入手資料整理146
10671樋口泰行『変人力・人と組織を動かす次世代型リーダーの条件』ダイヤモンド社2007
10672七十七銀行事件仙台地判昭45・5・29労民集21巻3号689頁
10673三越事件東京地決昭29・2・24労民集5巻1号82頁
10674ミツミ電機事件東京高判昭63・3・31判タ682頁
★★10675北九州市交通局事件最一小判昭63・12・8 労働判例530の評釈
★10676北九州市交通局事件福岡地裁昭52・11・18労民集31巻5号1048頁
本件は地公労法によって禁止された争議行為ではないとして懲戒処分を無効とした福岡労委の救済命令取消訴訟であるが、一審は棄却、二審は救済命令取消、最高裁は懲戒処分を適法とした二審を維持する判決を下したものであるが、二審で破棄された一審判決はつぎのようだった。
「本件昭和四一年六月ニ一日から二三日まで、同月二七日から七月一日まで及び同月三日の参加人及びその組合員(訴外中島ぼか一二名を含む)らの行動が、超勤拒否、安全点検、あるいは年休要求と、いろいろ名目は違っても要するに自らの事業所における業務阻害を目的とした争議行為ないしはそれに付随した争議手段であったことは、前記認定の事実にてらして明らかであり、その意味で年休申請も労働者の私的生活上の必要に基くものではなく、その実質はス卜ライキであった。
そこで、右期間に発生した個別の紛争の評価は別として、以上の争議行為が地公労法第一一条一項で禁止された争議行為に該当するかどうかを判断する。 前記認定にかかる本件交通事業の規模、市民利用度、独占の度合い、争議の規模、態様、争議の結果、本件争議に参加した参加人所属の組合員らの職種(乗務員、整備員主体)等を検討するに、その期間において延べ九日に及び、争議の性質上ダイヤの運休が不規則に生じたため、乗客の混乱もある程度発生じた事実はあるが、本件交通事業の内容は民間企業のそれと異るところはなく、その独占状態等を考慮しても公共性の度合いは特段に強いとはいえず、本件程度の争議を禁止してまで守らなければならなかったほど地方住民の共同利益に対する侵害が重大であり、住民生活への重大な障害があった(もしくはそのおそれがあった)とは考え難い。
従って、本件争議行為が地公労法第一一条一項によって禁止された争議行為にあたるとは認められず、全体としてみるときは正当な労働組合の活動であったと判断するのが相当である。」
懲戒処分は、停職6か月3人(バス運転手、うち1人執行委員長、)。停職3か月4人(バス運転手3人と事務1人、うち書記長1人、副執行委員長1人)、停職1か月4人(バス運転手2、車掌1、整備士1、うち中央委員1人)
超過勤務拒否闘争、ディーラー整備員入構拒否、完全点検闘争、休暇闘争の結果、ダイヤの不規則運休により乗客にある程度の混乱を生じたとあるものの正当な組合活動であるとした。
闘争によるバスの欠行率は、6/21 8.04% ,6/22 8.55%,6/23 4.19% 6/27 8.48%,6/28 8.60%,6/29 3.90%,6/30 6.62%,7/1 6.40%,7/2 1.47%,7.3 36.79% それでも正当な組合活動というワースト判決。
★10677全専売労組山形工場事件 山形地判昭47・11・27 判例タイムズ286号
公労法17条1項は専売公社に適用されないとした一審判決。巻き上げたばこ「ハイライト」「わかば」のパッケージから段ボール詰め等の作業を行う包装課職員の3時間10分の同盟罷業等に参加したことを理由とする戒告処分を無効とした。後に最高裁では適法と判断されているが、判例タイムズの論評は「官公労働者の争議権制限立法は中郵判決以来合憲的解釈等の名目で刑事責任はもとより民事責任においても骨抜きにされ‥‥この間の労使関係の不安定、法の権威の失墜は看過できない」と司法部を批判。
(専売公社側の主張)
1、中郵判決と懲戒処分
中郵判決は、一定の条件のもとに、刑事免責を認めているが、それは、刑罰を科さない限
度でこれを放任しているにとどまり、争議行為その他の業務阻害行為は行われるべきではないという趣旨(民事免責を認めず)であることは明らかであつて、公社の職員もしくは組合が争議行為を行い、または行おうとするならば、公社はその公的機能を完全に発揮し、公共的業務の正常な運営を確保するために有効な措置をとらざるをえず、懲戒処分もその一つにほかならない。
2、本件争議行為の違法性
(1)本件争議行為の性格
本件争議行為が公社の業務の運常な運営を阻害したものであることは明らかであるが、
さらに本件争議行為の重点は、組合内部において組合員の団結強化を図り、抗議の意思を決定、表示する点にあり、したがつてそれは実質的に勤務時間内の組合活動である。
(2)公労法一七条の無視
公労法一七条が職員の争議行為を禁止していることは明文上明らかであり、同条が合憲であるか否かは職員の身分保障、仲裁制度を含め、全労働法体系を総合して判断すべきものであつて、早計にその違憲性を断ずることは許されないところ、法令遵守義務がある原告らが公労法_七条を無視して本件行動に出たことは許されない。
(3)必要やむをえない事由の不存在
争議行為は、団体交渉という平和的手段を用いてもなお対立が解けない場合に、その解決を図るための必要やむをえない手段として用いられるべきもので、公共性の高度な公社の職員は、平和的解決を図るための努力をなすべき義務が絶対的なものとして要求されるところ、本件争議行為は、民間賃金の動向が的確に把握できる状態になつておらず、公社としても責任ある回答をなしえない交渉の出発点にあり、したがつて団体交渉という平和的手段の余地が十分残されている段階で、公社に対し何らの通告なくして行われたもので、具体的にも、必要やむをえない事情のもとに行われたとはいえず、その意味で違法性が強い。
(4) スケジュール闘争
本件争議行為はいわゆるスケジュール闘争であつて、必要やむを得ない事由の存否にかかわらず、既定のスケジュールにしたがつてなされたものであつて違法性が強い。
(四)公労法一七条に違反する争議行為をした職員に対しては公社法に定められた懲戒を
なしうる。
1、争議行為に対する就業規則の適用-個別的労働関係と団体的労働関係
一般に争議行為は、労働組合の意思に従い、その統制のもとに組織的に個々の労働者
が労働契約によつて給付すべき労務の不提供ないし不完全履行(労働の中断)の形で行われるところ、その争議行為が労働法の原理に従つて行われる限りにおいて正当なものと評価され、違法性が阻却され個々の労働者はその責任を追求されないのに対し、争議行為が全体として違法な場合には、その争議行為は違法性を阻却されず、それを組成する組合員の行為もまた、違法であるとの評価を免れないか、もしくは違法性阻却事由を欠き、当然には民事、刑事の双方または一方の免責を受けられないことになり、個別的労働関係(使用者と、個々の労働者との間になり立つ基本的労働関係)における責任が追求されることになる。
2、争議行為に対する懲戒の可否
公社法は、職員の労働関係に関しては公労法の定めるところによる旨を規定し(公社法ニ六条)、公労法一八条が同法一七条違反者は解雇される旨を規定していることから、公労
法一七条違反の争議行為を行つた者に対しては同法一八条の解雇だけが許され、公社法の懲戒制度の適用はないとの解釈があるところ、解雇を認めた公労法一八条は違法な争議行為を行つた者に対し、経営秩序をみだし、あるいは業務命令に違反するなどの従業員としての不適格性を理由にこれを経営から排除しうることを規定したものであつて、契約法上もしくは組織法上労働者にとつて最も不利益な解雇を認めた同法一八条が、その程度にまでいたらない不利益を職員に与えることを禁止するものとは考えられないから、公労法一七条に違反した職員に対し公社法に定める懲戒をなしうることは明らかである。
10678神戸陸運事件 神戸地裁平9・9・30 労判726(春闘時の腕章着用による乗務拒否を不当労働行為とした地労委の救済命令を支持した事例であるが、得意先の構内に入るときは外していたことから、労務を誠実に遂行する義務に反しないとしているが疑問である)
10679仙台高裁秋田支部平4・12・25 労判690(国労マーク入りのベルトを着用して就労した組合員に対し、就業規則り書き写し等を命じたことが、人格権を侵害し違法として損害賠償を認めた原判決を支持)
10680JR東日本国労バッジ事件 横浜地判平9・8・7判タ957
10681JR東日本国労バッジ事件 東京高判平11・2・労判763(組合バッジ1.1×1.3程度でNRUの文字を着用したこひとわ理由とする夏季手当減額、本来業務取り外しの処分を不当労働行為とする原判決を結論として支持)
10682JR西日本国労バッジ事件 広島地判平5・10・2 判タ851(組合バッジ着用等を理由として夏季一時金の減額査定が考課査定権の濫用に当たるとされた)
10683全逓北見地方支部事件 札幌地裁昭50・2・26 労判221(管理職の組合旗撤去に対する妨害等を懲戒免職を無効とする)
10684全逓北見地方支部事件 札幌高裁昭54・3・29 判タ397(ストライキの指導、管理職に対する傷害行為等を理由とする懲戒免職を適法とする)
10685北九州市交通局昭和44年11月13日スト事件 福岡地判昭49・11・19 労判214
(早朝1時間半のストライキの企画、指導を理由とする組合執行委員長の地公労法12条による解雇を無効とする)
10686北九州市交通局昭和44年11月13日スト事件 福岡高判昭55・11・11 判タ435
(早朝1時間半のストと来季の企画、指導を理由とする解雇を適法とする)
なお解雇された者は過去に停職4回、戒告1回の処分歴がある。なおこのストライキでは書記長が停職6か月、その他の執行委員8人が停職2か月とし、最高裁で適法と確定している。
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