公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

無料ブログはココログ

ニュース(豪州・韓国等)

« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »

2014年3月の8件の記事

2014/03/23

2013年のアメリカ合衆国労働組合組織率

 毎年1月下旬に合衆国労働統計局が前年の労働組合組織率に関する統計を発表します。今年は1月24日にプレスリリースされ、2013年の労働組合組織率は11.3%で前年と同じでした。 http://www.bls.gov/news.release/union2.nr0.htm 公共部門が35.3%(前年より0.6%減)、民間企業は6.7%(前年より0.1%増)でした。組合員は1450万で、公共部門750万、民間700万となっています。

 民間で若干増加したが、組織率はほぼ横ばいといえるのであって、カードチェック法案でも通過しない限り、劇的に増加することはないと考えます。   http://news.heartland.org/newspaper-article/2014/01/24/overall-union-density-unchanged-slightly-private-sector
 アメリカ合衆国の組織率のピークは1954年でした。ハフィントンポストの記事にグラフが載ってます    http://www.huffingtonpost.com/2013/01/23/union-membership-rate_n_2535063.html

組織率が低い州 (すべて労働権州)

1 ノースカロライナ 3.0%(ロムニー)
2 アーカンソー 3.5%(ロムニー)
3 ミシシッピ 3.7%(ロムニー)
3 サウスカロライナ 3.7%(ロムニー)
5 ユタ 3.9%(ロムニー)
6 ルイジアナ 4.3%(ロムニー)
7 アイダホ 4.7%(ロムニー)
8 サウスダコタ 4.8%(ロムニー)
8 テキサス 4.8%(ロムニー)
10 アリゾナ 5.0%(ロムニー)
10 バージニア 5.0%(オバマ)

*ノースカロライナとバージニアは州公務員の団体交渉を禁止していることも組織率の低い要因と思われる。
*括弧内は2012大統領選挙結果

組織率が高い州

1 ニューヨーク 24.4% (オバマ)
2 アラスカ 23.1%(ロムニー)
3 ハワイ 22.1%(オバマ)
4 ワシントン 18.9%(オバマ)
5 ロードアイランド 16.9%(オバマ)
6 カリフォルニア 16.4%(オバマ)
7 ミシガン 16.3%  (オバマ)*労働権州
8 ニュージャージー 16.0%(オバマ)
9 イリノイ 15.8%(オバマ)
10 ネバダ 14.6%(オバマ)

入手整理資料131

10415 ★栗原良子「ドイツ革命と『ドイツ工業中央労働共同体』(一)(二)」『法学論叢』913号、1972914号、1972

 

 イギリスでは今日でも労働協約に法的拘束力はない。コモンローの営業制限の法理により違法と認識されるからである。個人契約に団体協約の内容を取り込むことで事実上運用されているだけである。労働契約はあくまでも使用者と被用者との一対一の相関的債務であって、それに干渉し制限することは、取引の自由を侵害するもので営業制限に当たるからである。本来の自由競争、自由企業体制とはそういうものであり、欧州大陸においても第一次世界大戦前は、労働協約を法認することはなかった。世界で初めて労働協約を法認されたのが1914年のスイスである。今から百年前だが、今日欧州大陸の多くの国にみられる中央集権的な労働協約制度の流れをつくったのが、191811月ドイツ革命のさなかに生まれた「中央労働共同体」であり、同年12月23日に公布された「労働協約、労働者委員会及び職場委員会並びに労働争議に関する命令」(労働協約令)によって労働協約が法認されたことによる。これにより、ドイツは個人の自由を犠牲にして、団体主義への以降が明確になった。以上は私の見解であり、この論文とは直接関連しない。

 我が国ではドイツ革命史は、社会民主党、スパルタクス団、労働者評議会(レーテに関してロシア革命との比較の観点で研究はなされているが、労使関係に関する論文はさほど多くないなかでこの論文は中央労働共同体の専論である。

 社会民主党は1914年に戦争協力の方針をとる。戦争遂行に労組の協力は不可避だった。1918年敗戦と革命の危険を予想した電機工業独占資本が政策を転換して労組に接近する。大戦中にイニシアティブをとったのは労組である。終戦後の物価の騰貴、賃金闘争の激化は不可避と考えられ、資本家は革命によって経営権を脅かされることに恐怖していた。組合側の要求はあらゆる職業における団体協約の締結、労使対等の調停機関、八時間労働の即時実施などだが、戦前は組合を無視していた独占資本も革命により一転して労働組合を承認することとなったのである。

 私なりに要約すれば中央労働共同体とは、急進化した武装兵士の帰還と革命の尖鋭化を恐れた独占資本が、労働組合右派と結びつき、組合側の要求である労働協約制度などを認めるのと引きかえに経営権を認めさせ、ソヴィエト・ロシア型革命の阻止により資本主義を維持したうえ平時経済に移行するための方策であった。実際、西部におけるストライキ防止と革命の進行をやわらげる効果があったという。

 中央労働共同体は、1924年にドイツ労働組合総同盟の脱退で意味を失った。20年代以降衰退するのはワイマール憲法165条に基づき1920年に全国経済協議会が設置されたためであると著者は説明。協議会はナチス政権成立の前まで存続した。

  ここからは私の意見だが、労働協約法認は歴史的必然とは思えない。二度の世界大戦は、戦時協力した労組の力を大きくする結果を招いた。ILoも英仏などの戦勝国が労組の戦争協力の見返りとして設置された戦後処理のため作った機関であって、第一次世界大戦と革命の恐怖がなければ、労働協約の法認にはならなかったものと考える。逆に言えば革命の恐れがないのだからもとに戻すという主張が可能だろう。

 

10416 ★長崎県職組事件上告審判決 最一小平元.9.28判決 判時1349

 本件は1時間ストの参加を理由とする県職組支部役員の減給ないし戒告処分を是認したもの。

10417 動労糸崎駅事件 広島地裁尾道支部昭43.2.26判決 下刑集10-2-195

10418★都教組勤評反対闘争事件 東京地裁昭37.4.18判決 判時304 

10419★全農林警職法事件第一審判決 東京地裁昭38.4.19 判時338

10420藤永幸治「全逓東京中郵事件に対する東京高裁判決について 『法律のひろば』25-11 1967

10421菊池高志「労働契約論と企業秩序-最高裁二判決と批判の視座について」『労働法律旬報』948 1978

10422高島良一 高島良一「労働法律関係と労働契約(二)」『独協法学』21 1984

10424和田肇「西ドイツ労働契約における忠実義務と配慮義務(二)」『名古屋大学法政論集』96 1983

10425和田肇「「西ドイツ労働契約における忠実義務と配慮義務(三)」『名古屋大学法政論集』100 1984

10426高島良一 高島良一「労働法律関係と労働契約(二)」『独協法学』23 1986

1-164佐々木恵介『日本古代の歴史4平安京の時代』吉川弘文館2014-新刊書

九世紀の政治・文化・外交など要領よくまとめた感じ。

1-165廣瀬憲雄「古代日本外交史-東部ユーラシアの視点から読み直す」講談社2014-新刊書

一般向けの書下ろしと言いながら結構専門的で五世紀から十世紀まで言及されている。

1-166E・アラン・ファーンズワース著笠井・高山訳『アメリカ法への招待』勁草書房2014-新刊書

入門書だが、ざっとみて良書と判断。

1-167小谷順子・新井誠・山本龍彦・葛西まゆこ・大林啓吾現代アメリカの司法と憲法』尚学社2013

大沢秀介還暦記念論文集なのに表題にない。表現権に関する重要判例(憎悪表現規制を違憲とした1992R.A.V判決の論文2本などの論文が収録されている。だいぶ昔の話だが、三田祭の大沢研究室のアメリカ憲法研究の発表は興味があって3回ぐらい足を運んだことがある。

1-168桂木隆夫編『ハイエクを読む』ナカニシヤ出版(京都)2014 新刊書

1-169小宮文人『イギリス労働法入門』信山社1996

1-170.エメット・マレー著小畑・山崎訳『アメリカの労働社会を読む事典』明石書店2012

1-171ディビット・S・ロー著西川訳『日本の最高裁を解剖する-アメリカの研究者からみた日本の司法』現代人文社2013

1-172井上祐司『争議行為と可罰違法論』成文堂1973(古書)

1-173西谷敏『ドイツ労働法思想史論-集団労働法における個人・団体・国家』日本評論社 1987

プロレイバー学者の業績。十九世紀の団結禁止時代以降のワイマール、ナチス時代から戦後まで法制史、ジンツハイマーの集団主義的思想などにも言及。ドイツの営業の自由の歴史を調べるためまた、プロレイバーの思想のよりどころとしているジンツハイマーが大嫌いなのので、批判的に検討するために買った本。

10427★国分寺郵便局事件 東京高裁昭56.3.23判決

10428★★中野次郎 東京中郵判決調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年』

10429「判例紹介都教組幹部の一せい休暇闘争指令は争議行為をあおる行為にならない州和37.4.18の東京地裁判決」『時の法令』435

10430三島宗彦「ドライヤー報告書の意義」『日本労働法学会誌』27 1966

10431★★全農林賃金闘争懲戒処分事件第一審判決 東京地裁平2.4.19判決 判時1349

10432★★横浜郵便局前ピケ事件第二次上告審決定 最一小49.7.4決定 判時748

10433全農林長崎県本部・統計本所分会事件 長崎地裁41.7.1判決 下刑集8-7-9725

2014/03/16

国民投票法に絡んで選挙権18歳引下げに反対の意見

●自民党に送った意見(制限600字)

私は国民投票法に絡んで選挙権の18歳引き下げ、特に成人年齢の引き下げに反対なので簡単に意見を上申する。

  米国はコモンローの成年は21歳であるが、ベトナム戦争の際、学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がなされ、1971年に選挙権を18歳に引下げた。 ドイツも兵役義務が18歳からなのに選挙権が21歳なのは不公平だとの主張により1970年に18歳に選挙権が引下げられた。激しい学生運動を懐柔させる政策だったのである。(国会図書館調査及立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b

  しかし徴兵制のない我が国で選挙権を18歳に引下げる理由は見当たらない。

  とくに成人年齢は国民の7割が引下げに反対であり、若者が求めているわけでもない。明治9年の太政官布告で満20歳に定められ、私法においては、満20歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけだ。

 もっとも今回の三党合意は成人年齢にふれていない。しかし選挙権の次は成人年齢に俎上に載せられるだろう。米国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思うが、国民の7割が反対しても成人年齢も引下げというのは納得できない。

●首相官邸に送った意見(制限2000字)

自公民三党は国民投票改正法案について合意がなされた。報道によれば投票年齢については「改正法施行後4年」に18歳以上に引き下げるとする与党案を改正案に採用する。ただ、公職選挙法の選挙権年齢について「改正法施行後2年をめど」に18歳以上に引き下げるべきだとする民主党に配慮し、政党間のプロジェクトチームを設置し、2年以内に投票年齢と選挙権年齢を同時に引き下げる法整備を目指すとされている。

そもそも、この法案は第一次安倍政権の時代に、当時の自民党中川政調会長が、法案を通すために民主党の政権公約である選挙権18歳引き下げの主張に妥協したことからはじまっているが私は法案を通すための政党間の取引で選挙権も成人年齢も引き下げることに反対なので意見を上申する。

  主要国についていえばアメリカ合衆国はコモンローの成年は21歳だが、ベトナム戦争の際、反戦運動や学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がさかんになされ、1971年に投票権を18歳に引き下げた(憲法修正26)

  ドイツも同じ事で、学生運動が激しくなり兵役義務が18歳からなのに選挙権が21歳なのは不公平だとの主張により1970年に18歳に選挙権が引き下げられた。政治不信を主張する激しい学生運動を緩和させるための政策だったのである。(国会図書館調査及び立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b 2008-12月参照)

  要するに60年代末期の学生運動を背景に、徴兵制(兵役義務)とのからみで、選挙権も引下げられたということである。それはあくまで、一時の社会現象にすぎないのであって徴兵制のない我が国で18歳に引き下げる理由は見当たらない。若者が選挙権を求めているわけでもない。

  これはたぶん民主党の政策立案グループに団塊世代の学生運動経験者がいて、昔の夢よもう一度という自己満足のための政策としか思えない。だから筋が悪いと思うのである。

  私は、国民投票法に反対する護憲派ではない。しかし選挙権とか、成人年齢という重要な事柄は、別の法律を通すための政治的取引の材料にすべきではないという主張である。

  とくに成人年齢引下げには国民の7割が反対している。明治9年の太政官布告で満20歳に定められてから、約140年間続いてきたもので国民に完全に定着しているのである。     私は日本大学法学部民事法・商事法研究会「『民法の成年年齢引下げについての中間報告書」に対する意見」『日本法学』75巻の結論に賛成である。「国民投票法の制定に伴い、成年年齢の引下げが議論されているが、私法においては、満二〇歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけではないかと思われる。‥‥立法趣旨についてきちんとした議論が全くなされてない状況において改正論議だけが先行することは、法改正のあり方として、あまりにも拙速である。」

 もっとも今回の自公民三党合意は成人年齢にふれていない。しかし三党合意で選挙権が2年以内に引き下げられると決定されれば、次は成人年齢に俎上に載せられるだろう。

実際、外国の例では成人年齢と選挙権は一致していることが多いからである。アメリカ合衆国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが、コモンローと同じく21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。

 私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思うが、選挙権が引き下げられれば、国民の7割が反対しても成人年齢もということになりかねないので危惧しているのである。

入手資料整理130

10112-1★★総理府統計局事件 東京地裁昭50.12.24 判時806
10113-1★★電電公社長岡局事件 新潟地裁昭44.11.25労民20-6-1553
10405★★ 岡野行雄「公安労働事件裁判例をめぐる可罰的違法性論」『警察学論集』27(9)  1974 可罰的違法性論を援用した下級審判例の具体的な批判を行っている点で価値のある論文だ。可罰的違法性論とは、学説によって提唱するところは異なるが、「構成要件に該当に該当すると認められる行為のうち、当該行為の予想する可罰的程度に達しない行為は犯罪でないとし刑事責任を否定する見解」と説明、「実質的違法性論・社会的相当性論を前提とするの理論」「違法性の相対性・段階性を前提とする理論」であり、この理論に適用に消極的になった昭和48年国労久留米駅大法廷判決以前に多くの下級審判例がある。
 下級審で援用されているのは、藤木英雄の学説であり、藤木説は、構成要件該当性が阻却されるとし、佐伯説は違法性が可罰的程度に達しないところの違法性阻却であると説明している。

 著者は、東京中郵事件は姦通の違法性と同じ論理を適用したという可罰的違法性論の見解を批判している。姦通は民法上違法でも刑法上違法でないというのだが、それと同じようにストライキとして郵政職員が郵便物を取り扱わなかった郵便法79条1項違反の行為を正当化した。この点について著者は姦通は刑法上も違法であるが、立法政策として構成要件を設けていないから処罰されないにすぎないとする。
 可罰的違法性理論をとった下級審判例についてまず光文社事件昭和48.4.26東京高裁判決について犯罪構成要件の判断を縮小し構成要件を曲解する傾向があるとして厳しく批判している。これは第二組合員が通勤途上の路上で6人に包囲され両腕をつかまえられ、引っ張り、押されるなどして腰を低く落として抵抗するのもかまわず、音羽通りを横切り、約30メートル引きずられたあと、さらに両脇下に手をさしいれたまま、引っ張り押すなどして、お茶の水女子大裏門を経て、200メートル余り自由を拘束され連行されたにもかかわらず、実質的違法性はないとして無罪としたものである(最高裁で有罪)。(光文社事件の詳細http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-2995.html)「集団による暴力事犯について、各個の行為主体では軽微にみえても、被害者には大きな圧力となり、恐怖心を与えて軽微ではないのに、これを看過している」との指摘は妥当である。
 軽微とは認められない事犯に対して適用したものとし、昭45.12.17横浜地裁滝野川自動車事件判決も批判している。
 事案は、滝野川自動車の第一組合員6名および全自交の労組員合計7名は 、第一組合員約百数十名と共謀のうえ、昭40.6.8午前10時から午後1時までの間、第二組合員十名が就労のためタクシー10台を運転して車庫通路より進発しようとするのを阻止するため、通路に乗入れた宣伝用自動車の車輪を取りはずし、貨物自動車の前車輪を横溝を掘って落し込んだうえ、百数十名がスクラムを組んで労働歌を高唱し、坐りこむ等して会社の運送業務を妨害したにもかかわらず、威力業務妨害罪に当たらないとしたものであるが、本件は大量動員の実力ピケで、しかも車輪を外したり、溝を掘って車輪を落し込んだりしている以上、この威力行使を無罪としたることについて著者の批判は妥当だろう。
10406 高島良一「労働法律関係と労働契約(一)」『独協法学』20号1983年
10407★松浦繁(法務省刑事局付検事)「判例を中心とした争議行為のあおり罪をめぐる諸問題(一)」『警察学論集』27巻9号1974
10408★★大久保太郎 昭48.4.25大法廷判決国労久留米駅事件調査官解説 『最高裁判所判例解説昭和48年刑事篇』
10409伊達秋雄「三友事件判決の法理-可罰的違法・責任性の欠缺-」『犯罪と刑罰 : 佐伯千仭博士還暦祝賀. 上.』 有斐閣1968年
10410大野平吉「いわゆる可罰的違法性の理論について-序論的考察-『犯罪と刑罰 : 佐伯千仭博士還暦祝賀. 上.』 有斐閣1968年
10411近石康宏「諸外国における公務員の争議権の制限-主に刑事罰事件について-」『警察学論集』27巻9号1974
10412香川孝「文献研究・日本の労働法学(14)順法闘争の法理論」『季刊労働法』95号       三
10413国鉄糸崎駅事件最一小昭51.4.1判決 刑事裁判資料230号215頁
10414★★★★国鉄糸崎駅事件 広島高裁昭48.9.13判決 刑事裁判月報5-9-1958、判タ301、労判187、判時727

 本件は、昭和48.4.25久留米駅事件大法廷判決を引用して、列車運行業務を妨害した行為は、正当な争議行為として違法性を阻却されるとした原判決を破棄し、ピケッティングとしての相当性を超えたものとし威力業務妨害罪を認め、国労岡山地本執行委員長Aに懲役8月執行猶予3年、同書記長Bに懲役6月執行猶予3年、同執行委員Cに懲役3月執行猶予2年の判決を下したものである。久留米事件方式を採用としてピケッティングを有罪とした判例は多いが、本件は公労法適用職場におけるピケッティングの限界について詳細に判示している点、重要な判例に思える。

 公労法適用の国鉄においては、ストライキの決議は違法であり、法的拘束力はなく、非組合員はもとより、組合員に対してもストライキの参加という違法な行動に従うことを強制できないと判示した。同趣旨の判断を下した判例として○全逓横浜中郵事件差戻控訴審判決東京高判昭47・10・20判タ283『労働法律旬報』822○国労広島地本事件最高裁三小昭50・11・28判決『労働判例』NO.420○動労鳥栖駅事件控訴審福岡高裁昭49・5・14第二刑事部判決 判タ311http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-4206.html参照、類似事件としての動労鳥栖駅事件についてhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-3704.html参照。
事案は大略次のとおりである。 
 昭和三七年年二月国労は期末手当基準内賃金の0.5ブラス3000円をを昭和37年3月23日に支給することを要求し、当局は3月23日0.4ヶ月分の支給を回答したが、国労はこれを不満とし、その後当局は動労など少数組合と0.436ヶ月分支給で妥結したが、国労は少数組合と一方的に妥結し、規定事実として多数組合に押しつけるのは団交権の否認として抗議し、指令24号を発して各地方本部は3月30日午後10時以降3月31日午前8時までの間に運輸運転職場を指定し勤務時間内二時間の時限ストを実施することを指示した。
○岡山操車場事件
 当時の岡山操車場駅(現在は西岡山駅に併合)には下り4番線から午後11時15分に発車する糸崎駅行き73貨物列車があり、同列車が4番線に到着すると、機関車が外され、機関区から機関車が出区し、同駅構内機待2番線に引き上げられ、操車掛が誘導して列車に連結することとなっていた。昭和37年3月29日、午後10時55分頃、操車掛が平常どおり機待2番線に引き上げられた73列車の発機を連結すべく誘導しようとしたところ、突然組合員ら約20名が機関車の進行方向直前の線路上あるいはその横に立ち塞がったり、坐り込んだりとした。被告人A・Bがかけつけ。坐り込みを容認した上、発機を押さえる旨告げた。同駅助役及び岡山鉄道管理局運輸長がA・Bに対しピケを解除するよう要請したが拒否。結局被告人両名は午後11時55分頃ピケを解除、このため列車は定刻より53分遅れで発車した。
○糸崎駅(山陽本線)事件
 当時、糸崎駅では6番線から、下り393貨物列車が午後11時13分に、2番線から上り48貨物列車が午後11時26分に、5番線から下り急行列車が11時38分に、同駅に到着、機関車を取り替た上、発車することになっていた。
(1)393列車のピケ
 昭和37年3月30日、393列車の発機(機関車)を誘導する操車掛を説得する任務を負った同地本執行委員Kが動員者約30名とともに待機していたところ、同日午後11時11分頃、本件ストライキに備え予め同駅下り方面の着駅操車掛としての業務命令を受けていた同駅予備助役Sが抗議を聞き入れず、発機は列車に連結され、ただちに発車できる状態となった。このためK執行委員は引率の動員者30名とともに同列車進行方向約2メートル前方の線路上あるいは機関車の横に坐り込みあるいは坐り込む等してピケッティングをはるに及んだ。そのころ同駅西構内を視察のため歩いていた被告人BがさしかかりK執行委員から報告を受け、やむをえないと判断して了承し、統一ある行動をとるよう指示した。このピケッティングにより同列車は1時間50分遅れで発車した。
(2)48列車のピケ
  48列車は到着後機関車(着機)を列車から切り離して機関区に入区させ、機関区から機関車(発機)を出区させて、一旦停止線まで運転し、そこから先は操車掛の誘導によって同列車に連結することになっていたが、発機を誘導する操車掛がいなかったため、同日午後11時15分頃本件ストライキに備え、あらかじめ上り方面の着受操車掛としての業務命令を受けていた同駅輸送助役Tが一旦停止線で停止していた発機を誘導すべく合図灯をもって発機に近づいた。その頃発機に近づいていた被告人Aが同助役の合図灯を認め、同助役を呼びとめ抗議すると同時に、附近の動員者に知らせるべく大声で呼びかけたところ、附近に待機していた地本執行委員Kが同被告人の呼び声を聞き約20名の動員者とともに駆けつけてきたので同人にに発機の至近前方線路外側附近、あるいは発機の横に立つなどのピケッティングをはらせるに及んだ。同助役はなおも発機前部のステップに立ち誘導しようと試みたが、ピケッティングのためそれも困難となり、同列車は約1時間48分遅れて同駅を発車した。
(3)31列車のピケ
 31列車は同日11時31.2分頃、同駅4番線に到着したが、同列車の機関車(着機)を切り離し、機関区まで誘導して入区させる操車掛がいなかったため、前記S助役が誘導しようとして着機に近づいた。その際約2.30名を引率して4番線ホーム西寄り線路附近に待機していた被告人Cが同助役の姿を認めるや、動員者約10名と一緒に同助役を取り囲んで抗議し、続いて引率していた動員者とともに発機前方5.6メートルの線路上に立ち、あるいは坐り込むなどしてピケッティングをはるに至った。そこへ被告Aが通りかかり、被告人Cからピケッティングの理由について詳細な報告を受け、これをやむをえないてものとして了承し、みずからも同列車の乗客の状況を調べるなどしたが、当局との話合いの結果ピケを解除した。同列車は定刻より4、50分遅れて発車した。
 
 判決は次のようにいう。
「ところで原判決はピケッティングの正当性の限界について『ストライキの本質は労働者が労働契約上負担する労務提供義務を提供しないことにあり、その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者側に使わせないことにある、』ことを一応認めながら、『しかしこのことはあくまで原則であって、争議行為がいかなる意味でも実力的であってはならないと解すべきではない。蓋し労働組合の紐帯がそれ程強固ではなく、組合員に対する使用者の働きかけがしばしば組合指令より強い影響力のある我が国の労働事情では、ストライキの行われた場合使用者側は往々職員その他の者によって操業を継続したり、スキャップを使ってピケ破りをしようとしたりとして容易に組合側の説得などは聞き入れないのが通常であるから、ピケッティング本来の防衛的、消極的性格は否定し難いが、その限界を単なる平和的或は穏和な説得以外に出ることができないとすれば組合は手をつかねてストライキの失敗を待たなければならないことになるからである。‥‥労組法一条二項但書は暴力の行使を労働組合の正当な行為とは解してはならない旨規定しているが、それは前述の如くピケッティングの正当な目的を達成するため必要最小限度の実力的行動をも禁ずるものとして解してはならない』として使用者側が非組合員などを就業させて操業を継続する場合においては、ストライキの効果が減殺されるのを防止するため、説得活動としてある程度の実力を行使してこれを阻止することも容認されるという見解を示し、さらにピケッティングが同じ組合員に属しながら争議に参加しないで就業しようとする組合員を対象とする場合については『一応就業の自由を有するが、その自由は組合の団結に優先されるから組合の団結の維持に必要な場合は、これに対するピケッティングは就業を翻意さすべく単なる平和的説得にとどまらず、説得に必要な適切な程度では自由意思を一時制圧するような威力を用いることも容認されるべきものと解すべきである。』と判示した。
 しかしながら、国鉄職員は、公共企業体労働関係法(以下公労法という)一七条一項により争議行為を禁止されているのであるから、国労の組合員も争議行為を行ってはならない義務を負っていることはいうまでもない。それゆえ国労としては、ピケッティングの対象が国鉄職員である以上、非組合員はもとより、たとえそれが組合員に対する場合であっても、ストライキへの参加と言う違法な行動を強制することのできない筋合のものであって、組合がなしたストライキ決議は違法であり、組合員に対して法的拘束力をもつものではない。したがって、国労としては、ストライキの決議に従わず就労しようとする組合員に対し、ストライキに参加するよう平和的に勧誘、説得し、あるいは就労しようとする非組合員に対しても就労を翻意させるべく平和的に勧誘、説得することは、ピケッティングの相当な範囲内のものとして許されるけれども、その程度を超えて実力またはこれに準ずる方法を用いてその就業を阻止することは、他にこれを相当ならしめる特段の事由り存在しないかぎり、相当な限度を超えるものとして許されないといわなければならない。
 してみれば、ストライキの実効性の確保や組合の統制権を理由として、右の特段の事由の有無にかかわらず、一般的に実力の行使によるピケッティングを是認する原判決の判断は、国労のように公労法の適用を受ける組合に関する限り正当ではなく、原判決は‥‥公労法ならびに労働組合法一条二項の解釈適用を誤ったものといわなければならない。」

本当は18歳選挙権引き下げも筋の悪い政策で強く反対だ

3.14朝刊で「憲法改正の手続き前進 国民投票法改正案に民主同意、成立へ」との報道http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140314/stt14031421030003-n1.htmがなされている。

---国民投票年齢については「改正法施行後4年」に18歳以上に引き下げるとする与党案を改正案に採用する。ただ、公職選挙法の選挙権年齢について「改正法施行後2年をめど」に18歳以上に引き下げるべきだとする民主党に配慮し、政党間のプロジェクトチームを設置し、2年以内に投票年齢と選挙権年齢を同時に引き下げる法整備を目指す。----とのことである。
そもそも、この法案は第一次安倍政権の時代に、当時の自民党中川政調会長が、法案を通すために民主党の政権公約である選挙権18歳引き下げの主張に妥協したことからはじまっており、私は法案を通すための政党間の取引で選挙権も成人年齢も引き下げることに反対なので意見を上申する。
  主要国についていえばアメリカ合衆国はコモンローの成年は21歳だが、ベトナム戦争の際、反戦運動や学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がさかんになされ、1971年に投票権を18歳に引き下げた(憲法修正26条)。
  ドイツも同じ事で、学生運動が激しくなり兵役義務が18歳からなのに選挙権が21歳なのは不公平だとの主張により1970年に18歳に選挙権が引き下げられた。政治不信を主張する激しい学生運動を緩和させるための政策だったのである。(国会図書館調査及び立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b 2008-12月参照)
  要するに60年代末期の学生運動を背景に、徴兵制(兵役義務)とのからみで、選挙権も引下げられたということである。それは世界の趨勢ともいえるが、あくまで、学生運動を背景とした一時の社会現象にすぎない。徴兵制のない我が国で18歳に引き下げる理由は見当たらないのである。若者が選挙権を求めているわけでもない。いまどきの若者は車がほしい。彼女がほしいとも言わなくなったのである。
  これはたぶん民主党の政策立案グループに団塊世代の学生運動経験者がいて、昔の夢よもう一度という自己満足のための政策としか思えない。だから筋が悪いと思うのである。
  そういうとおまえは、憲法改正の手続き法である国民投票法の成立を邪魔する隠れ護憲派かと非難されるかもしれないが、反戦平和運動は嫌いなのでそういうことはない。憲法九条の改正や集団的自衛権も賛成しますよ。
  しかし、将来の徴兵制導入のため若者の不満をそらすためにこの際選挙権も18歳に引き下げるとはいってない。そういう説明はない以上、この政策は法律を通すための政党間の取引に思えるから反対なのだ。
  つまり、私が言ってるのは選挙権とか、成人年齢という重要な事柄は、別の法律を通すための政治的取引の材料にすべきではないという主張である。
   とくに成人年齢引き下げには国民の7割が反対している。明治9年の太政官布告で満20歳に定められてから、約140年間続いてきたもので国民に完全に定着しているのである。     私は日本大学法学部民事法・商事法研究会「『民法の成年年齢引下げについての中間報告書」に対する意見」『日本法学』75巻の結論に賛成である。「国民投票法の制定に伴い、成年年齢の引下げが議論されているが、私法においては、満二〇歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけではないかと思われる。‥‥立法趣旨についてきちんとした議論が全くなされてない状況において改正論議だけが先行することは、法改正のあり方として、あまりにも拙速である。」
 憲法改正には反対していない。悪法は廃止し、改正すべきである。しかし改正してはいけないものもある。成人年齢と親族法とか、安易に政治的取引で法改正とてしまっていいみものではないと考える。
  もっとも今回の自公民三党合意は成人年齢にふれていない。しかし三党合意で選挙権が2年以内に引き下げられると決定されれば、次は成人年齢に俎上に載せられるだろう。
実際、外国の例では成人年齢と選挙権は一致していることが多いからである。アメリカ合衆国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが、コモンローと同じく21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。
 私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思うが、選挙権が引き下げられれば、国民の7割が反対しても成人年齢もということになりかねないので危惧しているのである。

2014/03/12

疑惑論文騒動-佐村河内氏と同類なのか

 ブログで本物だと思ったと書いたのは大失敗。ネイチャーだのハーバード教授のお墨付きとかで安易に信じてしまったのが情けない。直観で胡散臭さを見抜けなかったことを恥じる。オレンジジュースで細胞が初期化というお笑いのレベルだったのに。12日発売の日刊ゲンダイ「小保方さんは剽窃・改竄の常習犯であった可能性が高い」との専門家の見解を伝え、東スポが博士論文パクリと報じ「現在いる場所にいるべき人材じゃない」「やったことは完全にクロ」母校の教授の見解を伝えている。こんな研究倫理のない人がチームリーダーでピンクの壁紙だ、ムーミンのシールとかやりたい放題でいいのかという感じの報道である。
 マスコミの論調では、佐村河内氏と同類じゃないかと暗に示唆している。キメラ実験を担当した若山教授が気の毒に思えた。クローンマウスづくりの名人で一流の研究者らしいが、人たらしに利用された人のいいおじさんに思えた。あくまで脇役で引き立て役に回ってくれていたのに。

 我国は女性に甘くて、りけじょとかちやほやされて多少の剽窃もみのがしてくれたのかと思ったのかもしれないが、世界はそんなに甘ちゃんじゃないというのを思い知らされた。 

2014/03/08

入手整理資料129

10393 ★高田章 「アメリカ労働法に於けるレーバー・インジャンクションの変遷」『明治学院論叢ロ232号1951
10394★★★国会図書館調査及び立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b 2008-12月
10395白井京「【韓国】成人年齢を19歳とする民法改正案の立法予告」『外国の立法』2009.11
10396「成人年齢、18歳に引き下げを提言-自立促す・法制審部会」『厚生福祉』(時事通信)2009.8.4
10397中林暁生「表現の場を提供する国家」『ジュリスト』1422号2011、空港ターミナルはパブリックフォーラムではないとした。International Soc. for Krishna Consciousness v. Lee  505 U.S. 672 (1992)の解説であり、著者はケネディ判事の結果的同意意見「開かれた民主的な社会において、道路、公園および他の公的な場所は、公共的な討論と政治過程にとって重要な施設である」とする見解を評価する立場である。パブリックフォーラムとはアメリカの表現権の判例法理で、Hague v. Committee for Industrial Organization, 307 U.S. 496 (1939)においてロバーツ法廷意見の次の見解にはじまっている。「道路や公園の権原の所在がどこであれ、それは、記憶にないほど太古から、公衆の使用のために信託され、大昔から、集会、市民間の思想伝達、公的問題の討議を目的として使用されてきたのである。道路や公的場所のそのような使用は、古代の時代から、市民の特権、免除、権利、自由でありつづけてきた」というものであった。
 我が国でも公民館など公の施設について、パブリックフォーラム理論を援用する考え方がある。
10398 吾妻光俊「アメリカ労働法の発展」『海上労働』5(8) 1952 小論ではあるが「資本の独占に対応する労働力の独占、という事態がまさに資本の独占と等しく取引の自由を阻み、一般公衆に悪影響を与える無という考え方が‥‥法的規整の基本原理とされている」から「アメリカ法は、労働問題は、基本的自由という基本原理に即して、これを処理している」と説明。
 これはどういうことかというと、我が国の独占禁止法の母法である1890年シャーマン法というのはコモンローの取引制限の法理(取引〔営業〕の自由)の考え方をもとに制定法化したものである。そしてシャーマン法は労働組合にも適用された。労働組合とは、使用者と被用者の労働力取引に干渉し、制限することを目的とするものであるから、それ自体が取引阻害であり、コモンローでは労働組合は取引を制限するコンスピラシーとみなされていたのであるから、なんら不可解なことではない。
 もっとも、アメリカは1930年代のノリスラガーディア法やワグナー法(全国労使関係法)により労働組合活動を合法化したが、全国労使関係法は、組合代表選挙で従業員の過半数の支持を得た場合に団体交渉権を付与するものの、労働協約締結を強要するものではなく、その限りにおいて、契約の自由(市民法原理)を侵害していないということで、かろうじて合憲とされているものであって、例えば日本の、労働基準法の三六協定のように過半数組合との協定を使用者にら強要するという明らかに契約の自由に反することはないという点で、労使関係も市民法原理に基づいていえるのである。
 我が国のプロレーバー労働法学が市民法原理の大幅な修正を前提として労働基本権理論を提示しているのと性格はかなり違うといえるのである。
10399藤本武「労働時間短縮と雇用・失業」『月刊労働問題』13号1959
10400★★花見忠「消極的団結権の反省」『月刊労働問題』13号1959
 アメリカの勤労権立法について解説している。勤労権立法、労働権法とも訳されるが、これは我が国の労働基本権とは考え方が根本的に違う。強制的組合員資格禁止を目的とするものである。つまり組合保障協定、ユニオンショップやエージェンシーショップが禁止されるものであり、現在アメリカでは24州とグァム島がそうである。http://www.nrtw.org/rtws.htm
 これは主として反労働組合の全国製造業者協会(NAM-National Association of Manufacturers)や商工会議所が推進したものと説明されている。勤労権立法の賛成論、反対論を論じているが、結論として著者は組合保障措置を禁止することは我が国においては憲法が要請しておらず、その必要もないとしている。
10401 西谷敏「企業秩序と労働者の市民的自由」-最高裁二判決の批判的検討」『ジュリスト』659号1978
10402 島田陽一「企業秩序と労働者の思想・信条の自由-東京電力塩山営業所事件最二小昭六三・二・五-」『日本労働法学会誌』72号1988
10403 島田信義「『企業秩序』と労働者の表現の自由」『労働法律旬報』1083・1084号1983
10404 ★★★中島陽子「アメリカにおけるビケッティング法理(二・完)-「言論の自由論」の消長」『法学新報』67(4)1960
 タフトハートレー法以後、40年代末より50年代のピケット判例であるが、この時期の判例研究は非常に少ないので貴重である。1942年以降ソーンヒル理論は後退していった。「違法な目的論」の登場である。
 まずGiboney v. Empire Storage & Ice Co.  336 U.S. 490 (1949)である。氷行商人の組合が、加入拒否の行商人に対しては製品を卸売しないように要求して、卸売業者に対してピケットを張ったものである。
 連邦最高裁は全員一致で、本件ピケットは州独占禁止法により禁止されている行為であるゆえ差止命令を発した州裁判所の判断を支持した。
 ブラック判事による法廷意見は平和的ピケッティングであっても、州法違反の行為の重要な部分を構成するときは言論の自由として保護を受けるものではないとした。
 ただしブラック判事は違法な目的をもつものとしてピケッティングを禁止するには次の四つの要件を満たす必要があるとした。
 1 その唯一の目的が違法行為の主要な構成部分であること。
 2 当該法律は一般公衆の損害防止を目的とするものであること
 3 この損害は、不便、困惑程度のものでは不十分であること
 4 法違反の生ずる明白にして現在の危険であること。
 Building Service Union v. Gazzam  339 U.S. 532 (1950)は組織化ピケッティングが州法、州政策違反として差止命令を支持したものである。この判例において明白現在の危険の理論は用いられていない。
 Teamsters Union v. Hanke  339 U.S. 470 (1950)は、中古車扱いの自営業者にユニオンショップを要求したピケットにつき、州法、州政策に反しなくても州裁判所が望ましくないと判断した行動が違法目的として差止命令を支持したものである。この判例により州は望ましくないと考えるピケッティングを禁じ得ることとなったと解説され、ソーンヒル理論は大きく後退したように思える。
 私が「違法目的論」による差止命令支持の判例に関心があるのは、例えば公務員の争議行為附随行為としてのピケッティングにもこの理論を援用できないかということである。
 International Brotherhood Of Teamsters, Local 695, A. F. L., Et Al. v. Vogt, Inc.354 U.S. 284(1957)は組織化ピケッティングの差止命令を消極的団結権を理由として支持したのである。

 なるほどアメリカにおいてはThornhill v. Alabama, 310 U.S. 88 (1940), においてピースフルピケッティングを言論の自由として憲法上保護されるとした。しかし戦後の判例の展開は1949年のギボニー判決以来、州政策を尊重する流れとなっており、ソーンヒル理論の後退をみることができる。学説では、ピケッティングは言論の自由の範疇ではなく、不法行為法によって処理されるべきもとするテラーのような見解もあるが、私も同感である。
 この論文ではリベラル派(人権派)のダグラス判事がピケッティングは言論の自由以上の物理的行動とみる見解を紹介している。猥褻規制を憲法違反とするほど表現権に好意的なブラックやダグラスは必ずしもピケに好意的ではないのである。 そもそもピケットが戦争用語であり、ピケットとはその対象を開かれた労働市場のアクセスの機会を害そうとする(他者の取引阻害のための)経済活動でありコンスピラシーなのだから。
 エホバの証人の伝道活動は言論の自由としても宗教の自由としても憲法上保障されるべきであるし、そうなっている。なぜならば伝道活動はパウロやペテロが伝道活動をしていた二千年前から西洋文明の脈絡では非難されるべき行動ではないからである。しかしピケッティングは別ではないのかというのが私の考えである。

2014/03/02

入手資料整理128

10374-4近石康宏「地公法六一条における「あおり」及び「あおりの企て」について--「日教組4.11地公法違反事件」各地裁判決を中心として-上--下-」『警察学論集』38巻10号1985 同38巻11号1985
10374-5小津博司「刑事判例研究223争議行為に関し地方公務員法違反の罪が成立するとされた事例〔最一小平元・一二・一八 判時一三三二・二七地方公務員法違反被告事件破棄差戻〕『警察学論集』43巻5号
10376-1渡部尚「刑事判例研究179地方公務員法六一条四号にいう「あおり」「あおりの企て」の意義〔浦和地裁昭和六〇・六・二七、判時一一六二・二〇。、地方公務員法違反被告事件、有罪・控訴〕
10376-2六車明「刑事判例研究213地方公務員法「あおり」罪の成立を認め「あおりの企て」罪の成立を否定した事例〔東京高判昭六三・五・一〇判時一二七八・五八地方公務員法違反被告事件、控訴棄却、弁上告〕『警察学論集』42巻3号
「あおり」の解釈
 地方公務員法六一条四号所定の「あおり」とは、同法三七条一項前段に定める違法行為を遂行させる目的をもって、他人に対しその行為を遂行する決意を生じさせるような、または既に生じている決意を決意を助長するような勢いのある刺激を与えることをいい、この「あおり」は、将来における抽象的、不確定的な違法行為の遂行についてでなく、具体的、現実的な違法行為に直接結びつき、違法行為遂行の具体的危険を生じさせるおそれのあるそれをさす。
10377★西谷敏「便宜供与の法的性格と大阪市労使関係条例」『法律時報』85巻5号
プロレーバーの2012.7大阪市労使関係条例批判
10378★神田誠司「ガバナンス・フォーカス大阪市は再生できるか-改革のカギは情報公開と市民の理解」『ガバナンス』51号2007年 何が問題だったか新聞記者による解説。
10379★井上祐司「刑法違法論の帰趨-東京中郵事件最高裁判決を契機に」判タ199号 1967
 従前の政府解釈を否定し、事実上公務員の争議行為を刑事制裁から解放したワースト判決昭和東京中郵判決(のちに判例変更)の違法観念の検討である。反対意見を批判し、補足意見を評価する内容だが難解。
 東京中郵判決は、公労法17条の争議行為の全面的禁止は、憲法28条と調和して存在するためには公労法の禁止の意味を同法18条の解雇という違法効果の限度にとどむべきであり、刑罰法規との関係については改めて争議行為の正当性の有無を論ずることができるとしたものだと説明。一方反対意見(奥野健一、草鹿浅之介、石田和外)は、違法の観念はすべての法域を通じて一義的に決せられるべきであるから、違法な行為が刑法上違法性を欠くということは理論上ありえないとするもので、反対意見が拠っている学説としては牧野英一『刑法総論』昭和27年231、232頁を挙げている。その後フォイエルバッハからはじまってドイツ学説が検討され、ベーリングの説く「規範類型なしの規範説」こそ構成要件該当性と違法性の分離を保障したとする。「「可罰性即違法」という原生的違法観が、ビルディング、ベーリングを通じて逆転せしめられ、「可罰性の前提としての違法」という観念に移行した」などと説明。
 そのような思考がなぜ生まれたかについて藤木英雄を引用。
 私は、藤木英雄の『可罰的違法性の理論』こそ、東京中郵判決を支えた理論と思うが、藤木は19世紀末から始まる社会秩序の変化「「田園的社会構造」から「工業化・都市化された社会構造」の変化、‥‥過密化する交通諸手段、社会関係の緊張に基づく治安問題や一連の社会政策立法、行政取締規定の発生など、これら一連の社会関係の変化‥‥特別刑法、治安刑法の厖大な領域の発生、これに伴って刑事刑法の内容転化-個人の自由とそれへの干渉から個人を守るという立場から社会利益の保全ー-‥‥右のような社会関係の変化は、ある程度の法益侵害を日常化し、従ってこの法益侵害について一々刑事責任を追及し、法益侵害を排除しようとすれば、単に危険企業や高速度交通機関にとどまらず、いっさいの社会活動は停止しなければならない。複雑に入りくんだ社会関係のもとでは、社会的利益追及行為は必然的に一定の程度の他人の法益侵害の上に成り立つ‥‥」
 したがって単純な法益侵害の上に犯罪概念、違法の観念を組み立てててきた理論は反省を迫られるとするのである。
 しかし藤木理論のおかげで、昭和30年代後半から40年代にかけて、労働組合による構成要件該当行為、例えば人身を拘束し腕をとって連行するような行為を逮捕罪とせず無罪としてきた。可罰性違法理論=労働組合による暴力容認のような風潮がはびこったのである。団体主義による法益侵害の日常化した社会だから暴力もある程度かまわないというものであった。ふつうの人がやったなら逮捕罪で有罪になるところが、労働組合はそうならないなどという理論は到底支持することはできないのである。
 私は市民刑法(個人の自由とそれへの干渉から個人を守るという立場)を変える必要はないと考える。というより、藤木教授のいう19世紀末から20世紀の工業化都市化した社会と今日では産業構造も変化しており、この理論も再考せざるをえないと思う。

10380 井上祐司「可罰違法性の問題」『法律のひろば』20巻8号1967年
10381 村上尚文「東京中央郵便局事件に対する最高裁判決について」『法律のひろば』20巻1号 1967
10382京教組勤評反対斗争事件第一審判決(あおり概念の限定解釈による無罪) 京都地裁43.2.22判決 判時520
10383和教組勤評反対斗争事件控訴審判決(あおり概念の限定解釈による無罪)大阪高裁43.3.39判決 判時521
10384藤永幸治・村上尚文「最近の公安労働刑事事件の裁判例の傾向と問題点」『法律のひろば』20-8 1967
摩周丸事件41.11.30、全林野猪苗代分会事件41.11.23などを解説。
10385★★向井哲次郎 全農林警職法判決の調査官解説 最高裁判所判例解説刑事篇昭和48年305頁
10386★国労久留米駅事件上告審判決 判時699号
10387柴田雄一郎「平成一七年における地方公共団体の勤務時間・休暇等に関する調査の結果について」『地方公務員月報』平成18年1月号
10388国労東三条駅事件の第一審判決 新潟地裁39.10.26 判時390号
10389大教組勤評反対闘争事件の第一審判決 大阪地裁39.3.30 判時385号
10390★全司法仙台事件福島地裁判決38.3.27下刑集5巻3.4号 309頁
10391和教組事件和歌山地裁判決38.10.25下刑集5巻9.10号5 910頁
10392★国・中労委(JR東海〔大一両・掲示物撤去第1〕〕事件東京高裁平19.8.28判決 労判948〔2008.301〕

« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »

最近の記事

最近のトラックバック

2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

世界旅行・建築