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2015/05/03

入手資料整理155

10741神奈川県教組教研集会職免承認事案住民訴訟 横浜地判平15・10・20 Lexis AS ONE・TKCデータース登載

 神奈川県鎌倉市立小中学校の教員である被告7人は,平成11年11月11日、12日川崎市立労働会館及び同市立川崎高校における神奈川県教職員組合の主催する教育研究集会について,両日もしくはどちらか1日、それぞれ所属の学校長から教育公務員特例法2 02項の規定による研修として承認を受け,職務専念義務を免除され,有給の取扱いで参加し,神奈川県知事から参加した日の分の給与の支給を受けたところ,神奈川県の住民である原告が,上記教育研究集会への参加について教育公務員特例法2 02項による研修として承認することは違法であり,上記の給与の支給は違法な公金の支出であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下,同じ。)2 4 2条の214号に基づき,神奈川県に代位して,被告らに対し,不法行為による損害賠償又は不当利得の返還として,それぞれ上記教育研究集会に参加した日の分の給与相当額及びこれに対する違法な公金の支出の日の後の日である平成1211日から完済まで民法が定める年5分の割合による遅延損害金を神奈川県に対し支払うように求めた事案である。

 判決は、教研集会が職員団体の活動であり、職務専念義務免除による有給の参加は違法であるとしながら、にもかかわらず、当該職員の財務会計上の行為をとらえて損害賠償等の責任を問うことができるのは,その行為に先行する原因行為に違法事由が存する場合であつても,この原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られるとする先例を引いて、本件公金支出(支給決定)が、県知事においてその職務上負担する財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものであるということはできないとして、住民の請求を棄却した。

 ここから私の見解だが、原告は教研集会は職員団体の運動方針に基づいて行われる組合活動であるとし、本件教研集会には旧社会党系の政治団体である「県政連」所属議員が多数参加していた。しかもそれ以外の政治家は参加していない。男女の共生や平和教育の重視という集会の内容からみても特定の思想政治的傾向を持つものと推定できる。にもかかわらず、通常、職務命令として行われる有給の職務研修と同じ扱いであることに対する疑義は当然であり、この点判決も本件教研集会は職員団体の活動としての法的性質を有するとし職免扱いを違法と判断した点で一定の意義が認められる。

 しかし本件住民訴訟には突破できない壁があり、学校長の判断が違法であっても、本件公金支出については被告らの給与支出者である県知事において看過できない瑕疵があるとはいえないとして住民の請求を棄却した。

 

 (要所)本件教研集会は職員団体の活動としての法的性質を有するもので、教育公務員特例法2 02項の規定による研修として承認することは,勤務時間中に.勤務場所を難れて.職員団体のために活動することを容認することを意味し、それが研修としての実質を有しているとの判断が,学校長に委ねられた裁量権の範囲内にあるものということができたとしても、教育公務員特例法は,同法202項の規定による「研修」としての承認が教員において,職務専念義務の免除を受けて,勤務時間中、勤務場所を離れて、職員団体のため法的性質を有する研修活動を行うために付与されることを予定しているものではないと解されるところであるから、各学校長においてはその裁量権の行使としても、被告らの本件教研篥会への参加につき,教育公務員特例法20条2項の規定による「研修」として承認する余地はないというべきであつて,結局,被告らの本件教研集会への参加について各学校長がした教育公務員特例法2 02項による研修としての承認は,学校長に委ねられた裁量権の範囲を超え,あるいはこれを濫用したものとして違法であるとした。

 

 しかしながら、職務上の義務に違反する財務会計上の行為による当該職員に対する損害賠償義務の履行を求める地方自治法242条の2の規定にもとづく住民訴訟については、先例である一日校長事件最三小判平成4年・12・15民集46巻9号2753頁 (教育委員会が公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命して昇給させるとともに同日退職承認処分をしたことに伴い知事がした昇給後の号給を基礎とする退職手当の支出決定は、適法とした)が引用され、当該職員の財務会計上の行為をとらえて損害賠償等の責任を問うことができるのは,その行為に先行する原因行為に違法事由が存する場合であつても,この原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁判所平成41215日第三小法廷判・民集4 692 7 5 3頁参照)。

 そして,上記のような法理は.242条の214号後段の規定に基づく代位請求に係る

当該行為の相手方に対する損害賠償請求訴訟若しくは不当利得返還請求訴訟についても同様であって,当該行為の相手方に対し損害賠償等の責任を問うことかできるのは,原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上義務に違反する違法なものであるときに限られる。

 教育委員会ないし学校長と地方公共団体の長との権限の配分についての関係に照らせば.学校長がした教育公務員特例法2 02項の規定による研修の承認については.地方公共団体の長は.その承認が著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過することができない瑕疵があるものでない限り,学校長の判断を篇重し,その内容に応じた財務会計上の措置を採るべ義務があり、これを拒むことは許されないものと解するのか相当である(上記最高裁判所平成41215日第三小法廷判決参照)。

  本件教研集会は,県教組の主催によるものであるが,神奈川県市町村教育長会連合会,神奈川県市町村教育委員会連合会,神奈川県公立小学校長会,神奈川県公立中学校長会等の神奈川県下の多くの教育関係団体等により構成された「神奈川県の教育を推進する県民会議」及び「神奈川県PT A協議会」が後援団体として加わって,開催されたものであった。県教組主催の教研集会は,本件教研集会の開催で既に49回目を数えるに至っているが,この間,神奈川県下の多くの市町村教育委員会においては,県教組主催の教研集会は,教育活動のために行っているものであって,その研修内容は職務に密接に関連するものであるから,教研集会への参加は,教員の資質を高め,職務遂行に役立つものであると位置付けられ,このような教研集会への参加については,字校長において授業に支障がないと判断した場合,教育公務員特例法202項の規定による研修としての承認を与える,という取扱いが長年にわたり継続されてきた。

そして,本件教研集会が開催された当時における鎌倉市教育委員会の県教組主催の教研集会についての位置付けも,同趣旨のものであった。

 また,県教委においても,従前より,県教組が主催する教研集会への教員の参加について,参加する教員にとっての研修性と職員団体としての活動性のニ面性に照らして,これを教育公務員特例法2 02項の規定による研修と取り扱うかどうかは,承認権者である学校長の裁量権の範囲の事項としてきた。

 教職員組合主催の教研集会への教員の参加には,職員団体のための活動という性質だけではなく,他面で,自主的研修としての性質をも有するということを前提として,学校長が,教育公務員特例法2 02項の規定による承認をするかどうかを決めるに際し,このよラな教研集会への参加のニ面性のいずれに着目して判断しても,学校長の裁量権の範囲内である,との趣旨の裁判例札幌高等裁判所昭和5 2210日判決・行裁集2 812107 頁)があり,この裁判例等が,上記の教育委員会の取扱いの根拠の一つとなっていた。

 本件教研集会についても,その全体会や被告らが参加した各分科会のテーマ(家庭科教育,幼年期の教育と保育問題,男女の自立と共生をめざす教育,平和教育,学習と評価・選抜制度と進路保障)やそこでの報告内容等に照らせば,これに参加した被告らにとり,教員としての研修たる性質をも有するものであったことを否定することはできない。

 総合検討すれば,本件教研集会への参加について各学校長がした教育公務員特例法2 02頂による研修としての承認は違法なものであるといわざるを得ないのであるが、それが,著しく合理性を欠くものであつて,被告らの給与の支出権者である県知事において.予執行の適正確保の見地から看過することができない瑕疵があるとまでは断定することはできないというべきである(なお,原告は,本件における各学校長の研修の承認は,いわゆる「ヤミ協定」に基づくもので,学校長として事実上承認を拒絶できない状況の下で与えた承認であり,実質的に要件の存否を判断して与えた承認ではないから,これらの承認は無効であるとも主張するが,その主張する「ヤミ協定」に係る「給特法覚書.・了解事項にもとづく交渉確認メモ」の記載は,「教育公務員特例法第2 02項の活用については,教職員の研修の重要性から信頼関係の上に立ち,申し出があった場合は承認することを原則とする。」いうものにすぎず,その記載自体に照らしても,これにより,学校長が,教員が行おうとする自主的「研修」について,その研修性や授業の支障の有無につき個別な判断をすることなく,無条件で承認を与えるように拘束されていたものとは認められない。 

 そうであるとすれば、県知事においては,被告らの本件教研集会の参加について各学校長の教育公務員特例法2 02項による研修としての承認があったことを前提として,それに応じた財務会計上の措置を採るべき義務を負っていたのであるから本件公金支出(支給決定)が、県知事においてその職務上負担する財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものであるということはできないというほかない。

 

[上記判例の引用判例関係10742~10750]

 

10742白老小学校教諭教研集会参加職免不承認事件 札幌高判昭52・2・10判時865号97頁

 

10743兼子仁「教師による時間内校外自主研修」 札幌高判昭52・2・10判時865号97頁評釈 『教育判例百選』第二版1979年

 

10744金子芳雄「地方自治法二四二条の二第一項四号(住民訴訟)における前行行為の違法性の承継」最三小判平4・12・15民集4 692 7 5 3頁評釈『法学教室』153号1993・6

 

10745関哲夫「一日校長事件」最三小判平4・12・15民集4 692 7 5 3頁評釈『平成4年重要判例解説』1993年

 

10746大久保規子「財務会計行為と先行行為-1日校長事件」最三小判平4・12・15民集4 692 7 5 3頁評釈 『地方自治判例百選』第二版2003年

 

10747伴義聖・大塚康男「中学校新設住民訴訟、住民、粘り腰で仕切り直し」最三小判平10・12・18民集52巻9号2039頁、判時1663号87頁評釈 『判例地方自治』187号

 

10748荏原明則「監査請求前置の意義(1)」最三小判平10・12・18民集52巻9号2039頁、判時1663号87頁評釈 『地方自治判例百選』第三版2013年

 

10749金子芳雄「川崎市役所汚職事件-汚職職員への退職金支給は適法か」最一小判昭60・9・12判時1171号63頁『平成60年重要判例解説』1986年

 

10750阿部泰隆「退職金支払い違法住民訴訟事件」最一小判昭60・9・12判時1171号63頁評釈『判例地方自治』21

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