巨匠バッシング報道の感想
プリツカー賞、文化勲章等受賞、東大工学部教授を歴任、だみ声の関西弁で豪放磊落、気さくな人柄、知名度が高く、建築家としては突出した存在感のある巨匠がバッシングされている。
NHKBSのドキュメンタリーも見たが「すい臓がん」を宣告されてるのにめげることなく、エネルギッシュに仕事をこなしておりすごい人だと思った。
10日付の日刊ゲンダイによると「最近も政府に堂々と「ザハ案で押し切れ!」と掛け合っていたようだ」と報道されている。 http://nikkan-gendai.com/articles/view/news/161593/2安藤忠雄の盟友とされる難波和彦の日記6月29日によると、建築界で総じて槇文彦に賛成のようだが、自分は槇氏と確執があるので賛成できない。安藤も槇も引くに引けない状況と解説している。
安藤氏に批判的な論評では、森山高至の「新国立競技場に執着する安藤忠雄の大罪」http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11921842694.htmlを読んだが、要するに東大教授就任を奇貨として行政のアドバイザーとしての仕事が増え、審議会に名を連ねるようになり、都市政策の発言力を増していった。間口を広げすぎた慢心というものである。
なるほど、安藤氏は中小住宅から始まって表参道やベネチアの都市空間を彩る建築で高く評価されているが、都市政策そのものの専門家というわけではないように思える。「独学神話」で反権威的イメージだった人が、東大教授に就任したので慢心があったということなのか。
一方で安藤氏に同情的な意見もあった。concretismというブログの「新国立競技場をめぐる巷の意見に対する当ブログ主の所感 」http://concretism.hatenablog.com/entry/2015/07/04/230101だが、「ザハ、安藤忠雄の両者をはじめとする当時のコンペ関係者は、閉塞感が漂っていた当時の日本、特に「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権下における建設・建築の関係者の鬱屈した気分を晴らすというその責を十分に果たしており‥‥」と述べ、業界の期待に沿ったものであり当時においては妥当な判断だったかもしれない。なるほどハコモノ公共事業批判と経済低迷で業界に閉塞感があったのは事実だろう。「コンペ開催当時1ドル=78円程度に対して現在1ドル=122円であることには留意する必要がある」とも述べている。ザハ案が決まったのは野田内閣が解散を決めた翌日のようだが、当時安倍は野党の総裁だった。12月の選挙結果で首相になることは予測できたとはいえ、ここまで円安にふれると予測した人は多くないはず。今日の経済情勢の変化、建築費の高騰を安藤氏が予測できなかったとしてもやむをえないともいえるかもしれない。
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