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2016/05/03

入手資料整理185

(テーマは公務員の争議行為)

11041山口浩一郎「争議行為法の再定義」ジュリスト441号

 違法な争議行為が行われた場合、誰にいかなる法的責任が生ずるかついての個人責任否定説 私は当然反対である。

 

11042佐藤昭夫「公労法違反の争議行為とピケッティング-横浜郵便局事件-」ジュリスト482号

 

 昭和33年春闘において全逓横浜郵便局支部が全逓中央の指令に反し、勤務時間にくいこむ2時間の職場大会開催を違法行為であるとして拒否し幹部が総辞職した。このため臨時闘争司令部が組織され中央の指令を確認し、神奈川県地評の支援を要請、同地評傘下の組合員約200名が郵便局通用門前の道路上でピケを張り、局員の就労を妨げたため、郵便局長の要請で機動隊が出動し、ピケ隊が警告に応じず、実力で排除する引き抜きを行ったため、激しい揉み合いとなり、ピケ隊2名(神奈川県地方労働組合評議会事務局員兼日本共産党神奈川県委員会労働組合部委員の1名と日本鋼管川崎製鉄所労働組合員1名)が機動隊員に足蹴り等の暴行を働いたため公務執行妨害に問われた事件で、控訴審東京高裁41826日判決は、全逓のような国が経営する公共企業体の職員で組織される労働組合は公労法171項により争議行為が禁止されているのであるから、本件争議行為、したがってその手段たるピケッテイングが一般の企業と異なり、それ自体違法な行為であり、威力業務妨害罪を構成するという前提に立ち、警察官のピケ隊排除は現行犯たる威力業務妨害行為に対する鎮圧行為として適法であり有罪としたが、上告審判決は8対6で破棄差し戻しとした。

 その理由は原判決が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に対しては、労働組合一条二項[刑事免責]の適用がないと判示した(つまり「公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為についての正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがって労働組合法一条項の適用はないものと解するのが相当である」)国鉄檜山丸事件最二小判昭38315刑集17-2-23判タ142号に依拠するものであるが、檜山丸事件判決は、東京中郵事件最大判昭41・10・26が公労法違反の争議行為にも労働組合法一条二項の適用がある解すべきと判例変更したため、ただちに本件ピケッティングを違法であるとした法令解釈は誤りとするものであるとした。

 プロレイバーの佐藤昭夫の解説は、札幌市労連事件(最三小判昭45・6・23乗客のいない車庫内で市電の進行を約30分阻止したピケッティングを正当とした)を中郵判決以来の労働基本権尊重の精神を反映したであり、地公労法違反の争議行為もすくなくとも刑事責任に関しては、一般民間労働者の場合と同一の法理によることを示したと評価したうえで、本判決は同判決の考え方を公労法関係でも大法廷として確認したものとし、ピケが適法になりうることを認めたものだとしている。

 しかしながら本件は差戻後控訴審東京高裁判決昭47・10・20労判822号において 中郵判決の枠組みに依拠して公企体職員の争議を可罰的違法性なしとしながら、本件ピッティングは相当限度を越えた違法があるとして威力業務妨害罪の成立を認め、2名にを禁固二年執行猶予一年と有罪を言い渡している。

 差戻後控訴審の中野次雄判事(後に大阪高裁長官)は単純不作為の罷業である全逓東京中郵事件では刑事免責されても、積極的な就労妨害は、刑事免責されないという解釈によって有罪判決を下したのである。札幌市労連事件最高裁判決の松本正雄反対意見の趣旨も踏まえており、最高裁がいずれ東京中郵判決を判例変更するだろうということを予見したうえでの判断とみられている。

 

 差戻後上告審最一小決昭49・7・4は、国労久留米駅事件最大判昭48・4・25刑集27-3-418を引用し上告を棄却しているのであって、全逓組合員が、郵便局の入口にピケッティングを張り、同局職員の入局を阻止して職務に就かせず、国の郵便局業務を妨害したときは、威力業務妨害罪が成立すること、公共企業体等職員の労働争議の際のピケッティングが違法であるとして、これを鎮圧排除しようとした警察官の実力行使に対してなされた暴行が公務執行妨害罪を構成することを判示したる

 地公労法適用職場において、ピケッティングを正当とした札幌市労連事件最高裁判決は、東京中郵事件大法廷判決が示した「公労法31項は公労法171項違反の禁止に違反する争議行為全体又は争議行為に随伴して生じる犯罪構成要件に該当する行為についての労組法1条2項(刑事免責)が適用を排除しないという解釈」(10404前田から引用)に依拠しているが、この判断は、全逓名古屋中郵事件大法廷判決昭5254によって判例変更されていること、更に久留米駅事件判決が可罰的違法論の安易な適用を実質否定する判断枠組みをとったことにより、実務的に可罰的違法性論による無罪という判決が消え去ることとなったため、実質先例としては否定されたものと解してよいと考える。

 

11043 前田雅英「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』551号 1984年

 

日本鉄工所事件の評釈だが、可罰的違法性を欠くとして無罪 とした判例は130件あるというが、日本鉄工所労組事件以降、ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去ったが、実質的に考察して構成要件に該当しないというかたちで無罪とした判例はこれ昭和50年代においてもあると説明。

 最高裁は実質的違法性阻却事由を理論として否定したことは一度もなく、久留米駅事件方式を実質的違法性判断という言い方をしている。

 光文社事件を軽微な事件と説明し、こちらの方も連行距離のみみれば不可罰という言い方をしている。

11044 前田雅英「いわゆるピケッティング等によって旅客列車の発進を一時不能ならしめる行為と威力業務妨害罪の成否(最決昭和49.7.16)  『警察研究』489号 1977

動労尾久駅事件の評釈

11045 保原喜志夫「地方公営企業の争議におけるピケの正当性--札幌市電スト事件」『季刊労働法』78号 204号 1970

 本件は、地公労法11条違反の争議行為であっても、労組法12項の適用があると判示した判例であるが52の判決である。地公労法違反の刑事事件はこれ以降ないため、明示的には判例変更されていないなどいうのは詭弁であって、全逓名古屋中郵事件大法廷判決で、公労法171項違反の争議行為は労組法12項は適用されないとしていることから、今日では先例としての意味をもたないものと理解してよい。名古屋中郵判決は国労久留米駅事件方式を補強する意味もあるから、威力業務妨害罪とみなしてよい事案なのである。

 判旨はピケの目的について争議脱落組合員の就業を阻止して、組合の団結がみだされ同盟罷業の実行性が失われるのを防ぐため」としているが、検察側上告理由はつぎのように反論している。地方公営企業の職員は地公労法11条により争議行為を禁じられているから。本件スト指令は違法であり、組合員を拘束しない。従って、市当局の業務命令は適法であり、職員はこれに服従する義務を負う。それゆえこれらの者を一般民間労組における争議脱落者と同視することはできない。

 この論点は、松本正雄裁判官の反対意見でも「本件争議行為は、地方公営企業労働関係法上の地方公営企業に対するものであるから、職員の争議行為は禁止せられた違法な行為であって、これに違反した職員は解雇せられることがある(同法一二条)のである。したがつて、争議から脱落し、業務に従事しようとする組合員個人の自由意思は特に尊重せられてしかるべきである。自らの意思で争議行為に参加しない組合員個人の意思および行動の自由までを実力をもつて拘束し、その就業を全く不可能にすることは、組合といえども許されるべきではない」と述べられ、この趣旨は以下の判例で組合の違法争議行為指令は組合員を拘束しないという内部統制否定の法理が示されている。

①全逓横浜中郵事件差戻後控訴審 東京高裁昭47.10.20判決 判時68951P 判タ283120P 労判164号29P 労働法律旬報822(差戻後上告審-最一小昭49.7.4決定棄却 判時748号26P)

 ②動労糸崎駅事件控訴審  広島高裁昭48.8.30判決 刑事裁判月報5巻8号1189P 判タ300号 労判184号(上告審-最一小昭51.4.1決定棄却 刑事裁判資料230号215P)

③国労岡山操車場駅・糸崎駅事件控訴審 広島高裁昭48.9.13判決 刑事裁判月報5-9-1958、判タ301号、労判187号、判時727号(上告審-データベースから発見できず)

④動労鳥栖駅事件控訴審 福岡高裁昭49・5・25判決 判タ311号97P 判時77011P(上告審-最三小昭50.11.21決定棄却 判時801101P)

⑤国労東和歌山駅事件控訴審 大阪高裁昭50.9.19判決 刑事裁判月報7巻9-10合併号826P(上告審-データベースから発見できず)

⑥国労広島地本事件上告審 最三小昭50・11・28判決 民集29巻10号1634P 判時時報798号3P、判タ30号201P 

 したがって札幌市労連判決は今日においては否定されているものと理解すべきである。

11046籾井常喜「組織決定に基づく休暇闘争の指令・指導と地公法六一条四号の煽動罪 都教組事件 東京高裁」『季刊労働法』60号 162号 1966

11047★片岡曻「公務員の争議行為と懲戒処分」『季刊労働法』73号 193号 1969

 

個人責任を否定する学説

争議行為について許容的な判決(のちに判例変更)の444.2都教組事件大法廷判決は「地方公務員の具体的行為が禁止の対象たる争議行為に該当するかどうかは、争議行為を禁止することによって保護しようとする法益と、労働基本権を尊重し保障することによって実現しようとする法益との比較較量により、両者の要請を適切に調整する見地から判断するが必要である。そして、その結果は、地方公務員の行為が地公法三七条一項の禁止する争議行為に該当し、しかも違法性の強い場合も勿論あるだろうが、争議行為の態様からいって、違法性の比較的弱い場合もあり、また実質的には、右条項にいう争議行為に該当しないと判断すべき場合もあるだろう‥‥‥地方公務員のする争議についてはそれが、違法な行為である場合に、公務員としての義務違反を理由として、当該職員を懲戒処分の対象者とし、またはその職員に民事上の責任を負わせることはもとよりありうるむべきところであるが、争議行為をしたことそのことを理由として刑事制裁を科することは、同法の認めないところ」と判示した。

 この判示より得られることは、片岡より引用「地方公務員の争議行為には、実質的に地公法三七条一項に禁止する争議行為に該当しない場合-したがって違法性のない場合-があり‥‥」「官公労働者の争議権の実質な確立の上に最初の発展段階を画した」と評価。もちろん私は反対である。

 

11048室井力「公務員の戒告と昇給延伸」『法学セミナー』1970年6月

11049蓼沼謙一「「正当」争議行為のいわゆる免責とくに民事免責の意味について」『季刊公企労研究』28号 8巻1号 1958

「正当」な争議行為については、労働者が刑事責任を問われたり、労働者又は労働組合が民事責任を追及されない。これを民刑免責という。

 法規により争議行為を全面的に禁止されている公務員、公共企業体等職員、地方公営企業体職員(国家公務員法98条5項、地方公務員法37条1項、公労法17条1項、地公労法11条1項)が挙げられ、これらの者の争議行為は、その目的手段における合法性を論ずるまでもなく、当然に違法であり刑事・民事の免責は認められない。という学説を批判。

 

10050 柳原瑛(自治省公務員第二課)「札幌市公平委員会採決とその問題点」『地方公務員月報』92号1971年3月

職務命令の記述が重要に思えた。10065も参照

「一般に上司の職務上の命令に対し、服従義務があるのは当然のことである。明らかに違法な命令の場合はこれを挙措しても違法性は生じないが、そうでない場合は、たとえ正当な命令が疑わしい場合であっても、一応合法の推定を受け、部下には命令の審査権はないから、それを拒否することは服従義務違反を構成する」したがって当局が組合を憚って業務命令をしないというのははじめから懲戒処分にしないことを意味している。

「職務専念義務違反の面からは、同義務の違反行為は、職務を怠ったという事実の発生によりただちに成立するのであり、違反行為の結果、正常な運営を阻害されたということは要件ではない」つまり決起集会の三割動員などの職場離脱による実害が小さいとしてもそれは問題ではない。

10051菅野悠紀夫(自治省公務員第一課)「公務員の懲戒についての諸問題」『地方公務員月報』951971年6月

 都教組判決を受けてのもの。

 プロレイバー学説に掣肘されて企画指導した機関責任だけを問い、現場での争議行為指導者、率先助勢者等を懲戒処分の対象にしないというのはおかしいという問題意識があるため、自治省担当者の見解なので引用する。

 そもそも争議行為に懲戒責任を問えないという室井力説(「公務員の懲戒処分」ジュリスト472号)に反論して私企業の争議行為でも賛成しえないとして、「もともと労働者は労働契約によって労務の提供の義務を負っており、これは、争議行為が行われているときにおいても基本的にはその義務を免れることができない。ただ正当な争議行為の場合には刑事および民事上の責任を問いえないよう立法上措置されているだけである。

 したがって違法な争議行為が行われた場合には、刑事及び民事上の責任を問うことができ、また企業秩序に違反したとして懲戒に付すことも可能」

 争議行為が組合の統一的意思のもとに組織されていることから、争議行為が違法である場合であっても、当該争議行為が集団的性格を有するという事実に変わりはないのであるから個々の組合員の行為を法律的評価の対象とすることはできないというプロレイバー学説(室井前掲論文、「官公労働者の懲戒処分をめぐって」座談会)に対しては、「この主張の正当性についてはきわめて疑問である。なぜなら、地方公務員法第三七条一項の規定は、職員の争議行為を禁止しているのであって、この規定の趣旨は、団体的に行われる争議行為を組成する個々の職員の行為を違法のものと評価して、これを禁じていると解せざるをえないからである。この場合において、争議行為が事実上集団的性格を有するとしても、その集団的な行為を組成する職員の行為が存在するのであるから、争議行為が集団的性格をもつということを理由に、個々の職員の行為について、法律の規定に基づいて懲戒責任を問うことを妨げるべき理由は全くない。」この文章など使えるものが多い。ちなみに地公労法11条1項は「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない‥‥」となっており同じことである。

 昭和46年の雰囲気が良く残っている論文だが、今日でも価値がある。

 

10052萩沢清彦「操業の事由」『ジュリスト』3001964

10053橋詰洋三「時間内・外職場大会」『季刊労働法』75

10054坂本重雄「争議調整制度」

10055宮内裕「争議行為の刑事免責と最高裁-ピケットを中心として-」『季刊労働法』29号1958

10056山本博「公労協労働組合の争議行為と民事責任-公労法一八条を中心として-」『季刊労働法』74号1969

10057花見忠「ビラ貼り行為の限界と刑事責任 全電通東海地本上告事件」『季刊労働法』611966

10058平野毅「時間外労働拒否と不当労働行為 東水労事件」『季刊労働法』61196610059峯村光郎「公労法一七条違反の争議行為と刑事免責 全逓中郵事件」」『季刊労働法』621966

10060佐伯千仭(さえき ちひろ)可罰的違法性の理論の擁護(下)」『法学セミナー』19705月号

 全逓中郵判決の可罰的違法の肝といえる論理は、単純不作為の罷業は債務不履行の問題で刑罰になじまないという説明、わが国には英米法の共謀罪の伝統がないので、理解できないことはないこの趣旨は全逓名古屋中郵判決でも生かされている。

 

10061広政順一「アメリカにおけるショップ制思想の変遷」『季刊労働法』291958

10062山本博「現行公務員法制の崩壊現象とその展望」『季刊労働法』80号 1971

10063有泉亨「物語労働法 第二話 団結権の法認」『法学セミナー』19705月号

10064有泉亨「物語労働法 第三話 争議行為の禁圧」『法学セミナー』19706月号

10065有吉保久(自治省公務員一課)「三六協定に基づく労働協約(就業規則)がある場合、第三者のための選挙運動を理由とする残業拒否が懲戒事由に該当するとした例」 横浜地裁川崎支部判昭45126の評釈『地方公務員月報』951971

「公務員の場合には、上司の職務命令を遵守することは法定の義務とされており(地方公務員法32)重大かつ明白な瑕疵がない限り職務命令は適法性の推定を受け、受命公務員を拘束するものと解されているのでこれらの説を受け容れる余地はない。むしろ三六協定が結ばれていない場合といえども使用者がそのことによって労働基準法の責を負うことはともかく、発せられた時間外の勤務は有効であり、当該命令を受けた職員を拘束するものと解されている。ただし、これに反する趣旨の判例東京地裁昭401227東京都水道局地位確認訴訟)、本誌昭和413月号所収もみられる。

10066「昭和四五年中における地方公務員の争議行為の概要」『地方公務員月報』921971

10067花田政道「裁判官の「政治的中立性」-裁判官の青法協加入問題について-」『法学セミナー』19706月 

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