公職選挙法改正選挙権18歳引下げに反対
公職選挙法改正選挙権18歳引下げが27日審議入り6月2日採決、与野党合意はすでにできているので、衆院で可決されるとのことだが、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150526-00000058-mai-pol私は反対である。
要点は、第一にもともと民主党の政権公約であったものを、自民党が国民投票法を成立させるための取引したことがこの政策のはじまりである。たんなる政党間の都合にすぎない。政党の政治的打算だけでできたものである。
第二に国民が要望しているわけでもない、とくに若者が欲しているわけでもない。もともと欧米では成人年齢が21歳以上だったが、60代末期ベトナム反戦や、世界中で激しくなった学生運動では、兵役義務があるの選挙権がないのは不当という主張がなされ、学生運動を懐柔するために、選挙権を18歳に引き下げる方向となった。
世界の多くが18歳に引き下げられた直接の要因は兵役義務に対応したものである。
ところが我が国には兵役義務はなく、徴兵登録制度もない。兵役の反対給付として選挙権を若者に与える理由がそもそもない。
第三に民主主義の拡大に疑問をもつ。一般庶民・労働者でも選挙権を与えたから、非合法だった労働組合を法認したり、争議の不法行為免責をするようなことになった。選挙権の拡大が大衆迎合政治になったり、特定階層のためのクラス立法を行うようになった原因なら決してそれは善とはみなせない。
第四に若者に選挙権を与える以上、徴兵登録制度や兵役義務に道を開くことになる。軍国主義になだれこむ危険性ありとみる。
以下昨年4月に書いたものを再掲する
●自民党に送った意見(制限600字)
私は国民投票法に絡んで選挙権の18歳引き下げ、特に成人年齢の引き下げに反対なので簡単に意見を上申する。
米国はコモンローの成年は21歳であるが、ベトナム戦争の際、学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がなされ、1971年に選挙権を18歳に引下げた。 ドイツも兵役義務が18歳からなのに選挙権が21歳なのは不公平だとの主張により1970年に18歳に選挙権が引下げられた。激しい学生運動を懐柔させる政策だったのである。(国会図書館調査及立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b)
しかし徴兵制のない我が国で選挙権を18歳に引下げる理由は見当たらない。
とくに成人年齢は国民の7割が引下げに反対であり、若者が求めているわけでもない。明治9年の太政官布告で満20歳に定められ、私法においては、満20歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけだ。
もっとも今回の三党合意は成人年齢にふれていない。しかし選挙権の次は成人年齢に俎上に載せられるだろう。米国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思うが、国民の7割が反対しても成人年齢も引下げというのは納得できない。
●首相官邸に送った意見(制限2000字)
自公民三党は国民投票改正法案について合意がなされた。報道によれば投票年齢については「改正法施行後4年」に18歳以上に引き下げるとする与党案を改正案に採用する。ただ、公職選挙法の選挙権年齢について「改正法施行後2年をめど」に18歳以上に引き下げるべきだとする民主党に配慮し、政党間のプロジェクトチームを設置し、2年以内に投票年齢と選挙権年齢を同時に引き下げる法整備を目指すとされている。
そもそも、この法案は第一次安倍政権の時代に、当時の自民党中川政調会長が、法案を通すために民主党の政権公約である選挙権18歳引き下げの主張に妥協したことからはじまっているが私は法案を通すための政党間の取引で選挙権も成人年齢も引き下げることに反対なので意見を上申する。
主要国についていえばアメリカ合衆国はコモンローの成年は21歳だが、ベトナム戦争の際、反戦運動や学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がさかんになされ、1971年に投票権を18歳に引き下げた(憲法修正26条)。
ドイツも同じ事で、学生運動が激しくなり兵役義務が18歳からなのに選挙権が21歳なのは不公平だとの主張により1970年に18歳に選挙権が引き下げられた。政治不信を主張する激しい学生運動を緩和させるための政策だったのである。(国会図書館調査及び立法考査局「主要国の各種法定年齢」『調査資料』 2008-3-b 2008-12月参照)
要するに60年代末期の学生運動を背景に、徴兵制(兵役義務)とのからみで、選挙権も引下げられたということである。それはあくまで、一時の社会現象にすぎないのであって徴兵制のない我が国で18歳に引き下げる理由は見当たらない。若者が選挙権を求めているわけでもない。
これはたぶん民主党の政策立案グループに団塊世代の学生運動経験者がいて、昔の夢よもう一度という自己満足のための政策としか思えない。だから筋が悪いと思うのである。
私は、国民投票法に反対する護憲派ではない。しかし選挙権とか、成人年齢という重要な事柄は、別の法律を通すための政治的取引の材料にすべきではないという主張である。
とくに成人年齢引下げには国民の7割が反対している。明治9年の太政官布告で満20歳に定められてから、約140年間続いてきたもので国民に完全に定着しているのである。 私は日本大学法学部民事法・商事法研究会「『民法の成年年齢引下げについての中間報告書」に対する意見」『日本法学』75巻の結論に賛成である。「国民投票法の制定に伴い、成年年齢の引下げが議論されているが、私法においては、満二〇歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけではないかと思われる。‥‥立法趣旨についてきちんとした議論が全くなされてない状況において改正論議だけが先行することは、法改正のあり方として、あまりにも拙速である。」
もっとも今回の自公民三党合意は成人年齢にふれていない。しかし三党合意で選挙権が2年以内に引き下げられると決定されれば、次は成人年齢に俎上に載せられるだろう。
実際、外国の例では成人年齢と選挙権は一致していることが多いからである。アメリカ合衆国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが、コモンローと同じく21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。
私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思うが、選挙権が引き下げられれば、国民の7割が反対しても成人年齢もということになりかねないので危惧しているのである。
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