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2015/07/19

入手資料整理166

1-54J・Lフランドラン著森田・小林訳『フランスの家族 アンシャン・レジーム下の親族・家・性』勁草書房1993年
1-55角田文衛『日本の女性名 歴史的展望』国書刊行会2006年
 平安中期の内裏女房の地位と候名について119頁以下であるが、「女房の候名は、主として父、やむをえぬ場合は、夫、兄弟、祖父などの官職名に因んで賜った」と説明。
具体的に
和泉式部-父の大江雅致(まさむね)が式部丞の任にあったことと、夫の橘道貞が和泉守に在任。
相模-相模守大江公賢の妻。
大納言-大納言源時中の養女。
馬内侍-右馬権頭源時明の女。
紫式部-父藤原為時が式部丞に在任。元来は藤式部だったが、源氏物語で文名がとどろいたため、後世、紫の上に因んで紫式部となった。
問題は清少納言と赤染衛門である。
清少納言-清原元輔の女だが実名不詳である。角田文衛によればこの候名は再婚した相手の少納言藤原信義の官名に因むとされる。清少納言は第三者から指称であり、日常生活において、女房相互の符牒としては少納言と指呼されていたことは『枕草子』の有名な香炉峯の雪により明白である。
 雪のいと高う降りたるを、例ならずして御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などして集まりさぶらふに、「少納言よ、香炉峯の雪いかならん」と仰せらるれば、御格子あげさせて、御簾を高くあげたれば、わらはせ給ふ。
 中宮藤原定子は「少納言よ」と呼んでいるのであって清氏とは指呼しないのである。しかも少納言が夫の官名に因むのであるから、これを夫婦別姓の論拠とは全くならない。
 問題は赤染衛門である。大隅守赤染時用が父または養父とされる。時用が右衛門尉を歴任したことにちなむ。赤染氏は渡来系氏族で壬申の乱で高市親王に従ったことで知られる。夫は一条朝の鴻儒、従四位下式部大輔大江匡衡であるから、夫婦別姓の典型としてみることもあるが、父の氏で指呼する候名は珍しいものであって、例外的事例とみなしてよい。衛門では女房相互の符牒になりえないからではないか。角田文衛氏は中宮や藤原道長は、赤染ではなく「匡衡衛門」と称していてこちらが普通だったいう。これは赤染衛門が夫の昇進のための運動、裏面工作に熱心であったためだか、いかにもあてこすった言い方であり年長者に対して非礼でもあるとの見解もあり、『紫式部日記』に丹波守北の方と称されているこちらのほうが一般的指称(当時大江匡衡は任丹波守で妻は任地に下向せず京に止まっていた)だと思う。従って、赤染衛門はあくまで候名でありこれを夫婦別姓の根拠とすることはできない。
角田氏以外の見解も付け加える。
次のケースで江三位とはと言う問題である。
『類聚雑例』長元九年五月十七日条に後一条天皇の御大葬に当たって素服を賜るべき人々「女房十八人」が書き出されている。
 先藤三位。藤三位。江三位。菅典侍。已上御乳母。少将内侍。兵部内侍。左兵衛内侍。左衛門命婦。左京命婦。小馬命婦。侍従命婦。中務命婦。兵衛命婦。小左門命婦。式部命婦。兵衛命婦。馬命婦。
 乳母四名は姓氏で指呼されている。しかし天皇乳母に称される例外的事例をもって夫婦別姓とはいえないだろう。しかも江三位とは近江守藤原惟憲の妻藤原美子であり大江氏の三位ではない。新田孝子氏「栄花物語』の女官名称-乳母「近江の内侍」」関根慶子博士頌賀会編『平安文学論集』 風間書房1992によれば夫の官職に因んで近江の内侍と称されていたが、昇叙により『栄花物語』第十九の禎子内親王着裳の儀の記述では「近江の三位」となり、第二十八の中宮威子出産の記述では「大弐の三位」となる。これは夫惟憲が大宰大弐であったためである。つまり後一条天皇乳母藤原美子の女房名は「近江内侍」「近江三位」「大弐三位」と変遷しているが、いずれも夫の官職に因むものである。
夫の官職にちなんでいる例は事実上の夫婦同姓に近いイメージであり、江三位というのも夫婦別姓の根拠に全くならないのである。

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