公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2014年7月の7件の記事

2014/07/15

購入雑誌等整理4

21「正社員官製ベアで約束された受難」週刊東洋経済2014.5.24号
経済産業省が新しいホワイトカラーの働き方について「スマートワーク」構想を紹介しているが批判的な記事。今後3年間が雇用の集中改革期間とされているので注目している。

22渡辺滋「冷泉朝における藤原実頼の立場」『日本歴史』787 2013.12
小野宮流の祖実頼は、関白左大臣でありながら冷泉天皇の外戚でなかったこと、「揚名関白」と自嘲していることがら、従来必要以上に実頼の政治的無力さが強調されていたが、そのような評価は適切でなく、相当の実力者だったという。

樋口健太郎「藤原忠実の追善仏事と怨霊」『日本歴史』787 2013.12
13世紀初期の38歳の摂政良経、22歳の内大臣良通の突然の薨去は、忠実の悪霊の仕業とされた。忠実は保元の乱で罪人となるのを免れており、不遇の死を遂げたわけでもないのに怨霊となったのは、忠通が父忠実に義絶されたことに憎しみをもちつづけ追善仏事を行なわなかったことから忠実の怒りが化現したものとする。摂関家では歴代家長の忌日の追善供養は恒例であるはずだが、忠実は薨後70年後の鎌倉時代の九条道家によって初めて追善仏事供養がなされたのだという。

24鈴木由美「先代・中先代・当御代」『日本歴史』790 2014.3
鎌倉幕府の執権はあくまでも将軍の補佐にすぎないが北条氏は実質的な武家の指導者とみなされ、幕府滅亡後「先代」と称された。吉野朝の北畠親房ですら、北条氏をさして「先代」と称していたという。「中先代」とは鎌倉を一時占領した北条時行である。「中」の意味が考察され「中関白」とは、藤原道隆のことで、兼家、道隆、道長の三代の関白(道長は正確には関白になってないが御堂関白と称された)の中位という意味。「中の院」とは順徳が仲恭に譲位した時点で、後鳥羽上皇を本院、土御門上皇を中の院、順徳上皇を新院と称されたケースであり、同じカテゴリーの二番目を「中」というのだという。
 短期間であれ、北条時行は鎌倉を占領したのであり、「先代」(=北条氏もしくは高時をさす)と「当御代」(=足利氏もしくは尊氏をさす)の間の「中先代」という意味だと説明している。
 
25篠崎敦史「刀伊の襲来からみた日本と高麗の関係」『日本歴史』789 2014.2
1019年の「刀伊の襲来」(刀伊とはツングース系の女真族)は壱岐・対馬・北九州に被害をもたらし多くの日本人が拉致されたが、高麗が刀伊を撃破して拉致された日本人を救助し270人ほどの日本人を送り届けたことの意味についての考察。先学は高麗は日本に対して「友好」的な感情を有していたが日本の対応は警戒心と猜疑心に満ちたものだったとする。著者は従来の説を批判し、10~11世紀の日麗関係は両国とも緊密な関係を持つつもりはなく、何か問題が発生したときのみ交渉をもつ程度だったとする。
 高麗が日本人を救助し丁重に扱われたのは、日本が刀伊を高麗と誤認し報復に出てくる可能性を考慮した。当時高麗は、北西部で契丹と軍事衝突し猛攻に耐えられない状態であったため、後方の安全を確保するため日本との対立を回避するためだったという。

2014/07/13

入手資料整理139

10518 山田寿一「ジェレミイ・ベンサムの思想に関する考察」中央学院大学論叢15-2 (ネット公開)
スコラ主義者にとって公益とは秩序的統一体であるがベンサムは個人利益の数量的集成とみなした。ベンサムの思想がシドニー・ウェッブに影響を与えたと著者は記している。結論的にはかれの思想は社会の成員の生存を保障するような法律は認めてないので社会主義に直結しないということのようだ。個人の利己主義が社会の公益と合致しうるという思想は、アダム・スミスやマンドヴィルと同じだが、「悪徳」の自然作用を認めるマンデヴィルとは違ってかれは「悪徳」を敵視し、議会制民主主義による解決を求めていると書かれている。したがって今日の通俗的民主主義の基本思想がこの人であるということがわかる。私は「悪徳」容認のマンデヴィルの方を好む。
 
10519 二神真美 「アパラチアの虚構-アメリカの風土文化と住民運動」NUCB journal of economics and information science 47(2)2013(ネット公開』
 アメリカの経済停滞カウンティ(貧困・後進地帯)として、アパラチア、南部農村地域、オザーク地域、ミシシッピデルタ地域、メキシコ国境地帯などを挙げている。「純血アメリカ人の原型」とか「ヒルビリー」的アパラチア像は「神話」である。しかしもうひとつの「貧困・後進地域」オザーク高原地域からは、世界最大の小売業ウォルマートが出現したように、「貧困・後進地帯」はある意味で純粋素朴であり本物のアメリカがあるように思える。

10520 安川哲夫「『スペクテーター』における社会と家族と教育」金沢大学大学教育開放センター紀要 10 1990(ネット公開)
 イギリス人のモラルや生活様式に与えた影響では聖書に次ぐ重要な文献とされるのが18世紀初期に刊行された『スペクテーター』である。
イギリスでは1695年出版免許令で事前検閲が撤廃され、様々な新聞や雑誌が次々と出版された。人々はコーヒーハウスで読んだ。
 私は近代個人主義的友愛結婚の源流を12世紀の古典カノン法の代に始まると考えるので、近代起源とするストーンやエンゲルスの見解を疑問視しているが、『スペクテーター』はまさに近代友愛的結婚の価値観の提示者でもあったと著者は述べる。149号「幸せな結婚とは、二人の人物が出会い、財産や美という条件を考慮することなく、またそれを無視することもなく、自らが相手を選択することにある」とし財産を目的とした打算的な結婚を批判している。「家庭生活の中心におかれているは、夫と妻、親と子の相互の愛情と尊敬に基づいて確立された感情的な生活である。これは秩序づけられた家族の基礎を司祭の権威の継承者としての家長が行う家庭祈祷(family Prayer)と教義問答書の教育に求めたピューリタンの家庭像とは一線を画している」と説明する。
 現代日本の家族観と大きな隔たりはないように思える。

10521 中野善教「タフトハートレー法とわが労働法との比較」『経営者』2(10) 1948

 まず、アメリカの全国労使関係法の立法目的は州際通商の増進であり、我が国の労組法の団結権保障、団体交渉権の保護とは性格が異なっている。

10522 中村英樹「公法研究 日の丸焼き捨てと象徴的表現行為 : 沖縄国体日の丸旗焼却事件控訴審判決」法政研究 63(1) 1996
10523小野清一郎「労働争議におけるピケッティングの正当性の限界」(威力業務妨害罪との関係) 警察研究.31(7)1960
10524★★★神山欣二「ピケッティングの正当性の限界」『警察学論集』17号1950
非組合員に対するピケッティングの判例としていずれも昭和23年~25年の判例だが仁丹体温計山形工場事件、朝日新聞小倉支店事件、国鉄松山機関区事件、旭化成延岡工場事件、特殊歯輪製作所事件を挙げいずれもくわしく説明している論文。
10525★神山欣二「平和的「ピケッティング」の限界」(上)『警察学論集』5(4)1952
英米法に関する内容
10526神山欣二「平和的「ピケッティング」の限界」(下)『警察学論集』5(6)1952だかん゛、
10527★神山欣二「英法における平和的ピケッティングについて」『警察研究』27(2)1956
10528★新田勇「イギリス法におけるピケッティングの規制」『警察論集』37(3)1966
10529★★★★臼井滋夫「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』30(4)1977
 著者は全逓名古屋中郵事件にかかわった最高検察庁検事なので安全な論文だが、岩教組判決の後、全逓名古屋中郵判決の前に書かれたものである。

 ポイントは2つ、羽幌炭礦判決の「諸般の事情」の意味と、久留米駅事件方式の意義についての説明である。

 基本的なリーディングケースは、山田鋼業事件大法廷判決昭25.11.15刑集4.11.2257と朝日新聞西部支社事件大法廷判決昭27.10.22民集6.9.85であり、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、したがって、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為はされないとの見解が確立されるに至っている。
 羽幌炭礦事件大法廷判決昭33.5.28刑集12.8.1694は、犯罪の成否についての画期的判例で指導判例となっているが、「諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には‥‥」の「諸般の事情」について、労働力の提供拒否にとどまるか否かという基準では割り切らないことを意味するというプロレイバー解釈は誤りと指摘している。
 羽幌炭礦事件大法廷判決の「基本となる基準はあくまで労働力の提供拒否にとどまるか否かであり、ただ、争議行為に際して行われた個々の行為の正当性の有無の判断は、当該行為の具体的状況判断その他諸般の事情を総合的・全体的に評価してなされるべきものであるとの趣旨を表現したものであることは、判決理由の文脈それ自体からみても、この問題の実質に照らして考えても明らか」としている。
 次に重要な判例は典型的なマスピケ事犯である国労久留米駅事件大法廷判決昭48.4.25刑集27.3.418であるが、「法秩序全体の見から許容されべきものであるか否を判断しなければならない」」という判示が一般に可罰的違法性論による違法性阻却を困難にし組織労働者側に厳しい判決と評価される意味が素人にはわかりにくい。臼井氏は次のように云う
「同盟罷業自体の労働法上の合法・非合法の評価と、その目的達成のために行われた個々の付随的ないし補助的な行為についての違法性判断を意識的に区別して、違法性阻却事由の有無について刑法的評価のあり方を包括的・一般的な形で簡潔に表現したものと理解できる‥‥とはいえ両者は決して無縁のものでないから、当該同盟罷業が労働法上合法であるか否かという評価をも、個々の犯罪構成要件該当行為についての違法性阻却事由の存否という刑法上の判断に当たり当然に考慮に入れるものという趣旨」としこのことは名古屋中郵判決で検察側の主張のとおりなった。
 さらに久留米駅事件方式件の特色として次のようにいう
「実質的違法性論に立脚して違法性阻却事由の有無を判断すべきものとしつつ、犯罪構成要件ないし構成要件該当性における違法性推定機能を重視していることである。わけても労働争議の際の行為についても、一般原則のとおり犯罪構成要件該当性に刑法上の違法性を推定する機能を認め」たこと。私が言い換えれば、労働事件を特別視し、労働基本権思想にもとづき、犯罪構成要件該当性に当たる行為でも違法性阻却し実力ピケを合法としていた下級審の判断を否定する判断方式ということである。
 又「公労法17条1項に違反してなされた争議行為につき労組法1条1項の適用があるかどうかという問題について‥‥この問題に触れることなく、「諸般の事情」を考慮に入れたうえ「法秩序全体の見地」から違法性阻却事由の有無を判定すべきものとする立場を打ち出した。」。要するにこの問題は先送りされたが、昭和52年の名古屋中郵判決で決着したわけである。

 我が国は実定法上、マスピケを禁止しておらず、消極的団結権の明文化もない点で労働法は先進国の水準に達してないと考えるが、一般には久留米事件方式により労組の行き過ぎた行為の歯止めとなったと理解されている。

2014/07/07

コロラド州はマリファナ合法化で税収や観光が活況

  コロラド州は大麻の規制を2012年11月の住民投票で大幅に緩和することになり、 今年から酒やたばこと同様に嗜好品として合法化しましたが、税収や観光が活況でとても良い効果があり、61%の有権者が支持しているとのことです。(オークランドトリビューン記事)http://www.insidebayarea.com/news/ci_26095373/marijuana-legalization-colorado-so-far-so-good
 大麻は被害者なき犯罪として非犯罪化が妥当との見解があります。酒やタバコのほうがよっぽど健康に悪いともいいます。少なくとも他人に危害を加えたわけでもないのに、薬物を所持していた有名芸能人をたたきまくる報道はそろそろやめたほうがようのではないかと思います。

2014/07/06

1971年のCIA分析によれば米国政府は常に尖閣諸島の正当な領有権は日本とみなしていた

 これは、1月に報道http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39724されており既知の事柄ですがあまりしられてない。たまたまスレートのホビー・ロビー判決の反響記事をみていたところ、Hububというフェイスブックのコミュニティの尖閣に関するリンクに目がとまったので一応記録しておきます。
  January 17, 2014 by PatriotsBillboardというサイト。国際安全保障問題を研究、分析する民間機関リグネットによる「1971 CIA Analysis Supports Japan’s Claim to Senkaku Islands」。秘密報告書の原文のリンクもある。。CIAの報告書は米国政府は常に、尖閣諸島の正当な所有者は日本と見なしていたことを示している。1970年9月半ば、日本政府は尖閣諸島は​​日本に属していることを公式的な立場をとり、どの国との交渉の問題ではなかった。第二次世界大戦の終結以来、尖閣諸島を含む海域は尖閣諸島は琉球の領土範囲内であったという立場を受け入れ、米国の排他的な軍事占領下にあった。米国政府は、常に、日本でも爆撃範囲として使用するには尖閣諸島の小島の日本の所有者に賃貸料を払って、尖閣諸島の所有権を持っていたと仮定していた。
 地図的証拠も日本に有利である。検査した中国国民党のマップはいずれも、尖閣諸島の海域は、中国の境界内にあることを示していない、ヨーロッパで印刷され、個人的に発行された地図のランダムな選択は、尖閣諸島の領域を中国として示すものではない。さらに、世界のソ連の公式アトラスの1967版は、尖閣諸島を日本領としているということです。 http://patriotsbillboard.org/1971-cia-analysis-supports-japans-claim-to-senkaku-islands/
 なお、Hububのアンケートでは尖閣について日本、中国いずれを支持するかについて日本は58/%、中国は41%でした。https://www.hubub.com/123531/123574

2014/07/05

ホビー・ロビーストアズ判決について(2)

 今回の判決は、宗教的信念にもとづいて、家業を経営する権利を明らかにしたものとされ、単に宗教の自由というだけでなく、スモールビジネスにとっても良い判決である  自分の信念に従ってビジネスを生き、行うことが自由であるべきことそれはアメリカの価値観です。  http://www.becketfund.org/hobbylobby/

そもそも自由企業体制のもとでは、企業年金、医療保険、社宅、レクリエーション施設、ストックオプトション、労災補償、有給休暇制度(アメリカでは今日でも法定有給休暇制度はない)その他もろもろの従業員福祉制度とは、本来企業の労務対策として行われたものであり、日本的経営といわれる経営家族主義ももとは南部のカロライナなどの繊維産業などの温情主義的経営を模倣したものである。1920年代に洗練されたものとなり、ウェルフェアキャピタリズムといわれる。それは労働組合の組織化から企業を防衛し、忠誠心のある従業員を確保するための戦略だった。企業はそれが自らの利益になると考えやってきたことで、本来、企業の経営方針について政府がおしつける性質のものではないのである。     今日では自由企業体制に反し、例えば公民権タイトル7のように人種、皮膚の色、出身国、宗教、性別で雇用上の差別を禁止するなど、経営者の裁量に制約を課しているが、本来の契約の自由、自由企業体制という観点では、雇用主がどのような人を雇用し、昇進させ、解雇するかは自由であるべきであり、リチャード・A・エプスタインのように、公民権法についても批判的な見解がある。

 そのような自由企業体制を信奉する立場では、オバマケアは違憲にしてたたきつぶすのが最善だったとおもうが、2012年に最高裁は5対4でロバーツ最高裁長官の政治的配慮とも思えるようなばかげた合憲判断(National Federation of Independent Business v. Sebelius)を下したのである。しかし今回は一部を違法としたことで、総じていえばバランスをとったというか、反オバマ派にとって一矢報いたと云うところである。

 ホビー・ ロビーとは、フルタイムの従業員が13000人、全米41州で600近い店舗を展開する。売り場面積がとてつもなく広く、手芸店、服地店、ファンシーショップ、骨董品店、陶器店、DIYなどを一堂に集めたような  http://homepage3.nifty.com/breath-taking/chicago/chicago06.htmカテゴリーキラーという業態と考えられるが、経営者一族は敬虔なクリスチャン (ペンテコステ派の一派アッセンブリーズ・オブ・ゴッド)で、神を称える為、聖書の原則に一致した方法で経営しているということである。なぜか、バーコードスキャナーを使わない、オンライン販売も積極的でないにもかかわらず競争の激しい業界で成功しているのはすごい。

 ダラスの店舗を紹介しているブログhttp://chipmonk.blog90.fc2.com/blog-entry-73.htmlを見たが、なるほど品揃えが豊富で整然と陳列された感じのよい店である。                     この判決の影響についてはよくわからない。アリート判事の法廷意見は非公開企業を定義 してないが、タイムの記事   http://time.com/2941323/supreme-court-contraception-ruling-hobby-lobby/によると内国債入庁の定義では5人以下の人々が会社の半分以上を所有する企業を「非公開企業」という。「非公開企業はアメリカのビジネスの90%以上を構成し、労働力のおよそ52%が非公開企業で働いている、ただしオバマケアは、50人以上の社員を有する企業に健康保険を提供するように要求するもので、それより小さい企業は初めから適用除外である。 

 非公開企業として有名なのはDell, Cargill, Mars, Heinz, Dole, Kohler, Hilton, Bloombergなど、こうした企業のうち、宗教的理念を経営方針としている企業がどれほどあるのか不明だが、スモールビジネスでは決して少なくないのではないか。  私は、ロー対ウェード判決支持であり、中絶クリニックのピケに反対であるが信教の自由回復法に好意的で、オバマケアに反対なのでこの判決には好感を持つ。  

フェミニスト団体は今回の判決に怒っていると言うが、皮肉なことに、多くのアメリカ人女性顧客に愛されている手芸用品店が女性の敵であるとは理解しがたいのである。

2014/07/02

ホビー・ロビーストアズ判決について(1)

  2013-14開廷期最後の日 のBurwell v. Hobby Lobby Stores, Inc.判決は5対4でホビー・ロビー・ストアズのような非公開企業に、その企業所有者の宗教的信念に反する避妊対策の保険適用を強制することはできないとした。オバマケアに挑戦したエバンジェリカル(福音派)キリスト教徒の勝利という、劇的な判決だった。アメリカ社会に固有の問題であるがわが国でも産経や読売が報道しています。http://sankei.jp.msn.com/world/news/140702/amr14070201050001-n1.htm

 ホビー・ロビー・ストアズはエバンジェリカル(福音派)の一族が経営するオクラホマを本拠とする手芸品材料のリテーラーで全米に600店舗、1万3千人の正社員を抱える非公開企業である。  本件は宗教の自由の勝利として大きな判決だと思うし、アリート判事の法廷意見の詳細はみていないが、PBSのニュース解説で知った範囲では判決理由は賛同できると考えます。

 この判決は1993年の信教の自由回復法にもとづいてます。5対2(2人は保留)は、宗教を促進する営利企業に宗教的権利を認めたことで勝負あったと考えます。

 1993年の信教の自由回復法とは、1990 年のEmploymentDivision, Department of Human Resources v. Smith判決がネイティブアメリカンが宗教的儀式にペヨーテという違法薬物(幻覚剤)を用いたことによる不利益処分を合憲とし、従来の厳格司法審査と違う基準で判断を行ったことが非難され、この判例を覆すためにわざわざ制定法をつくったものなのである。

 スミス判決のテストは「宗教を狙い撃ちする法律(law that targets religion)は、「最も厳格な審査(the most exacting scrutiny)」に服せしめられ、およそ違憲とされるけれども、「宗教的行為」を付随的に規制する「宗教に中立的な法律(religion-neutral law)」は、いかなる合憲性審査にも服せしめられるというものでした。これはゆるい審査基準です。

 このぬるい司法審査基準に判例変更したことに対し、アメリカ合衆国の国是ともいうべき宗教上の権利の行使をおとしめるものとして議会が強く反発し、それ以前の最高裁が修正第一条「宗教の自由な実践」条項(Free Exercise Clause)にとっていた司法審査基準である「やむにやまれぬ政府利益(compelling governmentalinterest)を促進する最も制限的でない手段(the least restrictive means)」でない限り、「宗教的行為」に「実質的負担(substantial burden)」を課することを許されないという厳格司法審査と同じ効果をもたらすための制定法である「信教の自由回復法(Religious Freedom Restoration Act of 1993(RFRA)を制定したのである。  

 そうするとこの法律はよほどのことでない限り、宗教的権利の行使に負担を課してはいけないとしているので、非公開企業にも宗教上の権利を認めたことにより、オバマケアは避妊薬や避妊器具の保険適用の義務に反する場合罰則を課しており、宗教上の権利行使に対する負担を課すものと判定されるのは道理といえるのである。

* ネットで公開されている神尾将紀「アメリカにおける「信教の自由」の展望--Smithテストの理論と実際」 (第43回 宗教法学会)宗教法 (21) を参照、引用した。

2014/07/01

ちょっとがっかり

 30日の5対4のハリス対クイン判決Harris v. Quinn ですが、イリノイの在宅ケアの労働者の組合費の強制徴収に関するものでしたが、判決は強制徴収を認めないというものでした。しかし現在20の州で非組合員にも公務員労組の組合費強制徴収が行われており、1977年のデトロイト教育委員会判決でエージェンシーショップが是認されている。今回の判決理由では1977年の先例を覆すにはいたらなかったということです。ニューヨークタイムズの記事は、労組は敗北したが、壊滅的打撃は免れたと、安堵した内容になっている  したがって今回の判決は非組合員の勝利で、それ自体は称賛してよいと思いますが、先例はそのままなのでインパクトのあるものにはならず、少しがっかりです。  もう一つのホビーロビーストアーズの事件は信教の自由回復法、修正一条、非公開企業オバマケアと論点が複雑で難解なので、ニュースをよく読んでから論評します。

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