夏休職免5日間の弊害
8月10日は係で5人休んだ。都労連と当局の協定による夏休職免5日間消化奨励の弊害は再三言っているが、休んだ分のコストを吸収しなければならない構造である。民間企業は13日から盆休みが多いので、業者への問い合わせは金曜までにすませなければならないから、それなりに忙しかった。13日から数日は窓口の来客は少ないとしても、その時期にやる机上の仕事があるのである。休む人も多いだろうから、なんだかんだと仕事が回ってくるし、ノー残業ウィークとかバカなことやっているから、仕事をその日のうちにかたづけることもできないから、非能率な仕事のやりかたを強要されているのである。私は過去7年夏休みは1日もとってない8年前も隣の女性がうるさくいうから1日休んだだけで、それ以前も何年も休んでない。次世代育成支援時短政策のコスト転嫁の受け皿となっていた等の事情によるものである。
有給休暇+夏休み職免で25日、女性は有給生理休暇込みで37日さらに、有給子供の看護休暇だなんだかんだ次世代育成支援でさまざまな時短制度があるし、ほかにもいろいろあって事実上の有給休暇が多すぎる。そのうえにノー残業あり、組合の超過勤務拒否闘争あり。
大阪府では夏休職免を3日に減らし、都では見直しもされたない慶弔休暇、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇も廃止というのを何年か前にネットで見たが、明らかに東京都は休みが多すぎるわけである。その分は結局、他人にコストが転嫁され、あるいは手抜きになると考えられる。
そもそも時短は、1984年ドイツ金属産業労組(IGメタル)とゲザムトメタルの労働時間協約交渉において戦後最大規模のストライキが打たれ、特別仲裁委員会の合意提案を双方が受け容れ協約上の週労働時間を38.5時間としたことが始まりであるが、80年代の時短はドイツが持続的に経済成長し生産性が向上していたことを背景としている。つまりドイツの賃金構造が集権的労使交渉制度により平等的であり、賃金の低い低生産性部門の雇用創出を抑えた。又、早期退職制度や寛大な失業保険により、低生産性部門のコストが外部化が行われたことにより生産性が当時は向上していたのである。http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/49362/48533/57874605?page=2
ところが生産性が向上していないのに、ワークライフバランスという働かない主義が喧伝され休みを増やすのは馬鹿げている。民主党のプロジェクトチーム休暇のあり方検討PTが、有給休暇義務的付与の政策を打ち出したとしたと産経7/17で読んだが、イタリアが憲法で有給休暇を放棄してはならないと規定している。それと同じだ。日本もイタリア人並みの働き方にしようなどいうのはばかげてる(だいだいイタリアは債務危機でせめて日本並みに解雇しやすくするよう労働市場改革に着手したばかり)、それをやると外資系企業の誘致だって難しくなると思う。休みを増やすのは新成長戦略の柱の観光、約20 兆円規模の国内旅行市場の内需拡大というかもしれないが、観光内需のために働かない主義を蔓延させる発想は本末転倒している。
アメリカは法定有給休暇はない。フリンジベネフィットは国が義務づけるようなことではないと考えられている。エンジニアの天国といわれ従業員福祉が充実しファミリーフレンドリー政策で有名なSASインスティチュートでも有給休暇は9日とクリスマスシーズンぐらいじゃないですか。EU労働時間指令は4週間の有給休暇を定めているから、少なくともこの点日本やEUよりアメリカに競争力があるといえるのである。
そもそも有給休暇はコダックのような組合不在企業が組合組織化予防策として従業員福祉を重視した企業の政策(ウェルフェアキャピタリズム)としてはじまったもので、自由企業体制の観点では政府が関与すべきものではないのである。
イギリスがリーマンショックまで16年景気拡大した理由は、欧州労働指令のEU労働時間指令http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2005_5/eu_01.htmをブレア政権が受容し1998年労働時間規則を制定したものの適用除外(オプト・アウト)を個々の労働者が選択できる制度をとっているので、労働者の3割が法定労働時間適用除外にサインしており。事実上労働時間規制はない。
このためEU15カ国において週48時間以上働いているフルタイム雇用者は5%以下であるが、イギリスはその数字が20%を超えている。http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2005_5/eu_01.htm
(なおEU労働時間指令とは、1993年に制定され、2000年に改正された。指令は、1)24時間につき最低連続11時間の休息期間を付与、2)6時間を超える労働日につき休憩時間を付与(付与条件は加盟国の国内法や労使協定で規定)、3)7日毎に最低連続24時間の週休及び11時間(1日の休息期間)の休息期間を付与、4)1週間の労働時間について、時間外労働を含め、平均週48時間以内の上限を設定(算定期間は4カ月)、5)最低4週間の年次有給休暇を付与を規定する)
もともとイギリスでは労働時間規制が成年男子には安全上規制が必要な業種に限定されていたこともあるが、前回の保守党政権では児童年少者法以外の一切の労働時間規制を廃止したし、共通通貨ユーロとEU労働時間指令にも反対し、オプトアウトの権利を勝ち取ったのである。
フジテレビの日曜の番組のロンドンオリンピック特集で、イギリスはリーマンショック以降景気拡大が止まったとはいえ、外資系誘致に成功している国と紹介されていたが、オプトアウト制度で労働時間規制のない働き方ができることが、大陸諸国より競争力でせ優位にあり投資の呼び水となってると考えられるのである。
オーストラリアは現在労働党政権だが、経済が好調な理由は自由党ハワード政権時代の労働政策あるいは、2004年以前の州レベルの自由党の政策の成果だろう。とくに従来の団体協約からオーストラリア職場協定という個別契約に切り替える政策を推進したことである。これは完全な契約自由ではなく、所定労働時間週38時間と、有給休暇4週間を定めているが、それ以外の所定時間外労働、休日労働については個別契約で自由に労働条件を決定できるもので、割り増し賃金を義務化してないので、割増しなしでも、被用者個人の労働意欲いかんで自由に可能とした「革新的」な政策が背景にあったとみるべきである。
したがって経済成長のためにはワークライフバランス政策の廃棄と、労働者保護法制のオーバーホールこそ必要で、それに逆行する労働、労務政策は国の経済力を衰退させ、個人の労働の自由を縛るものとして糾弾されていくべきものと考える。
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