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2015/05/24

入手資料整理160

(テーマ順法闘争)

10788沼田稲次郎「遵法斗争と権利濫用-三井造船事件に関連して-」『労働法律旬報』77号(1951)
 三井造船事件とは昭和24年5月17日全造船玉野分会が団交を重ねていたが、妥結に至らず、9月21日から時間外労働協定の締結保留、11月19日から労働安全遵法斗争を開始、29日から部分ストを開始、12月19日一部組合員が業務命令に協力したためストは崩壊し、21日に
斗争態勢を解くにいたったという争議行為に対し会社側は組合指導者と積極分子を解雇した。

 時間外労働協定の締結保留について会社側の主張は従来慣行となっていたことを無視し信義則に反している点において不当であり労働基準法36条の権利の濫用であるというもの。組合側は労基法が慣行に優位するというのは法理的に明らかであり、突如保留を申し入れたからといって、抜打争議が禁ぜられているわけではないというもの。
 岡山地労委の裁定(昭26.4.27命令)は「明らかに争議手段として採用されたもの」で「違法不当なる争議手段とするには当たらない」というものであった。沼田はプロレイバーであるから、何時でも労組は時間外労働を拒否でき、権利濫用などというトンデモナイ議論の生ずる余地はないとしているが、岡山地労委は、時間外労働協定締結保留を争議行為の手段として是認したのであるけれども、問題は公労法や地公労法適用企業の時間外労働締結拒否も争議行為と認識されるがそれでも適法かということである。

10789有泉亨「争議権の構成について--違法性阻却論のために」『法学協会雑誌』 67(6) 1949

10790石川吉右衛門「サボタージュ」『法学協会雑誌』 67(6) 1949

1-49日本労働法学会編『新労働法講座4』労働争議 有斐閣1967

有泉亨 「ストライキ」

 日本の労働法制はイギリスとは対照的。イギリスの法思想の下では「労使関係の法的根拠をがんこに労働契約に求める」従ってストライキとは労働契約の終了であるのだが、山口俊夫「集団的労働紛争と労働関係」立教法学6号・8号からの引用だが、フランスでも1950年までそうだったし、西ドイツの連邦基本法ではストライキ権の保障はない。1954年の判例では解約予告をせずにストライキをすることは労働契約の違反であるとしている。ところが我が国では憲法で労働三権を保障しているほか、労組法7条2項は団体交渉が続いている限り個々の労働者と話あいができないと解されていることから、世界的にみても集団的労働関係にかなり手厚い保護をおこなっているとみるべきだろう。そこが私としては疑問点なのである。

 プロレイバーだが基本的な事柄として下記の見解は普通のものだと思う。

「ストライキに付随して組合が採用するあれこれの戦術、たとえばピケットのやり方、また個々の労働者の行動が、労使関係の領域において「正当」とされる範囲を超える場合を別にすれば-つまり労働組合の正当な争議行為であるストライキでカバーされる限りは-個々の組合員はそれへの参加によって使用者-個々の組合員はそれへの参加によって責任を問われることはない」

 法令によってストライキが禁止されているのは、「労調法36条・37条・38条、いわゆるスト規制法2条・3条、公労法17条、国家公務員法‥‥などに違反してストライキが行われた場合‥‥その禁止が誰に対してなされているかが一つの基準である。‥‥公労法は「職員及び組合」に向かって禁止している。‥‥労調法36条は名宛人が明らかにされていない。「安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為」は一般に違法であるが、「争議行為としても」違法性は阻却されないという趣旨むである。個々の労働者も直接同条の規制したにおかれていて単純なウォークアウトでもこれに該当すると解すべきであろう。」

恒藤武二 「サボタージュ」

 労働法もやっているがフランス政治思想史の著書も多い人。我が国では一般的ではないが、争議行為とは同盟罷業、怠業、業務管理の三種類に大別して概念を整理すべきとし、「怠業とは、団結した労働者が、使用者に対抗するため、その労働契約の履行を部分的はに拒否すること=労働契約の不完全履行」「怠業とは能率低下(スローダウン)による典型的な怠業のみでなく、定時出勤、順法闘争、上部遮断スト、納金スト、などのようなやや変則的な争議行為を包括し、さらに残業拒否、時限ストのような労働契約に基づくその日その日の労働義務の一部分を履行しない形でなされる争議行為を包括し」と述べ、残業拒否も時限ストも怠業の範疇としてとらえているから、公務員がやっている時限ストライキは、典型的なストライキではなく怠業というべきということになる。
 なお、地公法37条1項の怠業的行為は、行政活動妨害する目的でなされる個人的職務怠慢行為のことで、争議行為の範疇の怠業とは異なるとしている。なお怠業中の賃金の支払いに触れた判例として関西電力上部遮断事件京都地判30.12.17労民集6-2-218

佐藤昭夫「ピケッティング」

 スクラム等の防衛的実力行使は是認されるべきという左よりのプロレ-バー学説。最高裁判例では指導判例の羽幌炭礦事件をはじめとして非組合員の就労阻止を適法とした例はないが、下級審判例では新聞印刷事件大阪地裁昭33.7.30労民集9-3-383があるという。でもこれだけなら、根拠としては弱いだろう。

大脇雅子「順法闘争」
(ここでは特に引用せず)


1-50『争議をめぐる法律問題』東洋経済新聞社1955年

佐伯静治「争議行為の諸形態」  
「結局遵法闘争は社会的意義においては争議行為であるが、法律が遵法を禁止することはできないので、遵法闘争は禁止できない。‥‥争議行為は遵法闘争を含まないと考えざるをえない」プロレーバー学説

1-51大野雄一郎『争議行為法総論』

 安全運転は、その「提出される労務は、その限りにおいて労務の本旨に従うものであり‥‥争議行為は提供されない労務の分野において成立する」これに対して一斉休暇戦術、定時出勤戦術、超勤拒否戦術は時限ストの類型に属するものとしており、順法闘争を狭く解している。

1-52片岡・横井編『演習法律学体系〈17〉演習労働法』青林書院新社

10791片岡昇「遵法闘争」『労働法律旬報』359号1959年

 プロレーバー学説。「正常な運営を阻害する」を「『平常』とは区別して法規に従った業務の運営と解」し「違法状態のもとで業務の「正常」な運営というものは、存在せず、遵法闘争はたとい他の目的の手段として行われるとしても何ら使用者の「正常」ヶな業務をほ阻害するものではなく‥‥禁止される争議行為には当たらない」

10792清水明「総点検闘争の前進のために」

10793菊谷達弥「フランス法における争議行為の概念(上)」『熊本商大論集)21号1965年

110794 松本暉男・渡辺司郎「わが民法の「婚姻締結の方式」の史的考察(一)」『関西大学法学論集』21巻3号

10795青木周三「争議行為の概念について(三)」『関西大学論集』21巻5号1972年

10796林迪広「順法闘争について」『法政研究』25巻2-4号

 著者の見解は、順法闘争は労調法7条の争議行為にあたるとする。ところが公労法17条の争議行為禁止は国民生活に対する著しい侵害を及ぼす業務の正常な運営を阻止の行為に限定されるべきで、順法闘争は基本的に含まれないとするが、この見解は名古屋中郵判決で否定されていることから通用しない。争議行為と断定したのは正しいが、公労法の解釈はおかしいとみるべきである。


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