公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2013/01/20

入手資料整理97

(争議行為及びピケッティング等の基本的な刑事判例その2)

9927嘉穂砿業事件 最一小判昭35.5.26最高裁判所刑事判例集14巻7号868頁 
(LEX/DBプリントアウト)

要旨-本件は炭鉱において鉱員の組合と、職員の組合が分かれていて、鉱員の労働組合のみがストライキを実行中、争議行為に加わっていない職員が就業のために出勤するに際し、日本炭鉱労働組合福岡支部厚生部長であった被告人が、傘下の嘉穂砿業労働組合員数百人と共に集合し、ピケ隊をしこれに加わってスクラムを組み、そのスクラムを押し破りピケを強行突破しようとする職員組合員甲等に体当たりするなどして十数回にわたり押し返したというもの。最高裁は「被告人の行使した威力は、当時争議行為に加わつていなかつた職員等の出勤に対して行使されたというのであり、かかる行為が威力業務妨害罪を構成するものであることは当裁判所累次の判例の趣旨に徴し疑いを容れないところである。昭和二七年(あ)四七九八号、同三三年五月二八日大法廷判決[羽幌炭坑鉄道事件]、集一二巻八号一六九四頁。昭和三一年(あ)三〇六号、同三三年六月二〇日第二小法廷判決[進駐軍横浜事件]、集一二巻一〇号二二五〇頁参照」と判示した。

この事件はストを実行していない別の組合員に対する就労妨害を威力業務妨害罪としたものである。非組合員であれ、別の組合員であれ争議行為に加わっていない職員が就業のために出勤することに対する本件のような威力行使は免責されないとした意義のある判決で、「非組合員の権利」の参照指示判例とする。

 
 
9928国鉄檜山丸事件 最二小判昭38.3.15最高裁判所刑事判例集17巻2号23頁
(LEX/DBプリントアウト)

 国鉄職員であり労働組合員である被告人が青函連絡船における職場集会の指令点検、指導等のために、当局の制止を振り切り檜山丸に乗り移ったことが刑法130条艦船侵入罪に問われたもので、最高裁判決は「検察官の上告趣意について。所論は、原判決が公共企業体等労働関係法(以下単に公労法という。)一七条に違反してなされた公共企業体等の職員の争議行為に対し労働組合法一条二項の適用がある旨判示したのは、論旨引用の各判例に違反し、かつ、法律の解釈を誤つたもので、ひいて量刑に甚しく不当な結果を招来しているので、破棄されるべきであるというのである。
 よつて、検討すると、公労法一七条一項によれば、公共企業体等の職員は、同盟罷業、怠業その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができないと規定されている。そして、国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体等の企業の重要性にかんがみ、その職員が一般の勤労者と違つて右のような争議行為禁止の制限を受けても、これが憲法二八条に違反するものでないことは、すでに当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年六月二二日大法廷判決、刑集九巻八号一一八九頁参照)。かように公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為について正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがつて労働組合法一条二項の適用はないものと解するのが相当である。
 それゆえ、原判決が公労法一七条に違反してなされた争議行為に対し労働組合法一条二項の適用がある旨判示したのは、論旨引用の福岡高等裁判所宮崎支部昭和三五年一月一二日判決および広島高等裁判所昭和三六年一一月六日判決と相反する判断をし(なお、論旨引用の福岡高等裁判所昭和三五年三月二日判決は公労法一七条違反の争議行為と労働組合法一条二項との関係につき、判断を示しているものとは認められないから、本件に適切でない。)法律の解釈を誤つたものであることは、所論のとおりである。しかし、原判決は、結局において、被告人らの判示所為は正当性の限界を超えるものとして刑法一三〇条の罪の成立を認めており、原判決の維持した第一審判決の量刑も不当に軽いとは認められないから、右の違法は判決に影響を及ぼさないことが明らかであつて、原判決を破棄する理由とならない。」として上告を棄却したが、組合員が当局の制止を振り切り職場集会の指令点検、指導のため乗船したことについて、艦船侵入罪の成立を認めている。

9929全逓東京中郵事件 最大判昭41.10.26最高裁判所刑事判例集20巻8号901頁
(最高裁判所判例検索システムよりプリントアウト)

要旨 昭和33年の春闘の際、全逓労組執行委員8名が東京中央郵便局の職員を勤務時間に食い込む職場集会に参加するよう要請・説得し、 38名の従業員に対して職場を離脱させた行為が、郵便法79条1項の郵便物不取り扱い罪の教唆罪に当たるとして起訴された事件で、一審は、犯罪の構成要件には一応該当するが、「一般の私企業の勤労者が行うの正当なものとされるような行為は、 それが形式的は他の刑罰法規に触れる場合においてもなお労組法第1条2項、刑法第35条の適用があり違法性を阻却する」として無罪、二審は労組法第1条2項の適用はないとして破棄、被告人が憲法違反として上告したもので、最高裁は、公労法17条1項は憲法に違反しないが、公労法17条1項に違反した争議行為にも労組法1条2項の適用があるとして破棄差し戻しの判決を下した。(多数意見8、反対意見4)
 公務員の労働基本権制限規定を限定解釈して刑事制裁から解放したワースト判決。昭和52年5月4日の全逓名古屋中郵事件最高裁判決により判例変更されている。

要所「公労法一七条一項の定める争議行為の禁止の違反に対する制裁をみるに、公労法一八条は、同一七条に違反する行為をした職員は解雇されると規定し、同三条は、公共企業体等の職員に関する労働関係について、労組法の多くの規定を適用することとしながら、労働組合または組合員の損害賠償責任に関する労組法八条の規定をとくに除外するとしている。争議行為禁止違反が違法であるというのは、これらの民事責任を免れないとの意味においてである。そうして、このような意味で争議行為を禁止することについてさえも、その代償として、右の職員については、公共企業体等との紛争に関して、公共企業体等労働委員会によるあつせん、調停および仲裁の制度を設け、ことに、公益委員をもつて構成される仲裁委員会のした仲裁裁定は、労働協約と同一の効力を有し、当事者双方を拘束するとしている。そうしてみれば、公労法一七条一項に違反した者に対して、右のような民事責任を伴う争議行為の禁止をすることは、憲法二八条、一八条に違反するものでないこと疑いをいれない。
 つぎに、公労法一七条一項に違反して争議行為をした者に対する刑事制裁について見るに、さきに法制の沿革について述べたとおり、争議行為禁止の違反に対する制裁はしだいに緩和される方向をとり、現行の公労法は特別の罰則を設けていない。このことは、公労法そのものとしては、争議行為禁止の違反について、刑事制裁はこれを科さない趣旨であると解するのが相当である。公労法三条で、刑事免責に関する労組法一条二項の適用を排除することなく、これを争議行為にも適用することとしているのは、この趣旨を裏づけるものということができる。そのことは、憲法二八条の保障する労働基本権尊重の根本精神にのつとり、争議行為の禁止違反に対する効果または制裁は必要最小限度にとどめるべきであるとの見地から、違法な争議行為に関しては、民事責任を負わせるだけで足り、刑事制裁をもつて臨むべきではないとの基本的態度を示したものと解することができる。」
 ただしこの判決は「労務者がたんに労務を供給せず(罷業)もしくは不完全にしか供給しない(怠業)ことがあつても、それだけでは、一般的にいつて、刑事制裁をもつてこれに臨むべき筋合ではない。」としているだけである。

多数意見
 「‥‥上告趣意は、憲法違反、判例違反等、論旨多岐にわたるが、要するに、公共企業体等労働関係法(以下公労法と略称する。)一七条一項は憲法二八条に違反する旨の主張と公労法一七条一項に違反する争議行為には労働組合法(以下労組法と略称する。)一条二項の規定の適用があると解すべきである旨の主張とを骨子とするものである。これらの点について、当裁判所は、つぎのとおり判断する。
一 憲法二八条は、いわゆる労働基本権、すなわち、勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利を保障している。この労働基本権の保障の狙いは、憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、一方で、憲法二七条の定めるところによつて、勤労の権利および勤労条件を保障するとともに、他方で、憲法二八条の定めるところによつて、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として、その団結権、団体交渉権、争議権等を保障しようとするものである。
 このように、憲法自体が労働基本権を保障している趣旨にそくして考えれば、実定法規によつて労働基本権の制限を定めている場合にも、労働基本権保障の根本精神にそくしてその制限の意味を考察すべきであり、ことに生存権の保障を基本理念とし、財産権の保障と並んで勤労者の労働権・団結権・団体交渉権・争議権の保障をしている法体制のもとでは、これら両者の間の調和と均衡が保たれるように、実定法規の適切妥当な法解釈をしなければならない。
 右に述べた労働基本権は、たんに私企業の労働者だけについて保障されるのではなく、公共企業体の職員はもとよりのこと、国家公務員やを方公務員も、憲法二八条にいう勤労者にほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。ただ、公務員またはこれに準ずる者については、後に述べるように、その担当する職務の内容に応じて、私企業における労働者と異なる制約を内包しているにとどまると解すべきである。
 労働基本権のうちで、団体行動の一つである争議をする権利についていえば、勤労者がする争議行為は、正当な限界をこえないかぎり、憲法の保障する権利の行使にほかならないから、正当な事由に基づくものとして、債務不履行による解雇、損害賠償等の問題を生ずる余地がなく、また、違法性を欠くものとして、不法行為責任を生ずることもない。労組法七条で、労働者が労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、使用者がこれを解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすることを禁止し、また、同八条で、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害をうけたことの故をもつて、使用者が労働組合またはその組合員に対して、損害賠償を請求することができない旨を規定しているのは、右に述べた当然のことを明示的にしたものと解される。このような見地からすれば、同盟罷業その他の争議行為であつて労組法の目的を達成するためにした正当なものが刑事制裁の対象とならないことは、当然のことである。労組法一条二項で、刑法三五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて労組法一条一項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるとしているのは、この当然のことを注意的に規定したものと解すべきである。また、同条二項但書で、いかなる場合にも、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならないと規定しているが、これは争議行為の正当性の一つの限界を示し、この限界をこえる行為は、もはや刑事免責を受けないことを明らかにしたものというべきである。
二 右に述べたように、勤労者の団結権・団体交渉権・争議権等の労働基本権は、すべての勤労者に通じ、その生存権保障の理念に基づいて憲法二八条の保障するところであるが、これらの権利であつて、もとより、何らの制約も許されない絶対的なものではないのであつて、国民生活全体の利益の保障という見地からの制約を当然の内在的制約として内包しているものと解釈しなければならない。しかし、具休的にどのような制約が合憲とされるかについては、諸般の条件、ことに左の諸点を考慮に入れ、慎重に決定する必要がある。
 (1) 労働基本権の制限は、労働基本権を尊重確保する必要と国民生活全体の利益を維持増進する必要とを比較衡量して、両者が適正な均衡を保つことを目途として決定すべきであるが、労働基本権が勤労者の生存権に直結し、それを保障するための重要な手段である点を考慮すれば、その制限は、合理性の認められる必要最小限度のものにとどめなければならない。
 (2) 労働基本権の制限は、勤労者の提供する職務または業務の性質が公共性の強いものであり、したがつてその職務または業務の停廃が国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれのあるものについて、これを避けるために必要やむを得ない場合について考慮されるべきである。
 (3) 労働基本権の制限違反に伴う法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度をこえないように、十分な配慮がなされなければならない。とくに、勤労者の争議行為等に対して刑事制裁を科することは、必要やむを得ない場合に限られるべきであり、同盟罷業、怠業のような単純な不作為を刑罰の対象とするについては、特別に慎重でなければならない。けだし、現行法上、契約上の債務の単なる不履行は、債務不履行の問題として、これに契約の解除、損害賠償責任等の民事的法律効果が伴うにとどまり、刑事上の問題としてこれに刑罰が科せられないのが原則である。このことは、人権尊重の近代的思想からも、刑事制裁は反社会性の強いもののみを対象とすべきであるとの刑事政策の理想からも、当然のことにほかならない。それは債務が雇傭契約ないし労働契約上のものである場合でも異なるところがなく、労務者がたんに労務を供給せず(罷業)もしくは不完全にしか供給しない(怠業)ことがあつても、それだけでは、一般的にいつて、刑事制裁をもつてこれに臨むべき筋合ではない。
 (4) 職務または業務の性質上からして、労働基本権を制限することがやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が講ぜられなければならない。
 以上に述べたところは、労働基本権の制限を目的とする法律を制定する際に留意されなければならないばかりでなく、すでに制定されている法律を解釈適用するに際しても、十分に考慮されなければならない。
三 そこで、労働基本権制限の具体的態様についてみるに、法律によつて定めるところがまちまちであり、かつ、幾度かの改廃を経て現在に至つている。すなわち昭和二三年七月三一日政今第二〇一号が制定施行されるまでは、国家公務員や地方公務員も、一定の職員を除いて、一般の勤労者と同様に、団結雇・団体交渉権・争議権等について制限されることなく、争議行為も許されていた。政令第二〇一号の制定施行によつて、公務員は、国家公務員たると地方公務員たるとを問わず、何人も同盟罷業、怠業はもちろん、国または地方公共団体の業務の運営・能率を阻害する一切の争議行為を禁止され、これに違反した者は、刑罰を科せられることになつた。しかし、昭和二三年一二月三日改正施行された国家公務員法では、一切の争議行為が禁止されたことは右の政令と同様であるが、たんに争議行為に参加したにすぎない者は処罰されることがなく、争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、もしくはあおり、またはこれらの行為を企てた者だけが処罰されることになつた(昭和四〇年法律第六九号による改正前の国家公務員法九八条五項、一一〇条一項一七号、なお、地方公務員法三七条一項、六一条四号参照)。ところが、昭和二三年一二月二〇日に公布され、翌二四年六月一日から施行された公共企業体労働関係法では、国鉄・専売公社はいわゆる公共企業体と呼ばれ、その職員は、一切の争議行為を禁止されたけれども、その違反に対しては、刑事制裁に関する規定を欠き、同法に違反する行為をしたことそのことを理由として同法によつて刑事責任を問われることはなくなつた。昭和二七年七月三一日の同法の改正では、被告人ら郵政職員を含むいわゆる五現業の職員の争議行為等について、国家公務員法の規定の適用が排除され、新らしい公共企業体等労働関係法の関係規定が適用されることになつた。したがつて、郵政職員の争議行為は、公労法一七条一項によつて禁止されていることが明らかであるが、その違反に対しては、これを共謀、教唆、煽動、企図したものであるといなとを問わず、禁止の違反そのものを理由として同法によつて刑事責任を問われることはなくなつた。
 以上の関係法令の制定改廃の経過に徴すると、公労法適用の職員については、公共企業体の職員であると、いわゆる五現業の職員であるとを問わず、憲法の保障する労働基本権を尊重し、これに対する制限は必要やむを得ない最小限度にとどめるべきであるとの見地から、争議行為禁止違反に対する制裁をしだいに緩和し、刑事制裁は、正当性の限界をこえないかぎり、これを科さない趣旨であると解するのが相当である。
四 右のような経過をたどつてきた現行の公労法の規定について検討するに、その一七条一項は、いわゆる五現業および三公社の業務に従事する職員およびその組合は、公共企業体等に対して同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができないこと、また、右職員ならびに組合の組合員および役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、もしくはあおつてはならないことを規定している。この規定は、職員等の行為がたんなる債務不履行またはそれをそそのかす等の行為であつても、それが業務の正常な運営を阻害するものであるかぎり、これを違法とするものであつて、その意味で憲法二八条の保障する争議権を制限するものであることは明らかである。
 上告趣意は、公労法一七条一項の規定が憲法二八条および一八条に違反して無効であるという。しかし、右の規定が憲法の右の法条に違反するものでないことは、すでに当裁判所の判例とするところであり(前者については、昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年六月二二日大法廷判決、刑集九巻八号一一八九頁、後者については、昭和二四年(れ)第六八五号同二八年四月八日大法廷判決、刑集七巻四号七七五頁)、公労法一七条一項の規定が違憲でないとする結論そのものについては、今日でも変更の必要を認めない。その理由をすこし詳しく述べると、つぎのとおりである。
 憲法二八条の保障する労働基本権は、さきに述べたように、何らの制約も許されない絶対的なものではなく、国民生活全体の利益の保障という見地からの制約を当然に内包しているものと解すべきである。いわゆる五現業および三公社の職員の行なう業務は、多かれ少なかれ、また、直接と間接との相違はあつても、等しく国民生活全体の利益と密接な関連を有するものであり、その業務の停廃が国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれがあることは疑いをいれない。他の業務はさておき、本件の郵便業務についていえば、その業務が独占的なものであり、かつ、国民生活全体との関連性がきわめて強いから、業務の停廃は国民生活に重大な障害をもたらすおそれがあるなど、社会公共に及ぼす影響がきわめて大きいことは多言を要しない。それ故に、その業務に従事する郵政職員に対してその争議行為を禁止する規定を設け、その禁止に違反した者に対して不利益を課することにしても、その不利益が前に述べた基準に照らして必要な限度をこえない合理的なものであるかぎり、これを違憲無効ということはできない。
 この観点から公労法一七条一項の定める争議行為の禁止の違反に対する制裁をみるに、公労法一八条は、同一七条に違反する行為をした職員は解雇されると規定し、同三条は、公共企業体等の職員に関する労働関係について、労組法の多くの規定を適用することとしながら、労働組合または組合員の損害賠償責任に関する労組法八条の規定をとくに除外するとしている。争議行為禁止違反が違法であるというのは、これらの民事責任を免れないとの意味においてである。そうして、このような意味で争議行為を禁止することについてさえも、その代償として、右の職員については、公共企業体等との紛争に関して、公共企業体等労働委員会によるあつせん、調停および仲裁の制度を設け、ことに、公益委員をもつて構成される仲裁委員会のした仲裁裁定は、労働協約と同一の効力を有し、当事者双方を拘束するとしている。そうしてみれば、公労法一七条一項に違反した者に対して、右のような民事責任を伴う争議行為の禁止をすることは、憲法二八条、一八条に違反するものでないこと疑いをいれない。
五 つぎに、公労法一七条一項に違反して争議行為をした者に対する刑事制裁について見るに、さきに法制の沿革について述べたとおり、争議行為禁止の違反に対する制裁はしだいに緩和される方向をとり、現行の公労法は特別の罰則を設けていない。このことは、公労法そのものとしては、争議行為禁止の違反について、刑事制裁はこれを科さない趣旨であると解するのが相当である。公労法三条で、刑事免責に関する労組法一条二項の適用を排除することなく、これを争議行為にも適用することとしているのは、この趣旨を裏づけるものということができる。そのことは、憲法二八条の保障する労働基本権尊重の根本精神にのつとり、争議行為の禁止違反に対する効果または制裁は必要最小限度にとどめるべきであるとの見地から、違法な争議行為に関しては、民事責任を負わせるだけで足り、刑事制裁をもつて臨むべきではないとの基本的態度を示したものと解することができる。
 この点で参考になるのは、国家公務員法および地方公務員法の適用を受ける非現業の公務員の争議行為に対する刑事制裁との比較である。この制裁としては、争議行為を共謀し、そそのかし、もしくはあおり、またはこれらの行為を企てた者だけを罰することとしている(昭和四〇年法律第六九号による改正前の国家公務員法九八条五項、一一〇条一項一七号、地方公務員法三七条一項、六一条四号)。その趣旨は、一方で、これらの公務員の争議行為は公共の福祉の要請によつて禁止されるけれども、他方で、これらの公務員も勤労者であり、憲法によつて労働基本権を保障されているから、この要請と保障を適当に調整するために、単純に争議行為を行なつた者に対しては、民事制裁を課するにとどめ、積極的に争議行為を指導した者にかぎつて、さらに刑事制裁を科することにしたものと認められる。右の公務員と公労法の適用を受ける公共企業体等の現業職員とを比較すれば、右の公務員の職務の方が公共性の強いことは疑いをいれない。その公務員の争議行為に対してさえも、刑事法上の制裁は積極的に争議行為を指導した者だけに科せられ、単純に争議行為を行なつた者には科せられない。そうしてみれば、公共企業体等の現業職員の争議行為には、それより軽い制裁を科するか、制裁を科さないのが当然である。ところで、公労法は刑事制裁に関して、なにも規定していないから、これを科さない趣旨であると解するのが相当である。
 このように見てくると、公労法三条が労組法一条二項の適用があるものとしているのは、争議行為が労組法一条一項の目的を達成するためのものであり、かつ、たんなる罷業または怠業等の不作為が存在するにとどまり、暴力の行使その他の不当性を伴わない場合には、刑事制裁の対象とはならないと解するのが相当である。それと同時に、争議行為が刑事制裁の対象とならないのは、右の限度においてであつて、もし争議行為が労組法一条一項の目的のためでなくして政治的目的のために行なわれたような場合であるとか、暴力を伴う場合であるとか、社会の通念に照らして不当に長期に及ぶときのように国民生活に重大な障害をもたらす場合には、憲法二八条に保障された争議行為としての正当性の限界をこえるもので、刑事制裁を免れないといわなければならない。これと異なり、公共企業体等の職員のする争議行為について労組法一条二項の適用を否定し、争議行為について正当性の限界のいかんを論ずる余地がないとした当裁判所の判例(昭和三七年(あ)第一八〇三号同三八年三月一五日第二小法廷判決、刑集一七巻二号二三頁)は、これを変更すべきものと認める。
六 ところで、郵便法の関係について見るに、その七九条一項は、郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせずまたはこれを遅延させたときは、一年以下の懲役または二万円以下の罰金に処すると規定している。このことは、債務不履行不可罰の原則に対する例外を規定したものとして注目に値することであるが、郵便業務の強い公共性にかんがみれば、右の程度の罰則をもつて臨むことには、合理的な理由があるもので、必要の限度をこえたものということはできない(郵便物運送委託法二一条参照)。この罰則は、もつぱら争議行為を対象としたものでないことは明白であるが、その反面で、郵政職員が争議行為として右のような行為をした場合にその適用を排除すべき理由も見出しがたいので、争議行為にも適用があるものと解するほかはない。ただ、争議行為が労組法一条一項の目的のためであり、暴力の行使その他の不当性を伴わないときは、前に述べたように、正当な争議行為として刑事制裁を科せられないものであり、労組法一条二項が明らかにしているとおり、郵便法の罰則は適用されないこととなる。これを逆にいえば、争議行為が労組法一条一項の目的に副わず、または暴力の行使その他の不当性を伴う場合には、右の罰則が適用される。また、その違法な争議を教唆した者は、刑法の定めるところにより、共犯の責を免れない。
七 具体的に本件についてみるに、第一審判決は、公訴事実に基づいて、Aら三八名の行為を郵便法七九条一項前段違反の構成要件に該当すると認定した。原判決は、前述の第二小法廷の判決に従つて、公共企業体等の職員は、公労法一七条一項によつて争議行為を禁止され、争議権自体を否定されているのであるから、もし右のような事実関係があるとすれば、その争議行為について正当性の限界いかんを論ずる余地はなく、労組法一条二項の適用はないとしている。
 しかし、本件被告人らは、本件の行為を争議行為としてしたものであることは、第一審判決の認定しているとおりであるから、Aらの行為については、さきに述べた憲法二八条および公労法一七条一項の合理的解釈に従い、労組法一条二項を適用して、はたして同条項にいう正当なものであるかいなかを具体的事実関係に照らして認定判断し、郵便法七九条一項の罪責の有無を判断しなければならないところである。したがつて、原判決の右判断は、法令の解釈適用を誤つたもので、その違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであり、これを破棄しなければいちじるしく正義に反するものといわなければならない。
 以上の判断に照らせば、公労法一七条一項および原判決が憲法一一条、一四条、一八条、二五条、二八条、三一条、九八条に違反する旨の各論旨は理由なきに帰する。よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、原判決を破棄し、さらに審理を尽させるために、本件を東京高等裁判所に差し戻す‥‥」

奥野健一・草鹿浅之介・石田心外裁判官の反対意見 要旨は公労法一七条二項に違反されてなされた争議行為には労組法一条二項の適用はないとするものである。
「‥‥苛もある法律によつて一切の争議行為が禁止せられ、違法なものとされている以上、他の法域において、それが適法であるということは許されない。けだし行為の違法性はすべての法域を通じて一義的に決せらるべきものであり、公労法上違法とされた行為が刑事法上違法性を欠くというがごときは理論上あり得ないからである。‥‥労組法一条二項の刑事上の免責規定は、争議行為についてみると、本来適法に争議権を認められている労働組合の争議行為において、その行為が労組法一条一項の目的を達成するためにした正当なものである場合に限つて、たとえ、その行為が犯罪構成要件に該当していても、その違法性が阻却さるべきことを規定したものであつて、当初より争議権を有しない者の違法、不当な争議行為については、その適用の余地はないものというべく、また当初より正当性のない争議行為につき、その正当性の限界如何を論ずる余地もないからである。すなわち、労組法一条二項の「……団体交渉その他の行為」という「その他の行為」のうちには、公共企業体等の職員については、そもそも争議権がないのであるから、争議行為は除外されているものと解すべきであることは、公労法一七条と対比して明白であるからである(若し公共企業体等の職員の争議にも、労組法一条二項の適用があるとすれば、結局一般私企業に従事する労働者の争
議と大差のない刑事法的保護を受けることになり、公労法が、同法一七条により争議を一切禁止した代償保障として公共企業体等の職員のためにあつせん、調停及び仲裁の制度を、特に設けた立法趣旨に反することになる。)。」

 
9930安西郵便局事件 最三小判昭42.2.7 最高裁判所刑事判例集21巻1号19頁
(最高裁判所例検索システムよりプリントアウト)

本件は、特定郵便局事務室において、当日の窓口現金事務終了後、現金収納の銀行便に間に合うように集計整理に同局局長が携わっていた際、労働組合員4名が「点検」と称する組合活動(労働組合が労働条件に関して法規・協約の違反がないか、取扱い上不備がないか、不当労働行為がないかを点検する活動)の実施のため、局長が立入繰り返し拒否しているにも拘わらずこれを押しのけ立ち入ったことが住居侵入罪(刑法130条)に問われたもので、一審は入室拒否が不当として無罪、二審を破棄、住居侵入罪が成立するとした。最高裁は、特定郵便局長のが立入をしばらく拒否したことは理由があり、住居侵入罪を構成するとしてこの点につき棄却したが、量刑が不当に重いとして、原判決を破棄した。

判決
「‥‥上告趣意(略)第二、三、七点(略)について。 所論のうち、事実誤認ひいては憲法違反を主張する点については、これを要約すれば、点検活動は、組合活動の一環として憲法によつて是認されるべきものであるところ、被告人らの本件A郵便局事務室への立入は、点検活動を目的とする正当な行為であつて、いわば憲法にもとづく権利の行使である。したがつて、A郵便局長は、被告人らに対しその立入を拒否し得ないものであり、被告人らの右立入行為は、住居侵入罪に当らないとの主張を骨子とするものである。そこで、当裁判所は、まず、この点について判断をする。
(1)憲法二八条は、勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利を保障している。本条の労働基本権保障の狙いは、憲法二七条の定めるところにより勤労の権利および勤労条件を保障することと相俟つて、経済上劣位に立つ勤労者をして使用者との間に実質的な自由と平等とを確保することにあることは、昭和三九年(あ)第二九六号同四一年一〇月二六日大法廷判決の明らかにするところである。そして右判決の趣旨に照らせば、所論の点検活動は、労働条件に関する事項について法規や協約の違反その他取扱上不備の点がないかどうか、不当労働行為がないかどうかについて調査点検し、当該職場管理者との交渉を通じて、その是正改良を求めることを目的とするというのであるから、そのかぎりでは、憲法二八条の労働基本権の範囲を逸脱するものとはいえない。しかし、この目的のもとに実施される活動のすべてが、ただちに同条の労働基本権の行使の名のもとに合法化されるわけではない。
(2)本件立入行為の目的について審究すると、当裁判所は、第一裁判所および原裁判所において取り調べた証拠を仔細に検討し、とくに、第一審判決理由冒頭の「被告人らの地位及び事件発生に至るまでのいきさつ」の項にそう事実および第一審判決が確定し原判決が支持した本件暴力行為の事実等に照らし、被告人らが、A郵便局に赴き、同局事務室に立ち入つた動機・目的は、一審判決の認めるように、所論全逓本部の闘争指令にもとづく点検活動を実施するというにあつたことを認めるにやぶさかではないが(もつとも、当日の点検実施が組合機関の正式な決定によるものであつたか否かについては、記録上疑いが存する。)、それと同時に、Bほか三名の同郵便局員らが全逓を脱退したことに対して、同郵便局長Cを主目標とし、あわせて右局員らに報復的な威迫を加え、いやがらせをすることにあつたことをも認めざるを得ないのであり、むしろ当面の目的は、後者に重きを置いていたものであることが窺われる。この点について、右の目的のうちの一方のみをその専らの目的ないしは主要な目的であるとする見方には、にわかに左袒することができない。
(3)つぎに、住居侵入罪の成否について判断をする。おもうに、点検活動を目的とするからといつて、どのような事情のもとでも、常に立入行為が許されるわけではないとともに、また、管理者が拒否するからといつて、一切の立入行為が許されないものとなるわけでもない。点検活動を目的とする者が郵便局長の拒否にもかかわらず局舎事務室へ立ち入つた行為が、住居侵入罪を構成するか否かの判断をするためには、立ち入る側とそれを拒否する側との双方について、それぞれの具体的動機とその行為の熊様とを相関的に考量する必要がある。
 そこで、前記証拠にもとづき、被告人らの立入行為の態様とA郵便局長Cの拒否の行為の動機・態様とについて審究すると、まず、C局長は、かねてより同人が特定郵便局従業員の全逓脱退と全国特定郵便局従業員組合加入の運動を強力に支援していたため、全逓静岡地区本部側から指弾の的とされていたばかりでなく、自局の労務管理の面にも点検の対象としてとり上げられる点があることを熟知しており、とくに、被告人らを含む同地区本部役員らの前日来の動向によつて、右役員らがこれらの問題を追求するために当日来局することを不快の念をもつて予期していたものであることが推認される。はたして被告人らは、点検と前記威迫、いやがらせ等とを目的として同郵便局に赴き、ただちに同局舎公衆溜りを経て、事務室への入口となつている公衆電話室を通り抜け、右事務室へ足を踏み入れたのであつて、これを見た同局長は自席から離れ、同室内の入口近くで両手を拡げ、立ち塞がるようにして被告人らの立入を阻止したところ、被告人らはその手を払いのけ、その胸を衝いて同人を押しのけながら入室したというのである。同局長は、第一次的には、郵便局長として、郵便業務の正常な運行を確保する責務を有するものであるが、このように組合の役員が面会・交渉を求めて来たと認められる場合には、労務管理者として、その交渉内容の重要さの度合を考慮し、かつ、それが実際に業務の停廃を来たさないかどうかを勘案して、事実上可能な限度でその交渉に応ずべきものといわなければならない(なお、被告人らは組合機関として同郵便局に対して点検活動をする適格があつたか否かについては、当時郵政省と全逓本部とが所論のように交渉
状態になく、また、被告人らは協約上A郵便局に対応する組合の機関に当らないので、ただちに、これを肯定することに疑問の余地があるが、勤労者の団結権・団体交渉権等を保障する憲法二八条の精神と当時の職場の実情とにかんがみると、被告人らの組合機関たる地位とA郵便局との間に組織や地区について本件程度の近い関連があれば、A郵便局長は不適格を理由として交渉を拒否し得ないと解すべきである。)。このような観点から、C局長が被告人らの入室を拒否したことの当否について判断をする。まず、その手がかりとして、同局長がどのような拒絶の仕方をしたかを、第一審判決および原判決挙示の証拠にもとづいて確めるならば、立入を阻止した際に同局長がなした発言は、第一審公判調書中証人C、同Dの各供述記載によれば「入つては困る、出て行つてくれ」「仕事中ですから外で話をしよう」、被告人E、同Fの同公判調書中の各供述記載によれば「今お金を数えているので入つて貰つては困りますから」「一寸待つてくれ」「仕事の途中だから待つてくれ」というのであり、被告人Gの同供述記載も右各供述の内容を裏づけている。このときは、たまたま土曜日の現金取扱事務が締め切られた直後にあたり、同局長は、その机上で自ら現金の集計整理を行なつており、しかも現金収納のため銀行員が来局するのを数分後に控え急を要する客観的な事情にあつたのであり、右の発言は、ともかく現金の集計整理が完了するまで、しばらくの間事務室の外で待つていてくれという趣旨であつたと解するのが相当である(なお、同局長は、七人もの来局を受けたのであつて、この際、言を構えて、被告人らの立入を数分間延引させたところで、
とうてい点検を回避することは望み得なかつたことがあわせ考えられるべきである。)。
そうだとすれば、同事務室の置かれた具体的状況のもとで、立入を受忍することによつて予測される業務上の支障と、点検がせいぜい一〇分か二〇分おくれることに
 よつて組合側に及ぶ不利益とを勘案すると、同局長が被告人らに対しその立入をしばらく拒否したことには理由がないとはいえない。したがつて、同局長の手を払いのけ、その胸を衝いて同室に立入を強行した被告人らの行為は正当な行為とは称しがたく、住居侵入罪を構成するものと判断した原判決の結論は、これを是認せざるを得ない。原判決が、入室拒否の正当性の理由づけをするために挙げた数個の事由のうち、被告人らの立入行為の目的の認定等について当裁判所と事実認定を異にする部分のあることは前叙のとおりであるが、右は、住居侵入罪そのものの成否の結論に影響を及ぼすものではない(なお、本件立入行為の目的の認定に関して憲法二八条違反をいう所論の実質は、結局、事実誤認の主張に帰するものである。)。
 つぎに所論のうち、判例違反を主張する点は、引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余の点は、単なる訴訟法違反を前提とする違憲の主張を出でないものてあつて、いずれも適法な上告理由に当らない。
 被告人らの上告趣意第三点、‥‥上告趣意第三、四、五、六点(略)、‥‥上告趣意第一点について。
 所論は、昭和四〇年法律第六八号による改正前の公共企業体等労働関係法(以下公労法と略称する。)四条三項は違憲法規であり、郵政省が右条項を根拠として昭和三三年七月以来全逓に対し団体交渉を拒否していたことは違憲行為であつて、本件点検活動は、この違憲行為に対する対抗手段としてなされたものであるから正当な組合活動である。したがつて、原判決が、順次、右条項が違憲であるかどうか、いわゆる団交拒否が違憲であるかどうか、点検活動が憲法二八条の保障する正当な組合活動であるかどうかについて判断をしないで、被告人らを有罪と断定したのは、憲法二八条、三七条違反、判例違反、審理不尽であるとの主張を骨子とするものである。
 しかしながら、所論の点検活動は、労働条件に関する事項や不当労働行為の存否を調査点検し、これらの点について是正改良を求めるというその目的からみて、憲法二八条の労働基本権保障の精神にかんがみ正当な組合活動として是認されるべきものであること、かように点検活動が、本来正当な組合活動であつても、なお、本件A郵便局事務至への立入行為が住居侵入罪に当るものであることは、前叙のとおりである。そして、また、右立入後の事務室内における被告人らの行為は、それが憲法二八条にいう団体行動として行なわれたものであるとしても、暴力の行使を伴うゆえにとうてい正当なものといえないことは、すでに当裁判所昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五月一八日大法廷判決(刑集三巻六号七七二頁)の判例とするところである(昭和三一年(あ)第一六四九号同三四年四月二八日第三小法廷判決、刑集一三巻四号四六六頁参照)。したがつて、被告人らの右行為は、その行為の態様に応じ暴力行為等処罰ニ関スル法律一条一項の罪に当るものであることは明らかであつて、これと同趣旨の原判断は相当である。
 してみれば、被告人らの本件行為は、前記公労法四条三項、ひいてはいわゆる団交拒否が違憲かどうか、点検活動が憲法二八条のもとに是認されるべき行為であるか否かについての判断の結果の如何にかかわることなく、すでに有罪と断定し得たことが明らかであつて、原判決がこれらについて判断をしなかつたことになんら審理不尽の違法はないのみならず、所論違憲の主張はその前提を欠き、また、判例違反の主張は、所論引用の各判例は事案を異にし本件に適切でなく、所論は、いずれも適法な上告理由に当らない。
 (中略)
  ところで、職権をもつて、第一審裁判所および原裁判所において取り調べた証拠ならびに訴訟記録全体を通じ、被告人らの刑の量定につき調査するに、前叙のとおり、C局長の側に点検の対象としてとり上げられる点があつたこと、それがために同局長が被告人らの来局に不快の念をいだき、本件立入をきらつたことなどが推認され、これが立入拒否の一因となつたのみならず、その際の同局長の挙動にもあらわれ、ひいては被告人らの本件行動にも反映したものであることが窺われるほか、本件犯行につきその動機・目的および行為の態様その他諸般の情状を綜合して考察すると、本件がいわゆる組合活動に附随して生起した多くの刑事被告事件の中にあつて、とくに被告人らに対し重い罪責を問わなければならないほど重大かつ悪質な事案であるとは、とうてい認めがたいのであつて、被告人らに対しては、その刑の執行を猶予するのが相当である。原判決の刑の量定は重きにすぎ、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認めざるを得ない。
 よつて、刑訴法四一一条二号により原判決を破棄し、同法四一三条但書によりさらに判決をすることとし、原判決の認定した住居侵入の事実および第一審判決が認定し原判決が是認した暴行および脅迫の事実に法律を適用すると、住居侵入の点は、刑法一三〇条、六〇条、罰金等臨時措置法三条一項一号に、暴行および脅迫の点は、暴力行為等処罰ニ関スル法律一条一項、刑法二〇八条、二二二条一項、罰金等臨時措置法三条一項二号にそれぞれ該当するところ、右は手段結果の関係にあるから刑法五四条一項後段、一〇条により重い暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪の刑に従つて処断すべく、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人らを各懲役三月に処し、刑法二五条一項を適用して被告人らに対しいずれもこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予‥‥」

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