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2012/09/30

カード 組合集会の施設利用拒否 総合花巻病院事件(盛岡地裁-仙台高裁-最高裁一小)

争点-六年余の間、病院は、労働組合に執行委員会や総会のため従来施設を無償で利用させていたが、上部団体加盟を機に、施設利用を拒否するようになったことが不当労働行為に当たるか。

事件の概要

昭和38年2月頃総合花巻病院職員146名は、病院外に花巻地区医療労働組合を結成し、岩手県医療労働組合協議会(以下「医労協」)を上部団体とした。しかし病院は職員が上記組合及び医労協の影響下にあることを嫌い、病院長自ら組合員を院長室に呼び脱退を要求するとともに病院内に別個の組合をつくるよう働きかけたため、まもなく花巻病院労働組合という病院内組合が87名で結成され、それに伴って前記組合から多数の組合員が脱退したため、その組合は壊滅した。病院は病院内労組に対して好意的で争議行為もなかったが、昭和45年3月頃栄養士の配転問題で組合が反対闘争を行ったが、その際、医労協の指導を受けた。
病院長は院長室に組合委員長、書記長、副委員長などを呼び、医労協に加盟しないよう説得、依頼した。書記長には出産祝を名目に一万円、副委員長に新築祝を名目に二万円を供与した。
その後、同年6月頃から賃金をめぐって対立が激化し、10月3日病院は地労委から出された調停案を受諾したが再び紛糾し、12月にはストライキの体勢をとった。
が、同年6月以降、病院施設を利用させる義務はないとして拒否するようになった。また病院は患者浴室において、女子患者に不快感を与えたことを理由に、組合副委員長Xを解雇した。
 これらに対し、組合が救済申立をなしたところ岩手地労委は、浴室のボイラー管理を担当していたXが、女子患者入浴中浴室に出入りするなど病院職員としての適格性を欠くとして解雇されたことは、病院側にも責任があり、ただちに同人を極刑たる解雇にする理由に乏しく、Xが組合の上部団体加盟阻止の努力をしなかったり、病院の嫌悪する上部団体加盟下の組合副執行委員長として組合活動することを嫌ってなした不当労働行為である。従来組合は病院施設利用についてその都度病院の許可を得ていたところ、副院長が労務担当理事になった直後病院は労使慣行を無視し病院施設を組合に利用させないことにしたことは、当該労使関係に組合の上部団体が介入することに対抗しようとしたほかは特設の事情変更が認められないから、組合の運営に対する支配介入であるとして、不当労働行為と認定し、ポストノーティス、Xの復職とバックペイを命じる救済命令を発したが、病院側は救済命令取消の行政訴訟を提起した。
 盛岡地裁昭55年 6月26日判決『労働判例』350号は、副委員長の解雇について、同人の病院浴室に入浴中の女子患者らに対する言動が決定的理由とみられるから、これを不当労働行為意思に基づくものとした労委の命令を取消、解雇を正当としたが、施設利用拒否については、組合が医労協に加盟し、原告の意に副うような労使関係が崩れた時期に、病院は従前の施設利用を拒否するようになったことから、従来の例を破る特段の正当な事情は認められないから、病院施設を組合に利用させないことによって組合活動の弱体化を図ったものとみられても仕方なく、組合の運営に対する支配介入にあたるから、労組法七条三号に該当する不当労働行為であるとして、労委命令に違法はないと判示した。
 病院は控訴したが、仙台高裁昭和57年 1月20日判決『労働委員会関係裁判例集』17集は、控訴棄却、さらに病院は組合活動は勤務時間外、企業外が原則であり、企業施設利用を認めるか否かはまったく使用者の自由裁量に属するもので、不当労働行為とした原判決は違法であると主張し、上告したが、最高裁第一小法廷昭和60年 5月23日『労働経済判例速報』1236号は上告を棄却し原判決を維持した。
 以下問題を施設利用拒否に絞って、判決を抜粋引用したうえ論評する。

 
 
総合花巻病院事件 盛岡地裁昭55年 6月26日判決『労働判例』350号
http://web.churoi.go.jp/han/h00200.html

不当労働行為に該当する

判決(抜粋)
3 病院施設利用拒否等について
(一) 証人X4、同X3の各証言によれば、岩手県下の多くの病院で、労働組合が病院施設を集会等に利用している事実が認められ、参加組合においても昭和四五年六月までは、組合の執行委員会、大会等の集会の用に、その都度病院の許可のもとに(許可されないことはなかった)、講堂その他の施設を利用してきていたことは前認定のとおりである。
ところが、前記1 認定のように、あたかも組合が医労協に加盟し、原告の意に副うような労使関係が崩れた時期に、これを境として病院は従前の施設利用を拒否するようになった。原告がこの時期に従来の例を破り病院施設を組合に利用させることができないとする特段の正当な事情は証拠上認められないから、原告は病院施設を組合に利用させないことによって組合活動の弱体化を図ったものとみられても仕方なく、特段の正当な事情もなく従来の慣例を無視して、組合の病院施設利用を拒否する原告病院の行為は、組合の運営に対する支配介入にあたるから、被告がこれをもって労組法七条三号に該当する不当労働行為であるとしたことに原告所論の違法はない。

総合花巻病院事件仙台高裁昭和57年1月20日判決『労働委員会関係裁判例』集17集

http://web.churoi.go.jp/han/h00200.html
病院の控訴 控訴棄却

判旨-不当労働行為に該当する。病院施設利用を拒否するに至った真の理由は、組合の上部団体加入を嫌悪し、これを牽制、阻止することに他ならなかったことは明らかであり、組合運営に対する支配介入である。

判決(抜粋)
 右認定の如く、第一審参加人組合による病院施設の利用がその都度何らの問題もなく第一審原告によって許可され長年多数回にわたって反復されてきたことからみれば、両者間においては第一審参加人組合より執行委員会および総会のため病院施設利用の申出があれば第一審原告は特段の理由がない限りこれを許可するという労使慣行が成立していたものとみることができる(第一審原告は「労組から申入があれば当然に施設利用を認めなければならないという労使慣行を認めることは無理である。」と主張するが、第一審被告においても当裁判所の右認定と同旨の労使慣行即ち「申入があれば特段の理由のない限り許可する」という慣行を認めているものであって「申入があれば当然に施設利用を認めねばならない労使慣行」の存在を認定したものでないことは成立に争いのない甲第一号証の一八ページ「4施設利用拒否について」の項の記載から明らかである)。
2 ところで第一審原告が昭和四五年六月以降理由を示さず組合の施設利用をすべて拒否したことは同原告の自認するところである。第一審原告は「労組に当然の施設利用権があるわけでなく、施設利用の許否は病院の自由裁量によるべきもので、許否の理由を一々明示して説明する義務はない。」と主張する。
 右主張の趣旨は、(一)施設利用の許否は病院側の自由であり、労組には、これについてなんらの権利がないから、利用の拒否について不服をいう利益がない、(二) そうでないとしても、少なくとも不当労働行為の成立する余地はないというものと解される。
 もとより前記認定の慣行は、「施設の利用の許可の申入れがあれば、特段の理由のない限り許可する」というのであって、単なる「届出」とは異なるから、労組に当然の施設の利用権のあることを認めたことにならないことはいうまでもないし、個々の場合において、病院側の都合により、施設の利用の許可が得られない場合のありうることも予定しており、その意味では、利用の許否は、大巾に病院側の都合によって左右されるのであり、従って病院側の自由裁量に服するものということができよう。そして、原則として、病院側が、個々の利用の許否につき、一々説明を付加すべき義務を負うものでないことも明らかである。しかし、右にみた本件慣行の実体を考えるならば、前認定のよりに、第一審原告が、企業内組合である第一審参加人組合に対し、長年にわたり執行委員会や組合総会等の会合の開催につき、病院側の業務に支障のない限度で便宜を与え続けてきたものであるから、第一審参加人組合側においては、このような従来からの経緯にかんがみて、将来もまた特段の理由のない限り、便宜を得られるであろうとの期待を持つに至ったことは、容易に窺うことができる。そして、このような期待は、継続的な労使関係の中では、無視しえない利益であって、それが不当労働行為によって奪われた場合には、法律上これが回復を求めることができるものと解すべきである。また、本件施設の利用の拒否が、第一審原告の、右施設に対する所有権の行使であり、裁量に基づくものであったからといって、そのことから直ちに右拒否行為が不当労働行為を構成しないとか、その成立を阻却することにならないことは、いうまでもないのであって、客観的、具体的な事情からみて、不当労働行為意思が推定される場合には、通常の場合とは異なり右意思を排除するに足りる特段の理由が主張立証されることを要す解するのが相当である。
 しかるに、本件においては、昭和三九年二月の第一審参加人組合の結成のいきさつから昭和四五年六月右施設利用の拒否に至るまでの経過(引用にかかる原判決理由二の1に認定の事実、特に院長が組合三役に対し上部団体である医労協への加盟を断念しこれを阻止するよう働きかけ、内二名に金員を供与し、年長の組合員五名に対し同様の働きかけをした事実)よりみれば、第一審原告が従来の労使慣行に反して第一審参加人組合に対し施設利用を拒否するに至った真の理由は組合の上部団体加入を嫌悪しこれを牽制、阻止することに他ならなかったことが明らかであって、これに反する特段の理由は何ら見い出すことができない。そして、右の如き意図をもってなされた施設利用の拒否が組合運営に対する支配介入として、第一審参加人組合に対する不当労働行為となることはいうまでもない。

総合花巻病院事件最高裁第一小法廷昭和60年 5月23日『労働委員会関係裁判例集』20集164頁
http://web.churoi.go.jp/han/h00312.html
病院の上告 上告棄却

不当労働行為にあたる

判決(抜粋)
原審の判断は、原審の適法に確定した事実関係の下においては、これを是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原判決を正解しないか、又は独自の見解若しくは原審の認定にそわない事実に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

コメント この事件は、組合活動の施設利用拒否が不当労働行為に当たるかが争点となっているにもかかわらず、企業施設内での組合活動の指導判例である国労札幌地本ビラ貼り事件最高裁第三小法廷昭和54年10・30判決民集33巻6号647頁『労働判例』329号を引用せずに判断を下した例である。
 6年余の間、病院は、毎年多数回にわたり、その都度の許可をもって、組合の執行委員 会および総会のため、講堂、磨工室、地下の手術室等の病院施設の無償利用を認め、組合の利用申し入れを拒否したことはなかったにもかかわらず、突然不許可としたのは、組合が上部団体の医労協に加盟したことを嫌悪しこれを牽制、阻止することためであった、組合運営に対する支配介入にあたるとされたものである。
 従来許可していたもの不許可にするにあたって、企業秩序を乱すことなどの理由も示されていないうえ、過去に病院長は院長室に組合委員長、書記長、副委員長などを呼び、医労協に加盟しないよう説得、依頼し、書記長には出産祝を名目に一万円、副委員長に新築祝を名目に二万円を供与した事実があった、このような経緯から、組合を病院側にとって都合のよい企業内組合にとどまるようコントロールしようとしたものとして不当労働行為とされたものとおおおざっぱにみてよいだろう。
 国労札幌地本判決の判例法理の枠組みではなく、端的にそれが労組法7条に反するという判断のようだ。しかし、池上通信機事件、日本チバガイギー事件、済生会中央病院事件、オリエンタルモーター事件は、いずれも無許諾の組合集会事案だが最高裁は国労札幌地本判決の判例法理に沿った判断をとっておりそちらが主流であって、総合花巻病院事件は例外的な判例と評価してよいと思う。

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連合・サービス連合傘下の労働組合

関汽交通社社員さんへ

いじめ行為、嫌がらせ行為やめてください。

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裁判所は、結論として、申立人らに対する面談強要の禁止、
申立人らの自宅前の道路の立入禁止、申立人らの監視の
禁止、申立人らのつきまといの禁止を命じた。

 その理由についてであるが、被申立人らの追尾行為、
それらが申立人らの生活の平穏、プライバシー等の
人格権侵害に該当することが明白であると述べ、
したがって、申立人らは、面談禁止、監視、付きまとい等
の禁止を求めることができるとした。

安心して、働きたいが労働者の要求です。

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