「実は保守派の大勝利」とABCジスウィークの討論(連邦最高裁判決)
BSNHK16時放映の「ABCジスウィーク」医療保険改革法連邦最高裁判決についての討論の録画を見た。要点だけ記録する。
司会者ステファノブロス
「ウィルさんは保守派にとっての勝利と言うんですね」
ABCニュース解説者ジョージ・ウィル
「‥‥ 実は我々が勝ったのです。州際通商条項の社会主義者の主張といいましょうか。この州際通商条項のもとで可決すれば、連邦政府に大きな政策権限を与えてしまい、個人の存在まで口を出されるぞと。しかし、法廷はそういう主張はしなかったし、州際通商条項の回りに壁を築きました。さらにメディケアの拡大では、史上初めて過半数の州が団結して違憲であると主張して勝ったのです。ニューディール以来75年にして連邦政府の法律による歳出権限を覆し中央政府と州政府の二重主権を守ったのです‥‥」
司会者
「ロバーツ最高裁長官の果たした役割ですけれどもその判断は多くの人を驚かせました。ほんの数週間前に意見を変えたという話が入ってます」
ABC最高裁担当テリー・モラン記者
「驚異的ですよねえジョージさん、まるで探偵小説です。最高裁長官が意見を変えたんです‥‥」
司会者
「最初は12頁の反対意見に票を投じたと」
モラン記者
「そう、でも全法律撤廃を求める保守派にもついていけない、最高裁長官の意見がこんがらがってよくわからないなら、反対派の意見表明もいい勝負だと思いますよ。‥‥全体像を見れば‥‥これは保守派の大勝利です。これからは連邦政府を革新的でクリエイティブに使おうと思っていたリベラル派は最高裁の攻防に引きづりこまれることになります」
合憲判決はオバマの勝利じゃない。実は保守派の勝利というのがG・ウィルとT・モラン記者の意見でした。
今回の連邦最高裁判決は、保守派が最も警戒していた州際通商条項の際限ない拡大を阻止しました。過半数の裁判官が連邦議会には国民に製品とサービスの購入を義務づける権限はないとしましたので先例になります。
ロバーツ最高裁長官は休暇で地中海のマルタ島にいます。表向きロバーツにがっかりといいながら、実は保守派は今回の最高裁判決を密かに祝っているとのことです。
これはABCの番組で、よそも見てみないとわかりませんが、今回の判決はロバーツを裏切り者よばわりするほど悪くはないということのようです。
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