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2014/02/13

昭和52.12.20神戸税関事件最高裁第三小法廷判決(民集31-7-1101)の意義について

昭和52.12.20神戸税関事件最高裁第三小法廷判決(民集31-7-1101、判時874、判タ357)の意義について
     
 全逓名古屋中郵事件最高裁大法廷判決(昭和52.5.4刑集31-3-182)は公務員の争議行為一律禁止を合憲としただけでなく、団体交渉権も憲法上の権利としては否定した重要判決としてよく知られているが、同判決は刑事制裁についての判断であって、争議行為を理由とする懲戒処分について最高裁の初めての判断を示したのが神戸税関事件最高裁第三小法廷判決である。
 同判決は、昭和36年の勤務時間内くい込み集会、繁忙期の怠業、超過勤務拒否等の争議行為等に指導的な役割を果たした全税関神戸支部幹部三名の懲戒免職処分を適法としたものであり、110の被引用判例がある指導的判例であるが、懲戒権者の広範な裁量権を是認し、社会観念上著しく妥当を欠くもの、裁量権付与の目的逸脱・濫用したものでない限り違法にならないと判示した。
 同判決の第一の意義は、全逓東京中郵事件判決(最大判昭和41.10.26刑集20-8-901)以来争議行為禁止規定の限定解釈の流れから続出していた、懲戒処分の適用について一層のしぼりをかけた下級審判例を明確に否定したことにある。
 例えば神戸税関事件の第一審判決(神戸地裁昭和44.9.24)「争議行為であっても‥‥違法性の弱いものについては、国公法九八条五項で禁止する争議行為には当たらないものというべき」という。この立場に立つ裁判例としては(イ)山形地判昭和四四・七・一六(鶴岡市職事件、労旬712号)(ロ)佐賀地判昭和四六・八・一〇(佐教組事件判時六四〇号)(ハ)東京地判昭和四六・一〇・一五(都教組事件、判時六四五号)(ニ)高松高判昭和四六・一二・二四(全財務四国地本事件労旬八〇五)。とくに都教組事件東京地裁判決は地公法三七条一項は「(イ)公共性の強い職務に従事する地方公務員の、(ロ)国民生活の全体を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれがあり、(ハ)他の手段による制限ではそのおそれを避けることができない争議行為に限って、これを禁止したものと解すべきである」として、刑事事件である最高裁都教組勤評事件判決の論理を、民事事件にも適用し貫徹した。また、そもそもスト禁止法規違反の争議行為に対しては懲戒処分は科し得ないとする学説に立脚した裁判例として東京地判昭和四六・一・一二(全逓都城郵便局事件、労民集二二巻六号一〇三〇頁判時658号)がある。〔外尾健一「公務員の争議行為と懲戒処分-神戸税関事件」ジュリスト増刊(労働法の判例第二版)〕
 神戸税関事件最高裁判決は、昭和52年全逓名古屋中郵事件大法廷判決が、全逓東京中郵判決を明示的に変更して、争議行為一律禁止が合憲としたことを踏まえ、争議行為を理由とする懲戒処分について懲戒権者に広範な裁量権を是認したものである。

 (1)行政当局の処分実例である一般的な服務規定違反との競合説を是認

 神戸税関判決は、行政当局の処分事例として一般的にとられていた争議行為禁止規定が他の服務規定違反とが競合的重畳的に成立するとする説(競合説)を是認したものである。
 越山安久の判例解説(最高裁判所判例解説民事篇昭和52年414頁以下)によると、「争議行為禁止規定とその他の服務規定とは、その趣旨、目的、保護法益を異にし、その双方に違反する以上、競合的に適用されるのは当然である」というものである。
 つまり国家公務員が争議行為を行った場合、争議行為を禁止した国公法98条2項(本件では旧98条5項)、法令または上司の職務上の命令に違反に従う義務を定めた98条1項、職務専念義務を定めた101条1項、組合活動により勤務中の職員の勤務を妨げてはならない義務を定めた人事院規則14-1第3項、場合によっては信用失墜行為を禁止した国公法99条に違反することになる。
 これを地方公営企業にあてはめれば、争議行為を行うことは、争議行為を禁止する地公労法11条1項に違反すると同時に、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務を定めた地公法32条、勤務時間中の職務専念義務を定めた地公法35条に違反し、争議行為禁止規定と服務規定の双方に競合重畳的に適用されることとなる。

 (2)競合説是認でプロレーバー学説は明確に否定された

 神戸税関判決が否認した非競合説とは、争議行為における個別的服務義務違反は、通常争議行為に随伴する行為であるから、争議行為禁止規定と他の服務規程は法条競合になるというものである。越山安久の前記解説では「争議行為の実行でなく、その企画、共謀、あおり、そそのかしの場合にはその禁止規定と他の服務規定との間において構成要件的包摂関係を認めることは困難」としてその難点を指摘している。
 しかしながら私が思うに、競合説を是認し非競合説を否認した意義はプロレーバー学説の否認にあると考える。
 当時の学説の多くは争議行為実行者の懲戒処分に否定的だった。つまりプロレーバー労働法学者は労働基本権確立、階級的戦闘的組合活動支援の立場から、争議行為の権利は、集団的行動の権利であり、団体的組織的行動である争議行為は、職務秩序に違反する職員の個別的非違を制裁する懲戒制裁とは論理的性格を異にするので、原則として懲戒処分を科しえないとするとし、裁判例にもこのような考え方を示すものがあった(前掲東京地裁昭46.11.12全逓都城郵便局事件判決)。〔室井力「公務員の争議行為と懲戒処分-神戸税関事件・四国財務局事件-」『ジュリスト』臨時増刊666〕 
 部分ストであれ争議行為は集団行動であるが、争議行為でない公務員の個別的非違行為を懲戒制裁する場合にふつう適用される、上司の職務上の命令に従う義務、法令を遵守する義務、職務専念義務やその他の規則の違反にも該当することを明らかにすることによって、争議行為を行った個々の職員に対する懲戒処分を承認したという意味が、非競合説よりより明確なものになったということである。
 集団行動であっても個々の職員の行為の総和であり、個々の職員の非違行為としても責任が問うことができる。
 また、争議行為に対して職務上の命令は発せられないというプロレーバー学説があったが、それも職務命令違反を懲戒事由として認めたことにより明確に否定している。
 なお、昭和52年5.4全逓名古屋中郵事件大法廷判決は、ストライキの単純参加者については刑事制裁を免れることを明らかにしているが、単純参加者の懲戒処分については神戸税関事件判決を引用した多くの判例が是認していることである。
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  参考資料として国の各省庁(三公社五現業を含む)、地方自治体の争議行為対応について下記の14ケース(いずれも争議行為実行の懲戒処分をめぐる判例-引用は一審の場合を含む)を抜粋した。公務員の争議行為を理由とする懲戒処分の指導判例になっている神戸税関事件、全逓東北地本事件を含む。14ケースはサンプルとして少ないかもしれないがおおまかな傾向を把握することはできると考えた。
 1.神戸税関(全税関神戸)事件 最三小昭52.12.20 (大蔵省)
 2.全逓東北地本事件 最三小昭53.7.18 (郵政省)
 3.北海道釧路市庁(全道庁釧路総支部)事件 札幌高裁昭56.2.29 (北海道)
 4.日本専売公社山形工場事件 最一小昭56.4.9 (専売公社)
 5.全運輸近畿陸運支部兵庫分会事件 最二小昭60.11.28 (運輸省)
 6.全商工事件 東京地裁昭61..3.25 (通産省)
 7.全林野広島営林署分会 最二小昭62.3.20 (林野庁)
 8.全林野旭川地本事件 最二小昭62.3.27 (林野庁)
 9.北九州市清掃局事件 最三小昭63.12.9(北九州市)
 10.北九州市病院局事件 最三小平1.4.25(北九州市)
 11.全農林賃金闘争等懲戒処分事件 東京地裁平2.4.19(農林省)
 12.福岡県職労(43.44.46闘争事件) 福岡高裁平3.9.18(福岡県)
 13.全気象東北支部仙台分会事件 最三小平5.3.2(気象庁)
 14.人事院(全日本国立医療労組)事件 東京地裁平11.4.15(厚生省)
 
 
 国の各省庁の争議行為の対応は、温度差こそあるもののパターンはほぼ同じである。昭和46年の全農林の勤評闘争事件の東京地裁平2.4.19判決(判時1349)が次のように記されている。
 「農林省は、同年六月二二日、全農林中央執行委員長に対して、ストライキの実施に対して厳正な措置をとる考えである旨の農林事務次官名義の警告書を交付するとともに、下部機関の管理者に対して秘書課長の名義の通達を発し、勤務評定に関する全農林との話し合い方法のほか、勤務時間内職場大会の実施についての全農林への下部組織への事前警告、解散警告及び職務復帰命令の発出、指導者、率先助勢者及び参加者の確認等、右ストライキへの対応策を指示した」
 つまり事前警告、解散警告及び職務復帰命令の発出、指導者、率先助勢者及び参加者の確認である。
 国の省庁の場合職場復帰(就労)命令は、たんに口頭だけでなく、妨害に対処するためマイク使用、懸垂幕、プラカードが用意されて徹底している省庁が少なくない
参考資料の1、5、6がそうである。3の北海道、9.10の北九州市、12の福岡県のケースは事前警告だけでなく、北海道と北九州市は事前に各職員に職務命令書を交付し、福岡県は職務命令を発している。9の北九州市清掃局事件では、ストの当日も就労命令をマイクで放送している。
 すべてに共通していえることはやはり、事前警告と職務命令(就労命令)、指導者、率先助勢者及び参加者の確認といえる。
 ただし、職務命令は、事前に定刻までに出勤し職務に従事する命令書を交付するケース等(なお全運輸近畿陸運支部兵庫分会事件では職務命令ではなく、警告書を各職員に交付している)と、ストライキ当日の解散命令・職場復帰命令を行なうケースに分かれており、両方行なうケースもある。

 ちなみに組合代表者宛ての警告として最善の例を挙げると郵政省である。2の全逓東北地本事件は昭和40年の事件だが、「郵政大臣は、四月二一日付の警告書をもつて、‥全逓臨時組合代表者に宛てて、万一組合が四月二三日の半日ストライキを実施するような場合においては、その責任者、指導者に対しては解雇を含む厳正な処分を行なうとともに、これに参加した職員については、減給以上の処分をもつて臨むとの趣旨の警告を発出」とし実際に指導者を解雇している。

1. 神戸税関(全税関神戸支部)事件 最三小昭52.12.20判決 民集31-7-1101 判時874号 判タ357号 (一審神戸地裁昭44.9.24、二審大阪高裁昭47.2.16 )
(昭和36年勤務時間内くい込み集会、繁忙期の怠業、超過勤務拒否等の争議行為等に指導的な役割を果たした全税関神戸支部幹部三名の懲戒免職処分を是認)

[引用は判決ではなく当局の本件処分の事由及び該当法条]
 (二) 一〇月五日の勤務時間内職場集会並びに庁内デモ
(1) 昭和三六年一〇月四日、神戸税関当局は、組合が発行した同日付ビラに、
「明日(一〇月五日)八時三〇分から九時一〇分まで早朝屋外職場大会が開かれる。」旨の記載があつたので、翌五日組合が勤務時間内にくいこむ職場集会を開くことを知つた。ちなみに、勤務時間は、午前八時三〇分から午後五時まで(土曜日は午後〇時三〇分まで)と定められていた。なお、当時当局では、午前九時五分までに出勤簿に捺印すれば、午前八時三〇分までに出勤したものとして取り扱つていたが、勤務時間の始期を午前八時三〇分より遅らせ、その間は勤務を要しないものとして取り扱うような措置はとつていなかつた。
(2) そこで、同日午後五時二二分、総務課長補佐G及び総務係長Pが、組合書記局におもむき、組合支部長である原告Aに対し、口頭で、「明日九時一〇分まで職大をやるそうですが、九時五分から執務時間ですから執務時間内にくい込まぬようにして下さい。」との税関長の警告を伝達した。
(3) ところが、翌五日午前八時四〇分頃から本庁舎前で開かれた職場集会は、右の警告を無視して午前九時五分後まで続行される模様であつたので、当局は、午前九時五分、同集会に参加中の約二〇〇名の職員に対して、次のような方法によつて執務命令を発した。即ち、本庁舎総務課文書係事務室及び別館図書室のいずれも道路に面した窓から、「職場集会に参加中の職員各位に通知します。勤務時間内の職場集会は業務に支障を来たし、かつ、国家公務員法違反になりますから、直ちに職場において執務して下さい。昭和三六年一〇月五日午前九時五分神戸税関長S」と記載した懸垂幕を掲出すると同時に、右各窓ぎわに設置した携帯マイクを使用して、文書係事務室からP総務係長が午前九時一〇分頃まで繰り返えし、また図書室から人事係長Qが数回に亘り、それぞれ右懸垂幕の記載事項を放送したのである。(4) 然るに、右集会はそのまま継続され、更に、これに引き続いて午前九時一二分頃から右集会に参加していた約三〇〇名ないし四〇〇名が、本庁舎内のデモ行進に移り、正面玄関入口から二階に上り、税関長室前廊下を経て南階段附近に到り、同九時一八分頃流れ解散した。
(5) 当局の国公法九八条一項に基づく右警告及び執務命令を無視して行なわれたこの職場集会に際して、原告らは、集会に先立つて本庁舎前にプラカード、マイク、組合旗などを持ち出してその準備をし、午前八時三〇分頃一般組合員の前に立つて労働歌の合唱をし、原告Aは、九時五分頃組合員の奮起と団結を要望する旨の演説を行ない、原告Bは、八時四〇分頃開会の挨拶を行ない、続いて組合が当面する諸問題についての演説を行ない、九時一〇分頃勤務評定反対などの抗議のため本庁舎廊下を一周するデモ行進をしようとの緊急動議を提案し、もつて右集会の運営を推進し、これを積極的に指導した。
(6) 右集会に引続いて行なわれた庁内デモに際して、D官房主事、R人事課長、G総務課長補佐らの制止にもかかわらず、原告Bは、人事課秘書係入口附近で、列外から携帯マイクを使用して、政暴法反対、勤評反対、五千円賃上げ、合理化反対、Sヤメロ、Dヤメロなどのシユプレヒコールを指導し、原告Aは、右同所附近で、列外から行進する組合員を誘導し、原告Cは、右同所附近で、隊列の 後部において行進を誘導した。
(7) 原告らが、警告及び執務命令を無視して職場集会を強行したことは国公法九八条一項、組合役員として集会を積極的に指導したことは国公法九八条五項前後段、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項前後段、デモ行進に参加しシユプレヒコールを指導し或いは誘導したことは国公法九八条五項前段(原告Bがデモ行進を提案したことは同項後段)、一〇一条一項、人事院規則一四―一第三項前段に違反し、国公法八二条一、三号に該当する。
(三) 一〇月二六日の勤務時間内職場集会
(1) 昭和三六年一〇月二五日、当局は、組合が発行した同日付ビラに、「明二六日早朝職大は、午前九時一五分まで全員参加しよう。」という趣旨の記載があつたので、翌二六日、組合が勤務時間内にくいこむ職場集会を開くことを知つた。
(2) そこで、同日午後五時二五分、D官房主事が、原告B、同Cその他組合役員の同席する総務課事務室において、組合支部長である原告Aに対して、勤務時間内の組合活動は業務に支障を来たすばかりでなく、国公法にも違反するから、このような行為のないようにとの趣旨を記載した税関長名の組合支部長宛警告書を手交した。
(3) ところが、翌二六日、本庁舎前で午前八時四〇分頃から同九時一六分頃まで、また東部出張所二階ベランダで午前八時四〇分頃から同九時一五分頃まで、それぞれ勤務時間内に職場集会が行なわれたので、当局は、次のような方法によつて執務命令を発した。即ち、本庁舎では、午前九時五分、同集会に参加中の約二〇〇名の職員に対して、前記(二)(3)に記載したと同様の場所に同様の懸垂幕を掲出すると同時に、図書室窓ぎわに設置した携帯マイクを使用して、Q人事係長が右集会の終るまで数回に亘り、右懸垂幕の記載事項を放送し、東部出張所では午前九時五分、同集会に参加中の約二五名の職員に対して、同出張所長Hが、口頭で、勤務時間内の職場集会は業務に支障を来たし、かつ国公法違反になるから、直ちに職場において執務せよとの趣旨の税関長の命令を伝達した。
(4) 当局の国公法九八条一項に基づく警告及び執務命令を無視して行なわれた右本庁舎前の職場集会に際して、原告A、同Bは、本庁舎前にプラカード、マイク、組合旗などを持ち出してその準備をし、原告Aは、午前九時五分過ぎ当局が出した執務命令に対する抗議のシュプレヒコール及び労働歌の合唱を指導し、九時一五分頃解散の宣言を行ない、原告Bは、九時一三分頃組合の活動に対する官側の措置について抗議団を派遣しようという緊急動議を提案し、もつて右集会の運営を推進し、これを積極的に指導した。

2.全逓東北地本事件 最三小昭53.7.18判決  民集32-5-1030頁 判時906号 (一審東京地裁昭49.7.1、二審東京高裁昭50.10.30)
(昭和40年賃上げ等を目的とする各拠点局における53分間、52分間、46分ないし4時間46分にストライキの決定・実施及び、原告が直接又は共謀の上行ったビラはり、集団交渉要求、集団示威行動、無断入室、ピケ解除拒否、無許可集会、同集会参加のそそのかし、あおり等の行為が正当な組合活動の範囲を逸脱し違法としたうえ、前記行為を理由とする全逓東北地本執行委員長(組合専従)の懲戒免職を是認)

[事前の警告]
 ‥‥全逓闘争指令第二一号に対し、郵政大臣は、昭和四〇年三月一六日付の警告書をもつて、全逓臨時組合代表者P10に宛てて、三月一七日の一時間ストライキは公労法一七条に違反する違法な争議行為であるから、これを取り止めるよう申し入れるとともに、万一これを実施した場合には、その責任者、指導者は勿論のこと、これに参加した者についても厳正なる処分をもつて臨む旨の警告を発した。さらに、仙台郵政局長(以下郵政局長という。)においても、同日付の文書または電報をもつて東北地本委員長および各地区本部執行委員長に宛てて、郵政大臣の前記警告と同趣旨の警告を発した。
 また、前記の全逓闘争指令第二六号に対し、郵政大臣は、四月二一日付の警告書をもつて、前記全逓臨時組合代表者に宛てて、万一組合が四月二三日の半日ストライキを実施するような場合においては、その責任者、指導者に対しては解雇を含む厳正な処分を行なうとともに、これに参加した職員については、減給以上の処分をもつて臨むとの趣旨の警告を発出し、他方、郵政局長においても、同日付の文書または電報をもつて、東北地本委員長および各地区本部執行委員長に宛てて、郵政大臣の前記警告と同趣旨の警告を発した。

[当日の状況と解散要求・就労命令等]
 酒田局関係
 原告は、前記郵政大臣および郵政局長の各警告を無視し、違法な闘争指令第二一号に基づく一時間ストライキを実施せしめる目的をもつて、昭和四〇年三月一六日、酒田局におもむき、同局局長P1に対し、一六日および一七日の両日、酒田支部の執行権を停止し、自己がストライキの実施責任者である旨の通告をなし、翌一七日、春闘統一行動総決起大会(以下大会という。)と称し、午前八時八分ごろ大会会場に入場し、酒田局の管理者の再三にわたる解散要求ならびに就労命令(午前八時四二分ごろ、大会会場入口階段付近において、同大会開催責任者である原告宛ておよび同支部長P11宛ての酒田局局長名の解散要求書ならびに午前八時三〇分から勤務を要する同局庶務会計、貯金、保険各課の職員に郵便課外務主事一名を加えた六一名に対する各人宛の就労命令書を、同局保険課長P12が支部執行委員P13に手交して伝達方を依頼し、さらに、同八時五五分ごろ同所において、前記両名に対する解散要求書を前同様の方法で、同執行委員に伝達方を依頼した。)を無視して集会を強行実施し、この間、全逓山形地区本部書記長P14をして約二五名の部外の応援者を指導せしめて、同局通用門前においてピケの任に当らしめ、また、大会終了後においては、原告は、大会参加者の隊列の先頭に並んでこれを引率して、午前九時二三分ごろ同局構内に到着し、参加した同局職員は、同時刻ごろ就労するに至つた。‥‥

 横手局関係
 ‥‥一時間ストライキを実施せしめる目的をもつて‥‥翌一七日、春闘統一行動総決起大会(以下大会という。)と称し、以下に述べるが如き行為に出でしめた。同書記長および同地区本部執行委員長ならびにその他の大会参加者は、同日午前八時三〇分ごろ大会会場に、二〇数名の者は個々的に、その他の者は一団となつて入場し、横手局の管理者の中止要求ならびに就労命令(午前八時四三分ごろ同書記長、同地区本部執行委員長および横手支部長P17の各人宛のP16局長名の中止要求書ならびに同八時三〇分から勤務を要する同局庶務会計、貯金、保険各課の職員三六名に対する各人宛の就労命令書を、同局庶務会計課長P18、郵政局人事部管理課課長補佐P19、同貯金部管理課服務係長P20らが大会会場におもむき、P19課長補佐がこれを交付しようとしたところ、同書記長は、自己宛ての中止要求書のみを同八時五七分ごろ受領するに至つたが、その他の分の受領を拒絶した。)を無視して集会を強行実施し、また、大会終了後においては、前記地区本部執行委員長を先頭に、隊伍を組んで同九時一五分局構内に入り、気勢を上げた後、同九時二〇分解散し、同九時二二分に就労するに至つた。‥‥‥‥

 仙台局関係
 ‥‥ 全逓中央本部は、指令第二六号発出に先立ち、四月一九日開催の中央執行委員会において、同月二三日に実施予定の半日ストライキの東北地本における拠点局に仙台局を決定するとともに、その実施責任者に全逓中央執行委員P4を派遣することを決定した。‥‥同執行委員は、四月二一日午後四時と五時の二回に分け、仙台局において、職場集会が開催された席上、同局が右ストライキ拠点局となつたこと‥‥そして、原告ら組合役員には、同執行委員の手足となりその指揮下に入つて行動すべき旨の指示を与えた。同執行委員は、翌四月二二日午前一一時四五分ごろ、原告、東北地本書記長P2、全逓宮城地区本部執行委員長P24、同書記長P8、同執行委員P23とともに仙台局に赴き、同局局長P26に対し、「四月二三日仙台局で実施する半日ストライキの指揮をとるため責任者として中央本部から派遣された、四月二二日、二三日の二日間当支部の執行権は一切停止し私が執行することになる。」と通告した。翌四月二三日牛前八時五〇分ごろから同一一時一〇分ごろまで仙台市日乃出会館七階ホールにおいて、欠務者三九九名、勤務時間外の組合員約五〇名、仙台局員以外の被告の職員約五〇名、それ以外の者約一五名が参加して、「四・二三半日スト第三次公労協春闘統一行動」と称し、集会を実施した。この間、仙台局庶務課長P28は、午前九時三五分ごろ、右集会会場の受付に赴き、東北地本執行委員P29に対し、全逓中央執行委員P4宛の仙台局局長名のストライキ中止要求書ならびに当日勤務を要する同局各課職員三八三名に対する各人宛の就労命令書を手交してこれが伝達方を依頼しようとしたが、同執行委員は、右ストライキ中止要求書のみを受取り、右就労命令書は受取らなかつた。その後午前一〇時五九分ごろ、右同所において、右仙台局庶務課長が前記P30執行委員に対し、前同様のストライキ中止要求書ならびに当日勤務を要する同局職員一六名に対する各人宛の就労命令書を手交してこれが伝達方を依頼しようとしたが、同執行委員はこれが受領を拒否したものである。右ストライキにより、その欠務時間は午前七時から同一一時四六分までの間(但し、保険課職員は、午前一一時四八分まで)最高四時間四六分、最低四六分間に亘つた。
 ‥‥
 3.北海道釧路支庁(全道庁釧路総支部)事件 札幌高裁昭56.2.29判決 労民32-5-231
 (本件は昭和41年の43年の争議行為について減給4ヶ月と戒告処分を是認)
[事前の警告と職務命令所の交付]
 政府は、(昭和四一年)一〇月一四日(公務員共闘第九次)統一行動の実施計画について、同日官房長談話、自治大臣談話を発表して、右統一行動が法秩序を無視した違法行為であることを警告し、さらに同月一九日内閣官房長官談話を発表して自重を要請した。北海道も、知事談話により同日全道庁に対し、右統一行動は一斉職場放棄で違法な争議行為であり慎重に行動することを求め、違反者に対しては厳正な措置をとる旨の警告を発し、釧路支庁長も、同日釧路総支部長に対し、右同旨の文書を交付し、支庁内に前記知事談話を掲示し、同月二〇日職員に対し、統一行動に参加せず定刻どおり出勤することを命じた職務命令書を交付した。
[当日のピケ解除要求等]
 統一行動当日の同月二一日、釧路支庁では、支庁長A、地方部長B、経済部長Cら管理職員が午前八時前頃までに登庁し、直ちに部、課長会議を開いて情報を交換し、ピケ隊による入庁阻止の実力行使を説得活動によつて解散させ、職員が支障なく通常勤務に就くことができるよう努めることを確認した。そして、前日の打合わせに従い、地方部長Bは、支庁舎正面玄関の責任者となつて社会福祉課前広場に、総務課、会計課、拓殖課、耕地課等及び教育局の職員約一〇〇名を集合させ、また経済部長Cは、支庁舎裏の責任者となつてプレハブ車庫の側に、社会福祉課、水産課、家畜保健衛生所等の職員約二〇名を集合させて入庁に備えた。他の管理職員も所定の部署に就いて監視の任に当つた。‥‥午前八時五〇分頃地方部長Bが、釧路総支部長Dに対して直ちにピケを解くよう要求する一方、正面玄関と裏出入口において、それぞれ携帯マイクで再三に亘つてピケの即時解除を求めた。庁舎内で監視していた支庁長Aは、午前九時二五分を経過してもなお入庁できず、前日、予め組合側に対して午前九時三〇分経過後も入庁できないときは警察官を導入する用意がある旨伝えていたことから、総支部長Dに対し、その旨あらためて意向を通告したところ、同支部長は、直ちに組合員に対してピケ解除を指示し、その結果午前九時三五分頃ようやくピケが解除され‥‥
 

4.日本専売公社山形工場(全専売山形工場支部包装分会)事件 最一小昭56.4.9判決 民集35-3-477頁 判時1001号 判タ442号(一審山形地裁昭47.11.27 判タ286号 仙台高裁昭53.3.31判タ369号)引用-一審
(日本専売公社は昭和44年春闘の賃金要求等のため全専売山形工場支部包装分会組合員が、全専売の指令により3時間10分のストライキに参加したこと(このためにハイライト480万本、わかば588万本の減産となり、2370万円の損害を蒙った)が公労法、日本専売公社法違反であるとして戒告処分に付した。これを是認したもの。本件は単純不就労者に戒告処分を付したことで注目できる判例である)
[事前の警告]
 三月一八日、勤務時間内くい込み行動の指令権を各地方部に委譲することを指令し、翌一九日には、同二七日勤務時間内職場大会は、全国の工場のほか地方局等でも実施することを指令したので、本社は、三月二〇日本部に対し、仙台地方局は、三月二五日仙台地方部に対し、山形工場は、三月二四日山形工場支部に対し、それぞれ、かような業務阻害行為は法の禁止するところであるのみならず、組合要求について交渉中に正常なルールを無視して違法不当な行為をすることは容認できず、かような行為を行なわないよう、またかかる違法、不当な行為を行なつた場合には、相当な処分をとらざるをえない旨の警告を発した。
 四月三日仙台地方部はストライキ投票を実施し、山形工場支部では投票総数五三二票中賛成が四二三票であつた。 ついで、四月九日、本部は、四月一七日に山形工場等を拠点としてストライキに突入できるよう準備を指令し、山形工場支部は、四月一〇、一二日の両日職場大会を開催するとともに、同一二日、工場の食堂、廊下、正門等に多数のビラ貼りを行ない、四月一四日ストライキ宣言文を食堂等に掲示するとともに、同日重ねて職場大会を開催してストライキ宣言を決議した。
 そこで本社は四月一二、一四、一六日本部に対し、仙台地方局は四月一四、一六日仙台地方部に対し、山形工場は同一四、一六日山形工場支部に対し、それぞれ前記‥‥と同様の警告を発した。
 なお、山形工場では、四月一五日職員に対しても同様の警告文を各人宛に郵送している。‥‥山形工場は、四月一五日以降構内の事務室、食堂、廊下、作業現場など職員の目のつくところに、組合の要求について交渉中であるにもかかわらず、正常なルールを無視して違法不当な行為をすることは容認できず、かような業務阻害行為は法の禁止するところであり、かかる違法不当な行為を行なつた場合相当な処置をとらざるを得ないこと、また、万一勤務時間内くい込み行動が行なわれてもこれに参加せず就労の意思のある職員は、四月一六日午前中に申し出るべき旨の警告文を掲示したうえ、これに参加しないよう、また右掲示を見るよう再三放送‥

[当日の就労の呼びかけ、解散命令]
 山形工場においては、四月一七日午前八時の始業時刻から、包装課に勤務する原告ら一六七名は、いつせいに勤務につかず、勤務時間内くい込み行動、(本件争議行為)を行ない、同日午前一一時一〇分までこれを続行した。‥‥同一七日、本件行動に参加しようとする職員に対し就労の呼びかけを行なうとともに、山形工場支部に対し、本件行動により職場を放棄して開催中の集会をただちに解散し、職員を職場に復帰させるよう再三にわたり通告した(二回以降は、復帰させないときは、厳正な措置をとらざるを得ない旨をも予告している。)

5.全運輸近畿陸運支部兵庫分会事件 最二小昭60.11.8判決 民集39-7-1375 判タ580(一審大阪地裁昭54.8.30判決、二審昭57.2.25判決、引用は一審)

(本件は、昭和44年勤務時間に15分程度くい込む(但し出勤簿整理時間)職場大会を実施し、交渉経過報告、決議文、メッセージ朗読等を行なった全運輸近畿支部兵庫分会分会長、副分会長に対する職務放棄、争議行為のあおり、そそのかしを理由とする戒告処分を是認)
[事前の警告]
(昭和四四年)一○月二三日総理府総務長官は、国公共闘議長に対しして公務員の自覚と反省を促し、違法な行動のないよう自重を求める旨の警告を発するとともに談話を発表し、同年一一月一二日、運輸事務次官は、全運輸中央執行委員長に対し、違法行為を行うことのないよう自重を求める旨の警告を発した。さらに、同月八日から一〇日にかけて被告局長から近畿支部長である原告Nに対し、大阪陸運局総務部長から本局分会長Mに対し、同局管内陸運事務所長から各分会長に対し、それぞれ「伝えるところによれば、貴組合においては来たる11月13日勤務時間内職場大会を計画している模様であるが、いうまでもなく国家公務員は、かかる争議行為は法令によって禁止されているところであります。当局は貴組合がもし伝えられているような違法行為を行った場合には、関係法令に基づいて必要な措置をとらざるを得ないので、貴組合の自重を強く要望します。」と記載した警告書を交付して警告し、さらに、当局は、同月八日から同月一一日にかけて各職員に対し、同月六日付運輸政務次官名による本件職場大会に参加しないようにとの内容を含んだ「職員のみなさんへ」と題した警告書を交付して、本件職場大会に参加することのないよう自重を求めた。これに対して、近畿支部及びさん下分会は、右警告書をあえて受取らず、或は交付したものを分会役員などにおいてまとめて当局に返還するという状況であった。右に加えて和歌山陸運事務所においては、同月一二日、所長交渉の際‥‥通告があったのに対し、同所長は勤務時間内にくい込む職場大会は違法であるのでとりやめること、庁舎管理規程に基づく目的外使用の許可を受けることについて口頭で警告し(中略)大阪陸運局(本局においては、同月一一日、原告Nから本件職場大会実施の通告があったのに対し、再度勤務時間内にくい込む職場大会は違法であるからとりやめるよう警告するとともに勤務時間中は職務に専念する義務がある旨強調し、さらに同月一二日、同局総務部長から原告Nらに対し、再度勤務時間にくい込む職場大会を中止するよう説得した。又、大阪陸炎局及び管内各府県陸運事務所において、同月一二日、当局は、全職員に対し、勤務次官は午前八時三〇分から午後五時まで(本局においては午前九時五分から五時二十分まで)であること及び勤務時間にくい込む職場大会に参加することは違法である旨伝えた。

[当日の解散命令・職場復帰命令] (兵庫県陸運事務所のみ詳細に記す)
[1]和歌山県陸運事務所
 A和歌山県陸運事務所長は、午前八時四〇分頃、分会長である原告Yを呼び、右大会が勤務時間にくい込んでおり、許可のない場所で行われているので、解散するよう口頭で命令した。
[2]奈良県陸運事務所
 M輸送課長は、午前八時四〇分頃、原告Kをはじめとする大会参加者に対し、勤務時間内の無許可集会であるから解散するよう口頭で命じた。
[3]兵庫県陸運事務所
 兵庫分会(本所)における本件職場集会は、兵庫県陸運事務玄関前横庭において、午前八時二〇分頃から同四二分頃まで四七分頃まで四七名の組合員が参加して行なわれた。右大会の進行は、開会宣言から始まり、分会長原告Kがあいさつ及び職場大会の意義について約七分間演説を行い、その後書記長らから経過報告、メッセージの紹介、闘争宣言の朗読がなされ、がんばろう三唄し、労働歌を合唱して終了した。その間O総務課長は、分会長原告Kに対し、午前八時二五分ころ「この集会は無許可であるからすぐ解散せよ」との、又、同三六分頃「時間内にくい込む大会は違法であるからすぐ解散しなさい。」との解散命令を口頭で伝え、さらに同四〇分頃、全参加者に対し、プラカードに解散・職場復帰命令を記載して伝達した。
[4]兵庫県陸運事務所姫路支所
 A姫路支所長は、午前八時三五分頃、T副分会長に対し、組合旗が建ててあること及び勤務時間内にくい込む右大会は違法であることを口頭で注意し、さらに同四九分頃、参加者全員に対し、解散するよう口頭で命じた。
[5]京都府陸運事務所
 O総務課長は、八時二五分頃、分会長である原告Tに対し、解散命令書を手交しようとしたが同原告はこれを拒否し、同三六分頃、同課長が参加者全員に対し、解散命令及び職場復帰命令をプラカードに記載して掲出し、同四五分頃、原告Tに解散命令書を手交したが、同原告はこれを受領することを拒んだ。
[6]大阪府陸運事務所[大阪分会)
 A次長は右大会参加者に対し、始業時間に入ったので、それぞれの職場に戻るよう伝え、本件職場大会の解散を二度にわたり繰り返し口頭で命令したが、依然として右大会は続けられたので、分会長原告Uに対し、所長名による解散命令を手交しようとしたが、がんばろう三唄の直ちに解散したので右命令書を手交するに至らなかった。
[7]大阪陸運局(本局分会)
 午前八時五一分頃、O総務課長が「無許可集会に付き直ちに解散せよ」との局長命令を大声で二度繰り返して伝え、午前九時四分頃、T人事課長かぜ「九時五分が勤務時間であるから直ちに解散して勤務につくように」との局長命令を二度にわたり大声で伝えた。

6.全商工事件 東京地裁昭61.3.25判決 判時 1189号
(昭和44年通産省職員で組織する全商工が人事院勧告完全実施を要求する国公共闘、公務員共闘の配置する統一行動に参加し、一支部二八分会において勤務時間に29分食い込む(*但し出勤簿整理時間内)職場大会を実施。全商工本部・支部・分会役員原告八名を含む37人に戒告処分、85人に訓告、6300人に厳重注意)
 *当時、通産省の勤務開始時刻は原則午前八時三〇分であるが、本省など大都市部においすては大臣訓令により開始時刻を遅らせる措置をとっており、大部分の者が午前九時一五分とされ、九時三〇分まで出勤簿整理時間とされ、その時刻に出勤簿を押せば遅刻扱いにならないとの取扱いが定着していた。

通産省本省での争議行為

[事前の警告]
 通産省大臣官房のM秘書課長は同年一〇月二一日、全商工のM執行副委員長及びI書記長なに対し、‥‥一一月一三日に予定している勤務時間内食い込み早朝職場大会は違法であるとして‥‥勤務時間内に食い込んで行われた場合には、厳重に処分せざるを得ない旨通告した。更に、当局は、同年一〇月二三日付付けで、「職員の皆さんへ」と題する次官文書を通産省の職員全員に配布した。次官文書には、勤務時間に食い込む職場大会手は明らかに国公法で禁止された争議行為であり、「このような司法な職場大会には絶対に参加しないようにしてください。」「職員の給与の改善については、当局としても出来る限り努力しております。職員の皆様の自重を切望してやみません。」との記載があった。これとは別に総理府総務長官が同日付けで‥‥公務員共闘の統一ストライキについて、公務員はいかなる場合も争議行為をしてはならないから、‥‥ストライキ宣言を発することは遺憾であるとし‥‥自重を求める談話及び公務員共闘議長に対する同旨の警告書を発していた。通産省当局は、右談話及び警告書についても職員らに周知させるとともに、全商工のI書記長にもそれらの写しを交付しはて自重を求めた。‥‥その後全商工は、同年一一月七日、大平通産大臣と交渉して‥‥大平通産大臣は、人事院勧告の完全実施には努力するが、時間内食い込みの職場大会はしないよう要望した。以上のほか当局はもM秘書課長において、同月一一日に全商工幹部に対し、翌一二日には全商工本部のM副委員長とI書記長に対し、それぞれ同月一三日の職場大会は必ず勤務時間内に終わるよう要望し、同月一二日には再び同旨の次官文書を作成し、各庁舎に掲示してその趣旨を職員らに周知させた。また内閣官房長官は、同日、公務員は法律によって一切の争議行為を禁止されているから、違法なストライ的は行わないよう、関係組合員の自省自戒を要望する旨の談話を発表し、右談話は一般報道機関を通じて広く報道された。
[当日の解散命令]
 ‥‥大臣訓令所定の勤務開始時刻である午前九時一五分近くになっても、職場大会は終了する様子がみられなかった。‥‥当局ではT官房審議官が、午前九時一四分ころ、被告事務次官名によるI本省支部執行委員長あての解散命令書を携えて庁舎内から中庭に赴こうとしたが、中庭の入口付近に待機していた三四名の組合員らに中庭に入ることを拒まれ、やむを得ず引き返した。そこで、午前九時一六分ころU人事専門職が、官房長室から中庭に向けて設置した拡声器により「ただいま九時一五分を過ぎ勤務時間です。本省支部委員長に対し、事務次官より解散命令が出されています。組合が現在開催している職場大会は違法であり、かつ勤務時間中における中庭の使用は許可していないからただちに解散しなさい。」との放送を二度繰り返したが、組合は無視‥‥更に、午前九時一八分ころ、官房室から就業命令を記載した懸垂幕を垂らして大会参加者に対し就業命令が発せられたことを明示するとともに、U人事専門職が拡声器で「大会に参加している職員に対し、事務次官より就業命令が出されています。皆さんの参加している職場大会は違法であるから、直ちに解散し就業しなさい。」との放送を二度繰り返した。

東京通産局の争議行為

[事前の警告]
 当局は、同年一〇月二二日、S総務部長が東京通産局分会のI事務局長及びH事務局次長に対し、「職場大会は勤務開始時刻まで終わらせるよう組合の良識ある行動を期待する。もし違法な職場大会が行われるようであれば、主催者はもとより単純参加者も法に照らして処分せざるを得ない」旨伝達した。‥‥翌二三日には、各課において職員に対し、本省から送付されてきた‥‥「職員の皆さんへ」と題する事務次官文書を配布し、同月二九日には‥‥総理府総務長官談話の写しを各課に配布してた職員に回覧させた。しかし、東京通産局分会は、組織的に次官文書の返上運動を行い‥‥
[当日の解散命令]
 当局は、これが庁舎管理者の許可を受けないで行われていることから、東京通産局長名の解散命令書を作成し、午前九時ころ、I総務課長及びT会計課長が、これを原告Aに手交するため、本局庁舎九階の局長室から東側の廊下を通って大会場に赴こうとしたが、廊下の途中で分会の組合員七、八名からなるピケ隊に阻止され、命令の趣旨を説明して通行を求めても阻止を解かなかったため、やむなく引き返した。更に、勤務時間開始時刻で゜ある午前九時一五分になってもね本件職場集会が続行されていたので、K総務部長が、I、Tの各課長と課長補佐二名を伴って、右解散命令書を原告青山に手交するため大会場に赴こうとしたが、前同様ピケ隊阻止された。さのころK海水課長補佐は、局長の命により就業命令を記載したプラカードを携えて大会場に赴こうとしたが、やはりピケ隊に阻止されたため、その場でプラカードを高く掲げて大会場の方向に示した。

7.全林野広島営林署分会事件 最二小昭62.3.20 判タ634号(一審広島地裁昭51.4.21 判タ346号、二審広島高裁昭57.8.31)引用-一審

 (昭和46年全林野の指令に基づいてストライキに参加した常用作業員又は定期作業員106名に対する減給一月(減給の割合は10分の1)を是認)
 
[当日の職場復帰命令]
原告ら(原告M、原告Hを除く。)は、全林野の出勤時から半日のストライキ指令に基づき、昭和四六年四月二三日午前八時頃から広島県佐伯郡湯来町の神社境内に集合し、全林野大阪地方本部副執行委員長Hの指導のもとに組合集会を行った。被告(広島営林署長)は、広島営林署の管理官、庶務課長、事業課長、経営課長、労務係長を右集会を継続し、その結果、右集会を解散して職場に復帰するよう再三にわたり被告名義による職務上の命令を発したが、右原告らは、これを無視して集会を継続‥‥

8..全林野旭川地本事件  最二小昭62.3.27判タ634号(一審旭川地裁昭50.7.17 判タ328号、二審札幌高裁昭57.10.27 労民集33-5-893頁)
引用-一審

(昭和46年春闘として大幅賃上げなどの諸要求を貫徹するため3回にわたり全国72営林署で統一ストライキを実施したが、本件は争議行為を指導した地本役員に対する10日ないし3月の停職、争議行為参加者に対する減給一月~三月又は戒告処分を是認)

[当日の職務復帰命令]
 全林野旭川地方本部傘下にあっては‥‥当局の事前の警告を無視して旭川地本の直接指導のもとにつぎのようなストライキを行った。

(1)昭和四六年四月二三日(金曜日)
 傘下の五営林署分会は、始業時間から一斉に職場放棄を行ったが、美瑛営林署においては、旭川地本美瑛営林署分会所属の五〇名が、北海道上川郡美瑛町の労働会館において、職務放棄のうえ勤務時間中に無許可の職場集会を行い、被告美瑛営林署長の再三の職務復帰の命令を無視して四時間にわたりその職務を放棄した。
(2)同月三〇日(金曜日)
 傘下の二営林署分会は、始業時間から一斉に職場放棄を行ったが、名寄営林署においては、旭川地本名寄営林署分会所属の三四名が、北海道中川郡中川町の末広旅館において、職務放棄のうえ勤務時間中に無許可の職場集会を行い、被告名寄営林署長の再三の職場復帰命令を無視して四時間にわたり職務を放棄をした。
(3)同年五月二〇日(木曜日)
 傘下二営林署分会は、始業時間から一斉に職場放棄を行ったが、羽幌営林署においては、の二営林署分会は、始業時間から一斉に職場放棄を行ったが、名寄営林署においては、旭川地本羽幌営林署分会所属の四八名が、北海道苫前郡羽幌町の石崎旅館において、職務放棄のうえ勤務時間中に無許可の職場集会を行い、被告羽幌営林署長の再三の職場復帰命令を無視しておよそ一時間四五分から二時間四〇分にわたり職務放棄した。

9. 北九州市清掃局事件 最二小昭63.12.9判決  
引用-第一審判決 福岡地裁51.7.22 民集42-10-940

(昭和43.10.8北九州市清掃事務局、小倉西清掃事務所で市清掃局員の57分ストライキが実施され、管理職に対する詰所への三回にわたる入室拒否行等を理由とする市労本部執行委員兼青年部長の懲戒免職、市労小倉支部長と同支部執行委員の停職三月を是認)
 [事前の警告と職務命令書の交付]
 一〇月四日市労(北九州市役所労働組合)にストライキを行うことは違法行為であるので中止するよう警告書を交付し、さらに同月七日各職員に対し前記警告書及び職務命令書を交付し、職務に従事するよう命じた。小倉西清掃事務所においても一〇月四日事務所及び作業員詰所に市長名による警告文を掲示するとともに同月七日各職員に対し前記警告書を交付し、職務に従事するよう命じた。
 [当日の就労命令]
 一〇月八日午前八時一五分前後に副所長がマイク放送により職場集会をやめて職務に就くよう、三回にわたり繰り返し職務命令した。(但しこのマイクは組合が事務所にかしていたものだった)

 
10. 北九州市役所病院局事件 最三小平1.4.25判決 判時1336号 判タ719号(一審福岡地裁昭55.5.7、二審福岡高裁昭58.9.29 判タ534号-引用高裁判決)

(昭和42年市立病院職員266人分限免職等の財政再建計画に反対して、11月14日市の一般行政職員の約1時間の職場放棄と、同月15日二か所の病院職員24時間の同盟罷業を企画、指導、参加した組合役員の懲戒処分(免職1名、停職一月~六月4名)を是認)
 
[事前の警告]
(昭和四二年一一月六日)*北九州市長谷伍平は記者会見して、「市労連が予定されているストライキを実施した場合は厳しい処分を行う」と警告を発した‥‥病院労組は同月六日福岡県地方労働委員会に対し‥‥交渉促進等の調停を申請し、同地労委は同月一一日‥‥労使双方の事情聴取を行ったがその席上、病院局長が‥‥H執行委員長に対し、スト体制は是非といてもらいたい。そのうえで団体交渉をしよう。」と要請したが‥‥組合側が‥‥拒否した。‥‥同月一二日ころ、同月一四日に市職、市労による始業時から1時間の職場集会を‥‥翌一五日に病院労組による門司病院及び八幡病院における二四時間ストを実施することを決定‥‥市当局は同月一三日市長、市教育委員会名義で各職員に対し、同月一四日及び一五日は定められた勤務時刻に出勤して職務を遂行するようにとの職務命令書を交付し、さらに、同日午後五時頃から約二時間にわたり‥‥谷市長は、自治労現地闘争本部と話合いをし、谷市長は組合側に対し病院・水道両事業の窮状と財政再建の重要性を訴えたが‥‥物別れに終わった。‥‥組合側が一三日付で右職場集会・実力行使の通告をしたのに対し、市当局は同月一四日には病院職員に対し、翌一五日の勤務につき病院長名義の同旨の職務命令書を交付した。

*参考・谷伍平北九州市長時代の労使関係についての記事
 http://www.mainichi-kitakyu50.jp/体張って合理化推進/

11.全農林賃金闘争事件 東京地裁平2.4.19判決 判時1349号
(昭和46年全農林は大幅賃上げ及び勤評反対等目的として、5月20日に組合員約万3万1千人が勤務時間に2分から29分くい込む職場集会に参加、7月15日には組合員約3万5千人が勤務時間に5分から60分くい込む職場集会に参加、また6月28日には勤評反対のために、組合員約1万3千人が午後一時以降の勤務時間に3分から17分くい込む職場集会に参加し職務に放棄した。農林省はストへの参加又はこれをあおり、そそのかしを理由として戒告かに1ヶ月から5ヶ月間の俸給の一〇分の一の減給という懲戒処分を行った。原告39人が処分取消しを求めて訴訟を提起した地裁は懲戒処分を是認。)

〔事前の警告]
 農林省は、右の五・二〇ストライキに関して昭和四六年五月一七日、また七・一五ストライキに関して同年七月一三日、それぞれ、全農林中央執行委員長に対して、ストライキの実施に対して厳正な措置をとる考えであるので次長を求める旨の農林事務次官名義のに通達を発し、全農林の下部組織への事前警告、ストライキの指導者、率先助勢者の確認、事後報告等、右各ストライキへの対応策を指示した。‥‥
 〔六・二八ストライキに関して〕
 農林省は、同年目六月二二日、全農林中央執行委員長に対して、ストライキの実施に対して厳正な措置をとる考えである旨の農林事務次官名義の警告書を交付するとともに、下部機関の管理者に対して秘書課長の名義の通達を発し、勤務評定に関する全農林との話し合い方法のほか、勤務時間内職場大会の実施についての全農林への下部組織への事前警告、解散警告及び職務復帰命令の発出、指導者、率先助勢者及び参加者の確認等、右ストライキへの対応策を指示した。
(北海道本部余市分会)
 農林省当局は、それぞれ、余市分会の執行委員長である原告H〔減給十分の一ヶ月〕に対して、文書で、違法な職場集会に対しては厳重な措置をとる方針である胸の事前警告を行なうとともに、組合員に対しても、「職員の皆さんへ」と題する北海道区水産研究所長名義の文書を庁舎内に掲示するなどして、違法な職場集会に参加することがないよう警告し、併せて、ストライキ当日は出勤簿整理時間を認めない旨を告知した。
(宮城県本部仙台分会)
 農林省当局は、それぞれ。仙台分会の役員に対して、警告文を読み上げるなどして事前警告を行なうとともに、組合員に対しても、「職員の皆さんへ」と題する文書を庁舎内に掲示するなどして、違法な職場集会に参加することのないよう警告し、併せて、ストライキ当日は出勤簿整理時間を認めない旨を告知した。
[当日の解散・職場復帰命令等]
(北海道本部余市分会)
 余市分会は右の各警告にもかかわらず、六・二八及び七・一五の各ストライキを実施した。
 なお、右ストライキの最中においても、農林省当局は、再三にわたり、これらに参加していた組合員に対して、口頭または又は書面で解散命令、職場復帰命令を伝えたが、右ストライキに参加していた組合員らは、これに従わなかった。
 昭和四六年六月二十八午後零時四語分ころから同一時一三分ころまで、北海道水産研究所庁舎二階会議室において、余市分会組合員約二三名が参加して、勤務時間に食い込む職場集会が実施された際、原告Hは、余市分会執行委員長として、終始これに参加し、当日の勤務時間中一五分間にわたり職務を放棄した。
 なおHは、その間、勤評反対闘争の状況について説明を行なうなどして、右集会の実施に関し指導的な役割を果たした。
〔七・一五は略〕
(宮城県本部仙台分会)
 仙台分会は、右の警告にもかかわらず、五・二〇及び七・一五の各ストライキを実施した。
 なお、ストライキの最中にも、農林省当局は、再三にわたり、これらに参加していた組合員に対して、口頭により、解散警告及び職場復帰命令を発したが、右ストライキに参加していた組合員らは、これに従わなかった。〔以下略〕
 

12.福岡県職労(43.44.46闘争)事件 福岡高裁平3.9.18判決 労判601号 (原審福岡地裁昭63.3.15判決より引用)

(昭和43.44.46年に福岡県職労が人事院勧告完全実施等を要求する一時間の時限ストに、争議行為しの決定・指導・参加等を理由とした懲戒処分(停職・減給・戒告)述べ323を是認した。争議行為を呼びかけたり、ピケを張った組合員が多数処分されている)。

[事前の警告]
 被告は、一〇月七日総務部長名をもって、本庁各課長及び各出先機関の長あてに、前記ストライキ〔昭和四三年一〇月八日勤務時間開始時刻から一時間のストライキ〕に参加することは違法行為であるので、所属職員にかかることがないよう十分指導するよう通達するとともに、所属長から所属職員に対し、一〇月八日午前八時三〇分までに出勤して、職務に従事するよう職務命令を発するよう指示した。右通達及び指示に基づき、各所属長は、各所属職員に対し、右趣旨を伝達するとともに、前記の職務命令を発した。

13..全気象東北支部仙台分会事件 最三小平5.3.2判決 判時1457号(一審仙台地裁昭60.9.25判決、二審仙台高裁平2.3.30判決)
(昭和46年全気象労組東北支部仙台分会が給与改善等を目的として勤務時間に食い込む職場集会が行われこれに参加し主たる役割を果たした分会長に対する戒告処分を是認-以下原審仙台高裁判決からの引用)
 
[事前の警告]
仙台管区気象台長は、六月二一日と七月九日及び一三日の東北支部との団体交渉の席上、同支部並びに同席した分会各役員に対し、本件ストライキからの中止を求めたほか、同月一四日、東北支部執行委員長に対し警告書をもって違法な勤務時間内職場大会を行うことのないよう自重を求め、もしこれを行った場合は、関係法令に基づき必要な措置をとらざるを得ない旨を警告し、また職員に対し、右同旨の運輸事務次官名の「職員のみなさまへ」と題する文書を印刷配布するとともに、これを庁舎掲示板に掲示して本件職場大会の不参加を要望するとともに、違反したときの措置につついて警告を行った。
[集会場の使用不許可]
‥‥終了時間を記入しないまま組合集会開催のためと称し、同月一五日から午前八時から一号庁舎正面玄関前広場の使用許可を求める旨の庁舎等の目的外使用許可申請書が提出された。〔中略・総務部長は、玄関前広場は許可しないが、絶対に勤務時間に食い込まないことを条件に中庭の使用を認める
‥]‥‥しかし、同日午後九時ころ本庁に連絡したところ‥‥会場等の使用許可を与えないようにとの指示を受けて‥‥許可は取り消す旨を控訴人Aに通告した‥‥
[当日の解散命令]
 午前八時三〇分になっても本件職場集会が解散に至らず、なおも継続される状況であったので、仙台管区気象台長は、T総務課長に対して‥‥違法集会の解散命令、組合員に対する就業命令の伝達を指示した。‥‥総務課長は、午前八時三一分ころ庁舎正面玄関から外に出て右命令を伝達すべく同玄関口まで行ったところ、K、Yら数名の支部執行委員に進路をふさがれたので、同人らに仙台管区気象台長の右命令を伝え、直ちに集会を解散し、組合員を就業させるよう申し向けたが、同人らは、右命令に応ずるどころか、同課長に対し口々に「不当干渉するな。」「帰れ。」等と騒ぎたて、同課長の進路に立ちふさがって、同課長を玄関口から外に出ることを断念させた。

14..人事院(全日本国立医療労組)事件東京地裁平11.4.15判決 労判761号
(平成三年全日本国立医療労組(全医労が)昭和40年に人事院が行った判定が20年たっても実現されていないとして、看護婦増員5000名等の早期実現を要求し、全国で二万五千名が参加した勤務時間に最大27分食い込む職場大会の実施につき、積極的に関与し指導的な役割を果たした組合員の戒告処分を是認)
(本省における警告)
 厚生省保健医療局管理課調査官H及び同調査官Mは、平成三年一一月五日、全医労本部の書記長M、同書記次長Wに対し、全医労が一三日に予定している時間内職場大会につき中止を勧告し、同月八日に厚生本省から全医労本部に対し、各施設から全医労各支部に対し、それぞれ警告をする旨予告した。
 厚生省保健医療局は、平成三年一一月八日、同局長名義の全医労医院長あて「全医労が一一月一三日に計画している時間内職場大会は違法なものである。もし違法な争議行為が行われたときには、関係法令に基づき厳正な措置をとらざるを得ないので、自重を強く要望する。」旨の警告書を用意した。前記調査官Hは、前記書記長Mに対し、右警告書を発出するから受取りにきてくれるよう電話連絡をしたところ、受取りを拒否されたので、右警告書を読み上げた上、郵送する旨伝え、同日、全医労本部あてに右警告書を配達証明・速達郵便で差し出したが、全医労はその受領を拒否した。また、国立病院、国立療養所等の二四二施設は、それぞれ各施設は、それぞれ各施設の全医労支部に同様の警告を行った
(全医労南福岡支部の争議行為)
‥‥南福岡病院においては、同病院長名義の南福岡支部支部長庶あての「貴支部は、来る一一月一三日に勤務時間内職場集会を計画している模様であるが、いうまでもなく、国家公務員子は、いかなる場合においても争議行為を行うことを許されず、このような違法行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならないこととなっている、当局は、貴支部が違法は争議行為を行った場合には、関係法令に基づき厳正な措置をとらざるを得ないので、違法行為が行われないよう貴支部の自重を強く要望する旨の警告書を用意し、同病院庶務課長Sが、同月一一日、南福岡病院応援室において、南福岡支部書記長K及び同書記次長Iに右警告書を交付しようとしたが、両名が受領を拒否したので、警告書を読み上げて警告した。
(全医労西多賀支部の争議行為)
[*当時の西多賀病院は現在の独立行政法人国立病院仙台西多賀病院]
[事前の警告]
 西多賀病院は、同病院長名義の西多賀支部支部長あての「貴支部は、一一月一三日に勤務時間内職場集会を計画している模様であるが、国家公務員は、いかなる場合においても争議行為を行うことを許されず、このような違法行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならないこととされている、当局は、貴支部が違法は争議行為を行った場合には、厳正な措置をとらざるを得ないので、違法行為が行われないよう貴支部の自重を強く要望する」旨の警告書を用意して、西多賀病院庶務課長T及び会計課長Kの両名が、同月八日、西多賀病院中央材料室において、西多賀支部副支部長Yにに同警告書を交付しようとしたが、同人は右警告書の受領を拒否した。
 西多賀病院は、同月一二日、同病院長名義の職員あての「全医労西多賀支部は来る一一月一三日早朝時間内職場集会を計画している模様であります。すでに承知のとおり、勤務時間内職場は国家公務員法で禁止された争議行為であります。このような違法行為には、絶対に参加しないようにしてください。もし、これに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえないので、皆さんの良識ある行動を望んでやみません。。」と記載しこの書面を、西多賀病院内の四か所の掲示板に掲出‥‥。
[当日の解散命令等]
 西多賀病院の事務部長Sは大会参加者に対し、勤務時間前の同日午前八時一八分及び一九分に、構内の向け許可使用を理由に解散命令を発し、勤務時間に入った午前八時三〇分、三一分及び三六分の三回にわたり、本件職場大会は時間内の職場大会で違法であるとの理由による解散命令及び就業命令を発したが、大会参加はこれを無視‥‥

2014/02/12

スノボハーフパイプ面白かった

 スノボハーフパイプ決勝を結果がわかったうえで上位選手だけビデオでみた。中継をみたのは初めてだがけっこう面白かった。特に、金メダルを獲ったポドラドチコフ選手(スイス)の勝利に酔った姿が普通じゃなかった。大技を繰り出す選手が勝つという素人にもわかりやすい競技で、日刊ゲンダイが「ガキの遊び」と揶揄するのは間違いだろう。

2014/02/09

「偽ベートーベン」事件の感想

 「偽ベートーベン」事件について池田信夫は「情報過剰のネット社会で、こんな幼稚な嘘が18年もばれなかったのは驚異」http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51886904.htmlと書いている。Nスぺは見てないし、調性音楽と現代音楽の違いも全くわからない素人なのでとやかくいえないが、アマゾンのレビューをみても、「魂を揺さぶられた」とか五つ星で賞賛されており名曲であることには変わりない。週刊文春よりNHKを信じている人もすくなくないはずだ。佐村河内氏を持ち上げた音楽関係者を批判するのは問題があるように思える。
 作曲家の伊東乾のブログ「偽ベートーベン事件の論評は間違いだらけ」によれば「新垣隆君は、日本で芸術音楽の作曲に関わる者で知らない人のない、彼の世代のトップランナーの1人‥‥音楽家としての彼の格は国際的に見ても超一級」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39905と言い、新垣氏は本来は現代音楽の作家で、依頼の作曲は余技として引きうけただけじゃないかという。著作権の放棄という気前の良さについても誠実だからとのことである。
 専門外の余技なのに、あれだけ売れたクラシックの大作を書き、冬季オリンピックのフィギュアスケートの演目となる曲を書いてしまうというのは、やはり相当な才能のある人と評価してよいのではないか。18年間で700万円は少ないなと思っていたが、たんなる余技だからということで納得である。
 要するに佐村河内氏はかなり優秀な作曲家と組んだのでこれだけの評判を得、売れもしたということのようである。

2014/02/08

グーグルの虹色特別ロゴとオリンピック憲章の引用不愉快だ

 ソチ冬季五輪の開幕日、グーグルはゲイブランドの虹色の特別ロゴとするだけでなく人権云々というオリンピック憲章の抜粋が目に入って不愉快な思いをした。

 ITmediaGoogle、ソチ冬季五輪Doodleでロシアの同性愛者弾圧批判」http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/07/news060.html参照

 グーグルの祝日等の特別ロゴはよくことだが、今回のような政治的メッセージを前面にだすことはあまり記憶がなく、誤解を与えかねないし不愉快である。

グーグルの全世界のユーザーには、道徳的、宗教的規範を重んじ、その行為を“自然に反する破廉恥な行為”“重大な悪行”と認識、もしくは公序良俗に反すると考えている多くの人々がいるはずであり、虹色を見て不愉快に思った人はかなり多いと思う。すくなくとも真正クリスチャンはそれを認めないはずだ。

 問題となっているのは非伝統的な同性愛者の権利を訴えるプロパガンダを禁止する法で、表現権の問題と考えている。プライバシーに立ち入って行為そのものを処罰するというものではない。米英仏首脳が抗議するほど深刻な問題だとは考えないし、米英仏首脳は同性愛者の支持があって当選したか、もしくはその支持を得ることが選挙に有利と考えているから、打算で抗議しているだけであってそれ以上の意味をもたないと思う。

グーグルが特定の性的嗜好をもつ人々のプロパガンダを後押しするのは勝手かもしれないが、そもそもシンブルで何も書いてないポータルサイトが好きで利用していた人も多いと思う。それが、政治的メッセージを読まされるのだから不愉快なのだ。私は逆に同性愛に対する見解の相違、伝統的な宗教的・道徳的規範を重んじ公序良俗を維持したいと考える多くの人々、政府に対しても寛容であるべきだといいたい。

 合衆国の憲法理論では政府がこのましくないとする表現の主題、内容に向けられた制約については重大な表現の自由の問題を提議し、原則的に憲法上疑わしいものとされる(厳格司法審査)。ゆえに星条旗の焼き捨てのデモ、ハーケンクロイツを掲げるデモの規制は違憲である。人種差別的なメッセージを有する焼かれた十字架にしても威嚇目的でないかぎり規制できない。1992年のR.A.V判決(R.A.V. v. City of St. Paul, Minnesota, 505 U.S. 377は、火のついた十字架を中流以上の黒人の住居の敷地にたてたとことが、 「人種・肌の色、心情、宗教、ジェンダー」にもとづく怒りや恐怖をもたらすことを知りながら、火のついた十字架や鉤十字などの物体を設置した者を軽罪として処罰するセントポール市条例に違反するとして起訴された事件であるが、同条例を文面上違憲とした。法廷意見は好ましくない主題に関する見解だけを禁止することを許さないとする。

 つまり焼かれた十字架の人種差別メッセージ、ハーケンクロイツのナチス賛美というメッセージそれ自体を政府は禁止できない。なぜならば政府に嫌われている言論の保護こそ表現権の核心であるからである。

 しかしVirginia v. Black, 538 U.S. 343 (2003)は、威嚇目的で他人の土地や公共の場所で十字架を焼くことを禁止する州法を合憲とし、威嚇目的で十字架に火をつける行為は処罰できるとしたが、それ以外のヘイトスピーチの規制はアメリカでは困難だといわれる。(松田茂紀〚アメリカ憲法入門』七版 260頁以下、藤井樹也「ヘイト・スピーチの規制と表現の自由」〚国際公共政策研究』922005年〈ネット公開〉) 

 私はこのような憲法理論を基本的に支持するという意味でリベラルである。しかし世界的にみれば、特定の主題を制約する立法は、しばしばありうる。アメリカの基本権思想がグローバルスタンダードとはなっていない。

ドイツではナチスを賛美する宣伝が違法だといわれている。国連の人種差別撤廃条約第4条(a)及び(b)は、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき、処罰立法措置をとることを義務づけているが、日本・アメリカ・スイスは留保している。表現の自由に抵触するからであるが、そのような立法化がなされている国は、アメリカ合衆国の憲法理論によれば表現の自由のない国といってさしつかえないが、特定の主題に着目した表現を禁止している国もしくはそのような条約に留保なく批准している国がほとんどなのである。その良し悪しは別の問題としてロシアのあり方が特別のものとはいえないだろう。

 オリンピックは、宗教や道徳的価値とはかかわりをもたないが、伝統的倫理観を否定し、世俗化を促し、特定の人権思想を世界に広めることを目的とするものではない。むしろ政治的な問題には中立ではないのか。したがってグーグルの宣伝に疑問をもつものである。

 西欧では宗教的、道徳的罪の非犯罪化の動きは1960年代頃からの流れになっているが(1954年英国ウェルフェンデン・リポートの同性愛処罰立法の改正提言、1967年の改正)、それは宗教的規範による社会的道徳的紐帯の崩壊過程、世俗化が西欧で著しく進行したことを意味する。しかし一方で、それに反発する人々も多く存在するのである。その最大の抵抗勢力がアメリカのバイブルベルトと思っていたが、東方にも抵抗勢力があったということである。

 そもそも男色行為の非犯罪化は先進国のなかではたぶん、アメリカ合衆国はもっとも遅く、最も保守的な部類に属する。アメリカ合衆国で私的空間における成人の合意による肛門性交をなすことが憲法上保護されることなったのは2003年の連邦最高裁ローレンス対テキサス判決によってであり、ごく最近のことである。私は男色行為が「秩序づけられた自由」の概念にあてはまらないゆえ、基本的権利として承認したのは過ちだと思うのでケネディ判事が主導した同判決は賛同しない。それにしてもたった10年のことだ。

 

むしろ私は1986年のバウワーズ対ハードウィック判決を高く評価する。これはジョージア州の同性愛処罰法を合憲としたものだが、法廷意見を記したホワイト判事は、被上告人の主張を認めることは裁判所が最もやりたくないことである。それが憲法上の権利だなどというのは笑止千万お笑い草だと言ってのけた。それであたりまえだったのである。

 特にバーガー長官の補足意見は出色の出来であり「共和主義的憲法理論」を表すものとして評価されている。これこそがアメリカの魂だろう。

「男性同性愛行為に関する個人の決定は西欧文明の歴史を通じて常に国家の規制に服してきた。その種の行為に対する非難はユダヤ・キリスト教の道徳的・倫理的規範に強固に根ざしている。男性同性愛行為は、ローマ法においても死刑に相当する犯罪だった。‥‥イギリス法でも‥‥宗教改革の時代に、男性同性愛行為を刑法上の犯罪と定めた最初のイギリスの制定法[25Hen.VII,c,6(1533) ]が議会で制定されている。W・ブラックストンによれば、この男性同性愛行為という“自然に反する破廉恥な行為”は、強姦よりも“重大な悪行”であって、その行為に言及することすら人間の本性にとって羞恥となるような“極悪な行為” “最も卑劣な犯罪”である、と述べられている[W.BLACKSTONE,4Commentaries on the Laws of England,215176569]。イギリスのコモンローは、この男性同性愛行為処罰を含めて、ジョージア州その他のアメリカ植民地の法として継受され、1816年には、ジョージア州議会が本件で問題とされているような制定法を採択しているような制定法を採択している。その時以来、同制定法は今日まで文言に多少の変更があったとしても実施され続けてきた。したがって、そのような歴史的意味を有する男性同性愛行為を、連邦最高裁判所が、ここで合衆国憲法上の基本権として保障されるのだとすれば、至福1000年の道徳的教訓を棄て去ることになるだろう」と述べ、同性愛行為の禁止は州の立法権限として認められるとした。(松平光央「西洋文明、同性愛、バーガーコート」」『法律論叢』 60(23), p157-205, 1987

 真正クリスチャンであれば、キリスト再臨による千年王国を待望するのである。至福千年の道徳的教訓の意味には、宗教的規範が重んじられ人間が霊性を向上させていく社会観も示していると考えられるが、社会的な擬集力となる倫理、規範は断固擁護されなければならないという価値観が示されている。基本的に支持できることである。

 それを非犯罪化したのはユダヤ・キリスト教西洋文明二千五百年の規範からの逸脱であった。文明から逸脱しまいとするロシアの同性愛宣伝禁止法は、積極的には支持しないとしても、理解できることであり、大騒ぎするほどの問題ではないとかんがえる。

 

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