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2014/12/09

下書き)地方公営企業の職員の労働関係に適用できる法律、判例法理について(2)

 

 地方公営企業が国鉄・郵便局等の国営企業、私企業と同じく企業秩序定立維持権を有しているとする根拠の一つとして郵政省新宿郵便局救済命令取消請求事件最三小昭和58年12月20日判決労判421号判時1202号[i]も挙げることができる。

事案は全逓の昼休みにおける休憩室や予備室での無許可職場集会に対する職制の解散命令や監視が不当労働行為かあたるか否かが争われた。

無許可集会規制の根拠となる郵政省の就業規則第二一条は、「国有財産の使用に関する取扱いは、次によること」第一号「組合から組合事務室以外の庁舎の一時的な使用を申し出たときは、庁舎使用許可願を提出させ、業務に支障のない限り、必要最小限度において認めてさしつかえないこと」であったが、国有財産の公物管理権の脈絡でなく、端的に国労札幌地本判決を引用し企業秩序定立権にもとづき解散命令等を適法とした控訴審判決[ii]を支持したものである。

最高裁が認容した控訴審判決東京高裁昭55・4・30)『労働判例』340号は「企業主体が国のような行政主体である場合と、また私人であろうと」国労札幌地本判決が適用されるということである。敷衍すれば企業主体が国であれ地方自治体であれ同じことだといえる。

企業秩序論については労働契約外に超然として上位概念が存在しているように受け取られ屋上屋を重ねる無用な法的概念とする批判する見解もあるが、私はそう思わない。その最大の理由は、我が国のプロレイバー学説というものが極めて悪質で、労働三権によって、市民法秩序の根幹である所有権・財産権の制約、法益侵害を正当化しようとする理論だからである。

この害毒から職場規律適正な職場環境を維持していくためには、企業秩序論の案出が必要だったと考える。

 

. 庁舎管理権について

 

 但し、組合掲示板の一部撤去を正当とした昭和郵便局掲示板撤去事件最一小昭和57・10・7判決民集36巻10号2091頁判時1067号は.郵政省庁舎規程(昭和四〇年一一月二〇日公達七六号)六条に定める庁舎管理者による庁舎等における広告物等の掲示の許可は、掲示等による、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除する処分であるとした。組合は使用権ないし利用権を取得せず、右許可の撤回または掲示板の撤去に対する原状回復請求権および債務不履行を理由とする損害賠償請求権は存しないと判示したが、企業秩序論は引用されず、端的に、掲示板それ自体が行政財産であるため庁舎管理権の問題として処理されてる。

また地方公営企業の施設管理権の運用が、公物管理権に根拠を有するところの庁舎管理権に准じ、庁舎管理規則を定め、地方自治法の目的外使用許可に準じ行政処分的構成がなされていることから庁舎管理権の発動のありかたについても言及しておく必要がある。

 

1)庁舎管理権の根拠

 

庁舎管理権の根拠についてはA公物管理権を根拠としてそれ自体独立した公法上の特殊な物的支配権とするもの(田中二郎『行政法』(中)有斐閣版432頁、原龍之助『公物営造物法』57頁)と、B所有権の現れにほかならないとする(美濃部達吉『日本行政法』(下)786頁)を根拠とすね見方に分かれる。このほか有力ではないが特別権力関係説や、部分法秩序の理論もあるが、この際無視してよいと考える。

 行政主体が公物本来の機能である公共用又は公用に供するという目的を達成させるために有する特殊の包括的な権能を公物管理権という(田中二郎『新版行政法』中巻全訂版317頁)。A説では公用物たる庁舎の管理者が直接、国又は地方公共団体等の事務又は事業の用に供するための施設としての本来の機能を発揮するために一切の作用を行う権能を庁舎管理権とされ、その作用の形式から(1)庁舎管理規則(抽象的な規則の定立)、(2)目的外使用の許可(目的外使用)、(3)ポスター・ビラの撤去その他庁舎内の障害物の除去(事実上の行為)があるとされるのである。

 B説は、永井敏雄大阪高裁元長官(平成26年退官)が法務省刑事局付検事時代に書かれた論文[iii]である。行政裁判所の認められてない現憲法下では公法上の権利の効果は乏しく意義がない。私人の施設管理権と統一的に説明できたほうがよい、借上庁舎等他有公物についても判例及び学説は債権に基づく妨害排除請求権を認めているから問題ないとするものである。

A説、B説いずれが妥当かは余裕がないので保留とするが、B説なら企業の施設管理権とさほど差異なく説明できる利点があるかもしれない。(続く)

 


[i]全逓新宿支部は、五月一〇日の昼休み、集配課休憩室で組合員70~80名を集めて、また六月七日午後五時過ぎ、同月一一日昼休み、四階年賀区分室付近で、職場集会を開催したが、右は無許可であったため、管理職らがマイクで解散を求め、あるいは集会の様子をメモする等したため、全逓新宿支部の職場集会を妨害・監視した等の当局の一連の行為が労組法7条3号の不当労働行為を構成するものとして公労委に救済申立を行った。第一審判決(東京地裁昭和47年6月10日『労働法律旬報』815号)は四七年六月、全逓の主張をほぼ認め、無許可集会の解散命令も不当労働行為に該当するとし、公労委の棄却命令を取り消した。しかし控訴審判決(東京高裁昭和55年4月30日)『労働判例』340号では、公労委・国の敗訴部分を全面的に取り消す判決を下した。国労札幌地本事件最高裁判決を引用し、休憩室での職場集会は正当な組合活動にあたらず、職制が解散を命じこれをメモするのは正当な職務と認めた。全逓の上告による最高裁第三小法廷昭和58年12月20日判決(『労働判例』421号)は、原判決を認容し、全逓の主張を斥けた。石橋洋「無許可職場集会の正当性 : 全逓新宿郵便局事件・最高裁第三小法廷判決(昭五八・一二・二〇)」『労働法律旬報』1087・88号 1984.1.25http://hdl.handle.net/2298/14070

[ii] 「‥‥思うに、企業施設は、本来企業活動を行うために管理運営されるべきものであり、この点において、企業主体が国のような行政主体である場合と、また私人である場合とて異なるものではない。そして、企業主体は、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設の使用については許可を受けなければならない旨を一般的に定め、又は具体的に指示命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示命令を発し、又は所定の手続に従い制裁として懲戒処分を行うことができるものと解するのが相当である。 ところで、企業に雇用されている労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されている場合が少なくない。しかしながら、この許容が、特段の合意があるのでない限り、雇用契約の趣旨に従つて労務を提供するために必要な範囲において(休憩室、食堂等にあつては、休養をし食事をする等その設置の趣旨に従つた範囲において)、かつ、定められた企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまるものであることは、事理に照らして当然であり、したがつて、当該労働者に対し右の範囲を超え又は右と異なる態様においてそれを利用し得る権限を付与するものということはできない。また、労働組合が当然に当該企業の物的施設を利用する権利を保障されていると解すべき理由は何ら存しないから、労働組合又はその組合員であるからといつて、使用者の許諾なしに右物的施設を利用する権限を持っているということはできない。‥‥」

[iii]永井敏雄「庁舎管理権と裁判所」『警察学論集』31巻9号1978年

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