地方公営企業職員の争議行為及び争議付随行為に対してどのような責任追及ができるか(下書)その6
目次
(四) 第三期 全農林警職法判決・岩教組事件判決・全逓名古屋中郵事件判決~
1.全農林警職法事件最大判昭48・4・25刑集27-4-547
(1)要旨
(2)補足意見要旨
(3)違法性一元論へのコペルニクス的展開
2.岩教組学力調査事件最大判昭和51.5.21刑集30-5-1178
(1)要旨
(2)通常随伴行為不罰論の明確な否定
(3)ピケッティング事案について
3.全逓名古屋中郵事件最大判昭52・5・4刑集31-3-182
(1)要旨
(2)下田裁判官の意見
(3)2裁判官の反対意見
(4)要約
A 臼井滋夫最高検検事による要約
B 香城敏麿調査官の要約
4.全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53・3・3刑集32-2-97
(1)要旨
(2)三六協定未締結の状態での時間外労働は労働基準法に反しても、刑法によって保護される業務であることを再確認
5. 国労松山駅事件 最二小判昭53・3・3刑集32-2-159
6. 動労南延岡機関区事件最一小判昭53・6・29刑集32-4-759
7. 日教組スト事件 最一小平成元年・12・18刑集43-13-88
(四) 第三期 全農林警職法判決・岩教組事件判決・全逓名古屋中郵事件判決~
(第二期の判例変更により司法の左傾化を是正)
1.全農林警職法事件最大判昭48・4・25刑集27-4-547
事案は、被告人全農林中央執行委員長、副委員長その他役員が、昭和33年内閣が警職法を一部改正する法律案を衆議院に提出したことに反対する第四次統一行動として傘下の各県本部に「組合員は警職法改悪反対のため‥‥11月5日は午後出勤の行動に入れ」という趣旨の指令を発し、11月5日午前9時~11時40分頃約2500人の農林省職員に対し、職場大会に直ちに参加するよう反復して説得し、勤務時間内二時間を目標として開催される職場大会に参加方を慫慂し、もって国家公務員たる農林省職員に対し争議行為の遂行をあおることを企て、もしくは争議行為の遂行をあおったというものである。
一審無罪、原審(控訴審)国家公務員法違反のあおり企て罪と、あおり罪包括1罪、共同正犯、上告審は棄却(補足意見7、意見5、反対意見1)
棄却という結論は14対1であるが、8人の裁判官が全司法仙台事件大法廷判決の憲法判断と異なる解釈を示し判例変更する旨の多数意見を構成し(石田、下村、村上、藤林、岡原、下田、岸、天野)。下村裁判官を除く7判事の補足意見もついた。
本件は政治目的の争議行為で、加えて厳重なピケッティングによる就労妨害もあり判例変更せずとも有罪の結論を導くことは容易であったが、あえて全司法仙台事件大法廷判決の判例変更に踏み切ったものである。
一方、岩田裁判官単独の意見のほか5人(田中、大隅、関根、小川、坂本)の意見は、労働基本権尊重の立場で全司法仙台事件大法廷判決の基準に照らして処罰の対象となるかを判断すべきというもの。色川裁判官反対意見は、本件政治ストは争議行為でないとの見解である。
(1)要旨
① 争議行為を禁止する国家公務員法98条5項(現行98条2項)110条1項17号は憲法28条に違反しない。また、争議行為をあおる等の行為に高度の反社会性があるとして罰則を設けることの合理性を肯認した。
②争議行為禁止の合憲性を肯定するにあたり、制約原理を「勤労者を含む国民全体の共同利益」とした。これは全逓東京中郵判決・都教組判決・全司法仙台判決が「国民生活全体の利益」の保障という内在的制約論とは明らかに異なる。
③国家公務員法98条5項(現行98条2項)110条1項17号は、公務員の争議行為のうち同法によって違法とされるものとされないものを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科されるのはそのうち違法性の強いものに限られるものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体を同一視し、これを刑事制裁から除くものとする趣旨ではない。(都教組判決・全司法仙台事件のあおり行為等の限定解釈を否定)
④全司法仙台判決がとる「二重の絞り論」のような不明瞭な限定解釈は、かえって犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり、その明確を要請する憲法31条に違反する疑いすら存する」と断じた。
⑤全司法仙台判決は、本判決の判示に抵触する限度で判例変更を免れないとした。
⑥私企業の労働者であろうと、公務員等の勤労者であるとを問わず、政治的目的の争議行為は憲法28条と無関係である。
(2)補足意見要旨
石田長官、村上、藤林、岡原、下田、岸、天野各裁判官7人による補足意見は、田中裁判官ら5人の意見に反論というかたちで多数意見を補足するもので、憲法判断を変更する実質的理由とその必要性を述べたもので、ここでは向井哲次郎調査官解説を要約する。
△全司法仙台事件大法廷判決は憲法解釈において看過できない誤りを犯した。
「国民生活に重大な支障」を及ぼすことの有無というような漠然とした基準によって公務員の争議行為の正当性を画する立法例はほかにない。
△全司法仙台事件大法廷判決の示した限定解釈には重大な疑義がある。
同判決と基本的に共通の見解に立っている都教組判決は、公務員の職務の公共性には強弱があるから、その労働基本権にもそれに対応する制約を当然内包していると強調しながら、限定解釈にあたり、一転し職務の公共性を問題とすることなく、争議行為の態様の問題、争議行為における違法性の強弱へと転移し、ことに争議行為に関する罰則については、争議行為の違法性が強いことあおり行為等の違法性が強いことを要するとするほか、争議行為に「通常随伴している行為は処罰の対象にならないものと解すべきもの」であるとしている。そして全司法仙台事件は、争議行為の違法性が強い場合の基準として、全逓中郵事件判決の多数意見が示した争議行為の正当性を画する基準(いわゆる三つの場合)をそのまま転用している。これは、憲法上の保障を受けるかどうかの問題である正当性を画する基準と同一のものを違法性の強弱としている議論であって混迷しており、違憲の疑いを生む基準の設定である。
△都教組事件と全司法仙台事件判決は公務員の争議行為に関する罰則の評価に誤った評価を植えつけた。
このほか代償措置を重視する旨の岸・天野両裁判官による補足意見がある。
(3)違法性一元論へのコペルニクス的展開
本判決の特徴を一口にいえば第二期の3判決(中郵事件・都教組事件・全司法仙台事件)は、憲法上の正当性を画する基準としての民事上の違法と刑事上の違法とを区別する違法二元論の立場をとっていたのに対し、本判決において違法性一元論コペルニクス的転回を遂げ、これが猿払事件判決、岩教組事件判決等により発展的に継承された(臼井1977b)。
2.岩教組学力調査事件最大判昭和51.5.21刑集30-5-1178
事案[一部略]は
①地方公務員法違反[争議行為のあおり、そそのかし]
被告人岩教組中央執行委員長、書記長、中執委員7名は、昭和36年度全国中学校一斉学力テストに反対し、傘下組合員である、市町村立中学校教員をして学力調査実施を阻止する争議行為を行わせるため、「10月16日学力調査は、全組織力を傾注して阻止せよ‥‥」「当日全組合員は午前7時中学校単位に集結し‥‥テスト実施の任務をもって来校‥‥する者がある場合は担任は直ちに生徒を掌握し、授業態勢に移り、テストが事実上不可能な状態に置くこと」等の指令、指示を発出し、支部、支会、分会役員を介し、傘下組合員約4300名に対しも指令、指示を伝達して実行方を慫慂するなどして、地方公務員である教職員むに対し、争議行為の遂行及びをあおり又はそそのかした。
②道路交通法違反[ピケッティング]
被告人のうち一名は、中学校に赴くテスト立会人ら十数名の来校を阻止しようと企て、組合員約50名と共謀のうえ、人垣をつくって道路上に立ち塞がった。
一審7名を地方公務員違反(争議行為のあおりそそのかし]罪、包括1罪、共同正犯、1名を道路交通法違反罪、共同正犯、併合罪、原審(控訴審)は可罰的違法性なしとして無罪、上告審判決は、破棄自判(一審維持)、理由反対1、結論反対1
(1)要旨
①地方公務員法37条1項は憲法28条に、地方公務員法61条4項は憲法18条、28条に違反しない。
②地方公務員の労働基本権の制約原理を「地方公務員を含む地方住民ないしは国民全体の共同利益に求めたうえ、争議行為禁止の根拠として、「地方公共団体の住民全体の奉仕者として、実質的には労務提供義務を負うという特殊な地位」 及び「その労務提供の内容は、公務の遂行すなわち公共の利益のための活動の一環をなすという公共的性格を有する」点」(職務の公共性)をあげ「地方公務員が争議行為に及ぶことは、右のようなその地位の特殊性と職務の公共性と相容れ〔ない〕」とした。
また地方公務員の勤務条件が「法律及び地方公共団体の財源によってまかなわれる」ところから、地方公務員の勤務条件決定のプロセスも「団体交渉による労働条件の決定という方式が当然には妥当せず、争議権も団体交渉の裏づけとしての本来の機能を発揮するに乏しく、かえって議会における民主的な手続によってなされるべき勤務条件の決定に 対して不当な圧力を加え、これをゆがめるおそれがある」ことも国家公務員と同様であるとした。(臼井1976)
③「地公法六一条四号の規定の解釈につき、争議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して、前者のみが同条同号にいう争議行為にあたるものとし、更にまた、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為についても、いわゆる争議行為に通常随伴する行為は単なる争議参加行為と同じく可罰性を有しないものとして右規定の適用外に置かれるべきであると解しなければならない理由はなく、このような解釈を是認することはできないのである。」このような解釈を是認できないので、都教組事件大法廷判決きは本判決に抵触する限度において変更すべきものである。(都教組事件判決の判例変更、二重の絞り論の否定)
④学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した
行為は、道路交通法120条1項9号、76条4項2号に該当するとしながら、正当な団体行動権の行使にあたることを理由に違法性が阻却されるという原判決は、法令の解釈を誤っている。
(2)通常随伴行為不罰論の明確な否定
多数意見が「政治的目的ないしは市町村教委の管理運営事項についての要求貫徹のためのものである点において、憲法二八条の保障する団体行動権の範囲に属するものではない」と述べているとおり有罪という結論は当然のこととして、本判決の核心は都教組判決・全司法仙台判決の「二重の絞り論」の「通常随伴行為不罰論」をより明確に否認し判例変更したことにあると考える。
全農林警職法判決においても「通常随伴行為不罰論」は「一般に争議行為が争議指導者の指令によって開始され、打ち切られる現実を無視するばかりでなく、‥‥このように不明確な限定解釈は、かえって犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり、その明確性を要請する憲法31条に違反する疑いすら存する」と厳しく批判されたが、本判決では「労働組合という組織体における通常の意思決定手続に基づいて決定、遂行される違法な争議行為については、実際上、当該組合の何人に対しても個人的な責任を問うことがないということに帰着するのであって、とうてい容認することのできないところといわなければならない」と排斥しており、結局それはプロレイバー学説の個人責任否定論に帰着するゆゆしきものと認識を示している。
(3)ピケッティング事案について
「 被告人Hらは、本件学力調査実施の当日、テスト立会人であるS町教育委員会教育長及びテスト補充員の同町役場吏員ら一四名の一行がその職務遂行のためW中学校に赴くのを阻止すべく、同校校舎に通ずる道路のうちの狭隘な橋上部分(幅員四・三メートル、長さ四メートル)を扼して、右の一行を待ち受け、一行が同所に差しかかるや、被告人Hを含む約五〇名の者がその前面に集合し、人垣をつくつて進路を遮断し、この人垣を背景として調査実施の中止を要求し、そのためやむをえずいつたん通行を中止した上記テスト立会人らが改めて通行を試みようとすると、再び前同様の行動に出で、このようにしてテスト開始時刻前の午前八時ころから終了予定時刻に近い午後二時ころまでの約六時間の長きにわたり、前後約五回、一回につき約一〇分ずつ断続的に執拗に右行為を反復し、結局同人らをして右中学校に赴くことを断念するに至らしめたことが認められるのであるから、その間暴力等の有形力の行使がなかつたとはいえ、その手段、態様において道路上における正当なピケッテイングとして是認しうる程度を超えるものがあつたといわざるをえないことを考えると、被告人Hらの前記所為に正当な団体行動権の行使として刑法上の違法性を阻却すべき事由があるとすることはできない。‥‥」
原判決仙台高裁は、人垣をつくって立ちはだかり交通の妨害をしたことが道交法120条1項9号違反であるとしながら、労組法1条2項の正当行為として違法性が阻却され無罪という判断を下していたが、それを破棄して有罪としたものである。本判決では国労久留米駅事件最高裁大法廷昭和48.4.25判決を引用せず、その争議行為と争議行為に際して付随して行われる行為とを区別する判断方式をとっていない。
プロレイバーの評釈(横井芳弘1976)によると、「法律で争議行為が禁止され、しかもその規定が合憲と解される場合には、当該ピケッティングが「争議行為の一種」と認められるかぎり、違法性が阻却される理由はないとしていることについて、これは一刀両断的に割り切ったものであり、久留米駅事件方式のように「諸般の事情を考慮に入れ‥‥法秩序全体の見地から‥‥判定」するものとは違って頭から違法性を肯定するものとの評価である。つまり久留米事件より厳しい判決との評価のようである。
しかしながら久留米駅事件方式は名古屋中郵判決によって総括、明確化され後述するように争議行為自体が違法行為である点も「諸般の事情」の一素材になるのだから、公務員の場合、本件のようなマスピケ事犯で違法性を阻却される理由はないと思う。
なおアメリカ連邦最高裁判列では違法目的のピケッティングは違法性が阻却されないのであって、そのような理論と大きな差異はないのではないか。
思うに、幅員4.3メートルという橋上で50人のピケ隊が待ち受けるのは、英米ならマスピケッティング(大量動員ピケ)で違法とされるだろう。正当な業務である学力テスト立会人の就労を妨害することが違法な争議行為である以上、このような大量動員ピケは当然に違法であるという判断を示してもよかったと考える。
団藤反対意見は表現の自由として保障されてしかるべきであり、本件を平和的説得行為として違法性は阻却されるというのであるが、本件のような執拗なマスピケを合法とするのは異常である。
3.全逓名古屋中郵事件最大判昭52・5・4刑集31-3-182
名古屋中郵判決は、同種事案のリーディングケースであった東京中郵事件大法廷判決の基本的見解を変更し、労働基本権の限界と刑事制裁のあり方について、正しい判断基準を示し、揺れ動く大法廷判決により混乱していた裁判実務を収束させたという意味で画期となる判例である。
公訴事実の要旨は、
昭和33年春闘の際、全逓中央本部・同愛知地区本部の幹部であった被告人らは、全逓中央本部からの指令に基づき、二時間の勤務時間内職場集会実施を決定した。
(郵便法違反教唆)
被告人ら4名は、他の4名と共謀のうえ、同年3月20日早朝、名古屋中央局庁舎内において、集配課外務員多数に対し、職場を放棄して右職場大会に参加するように説得慫慂して郵便物の取扱をしないことを教唆し、Mら9名の外務員の職場を放棄させ、約1時間にわたり、同人の担当する速達書留郵便、普通郵便の配達をさせず
(建造物侵入)
被告人ら4名は前記①の日時に前記①の目的によりで局側の監視員の制止を排して、多数のピケ隊員と共に、同郵便局長の管理する局長内に故なく侵入し
(公務執行妨害)
被告人らのうち2名は、他の20数名と共謀のうえ、勤務中の小包郵便課主事Tの両腕をとり腰部を押す等の暴行を加えて室外に連れ出し、同人の職場の執行を妨害した。というものである。
一審は、建造物侵入を有罪としたが、郵便法違反教唆はMらが既に職場大会の参加を決意していたとして教唆に代えて幇助の成立を認めた。公務執行妨害についてはTが職場大会に参加する意思に応じた疑いがあるとの理由で成立を否定した。
二審は一審有罪部分を破棄し全て無罪とした。東京中郵判決を引用し、郵便法違反幇助について本件2時間の勤務時間内職場大会は、「三つの場合」のような不当性はなく、公労法17条1項違反の争議行為にも労組法1条2条が適用され、刑事制裁の対象にならないとした。建造物侵入の無罪理由は目的・態様において違法不当ではなく、憲法28条の趣旨にかんがみ社会的に相当なものとして是認されるとする。
上告審判決は、13対2で破棄自判(一審維持)高辻裁判官の補足意見、下山裁判官の一部反対平行意見がある。団藤、環裁判官はそれぞれ反対意見を記した。
(1)要旨
① 争議行為禁止の合憲性
五現業の職員は、国家公務員であるから、非現業の国家公務員と同様、憲法83条の財政民主主義に表れている議会制民主主義の原則上、国会の特別な委任がない限り法律・予算の形で勤務条件が決定されるべき特殊な憲法上の地位にある。三公社の職員も、財政民主主義の国会の意思とは無関係に資産の処分・運用を行いえない全額国庫出資の公社に勤務している点で、勤務条件の決定に関する憲法上の地位は右と基本的に同一である。労使による勤務条件の共同決定を内容とする団体交渉権も、その一環としての争議権も、憲法上当然保障されいてるわけではなく、現行法上、協約締結権が付与されているのは国会の裁量によるものと解される。また公共企業体の事業は利潤の追求を本来の目的としておらず、その労使関係には市場の抑制力が働かないため、争議権は適正な勤務条件を決定する機能を果たすことができない。加えて争議行為禁止に対応する仲裁などの代償措置もよく整備されており、職員の生存権擁護のための配慮を欠けることもない。このような事情をを考慮するならば、国会が国民全体の共同利益を擁護する見地から、勤務条件の決定過程が歪められたり、国民が重大な生活上の支障を受けることを防止するため、これらの争議行為を全面的に禁止したのは不当とはいえず、憲法28条に違反するとみるべき根拠はない。
② 刑事法上の違法性(労組法1条2項は適用されない)
公労法17条1項が違憲でなく、禁止違反の争議行為が憲法上の権利として保障されていない以上、民事法又は刑事法が、これを正当性のない行為と評価して合理性のある不利益を課しても、憲法に抵触することはない。
公労法3条は同法に定めのないものについてのみ労組法の適用を認めているのであるから、公労法に禁止規定のある争議行為については労組法1条2項の適用を認める余地がない。
刑罰を科するための違法性は、行政処分や民事責任を課するものでは足りず、一段と強度なものでならなければならないとする見解も、相当ではなく、東京中郵判決の判断は変更を免れない。
③ 但し立法意思からみて不作為な単純参加者は処罰から阻却される。
立法経過を仔細に検討すると、当時の立法意思は、争議の単純参加者を郵便法などの罰則による処罰から除いて、指導行為者のみを処罰する趣旨とみるのが相当である。ただし単純参加行為が違法なものである以上、解雇などの民事上の不利益の対象となりうることはもちろんである。
④ 本件郵便法違幇助を無罪とした原判決は憲法、公労法の解釈を誤っている
⑤ 公労法17条1項違反の争議行為に付随する行為の刑事法上の違法性
公労法違反の争議行為に付随して行われた犯罪行為についての違法性阻却の有無は、右の事実を含めて、その行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきものか否かを考察して判断すべきである。
本件建造物侵入は、それ自体同条に違反するあおり行為を行うために立ち入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであって、目的も手段も違法というほかなく、これを正当とした原判決は憲法28条の解釈を誤っている。
(2)下田裁判官の意見
多数意見のうち単純参加者の処罰の阻却を認める解釈について、郵便業務の格段の重要性を無視し、統一性を欠く占領立法をを根拠とする誤りをおかし、司法謙抑の原則にもとる立法的解釈というほかないと反対意見を記している。
(3)2裁判官の反対意見
団藤裁判官は東京中郵事件の判例は基本的に維持されるべきで上告棄却が相当と述べ、環裁判官は東京中郵判決を維持すべきで上告棄却が相当と述べた。
(4) 要約
A 臼井滋夫最高検検事による要約(臼井1977c)
①東京中郵判決の「違法性二元論」の基本的立場に立脚した「相対的合憲論」の否定。
第二期判決の見解を変更した違法性一元論に転回したこと。
②違法争議行為における犯罪の成立範囲の確定(単純参加者を処罰の範囲外とする)。
③争議行為に付随する行為の刑事法上の評価の判断方式の確定(久留米駅事件方式の総括・明確化)。
①と②について
争点の一つは公労法の争議行為が郵便法79条1項(郵便の業務に従事する者が殊更に郵便の
取扱いをせず、又はこれを遅延させたときは、これを1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する)などの罰則に触れる場合に、なお労組法1条2項(刑事免責)の適用があるか否か、特段の違法性阻却理由を認めるか否かであった。
労組法1条2項の適用があるとした東京中郵判決の判断を明確に変更したのである。
〔なお公共企業体等労働関係法には、争議行為禁止の規定(17条1項)があるだけで、当該禁止違反に対する直接の罰則はなく、違法争議行為に対する刑事制裁はそれぞれの事業法等の規制に委ねられている(臼井1977c)。三公社五現業で、業務の不取扱いそれ自体を構成要件的行為としているのは、郵便法79条1項及び公衆電話通信法110条の二つだけである(臼井1977c)。〕
多数意見は、同規定に違反する争議行為に「正当なもの」がありうべき筋合ではなく、労組法1条2項(刑事免責)の適用が予定されているとは解しえないとして、公労法17条1項違反の争議行為が郵便法などの罰則に触れるときは、違法性が阻却さないとして、第一審の郵便法79条1項の罪の幇助による被告人4人の有罪(罰金1万円)の結論を維持する判断を行ったものである。
但し、単純参加者については、郵便法79条1項の罪の成立を肯定しつつも、立法の変遷とその底流にある法の理念に根拠を求めて、処罰阻却の法理により処罰の範囲外との結論となった(臼井1977c)。これは超法規的判断であり下田裁判官が反対する意見を述べている。非現業国家公務員、地方公務員との刑事制裁の範囲と不均衡にならないためにする解釈であり、理論的には疑問がないわけではないとはいえ、処罰阻却の範囲は限定されており、単純不作為ではなく作為を伴う場合、政治目的ストの場合は単純参加者であれ処罰の対象となるうるし、解雇もありうるのである。
③は、建物侵入罪の成否についてである。
全逓名古屋中郵判決は、国鉄檜山丸事件最二小判昭38・3・15(「公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為についての正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがって労働組合法一条項の適用はないものと解するのが相当である」と判示した)に単純に回帰したものではないという。檜山丸判決は組合員が当局の制止を振り切り職場集会の指令点検、指導のため乗船したことについて、刑法130条艦船侵入罪の成立を認めた判例だが、檜山丸事件は争議行為自体と争議に際して付随して行われた行為という分け方をしていない。しかし昭和48年久留米事件判決以降二つの問題を截然と分けて論ずるものとなったのだという。(臼井1977c)
名古屋中郵判決では「このような付随的な行為は、直接公労法一七条一項に違反するものではないから、その違法性阻却事由の有無の判断は、争議行為そのものについての違法性阻却事由の有無の判断とは別に行うべきであつて、これを判断するにあたつては、その行為が同条項違反の争議行為に際し付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならないのである。」とやはり国鉄久留米駅事件大法廷判決(最大判昭48・4・25刑集27-3-419)の判断方式「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行われた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、その行為が争議行為に際して行われたものであるという事実を含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきものか否かを判定しなければならない」に則ったかたちで、争議行為そのものと、争議行為に際して行われる付随的行為を意識的に区別したうえ、「本件における建造物侵入の行為についてみると、被告人らは、公労法一七条一項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入つたものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない。」と判示したのである。
つまり争議行為に際して行われた行為は「諸般の事情」を考慮に入れたうえ実質的違法論に立脚し「法秩序全体の見地から」違法性阻却事由を判断するということであるが、重要なことは、基本となる争議行為自体が公労法一七条一項に違反する点も「諸般の事情」の一素材になるということである(臼井1977c)。
この点は香城敏麿調査官解説(183p)も、「判旨を‥言い換えるなら (イ)付随的な行為の目的が公労法違反の遂行に向けられているときには、行為の違法性を肯定する方向でその目的が考慮される、(ロ)付随的な行為の手段が公労法違反の争議行為の未遂的行為又は予備的な行為であるときにも、行為の違法性を肯定する方向でその点が考慮される、ということに帰する」と述べており、違法性が阻却されることは特別な事情でもない限りありえないものと理解できるのである。
B 香城敏麿調査官の要約
香城敏麿の名古屋中郵第二事件調査官解説は名古屋中郵事件最大判昭52・5・4刑集31-3-182判決の要点を3点にまとめ簡潔でわかりやすい。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
本件建造物侵入は(ハ)を適用したものであるが、(イ)と(ハ)の区別、争議行為そのものか、争議行為に際して行われた行為かについて、香城の解説は、公労法一七条一項の前段に定められた「正常な運営を阻害する行為」及び後段に定められた共謀、そそのかし、あおりの行為が、本件での公労法違反の争議行為と呼ばれているものとする。
これは久留米駅事件方式の臼井滋雄の評釈による区別と異なると考えられる。つまり臼井のいう争議行為は最高裁判例にもとづいて消極的限度にとどまるものとして、積極的業務妨害とは区別する論点であるが、公労法のいう争議行為「正常な運営を阻害する行為」は最高裁判例での争議行為の限界、消極的限度にとどまるものよりは広い概念だからである。
これは、次に取り上げる第二名古屋中郵事件の第二小法廷判決とセットで把握するとより明瞭である。直接的な業務妨害で、威力業務妨害罪・不退去罪に問われたケースだが、(イ)を適用していることから、積極的業務妨害自体も争議行為の範疇でとらえていることがわかる。また(イ)の適用は、郵便法のような事業法だけでなく業務妨害罪や不退去罪等も対象としていることがわかる。
してみると、久留米駅事件方式は私企業も含めた指導判例であるが、公労法適用職場については、本件判決により、久留米駅事件方式を発展・総括した側面もあるが、久留米駅事件当時の公労法違反の争議行為にも刑事免責を適用すると前提を否定したのであり、積極的な業務妨害を争議行為の範疇と切り離して、争議付随行為として区別する必要もなくなったのである。前提が異なるゆえに、公労法適用職場については新たな判断基準を定立したものと評価してよいのかもしれない。
4.全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53・3・3刑集32-2-97
事案は被告人H・Nの両名は全逓中央本部執行委員、Uは全逓愛知地本執行委員長、Oは全逓名古屋郵便局支部長であるところ、昭和34年12月3日午後2時15分頃から午
後10時30分頃までの間において、名古屋中央郵便局年賀予備室で意思を通じたうえ受入係補助員Sら数名が小包課長Mの指示により 滞貨小包郵便約140個を搬出しようとするや,その前面に立ち塞がり、これを押し返して搬出を不能にし、更に、Mらが自ら郵袋を搬出しようとして年賀予備室に入室しようとするや,その前面に 多数とともにスクラムを組むなどして入室を不能にし,かつ,その間数回にわたり同郵便局管理者局長庄司清から局外に退去すベき旨の要求を受けたにもかかわらず、これを拒否して退去しなかった。この事実は、威力業務妨害罪、不退去罪に該当するとして起訴されたものである。
一審(昭39・2・20)は、公訴事実に沿う外形的事実を認定したが、威力業務妨害の‥については、当時労働基準法三六条に基づく時間外協定の締結及び年末首繁忙業務に関する取決めがなされていなかったので、年末首繁忙業務に属する本件臨時小包便を取り扱う義務がなく、管理者側の行為しは、違法な業務を強いるものであって、刑法二三四条の保護する業務に該当しないし、公労法一七条一項の「正常な業務」ではないので、これを阻害した被告人の行為は、同条項の禁止に当たるものではないから、労組法一条二項の「正当な行為し」として違法性を阻却されるとし、不退去の‥については違法な業務を阻止して労働条件の維持向上を図るためにされたものであるから、正当な組合活動として、無罪とした。
二審(原判決昭45・9・30)は、威力業務妨害の点につき、本件臨時小包便の搬出は、全逓との団体交渉をへないままなされたもので不相当ではあるが、やむをえない措置であったから、刑法上保護されるべき義務にあたり、かつ、被告人らの本件行為は、公労法一七条二項に違反するものであるとしたにもかわらず、闘争目的、手段は違法不当でないとし、東京中郵事件の大法廷判決に依拠して、約九時間の郵便物処理の遅延は国民生活に重大な影響を及ぼしていないとして労組法一条二項にいう「正当な行為」として違法性を欠くとした。 不退去の点についても搬出業務阻止に当然随伴する行為として、違法不当とはいえないとした。
上告審は破棄自判し、被告人らを罰金3万円とした。
(1)要旨
「原判決は、東京中郵事件‥‥に示されたところに従い、公労法一七条一項違反の争議行為であっても労組法一条二項の適用を受けるものと解したうえ、被告人らの行為は違法性を欠くものと判断しているのであるが、その後、当裁判所は、名古屋中郵事件判決‥‥において、右判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為については労組法一条二項の適用がなく、このように解しても憲法二八条に違反しない旨の新しい見解を示した。‥‥この新しい見解のもとで原判断が維持されるか否かを検討する。
原判決‥‥が認定した前記事実は、威力業務妨害罪及び不退去罪の構成要件に該当し、かつ、いずれも公労法一七条一項に違反する争議行為であるから、他に特段の違法性阻却事由が存在しない限り、その刑法上の違法性を肯定すべきものである。原判決が違法性阻却を認めるうえで根拠とした、本件行為の目的、手段、影響のいずれの点も、その根拠となるものではなく、他に法秩序全体の見地からみて本件行為の違法性を否定すべき事由は見当たらない。」
香城敏麿調査官解説は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
本件威力業務妨害と不退去は観念的競合の関係に立つ一個の行為であるが、被告人が立ち塞がり、押し返し、スクラムを組むなどして郵便物の運搬を阻止した行為を公労法一七条一項に違反する争議行為そのものと言い切り、(イ)を適用したのであり、(ハ)を適用した大法廷判決の建造物侵入との違いは、建造物侵入によって、直ちに業務の正常な運営が阻害されたわけではないためである。
(2)三六協定未締結の状態での時間外労働は労働基準法に反しても、刑法によって保護される業務であることを再確認
この論点は、原判決が認めていることであり、この最高裁判決ではふれてないが、すでに仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件最二小判昭48・5・25刑集27-5-1115、判タ297号342で決着がついている事柄であって、同様にいわゆる三六協定務締結の状態において時間外労働の業務命令が下された場合右命令は労基法に違反するが、だからといって右命令に基づく業務が刑法234条の業務に該当しないというものではないことを判示した例として、国労倉敷駅春闘事件第一審判決 岡山地判昭50・1・17、動労糸崎駅事件広島高判昭48・8・30 判タ300、労判184がある。
争議目的で組合が、三六協定の締結を拒否する場合、労働法上反していてもも国鉄や郵政の当局は業務命令をしているのである。労働基準法違反の時間外労働も市民刑法により保護されているというのは、法秩序の総合的見地に含まれるものだといってよいし、最終的には労働法でなく市民法を優位にみている点、安心感のもてる司法判断である。
参考【 春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件上告審(最二小判昭48・5・25)刑集27-5-1115、判タ297号342頁
はじめに要所だけのべる。
「労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げない」である。
労働基準法に違反する就労時間の業務であっても、具体的権限が消滅し違法なものとなるわけではない。現実に国鉄は、組合がストライキを構えた場合、三六協定未締結でも列車を運行するため職務命令をしているし(動労糸崎駅事件)、従って、労働基準法違反の労働時間の業務であるということを口実として、非組合員や正当な業務を行っている労働者に有形力を行使して妨害することは違法である。
私の考えだがこの判決は、労働基準法違反の職務命令による職務行為であっても有効であることを示し具体的権限は労働基準法の時間規制で消滅するものではないこと。職員は労働基準法違反の職務命令であっても原則従うべき性格のものであることを示したといえるのではないか。
*
本件公務執行妨害傷害被告事件は、調査官解説にも登載された重要判例であるがその意味は、本件事件当時(昭和39年春闘)、国鉄当局と国労、動労との間で三六協定を締結されていなかった状況で、八時間を超える労働についての職務命令と非組合員に対する業務阻害の適法性が争われたことによる。
被告人は全電通宮城県支部執行委員、総評宮城県オルグで、上部機関である公労協の昭和39年4月11日の要請により国労仙台地本、動労仙台地本のストライキ準備態勢を支援するため、遵法闘争支援、乗務員への説得活動支援のために仙台駅構内に動員された者である。
4月14日国鉄仙台鉄道管理局は組合活動や半日ストに対処するため非組合員を召集し春闘対策本部を設置した。
被害者Aも召集された1人で、総務部労働課に勤務し、対策本部長の指揮下に駅構内の警戒、組合員の行動の監視、違法行為の阻止、排除、本部長の命令の伝達等の任務を課せられていた。4月15日午前6時から右職務に従事し、午後2時40分になって、国労組合員による列車車体のビラ貼り行為が始まり、当局によるビラ剥がしも始まったので、Aも国鉄総裁によって禁止されているビラ貼り行為を違法なものとして、これを阻止、排除すべく、ビラ剥がし行為に加わったところ、2時45分頃3番ホームの青森発仙台止まりの「あけぼの」号ビラ剥がし行為に従事中、国労仙台地本副委員長と口論になり、その後、支援組合員が激しく抗議、30名ほどに取り囲まれてもなお強引にビラ剥がしを続行したことから、被告人は、非組合員Aの右顔面を右手拳で強打し、全治6日間の下唇粘膜下出血及び粘膜挫創の傷害を負わせ、同人の職務執行を妨害した件につき公務執行妨害罪が成立するかが争点になった。
一審判決は、午前6時からの勤務といっても45分の休憩があるため、午後2時45分は八時間を超えない範囲にあり、国鉄当局は具体的権限を有し、ビラ貼りは違法であるとして、公務執行妨害罪と傷害罪の観念的競合を認めた。
ところが二審仙台高裁判決は、被害者Aに労働基準法上の休憩時間は与えられておらず、八時間の労働時間は、本件暴行時間の約40分前の午後2時に終了していたと認めるのが相当であるとし、労働基準法32条1項は、強行規定であり、たとえ相手方の同意、承諾にもとづいても、許容されることはないから、重大な違法性を帯有していたというべき命令部分をもってして、Yの職務行為に対し、公務執行妨害罪の保護法益たるに値する適法性を付与しないとして、公務執行妨害罪の成立を否定し、傷害罪の成立のみを認めた。
これに対して検察官が上告し、最高裁は原判決を破棄して自判し、公務執行妨害罪と傷害罪の観念的競合を認めた。
「原判決によれば、右Aに対し発せられた本件職務命令は、昭和三九年四月一五日午前六時から仙台駅構内において組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のものであつたというのであり、これによれば、右命令が同人に対し、前記の職務に従事すべき労働関係上の義務を課するものであるとともに、その反面、右職務を執行する権限をも付与する性質のものであることが明らかである。一方、労働基準法三二条一項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もつぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが、右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。してみると、本件職務命令に右強行規定の違反があつたとしても、その法意にかんがみ、その違反は、右命令のうち前記Aに対して就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はないと解するのが相当であつて、本件における右Aの職務行為は、その与えられた具体的権限に基づいて行われたものであると認めるのに十分である。
そして、右Aの行為自体は、列車車体にほしいままに貼付されたビラを取りはがして原状を回復するというものであつて、もとより日本国有鉄道の本来の正当な事業活動に属し、作業の方法、態様においても特段の違法不当な点は認められないのであるから、右が適法な公務の執行というべきものであることは疑いの余地がない。
すなわち、本件のように、法令により公務に従事する者とみなされる日本国有鉄道職員であつて労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げないと解ずるのが相当である。
そうすると、これと異なる見地に立ち、被告人の本件所為につき公務執行妨害罪の成立を認めなかつた原判決は、法令の解釈適用を誤り、ひいて事実を誤認するにいたつたものであつて、これが判決に影響することはいうまでもなく、かつ、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。 」
秩序を重んじる石田和外コート末期のまともな判決と評価できる。
5.国労松山駅事件 最二小判昭53・3・3刑集32-2-159
被告人3人は国労四国地本執行委員長、四国地本書記長、四国地本執行委員であるところ国労組合数百名と意思を通じ、昭和37年3月31日午前3時40分から約2時間にわたり、松山駅構内での列車の運行を阻止するため、組合員数百名を指揮し、上り2番線路上に機関士甲が乗り込んで発車すべく待機中の準急列車の前方線路上に集合して立ち塞がり、再三の立退き要求にも応じず、列車二本の発進を不能にし、続く列車を27分間乗務員による発進を不能にし国鉄の業務を妨害した。
一審松山地判昭43・3・26、被告人らの行為は威力業務妨害罪に該当するとしつつも東京中郵判決に示したところに従い、公労法17条1項違反の争議行為であっても労組法1条2項の適用であり、本件行為は刑事制裁を加えなければならないほどの反社会性を有しないので違法性を欠くとし無罪。
控訴審(原判決)高松高裁46・3・26は、従来の労使慣行を無視して抜打的に少数組合と妥結し、多数組合である国労に押し付けようとしたことは国鉄にも責任があり、列車乗務員への有形力の行使、信号所機能への妨害行為また他は暴力の行使を含まず、早朝閑散時を選ぶなど実害は大きくなく、国民生活に重大な影響を与えていないとして一審の判断を是認した。
上告審判決は破棄自判、威力業務妨害罪、共同正犯(234条、233条、60条)
「原判決及び第一審判決は、いずれも東京中郵事件判決に示されたところに従い、公労法一七条一項違反の争議行為であつても労組法一条二項の適用を受けるものと解したうえ、被告人らの行為は違法性を欠くものと判断しているのであるが、その後、当裁判所は、名古屋中郵事件判決(‥五二年五月四日大法廷判決‥‥)において、右判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為については労組法一条二項の適用がない旨の新しい見解を示した。そこで、‥‥新しい見解のもとで右各判決の判断が維持されるか否かを検討する。 原判決‥が認定した前記事実は、威力業務妨害罪の構成要件に該当し、かつ、公労法一七条一項に違反する争議行為であるから、他に特段の違法性阻却事由が存在しない限り、その刑法上の違法性を肯定すべきものである。そして、原判決が違法性阻却を認めるうえで根拠とした諸事情は、犯情として考慮しうるにとどまり、右の特段の違法性阻却事由にあたるものとは解されず、他に法秩序全体の見地からみて本件行為の違法性を否定すべき事由は認められない。‥」
名古屋中郵事件方式の判断基準により有罪とした判例である。
香城敏麿調査官が名古屋中郵判決の要点を3点にまとめている。。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
本件はこの基準の(イ)に当たると説明されている。
6. 動労南延岡機関区事件最一小判昭53・6・29刑集32-4-759
被告人三名は、動労西部地評事務局長、動労大分地本執行委員長、動労大分地本副委員長であるところ、大幅賃上げ、合理化反対、最低賃金制確立、スト権奪還等を目的として昭和40年3月17日に時限ストを分頃までの行った際、その主張を貫徹させるため列車の運行を阻止しようと企て、動労組合員約500名と意思を通じて、同日6時24分から同7時15間、南延岡機関区入出区4番線付近で、発進予定の機関車の側面でスクラムを組み、之に乗車しようとした機関士甲外1名に「裏切者」と怒号するなど気勢をあげ、その乗降口に塞がり、動労組合員の排除にあたった鉄道公安職員約100名を押し返すなどして乗務員両名の乗車を妨げ、威力をもって国鉄業務を妨害したというものである。
なお、本件代替乗務員らは、かつて動労であったが脱退届は出されず数か月前に「新国労」に加入したという事情がある。
一審は威力業務妨害罪の構成要件に該当するとしながら、東京中郵事件と同趣旨の法律判断により無罪、二審も正当な争議行為として無罪。上告審は破棄自判、威力業務妨害罪、共同正犯(234条、233条、60条)罰金刑。
(要旨)
「原判決及び第一審判決は‥‥東京中郵事件判決(‥‥四一年一〇月二六日大法廷判決‥‥)に依拠して労組法一条二項の適用を認め、正当な争議行為として威力業務妨害罪の違法性阻却を肯定したものである、しかし、その後、当裁判所大法廷は、名古屋中郵事件判決(‥‥五二年五月四日大法廷判決‥‥)において、東京中郵事件の判例を変更し、公労法一七条一項違反の争議行為については労組法一条二項の適用がない旨の新たな判断を示している。そして、原判決及びその支持する第一審判決が認定した被告人らの行為は、威力業務妨害罪の構成要件に該当し、かつ、公労法一七条一項に違反する争議行為にあたるものであるから、他に特段の違法性阻却事由がない限り、争議行為であるということだけでは違法性が阻却される余地はなく、原判決が認定した被告人らの行為の目的、手段・態様及び付随的事情を考慮しても、威力業務妨害罪としての違法性になんら欠けるところはないというべきである。 」
前掲国労松山駅事件とし同じ名古屋中郵事件方式により有罪の判断を下している。
7. 日教組スト事件 最一小平成元年・12・18刑集43-13-88
昭和48年10月第4次中東戦争に伴う石油危機により日用品は物不足となり、消費者物価は49年2月に前年比26.3%に達したことを背景とし労働事件も激増したが、日教組は昭和49年春闘における公務員共闘の統一闘争として、4月11日組織発足以来初の全一日ストを敢行したが、警視庁はじめ12都道府県警が、地公法違反容疑でスト当日の夕方から組合事務所等を家宅捜索し、M・M日教組委員長ら22人の幹部を検挙した。
被告人はM・M日教組委員長、M・T都教組委員長であり地公法61条4号の罪で起訴された。、事案の概要は判決文に摘示されているとおりである。一審東京地判昭55・3・14は両名ともあおり企て罪、あおり罪・包括1罪、共同正犯、罰金刑10万円に処したが、二審東京高判昭60・11・20は、検察側り量刑不当の控訴趣旨を容れ、日教組委員長を懲役六月、都教組委員長を懲役三月、いずれも執行猶予一年に処した。
被告人両名の上告による上告審は棄却。
(判決抜粋)
「第一 被告人M・Mは、日本教職員組合の中央執行委員長であったものであるが、昭和四九年春、春闘共闘委員会、日本公務員労働組合共闘会議の統一闘争として、日教組傘下の組合員である公立小・中学校教職員らをして、「賃金の大幅引上げ・五段階賃金粉砕、スト権奪還・処分阻止・撤回、インフレ阻止・年金・教育をはじめ国民的諸課題」の要求実現を目的とする同盟罷業を行わせるため、
一 関係役員らと共謀の上、(1)同年二月二五日及び二六日に開催された日教組第四四回臨時大会において、日教組傘下の小中学校教職員らをして同年四月中旬に同盟罷業を行わせること等を決定し、(2)同年二月二八日ころ、日教組中央闘争委員長M・M名義の傘下都道府県教職員組合委員長あて指示第一八号を発出して、右臨時大会における同盟罷業の実施についての決定を伝達するとともに同盟罷業実施体制の確立を指示し、(3)同年三月一九日に開催された日教組第五回全国戦術会議において、右同盟罷業は第一波同年四月一一日全一日、第二波同月一三日早朝二時間などと配置すること等を決定するなどし、
二 関係役員らと共謀の上、(1)同年三月二九日、日教組本部名義の「春闘共闘戦術会議の決定を受け、公務員共闘は四月一一日第一波全一日ストライキを配置することを決定した。各組織は闘争体制確立に全力をあげよ。」との趣旨の指令を北海道、東京都、岩手県、埼玉県、広島県の各県教組あてに発出し、右指令の趣旨を同各県教組傘下の小・中学校教職員多数に対し伝達し、(2)同年三月末ころから同年四月初めころまでの間、右指令と同趣旨の記事を登載し、かつ「歴史的な全一日ストを総力をあげて成功させよう。」などと記載した日教組教育新聞を同各県教組傘下の教職員多数に対し頒布し、(3)同年四月九日、日教組本部名義の「日教組第五回全国戦術会議の決定に基づき予定どおり四月一一日全一日ストライキに突入せよ。」との趣旨の行動要請を北海道、岩手県、広島県の各県教祖あてに発出し、右行動要請の趣旨を同各県教組傘下の教職員多数に対し伝達するなどし、(4)なお、右(3)と併せて東京都教職員組合あてにも同様の行動要請を発出したが、その趣旨を都教組傘下の一般教職員に対し伝達するには至らなかった。
第二 被告人M・Tは、都教組の執行委員長代行ないし執行委員長であったものであるが、昭和四九年春、春闘共闘委員会、日本公務員労働組合組合共闘会議の統一闘争として、傘下の組合員である公立小・中学校教職員らをして、前記第一の要求実現を目的とする同盟罷業を行わせるため、
一 関係役員らと共謀の上、(1)同年三月八日に開催された都教組第五七回臨時大会において、傘下の小・中学校教職員らをして同年四月中旬に同盟罷業を行わせること等を決定し、(2)同年三月一三日ころ、都教組執行委員長代行M・T名義の都教組各支部長・分会長あて指示第八二号を発出して、右臨時大会における同盟罷業の実施についての決定を伝達するとともに同盟罷業実施体制の確立を指示するなどし、
二 関係役員らと共謀の上、(1)同年三月二九日ころから同年四月八日ころまでの間、同年三月二九日日教組本部名義で発出された前記第一の二(1)の指令の趣旨を傘下の小・中学校教職員多数に対し伝達し、(2)同年四月三日に開催された第一回E支部長・書記長会議において、「七四春闘一日・半日スト行動規制」及び「七四春闘一日および半日ストを成功させるための取組みの基本」と題する都教組執行委員会名義の文書を配布して同月一一日の同盟罷業に際し組合員のとるべき行動を指示し、同月三日ころから同月一〇日ごろまでの間、右指示の趣旨を傘下の小・中学校教職員多数に対し伝達するなどした。
以上の事実関係のもとにおいては、右第一の一、第一の二(4)、第二の一の各行為は、地方公務員法六一条四号にいうあおりの企てに当たり、第一の二(1)ないし(3)、第二の二の各行為は、同号にいうあおりに当たるものというべきであり‥‥、また、右第一、第二のように、同盟罷業の遂行をあおることを企てた上当該同盟罷業の遂行をあおった行為は、犯罪の性質、同号の規定形式、法定刑等に照らし、それぞれ包括して同号の罪を構成するものと解するのが相当であるから、これと同旨の原判断は、正当である。 」
永井敏雄調査官解説の要点。 「あおり」については判例上、次のように定義されている。「違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、又は、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること」(全農林警職法判決刑集27-4-560頁、岩教組学力調査事件刑集30-5-1192頁)あおりの企てとは「違法行為のあおり行為の遂行を計画準備することであって、行為発生の危険性が生じたと認めうる状態に達したもの」(全農林警職法判決刑集27-4-560頁)
本判決の上告趣旨は、あおりはもっぱら感情に訴える慫慂行為を指し、感情に訴える要素のないものはこれに当たらない等、あおりを限定的に解釈すべきという構成要件該当性を争ったが、本判決はこの上告趣旨を退けた。従って、判例の定義にいう「勢いのある刺激を与えること」が必ずしも感情に訴える慫慂行為のみを意味するものではない。
なお「あおり」」の訴因の内容について、過去の例では、会議あおり、議案の提出そのもの及び趣旨説明をあおりとした例、激励のあいさつ、指令あおり、オルグあおり、現場(演説)あおりがあったことを類型的に説明している。
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仙台鉄道管理局事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和48年』
高島良一
1979「公企体関係労働判例の一〇年を顧みて」『季刊公企労研究』40号
近石康宏
1985a「地公法61条にいう「あおり」及び「あおりの企て」について--「日
教組4・11地公法違反事件」各地裁判決を中心として-上」『警察学論集』
38巻10号
1985b「」
中野次雄地公法61条にいう「あおり」及び「あおりの企て」について--「日教
組4・11地公法違反事件」各地裁判決を中心として-下-『警察学論集』38巻11
号
東京中郵事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年』
永井敏雄
日教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成元年』
岩教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成元年』
埼教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成二年』
中村秀次
2010「刑法総論に関する裁判例資料-違法性及び違法性阻却-」『熊本ロージ
ャーナル』4号2010年」
藤木英雄
1957「労働争議行為と違法性」『 総合判例研究叢書/(5)刑法 -- 総論/刑
法(8)』
1967 『可罰的違法性の理論』有信堂高文社
前田雅英
1984 「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事
由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』55巻1号
横井芳弘
1976「労働事件にみる村上コートの思想と論理」『労働法律旬報』908号
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