉄が民営化されたことに伴い、国営企業労働関係法と名称変更、平成14年(2002年)に特定独立行政法人等の労働関係に関する法律と名称が変更されたが、一七条の争議行為の禁止はそのままである。
 重要なことは、地公労法一一条一項も特定独立行政法人等の労働関係に関する法律一七条一項と同じ条文で争議行為が禁止されているから、この判例法理から東京都水道局のような地方公営企業においてもスト指令下の集会の利用拒否、解散命令等は適法とみなされるということである。
 これは下級審判例だが、国労札幌地本判決という最高裁判決の判例法理に沿った判断であるから
地公労法11条が廃止されることがない限り、これと違った判断がとられるということは考えにくい。同じ条文が適用されているのに郵便局では許容されず、水道局は許容することはないはずだからである。
 実際に東京都水道局では、全水道東水労のスト指令下の職場集会が、会議室ではなく事務室内で窓口・電話受付業務が行われているにもかかわらず黙認されている。許可を得ることもなくたんに通告で組合のやりたい放題というのが実態である。例えば、私の職場において過去1年間に4回、昼の休憩時間に事務室内での集会がなされている。
 そのうち3例を挙げる。
 足立営業所の監理団体への業務移転の提案に対する昼当番拒否闘争(明らかに争議行為)が行われている状況での平成11月2日の集会、http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-53e9.html
 12月14日の2時間スト、12月21日の1時間ストが構えられている状況でストライキに向けて組合員の意思統一を図る目的で平成23年12月9日の集会、http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-b43d.html
 3月16日2時間スト、3月29日29分職場大会を構えている状況でで一時金への成績率導入阻止都労連闘争課題についての意図統一を図るための24年3月8日昼休み職場集会http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-98bd.html
 郵政省は昭和36年に『新しい管理者』というテキストで現場管理職に対し訓練を行ったうえ、全逓の非合法な組合活動に対して徹底した労務管理を行ってきた。50年以上前から管理職は反動といわれることをおそれず対処してきた。それとは雲泥の差があるし、50年以上のタイムラグというものに私は耐えられないものを感じている。

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