カード 勤務時間外 無許可集会 掲示板撤去 国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件 東京地裁平成3年7月3日判決『労働判例』594号
争点-昭和58年東京駅にあった組合分会掲示板35枚のうち4枚以外の撤去・業務用への転用、東京駅構内における非番者無許可集会の警告・メモ・写真撮影、処分通知書手交の際の管理職の言動につき不当労働行為救済申立を棄却した公労委命令の是非
判旨-不当労働行為にあたらない(公労委命令維持)
掲示板の撤去・業務用転用-理由・手続に合理性があり支配介入を構成しない。
分会掲示板の設置、使用の経緯についてみると‥‥本件分会掲示板35枚の設置使用についてはいずれも助役の承認のあったものであるが、事務規定では労働組合の掲示板の設置については箇所長の許可が必要であるとされているのであって、本件においては
箇所長は東京駅駅長であるから、本件分会掲示板の設置、使用につき権限を有する者の正式の許可があるとはいえず‥‥労使間の正式の合意があったものとまでは評価できない。‥‥当時の国鉄は経営の改善という点からも職場規律の是正をせまられていたのであり‥‥東京駅当局の分会掲示板、使用の見直しは、職場規律の是正の一環としてなされたものであることが認められる。‥‥国鉄当局がとった手続についてみると‥‥東京北、南及び西の各鉄道管理局長は国労に対して昭和五七年三月四日に他の事項とともに管理者の許可のないビラ、横断幕、看板の撤去を申し入れていること、昭和五八年五月二七日に東京駅当局により組合掲示板の実態調査が行われ、九月一二日に出札、構内、乗客及び旅行センターの各一枚合計四枚を除きその余のものについては東京駅当局よりの手によって撤去あるいは業務用に転用され‥‥撤去等が行われた約二ヶ月前である‥‥七月六日には掲示板の枚数は一職場一枚を原則とするとの東京駅当局の方針が分会にに伝えられていることによれば、昭和五六年三月ころに行われた出札の職場の現場協議にらおいて東京駅当局は組合掲示板について一職場に一つと発言していることが認められ‥‥分会に対して説明がなされ一定の猶予期間をおいて撤去等がなされたということができる。‥‥本屋及び改札について分会掲示板が認められなかったのは東京駅当局が両班の掲示物には管理者に対する誹謗、中傷がみられるのでそのような掲示物を掲示
しないと約束ができるまで許可しないとの方針をとったためである‥‥‥本屋班ニュースには「ゴマスリ××助役」「××助役ウソをつく。セールスばかりやって仕事はおろそかだ」「労務屋=××、××助役、××の用心棒になりさがる」「改札助役××・庶務助役××ら十三~十四人のブラ勤助役」改札班の機関紙の日刊東改ニュースには「××助役のことは女房も頭にきている。一家そろってのろってやるぞ」「俺達の弱みにつけこんできたきたねえ野郎だよおまえ××って野郎は。今度は局の連中がパスを見せずに入ろうとしたら、すぐにパスを取り上げるからな。おまえはろくな死に方しねえぞクソ××」などの管理者を誹謗、中傷する記事があった‥‥事務規定第一七条には個人を誹謗する掲示物を掲示された場合には組合掲示板の使用を停止するとの規定があることが認められ、これによれば東京駅当局が本屋及び改札について管理者を誹謗、中傷する掲示物を掲示しないとの約束ができるまで掲示板の設置を許可しないとの方針をとったことはやむをえない。以上のような組合掲示板のり設置という便宜供与が行われるようになった経緯、、便宜供与が見直されるようになった理由、便宜供与の変更を行うためにとられた手続、変更後の便宜供与の内容等の事情を総合して考慮すると、本件掲示板の撤去及び業務用への転用が組合に対する支配介入にあたるとすることはできない。
無許可組合集会への警告、メモ、写真撮影--職場規律維持のためにやむをえない対応であり不当労働行為にはあたらない
(事実)
分会は二〇年以上前から東京駅構内の遺失物取扱所裏において、年に四・五回程度午前九時三〇分ころから約三〇分間勤務時間外の組合員(非番者)140名前後が参加する組合集会(以下「非番者集会」)を開いて春闘、秋闘などの重要な課題についての意思統一を行っていた。事務規定二〇条では所属長集会所その他構内等の一時的な利用について申し出があった場合は、業務上の支障またはそのおそれがないこと、使用の目的、責任者、時間等を明らかなことを条件として認めることができると定めているが、非番者集会はこの規定の手続きをへることなく行われていた。しかし、東京駅当局は今回までは非番者集会について事務規程二〇条が定める手続をとるように申入たことはなく、非番者集会を開くことに対して警告を行うこともなかった。遺失物取扱所裏の敷地は丸の内南口の通路及び中央線ホームに接しているが、大部分が壁、ドア等に囲まれており上は二階が丸の内電力支区、三階が寝室となっている建物によって覆われており、非番者集会の様子が外部から見えることはない。非番者集会はシュプレヒコールなどが行われることがあるが、その音は電車の発着する音などによってかき消されるような状態であった。遺失物取扱所裏の敷地は、毎日午前八時三〇分までに遺失物取扱所に遺失物を取りに来る警視庁の自動車の出入りに使われるほか、改札口を通らずに直接駅長室に来た身体障害者や職員がときおり通路として利用することがある程度であった。昭和五八年五月一七日午前に分会員約八〇名が無届けで駅長室前に集まり、組合員が組合活動として着用していたワッペンのとりはずしを求める管理職の行動に対する抗議集会を行いシュプレヒコールをくりかえすなどしたため管理職らが行っていた会議に支障が生じる事態となった。そこで東京駅当局は、分会に対して、東京駅構内で組合集会を開く場合には事務規程に定める手続をとるようにとの申入れを行った。六月二〇日には、事務規定二〇条の手続を経ることなく遺失物取扱所裏の敷地で分会員約一三〇名が集まり夏季一時金カット及び労働協約の破棄通告に抗議する非番者集会が、午前九時三〇分ころから約三〇分にわたって行われた。同日に非番者集会が開かれることを‥本屋班ニュースで事前に知った東京駅当局は、分会長らに対して事務規定二〇条の承認を得ていない組合集会は行わないよう申し入れるとともに、遺失物取扱所裏の敷地に集会を禁止する旨の貼紙をして警告をした。それにもかかわらず非番者集会が開催されたため、W主席助役は集会の責任者に対して直ちに解散するよう通告し、K庶務助役、S助役ら一〇数名の管理職が現認のために待機してメモをとったり写真撮影を行ったりした。七月二五日にも‥手続を経ることなく、遺失物取扱所裏の敷地で約一二〇名が集まり‥‥非番者集会が‥‥約三十分間にわたって行われた。‥‥事前に知った東京駅当局は分会長らに対し‥‥組合集会は行わないよう申し入れるとともに、遺失物取扱所裏の敷地に集会を禁止する貼り紙を禁止する旨の貼紙を出して警告をした。それにもかかわらず非番者集会が開催されたためK庶務助役、S助役ら一〇数名の管理者が現認のために待機してメモをとったりした。
(不当労働行為になるものか否かの検討)
非番者集会は二〇年以上にわたって、年に四、五回行われてきたものであり、これに対して昭和五八年六月以前には東京駅当局から警告が出されることがなかったことは前記認定のとおりてであるが、この非番者集会は事実上行われてきたもものにすぎず、このことからただちに非番者集会について東京駅当局の黙示の許諾があったとすることはできない。
本件非番者集会に対して東京駅当局が警告を行う等の対応をとったのは、昭和五八年五月一七日に事務規程二〇条の承認を得ていない分会の抗議集会が行われ業務に支障が生じたために、組合集会については原則どおりに事務規程二〇条の手続をとるように分会に申しいれていたにもかかわらず、分会がこれを無視して非番者集会を強行したことによるものであり、職場規律を是正するためにやむをえずとった対応であるというべきである。
以上のように従来行われてきた非番者集会については東京駅当局の黙示の許諾があったとはいえないこと、東京駅当局が今回の警告を行う等の対応をとったのは職場規律の是正のためであったことからすれば、本件非番者集会に対して東京駅当局が警告を行う等の対応をとったのは、不当労働行為にあたるということはできない。
本判決の意義
昭和58年当時の東京駅構内遺失物取扱所裏の敷地(丸の内南口通路・中央線ホームに近いが外部から見えない場所)で行われていた国労の非番者組合集会に対する警告、メモ、写真撮影が不当労働行為にあたるがが争われたものであるが公労委、東京地裁ともに不当労働行為にあたらないとした。
非番者であるから労務提供義務はないと言う点で、休憩時間の組合集会事案の米空軍立川基地出勤停止事件 東京高裁昭和40・4・27判決『労働関係民事裁判例集』16巻2号317頁、全逓新宿郵便局事件 最高裁第三小法廷昭和58年12月20日『労働判例』421号 『労働法律旬報』1087・88号http://hdl.handle.net/2298/14070 東京城東郵便局事件東京地裁昭和59年9月6日判決『労働判例』442号、工場は勤務時間外だが、本部棟は勤務時間内だった状況で食堂利用・屋外集会の拒否が争われた日本チバガイギー事件最高裁第一小法廷平成元年1月19日判決『労働判例』533号)http://web.churoi.go.jp/han/h00308.htmlと類似した事案といえる。
長年、警告が行われなかったものだが、、職務規律是正のため警告等を行うことは不当労働行為にあたらないとしている。
重要判例は最高裁判例である全逓新宿郵便局と日本チバガイギーのケースで、本判決は「おまけ」であるが、休憩時間の示威運動、違法行為慫慂を含む組合集会を是認する東京都水道局の管理職http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-b43d.htmlにもの申すためにはできるだけ多くの判例を示したほうが迫力があるのでこの判決もリストに加えたものである。
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