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2015/04/26

入手資料整理153

10730上村貞美「集会の自由に関する3つの判決」『名城ロースクールレビュー』22号2011年
呉市立二河中学校事件など3件の判例評釈だが、許諾説に立つ調査官解説を批判し、受忍義務説を主張するなど偏った論評といえる。

10731藤原ゆき「学校施設の目的外使用における裁量権の限界-広島県教研集会会場使用不許可事件」『季刊教育法』152号2007

10732★★広島県高教組「人事委員会勧告説明会」学校施設使用拒否事件 広島地判平14・3・28(判例集未登載だがTKCデータベースに有)
 県高等学校教職員組合が毎年開催している「人事委員会勧告説明会」を、県立高校体育館で開催しようと、同校校長や事務長に対し、口頭で同校体育館の使用を申し入れたところ、いったん口頭ではあるが、使用を了承する返事をしながら、その後使用を拒否されたとして、損害賠償を求めた事案で、本件使用拒否それ自体を適法とし不当労働行為にも当たらないと判示したが、不許可理由を文書で明らかにする義務があったのにも関わらず、そうしなかった事は違法であり、被告校長と教育長の責任を認め損害賠償10万円の支払を命じた事例。
 本件広島地裁判決(裁判長裁判官渡邊了造・谷口安史・秋元健一チーム)は、呉市立二河(にこう)中学校教研集会使用不許可事件一審と同じ裁判体により同日に判決したものである。一方で教研集会使用不許可を違法としながら、本件「人事委員会勧告説明会」の不許可事案では、ストライキを構えるための批准投票が実施されるため、集会の内容に一部地公法37条1項の規定に抵触するものが存在するとして、本来の学校設置目的とはなんら関係なく、一部法律の規定に矛盾抵触する内容の集会が学校施設を使用して開催することは、これを知った、生徒、保護者、広島県民等により学校施設の適正な使用、教育行政の在り方について不信を抱くのは明らかと述べ、施設管理上、学校教育上の支障に該当するとして、本件使用拒否において、裁量権の逸脱、濫用はないと示した。
 ただし本件集会を開催すること自体が争議行為を計画、又は助長する違法なものではないとも記しており組合活動に厳しい判決とはいえない。とはいえ地公法の争議行為禁止に抵触する内容を含む集会について、学校施設の適正な使用について住民に不信を抱かせるという理由で使用不許可が有効であることを示したという点で一定の意義を認めるとことはできる。

 判決要所
「a学校施設の目的外使用の法律関係
(a)地方公共団体は,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設を設け,その施設を住民が利用するにつき,正当な理由がない限り,これを拒んではならないと同時に,不当な差別的取扱いをしてはならないものとされている(地方自治法(以下「地自法」という。)2 4 4条)。
 しかしながら,前記のような施設は,行政財産に属し(地自法2 3 8条3項),かような行政財産は.その設置目的に沿って使用することが原則とされ,その目的外に使用する場合には,その用途又は目的を妨げない限度において,管理権限者の許可を必要とする(同法2 3 8条の4第4項〔現238条の7第4項引用者註〕)。
 むろん,地方公共団体が設置する公立の学校施設が,前記行政財産に属することは疑いもなく,目的外使用に関する前記一般原則は,特段の定めのない限り,前記学校施設にも当てはまるものというべきである。
(b)そこで,学校施設の利用に関する法令を鳥瞰するに,昭和2 7年4月12日法律第8 6号(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係諸命令の措置に関する法律)1条により,日本国との平和条約の最初の効力発生日以後も,法律としての効力を有する昭和2 4年2月1日政令第3 4号「学校施設の確保に関する政令」1条においては,「この政令は,学校施設が学校教育の目的以外の目的に使用されることを防止し,もって学校教育に必要な施設を確保することを目的とする。」と規定し,同政令3条においては,「1項学校施設は,学校が学校教育の目的に使用する場合を除く外,使用してはならない。但し,左の各号の一に該当する場合は,この限りではない。1 法律又は法律の基く命令の規定に基いて使用する場合 2 管理者又は学校の長の同意を得て使用する場合」「2項 管理者又は学校の長は、前2項の同意を与えるには、他の法令の規定に従わなければなせない。」と規定されている。この規定はまさに行政財産一般の目的外使用に関する通則を定める地自法238条の4第4項と趣旨を同じくし、その細目を学校施設の目的外使用について定めたものというべきである。
 なお,学校教育法8 5条には,「学校教育上支障のない限り,…学校の施設を社会教育その他公共のために,利用させることができる。」との規定があるが,同規定も,前記地自法2 3 8条の4第4項とその趣旨を同じくし,これを学校施設の目的外使用に敷衍したものにほかならないというべきである。すなわち,目的外使用の場合でも,「社会教育その他公共のため」であれば,「学校教育上支障のない限り」,利用させなければならないというものではな〈,学校施設の管理権限者において「利用させることができる」という裁量的なものであって,利用希望者において当然に使用権を生じさせるものでないことは明らかである。
(c)本件管理規則は,このような法令の規定を受けて,地教行法3 3条1項に基づき,県教委が,学校施設の管理運営の基本的事項.特にその目的外使用について定めたものであり,同条項は,「法令…に違反しない限度において」,教育委員会規則が定められることを規定していることから,本件管理規則もまた,前記地自法2 3 8条の4等の規定と趣旨を同じくするものというべきである。

b 学校施設の使用許可の法的性質
 以上のような法令の趣旨に照らせば,行政財産に属する学校施設のような公共施設は,その設置目的に沿わない場合,原則としてその使用は許されず,例外として目的又は用途を妨げない限度において,管理権限者の許可に基づき使用が認められるにすぎないというべきである。そして,その許否については,管理権限者の裁量に委ねられているというべきであり,特に学校施設は,学校教育の利用に供することを目的として設置された施設であり,その性質上,広く一般に開放されることを想定して設置された施設ではないので,管理権限者の裁量権の幅は,一般の施設のそれと比較して広くなるといわざるを得ない。
 この趣旨に照らし,本件管理規則は,使用許可基準をより明確に規定してはいるものの,これら使用許可基準に該当すれば,必ず使用を許可しなければならないというものではない。これらの基準は,管理権限者において裁量権を行使する際の一つの指針を与えるものに過ぎず,裁量権を拘束するものではないというべきである。すなわち,使用許可基準に該当する場合であっても,利用希望者において,直ちに,施設の使用権が生ずるものではないというべきである。

 c本件使用拒否の違法性の有無

(a)以上のとおり,学校施設の使用の許否の判断は,管理権限者の広い裁量に委ねられているものであるが,前記法令の趣旨からして,管理権限者の裁量権の行使にあたって,恣意が許されないのはいうまでもなく,使用目的が学校施設の設置目的に沿っているのに,特に理由もなく使用を拒否したとか,使用目的が設置目的に沿うものでなくとも,不当な理由により拒否するなど,管理権限者の判断において,裁量権の逸脱・濫用にあたる事情があれば,違法というべきであり,その判断は,学校施設の使用目的,代替施設の確保の困難性,施設管理上,学校教育上の支障などの諸事情を基礎として総合的に判断されるべきものである。
(b)本件において,原告のX高校学校施設の施設の使用目的が本件集会の開催にあったことは当事者間に争いがないところであるが,本件集会は,原告の主張のとおり、国の人事院勧告及び県の人事委員会の勧告を受けて,その内容等の状況説明やその県当局との団体交殊に向けての各支部の態度や決意が表明される場であるととともに,前記認定のとおり,同集会終了直後には,一定の交渉課題について,ストライキの実施の賛否を,無記名投票の形で組合員に問う「批准投票」が実施されるものである。
  なお,原告は,本件集会は,前記国の人事院勧告及び県の人事委員会の勧告の単なる説明会に過ぎないと主張する。
 確かに.形式的には,本件集会の閉会宣言後に,批准投票がなされている。しかし,高教組自身が,本件集会の名称を「批准集会」としていることもさることながら‥‥高教組の刊行物をみても、本件集会を、批准投票実施のための集会と位置づけているのは明らかであるし、そもそも批准投票は、組合員のほとんどが参加して、一斉になされるものであるから、原告の主張するように、高教組各地区支部の開催する全組合員規模の集会は,年2回にしかなく、しかも,その投票の実施の趣旨からして,実施時期は人事院や人事委員会の勧告がなされた後である秋ころに実施することが適当であることなどからしても、批准投票を実施するには、秋の集会でするほかなぐ実際,平成11年度においても原告を含む高教組各地区支部の開催する集会において実施され,また、それまでも,そのように実施されてきたものと認められる。
そうであれば,批准投票を本件集会から切り離して考えるのはその実態に反するというべきであつて,本件集会は,批准投票をも目的とした集会と認められ、国の人事院勧告及び県の人事委員会の勧告の単なる説明会という原告の主張は採用できない。
 しかして,本件集会は‥‥同集会終了直後には,一定の交渉課題について,ストライキの実施の賛否を,無記名投票の形で組合員に問う「批准投票」を実施するための集会という,原告の上位組織である高教組の労働運動としての色彩を濃厚に有するものであるから,その使用目的は,学校施設の設置目的である学校教育とは何らの関係を有しないものと認められる。
 このように.本件においては,原告のX高校の学校施設の使用目的が,学校施設の設置目的に沿うものといえないことから,使用目的が学校施設の設置目的に沿う場合と比較して,許可権限者の有する裁量権の幅は一層広くなるといわざるを得ず,以下,かかる観点から,本件を検討する。

(c)施設管理上,学校教育上の支障の有無
 施設管理上,学校教育上の支障の点については,被告らは,本件使用拒否の理由として,本件集会は,地方公務員法上禁止されているストライキを構えるための批准投票を実施するためのものであり,かかる内容の集会は,およそ教育の場で行われるにはふさわしくないものであり,これを学校施設で開催すれば,その是非を巡って世間一般から誤解を受けるほか,生徒に対し精神的悪影響を与え,保護者に心理的混乱を招くなどの教育上の支障が生じると主張し,原告は,これを争うので,その支障の有無について,以下検討する。
 地方公務員が,争議行為を行うことは,地方公務員法(以下「地公法」という。)37条1項により禁止され,その遂行を共謀し,そそのかし,若しくはあおり,又はこれらの行為を企てることについては,さらに罰則をもって禁止されている(地公法61条4号)。地方公務員が行うストライキは地公法3 7条1項の規定に抵触することは明らかであるところ,本件集会においては,組合員にストライキの実施の賛否を問う批准投票が実施され,その批准率の高低が,高教組において,実際にストライキを行うか否かを判断する一指標となっていることは前記認定のとおりであって,そうだとすれば,本件集会の内容に一部,地公法の規定に抵触するものが存在するのは明らかであるといわなければならない(むろん,かかる内容が包含されるからといって.本件集会を
催すること自体か直ちに,争議行為を計画,又は助長する行為に該当し,違法とものでもなぐ本件においては,これを認めるに足りる証拠はないから,本件集会を開催すること自体には何らの違法性は認められない。)。
 ところで,本件使用拒否は,前記認定のとおり,県教委と高教組を含む職員団体との間におけるそれまでの慣行の是非を巡る激しい対立を背景にして生じたものである。
すなわち、広島県の教育に違法な点があるとの報道がなされ,県議会ばかりか国会の場にまで,その議論が波及し,広島県の教育の在り方について,様々なマスコミにおいて種々報道され,広島県民のみならず日本国民の注目が集まる中,県教育行政に対し,文部省より,異例ともいうべき是正指導がなされたのであって,かかる是正指導に基づき,県教委は,これまでの教育行政の在り方を見直し,その適正化を図る一環としての県教委の指導に基づき,本件使用拒否が起こったといえる。
 かように,広島県の教育行政の適正さについて,衆目の関心が集まる状況において,上記とおり,本来の学校設置目的とは何らの関係がな<,一部,法律の規定に矛盾抵触する内容を含む集会が,一部の職員団体によって,学校施設を使用して開催されるとなれば,各種報道によって事実を知った生徒,保護者,さらには広島県民等が,学校施設の適正な使用,ひいては広島県の教育行政の在り方にっいて不信を抱くのは明らかといえる。
 したがって,X高校の学校施設を使用して本件集会が開催されることによる支障は,単に生徒保護者に止まらず,県民全体,ひいては国民全体に波及すべきおそれを内包すべきものあって,これが,施設管理上,学校教育上の支障に該当することは明らかである。
 これに対し,原告は,前記地公法3 7条1項の規定が憲法2 8条に違反すると主張する。‥‥‥しかしながら‥‥‥地公法37条1項憲法28条に違反するという原告の主張は採用できない‥‥。
(d)被告J及び県教委による組合清しの目的について
さらに,原告は,本件使用拒否が,高教組等の職員団体を敵視する被告Jや県教委によって,組合弾圧,組合潰し施策の一環としてなされたものであると主張する。
確かに,前記認定のとおり,県教委と高教組など職員団体との激しい対立は,被告Jが県教委に教育長として赴任してから起こっており,被告Jが進めた,職員団体との協定,慣行の見直し政策に起因することは否定できない事実であり,これを職員団体側からみれば,これまで長年にわたって,当局から勝ち取ってきた様々な権利を剥奪されることに等しく,職員団体活動への不当な介入,制約であり,これを「組合潰し」と主張するのも理解できないわけではない。
 しかしながら,前記のとおり,被告Jの職員団体との間における協定,慣行の見直し政策は,文部省の是正指導を受けてなされた,広島県の教育行政の適正化施策の一環であり,個々の見直し政策は,いずれも文部省の是正指導における指導内容にしたがったものであって,その指導内容を見ても,教育内容及び教育行政が法令等の規定に沿う形になされるべきことを求めているだけであって,一見して違法なものは存在しない。もちろん,その文部省の指導内容及びその実施施策については,反対の立場もあろうが,それは,畢竟,教育行政における政策上の見解の対立であって,その解決は.政治過程,最終的に民意に委ねられるべき問題であり,司法裁判所の判断すべき事項ではない。
 以上より,被告J及び県教委が実施した種々の見直し政策は,法令等の規定に則った教育の実現という理由があること,また,県教委は,職員団体に事務所として学校施設の使用を許可していること,県教委自身も職員団体との適正な関係を望んでいるとの立場を明らかにしていること,以上の事情に加え被告Jにおぃて,職員団体を弾圧すべき理由が見当たらないことを併せ考えるならば,被告J及び県教委が組合弾圧,組合潰しの目的を有していたということはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。(中略)

d)被告J及び県教委による組合潰しの目的について

 さらに,原告は,本件使用拒否が,高教組等の職員団体を敵視する被告Jや県教委によって,組合弾圧,組合潰し施策の一環としてなされたものであると主張する。
確かに,前記認定のとおり,県教委と高教組など職員団体との激しい対立は,被告Jが県教委に教育長として赴任してから起こっており,被告Jが進めた,職員団体との協定,慣行の見直し政策に起因することは否定できない事実であり,これを職員団体側からみれば,これまで長年にわたって,当局から勝ち取ってきた様々な権利を剥奪されることに等しく,職員団体活動への不当な介入,制約であり,これを「組合潰し」と主張するのも理解できないわけではない。
 しかしながら、前記のとおり、被告Jの職員団体との間における指導内容との間にある協定、慣行の見直し政策は、文部省の是正指導を受けてなされた、広島県の教育行政の適正化政策の一環であり‥‥その指導内容を見ても、教育内容及び教育行政が法令等の規定に沿う形でなされるべきことを求めているだけであって、一見して違法なものは存在しない。もちろん,その文部省の指導内容及びその実施施策については,反対の立場もうが,それは,畢竟,教育行政における政策上の見解の対立であって,その解決政治過程,最終的に民意に委ねられるべき問題であり,司法裁判所の判断すべき事項ではない。
  以上より,被告J及び県教委が実施した種々の見直し政策は,法令等の規定に則った教育の実現という理由があること,また,県教委は,職員団体に事務所として学校施設の使用を許可していること,県教委自身も職員団体との適正な関係を望んでいるとの立場を明らかにしていること,以上の事情に加え被告Jにおいて,職員団体を弾圧すべき理由が見当たらないことを併せ考えるならば,被告J及び県教委が組合弾圧,組合潰しの目的を有していたということはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。(中略)
 
(e)以上のとおり,原告のX高校の学校施設の使用目的が,学校施設の設置目的に沿うものといえないばかりか,本件集会に使用されることによって施設管理上,学校管理上の支障が認められること,他に本件使用拒否において違法,不当な目的が認められないこと,本件集会の内容に照らし,必ずしも学校施設において実施される必要があるわけではないこと,被告Iにおいて代替施設を確保し,その使用を勧めている、ことなどの諸事情を総合勘案すると,本件使用拒否において,裁量権の逸脱.濫用があったものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

(i)不当労働行為性について

  原告は,県教委との間には,批准集会の会場として,学校施設の利用を認める慣行があったのであり,これを一方的に破棄することは不当労働行為になると主張する。
なるほど,前記のとおり,高教組の各地区支部が実施する批准集会は,従前から毎年開催されており,しかも,その会場として学校施設を利用することが,ほぼ例外なく認められてきたことからすれば,原告と県教委との間には,批准集会の会場として学校施設の利用を認める慣行があったことは否めない。
  しかしながら,これをもって直ちに,一般私企業の場合と同様に,正当な理由がない限り,前記慣行を,原告の承諾なくして一方的に破棄することは,支配介入として不当労働行為になると解するのは相当ではない。
原告は,県教委との間には,批准集会の会場として,学校施設の利用を認める慣行があったのであり,これを一方的に破棄することは不当労働行為になると主張する。
なるほど,前記のとおり,高教組の各地区支部が実施する批准集会は,従前から毎年開催されており,しかも,その会場として学校施設を利用することが,ほぼ例外なく認められてきたことからすれば,原告と県教委との間には,批准集会の会場として学校施設の利用を認める慣行があったことは否めない。
  しかしながら,これをもって直ちに,一般私企業の場合と同様に,正当な理由がない限り,前記慣行を,原告の承諾なくして一方的に破棄することは,支配介入として不当労働行為になると解するのは相当ではない。
すなわち,使用者がその所有する財産を物的資本とし,労働者を人的資本として,事業を行って利益をあげる場合において,使用者の所有する物的資本としての財産は,人的資本とともに収益の基礎となる関係にあるから,人的資本である労働者に認められた労働基本権充足のため,物的資本たる使用者の財産の所有権も一定限度の制約に服すべきであり,ここに,慣行として成立した施設提供という利益を法的に保護する根拠があるといえる。
しかしながら,一般私企業の場合と比して,公務員労働者に対する公共施設提供の場合はやや状況を異にするといわなければならない。公務員はいうまでもな<,全体の奉仕者であり,その最終的な使用者は国民全体,住民全体であると観念し得る。同様に,公有財産も,法形式上は,所有権者.管理権限者が定められてはいるものの,最終的な所有者は,やはり,国民全体,住民全体と観念し得るものである。
 そうであるとすると,公有財産は,国民全体,住民全体の利益のために使用されるべきであって,専ら一個人や特定の団体の利益のために使用されるべきものではないことは当然である。かかる観点から,国や地方公共団体は,様々な事情を考慮して,一定の目的のため公有財産を設置,管理しているのである。したがって,公有財産は,かかる公共の利益のため,常にその目的に副った適正な使用がなされなければならないことはいうまでもなく,それがために,特定の個人や団体に当然に公有財産の使用権が付与されないこととなっているのは,既に見た地自法2 3 8条の4等の関係法令の趣旨とするとする趣旨とするところである。
 しかれば、公有財産が目的に副わない形で使用され、なおかつその設置目的を阻害する形で使用されているとすれば、それは、公共の利益を損なうものであって、これが是正されなければならないことは当然である。この理は、公有財産の使用者が何らかの権利に基づいて当該公有財産を使用する場合においても同様であり、たとえ労働基本権に基づく場合も例外ではない。
 したがって,公務員労働者は,一般私企業の場合と同様に,かかる労働基本権を援用して,当然に,新たに施設提供を求めたり,これまで提供され続けてきた施設の使用の継続を求めることはできないというべきである。
 もっとも,使用の不許可によって,公務員労働者の労働基本権を不当に害することはあってはならず,かかる公務員労働者の労働基本権と公有財産の適正使用による公共の利益との調整が必要になるところ,前示のような公有財産の使用を巡る法律関係に照らし,当該権利に対する違法な制約になるか否かは,公有財産を使用する目的と公有財産の設置目的の適合性の程度,公有財産を使用する必要性の程度及び不許可によって被る損害の内容,程度の諸事情と使用を許可したときの障害の内容,程度の事情を総合的に勘案して判断すべきである。
 これを本件についてみるに,本件集会は,原告及び高教組の労働運動の一環として,団結権,団体行動権の行使と見られ,学校施設の設置目的とはかけ離れているものであったこと,本件集会の内容に照らし,必ずしも学校施設において実施される必要があるわけではな<,そして,当時,被告Iが代替施設を確保し,その使用を勧めていることからして,代替施設の確保が困難といえる状況とはいえなかったこと,代替施設において開催した場合には,会場使用料が新たに必要となり(もっとも,会場使用料は本来使用者において当然負担すべきものであり、従前、学校施設で開催されていたことには疑問が残る。)、駐車場の確保や係員の増員など多少の負担が増加するが、開催を困難にするもりのではなかったこと、他方、本件集会に使用を許可すれば、各種報道によって事実を知った広島県民等が,学校施設の適正な使用,ひいては広島県の教育行政の在り方にっいて不信を抱きかねないという施設管理上、学校教育上の支障が存在していたことなどの諸事情を総合考慮すると、本件使用拒否は、原告の団結権、団体行動権など労働基本権に対する不当な制約ということはできない。‥‥‥
 ‥‥本件使用拒否が、不当労働行為に該当するものということはできない。(後略)」

1-45『労働組合法の理論課題―久保敬治教授還暦記念論文集 』京都 : 世界思想社, 1980
   労働組合: 労働組合の法的人格及び行為能力と民法理論  棚田洋一著
    労働組合内部問題法の基礎理論的考察  浜田富士郎著
    ユニオン・ショップ協定の再検討  西谷敏著
    団体交渉・労働協約: 第三者交渉委任禁止条項をめぐる諸問題  深山喜一郎著
    労働協約の法的性質 : その論争の系譜と展開  坂本重雄著
    国家公務員の団体協約締結権否定の合憲性問題  菅野和夫著
    労働協約法理論の構成のための素描  萱谷一郎著
    労働協約の規範的効力をめぐる一考察 : 有利原則の再検討を中心として  諏訪康雄著
    争議行為: 争議不参加者の賃金請求権  下井隆史著
    三六協定と時間外労働拒否闘争  長淵満男著
    不当労働行為: 「継続する行為」再考  松田保彦著
    比較研究: アメリカ公共部門仲裁の新機軸  桑原昌弘著
    フランス法における職場占拠  保原喜志夫著
    イギリスにおける就業時間中の組合活動 : 1978年雇用保護(統合)法におけるタイム・オフ・ワーク制度について  安枝英訷著
    インドの労働協約法制  香川孝三著
    労働争議と社会保障 : 西ドイツ労働争議法の一断面  西村健一郎著
    労働法学三十年 : 久保先生の人と学問
   
10734大阪市立西九条・大黒各小学校教研集会使用不許可事件 大阪地判平26・11・26(TKCデータベース)
10735街頭宣伝等差止請求事件一審 京都地判平成25・10・7 判時2208号74頁 裁判所ウェブサイト(在特会による京都朝鮮第一初級学校周辺での示威行動に関する事件)

10736★街頭宣伝差止等請求事件控訴審 大阪高裁平26・7・8 判時2232号34頁

 要所
「人種差別撤廃条約は、国法の一形式として国内法的効力を有するとしても、その規定内容に照らしてみれば、国家の国際責任を規定するとともに、憲法13条、14条1項と同様、公権力と個人との関係を規律するものである。すなわち、本件における被控訴人と控訴人らとの間の私人相互の関係を直接規律するものではなく、私人相互の関係に適用又は類推されるものでもないから,その趣旨は,民法7 0 9条等の個別の規定の解釈適用を通じて,他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解される。
したがって,一般に私人の表現行為は憲法21条1項の表現の自由として保障されるものであるが,私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には,上記発言が,憲法13条,14条1項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし,合理的理由を欠き,社会的に許容し得る範囲を超えて,他人の法的利益を侵害すると認められるときは,民法7 0 9条にいう「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」との要件を満たすと解すべきであり,これによって生じた損害を加害者に賠償させることを通じて,人種差別を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨を私人間においても実現すべきものである。」としてね本件、学校法人朝鮮学園を中傷した街頭宣伝をなした者に対する損害賠償と差止請求を認めた事例。

   
   

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