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2014/02/08

グーグルの虹色特別ロゴとオリンピック憲章の引用不愉快だ

 ソチ冬季五輪の開幕日、グーグルはゲイブランドの虹色の特別ロゴとするだけでなく人権云々というオリンピック憲章の抜粋が目に入って不愉快な思いをした。

 ITmediaGoogle、ソチ冬季五輪Doodleでロシアの同性愛者弾圧批判」http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/07/news060.html参照

 グーグルの祝日等の特別ロゴはよくことだが、今回のような政治的メッセージを前面にだすことはあまり記憶がなく、誤解を与えかねないし不愉快である。

グーグルの全世界のユーザーには、道徳的、宗教的規範を重んじ、その行為を“自然に反する破廉恥な行為”“重大な悪行”と認識、もしくは公序良俗に反すると考えている多くの人々がいるはずであり、虹色を見て不愉快に思った人はかなり多いと思う。すくなくとも真正クリスチャンはそれを認めないはずだ。

 問題となっているのは非伝統的な同性愛者の権利を訴えるプロパガンダを禁止する法で、表現権の問題と考えている。プライバシーに立ち入って行為そのものを処罰するというものではない。米英仏首脳が抗議するほど深刻な問題だとは考えないし、米英仏首脳は同性愛者の支持があって当選したか、もしくはその支持を得ることが選挙に有利と考えているから、打算で抗議しているだけであってそれ以上の意味をもたないと思う。

グーグルが特定の性的嗜好をもつ人々のプロパガンダを後押しするのは勝手かもしれないが、そもそもシンブルで何も書いてないポータルサイトが好きで利用していた人も多いと思う。それが、政治的メッセージを読まされるのだから不愉快なのだ。私は逆に同性愛に対する見解の相違、伝統的な宗教的・道徳的規範を重んじ公序良俗を維持したいと考える多くの人々、政府に対しても寛容であるべきだといいたい。

 合衆国の憲法理論では政府がこのましくないとする表現の主題、内容に向けられた制約については重大な表現の自由の問題を提議し、原則的に憲法上疑わしいものとされる(厳格司法審査)。ゆえに星条旗の焼き捨てのデモ、ハーケンクロイツを掲げるデモの規制は違憲である。人種差別的なメッセージを有する焼かれた十字架にしても威嚇目的でないかぎり規制できない。1992年のR.A.V判決(R.A.V. v. City of St. Paul, Minnesota, 505 U.S. 377は、火のついた十字架を中流以上の黒人の住居の敷地にたてたとことが、 「人種・肌の色、心情、宗教、ジェンダー」にもとづく怒りや恐怖をもたらすことを知りながら、火のついた十字架や鉤十字などの物体を設置した者を軽罪として処罰するセントポール市条例に違反するとして起訴された事件であるが、同条例を文面上違憲とした。法廷意見は好ましくない主題に関する見解だけを禁止することを許さないとする。

 つまり焼かれた十字架の人種差別メッセージ、ハーケンクロイツのナチス賛美というメッセージそれ自体を政府は禁止できない。なぜならば政府に嫌われている言論の保護こそ表現権の核心であるからである。

 しかしVirginia v. Black, 538 U.S. 343 (2003)は、威嚇目的で他人の土地や公共の場所で十字架を焼くことを禁止する州法を合憲とし、威嚇目的で十字架に火をつける行為は処罰できるとしたが、それ以外のヘイトスピーチの規制はアメリカでは困難だといわれる。(松田茂紀〚アメリカ憲法入門』七版 260頁以下、藤井樹也「ヘイト・スピーチの規制と表現の自由」〚国際公共政策研究』922005年〈ネット公開〉) 

 私はこのような憲法理論を基本的に支持するという意味でリベラルである。しかし世界的にみれば、特定の主題を制約する立法は、しばしばありうる。アメリカの基本権思想がグローバルスタンダードとはなっていない。

ドイツではナチスを賛美する宣伝が違法だといわれている。国連の人種差別撤廃条約第4条(a)及び(b)は、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき、処罰立法措置をとることを義務づけているが、日本・アメリカ・スイスは留保している。表現の自由に抵触するからであるが、そのような立法化がなされている国は、アメリカ合衆国の憲法理論によれば表現の自由のない国といってさしつかえないが、特定の主題に着目した表現を禁止している国もしくはそのような条約に留保なく批准している国がほとんどなのである。その良し悪しは別の問題としてロシアのあり方が特別のものとはいえないだろう。

 オリンピックは、宗教や道徳的価値とはかかわりをもたないが、伝統的倫理観を否定し、世俗化を促し、特定の人権思想を世界に広めることを目的とするものではない。むしろ政治的な問題には中立ではないのか。したがってグーグルの宣伝に疑問をもつものである。

 西欧では宗教的、道徳的罪の非犯罪化の動きは1960年代頃からの流れになっているが(1954年英国ウェルフェンデン・リポートの同性愛処罰立法の改正提言、1967年の改正)、それは宗教的規範による社会的道徳的紐帯の崩壊過程、世俗化が西欧で著しく進行したことを意味する。しかし一方で、それに反発する人々も多く存在するのである。その最大の抵抗勢力がアメリカのバイブルベルトと思っていたが、東方にも抵抗勢力があったということである。

 そもそも男色行為の非犯罪化は先進国のなかではたぶん、アメリカ合衆国はもっとも遅く、最も保守的な部類に属する。アメリカ合衆国で私的空間における成人の合意による肛門性交をなすことが憲法上保護されることなったのは2003年の連邦最高裁ローレンス対テキサス判決によってであり、ごく最近のことである。私は男色行為が「秩序づけられた自由」の概念にあてはまらないゆえ、基本的権利として承認したのは過ちだと思うのでケネディ判事が主導した同判決は賛同しない。それにしてもたった10年のことだ。

 

むしろ私は1986年のバウワーズ対ハードウィック判決を高く評価する。これはジョージア州の同性愛処罰法を合憲としたものだが、法廷意見を記したホワイト判事は、被上告人の主張を認めることは裁判所が最もやりたくないことである。それが憲法上の権利だなどというのは笑止千万お笑い草だと言ってのけた。それであたりまえだったのである。

 特にバーガー長官の補足意見は出色の出来であり「共和主義的憲法理論」を表すものとして評価されている。これこそがアメリカの魂だろう。

「男性同性愛行為に関する個人の決定は西欧文明の歴史を通じて常に国家の規制に服してきた。その種の行為に対する非難はユダヤ・キリスト教の道徳的・倫理的規範に強固に根ざしている。男性同性愛行為は、ローマ法においても死刑に相当する犯罪だった。‥‥イギリス法でも‥‥宗教改革の時代に、男性同性愛行為を刑法上の犯罪と定めた最初のイギリスの制定法[25Hen.VII,c,6(1533) ]が議会で制定されている。W・ブラックストンによれば、この男性同性愛行為という“自然に反する破廉恥な行為”は、強姦よりも“重大な悪行”であって、その行為に言及することすら人間の本性にとって羞恥となるような“極悪な行為” “最も卑劣な犯罪”である、と述べられている[W.BLACKSTONE,4Commentaries on the Laws of England,215176569]。イギリスのコモンローは、この男性同性愛行為処罰を含めて、ジョージア州その他のアメリカ植民地の法として継受され、1816年には、ジョージア州議会が本件で問題とされているような制定法を採択しているような制定法を採択している。その時以来、同制定法は今日まで文言に多少の変更があったとしても実施され続けてきた。したがって、そのような歴史的意味を有する男性同性愛行為を、連邦最高裁判所が、ここで合衆国憲法上の基本権として保障されるのだとすれば、至福1000年の道徳的教訓を棄て去ることになるだろう」と述べ、同性愛行為の禁止は州の立法権限として認められるとした。(松平光央「西洋文明、同性愛、バーガーコート」」『法律論叢』 60(23), p157-205, 1987

 真正クリスチャンであれば、キリスト再臨による千年王国を待望するのである。至福千年の道徳的教訓の意味には、宗教的規範が重んじられ人間が霊性を向上させていく社会観も示していると考えられるが、社会的な擬集力となる倫理、規範は断固擁護されなければならないという価値観が示されている。基本的に支持できることである。

 それを非犯罪化したのはユダヤ・キリスト教西洋文明二千五百年の規範からの逸脱であった。文明から逸脱しまいとするロシアの同性愛宣伝禁止法は、積極的には支持しないとしても、理解できることであり、大騒ぎするほどの問題ではないとかんがえる。

 

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