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2015/06/07

下書 三六協定締結拒否の争議行為性について(2)

二、順法闘争とは

 

 順法闘争を一言でいえば、ストライキと同じ効果を狙いつつ、ストライキではないと偽装した闘争戦術を指す。

 安全闘争(国鉄で行なわれた運転取扱基準規定関係の順法闘争などを含む)、定時出勤、定時退庁、一斉休暇取得、時間外労働拒否をひと括りにして、順法闘争と称される。国家法、自主法、規則等を厳格に順守することによりノーマルな業務運営を阻害する逆説的な闘争戦術といえる。

 

 特に評判が悪かったのが、国労・動労の順法闘争である、運転安全規範などの諸規則を厳格に遵守するとかえって列車の運行が遅延することを逆手に取り、「順法」を口実としてダイヤを著しく混乱させ闘争の手段としていた>

 不条理に耐えた乗客の怒りが爆発、昭和48312日の上尾駅暴動事件(当時の映像 https://www.youtube.com/watch?v=aPC_rRCXmDk)と、同年424日の首都圏国電暴動は当時自分は中学生だったが、報道などでよく覚えている。

 当時は通勤時間の混雑がひどいうえ、通常なら37分の上野-上尾間を順法闘争に入ると3時間かかるノロノロ運転を故意に行い、通勤客に苦痛を与えても、それはスト権を認めない国会が悪いのだと責任を転嫁し、乗客も労働者階級なのだから連帯のため受忍すべきという厚かましさだったから、自然発生的な暴動に発展したのは当然と思った。

 この年の4月25日石田和外率いる最高裁が可罰的違法性論の労働事件の適用に消極的な基準を示した、久留米駅事件など画期的な労働三判決を下しており、上尾事件は時代の転換点となったものと評価できるのである。

 

 遵法闘争が、労働組合の要求を使用者に認めさせるために企業運営の能率を低下させ、実質的に怠業やストライキと同じ効果がある以上、社会的事実としての争議行為であるであることは大多数が同意するだろう。外国でも同じことだか、時間外労働拒否は、本格的なストライキに突入する前段闘争としてなされることが多いのである。

 周知のとおり労働組合法は昭和213月に施行され、当初公務員は、警察・消防・監獄職員に団結禁止の規定があったが、私企業と同様の権利が付与されていた経緯があるが、マッカーサー元帥書簡に基づく昭和22731日のいわゆる政令101号によい一切の公務員の争議権が禁止された。

「遵法闘争」とよばれる闘争形態は国鉄労組や全逓により早い時期から行なわれており、昭和213月省電の安全運転闘争、全逓の安全通信闘争、一斉賜暇戦術、定時退庁がなされている。争議行為が有している時期にも行なわれていた闘争形態なのである。

三六協定闘争のはしりとされる残業拒否戦術が昭和23131日に国鉄労組により指令されている。この戦術は昭和22年勅令591号のスト中給与不払いを免れるためのものであったのであり[i]、したがって順法闘争の本質は、公務員の争議行為禁止からのがれるための戦術と位置付けられたものとはいえない。

 

(一)イギリスなら順法闘争は違法

 

ちなみに、イギリス法[ii]、では遵法闘争はコモンロー上の被用者の黙示的誠実労働義務(協力義務)に反し違法であり、雇用契約違反となる。典型的な例Secretary of State for Employment v ASLEF (No 2) [1972] 2 All ER 949 CAは組合が就業規則を遵守し時間外労働を行わないという戦術をとったが、控訴院は、組合の主張を退け、全ての雇用契約には、被用者は誠実に使用者に仕え、かつその使用者の営業利益を追求すべきであるいう黙示的義務がある判示した。また、Sim -v- Rotherham Metropolitan Borough Council [1987] Ch 216 QB)は、教員が病気で欠勤している同僚の仕事を争議行為の一環としてカバーしなかったことが雇用契約違反とされた[iii]

そもそもイギリスでは制定法で「公認ストライキ」の不法行為免責を認めているが、積極的な意味での争議権などないので、ストライキ参加は一方的契約履行拒絶として即解雇事由になるのであって、憲法で労働三権が保障され、近代市民法は労働法との法益権衡により修正されるという左翼思想の跋扈する我が国とはかなり事情が異なるが、市民法感覚でいえば、順法闘争や超勤拒否が違法というのは当然のことのように思える。コモンローの黙示的義務は、我が国の民法1条2項の信義誠実の原則を判例法により具体化したものと言いかえることができるたろうが、近代市民法を基準とした思考方法でいえばイギリスがまともで我が国が異常であると断言したい。

 

時間外労働協定締結拒否が違法か否かが争われた初期の労働委員会の裁定として三井造船事件岡山地労委の裁定(昭26.4.27命令) 『労働法律旬報』77(1951がある。昭和24517日全造船玉野分会が団交を重ねていたが、妥結に至らず、921日から時間外労働協定の締結保留、1119日から労働安全遵法斗争を開始、29日から部分ストを開始、1219日一部組合員が業務命令に協力したためストは崩壊し、21日に斗争態勢を解くにいたったという争議行為に対し会社側は組合指導者と積極分子を解雇した[iv]

時間外労働協定の締結保留について会社側の主張は従来慣行となっていたことを無視し信義則に反している点において不当であり労働基準法36条の権利の濫用であるというもの。組合側は労基法が慣行に優位するというのは法理的に明らかであり、突如保留を申し入れたからといって、抜打争議が禁ぜられているわけではないというものだった。

岡山地労委昭26.4.27命令は「時間外労働協定の保留ないし拒否について見るに一般の労働者が、所定の平常労働時間を超えて、いわゆる時間外労働をするとしないとは、労働者自らの意思で決せられるものであって、何ら外的の強制を受くべきものではない。会社は申立人のなした拒否ないし保留行為に対し造船業と残業の特殊関係、特に造船工程中、残業が計画中に織込まれている点、永年の慣行であった点、従来累次の協定締結の際何らの紛議を生じなかった点等を挙げ右行為はこれ等の現実を無視し、信義則に反するものとして不当なる争議行為と主張しているが、右行為は当初においては格別争議行為の手段としての意図より出発せざるををえざるものと認められるからその間、客観的に見れば信義則を逸脱せし嫌いがないわけではなかった。しかしながら右行為のなされたのは争議中のことであり、諸般の事情より勘案して明らかに争議手段の一環として採用されたものとみることができるので、たとえ申立人らが争議行為として会社に通告する場合早期にこれを行わず、ために会社が対策等樹立の上に支障を来するところ、被申立人主張するが如く当該会社が特に労調法上公益事業として指定されたことが認められない限りこれを違法不当なる争議手段とすることは当たらない。」 

 要するに信義則に反する嫌いがないわれでないが「明らかに争議手段として採用されたもの」で「違法不当なる争議手段とするには当たらない」というものである。

 イギリスのように信義則に反し違法とはされず、労働法により争議行為の権利を認めているから是認されるというものである。

 このように労働委員会の裁定では、後述する都水道局事件ように、時間外労働協定締結拒否を争議行為とするものが少なくない。問題は三井造船事件は私企業だったが、公労法・地公労法適用企業で適法といえるか否かである。

 


[i] 香川孝三「文献研究・日本の労働法学(14)順法闘争」『季刊労働法』951975

[ii] 雇用契約はあくまでも一対一のものであって、我が国の不当労働行為制度のような集団的労働関係はを保護する制度もなく、積極的な意味で争議権を保障してない(イギリスでぱストライキ参加は契約履行の一方的拒絶とされるので解雇事由となるストが収拾され解雇されない場合でも法的には再雇用である)

[iii] 小宮文人『現代イギリス雇用法』信山社出版200699p以下。

[iv]沼田稲次郎「遵法斗争と権利濫用-三井造船事件に関連して-」『労働法律旬報』77(1951)

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