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2016/06/12

入手資料整理188

10090 国労久留米駅事件差戻後控訴審福岡高判昭52・10・25判時884号
 久留米駅事件方式という判断基準で著名な大法廷判決の差戻後高裁判決である。。
 事案はマスピケ事犯で、国労門司地本は、年度末手当増額支給等のため昭和37年3月31日に指令職場(八幡駅及び久留米駅)で勤務時間内し2時間の職場集会を実施することとし、組合員に動員を指令した。
 3月30日、久留米駅長の禁止に反し国労組合員40~50名が久留米駅東て子扱所に立入り、2階信号所に通じる階段でピケットの配置についたため立錐の余地のなく占拠される状態となった。
 同扱所は、列車の正常かつ安全な運行を確保するうえで重要な施設であり、駅長は主席助役を赴かせ、携帯マイクでピケットの退去を要求した。又、国鉄当局現地対策本部(本部長は門司鉄道管理局営業部長)の命を受けた鳥栖公安室長は、退去に応じないときは鉄道公安職員によって実力で排除する旨の警告を行ったが自発的に退去しなかったため、30日午後8時20分頃鉄道公安職員約60名に実力で排除するよう命じた
 被告人3名の国労役員は、禁止されている東て子扱所に立入り、国労組合員数名と共謀のうえの職務執行中の鉄道公安員に対し2階信号所の窓からバケツや洗面器に入れた水を浴びせる暴行を行ったことが、建造物侵入罪、公務執行妨害罪に当たるかというものである。
 原判決の一審福岡地裁久留米支部判決昭41・12・14は被告人3人について建造物侵入について有罪(共同正犯、刑法130条、60条)としたが、公務執行妨害については、鉄道公安職員が法律上許容された限度を超えた著しく強度の実力を用いたため、職務執行行為が違法として無罪の判決を下した。
 旧第二審福岡高裁昭43・3・26は、昭和41年の全逓東京中郵判決における公労法17条違反の争議行為につき争議行為につき「政治目的のためにおこなわれ行われた場合、暴力を伴う場合、社会通念上不当に長期に及ぶなど国民生活に重大な障害をもたらす場合には正当性の限界を超えるものとして刑事制裁を免れない」という基準に従い、本件争議行為は不当性を伴うものではなく、刑事制裁の対象にならない場合にあたるとし、東て子扱所への被告人の立入りも、その他国労組合員による侵入占拠も、違法又は不当視できない争議行為の一環として行われたもので、建造物侵入を無罪、鉄道公安職員に水を浴びせたことも暴行とはいえないとして、公務執行妨害も無罪として、一審の有罪部分を破棄した。
 上告審、最大判昭48・4・25刑集27-3-419は破棄差戻(多数意見8、諸反対意見5)
(判旨)
(建造物侵入罪について)
 「被告人ら三名は、いずれも管理者たる○駅長の禁止を無視して‥‥それぞれ信号所に立ち入つたものであるから、いずれも人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入したものといわなければならない。ところで、勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならないのである。これを本件について見るに、信号所は、いうまでもなく、列車の正常かつ安全な運行を確保するうえで極めて重要な施設であるところ‥‥被告人○は、当局側の警告を無視し、勧誘、説得のためであるとはいえ、前記のような状況のもとに、かかる重要施設である久留米駅東てこ扱所二階の信号所の勤務員三名をして、寸時もおろそかにできないその勤務を放棄させ、勤務時間内の職場集会に参加させる意図をもつて、あえて同駅長の禁止に反して同信号所に侵入したものであり、また、被告人○および同○は、労働組合員ら多数が同信号所を占拠し、同所に対する久留米駅長の管理を事実上排除した際に、これに加わり、それぞれ同所に侵入したものであつて、このような被告人ら三名の各侵入行為は、いずれも刑法上違法性を欠くものでないことが明らかであり、また、このように解して被告人ら三名の刑事責任を問うことは、なんら憲法二八条に違反するものではない」
(公務執行妨害罪について)
「鉄道公安職員は、必要最少限度の強制力の行使として、信号所階段、その付近、同所内にいる労働組合員らに対し、拡声器等により自発的な退去を促し、もしこれに応じないときは、階段の手すりにしがみつき、あるいはたがいに腕を組む等して居すわつている者に対し、手や腕を取つてこれをほどき、身体に手をかけて引き、あるいは押し、必要な場合にはこれをかかえ上げる等して階段から引きおろし、これが実効を収めるために必要な限度で階段下から適当な場所まで腕をとつて連行する等の行為をもなしうるものと解すべきであり、また、このような行為が必要最少限度のものかどうかは、労働組合員らの抵抗の状況等の具体的事情を考慮して決定すべきものである。
 このような法令解釈のもとに本件の状況を見るに‥‥鉄道公安職員らは、再三にわたつて労働組合員らの退去を促し、退去の機会を与えたが、これに応じなかつたため、やむなく、労働組合員らの手を取り、引張る等、実力を用いて排除にかかつたというのであり、さらに、記録によれば、被告人らが前記のように二回にわたる実力行使の際に鉄道公安職員らに対しバケツで水を浴びせかけたのは、単に数杯の水を浴びせかけたというものではなく、原判決も一部認めているように、寒夜それぞれ数十杯の水を浴びせかけ、そのため鉄道公安職員らのほとんどが着衣を濡らし、中には下着まで浸みとおつて寒さのため身ぶるいしながら職務に従事した者もあり、ことに第二回の投水の際には石炭がらや尿を混じた汚水な浴びせかけたというものであつたこと、また、右排除行動にあたつて負傷者が出たのは単に原判決の認めるような労働組合側の者だけではなく、労働組合員らの抵抗等により鉄道公安職員側にも負傷者が出たことがうかがわれるのである。‥‥鉄道公安職員らの本件実力行使は必要最少限度の範囲内にあつたものと認める余地があり、もしそのように認められるとすれば、鉄道公安職員らの排除行為は、適法な職務の執行であり、これを妨げるため二階信号所から鉄道公安職員らに対しバケツで水を浴びせかけた被告人らの所為は、公務執行妨害罪を構成するものと解されるのである。」
 差戻後控訴審福岡高判昭52・10・25は、一審の判断一部破棄、一部棄却。
 被告人3人の建造物侵入を有罪とする一審の判断を維持したうえ、一審では無罪だった公務執行妨害について、鉄道公安職員による本件強制力の行使はかなり強度のものというべきであるが、組合員らとの抵抗との関連における相対的な力として動的に観察すると、一方的に強力なものではなく、むしろ必要最小限のものであったと認めるのが相当であり、適法な職務執行と認むべきとして、被告人のうち2名は、職務執行中の鉄道公安員に対し、2階信号所窓から、数十回にわたりバケツなどで水を浴びせかける暴行を行ったとして、懲役三月(執行猶予二年)と判決し、1名は水かけ行為をしていないとして控訴棄却した。
 10091 香城敏麿 国鉄松山駅事件(最二小判昭53・3・3刑集32-2-159)調査官解説
 被告人Aは国労四国地本執行委員長、Bは四国地本書記長、Cは四国地本執行委員であるところ国労組合数百名と意思を通じ、昭和37年3月31日午前3時40分から約2時間にわたり、松山駅構内での列車の運行を阻止するため、組合員数百名を指揮し、上り2番線路上に機関士甲が乗り込んで発車すへく待機中の準急列車の前方線路上に集合して立ち塞がり、再三の立退き要求にも応じず、27分間乗務員による発進を不能にした。
 一審松山地判昭43・3・26、被告人らの行為は威力業務妨害罪に該当するとしつつも東京中郵判決に示したところに従い、公労法17条1項違反の争議行為であっても労組法1条2項の適用であり、本件行為は刑事制裁を加えなければならないほどの反社会性を有しないので違法性を欠くとし無罪。
 原審(控訴審)高松高裁46・3・26も一審の判断を是認した。
 上告審判決は破棄自判、威力業務妨害罪、共同正犯(234条、233条、60条)
 (判旨)
「原判決及び第一審判決は、いずれも東京中郵事件判決に示されたところに従い、公労法一七条一項違反の争議行為であつても労組法一条二項の適用を受けるものと解したうえ、被告人らの行為は違法性を欠くものと判断しているのであるが、その後、当裁判所は、名古屋中郵事件判決(‥五二年五月四日大法廷判決‥‥)において、右判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為については労組法一条二項の適用がない旨の新しい見解を示した。そこで、‥‥新しい見解のもとで右各判決の判断が維持されるか否かを検討する。
 原判決‥認定した前記事実は、威力業務妨害罪の構成要件に該当し、かつ、公労法一七条一項に違反する争議行為であるから、他に特段の違法性阻却事由が存在しない限り、その刑法上の違法性を肯定すべきものである。そして、原判決が違法性阻却を認めるうえで根拠とした諸事情は、犯情として考慮しうるにとどまり、右の特段の違法性阻却事由にあたるものとは解されず、他に法秩序全体の見地からみて本件行為の違法性を否定すべき事由は認められない。‥」名古屋中郵事件方式の判断基準により有罪とした判例といえる。
 香城敏麿が名古屋中郵判決の要点を3点にまとめている。簡潔明快なので使える。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
 本件はこの基準の(イ)に当たると説明されている。
11091 松本光雄 国鉄南延岡機関区事件(最一小判昭53・6・29刑集32-4-759)調査官解説
 事案は動労西部地評事務局長A、動労大分地本執行委員長B、動労大分地本副委員長Cは、大幅賃上げ、合理化反対、最低賃金制確立、スト権奪還等を目的として昭和40年3月17日に時限ストを分頃までの行った際、その主張を貫徹させるため列車の運行を阻止しようと企て、動労組合員約500名と意思を通じて、同日6時24分から同7時15間、南延岡機関区入出区4番線付近で、発進予定の機関車の側面でスクラムを組み、之に乗車しようとした機関士甲外1名に「裏切者」と怒号するなど気勢をあげ、その乗降口に塞がり、動労組合員の排除にあたった鉄道公安職員約100名を押し返すなどして乗務員両名の乗車を妨げた。
 一審は威力業務妨害罪の構成要件に該当するとしながら、東京中郵事件と同趣旨の法律判断により無罪、二審も正当な争議行為として無罪。上告審は破棄自判、威力業務妨害罪、共同正犯(234条、233条、60条)罰金刑。
 
 (判旨)
 松山駅事件と同じく名古屋中郵便事件方式により有罪。
「原判決及び第一審判決は‥‥東京中郵事件判決(‥‥四一年一〇月二六日大法廷判決‥‥)に依拠して労組法一条二項の適用を認め、正当な争議行為として威力業務妨害罪の違法性阻却を肯定したものである、しかし、その後、当裁判所大法廷は、名古屋中郵事件判決(‥‥五二年五月四日大法廷判決‥‥)において、東京中郵事件の判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為については労組法一条二項の適用がない旨の新たな判断を示している。そして、原判決及びその支持する第一審判決が認定した被告人らの行為は、威力業務妨害罪の構成要件に該当し、かつ、公労法一七条一項に違反する争議行為にあたるものであるから、他に特段の違法性阻却事由がない限り、争議行為であるということだけでは違法性が阻却される余地はなく、原判決が認定した被告人らの行為の目的、手段・態様及び付随的事情を考慮しても、威力業務妨害罪としての違法性になんら欠けるところはないというべきである。 」

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