大学設置認可騒動-短大の経営を悪くさせたのはフェミニストと男女雇用均等法とマスコミが元凶だ
田中真紀子文科相の発言が二転三転した大学設置認可をめぐる騒ぎは、些末な事柄のように思え無視してもよかったが、ニュース解説で触れていないことについて一言書いておくこととする。
つまり問題となった3大学は、短大から四年制大学の移行である。多分申請した方は受験生の短大離れが加速しているので、経営的には四年制のほうが旨味があるという判断によるものだと思うし、田中文科相の短大のままでよいのではないかというのは、短大の経営がまずまず良かった80年代のようなアナクロな感覚との違いでなのである。
もともと短大は男女雇用機会均等法施行以前は、就職実績が良いことで人気があった。ところが雇用機会均等法を契機にニューメディア戦略と称し企業がそれまで積極的に採ってこなかった四年制大学から女子を採用するようになり、フェミニストやマスコミは四年制大学の女子進学率が低いことを問題視し、圧力をかけた。
実は、男女雇用機会均等法の最大の犠牲者は女子短大生だったのである。。当時は景気が良く、サービス業を中心として求人は増えていたが女子短大生の75%はOL志望だった。ところが雇用機会均等法施行後、その対応のために企業は事務職の採用を短大から四年制にシフトする傾向になったのである。いうまでもなく高卒・短大卒・大卒は労働市場で競合しており、割を食ったのが短大生だ。
就職氷河期ともなれば,マスコミはもっと大卒女子を採用せよと圧力をかける記事を書いた。しかし、大卒女子採用を増やせば増やすほど困ったのは女子短大生なのであり、就職実績を売り物として受験生を集めていた短大の経営を苦しくした。
のみならず、女子は男子より学卒間賃金格差が大きいのである。学卒間賃金格差が大きくなると教育投資効果をもたらすので高学歴化を促すというのが賃金経済学の常識で、別に女子が勉強が好きになったから高学歴化したというものではない。
そうした情勢で受験生が短大離れとなれば、経営的には四年制に移行したほうが得策という判断になる。にもかかわらず、田中文科相は、均等法以前のアナクロな感覚で短大のままでいいと言ったから、これだけの反発を招いたのである。
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