ロバーツ主席判事が合憲判断をとった理由とは
早くもロバーツ主席判事を臆病者呼ばわりするTシャツがつくられたらしいが適切でないと考える。ロイター記事Why Roberts saved Obama’s health care law http://www.dailystar.com.lb/News/International/2012/Jun-30/178825-why-roberts-saved-obamas-health-care-law.ashx#axzz1zIWUVcskによると、ロバーツ主席判事は口頭弁論のなかでもし違憲判決を下すとなると反ニューディールの憲法革命以前の最高裁に戻ったとみられることに懸念を示していたという。1936年のカーター事件判決は炭鉱における労働者の雇用は連邦議会の州際通商規制権限の及ばない地方事項として、瀝青炭の価格を統制し一定の労働条件を保障する瀝青炭資源保全法を違憲としたが、そうした判断と同種とみられれば、憲法革命以後の75年の先例を無視しているみられることになりかねないという。合憲としたのはこのためでだろう。
私が違憲判決を期待したのは、憲法革命への反革命の流れをつくる可能性を開くと考えたからであるが、ロバーツにはそういう考えはなく、司法自制主義者であったのである。
ティーパーティー運動からすれば、連邦政府の権限は制限されるべきなのだが、それほどロバーツは経済保守的な思想ではなかったし、それが裁判官の役目だとは思っていない普通の裁判官だったということだろう。
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