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2015/04/29

入手資料整理154

10737杉並区立和田中学校「夜スペシャル」訴訟(目的外使用許可処分違法確認等請求事件)東京地判平22・3・30 判タ1370号126頁、判時2087号29頁

 本件は杉並区民による地方自治法242条の2第1項所定の住民訴訟であり、中学校二年生の学力を伸ばすため進学塾から講師の派遣を受けて行う特別補習授業(夜スペシャル)のため、平成20年1月26日~3月31日の期間中、月・水・金曜は午後6時30分~9時50分、土曜午前9時~午後3時の間、区立和田中学校の視聴覚室、金工室、家庭科室、図書室の4教室を使用する平成20年1月24日の杉並区教委がした任意団体和田中学校地域本部に対する目的外使用許可処分及び使用料免除処分が要件を欠く違法無効であるとして、同処分の無効確認の請求等である。
 
 判決は、本件目的外使用許可は、財務会計上の行為としての財産管理行為には当たらず、住民訴訟の対象とならないとする一方、使用料免除は、期間が経過した後でも住民の無効確認の利益は失われないとした。しかし本件免除処分については重大かつ明白な瑕疵はなく適法として、原告の請求を退けた。

 判決の要所は以下のとおり

争点1 本件使用料免除処分の無効確認請求に係る訴えの適法性

「当該期間の経過後であっても,地方公共団体が本来受けるべき使用料についてその支払を受け,又はその相当額の不当利得の返還若しくは損害の賠償を受ける等のために,住民訴訟において当該使用料免除処分が無効であることを確認する利益は存するものというべきであって,このことは,本件免除処分の無効確認に関しても同様であるから'その確認を求める訴えは,使用許可の期間の経過後も,その訴えの利益が失われるものではない‥‥」

争点2 本件許可処分の無効確認請求に係る訴えの適法性

「(1)地方自治法2 4 2条の2第1項に定める住民訴訟は,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とし,その対象とされる事項は同法2 4 2条1項に定める事項,すなわち公金の支出,財産の取得・管理・処分,契約の締結・履行,債務その他の義務の負担,公金の賦課・徴収を怠る事実,財産の管理を怠る事実に限られるのであり,これらの事項はいずれも財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものである。したがって,普通公共団体の委員会の公有財産に係る所為が同法2 4 2条の2第1項の「違法な行為又は怠る事実」に当たるとして提起された同項各号の請求に係る訴えが適法といえるためには,当該委員会の所為が,当該財産の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為としての財産管理行為又はその怠る事実に当たるものでなければならないと解するのが相当である(最高裁昭和6 2年(行ツ)第2 2号平成2年4月12日第一小法廷判決?民集44卷3号431頁参照)。なお,この点に関し,原告らは,地方公共団体の公有財産の管理行為はそのすべてが財務会計上の行為(こ当たるかのような主張をしているが,以上に説示したところから失当といわざるを得ない。
(2)この点に関し,区教育委員会がした教育財産の目的外使用許可処分である本件許可処分は,(ア)地方教育行政の組織及び運営に関する法律2 8条1項により教育委員会が管理するものとされている教育財産(行政財産の一種)について,(a)行政財産はその用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるとする地方自治法2 3 8条の4第7項及び(b)同項の趣旨を字校施設の場合に敷えんして,学校教育上支障のない限り学校の施設を社会教育その他公共のために利用させることができるとする学校教育法13 7条(同条の上記趣旨につき,最高裁平成15年(受)第2 0 01号同18年2月7日第三小法廷判決・民集6 0巻2号4 01頁参照)を踏まえ,同項にいう「その用途又は目的を妨げない限度」の具体的内容を明らかにした規定であると解される教育財産管理規則16条に基づいてされた処分であるところ,これらのことに加え,(イ)そもそも,地方自治法2 3 8条の4第7項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については借地借家法の規定は適用されず,当該使用を許可した場合において,公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき等は普通地方公共団体の長又は委員会はその許可を取り消すことができるとされており(同条8項及び9項),その使用料の額の決定及び減免については別途の処分が予定されていること(同法2 2 8条1項前段,字校施設使用料条例1条1項,2条1項及び4条参照),(ウ)教育財産管理規則では,教育財産の使用を許可することができる場合が同規則16条各号に列記された特定の目的の場合等に限定されているほか,使用許可の手続として,使用しようとする目的及び方法等を記載した申請書の提出が要求され(18条1項),また,同規則16条の規定に基づき教育財産の使用許可を決定したときは,申請者に対し,公有財産管理規則26条各号に掲げる条件のうち必要な条件を付して使用許可書を交付すべきものとされており(18条3項),公有財産管理規則26条には,使用許可の取消し又は変更及びその際の損失不補償(8号)といった条件が掲げられ,同規則2 7条にも,公用又は公共用に供するため必要を生じたとき等の地方自治法2 3 8条の4第9項に規定する理由に該当すると認めたときは,区教育委員会は所定の手続により使用許可の取消しをしなければならない旨規定されていることにかんがみれば,区教育委員会による教育財産の目的外使用の許否の処分は,教育行政を所掌する施設管理者として,教育財産である字校施設の使用につき,教育上及び公共上の政策的な見地から,学校施設の管理に係る教育行政上の処理を直接の目的として,その許否を決する処分であるというべきであって,学校施設の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為としての財産管理行為又はその怠る事実には当たらないと解するのが相当である。
(3)そうすると,本件許可処分は,財務会計上の行為としての財産管理行為には当たらず,地方自治法2 4 2条の2第1項に定める住民訴訟の対象となる行為とはいえないから,本件許可処分の無効確認請求に係る訴え(請求第2項前段の訴え)は,不適法であって,却下を免れない。」

争点3・4(略)

争点5 本件使用料免除の無効事由の有無

「(2 )無効事由の有無に関する検討
ア(ア)行政処分が当然に無効であるというためには,当該処分に重大かつ明白な瑕疵がなければならず(最高裁昭和26年(オ)第898号同30年12月26曰第三小法廷判決・民集9卷14号2 0 7 0頁,最高裁昭和2 5年(オ)第2 0 6号同31年7月18曰大法廷判決.民集10卷7号8 9 0頁参照),処分の要件の存在を肯定する処分行政庁の認定に重大かつ明白な瑕疵がある場合には,当該処分に重大かつ明白な瑕疵があるものというべきである(最高裁昭和32年(オ)第2 5 2号同3 4年9月2 2曰第三小法廷判決・民集13卷11号14 2 6頁参照)。
わざるを得ない。)‥‥‥‥行政財産使用料条例1条は,地方自治法2 2 5条の規定に基づく杉並区の行政財産の使用料については,「別に定めるものを除くほか」,同条例の定めるところによるとする一方,字校施設使用料条例は,その適用についてそうした留保条項に当たる規定はなく, 「法令(条例を含む。)の規定により杉並区立学校の施設(‥‥)を使用させる場合には,使用料を徴収する」(1条1項)等と規定していることに照らし,学校施設使用料条例と行政財産使用料条例は,学校施設の使用料に関して,特別法と一般法の関係に立つものと解される。そうすると,使用科の免除についても,特別法である学校施設使用料条例に定めが置かれている以上,当該定めである同条例4条(及びその細目を定めた同条例施行規則9条1項)がその要件を定めた規定であると解され,これによれば,区教育委員会は,同条例4条の「特別の事由」があると認めるときは,使用料を免除することができ,本件において,この「特別の事由」としての同条例施行規則9条1項にいう「区教育委員会が特に必要と認めたとき」との要件の存在を肯定した処分行政庁である区
教育委員会の認定に重大かつ明白な瑕疵がある場合には,本件免除処分に重大かつ明白な瑕疵があり,これが無効であるということになる。
(イ)そして,地方自治法2 2 5条が,普通地方公共団体は同法2 3 8条の4第7項の規定による目的外使用許可を受けてする行政財産の使用又は公の施設の利用に係る使用料を徴収することができる旨を定め,使用料を徴収するかどうか,その金額をどのように定めるか等について普通地方公共団体に一定の裁量を付与し,学校施設使用料条例が,同法2 2 5条及び2 2 8条1項の規定を受けて,使用料の徴収の要否,その金額,減額・免除の要件等を定めていることに照らすと,同条例4条の「特別の事由」としての同条例施行規則9条1項にいう「特に必要と認め」られるとの要件に該当するかどうかの判断については,普通地方公共団体による寄附又は補助に係る公益上の必要性(地方自治法2 3 2条の2)に関する判断と同様に,区教育委員会に様々な行政目的を考慮した政策的な観点からの裁量権が認められているものと解され,同条例4条及び同条例施行規則9条1項の規定による使用料免除処分が上記の判断の違法により無効とされるためには,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,区教育委員会に付与された裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであることが明白であり,その違法が重大かつ明白な瑕疵に当たるといえる場合であることを要するものと解するのが相当である。
(中略)
(ア)本件許可処分は‥‥区教育委員会が管理する教育財産(行政財産の一種)である学校施設について,地方自治法2 3 8条の4第7項及び教育財産管理規則16条(同項の趣旨を字校施設の場合に敷えんした字校教育法13 7条を踏まえ,同項にいう「その用途又は目的を妨げない限度」の具体的内容を明らかにしたものと解される規定)に基づく行政財産の目的外使用許可処分であるところ,当該処分について,被告らは,①許可の名あて人である本件地域本部が,同条8号にいう「公益的団体」に当たり,②使用の目的である本件補習事業が,同号にいう「公共若しくは公益上の目的のための事業」であり,かつ,「営利を目的としない事業」であり,当該施設を「短時間使用」するものであって,学校教育上の支障がないと判断し,同号に該当するものとして,これを行ったと主張している。なお,原告らは,本件許可処分が学校施設の確保関する政令の精神に反する旨主張している(原告ら主張(6)ア)が,同令3条は,法律又は法律に基づく命令の規定に基づいて使用する場合及び管理者又は字校の長の同意を得て使用する場合を例外として,学校施設は,字校が字校教育の目的に使用する場合を除き,使用してはならないとし(1項),上記の同意を与えるには,他の法令の規定に従わなければならないとしているところ(2項),その同意を与えるための「他の法令の規定」として,地方自治法2 3 8条の4第7項は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができると定めており,同項の趣旨を学校施設の場合に敷えんした字校教育法137条は,字校教育上支障のない限り,学校の施設を社会教育その他公共のために利用させることができると定めており(前掲最高裁平成18年2月7曰第三小法廷判決参照),教育財産管理規則16条は,同項及び字校教育法
137条の規定を踏まえ,区教育委員会が管理する教育財産について同項にいう「その用途又は目的を妨げない限度」の具体的内容を明らかにした規定であると解されることは,前記2 (2)において説示したとおりであるから,当該処分が教育財産管理規則16条8号の要件を充足すると認められる限り,これにより地方自治法2 3 8条の4第7項に適合し,字校施設の確保に関する政令3条1項にも適合するものといえるから,教育財産管理規則16条8号の要件該当性の問題とは別個独立に同令3条1項違反の有無を検討する意味はないというべきである。
(中略)
(I)以上によれば,区教育委員会がその処分要件を認めるための証拠を全く持たない
まま本件免除処分を行い,本件免除処分の要件を認めるべき証拠が全くなく,本件免除処分が全く事実の基礎を欠くとは到底いえず,原告らの‥‥の主張は理由がないものといわざるを得ない。かえって,区教育委員会が本件牛許可処分によって本件4教室を使用させるに当たり,その使用の主体が,地域本部(その後の呼称変更により,処分当時は字校支援本部)に当たるとして区教育委員会が認知し,財政的支援をしてその活動を推進する対象としていた本件地域本部であり,使用の目的が「公共若しくは公益上の目的のための事業」に当たると認めた本件補習事業であって,その認定には相応の根拠があり,しかも,本件補習事業は,区教育委員会がその実現を目指す「地域の教育課題に自ら取り組む地域」による主体的な取組であって,区教育委員会は,そうした地域自らの主体的な取組を支援することを基本姿勢としており,その活動支援を重要施策としていたところ,仮に本件補習4教室の使用料を徴収することになれば,基本的に必要な諸経費をかろうじて参加費用で賄えるか又は若干の不足が出るかといった余裕のない状況にある本件補習事業の収支が成り立たたなくなる可能性が高く,結果として,そうした主体的な取組の実現が阻害され,本件許可処分をした意味自体が失われるおそれがある場合であったと考えられるのであって,この場合に,本件4教室の使用料を免除することを区教育委員会が特に必要と認めたことについて,その判断が全く事実の基礎を欠くとか,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,裁量権の範囲を逸脱又は濫用の存在を基礎付ける事情があったとは認められないというべきである。
(中略)
さらに, 以上に説示したところと照らして,原告らのその余の主張をもってしても,本件免除処分に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできず,また,本件全証拠によっても,本件免除処分に裁量権の範囲の逸脱又は濫用の存在を基礎付ける事情を認めることはできなしい。
(力)したがって,本件免除処分が違法であるとはいえないから,その余の点(違法の瑕疵が重大かつ明白であるか否か)について判断するまでもなく,本件免除処分に重大かつ明白な違法の瑕疵があって当然に無効であるということはできない。
小括
そして,原告らのその余の主張をもってしても,本件免除処分に重大かつ明白な瑕疵があるということはできず,他に,本件免除処分に重大かつ明白な瑕疵があることを認めるに足りる証拠もない。
(3)以上によれば,本件免除処分が無効であるということはできないから,原告らの被告杉並区に対する本件免除処分の無効確認の請求(請求第1項の訴えのうち被告杉並区に対する訴えに係る請求)は,いずれも理由がない。」

10738★針原祥次「学校施設の目的外使用許可に係る住民訴訟事件 渋谷区」『判例地方自治』391号2015年 東京地裁平25・6・11 『判例地方自治』383号の評釈 多くの判例は行政財産の目的外使用は必ずしも財産の運用を目的とした財務会計上の行為ではないとして住民訴訟の対象とすることに否定的だが、公物管理的側面と財産の運用としての財産管理的側面のいずれが優劣かによって個別的判断をしていると解説。

10739★東京都水道局職員事件東京地判平25・6・6 労判1081号49頁 約3年間で72回の遅刻等の理由とする停職処分の有効性が争われ、本件は違法な処分として取り消されるべきとした例。

10740★東京都水道局職員事件控訴審東京高判平26・2・12 労判1096号64頁 約3年間で72回の遅刻等の理由とする停職処分の有効性が争われ、本件処分の手続きが違法であるとまではいえないとし、停職三ヶ月も比例原則を逸脱してないとされた

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