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2015/07/19

入手資料整理165

1-53吉田孝『律令国家と古代の社会』岩波書店1963

○古代の「家」について
 古代で「家」はどのように使われていたかと、やはり基本的には父から子に継承する原理を言っている。ウジと実質的には同じ意味でも使われるし、住まいとしての家をさすこともあったとする。
 吉田氏は公的「家」という概念についても説明しており、三位以上の位階を得た貴族だけが公的「家」を設けた。これは三位以上の位階にともなうもので、世襲されるものではないから「家」が多義的に用いられている。
 通説では家職・家業・家産を父から子に継承する日本的「家」の成立は院政期以後の展開であり、特定の氏族が特定の官職を独占的に世襲するようになってから、例えば官務家としての小槻氏、局務家の中原氏、清原氏などある。村落社会では家産を継承する永続的な家が基礎単位となるのは14世紀以降の進展とみられる。惣領制が解体して、嫡子単独相続制となって近世的ない「家」が成立する。
この点について、吉田孝はわかりやすい説明をしている。「奈良時代の藤原氏の家は、まだ平安時代後期の貴族のように家領を形成しておらず、もっとも大きな収入源は位階や官職にともなう食封など、朝廷から支給される封禄であった」180頁
 法制史的には、官職の世襲は、官位相当制を原則とする律令の官僚制を破るものであるが、平安末期から鎌倉時代初期、明法家が家業のためなら律令を破ることも許されるという説を公然と揚言するようになって既成事実化したのである。
 しかし、中世以降の「家」制度は、古代の律令国家に既にその萌芽があったとみるべきである。
 吉田氏は、「家」制度成立の前提となった古代の制度について3点を挙げている。
 1つは日本律令に特有の嫡子の制である。これは蔭位を中心とする出身法と、財産相続法に関連して規定されている。いずれも唐令とは異なり嫡子を他の子供とは異なり特別に扱おうとするものであるが、中国とは違う制度を導入した理由について、「首長位が傍系の範囲で移動する「氏」ではなくて、嫡子制による「家」に支配の基礎を置こうとしたのは、「氏」の組織が律令国家の支配集団の単位としてはあまりにも流動的であったから想定される‥‥嫡子制の導入は、家長の地位の継承を父-子のあいだに固定し、「家」を律令国家の支配機構の基本単位として意図的に設定しようとするものだった。」もっとも、奈良時代には嫡子制は定着しなかった。庶民のあいだでは戸政の納入責任者以上の意味のなかったとする(172頁)が、中国とは違う制度をとったことの意味は大きい。
 2つめは、古代には中世以降のように家領が成立せず、官職を世襲することはなかったが、「ヤケ」(地域共同体の経営の中核)とのその従属民(ヤケヒト・ヤツコ)を相継していた。「すなわち在地豪族層や有力農民層のイヘが、かつてのヤケが担っていた機能を吸収していったとき、中世的イヘが形成されてきた」(181頁)という。
 3つめは、中世以降の「家」制度の家業観念は、律令国家前にさかのぼる、始祖が天皇の祖先に仕えた職務を継承するウジの原理の再生(180頁)という意味があるとする。

 ここから私の見解であるが、したがって、家職・家業継承の日本的「家」制度の成立が院政期以降、狭義の日本的「家」制度は嫡子単独相続となった中世後期以降としても、それを形成してきた基盤が律令国家と律令国家前の制度にあった。律令の嫡子制にさかのぼって貫徹する社会構造と見なしてよいのである。約千年つづいている、まさに「家」制度は国柄といってもよいのである。

 中国には宗族、韓国には門中という宗法原理による父系出自の親族集団があるが、日本のように家業や家職を継承する経営体と結びついた「家」観念はないのである。したがって「家」制度は我が国特有の社会構造である。
 

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