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2015/01/04

入手資料整理147

(全逓東北地本事件関連2 同判決を引用している下級審判例(◎で示す)を中心に収集、労組側はプロレイバー学説により懲戒処分は許されないと主張するが、神戸税関事件や全逓東北地本事件の最高裁判決を引いて適法とするものである)

★★★◎10687全逓下関地方貯金局事件山口地裁昭60・3・19 判タ566 労判457
原告らは下関地方貯金局(昭和五九年七月一日以降、下関貯金事務センター)に勤務する郵政事務官であるが、四九年四月ー〇日、五〇年五月七日、同年一一月二七日、二八日、同年一二三日に全逓が実施した各全一日(八時間)のストライキにおいて、指導的行為を行ない、かつこれに参加し、勤務を欠いた等として、五一年三月一六日、被告郵政大臣は原告X1を停職一月の、被告下関地方貯金局長(現在、下関貯金事務センター所長)は原告X 2を減給の各懲戒処分に処した。本件は右各懲戒処分の効力が争われたものであるが、判決はいずれをも有効とした。

要所は次のところである
「‥‥‥‥原告X1は、ストライキ不参加者に対し参加を呼び掛け、また、説得し、決起集会を行う旨挨拶し、シュプレヒコールの音頭をとったのであるから、公労法一七条後段に禁止する同盟罷業その他の業務の正常な運営を阻害する行為をあおりそそのかして争議行為そのものの原動力となる指導的行為を行ったものとして問責せざるを得ないものというべきである。
 而して本件ストライキをあおり、そそのかし争議行為をそのものの原動力となる指導的行為を行った原告X1は、国の経営する郵政事業に勤務する職員として、その官職の信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるような行為をしたものというべく、従って原告X1は右行為により国公法九八条一項、九九条に違反し、同法八二条一号、三号に該当するものといわなければならない。
 この点につき、原告X1は、本件ストライキは直接的には全逓中央執行委員長の指令に基づいて全国統一闘争として行われたたものであり、実際に中央委員会のスト指令により支部の執行に停止され、具体的にストライキを指揮したのは中国地本から派遣されたKらであって、原告Hは上部機関の指示に従ったのみではあり、何ら指揮的行為を行い得る立場になかったと主張する。
 しかしながら、支部執行権停止が支部長の責任を免れさせるための便法で取ることは前述のとおりである。また、本件のストライキは、公労法一七条一項前段の禁止する同盟罷業その他業務の正常な運営を阻害する行為であることは前判示のとおりであるから、中央執行委員長の指令が違法な行為の指令であったことは明白であるというべく、従って全逓の組合員としては法的にかかる指令に従う義務はなく、また司れに従うべきでもないから、本件ストライキが全国統一闘争として全逓組合の決議に基づき組合の意思として行われたものであるとしても、これに参加し、これを積極的に推進し指導し、もしくは拠点指定を受けた局所において、具体的な実力行使を指示し.組合員を鼓舞した拠点局の支部長が違法行為者としての個人責任を免れるものではないというべく、ただ上部機関の指令に基づいにり、その違法行為の責任の程度の評価に軽重の差が生ずるにすぎない。本件ストライキの実施にあたり、Kが中国地本から闘争の最高責任者として支部に派遣されたことは前認定のとおりであり‥‥本件ストライキ当時支部の執行権は停止されているから、原告X1としては組合としての全逓通の統制力に拘宙され.、派遣された闘争最高責任者の指示が適法なものである限り、.これに従わなければならなかったものと寸が得られることはい.うまでもないが、本件ストライキ突入の指令は-前述のとおり本来公労法によって禁止されている違法行為の実行を命するものであるから、それがいかに全逓の統一的意思として中央委員会、中国地方戦術委貝会の全逓決議に基づいて発せられたものであったとしても右決議自体が違法なものである以上、右指令も違法であって、全逓組合員に対して何らの法的拘束力を有しないばかりか、全逓の組合員としてはこれに服従すベきでないものであり、従って中央委員会から派遣された闘争指導者の指示が右指令の実行を命ずるものである限り原告X1として、これに服従すべきではなく、寧ろかかる違法な行為の実現を阻止すべき義務があったといわなければならない。しかるに原告X1は、これに反して、前判示のとおり、積極的に組合員をあおり、そそのかしたものであるから、責任軽重は別としてその責任を免れるわけにはいかないというべきである。
 また、原告X1の本件各ストライキ参加行為は、国の経営する郵政事業に勤務する職員として、その官職の信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるような行為をし、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならないと言う義務に違反したものというべきであるから、原告X1の右行為は、国公法九八条一項、九九条、一〇一条一項前段に違反し、同法八二条一ないし三号に該当するものといわなければならない」。

★★★◎10688全逓新潟貯金局支部事件新潟地判昭54・3・30 判タ396 労判325
 本件は、昭和四三年春闘において、全逓の実施した全国拠点半日ストに参加し、戒告(四名)ないし減給(一力月間本俸の一〇分の一 ニ六三名)の懲戒処分をうけた原告らが、(1)右処分の取消と、(2)被告は右懲戒処分があることを理由に原告らの定期昇給について差別してはならない旨の命令とを求めて争ったものであるが、判決は、右いずれの請求をも斥けたものである。

判決の要所
「1 原告らは「懲戒は業務が正常に運営されていることを前提としてそこにおける秩序の確保がその目的であり、労働者の争議行為は、労働者が使用者の定める服務規律を排除して正常な企業秩序の運行を阻害することが権利として行使するものであるから、右の前提を欠き懲戒権の行使は許されない。仮に違法な争議行為として責任を問われる場合でもその責任は個人でなく労働組合が争うべきである。」と主張するので検討する。
 なるほど労働組合の争議行為は、多数組合員の集団的共同的な活動であることを本質とし、構成員の算術的総和を超えた独自の存在である団結自体の行為であることは原告ら主張のとおりであるが、右の理由をもって違法な争議行為の場合に労働者個人の責任が免責されると解することはできない。
すなわち、個々の労働者は使用者と労働契約を締結することによって使用者との間に労働契約関係にたち、他方労働組合に加入することにより労働組合の団体的統制に服することになるが、この両者の法律関係は別個独立のものとして併存し、その間に優劣の関係はない。したがって争議行為が労働組合の団体行動として展開されるものであるからといって、争議行為によって個々の労働者との間の労働契約関係が消滅するわけではなくまた労働組合はその構成員である労働者を使用者の意思を無視して企業秩序から自由に離脱せしめることができるものではない。ただ正当な争議行為の場合には、労慟者は債務不履行責任を免除され.また争議行為を理由とする懲戒が不当労働行為になるという意味において.個別的労働関係の場合における債務不履行、企業秩序違反の違法性が阻却されるというにすぎないものであるが、しかし違法な争嫌行為の場合まで労働契約関係の義務違反が免責されるとする法的相拠は存在しない。
 したがつて集団的労働関係を理由に労働者個人の懲戒を否定する見解は、結局個別的労働関係に基づく労働者の義務と組合の統制が矛盾する場合に、組合の統制を一方的に優位に置き、その責任の有無だけを論ずるものであり、採用することはできない。

2 次に原告らは、公労法第一七条第一項は国民全体の利益の保護を目的としたもので、使用者の業務確保、企業秩序の維持を目的としたものでないから、同条項違反の争議行為の懲戒を否定すべきであると主張する。
 なるほど公労法一七条第一項の保護法益は国民全体の利益であることを疑いを容れないところであるが、右利益の保護は業務の正常な運営、企業秩序の維持を離れて考えられないものであり、そうであってこそ同条項は国民全体の利益を保護するために業務の正常な運営を阻害する行為である争議行為を禁止しているのであって、同条項の立法目的の中には右の意味における企業秩序の維持の目的も当然含まれているものと解すべきである。
 よって原告らの右主張は理由がないので採用できない。
一一 以上三以下で検討したところによれば、原告らの本件ストライキはその欠務時間の長さ、規模、態様等に照らし公労法第一七条第一項の争議行為に該当すると解さなければならないので、原告らに対し右違法な争議行為につきその懲戒を否定することはできない。
 しかるとき原告らは、国公法第九八条第一項の職務遂行につき法令を遵守すべき義務に違反し、同時に同法第九九条の信用失墜行為禁止の規定にも違反し、これらは同法第八二条第一号、第三号に該当するものと解され、また原告らの行為は同法第条第一項の職務に専念する義務にも違反するものであり、これは同法第八ニ条各号に該当すると言うべきである。」

★◎10689全逓明石郵便局事件 神戸地判昭54・12・13 訴務月報26巻3号473頁
 全逓の指令した賃上げなどを目的とする半日ストに参加し、最低2時間4 9分から最高3時間5 3分にわたり欠務した郵政職員に対する国家公務員法82条に基づく減給(1箇月間俸給月額10分の1)ないし戒告処分に懲戒権の濫用はないとされた事例

判決の要所

「四 つぎに原告らは公労法一七条一項は国民全体の利益という企業外の要請にもとづく公益的なものであつて、同法違反に対しては同法一八条による解雇が認められるだけで、同法においては他に懲戒処分を定めていないから、公労法一七条一項違反に対し懲戒処分をすることは許されないと主張する。
 なるほど公労法においては同法一七条一項違反の効果は同法一八条の解雇が規定されているにとどまる。そうして、公労法一七条一項は国民生活の利益保護を目的としたもので、一方、国公法上の懲戒処分制度は、事業運営維持の規律保持を目的としrこものではあるが、公共企業体等がその目的を達成するためには業務の適正かつ円滑な運営が必要不可決であつて、これが国民生活の利益保護と直結していることからすれば、右公労法の規定はかかる企業体運営上の利益保護をも目的としているものと解される。また、争議行為は集団的行為ではあるが、-面において個人的行為としての面をも有し、違法な争議行為に参加した場合においては企業体運営上の服務規律に違反したものとして懲戒責任を免れないところである。原告らは公労法一七条一項の規定に違反した場合において同法八条にこ解雇の規定があるだけで他に何等の規定がない以上、公労法が国公法の特別法としての法形式を有する限り、懲戒処分を課することを否定する趣旨であると主張する。しかしながら公企業公務員を含め国家公務員の任用の法律関係は公法上の法律関係であつて、その間の勤務関係の基本的条件は国公法によつて定められ、一般私企業の場合と異り、国家公務員一般について、その勤務関係の特質から法令遵守義務(国公法九八条一項)、職務専念義務(同法一〇一条一項)等職務上の義務の外信用失墜行為の禁止(同法九九条)等職場の内外を問わず一定の義務が課せられ、右規定に違反した場合には懲戒処分に処せられ(同法八ニ条)るところ、公労法においては国公法の右懲戒処分の規定の適用を除外していない(公労法四〇条)。このように見てくると原告ら現業の国家公務員が右公労法の規定に違反する争議行為をなせば、その効果として事業運営上の規律保持を目的とする国公法九八条一項、九九条、一〇一条一項の各規定に違反することとなり、同法八ニ条所定の懲戒責任を免れない(昭和五三年七月一八日、最高裁判決参照)。また、原告らは被告が懲戒処分を課する場合就業規則を適用していないと主張するが、原告らに対する懲戒処分において就業規則に格別の定めがなくても、国公法によつてなし得ることは当然のことである。もともと、就業規則とて国公法や人事院規則の規定に違反して懲戒に関する定めをなし得ないところであり、仮に、何等かの定めをなすにしても国公法や人事院規則の規定をそのまま引き写すか、あるいは、それらの規定の解釈上、当然のことを注意的に書き現わすかのいずれかにならざるを得ない。〈証拠略〉によれば、郵政省就業規則(昭和三六年二月ニ〇日公達第一六号)一一四条によると職員は一 公務員法、人事規則、公労法一七条の規定又は規則に違反した場合、ニ 職務上の義務に違反し、又は、職務を怠つた場合、三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくなし非行のあつた場合の一に該当する場合には郵政省職員懲戒処分規定(昭和ニ六年三月公達第三三号)の定めるところにより懲戒されることがあるものとする旨、同一一五条には右懲戒処分として免職、停職、減給、戒告の四種類のある旨規定されていることが認められ本件各処分が就業規則によつてなされるべきであるとしても結果において何等消長を来たすものではない。」

★◎10690全逓洛西支部事件 京都地判昭55・6・6 労民集31巻3号682頁

★★★◎10691全電通一宮分会・名古屋中統無中分会事件 名古屋地裁昭53・12・15 労判311
 昭和四四年春闘(四月一七日)において、全電通が実施した賃金闘争を中心とする春闘における全国五拠点九事業所の時限スト(始業時より一一時まで)に関し、ストの準備を通してこれを指導したこと、ストに参加したことを理由になされた分会役員等に対する懲戒処分(戒告~停職三力月)の有効とした判例。

 なお、昭和44・4・17ストの東海地本傘下の組合員に加えた懲戒処分の内訳

地本現地派遣執行委員 1名 停職十月
拠点支部執行委員長 2名 停職一年
拠点支部執行委員長二役 4名 停職十月
拠点支部現地派遣執行委員 3名 停職八月
拠点支部残留執行委員 7名 停職六月(拠点支部とは愛知県支部と名古屋支部をいう)
他支部役員(現地派遣)16名 停職二月
拠点分会長 2名 停職二月
拠点分会二役(副委員長・書記長)3名 停職一月
分会執行委員 7名 減給1/10
一般組合員 318名 戒告

判決の要所
「(二)公労法一七条一項違反のストにつき公社法三三条に基づく懲戒処分の適法性
(1)違法ストもストである以上は、労働者の団結体たる労働組合の統一的集団的行為であることは当然であるが、反面においてストは、団体構成員である組合員が共同して意欲した個別行為の集合であることも否定することができない。従つて、端的に言えば、ストは組合の行為であると同時にこれに参加した個々の組合員の行為であるから、違法ストにつき組合が団体として責任を負うのとは別に、個々の組合員もその責を負うべきである。
 元来、スト権の保障は、正当な争議行為に限りこれを労働法上団体行動として保護することである。ストは業務の正常な運営を阻害する行為であるから、一般市民法上は刑事、民事の責任が生じ得べきものであるが、これらの責任を免責し、また、ストを理由とする解雇等の不利益取扱いを禁止することに、スト権の権利性が認められる。このようなスト権の保障は正当な争議行為に限られており、ストが不当、違法なときには、それは労働法上もはや団体行動として保護されず、右に述べたような正当な争議行為に与えられる免責的利益を享受し得ないのである。換言すれば、違法ストは労働法上の団体行動ではなく、法的には個々の労働者の個別行為として経営秩序や服務規律に服することとなるのである。もちろん、ストが労働組合の行為でもあるという側面から、組合としても責任を負うべきことが生じ得るが、この組合としての責任と個々の労働者の責任とは、別個独立のものとして併存するのである。
 正当な争議行為の民事免責を定める労組法八条は、「労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない」旨規定し' 本来免責なき場合に組合員個々が使用者に対し債務不履行ないし不法行為による責任を負うことあるべきを当然予定している。また、同法一二条は、法人の不法行為能力に関する民法四四条の規定を、法人たる労働組合に準用するものとしているが、右民法の規定の解釈上、法人とともに機関個人の責任が生ずるものと解されている。そして、労組法一二条は、同法八条に規定する組合の正当な争議行為については、右準用を除外する旨明らかにしているのである。
 以上は、違法スト一般についての懲戒責任の法理であるが、公務員関係のストとその懲戒責任については、次の点が注意さるべきである。
 一般に私企業における企業秩序ないし服務規律は、労務の提供に関連する事項に限定され、私企業における懲戒処分は原則として、このような企業秩序の維持の目的の範囲において行なうことができるものと解されている。これに対し、公務員関係等における秩序は後にも述べるとおり、公務員等の地位の特殊性から、単に労務を提供することに関連する義務に限らず、公務員たる地位等に伴う様々な服務義務、例えば、信用失墜行為の禁止、政治的行為の制限、営利企業への従事制限等の義務を課しているという意味において、私企業の労働関係における企業秩序とは異なる特殊性をもつものである。したがつて法の禁止に違反する争議行為についても、単に職務秩序違反というにとどまらず、法によつて課せられた公務員等としての服務義務に違反する側面をもつことを、看過することができないのである。
 また、国公法は、国家公務員たる職員について適用すべき根本基準を確立する等の目的(一条)から、九八条二項において職員の争議行為等を禁止しているのであつて、その旨は、団体的に行なわれる争議行為を組成する個々の職員の行為を違法なものと評価し、これを禁じていると解せざるを得ない。公労法一七条一項も同様に、職員および組合員の一切の争議行為を禁止し、同法一八条は右規定に違反する行為をした職員について、解雇という不利益処分を定めているのであるから、争議行為が集団的な性格をもつということを理由に、個々の職員の行為について、法律の規定に基づきその懲戒責任を問うことを妨げるべき理由は全くないのである。
(2) 被告公社は公社法三三条で公社職員に対する懲戒制度を定めているが、これは公社職員の義務違反ないし非違行為について法定の制裁を課することによつて「職員等の非違を戒め、公社の秩序を維持することを目的とする」(日本電信電話公社懲戒規程二条)ものである。一般に私企業における懲戒の目的については、使用者の立場からする職場規律ないし企業秩序の維持にあると解されている。公社職員の懲戒もその服務関係の秩序維持の目的から設けられている点においては、私企業における懲戒と実質的に共通する面のあることは否定できないが、服務関係における秩序は公社職員の地位の特殊性に照らし、私企業の労働関係における企業秩序と本質的に異なる要素をもつことが注意されなければならない。
 すなわち、わが憲法上公務員はすべて全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないとされ(憲法一五条二項)したがつて、国家公務員たる職員にすべて国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行にあたっては全力をあけてこれに専念しなければならないものと服務の根本基準が定められている(国公法九六条二項)が、これを公社職員についてみれば、公社法一条、三四条の当然の帰結として日本電信電話公社職員就業規則(以下「就業規則」という。)四条の服務の基準等、すなわち、職員はその職務の遂行にあたり公社業務を合理的かつ能率的に運営して、国民の利益を確保することによって、公共の福祉を増進することを常に念頭に置き法令等を遵守するとともに職務(こ専念することを求めているのであつて、条文の体裁を異にするとはいえ、その趣旨は全く公務員と同じである。
 このことは公務員等の服務関係は国民に対し、職務の民主的かつ、能率的な運営を保障することを目的とする(国公法一条一項)のであり、いいかえれば、それは国民の信託、その負託ということによって基礎づけられることになるのであつて、このような勤務関係の特殊性から法あるいは就業規則は公務員等に対し、種々の義務ないし制限を課しているのである。
 国公法等が公務員等に対して課している法令および上司の職務上の命令に従う義務(国公法九八条一項、公社法三四条一項)や職務専念義務(国公法一〇一条一項、公社法三四条ニ項)は、私企業の労働関係においてもこれと同様のものを見出すことができるにせよ、公務員等の場合には国民全体の利益ないし公共の利益の維持という見地から、法によつて課せられている義務である側面を逸することはできない。
 また、私企業における企業秩序ないし服務規律は、原則として労働者の労務の提供に関連する範囲に限定されると解されているが、公務員関係等における秩序維持の要請は、公務員等の地位の特殊性がこのような労務の提供に関する限度にとどまらず、職務の内外を問わず全体の奉仕者たること自体を対象として様々な服務義務を課している。例えば、信用失墜行為の禁止(国公法九九条、就業規則九条)、私企業からの隔離o営利企業等の従事制限(国公法一〇三条、一〇四条o就業規則一一条)などがその典型である。これらの義務ないし制限は、私企業の労働関係にはみられない固有のものということができる。
 要するに、公務員等の懲戒制度は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき公務員等の特殊的地位に基づき、公務等の執行ないしは公務員等に対する国民の信頼を維持することにその目的があり、使用者の利益保護を目的とする私企業の懲戒制度と、これを同一視することはできないのである。法の禁止に違反する争議行為についても、このことは同様である。被告公社の電信電話業務は公衆電気通信法によって、公共企業体たる被告公社の独占業務として組織づけられているものであり、それが正常に運営されること自体が国民全体の利益と密接な関係にあるというその本質に照らして、争議行為は公社業務の維持の面からする職務秩序に違反するものであるとともに、他面においては準公務員として課せられた服務義務に違反する側面をも有し、懲戒責任は免れ得ないところである。
 したがつて、職員が公労法一七条一項違反の争議行為を行なつた場合は、そのこと自体、①就業規則に従う義務を定めた規定(公社法三四条)、職務専念義務を定めた規定(公社法三四条)に違反するとともに、②職務上の義務に違反し、または職務を怠つた場合に該当し、同時に、就業規則五九条-八o一九号にも該当する。
 したがつて右行為は、公社法三三条の定める懲戒事由に該当するものとして、懲戒責任を免れ得ない。
(3) 公労法と公社法及び就業規則との関係
 公社法及び就業規則の服務規程は、準公務員たる公社職員について適用すべき各般の根本基準を確立し、国民に対し、職務の合理的かつ能率的な運営を保障すること等の目的で制定され、同法の服務および懲戒関係の諸規定は、このような立法目的に基づき服務関係における秩序を維持する観点から定められている。一方、公労法は公共企業体等の労働条件に関する苦情または紛争の友好的かつ平和的調整を図るため、団体交渉の慣行と手続とを確立することを第一次の目的として(一条)、この関連において公共企業体等の正常な運営を最大限に確保するため、職員等の争議行為を禁止しているのである。このように公社法等と公労法とは立法目的を異にし、その規律する側面を別にしている。公務員等の関係における秩序維持ないし服務義務の確保ということは、本来国公法等に予定されている事項である。したがつて、公労法一七条一項違反の行為は、右にいう服務義務確保の観点から考察した場合、公社法三三条の問題となるのである。
 もとより公労法一七条一項違反の争議行為は、同法一八条の構成要件にも、公社法三三条の構成要件にも該当する。しかし先に述べたような公社法等と公労法との立法目的の相違に照らし、右の両者は併立し、そのいずれかを適用することは可能であるし、また適法である。
 右のいずれを適用するかは、結局のところ公共企業体側の選択に委ねられていると解される。
(4) 公労法一八条の立法趣旨
 公労法一八条の解雇が懲戒解雇の性格を有するか否かについては、見解が分れているところであるが、千代田丸事件判決(昭和三八年(オ)第一〇八九号o同四三年一二月ニ四日第三小法廷判決)が述べているように、公社法における職員の身分保障に関する規定にこかかわらず解雇することができると定められた趣旨に照らし、公社法に規定する懲戒処分としての免職とは別個の処分ということができよう。
 しかし他面において、公労法一七条一項違反の争證行為に対して法が解雇でのぞむことを明らかにし、違反者を公共企業体等から排除すべきことをはつきりさせていることは、業務の正常な運営を阻害する行為の発生を容認できないとしてその違反を重大視しているものである。この意味において一八条の解雇は、実質的にみて制裁としての性格を有するものであることは否定できない。
 右に述べたように、公労法一七条一項の違反の行為に対する一種の制裁として法が解雇までできると定めた趣旨に照らしても、当該行為の態様、程度等を勘案して、解雇に至らない停職以下の懲戒を行ない得ることは当然というべく、かく解することこそ合理的であるといわなければならない。違法争議行為に対しては、公労法一八条の解雇しかあり得ないとする見解は、常識的に考えても妥当性を欠くものである。」

★★10692全電通荻窪分会事件 東京地判昭54・9・14 労判327
 43年春闘における半日ストを共謀、あおり、そそのかしたことを理由とする電電公社職員4名の停職一ヶ月、減給、戒告処分を有効とする

★★10693全開発昭和46年公務員共闘統一行動職場集会事件 札幌地判昭54・10・9
 
 昭和46年7月15日北海道開発局で239の出先機関中182の出先機関において始業時から29分以内の職場集会に対して、全開発中央執行委員長と書記長2名を停職一月、全開発本部役員4名を一月ないし六月間俸給の月額十分の一減給、全開発支部役員32名と、本部役員1名は。各地方部局出先機関において、集会を実施し進行に関与したことを理由として、1月ないし二月間俸給の月額の十分の一減給処分。

★★10694 全農林(46年闘争)事件 東京地判平2・4・19 判タ727、判時1349

10695 全司法東京地裁事件 東京高判昭55・10・29 行政事件裁判例集31巻10号2140頁
★★10696 全運輸近畿陸運支部事件 大阪地判昭54・8・30 民集39巻7号1408頁 判タ396
10697 全林野西条分会事件 大阪地判昭48・3・27 労民集30巻6号1164頁 判時972

(全逓東北地本事件で否定された下級審判例)
★10698 都城郵便局事件 東京地判昭46・11・12 労民集22巻6号1030頁、判時658
★10699 江戸川・昭島郵便局 東京地判昭48・6・28 労民集24巻3号345頁、判タ297
(参考)
10700 千代田丸事件 最三小判昭43・12・24 民集22巻13号3050頁 
(電電公社の解雇が裁量権濫用として無効とされた判例)

 

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