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2014/06/01

児童ポルノ法改正単純所持処罰導入に対する反対意見(その7完)

承前

(各論)

 

 

Ⅲ 写真集『神話少女 栗山千明』単純所持処罰絶対反対

 

児童ポルノ法が規制目的と密接な関連のない存しないものまで網にかけている例として、ここでは写真集『神話少女 栗山千明』を一つの例にして取りあげたい。

 

篠山紀信の『神話少女 栗山千明』(新潮社1997年)という11歳の美少女を被写体とした上半身ヌードを含む写真集が出版されているが、その後、たぶん児童ポルノ法制定との関連で出版社が自主回収し、絶版となり、たぶん現在では古本としても流通していない。

栗山千明(1984年生)は5歳のころからファションモデルであったが、日産ステージアのCМ(1996年)で美少女と評判となり、「チャイドル」ブームを巻き起こした。深作欣二監督の「バトルロワイヤル」(2000年)が女優としての出世作で、ハリウッドに進出、『キル・ビル Vol.1』(2003年)で準主役に抜擢されるなど、女優、モデル、タレントとして成功している。

篠山紀信は芸術的と評されるのが嫌いな写真家で、ヌード写真とは美しく、見ていて気持ちよく想像力を刺激するものを追求しているとされる[i]。オーソドックスな手法で見る人に喜ばれるものを提供してくれる写真家であるが、クールビューティと称される栗山千明を魅力的に撮っている。これはたんに美しい写真で、3号ポルノにあたらないという解釈もありうるが、3号ポルノとされる可能性ももちろんある。

篠山紀信は『少女館』というヌードのないチャイドルの集合写真集も出版しているが、モデルの中で最も魅力的なのが栗山千明であった。むろん親の身上統制権による承認のもとで撮影されたものであろうし、この撮影が少女に生理的、感情的、精神的な面での悪影響があったとは到底思えない。こうした芸能活動を規制することが未成年者の福祉と密接に関連するものとはいえないのである。むしろ栗山千明が女優・タレントとして成功するステップとなっている。児童ポルノ法はこうした芸能活動を規制し、表現活動を委縮させる効果をもたらしているが、それは子供の虐待防止と無関係だ。

仮に、私が『神話少女 栗山千明』を所持していたとする。法改正にもかかわらず廃棄せず、そのために捜索を受け、発見されたとする。それによって私は栗山千明の性的虐待に性的搾取にかかわった者として刑罰に処されるのは全く不合理である。にもかかわらず児童ポルノ法は「児童を性的対象とする風潮が助長されることを防止」する立法趣旨もあるので、あなたが性的虐待にかかわってないとか規制目的と関連してないと主張しようとそんなのは関係ない、18歳未満のヌード写真の所持を取り締まることが「児童を性的対象とする風潮が助長」を防止する効果があるので、あなたは刑罰に処されて当然ですということになる。そうなると非常におそろしい社会といえる。

 

 

  セクスティング処罰絶対反対

 

 

セクスティング(sexting)とは、近年、アメリカの青少年の間で流行している性的行動であり、携帯電話などで自分のヌード写真や動画を恋人や友人などに送信する行為である。アメリカの非営利団体であるInternet & American Life Projectが行った調査ではアメリカのティーンエージャーの15%はセクスティングの経験があると報告されている。

我が国ではセクスティングは、現行児童ポルノ法でも単純製造罪とされている[ii]

東京高裁平成22.8.2判決の事案は大略次の通りである。被告人は、A子(当時13歳)にメールや電話を通じて、グラビアのモデルの仕事であるなどと甘言を弄して、A子にその乳首を露出させる姿態をとらせ、これをA子の携帯電話機付属のカメラにより静止画として撮影させた上、画像を電子メール添付ファイルとして送信させ、その画像データを被告人の携蒂電話機により受信して同機に挿入されたマイクロSDカード内に記録・蔵置させたというものであり、一審静岡地裁平成21.12.25判決は、児童ポルノ法7条3項の単純製造委罪の成立を認め罰金100万円に処した。

東京高裁平成22.8.2判決は控訴棄却。判旨は「法73項が設けられた趣旨は、「他人に提供する目的を伴わない児童ポルノ製造であっても、被害児童に法23項各号に掲げる児童ポルノに該当する姿態をとらせ、これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為は、強制によるものでなくても、被害児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず、かつ、流通の危険性を創出する点でも非難に値し、可罰性があると解されたところにあるといえる。」

 「本件では、被害児童の行為が被告人によって利用された部分があるとしても、それは、『姿態をとらせ』といった構成要件に沿うものである。また、前記原判示の罪となるべき事実中、被告人が被害児金童の姿態を電磁的記録媒体に描写する過程で被害児童による撮影や送信という行為が介在しているのも、犯罪構成要件である『描写』の手段方法を原判決がより具体的に説示したことによるものであると解され、しかも、被害児童がそのような行為をしたのは、(略)児童ポルノの製造という真意を秘した被告人が、甘言を弄して判断能力の未熟な被害児童を錯誤に陥れたためであるから、被告人が本罪の単独正犯であることに疑問が生じることにはならない。」[iii]

 

この事件は交際していた男女の例でないようであり、被写体も13歳と比較的年少者といえるが、しかし性的にも成熟し、大人っぽく判断能力も備わっている女子高校生の場合はどうか。女子高生なら大抵携帯を所持しているし、交際している男性に対し、自らを被写体とした写真は当然のこととして、場合によってはヌードや思わせぶりな画像等を携帯電話等で送信しているケースは、公式の調査はないとしても相当広範に行われていると考えられる。勝手にポーズをとったのか、勝手に露骨な写真を送ってきたのかにかかわりなく、性的虐待とは思えない単なる「お遊び」、無邪気なヌード写真であるにもかかわらず、所持したことにより、犯罪者としてのレッテルと貼られたうえ刑罰に処すのは行き過ぎであると考える。

国会議員の大多数はセクスティングなんか処罰してしまえと考えているのもしれないが、私はそれが、それが愚かなことであるとか不純異性交遊とか、非行であるときめつけるのは正しくない。それはむしろ親密さの証しと考える。

親しい人間関係を築き、結婚し家庭を持つことは幸福追求権にかかわる基本的権利である。セクスティングの交際が合法な婚姻関係に進展することもありうることを考慮しなければならない。英米法とくに表現権を専門とする紙谷雅子学習院大学法学部教授は児童ポルノ法でのセクスティング訴追は疑問[iv]としており、私もそう思う。被害者なき犯罪の拡大と非難されるべきである。

法改正が審議入りするとなれば、営利目的のそれと親しい人間関係のなかで無邪気に撮影されたものとどう区別するのかしないのか、恋人どうしのセクスティングも単純所持適用不可避と国会議員と考えているのか当然議論されるとは思うが、私は、既に死語となった「不純異性交遊」「桃色遊戯」という言葉が復権し、警察が男女交際をとりしまる社会を望んでいないがゆえに、法改正に反対なのである。

 


[i]「写真家篠山紀信の世界」『週刊現代』561420144/26

[ii]園田寿「いわゆるセクステイングと児童ポルノ単純製造罪東京高裁平成2282日判決(公刊物未登載)」『甲南法務研究』7 2011年大林啓吾「所持規制をめぐる憲法問題-児童ポルノの単純所持規制を素材として-」『千葉大学法学論集』283号 2014

[iii]園田前掲論文

[iv]紙谷雅子「セクスティングとチャイルド・ポルノグラフィ」『学習院大学法学会雑誌』46巻1号2010年

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単純所持の罰則化はロリコンへの差別です。

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