ミシガン州が24番目の労働権州Right to Work States になる 反労働組合陣営の大勝利だ
久々に明るいニュースです。12月11日ミシガン州のスナイダー知事(共和党)は、right-to-work law(労働権法)に署名し、全米で24番目の労働権州となりました。http://articles.chicagotribune.com/2012-12-11/news/chi-right-to-work-michigan-20121211_1_public-and-private-sector-unions-union-contracts-governor-signs-bills ミシガンは強制的組合費支払いから労働者を解放しました。
今年2月にインディアナ州が労働権法を制定しましたが、それに続いてのものです。(労働権州の地図を見てくださいhttp://www.nrtw.org/rtws.htm)従来南部が中心だったRight to Work States ですが、ラストベルトの重工業州が相次いで制定したことの意味は大きい。しかもミシガンはGM、フォード、クライスラーの本拠地がある自動車産業の中心で、アメリカで5番目に労働組合組織率の高い州(17.5%)であるから、ある意味驚きでした。よくやったと思います。実際猛烈な反対運動がありシカゴトリビューンによればランシング議事堂周辺で12000の抗議活動があったとのことです。(PBSニュースアワーの報道http://www.youtube.com/watch?v=yRhwIECzcws)
労働権法、right-to-work lawとは組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定するものである。端的にいえばユニオンショップとエージェンシーショップの禁止である。
被用者は組合に加入せず組合費を払わず雇傭される権利を明確にするものである。
アメリカの全国労使関係法では排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できるシステムである。
つまり、アメリカのシステムは交渉代表選挙によって、労働組合による集団取引を選ぶか、一対一の個別契約かを労働者自身が選ぶということである。2011年の民間部門の組合組織率が6.9%であるのも、交渉代表選挙にいたっても否決されることが多いということである。
また交渉代表選挙で勝っても、労働協約締結は強制されないから、労働協約が成立しないこともある。しかし協約が締結され組合保障条項が適用されれば、組合員でなくても強制的に組合費は支払わされることになる。これをエージェンシーショップという。
労働権法はこれを否定するので、今後、協約適用労働者から組合費を強制徴収できなくなるので、組織労働者にとって打撃になるということである。
なお、ミシガン州の労働権法は民間だけでなく公共部門にも適用されるので、教員など公務員り労働組合にとっても打撃になります。
労働権州になるメリットとして企業誘致に有利なことがあげられる。南部はほとんどが労働権州だが、労働組合が組織化されにくいという利点が企業の投資を促す要因になってました。サンベルトの経済成長の背景といえます。
ミシガン州の自由主義シンクタンク Mackinac Center for Public Policy のウイリアム.T.ウイルソン博士の論文 「The Effect of Right-to-Work Laws on Economic Development」 http://www.mackinac.org/article.aspx?ID=4293は経済発展のために労働権州が有利であるといってます。
一般論でいえば組合のない職場が作業環境がフレキシブルで、単位労働コストは低い。高い生産性とビジネスの成長を促します。組合のない職場の方がトップダウンでなく従業員参加を促す経営になるので働きがいがあり、雇い主と労働者双方のニーズに敏感な作業環境を支持します。労働権法は組合の組織化を抑制する効果は当然認めらます。
もっとも名目所得は非労働権州が10%高いのです。しかし可処分所得で労働権州が0.2%有利です。つまり物価が安いと言うことです。
「 311の米国都市エリアを調べて、ジェームス・ベネット(1994)は、非労働権州に生活する家族が、より高い平均した名目所得を持っていますが、労働権法州の普通のアーバンファミリーには1年あたりの税引後の購買力における以上が同じ家族が非労働権州に持っているだろうより2,852ドルあるのがわかります。」とウィルソン博士の論文にあります。
Mackinac Centerという自由市場指向のシンクタンクは以前よりこの法律を制定する運動をやっていました。
しかし、よく考えると、1920年代のデトロイトは組合の組織化を阻止していたオープンショップの健全な都市でした。GMが組織化されたのは1937年であり、大恐慌と失業者の増大による社会不安と、産業別組合の台頭によるものです。もともとミシガンは保守的な土地柄であったとも考えられます。スナイダー知事は有能であることがわかりました。自動車産業が再生したとはいえ、3社寡占時代のようにパターンバーゲニングで高い所得保障、年金などでの厚遇は望めないのであるから順当な結果ともいえます。
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岸田は元労働組合執行委員長です。
善野は観光労連地連執行委員です。
部下が自殺に至る過程を考える
~上司と部下の間の、根深い問題に着眼したい~
職場の色々な悩みに対応する立場が
逆に差別・嫌がらせに、虚偽の業務連絡で人の行動を
拘束する、善野
おかしな、おかしな労働組合
よく組合費を徴収出来ますね。
不思議な労働組合です。
安心して働きたい、職場の悩みを解決したいのが
労働組合なのに!!!
投稿: 関西汽船南港乗船券販売所・関汽交通社 | 2012/12/16 07:44