入手資料整理109
1-138田島司郎『アメリカ労務管理形成史』ミネルヴァ書房1981(古書)
労働組合が衰退した1920年代の反労働組合・組合否認型労務管理として、オープンショップ運動、ウェルフェアキャピタリズム(厚生資本主義)、従業員代表制について論じている基本的な書物。今日アメリカ合衆国の労働組合組織率(2011年の民間部門の組合組織率が6.9%)と低いのは、1920年大の企業の反組合経営の遺産によるところは結構大きい。
オープンショップ運動とは、職業と労働諸条件の選択の自由は個々人の不可侵の権利であるがゆえに職種職能別組合のクローズドショップを拒否する実質的には組合否認運動である。
ウェルフェアキャピタリズムも、組合組織化を抑止し団体交渉を否認するために、フレンジ・ベネフィットプログラムとして疾病傷害給付制、死亡手当、団体保険(生命保険・健康障害保険)年金(老齢年金、疾病年金)有給休暇、付加手当、貯金制度、利潤分配制、従業員持ち株制度、厚生福利プログラムとして食堂・キャフェテリア、病院、医療制度、施設、ロッカールーム、社内報道、住宅、リクリエーション、YMCAサービス、移民対象英語教室、提案制度を行うことにより、職務への献身、企業への忠誠の心理的環境を醸成し、ストライキによる賃上げという組合活動の意識を希薄化させるもので、洗練された反組合主義とも言える。経営家族主義にも近い。
今日でも組合不在企業が、従業員フレンドリーな政策を実施するのも、この時代の遺産を継承しているからである。
1-139平尾武久『増補アメリカ労務管理の史的構造』千倉書房1995(古書)
中西部鉄鋼業、18世紀末期から1920年代にかけて(大恐慌で産業別組合が台頭するまで)、中西部鉄鋼業は組合のない時代を経験した。組合のない経営がどのような労務管理で実現したのか専門的に書かれている。
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