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2012/12/09

入手資料整理89

9827清水昭俊「出自論の前線」『社会人類学年報』vol.11(1985)(一部のみ)

理論の推移を整理していて切れのよい論文といわれる。
中根千枝批判
「「単系」の事例と対称的な位置にあるのが日本の伝統的家である。そこでは長男子による父系的相続継承の不可能な場合の二次的規則として、娘がいるならば彼女を介した準父系的な連続が義務づけられている。この所謂「婿養子」による相続継承の故に、日本の家-及び家を構成する同族-は父系集団ではないとされた[中根千枝『家族の構造-社会人類学的分析』120-130 1970(以下略)]この日本の事例の男女を入れ換えた事例に相当するのが海岸アミの家である。かつては妻方居住(婿取り)が原則であり、この居住方式によって家を連続すべき女がいない場合の二次的規則として、夫方居住(嫁取り婚が行われた。ロマ〔家〕の世代的連続は「母系的」にみえるが、居住を規定要因とするゆえにむしろ「非単系」であるとされる[末成道男『台湾アミ族の社会組織と変化』284-302]
 しかしながら、単系(父系ないし母系)による成員編成を第一次とし、副次的に単系以外の関係による成員編成を指定する規則複畳は、「単系」「非単系」の性格づけの差異にかかわらず、実質的に同一である。分析の対象を集団の成員権を規定する規則に単一化していえば‥‥‥厳密に単系と言いうるのは韓国の門中のみであって、他の諸事例は、一時的規則は単系、副次的規則をも含めていえば準父系(ないし準母系)といわなれればならない。‥‥厳密にいえば、門中以外の事例は事実上出自集団ではない。複畳的規則は、準単系親についで非親族おも成員としての編入を可能としているからだ。」
 中根千枝は、社会人類学の出自理論を用いて日本の家及び同族の性格を規定した最初の研究者だが、婿養子や養子が成員権を得ること。家の自律性が高く、それゆえ家の選んだ非親族の後継者のほうが、他家に属する父系親よりも優先することなどから、日本の家は(父系)出自集団ではないと定義した。しかし清水昭俊は厳密な意味で父系出自集団といえるのは韓国の門中だけであると断言したうえで、ここでは引用しなかったがエバンス・プリチャードやフォードの学説を引いて、単系が原則の社会でも副次的に単系以外の関係による成員編成を指定する規則のある社会がほとんどなのであり、むしろ韓国の門中のように原理原則どおりの構造は特異なのだという。逆に言うと典型的な母系社会(家母長的な)とみなされる台湾のアミ族においても、婿取りが原則だが、それができない場合の嫁取りがあるのだ。純粋な母系社会なのではないとの見解である。したがって、中根千枝のエティックな定義はかなり問題があるということを言っている。

「キージングは異なる機能の間での異なる出自形式の複畳を指摘し、所謂「単系社会」と「複系社会との」との全体的パターンにおける事実上の類似を示したのである‥‥集団成員権の規定を見てみよう。韓国の「門中」の成員権を規定する。規則は厳格に父系出自のみに従っていて、むしろ特異である。しかしながら、それに劣らぬ強固な父系イデオロギーで知られる中国社会では、父系系統の断絶を、娘の息子による継承によって回避することができた。娘のいない場合には、非親族の養取が最終的方策となる。[ Arthur P. Wolf,A.P & Huang, Chieh-Shan 1980 Marriage and Adoption in China,1845-1945 Stanfod:stanford Univ.Prees.]でも同様である。この規則の複畳パターンは古代インド・ギリシャでも全く同様である[クーランジュ 田辺訳『古代都市』白水社1961、121。」

 宗族制度の父系原理 (「同姓不婚」「異姓不養」)において、娘は婚出するのが原則である。後継となる男子がいない場合でも、宗族の内でから養子を迎えるのであって、娘は婚出する。日本の家のような婿養子というのはありえないのだ。ところが実際には異姓の入贅による女を介しての、祖父より孫の継承がけっこうあることが、戦前戦中の北支慣行調査でわかっている
血縁原理は徹底しておらず、擬制があるということである。
 しかしそれは日本の入婿と原理的に異なる。日本の入婿は、家長予定者、家督継承者とてし妻の父の跡継ぎとしてて迎えられるので、実子の地位と変わらない。しかし中国の入贅は婚入するといっても宗法に反するので不正規な家族員とされるのである。世間で軽蔑される存在である。
 清水昭俊は、厳密な意味で父系出自集団といえるのは韓国の門中だけだると言う。別の人だが同じ門中から養子が迎えられない場合は、祖先祭祀は継承されないので位牌は山に埋めるというのを韓国研究の論文で読んだ記憶がある。

1-114クーランンジュ 田辺訳『古代都市』白水社1961(原著1924)
 清水昭俊が上記論文で参照指示している122頁に書かれているのは、インドとギリシアは父系出自原則の社会でありながらが、アテナイの立法では、娘が相続人になれないために「もし、父が一人娘しかもたない場合には、彼は他家の息子を養子としてめとることができた。また娘と結婚する相続人を遺言で指定することもゆるされていた。」
「さらに別のにげみちを見いださせた。この点についてインドの法律とアテナイの法律は不思議に共通したところがある。『マヌ法典』に次のような一節がある。-「息子をもたざる父はその娘の産んだ男子をもらって息子となすことをえる。その男子は祖父のために葬儀をおこなうべし」。‥‥この習慣はアテナイでも同様で、父はこの特別の条件をつけて娘を嫁入りさせ、その産んだ男子に家系をつがせることができた。‥‥インドの法律では、この息子は実の子のように祖父の遺産をついだが、アテナイでも同様だった。父がかような方法で、一人娘を結婚させたときには、相続人は娘でも婿でもなく「娘の子」だった。」

9828清水昭俊「研究展望「日本の家」『民族学研究』50巻1号 1985 「日本の親族」に関する研究のレビューだが、著者の見解も述べている。

9829清水昭俊「<家>の内的構造と村落共同体 : 出雲の<家>制度・その一」『民族學研究』 35(3), 177-215, 1970

9830清水昭俊「<家>と親族 : 家成員交替過程 : 出雲の<家>制度・その二」『民族學研究』 37(3), 186-213, 1972

9831清水昭俊「<家>と親族 : 家成員交替過程(続) : 出雲の<家>制度・その二」『民族學研究』 38(1), 50-76, 1973

9832村武精一「研究展望 系と双系」上野和男「「日本の家」へのコメント」『民族学研究』50巻21号 1985

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