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2013/09/16

非嫡出子相続分規定違憲決定は悪しき「裁判官立法」として非難されるべきものなので、法改正は最小限にとどめ、もうこれ以上の家族法の変更を欲しない旨の政府・与党への要望の下書きその五

  民法900条4号但書について、1970年代まで違憲であるという論者はほとんどなく、通説は合憲だった。

  

 合憲説

 

 違憲論者の君塚正臣[i]が通説の合憲論として挙げているのが次の見解である。

 

.我妻栄「『私生児』の保護」『法学セミナー』43号(1959)

 「一婦一妻の原則を貫こうとするもの、本妻の立場を尊重しようとするもの」で。「非嫡出子の地位が不利となるのは、全くその反射的効果に過ぎない」

 

.法律協会編『日本国憲法註解上』478頁(1953)

 「婚姻尊重の態度〔(憲法24)から、嫡出ということが、身分関係にも差違を生じるものとして、敢えて違憲とはいえないであろう」

 

.宮沢俊義『全訂日本国憲法』264頁(1978)

「憲法が婚姻に重きをおいている点から見て、おそらく憲法の容認するところと見るべきであろう」これは昭和53年版でも同文である。

 

 野山宏[ii]の法曹時報判例解説(最高裁判所の調査官による標準的解説)は近年の合憲説として民法学者の三人を挙げているが.水野紀子(民法学者・東北大学教授・法学部長)( 座談会「非嫡出子の法的地位」における発言・『ジュリスト』1032号(平成5年))

 の見解は傾聴に値する。

相続法においては生存配偶者の生活の配慮も必要であり、外国法では相続財産が居住用家屋のみである場合には配偶者がこれを全部取得することが多く、このような制度の下では生存配偶者の死後は非嫡出子は右相続財産を取得できない(嫡出子は右相続財産を取得できる)がこのような差別は問題とされておらず、我が国では不動産価格が高いため非嫡出子に高額の代償金を払うため居住用家屋を売却せざるを得ない場合が予想されることを指摘し、「あるところでは政策的な立法判断をしなければならないという側面が相続法にはある‥‥憲法論を直接相続分の問題に適用して『違憲だから無効』だと言ってしまうことには疑問があります。‥‥‥そういう政策決定自体は立法府の裁量であるのだろうと考えてます。」

 

「子どもの平等権-非嫡出子問題を中心に」『家族<社会と法>』№10(平成6年)

「民法が基本的には民事法として私人間の諸利益を調整する技術の体系であるという認識が十分に前提とされないまま、短絡的にスローガン的に平等原則の適用の議論が行われる傾向がある」と違憲説を批判している。もっとも水野氏は、最近の新聞紙上では非嫡出子差別に反対だとも言っているのを目にしているから、短絡的、一刀両断に違憲無効とする違憲論に反対の立場といえるが、今回の民法九〇〇条四号但書を違憲とした平成二五年九月四日大法廷決定は、こうした良識的な学者の見解をも無視してしまったという点でも

粗雑な決定理由だとの心証をぬぐいきれない。

 

大法廷決定はこう云うのだ。

「本件規定の立法に大きな影響を与えた諸外国の状況も、大きく変化している。‥‥現在我国以外で嫡出子と嫡出でない子をとの相続分に差異を設けている国は、欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある」と断じている。これは本当だろうか。

 大法廷決定が直接引用しているのはドイツの1998年法、フランスの2001年法だけだが、アメリカの五〇州、カナダの各州はそれぞれ家族法が異なるが、そのすべてについてそういえるのかはなはだ疑問である。この件については時間に余裕があればネットで全州を調査したいが、ここでは疑問の提示にとどめる。

従来アメリカでは、非嫡出子は父親からの相続権を否定する州が圧倒的に多かった。しかし1969年に統一州法全国協議会が、各州のモデル相続法典として作製された統一検認法が、父性の確定された子の相続法上の地位を嫡出子と等しくするという提案を行ったことと、イギリスが1970年に非嫡出子の父に対する相続権を認めたことから、60年代末期から、父親からの相続権を認める州は次第に増加してきた。しかし、ネットでも公開されている1994年の大村芳昭の資料[iii]では、嫡出子と非嫡出子の区別を排除した州は18州にとどまっている(なお1966年に3州、1971年は8州だった)。[iv]

統一検認法というのはひとつのモデル立法例にすぎず、家族法の改正を州に強要するものではない。各州は非嫡出子について母からの相続権を認めているが、父からの相続権を制限している州も残っていると記されている。差別撤廃州は23年間で10州増えているが、なお少数派なのだ。

なお、1977年の連邦最高裁トリンプル判決は、相続の規制は州議会の専権事項で、最高裁判事が決定することではないとした1971年の先例を変更して、非嫡出子について母方からの無遺言相続を認めるが、父からの無遺言相続を認めないイリノイ州法を5対4の僅差で違憲としている。しかし、我が国の民法は非嫡出子について父親からも相応の相続権を認めているのであって、トリンプル判決はいっさい父親から無遺言相続を認めない当該州法について違憲とした判例であり、この判例の論理がそのまま我が国にあてはまるものではないことはいうまでもない。しかも僅差の判決である。 

 したがって、19年前に、18州にすぎなかった差別撤廃州が50州すべてに拡大したとはとても思えないからである。

 1州でも父親からの相続権を制限している州を発見すれば、最高裁が「我国以外で嫡出子と嫡出でない子をとの相続分に差異を設けている国は、欧米諸国にはなく」と言いきったことは真っ赤なウソとなる。最高裁が国民をだますような手口を使っているなら大問題であり、論理の破たんは目に見えている。

 というのは、世俗化がすすんだ欧州と比較するとアメリカ社会は保守的であるからだ。

水野紀子東北大教授は、「西欧法における非嫡出子は、キリスト教文明における価値観からも、社会階層的な実態においても、歴史的に非常な劣悪な地位にあった。‥‥日本法においては、家制度の要請から非嫡出子の法的地位は伝統的に西欧法と比べるとはるかに高いものであった」(「比較婚外子法」『講座・現代家族法3巻』127頁)と述べている。

 モノガミーの大原則から重婚に非常に厳しいキリスト教文化圏と比較すると日本は法文化的にも実態としても重婚容認的で、妾や庶子の法的地位も高くそれなりに保護してきたし、差別する文化は弱いということであるが、ローマ法圏であれ、コモンロー圏であれ非嫡出子には厳しかった。

 

 とくに英国コモンローである。アメリカの各州が継受したコモンローは非嫡出子を誰の子どもでもなく教区の子どもとして扱った。すなわち非嫡出子は実の父母との親子関係を一切拒絶された存在として扱われ、父母のいずれの氏を称することも拒否され、何人からも相続することを否定されていた。父母のいずれも、扶養、保護、監督の義務権利を有さないとされていたのである。

 しかし、次第に厳格なコモンローを和らげて、制定法によりコモンロー原則を緩和してきた。それは母子関係の承認(母の氏、母による扶養、母からの相続)や養子縁組等による嫡出子化であった。[v]イギリスでは1926年にやっと母親に嫡出の卑属がない限り非嫡出子の相続を認めるようになったのである。[vi]国教会のないアメリカの各州においては、教区で非嫡出子を育てることはできないから、母親による扶養と相続の必要性はあったと考えられる。よって、1966年には母親からの相続権(嫡出の卑属のない場合という条件のある場合を含めて)すべての州法が認めている。しかしアメリカの法文化は非嫡出子に父子関係を認めることに強い抵抗があったのである。(続く)

 

 


[i] 君塚正臣「非嫡出子の憲法学-非嫡出子の審査基準論を中心に-」『阪大法学』 172173(), p607-628, 1994-11

[ii] 野山宏「民法9004号ただし書前段と憲法141(最高裁決定平成7.7.5)」最判解民事篇平成七年633頁『法曹時報 49(11), 3035-3093, 1997-11

[iii] 大村芳昭「<資料>諸外国における婚外子の家族法上の地位について」『中央学院大学法学論叢』 8(2), 167-183, 1995

 

[iv] 泉久雄「非嫡出子の相続権に関する一つの覚え書」『家庭裁判月報』 29(6), p1-23, 1977

[v] 釜田泰介「Lalli v.Lalli,439 U.S.259,99 S.Ct.518(1978)--非嫡出子が無遺言相続により,父親から相続する場合には,父子関係の存在を証明する特定の証明書の提出を求めるが,嫡出子に対してはこれを求めていないニューヨーク州法は第14修正の法の平等保護を侵害するものではないとされた事例」『アメリカ法』1981-1

[vi] 泉久雄 前掲論文

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