公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2013/01/06

入手整理資料93

9870 横浜第二港湾司令部事件 東京高裁昭33・3・31判決『別冊労働法律旬報』№204 1955
(要旨-労働組合は、その所属構成員に対してのみ労働力のコントロールを加えうるものであって、構成員以外にまで強制しえず、組合員の争議権と、非組合員の就業権は対等の立場に立ち、互いに並立する関係にある。ピケットは争議権に基づく争議手段の一つであって、組合の構成員以外の非組合員に対する関係においては本来その就業拒否する根拠はないものであり特にスト破りの雇い入れでなく、真に生活のために就労しようとする非組合員に対しては平和的説得をこえて就労を拒否する事は許されない。両者決裂の後で組合員による「平和的説得」の余地のない状態に立ち至ったむと察せられる状況下で非組合員が混乱に乗じて入場しようとしたからといって、まだピケラインに対する現在の危難があったということはできない)この判例は「非組合員の就業権」に関する参照指示とする。
9871 仁丹体温計山形工場事件 山形地裁昭22・10・23判決『刑事裁判資料』№10
(要旨-非組合に対する業務妨害、本件も非組合員の就業権と組合員の争議権が対等とするものである。「‥‥約三十三名の組合員と諸種の事情から組合への加入を潔しとしない約二十三名の非組合員との二派に分れ、後者は獨自の立場から操業を繼續していたのであり、其の間に所謂爭議破りと見るべきものの生ずる餘地はない、かような情況において非組合員に對する説得が效を奏しないからといって本件のように外部から多数の應援の求め組合員と合して百名を越える多数の威壓を以て非組合員の就業を阻止するが如き手段に出るのは社會通年上到底勞働組合の業務とは認められない。即ち判示業務妨害は爭議行為の適當な限界を逸脱したもので爭議権の濫用に外ならない‥‥」この判例は「非組合員の就業権」に関する参照指示とする。
9872 黒川第二発電所事件 松山地裁昭32・3・2判決
1-121 荘子邦雄『労働刑法』総論 新版1975
第二章に団結・争議に関する刑事立法史の概略あり。英仏米独とわが国である。古い本が多いが参照文献も網羅しているので便利。比較的安い本。

(明文によるピケットの禁止立法である、旧刑法270条と治安警察法17条の意義)

 わが国の最初の争議行為抑圧の立法は明治13年(1880)の旧刑法(太政官布告36号)である。
 270条「農工ノ雇人其雇賃ヲ増サシメ又ハ農工業ノ景況ヲ変セシムル為メ雇主及ヒ他ノ雇人ニ対シ偽計威力ヲ以テ妨害ヲ為シタル者ハ一月以上六月以下ノ重禁錮ニ処シ三円以上三十円以下ノ罰金ヲ附加ス」
 271条「雇主其雇賃ヲ減シ又ハ農工業ノ景況ヲ変スル為メ雇人及ヒ他ノ雇主ニ対シ偽計威力ヲ以テ妨害ヲ為シタル者ハ亦前条ニ同シ」
 270条は明らかにピケッティングに対処できる条文であり「他ノ雇人ニ対シ偽計威力ヲ以テ妨害」することに処罰を定めているものであるが、1864年フランス刑法を継受したものである。但し著者は言及してないが当時の事情を敷衍と説明を加えると、1864年フランスでは刑法改正により官公吏を除いて罷業を合法化したのである。しかし職業組合の結成は非合法であり、罷業権といってもそれは、解雇を意味する役務賃貸借契約の一方的破棄という自己解雇の集団的同時行使であって、組合が違法である以上争議を指導することも違法である。要するにナポレオン法典(民法)において期間の定めのない役務賃貸借契約は、雇主であれ労働者であれ一方的に契約を解除できる。使用者にとっては解雇自由であることと対等に、労働者が一方的にやめるのも原則的には自由であるがゆえに、個人の権利行使の算術的総和が合法的ストライキとされただけである。雇主にはスト労働者を再雇用しない権利がある一方、1864年刑法はスト労働者による非参加者労働者への強迫、暴力行為、強制などの働きかけを抑止する「労働の自由妨害罪」を設けた。労使とも団結を禁止する1791年ル・シャプリエ法の「労働の自由」の理念に大きな変化はない、個人主義的自由主義、「労働の自由」を保護する市民刑法としての性格を有している。
 そのフランスの「労働の自由妨害罪」を継受したのがわが国の旧刑法で、現行刑法234条の概括的規定(それは条文を統合し適用を拡大させるための趣旨であるから、旧刑法を包含していると解釈される)に改められて今日に至っている。
 旧刑法270~271条は著者も言うように、政府が自覚的に労働運動に対処するために設けられたとは思えない。たんにフランス法を範として継受したものだろう。しかし現実に明治26年大阪天満紡績争議は旧刑法により処罰されたように、争議抑圧の刑事的機能に担った。
 片山潜は、明治30年夏の労働組合期成会の成立を以って近代労働運動の開始としているが、政府が自覚的に労働運動に対処するために設けた最初の刑事的規制は、明治33年(1900)第二次山県有朋内閣時に制定された治安警察法である。山中篤太郎によれば「日清戦後の労働者運動の進展に対する支配階級の反組合意思の表現」とされる。しかし団結そのものを否認するものではなく、労働者の組織活動・団体活動を否認するものである。アメリカ合衆国においても1932年のノリス・ラガーディア法により平穏な組合活動について、レイバーインジャンクションを禁止するまで団結を禁止していないが、団体行動による財産権の侵害、取引の制限、他者の就労権の侵害を違法的に評価していたあり方と類型的には類似しているといえる。
 私は治安警察法17条等を抑圧立法として否定的に評価せず、むしろ市民法秩序維持のための立法と肯定的に評価する。
 治安警察法17条
 左ノ各号ノ目的ヲ以テ他人ニ対シテ暴行、脅迫シ若ハ公然誹毀(ひき)シ又ハ第二号ノ目的ヲ以テ他人ヲ誘惑若ハ煽動スルコトヲ得ス
一 労務ノ条件又ハ報酬ニ関シ協同ノ行動ヲ為スヘキ団結ニ加入セシメ又ハ其ノ加入ヲ妨クルコト
二 同盟解雇若ハ同盟罷業ヲ遂行スルカ為使用者ヲシテ労務者ヲ解雇セシメ若ハ労務ニ従事スルノ申込ヲ拒絶セシメ又ハ労務者ヲシテ労務ヲ停廃セシメ若ハ労務者トシテ雇傭スルノ申込ヲ拒絶セシムルコト
三 労務ノ条件又ハ報酬ニ関シ相手方ノ承諾ヲ強ユルコト
 耕作ノ目的ニ出ツル土地賃貸借ノ条件ニ関シ承諾ヲ強ユルカ為相手方ニ対シ暴行、脅迫シ若ハ公然誹毀スルコトヲ得ス

 違反した場合は、同法30条により、一月以上六月以下の重禁錮、それに三円以上三十円以下の罰金を付加すると定めた。
 これも明らかにピースフルピケッティングを否認するものである。公然誹毀とは悪口、悪罵を浴びせることであろうし、誘惑とはコモンローでいう契約違反誘引、スト参加を慫慂し説得することをさすとみてよいからである。
 個人が自らの意思により労働力を取引(契約)し、就業することを妨げることは違法とする「経済的自由」「労働の自由」という個人主義的な近代市民法原理に立っている立法である。比較法的にいえば、労働組合を合法化しつつもピースフルピケッティングを実質違法とした、英国の1871年刑事修正法、1875年共謀罪・財産保護法に類比できるが、労働組合の組織的活動が規制されている点、我が国の治安警察法の方が厳しいといえるかもしれない。
 著者はこのほか明治四一年内務省令一六号警察官処罰令一条四号でとくに「故ナク面会ヲ強請シ又は強談威迫ノ行為ヲ為シタル者」を規定し、団交拒否の道を開き、二条三一号が「濫二他人ノ身辺に立塞リ又ハ追随シタル者」の規定は平和的ピケを処罰できるものとしている。このほか各府県警察犯処罰令で労働運動を規制する規定があった。
 治安警察法17条による1914~1926年(13年間)の検挙総数 154件 1162人とされるが。大正デモクラシーの中で問題となり、大正15年(1926)政府としても廃止せざるを得なくなり労働争議調停法を制定した。しかし治安警察法17条の廃止は労働組合、労働運動に対する治安対策の「放棄」ではなく、労働運動の取締りを主たる目的としながらも、形の上では暴力団対策を装い、一般的な取締りを目的とする新たな治安立法が同年制定された。暴力行為等処罰ニ関スル法律(暴処法)であるが、1条1項は、「団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ、又ハ兇器ヲ示シ又ハ数人共同シテ、刑法第208条第1項、第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル者」という規定になっている。「暴行行為(1条1項)の刑罰は、「3年以下ノ懲役又ハ500円以下ノ罰金」となっている。
 私は、治安警察法17条・30条の廃止は良くなかったと思う。暴処法は、暴力団対策がメインであるから近代市民法での契約自由・取引自由・労働の自由を保護するという観点が欠落してしまったからである。 
 ところで、著者は、第三章「労働法規範と市民刑法規範とを綜合した全法秩序の見地に立脚して適法か違法かという判断を行わなければならない」128頁というから中道穏健な立場なようだが「社会通念」などの抽象的基準でなく、具体的に違法性を判断する国鉄春闘黒磯事件 宇都宮地判昭41・7・7刑事裁判資料№177のような判例を評価している。結論は「有形力を用い、或いは用いることを告げてその就労行為を強制的に遮断し、もしくは放棄させるは許されない」とするものである。
 
「わが憲法第二八条に定められた勤労者の団体行動権の本質については多くの議論があるがむ、この権利は労働者の集団が個々の労働者と使用者との間の労働力取引を独占的に統制し、使用者またはその団体と対立する独占的な取引単位として共同の取引停止等の集団行動を行う権利と解するのが相当である。‥‥そしてこの団体行動権はもっぱら労働取引の相手方である使用者に対して双方独占取引を展開し、特に罷業によってこれを労働市場から締め出すという特殊な独占活動の権利を含む点で一般の結社権や財産権と本質的に異なる反面、団体行動権の中核はあくまでかような使用者との団体取引停止の権利であって使用者の有形的財産権を侵害しえる権利のごときを当然に包含するものではない。したがってピケッティングの手段についていえば罷業は一般の経済的独占の行為の場合と同様、取引単位の自由な意思による結合を基礎として成り立っている独占活動であり、その意味で経済活動一般の鉄則である意思の自由の原則に服するが故にピケッティングもまたいわゆる平和的説得の限界を出で得ないこととなる。すなわち団結の利益を説き、或いは団結の威力を誇示することによって個々の労働者の内心の動機に対して心理的圧力を及ぼし、罷業への参加もしくは協力を決意させることは正当であるが、有形力を用い、或いは用いるべきことを告げてその就労行為を強制的に遮断し、もしくは放棄させることは許されない。いわんや自己の所属する組合と別個な組合の構成員に対してはもちろん右の説得も許されず、その就労行為を阻止するが如きは論外の不法行為である。‥‥他組合はもとより自己組合むの構成員の就労阻止についてはもっぱら平和的説得に力を致すべく、有形力の行使は裁判所として如何にしてもこれを許容することはできない。‥‥」
 私は市民法原理絶対優位の観点であるから、この判例についても全面的には支持しないがね少なくとも次の点で評価したい。
 プロレイバー労働法学者は団結体の集団意思が、個人の意思を制圧して当然との論理展開をとるが、「経済活動一般の鉄則である意思の自由の原則」という市民法原理の否認は認めないという点で常識に反していないということである。
 
9873西村信雄他『労働基準法論』法律文化社1959 第二章労働契約論150頁本多淳亮執筆部分、就労を希望するがピケを破ってない労働者の賃金請求権の問題
9874全税関懲戒処分事件・神戸地裁昭44.9.24判決『別冊労働法律旬報』№718 1969
 争議行為を理由とする懲戒免職処分を違法としたものだが、最高裁で覆った。全逓東京中郵判決と全農林警職法判決の中間の時期の公務員の争議行為について甘い判決の典型。
 
9875 宮本安美「フランス職業組合に関する一八八四年法の制定過程-下院本会議までを中心として」『法学研究 』37(8), 71-95, 1964

9876毛利健三 書評岡田与好『経済的自由主義-資本主義と自由』『土地制度史学』№121
 

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