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2015/04/12

入手資料整理151その2

承前
*コメント 呉市立中学校事件判決の評価(二)
4 過大考慮・過小考慮定式による裁量権逸脱の判断についての批
 
 本件は最高裁が学校施設の目的外使用に許可に関して、学校施設の法的性質に鑑み、学校教育上支障がなくとも不許可にする管理者の裁量を認める一方、本件事実関係に過大考慮・過小考慮定式を当てはめることにより、裁量の逸脱濫用を導いたものである(仲野武志論文参照)。判決では「その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査」のあり方について「その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。」という基準を示したが批判はある。
 私がこの司法審査基準についてまず疑問に思うのは、企業秩序維持の観点から労働組合の経営内施設使用に関する指導判例である国労札幌地本ビラ貼り事件・最三小判昭54・10・30民集33巻6号647頁が「企業は‥‥‥職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。」と判示し、これは企業施設の組合活動の正当性を「許諾」と「団体交渉等による合意」に基づく場合 に限定したものち解され、このことは、オリエンタルモーター事件最二小判平7.9.8労判679号等でも踏襲され、判例は安定的に推移している。
 国労札幌地本事件の判例法理は、一般の労働組合活動と施設管理権との関係であるから、公立学校施設と職員団体の関係に直接適用されるものではないが、国労札幌地本判決の法理では、本件のような施設管理権の濫用の有無について過大考慮・過小考慮定式は示されておらず、すでにのべたとおり、法益権衡論も排除していることから、それとの比較でこの学校施設は一般私企業以上に裁量権統制が強められたという心証はぬぐえないのである。
 本件の過大考慮・過小考慮定式の判定方法を批判する評釈としては、新進気鋭の行政法学者仲野武志の判例時報1956号がある。
 判決は、教研集会の要項などに、学習指導要領について批判的な内容の記載は存在するが、いずれも、自主研修としての性質をしのぐほどに中心的な討議対象となるまでは認められないとしている。
 しかしながら仲野氏いわく「本件集会は基調報告の他、教科をテーマとする分科会と教職員の人事、勤務条件及び研修制度をテーマとする分科会から構成されており、少なくとも後者の分科会には労働としての性格が純粋に現れていたと考えられるからである。そうすると、本件不許可処分のうち後者の分科会に限れば労働運動としての性格を自主的研修との性格と別個の対象事実と捉えた上、前者の性格を重視したとしても、それは適正な考慮であったといいうるように思われる。」と述べ、さらに「もうひとつの疑問は、本件集会の政治的性格についての過大考慮の判定方法にある。すなわち判旨は、犯罪構成要件(人事院規則14-7第6項の政治的行為)に該当しない限り、政治的性格は「使用目的の相当性」に関する考慮対象事項にならないとしているように解されるが、このような絞り込みの根拠は必ずしも明確ではない。使用が政治的行為に該当する場合はむしろ義務的に不許可処分をすべきである‥‥」とされているが、鋭い指摘のように思える。
4.本判決の影響力
 本判決が示した司法審査基準は、その後の下級審判例でも踏襲されており、都立王子養護学校事件東京地判平18.6.23判タ1239号169頁は、都障害児学校労働組合(都障労組)の教研集会の使用不許可処分が裁量権の逸脱であり違法としているほか、大阪市立人権センター事件大阪(地判平20.3.27判タ1300号177頁が地域施設の事務室部分について、本判決とほぼ同様の司法審査基準「目的外使用の不許可処分が違法となるのは、普通地方公共団体の長がかかる裁量権を逸脱濫用した場合に限られ、裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となると解すべきである。」)を適用して、平成19年(当時関淳一市長)、11カ所ある市立人権センター各施設のうち4カ所(現在は地域施設が統廃合され市民交流センターと名称を変更)における部落解放同盟大阪府連合会各支部事務所の目的外使用許可の更新不許可処分を適法と判断しており、学校施設以外でも影響を及ぼしている。
 大阪市立人権センター事件は、使用不許可処分の判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くことはないと判断されており、すんなり適法とされた。呉私立学校判決の過大考慮の判定方法に問題があるとはいえ教研集会の判断以外に悪影響はいまのところないとみることはできる。
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