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2016年4月の9件の記事

2016/04/29

まだテッド・クルーズにも望みはある

  4月26日の東部諸州の予備選はトランプが圧勝したためトランプ優位の展開と報道はされている。しかし5月3日のインディアナはクルーズが勝てそうだ。最新の世論調査http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/in/indiana_republican_presidential_primary-5786.htmlではトランプ40%、クルーズ35%、ケーシック20%だが、ケーシックとバーターで選挙協力で合意し、インディアナではケーシックがクルーズに譲って選挙運動をやめることとしたため、上積みが可能なのである。
  元ヒューレット・パッカードCEOのカーリー・フィオリーナを副大統領候補にすると発表した。ふつう副大統領候補は身体検査に十分時間をかけたうえ党大会前に発表するから、この時期の指名は異例である。
  PBSのゲスト解説者は、トランプ優位とみているものの、彼女はトランプとディベートでよく戦った、相手をやりこめることができる。トランプとの応酬でメディアの注目を集めることはできる。彼女はカリフォルニアで上院議員選挙で出た経験があるので6月7日の予備選に若干有利な材料とは言っていた。

2016/04/24

入手資料整理184

 10996★★玉田勝也「全逓東北地本懲戒免職事件上告審判決について」『季刊公企労研究』38号1979年

 本件は争議行為と個人に対する懲戒責任の問題に決着をつけたと言う意味で重要な先例である。

 10997 判例寸評★★山陽電気軌道事件上告審決定最高裁昭53・11・15決定

 ストライキ対抗措置としての操業行為は完全に法的保護の対象となる。朝日新聞西部本社事件、羽幌炭礦事件、横浜輸送部隊とともに操業継続の権利を明らかにした。

 公労協スト権スト損害賠償第一審判決東京地判昭53・12・11・10998★神代和欣「公共部門の賃金決定 国際比較の観点から」『季刊公企労研究』39号1979年

10999判例寸評 『季刊公企労研究』39号1979年 ★全電通一宮分会懲戒処分事件第一審判決 名古屋地判昭53・12・15、麻生セメント事件第一審判決福岡地判昭53・12・26ビラ貼り建造物損壊罪を構成するとした、先例として東海電気通信局事件上告審決定最三小決昭41・6・10刑集20・5・374、金沢タクシー事件上告審決定 最一小昭43・1・18 22・1・32、平和タクシー事件上告審決定、最三小決昭46・3・2325・2・239、判時627・98、国鉄小郡駅上告審判決 最三小判昭39・11・24刑集18・9・610、新鶴見駅機関区事件控訴審判決横浜地判昭54・3・27 鉄労の組合員に対する追及活動で暴行を加えた動労組合を有罪としたもの、富山県教組団体交渉暴力事件 名古屋高判昭54・3・29、★★★北見郵便局懲戒処分取消事件控訴審判決昭札幌高判54・3・29 被控訴人の所為のうち

 スト参加者に対する激励の演説は「あおり」「そそのかし」

 ピケ張りの実践、指導は、「あおり」「そそのかし」

 スト参加者に対する隊列行進の誘導は「そそのかし」

 ジグザグデモ行進の指導と実践は「あおり」「そそのかし」

 集会の際のシュプレヒコールの音頭は「あおり」

非破壊検査会社損害賠償事件第一審判決 大阪地判昭54・3・29「仮に違法なストライキにより多大な損害を被ったとしても、契約関係にない第三者は、一切、不法行為法の保護の対象とならない」とする。対馬今里中学校長監禁事件長崎地判昭54・5・8、労働組合活動に伴う監禁事件の先例として、美唄炭鉱事件上告審最大判昭28・6・17刑集7・6・1289、バレーコート監禁事件上告審最三小昭29・12・7、ジュリ75・61、三井砂川鉱業所事件上告審最三小判昭32・12・24刑集11・14・3349、三井鉱山文珠抗事件上告審判決最二小判昭33・7・11刑集12・11・2532など。

11000高島良一「公企体関係労働判例の一〇年を顧みて」『季刊公企労研究』40号1979

東京中郵判決と都教組判決の何が悪かったかが簡潔に説明されている

 東京中郵判決(最大判昭41・10・26)と、都教組判決・全司法仙台判決(最大判昭44・4・2)の悪影響について争議行為が可罰的であるためには「国民生活に対する重大な障害」を挙示し、実害論をとったため、公企体等の労働組合は両判決を錦の御旗として、公然と争議行為を行うようになり、スト権奪還を標榜するようになった。

 それまでは勤務時間内職場集会、時間内くい込み行動、順法闘争、安全闘争など称し争議行為という言葉を避けていたが、ストライキとしてこれらの行動を行うようになったと説明されわかりやすい。二重の絞りが難しいのこの程度の説明でも一般向けにはよいかもしけない。

 下級審判例では、行政当局または公企体の懲戒処分の量刑基準につき全電通一宮分会懲戒処分事件第一審名古屋地判昭53・12・15は、組合の統一指令にもとづき、拠点の事業所で行われたストライキの懲戒処分は、分会長・副分会長・執行委員・一般参加者と区別しそれぞれの量刑の内容を画一的にきめて懲戒することはやむをえないとしたと説明、全林野春闘事件東京地判昭53・7・14につき統一的に画一の懲戒基準を定めそれに従って処分をなすことを是認したと解説。

11001判例寸評 浮羽東高校事件第一審判決福岡地判久留米支部昭54・2・27、務太秦郵便局事件 京都地判昭54・4・10 全逓京都地本の抗議活動により、全郵政支部長が暴力を受けた事件、有罪だが、罰金1万円ですんでいる。北教組マンモス訴訟第一審判決札幌地判昭54・5・10

 

11002摩周丸事件上告審判決最大判昭41・11・30 刑集20-9-1076、判時466-58、国労青函支部は、組合役員の処分に抗議するため昭和32年5月11日9時20分青森出航予定の青函連絡船摩周丸内において勤務時間内の職場大会を開催することとした。被告人船舶支部副委員長らは組合員多数と共謀のうえ、実力を用いて二等舷門扉の開放を阻止し、桟橋長らが試みたタラップ架設作業を不可能にしたため、出航を1時間29分遅延させたもので、一審、二審とも刑法234条、233条の威力業務妨害罪の成立を認めたが、組合側弁護人は国鉄業務は公務なので業務妨害罪の適用は受けないとして上告したものである。最高裁は上告を棄却し、国鉄の業務は業務妨害罪及び公務務執行妨害罪双方の保護を受け、民鉄が業務妨害罪の保護だけであっても憲法14条に違反はしないと判示した。

11003船田三雄 摩周丸事件調査官解説 『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年度』220

11004芝原邦爾「公務員の公務による業務妨害-摩周丸事件-」刑法判例百選各論第二版1984

11005内藤謙「業務妨害罪と公務執行妨害罪(摩周丸事件)」刑法の判例第二版

11006ほし判例寸評『季刊公企労研究』43号1980 全逓明石郵便局事件第一審判決 昭和43年2月25日の公労協統一スト全逓半日スト指令による、始業時から3時間53分ないし2時間49分ストライキに参加し、労務の提供を拒否に対して、減給一月十分の一または戒告の懲戒処分を適法としている。全逓東北地本最高裁判決の論旨によっているもの目新しい見解はない。現業の国家公務員が公労法の規定に違反する争議行為をなせば、国公法九八条一項(法令遵守義務)、九九条(信用失墜行為禁止)、一〇一条一項(職務専念義務)の各規定に違反したものとして、同法八二条の懲戒処分の対象となると判示。

革マル派全学連郵便配達妨害事件第一審判決東京地判昭54・12・24、動労甲府青年部等暴力事件第一審判決甲府地判昭55・1・31 一畑電鉄出雲営業所ビラ貼り事件第一審判決松江地判昭55・3・4、新宿郵便局事件控訴審判決東京高判昭55・4・30 企業秩序を乱すような組合の庁舎利用に対し、事業主体は業務の運営態勢を確保するため具体的に指示命令ができる。

11007古河目尾鉱業所事件 最二小判昭35・11・18刑集14-13-1713、判時242号5頁国鉄事業は業務妨害罪の対象になる。

11008★★柴田孝夫 仙台鉄道管理局事件調査官解説 刑事篇昭和48年

11009丸子郵便局事件 長野地判昭52・10・13 訴務月報23・10・1789

11010香城敏麿 第二名古屋中郵事件調査官解説 刑事篇昭和53年

11011星野守之助「ノーワーク・ノーペイ」『季刊公企労研究』30号1977年

11012花見忠「公共部門の紛争処理について」

11013昭和37年国鉄春闘松山駅事件松山地判昭43・7・10刑集32-2-191

11014春闘松山駅事件高松高判昭46・3・26刑集32-2-204

11015★★札幌市労連事件上告審最三小昭45・6・23刑集24-6-311判時596号

11016山口浩一郎「ビラ貼り-国鉄甲府総合事務所事件-」労働法の判例第二版

11017動労甲府支部ビラ貼り事件東京地判昭50・7・15判時784号、判タ324号

11018秋田成就「ビラ貼りと損害賠償-国鉄甲府総合事務所事件-」昭和50年度重要判例解説

11019下井隆史「労働組合のビラ貼り活動と民事法上の責任-動労甲府支部事件を中心に-」判タ326号

11020電電公社東海電気通信局ビラ貼り事件 名古屋地判昭38・9・28 判時359号 

11021国労米子地本浜田支部ビラ貼り事件 広島高裁松江支判昭50・4・9 判時781号

11022国労米子地本浜田支部ビラ貼り事件 松江地裁浜田支部昭48・3・30判タ295号

11023東京厚生年金病院ビラ貼り事件 東京地判昭41・9・20 判時477号

11024東京中央郵便局ビラ貼り事件 東京地判昭46・3・18 判時624号

11025今野順夫「組合のビラ配布活動と施設管理権 日本エヌ・シー・アール事件」『季刊労働法労働組合106号

11026日本エヌ・シー・アール事件東京高判昭52・7・14 判時868号

11027電電公社東海電通局ビラ貼り事件名古屋高裁昭39・12・28

11028島岡まな「ビラ貼りと建造物損壊罪-全電通東海地本事件」最三小昭41・6・10評釈 刑法判例百選各論第五版

11029森本益之「ビラ貼りと建造物損壊罪-全電通東海地本事件」刑法判例百選各論第四版

11030坂本重雄「ビラ貼り行為の限界と建造物損壊罪-全電通東海地本事件」昭和41年度重要判例解説

11031全電通東海地本ビラ貼り事件上告審最三小昭41・6・10 刑集20-5-347 判時454号

11032日本ナショナル金銭登録機事件横浜地判昭48・2・9 判タ294号

11033清正寛「施設管理権-三井化学三池染料事件-」労働判例百選第三版

11034中村正「施設管理権-三井化学三池染料懲戒解雇事件-」

10035三井化学工業事件上告審 最三小判昭35・10・18 民集14-12-2528、判時241

ピケッティング事案

10036三井化学三池染料事件 福岡地判昭32・7・20 判時125号

10037三井化学三井染料事件 福岡高判昭34・11・4 民集14-12-2615判タ98

10038竹下英男「保全業務の範囲-三井三池染料事件-」労働判例百選第四版

10039片岡曻「保全業務の範囲-三井三池染料事件-」労働判例百選

10040足立税務署事件東京地判 東京地判昭52・2・24

 

 

2016/04/20

直下型激震の教訓 屋外の方が安全だった

井山七冠といっても、羽生七冠より大きなニュースにならないのはたぶん、どうせ韓国や中国にもっと強い棋士がいるんでしょと多くの人が思っておりしらけているためだ。というより囲碁のルールすら知らないし、どこが強いのかさっぱりわからないのである。
19日発行の日刊ゲンダイによると、14日夜の発災時、安倍は稲田朋美らと代官山のフランス料理屋で会食しており、最初のぶらさがりは赤ら顔だったという。酔っぱらっていたのである。さらに全避難者の屋内避難というトンチンカンな指示をしたことを批判している。これから本番があるかもしれないといわなかった気象庁より、被災者をよくない方向で統制しようとした安倍の方が罪は重いだろう。
実際、多少風雨に当たっても、屋外避難のほうが安全だった。益城町で被害が大きかったところは瓦屋根の伝統的な日本建築が多く、こういうところでは屋外のほうが安全だとの心証をもった。権力者の意向にふりまわされるよりより実際の被災者の自己責任で判断したほうが身を守れるということだ。
こういう地域では、初期の避難では、敷物、段ボール、寝袋、テントなどを用意してホームレスのように野宿することを考えたほうがよいというのが教訓である。実際、段ボールでもいいからほしいという声はあったのである。

2016/04/17

熊本地震の被害をテレビで見た感想

 きれいごとはいいたくない。たぶんニュースを見ている公務員の多くは、被害が大きくなってまた復興予算確保のためにまた給与減額されたらたまらんなあと本音では思っているはず。熊本のことより自分の懐のほうが心配だというのが現実だろう。もっとも東京都は東日本大震災に伴う給与減額はやっていないが。
死者の数は2004年の新潟県中越地震の68人をこえてもらいたくない。熊本地震のままがいい。というのは震災というネーミングになってもらうと他の国民に負担を強いる口実になるからいやと思っている人は多いはず。。
経済学者の大竹文雄がEテレの番組で言っていたが、東日本大震災の復興予算見積が高過ぎた。実際には阪神淡路大震災程度の復興予算でよかったのではという見解があるという。
なるほど、3.11で壊滅的な被害があったのは沿岸部の小都市などで、水産業で有名だがほとんどが過疎地で今後経済的発展が想定されている地域ではないのである(大都市の仙台の中心部は建物の倒壊のような甚大な被害はなかった)、過疎地に過大なインフラ投資を行うのは経済学的に疑問という本音の議論をやっていたが、ジャーナリズムはそういう冷静な議論をほとんどしない。
今回の地震で心配なのは、死者は中越地震程度でとどまったとしても、小千谷や十日町と比較すれば熊本ははるかに大きな都市で産業も集積しており、どの程度のダメージかということである。とはいえ私は義捐金は出さない。孫さんや柳井さんのようなお金持ちじゃないし、貧困国のハイチやネパールですら義捐金は出していないというのが口実である。熊本は家制度復活運動もあった保守的な土地柄で好意的ではあるが、熊本城の修復には、保育園に反対する住民と同じで、受益者じゃないから金は出すことはない。

2016/04/12

ゴールデン街の火事

死者が出たわけではない。二~三軒焼けただけなのにトップニュースというのは、ゴールデン街がこれほど狭小のバーや酒場が集中しているところは珍しく昭和時代の遺産として外国人観光客の穴場観光スポットとなっていて、近年その価値が見直されていることによると思うが、猥雑さがあって都市の魅力である以上何があろうと事実上、新宿西口のションベン横丁とともに世界遺産級の観光地になっているので残すべきだろう。

2016/04/11

ニューヨークはトランプリードだが

  先週日刊ゲンダイが乙武が辞退したので、安倍の友達の渡辺喜美氏が出馬する可能性を報じていたが、渡辺喜美氏は公務員に争議権付与が持論なので私は好ましく思わない。安倍が左翼だというのは渡辺喜美を高く評価していることからも明らかなのである。
  ABCジスウィークを見た。9日のコロラドの代議員選出手続きで34人をすべてクルーズが取ったのでブローカーコンベンションBrokered Conventionになる可能性が高まったと報じている。しかし19日のニューヨークのほか、ペンシルべニア、コネチカット、メリーランドなど東部諸州は大差でトランプが優勢、二位はケーシック、クルーズは三位だが、ニューヨークでは勝てそうないくつかの下院選挙区に的を絞って遊説しており、効率よく代議員を獲得する作戦であるという。
 トランプが党大会前に決着をつけるにはインディアナとカリフォルニアで勝たなくてはいけない。
 共和党戦略担当カステラノスは党大会ではトランプもクルーズも共倒れになりうると言っていた。トランプは第二回投票で後退し、トランプが脅威でなくなった時点でクルーズも後退、両者共倒れ塹壕戦のようになるとのこと。。
 半世紀ほどブローカーコンベンションがなかったため大統領候補は党が決めるものということをわかっていない国民がいるようだ。過去の例では第一回投票で最下位だったヘイズが七回目の投票で勝利したこともあるように何が起きるかわからない。

2016/04/10

入手資料整理183

10989北見郵便局懲戒免職事件第一審 札幌地判昭50226判時7713

「郵便局の庁舎は国の行政財産で郵政大臣が管理するものである(国有財産法三条、五条)。そこで、郵政省設置法四条は「郵政省はこの法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有すると定め‥‥庁舎などにおける秩序の維持などを図るため郵政省庁舎管理規程がもうけられ‥‥郵便局長を庁舎管理者と定めている‥‥そして、同規程によると、庁舎管理者の許可なく広告物または、ビラ、ポスター、旗、幕その他これに類するものを掲示または掲出したときは、庁舎管理者は、その撤去を命じこれに応じないときはみずから撤去することができる(六条・一二条)‥‥」

 これは就業規則に必要だ。

 

10990★★★北見郵便局懲戒免職事件控訴審 札幌高判昭54329 判タ397109

 

昭和44年春闘半日ストの実践指導、無断掲出の組合旗撤去作業の妨害、庁内デモ行進中に、管理者を巻き込み傷害を与えたことを理由とする全逓北見支部執行委員長に対する懲戒免職処分を過酷に失し懲戒権の濫用とした第一審を覆し処分を適法とした。

 

ポイント1 公労法171項の「そそのかし、あおり」について具体的に何が該当するかを明示した点

 

定義「共謀」とは二人以上の者が同条一項前段に定める違法行為を行なうため、共同意思のもとに、一体となった互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をすること

 

「そそのかし」とは、同法一項前段に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人むに対し、その行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる慫慂行為をすること

「あおり」とは、右の目的をもって、その行為を実行する決意を生じさせるような、またはすでに生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与えることをいうものと解する。

 

1 ストライキに突入する旨の連絡行為

 共謀にはあたらない

 

2ストライキ実施指令の伝達行為

 あおり、そそのかしに当らない

3ストライキを実施する旨の発言

 あおり、そそのかしに当らない

 

4ストライキ参加者に対する激励の演説

 あおり、そそのかしに該当する

 ストライキ総決起大会自体ストライキ参加予定者のストライキ参加意思を鼓舞し、その闘争意思を堅固にさせる目的で開催され‥‥ストライキ参加者予定者の志気を昂揚、鼓舞し参加意思を強固にするためのもの

 

5ストライキ参加者に対する宿泊待機指示と同宿

 あおり、そそのかしに当らない

6ピケ張りの実践、指導

 ピケ張りの指示は、郵便業務の正常な運営を阻害する行為をあおり、そそのかしたものと認める

7ストライキ参加者に対する隊列行進の誘導

 あおり、そそのかしに該当する

8ジグザグデモ行進の指導と実践

 あおり、そそのかしに該当する

9集会の際のシュプレヒコールの音頭

 右行為は、組合員の団結力を管理者に対して誇示するとともに、本件ストライキに参加した全逓の組合員の志気を鼓舞するものであるから‥‥あおったことに該当する。

 

ポイント2 組合支部執行権が停止されても、支部役員にスト責任がある。

 

 全逓では支部役員にスト責任を負わせないため、支部執行権を停止し中央委員会が派遣する機関役員に権限移譲する方法がとられていたが、この方式でも、支部役員が実際にストを実践指導した場合、その責任は免れないと判示した。

 

「‥‥被控訴人Xは、本件ストライキは直接的には全逓中央執行委員長の指令二三号に基づいて全国統一闘争として行なわれたものであり、その闘争方法等については全国戦術委員会で全逓自身決定したものであり、更に、具体的には中央委員会のスト指令によって北見支部の執行権が停止され、中央委員会が指名する実施責任者のみがストライキ実施の一切の権限と責任を有し、被控訴人Xは、単に右指令や実施責任者の指示により一組合員として当然なすべきことをなしたまで‥‥‥と主張する。

 しかしながら、本件のストライキは、公労法一七条一項前段の禁止する同盟罷業その他業務の正常な運営を阻害する行為である‥‥から、中央執行委員長の指令二三号が違法な行為の指令であったのは明白であるというべく、従って全逓の組合員としては法的にかかる指令に従う義務はなく、またこれに従うべきでもないから、本件ストライキが全国統一闘争として全逓組合の決議に基づき組合の意思として行なわれたものであるとしても、これに参加しこれを積極的に推進し、指導し、もしくは拠点指定を受けた局所において、具体的な実力行使を指示し、組合員を鼓舞した拠点局の支部組合の委員長が違法行為者としての個人責任を免れえるものではないというべく、ただ上部機関の指令に基づいたことにより、その違法行為の責任の評価の軽重の差が生じるにすぎない‥‥」

 

10991 明石郵便局事件 神戸地判昭541213 訴務月報263

 

昭和43425日全逓の賃上げを目的とした半日ストに参加し最低2時間49分~最高3時間59分にわたり欠務した郵政職員に対する減給1ヶ月俸給月額10分の1ないし戒告処分を適法とした。

 

10992 都南自動車教習所事件 横浜地判平730 労判75566

会社側からの三六協定締結拒否が不当労働行為ではないとされた例

 

10993★★河上和雄「施設管理権と組合活動としてのビラ貼付」『季刊公企労研究』411979

国労札幌地本判決の意義について「憲法28条により労働基本権が認められているとはいえ、憲法29条の認める私有財産制との関連で、労働基本権が私有財産を使用しうる権限となるものではなく、契約その他市民法秩序の上で認められているとはいる権限なくしては務労働基本権の行使として意味を持たないことを明らかにした」

 

10994判例寸評『季刊公企労研究』411979

動労釧路地本事件第一審判決釧路地判昭64630 いわゆる遵法闘争

全電通荻窪局懲戒処分事件東京地判昭54914

 

この決まり文句は使える

 

公労法171項が憲法18条又は28条に違反しないこと(東京中郵判決・名古屋中郵判決)、一切の争議行為を禁止し、これに違反して行なわれた争議行為は、刑事法上、民事法上を問わず一律に違法であること。また、公労法31項が171項に違反する労働争議のうちにもなお労組法71項本文の「正当行為」に当るものとそうでないものがあるとする根拠にはならないこと(全逓東北地本判決)

 

争議行為を原因とする懲戒処分において、組合の役職員は、特段の事情がない限りその地位に応じて争議の実現に寄与したものと推認される。

全林野西条営林署事件控訴審判決 大阪高判昭54127、全電通ビラ貼り事件控訴審判決仙台高判昭55124

 

10995木藤繁夫「違法なビラ貼り目的と建造物侵入罪の成否 仙台高裁昭和55318日判決

 

2016/04/05

重ねてヘイトスピーチ対策法案に反対

自民党がヘイトスピーチ対策法案に積極的になった理由は、参院選の争点つぶし(読売)とか、滞っている他の法案の審議を促す国会対策などと報道されている。
 国民の政治的表現権という重い問題を政治の駆け引きの道具として使っているのは納得がいかない。
 本日の朝日新聞朝刊によれば自民党がとりまとめたヘイトスピーチ対策法案は、ヘイトスピーチを「公然と、生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義し、国民「差別的言動の解消の必要性に対する理解」と「差別的言動のない社会の実現」を国民の努力義務とするものだと伝えてい。
 罰則がないとはいえ、私は強く反対である。政治的表現権は人権体系のなかでも、宗教の自由などと並んで最も重要なものであり、それは旧約聖書の預言者がそうであったように時には激烈な言葉をも必要とする。実際、私は反対だが、多くの人が安倍政権に打撃を与え秀逸だと言っている「保育園落ちた」も「死ね」という敵意の表明があるから印象に残るのである。
 したがって私は、正真正銘の強烈な脅迫でもない限り、政治的表現は保護されるべき事柄であり、自らの政治的意見を公衆に伝えるデモ行進も、たんに周囲を不快にさせるようなことで非難されるべき事柄ではないと考える。
 「本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する」という特定の内容を狙い撃ちにしたものだが、表現内容中立的ではないから問題である。
 地域社会から排斥運動というのはしばしばありうるものであって、たとえばオウム真理教もしくはその後継とみなされた団体の道場、施設の排斥運動、ごみ屋敷排斥、火葬場反対、暴力団事務所排斥、村八分、共同絶交行為いろいろあるわけである。オウム排斥運動、暴力団排斥運動はOKだが、外国人排斥運動はアウトというのは平等ではない。この法案が可決すると外国人のコミニティが必要以上に保護される懸念もありうる。ベルギーのようなテロリストの巣くうコミニティもヘイトスピーチは許されないとして保護されるとなると、排斥運動など困難になる。

2016/04/03

自民・公明「ヘイトスピーチ抑止法案」に強く反対

(花見どころじゃない。職場改革に集中的に取り組むため資料整理していたところ、年度末のニュースで大きな問題があったので、とりあえず国政に関して自分の意見をまとめた、自民党などに短縮バージョンの意見を送付した)

 

 NHKなどの報道によるとhttp://irorio.jp/nagasawamaki/20160331/311858/、自民・公明両党は「ヘイトスピーチ」を「公然と、生命や身体、自由や財産などに危害を加えることを告知するなど、日本以外の国や地域の出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義したうえで、原案には「国の施策実施の責務」や「相談体制の整備や教育、啓発活動への取組み要求」、「地方自治体への施策要求」などが盛り込まれており、4月末までにまとめ、今国会での成立を目指すとしている。

 

 罰則規定は設けないとしているが、私は次の3つの理由から強く反対である。

 

1 特定の人を攻撃するものでないデモ行進や政治的表現の抑止、萎縮効果が大きい

 

 威力病務妨害や名誉毀損という市民法秩序に反するということならば処罰はやむをえないとしても、たんに集団誹謗的な表現の規制は特定人を攻撃していない表現活動を抑止することは人権体系でもとくに重要な政治的表現の否定である。レイシズムなどいかに社会的嫌悪されている見解であれ自らの政治的信念を公衆に伝えることは民主主義社会で重要な価値であり、それは断固として守られるべきである。

 今回の与党案でヘイトスピーチの定義がしぼりこまれているとはいえ、明らかに表現のトピック、内容に着目して、特定の団体、あるいは特定の表現活動を抑止しようとするものなので反対なのである。

 たとえヘイトスピーチが言語道断だとしても、それは思想の市場における批判にさらされることで、収束していくべき事柄で、公権力が規制すべきではない。 

 

 なお、学校法人京都朝鮮学園を中傷した街頭宣伝をなした者に対する巨額損害賠償と差止請求を認めた事例として、京都地裁平成25年10月7日判決、大阪高裁平成26年7月8日判決があり、これは同年12月9日の最高裁第三小法廷で上告棄却とされているが、人種差別条約に好意的見解を示しつつも、あくまでも特定の学校の平穏な教育活動を妨害し、名誉を毀損した不法行為にあたるとしたものである。

  控訴審判決は次のようにいう

「人種差別撤廃条約は、国法の一形式として国内法的効力を有するとしても、その規定内容に照らしてみれば、国家の国際責任を規定するとともに、憲法13条、14条1項と同様、公権力と個人との関係を規律するものである。すなわち、本件における被控訴人と控訴人らとの間の私人相互の関係を直接規律するものではなく、私人相互の関係に適用又は類推されるものでもないから,その趣旨は,民法7 0 9条等の個別の規定の解釈適用を通じて,他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解される。したがって,一般に私人の表現行為は憲法211項の表現の自由として保障されるものであるが,私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には,上記発言が,憲法13条,141項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし,合理的理由を欠き,社会的に許容し得る範囲を超えて,他人の法的利益を侵害すると認められるときは,民法7 0 9条にいう「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」との要件を満たすと解すべきであり,これによって生じた損害を加害者に賠償させることを通じて,人種差別を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨を私人間においても実現すべきものである。」としたうえで、在特会側の名誉毀損に当たらないという主張に対し、「発言は被控訴人の関係者や警察官に対する発言であっても、在日朝鮮人をあざけり、日本社会で在日朝鮮人が日本人その他の外国人と共存することを否定する内容であり、本件学校を設置・運営し朝鮮人教育一般文化啓蒙事業を目的とする被控訴人に対して向けられたもの」と述べており、特定の学校法人を標的にして名誉被損があったという認定である。

 

 

2、特定の観点、表現内容に着目した規制こそ脅威、不自由な社会になる

 

 トランプ候補がメキシコ人やイスラム教徒に対する政治的発言が物議を醸しているが、表現内容規制は憲法違反との司法判断が確立しているアメリカならではのこと。報道されているようにトランプ支持者はきれい事や建前をいう政治家に飽きており、ポリティカルコレクトネスにとらわれず心に思っていることを素直に発言したから人気を得ている。私はトランプを支持してないが、そのような候補が出て論戦すること自体は良いことである。

 一方、人種差別表現規制に積極的な欧州はどうだろう。テロリストの巣窟が存在し、排除できない。危機にさらされている。思ったことも言えない社会は、自らの存立基盤も危うくするのである。

 私は、ヘイトスピーチ規制が違憲とされている、アメリカのほうが健全で望ましいと考える。

 アメリカ合衆国の判例理論では、表現内容に中立な時・場所・態様の規制は合理的な理由があれば認められるが、表現内容に着目した規制は厳格司法審査となる。以下の主要な三例でも明らかなように、ヘイトスピーチ規制は、国民の政治的言論を萎縮させ、自由な国家にはふさわしくないのである。

 

() スコーキー村事件イリノイ州最高裁判決(Skokie v. National Socialist Party of America(1978)

 

 シカゴ地域にあるスコーキー村には1974年の時点で約7万人の総人口のうち4万500名がユダヤ系住民であり,ホロコーストを免れた数千人もの生存者が存在した。ナチズムを主張するNSPAがデモの実施を計画した。村はNSPAによる鉤十字等の表示が同村の多数の居住者に対する象徴的な攻撃および暴力・報復の扇動を構成することになるとして,鉤十字がけんか言葉(表現権の保障から除外されている)を構成すると主張し、デモ差止命令請求訴訟を提起したが、イリノイ州最高裁判所は差止命令を認めた控訴審判決を破棄した(Skokie v. National Socialist Party of America, 373 N.E.2d 21, 241978. 連邦最高裁へのサーシオレイライは認められなかった。Skokie v. Collin, 436 US. 953)1978)。「鉤十字の表示は,それが呼び起こしうる記憶と同様に自由な国家にとって不快なものであるが,それを表示する人たちの信念を公衆に伝達することを意図した象徴的な政治的言論である。……その表示は,けんか言葉に該当しないし,事前抑制の重い違憲の推定を覆すために用いることができない。または鉤十字の表示がけんか言葉にはならないが,それにもかかわらず非常に攻撃的で公衆の平穏に脅威を与えるのでその表示を禁止できるとは考えられない。この象徴を見ることがスコーキー村のユダヤ系住民にとって嫌悪感を起こさせること,ナチの迫害の生存者が自己の追憶にさいなまれ,その表示に強烈な感情を抱きうることは疑い得ない。しかしながら,こうした要素が被告の言論の禁止を正当化しないことは,非常に明白である。」と述べた。

 政府がデモ行進の主張に反対だからといって規制するならばそれは全体主義社会であり、これは優れた司法判断であった。

 

() 連邦最高裁セントポール市条例違憲判決、RAV v City Of St Paul,505 US 377(1992)

 

 未成年者の白人数人が黒人家族の住む家の庭に侵入し,そこで十字架を燃やしたことが、「人種、肌の色、信条、宗教、ジェンダー」にもとづく怒りや恐怖をひきおこすことを知りながら、火がついた十字架やナチの鉤十字などの物体等を設置した者を、軽罪として処罰することを定めセントポール市条例に違反するとして逮捕、起訴されたものだが、今年2月に急逝したスカリア判事が法廷意見を執筆し、条例の規制が及ぶ表現はすべて,喧嘩言葉,すなわち問題となる発言を聞いた者が暴力に訴えるといった反応を示す言葉に当たるという。これは1942年チャップリンスキー判決で喧嘩言葉を憲法の保護の埒外としていたものである。にもかかわらず問題の条例は,言論の主題のみに基づいて,そうでなければ許される言論を禁止していることから,文面上違憲であるした。

 社会的に嫌悪される見解をその嫌悪感を理由に禁止することを禁じることが修正一条の根本原理という従来の連邦最高裁の見解をふまえ、人種等の憎悪に基づく表現領域を規制すること自体が違憲であるとしたのである。表現権の到達点ともいえる金字塔的判例である。

 

()連邦最高裁ヴァージニア対ブラック判決Virginia v. Black, 538 U.S. 343 (2003)

 

 この事件は複雑で、個人または集団を畏怖させる意図で十字架を焼却した者は、州法上の第6級重罪として処罰するというヴァージニア州法、KKKの集会が開催された際に、黒人に対する差別的言辞を吐き、高さ10mの十字架を焼却しアメイジンググレースを合唱した件と、白人2人が裏庭での射撃の苦情に対する仕返しとして黒人家庭の庭で十字架を焼却した事件で有罪とされたことが争われたが、十字架の焼却を禁止することを合憲とした。しかしその論理はRAV v City Of St Paul判決を覆すものではなく、内容規制審査を回避して、憎悪のメッセージが、正真正銘の脅迫である場合禁止できるという新しい理論を提供したものである。

 オコナー判事の法廷意見によれば、最高裁の先例によれば喧嘩言葉と、正真正銘の脅迫は憲法によって保護されないとしたうえで、十字架焼却は脅迫の意図を持ってなされた場合,喧嘩言葉ではなく,その「憎悪のシンボル」とされるに至った歴史的経緯に照らして,正真正銘の脅迫(話し手が,犠牲者を身体的危害や死に対する恐怖に置く意図をもって個人又は集団に脅迫を行う場合に,正真正銘の脅迫になる)に該当すると述べ、燃えさかる十字架は必然的に脅迫というメッセージを運ぶものではないが,十字架を燃やす者の意図するところはメッセージの受け手が彼らの生命を危ぶむことにあると述べたのである。特定の人物に向けて十字架を燃やす者は、自己に暴力が及ぶであろう最大限の恐怖を植えつけるもの、最も強烈な形での脅迫だというのである。

 この判決に批判的な意見も多く、十字架の焼却についての歴史的文脈の解釈を誇張しすぎている。十字架の焼却は保護されるべき政治的表現でありKKKの集会は純粋な思想表明にすぎない。表現の自由と脅迫行為との間のバランスをとっていた従来の理論を放棄して、裁判所の恣意が介在する理論に代えたとする批判が妥当である。我が国の憲法学者の小谷順子も違憲とすべきであったとする。

 RAV 事件と異なるのは、ヴァージニア州法に人種の文言がなく、表現中立的な規制とみなされたことであるが、当然スカリア判事は批判している。

 

 

3.憎しみや敵意があるのは普通のことであり、むりやり共生・寛容思想を国民に強要することが間違い

 

 私は当事者でもないのにヘイトスピーチを規制したい人々の安直な世界観に反対なのである。異なる慣習、文化、思想を持つ人々に警戒心をもつのは自然な感情であり悪いことではない。例えば列車で席の隣が外人なら、白人であれ黒人であれ逃げたくなる。世の中、共生・共存・共栄・融和・寛容というきれい事でうまくいくなどとは全然思ってない。満州国の日漢朝満蒙五族協和みたいなスローガンはもはや過去のものにすぎない。むしろ、感情を枠圧させる社会が不健全であり、敵意や憎しみが充満しているのがこの世の中で、それをきれいに水で流せるほど甘いものではない。

 私は外国人に敵意をもつことはないが、同じ国民でも嫌悪する人、敵対者、共生したくない人々はたくさんいる。職場では360度ほぼ敵といってもよい。同じ職場内で敵対的虐待的環境に永くあったから。なおさらである。政治自体が特定階級、特定圧力団体、特定グループに利益分配するようなものになっているから、厚遇されている人々とそうでない人々でいがみあいが起きるのは当然のことであり、それを無理矢理、いがみあいをやめよといっても、憎しみをためこみ鬱屈した不満がふくらむだけである。

 政治家は国民、政治的にこのましいとされる思想で国民を統制しようとしている、それが問題だ。

 

(引用・参考)

小谷順子「米国における表現の自由とヘイトスピーチ規制――VirginiavBlack,123SCt15362003)判決を踏まえた検討」『法政論叢』40(2): 149167 2004

藤井樹也「ヘイト・スピーチの規制と表現の自由――アメリカ連邦最高裁のRAV.判決とBlack判決」『国際公共政策研究』9(2) : 115 2005

榎透「米国におけるヘイト・スピーチ規制の背景」」『専修法学論集』96: 69111 2006

いずれもネットで公開されているもの

 

短縮バージョン

 

自民党宛(600字以内)

 

自民・公明「ヘイトスピーチ抑止法案」に強く反対

 

私は次の理由から強く反対である。

「特定の人を攻撃するものでないデモ行進や政治的表現の抑止、萎縮効果が大きい」

 威力病務妨害や名誉毀損という市民法秩序に反するということならば処罰はやむをえないとしても、たんに集団誹謗的な表現の規制は特定人を攻撃していない表現活動を抑止することは人権体系でもとくに重要な政治的表現の否定である。いかに社会的に嫌悪されている見解であれ自らの政治的信念を公衆に伝えることは民主主義社会で重要な価値であり、それは断固として守られるべきである。

 今回の与党案は表現のトピック、内容に着目して、特定の団体、あるいは特定の表現活動を抑止しようとするものなので反対なのである。

 たとえヘイトスピーチが言語道断だとしても、それは思想の市場における批判にさらされることで、収束していくべき事柄で、公権力が規制すべきではない。 

 なお、学校法人京都朝鮮学園を中傷した街頭宣伝をなした者に対する巨額損害賠償と差止請求を認めた事例があるが、人種差別条約に好意的見解が示しつつも、特定の学校の平穏な教育活動を妨害し、名誉を毀損した不法行為にあたるとしたものである。

  また私は、ヘイトスピーチ規制が違憲とされている、米国が健全で望ましいと考える。

 

 

首相官邸宛(内容2000)

 

自民・公明「ヘイトスピーチ抑止法案」に強く反対

 

1 特定の人を攻撃するものでないデモ行進や政治的表現の抑止、萎縮効果が大きい

 

 威力病務妨害や名誉毀損という市民法秩序に反するということならば処罰はやむをえないとしても、たんに集団誹謗的な表現の規制は特定人を攻撃していない表現活動を抑止することは人権体系でもとくに重要な政治的表現の否定である。社会的に嫌悪されている見解であれ自らの政治的信念を公衆に伝えることは民主主義社会で重要な価値であり、それは断固として守られるべきである。

 今回の与党案では、明らかに表現のトピック、内容に着目して、特定の団体、特定の表現活動を抑止するものなので反対である。

 言語道断な発言でも、それは思想の市場における批判にさらされることで、収束していくべき事柄で、公権力が規制すべきではない。 

 

 なお、学校法人京都朝鮮学園を中傷した街頭宣伝をなした者に対する巨損害賠償と差止請求を認めた事例として、大阪高裁26年7月8日判決があり、上告棄却とされているが、人種差別条約に好意的見解を示しつつも、あくまでも特定の学校の平穏な教育活動を妨害し、名誉を毀損した不法行為にあたるとしたものである。

  

 控訴審は「発言は被控訴人の関係者や警察官に対する発言であっても‥‥被控訴人に対して向けられたもの」と述べており、特定の学校法人を標的にして名誉被損があったという認定である。

 

 

2 特定の観点、表現内容に着目した規制こそ脅威、不自由な社会になる

 

 トランプ候補の発言が物議を醸しているが、トランプ支持者はポリティカルコレクトネスにとらわれず率直な発言をすることから人気を得ている。一方、人種差別表現規制に積極的な欧州はどうだろう。テロリストの巣窟が存在し、排除できず危機にさらされている。思ったことも言えない社会は、自らの存立基盤も危うくするのである。

 私は、ヘイトスピーチ規制が違憲とされている、米国のほうが健全で望ましいと考える。

 合衆国の判例理論では、表現内容に中立な時・場所・態様の規制は合理的な理由があれば認められるが、表現内容に着目した規制は厳格司法審査となる。以下の主要な判例でも明らかだ。

 

() スコーキー村事件イリノイ州最高裁判決(Skokie v. National Socialist Party of America(1978)

 

 スコーキー村には1974年の時点で約7万人のうち約4万人がユダヤ系住民であったが、ナチズムを主張するNSPAがデモ実施を計画した。村はデモ差止命令請求訴訟を提起したが、イリノイ州最高裁判所は差止命令を認めた控訴審判決を破棄した「鉤十字の表示は,‥‥それを表示する人たちの信念を公衆に伝達することを意図した象徴的な政治的言論である。……その表示は,喧嘩言葉に該当しないし‥‥それにもかかわらず非常に攻撃的で公衆の平穏に脅威を与えるのでその表示を禁止できるとは考えられない。この象徴を見ることがスコーキー村のユダヤ系住民にとって嫌悪感を起こさせること‥‥は疑い得ない。しかしながら,こうした要素が被告の言論の禁止を正当化しないことは,非常に明白である。」と述べた。

 これは優れた司法判断であった。

 

() 連邦最高裁セントポール市条例違憲判決、RAV v City Of St Paul,505 US 377(1992)

 

 未成年者の白人数人が黒人家族の住む家の庭に侵入し,そこで十字架を燃やしたことが、「人種、肌の色、信条、宗教、ジェンダー´・にもとづく怒りや恐怖をひきおこすことを知りながら、火がついた十字架やナチの鉤十字などの物体等を設置した者を、軽罪として処罰するとしたセントポール市条例に違反するとして逮捕、起訴されたものだが、スカリア判事が法廷意見を執筆し、問題の条例は,言論の主題のみに基づいて,そうでなければ許される言論を禁止していることから,文面上違憲であるとした。

 社会的に嫌悪される見解をその嫌悪感を理由に禁止することを禁じることが修正一条の根本原理という従来の連邦最高裁の見解をふまえ、人種等の憎悪に基づく表現領域を規制すること自体が違憲であるとしたのである。表現権の到達点ともいえる判例である。なお、十字架の焼却についてはVirginia v. Black, 538 U.S. 343 (2003)のオコーナー法廷意見が特定の人物に向けて十字架を燃やす者は、自己に暴力が及ぶであろう最大限の恐怖を植えつけるもの、最も強烈な形での脅迫だとして、禁止を合憲としているが、それは表現中立的な規制だったとされRAV v City Of St Paulの判例は維持されている。 

 

 

3.憎しみや敵意があるのは普通のことであり、むりやり共生・寛容思想を国民に強要することが間違い

 

 

法務省宛(題も含めて2000)

 

「ヘイトスピーチ抑止法案」に反対

1 特定の人を攻撃するものでないデモ行進や政治的表現の抑止、萎縮効果が大きい

 

 威力病務妨害や名誉毀損という市民法秩序に反するということならば処罰はやむをえないとしても、たんに集団誹謗的な表現の規制は特定人を攻撃していない表現活動を抑止することは人権体系でもとくに重要な政治的表現の否定である。社会的に嫌悪されている見解であれ自らの政治的信念を公衆に伝えることは民主主義社会で重要な価値であり、それは断固として守られるべきである。

 今回の与党案では、明らかに表現のトピック、内容に着目して、特定の団体、特定の表現活動を抑止するものなので反対である。

 仮に言語道断な発言でも、それは思想の市場における批判にさらされることで、収束していくべき事柄で、公権力が規制すべきではない。

 

 なお、学校法人京都朝鮮学園を中傷した街頭宣伝をなした者に対する巨損害賠償と差止請求を認めた事例として、大阪高裁26年7月8日判決があり、上告棄却とされているが、人種差別条約に好意的見解を示しつつも、あくまでも特定の学校の平穏な教育活動を妨害し、名誉を毀損した不法行為にあたるとしたものである。

  

 

2 特定の観点、表現内容に着目した規制こそ脅威、不自由な社会になる

 

 トランプ候補の発言が物議を醸しているが、トランプ支持者はポリティカルコレクトネスにとらわれず率直な発言をすることから人気を得ている。一方、人種差別表現規制に積極的な欧州はどうだろう。テロリストの巣窟が存在し、排除できず危機にさらされている。思ったことも言えない社会は、自らの存立基盤も危うくするのである。

 私は、ヘイトスピーチ規制が違憲とされている、米国のほうが健全で望ましいと考える。

 合衆国の判例理論では、表現内容に中立な時・場所・態様の規制は合理的な理由があれば認められるが、表現内容に着目した規制は厳格司法審査となる。以下の主要な判例でも明らかだ。

 

() スコーキー村事件イリノイ州最高裁判決(Skokie v. National Socialist Party of America(1978)

 

 スコーキー村には1974年の時点で約7万人のうち約4万人がユダヤ系住民であったが、ナチズムを主張するNSPAがデモ実施を計画した。村はデモ差止命令請求訴訟を提起したが、イリノイ州最高裁判所は差止命令を認めた控訴審判決を破棄した「鉤十字の表示は,‥‥それを表示する人たちの信念を公衆に伝達することを意図した象徴的な政治的言論である。……その表示は,喧嘩言葉に該当しないし‥‥それにもかかわらず非常に攻撃的で公衆の平穏に脅威を与えるのでその表示を禁止できるとは考えられない。この象徴を見ることがスコーキー村のユダヤ系住民にとって嫌悪感を起こさせること‥‥は疑い得ない。しかしながら,こうした要素が被告の言論の禁止を正当化しないことは,非常に明白である。」と述べた。

 これは優れた司法判断であった。

 

() 連邦最高裁セントポール市条例違憲判決、RAV v City Of St Paul,505 US 377(1992)

 

 未成年者の白人数人が黒人家族の住む家の庭に侵入し,そこで十字架を燃やしたことが、「人種、肌の色、信条、宗教、ジェンダー´・にもとづく怒りや恐怖をひきおこすことを知りながら、火がついた十字架やナチの鉤十字などの物体等を設置した者を、軽罪として処罰するとしたセントポール市条例に違反するとして逮捕、起訴されたものだが、スカリア判事が法廷意見を執筆し、問題の条例は,言論の主題のみに基づいて,そうでなければ許される言論を禁止していることから,文面上違憲であるとした。

 社会的に嫌悪される見解をその嫌悪感を理由に禁止することを禁じることが修正一条の根本原理という従来の連邦最高裁の見解をふまえ、人種等の憎悪に基づく表現領域を規制すること自体が違憲であるとしたのである。表現権の到達点ともいえる判例である。なお、十字架の焼却についてはVirginia v. Black, 538 U.S. 343 (2003)のオコーナー法廷意見が特定の人物に向けて十字架を燃やす者は、自己に暴力が及ぶであろう最大限の恐怖を植えつけるもの、最も強烈な形での脅迫だとして、禁止を合憲としているが、それは表現中立的な規制だったとされRAV v City Of St Paulの判例は維持されている。 

 

 

3 むりやり共生・寛容思想を国民に強要することが間違い

 

 

 

 

 

 

 

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