安倍首相の労働時間規制のこだわりは異常だし最悪の政策だと思う(その1)
安倍政権の経済対策が閣議決定されたが、最低賃金引き上げと労働時間規制(時間外労働の上限規制を検討)という政策を推進するというのが非常に不快である。
最低賃金制度は社会党や総評の政策を自民党が妥協して呑んだもの。これにこだわる安倍首相はまさに社会主義者であって自由主義者ではない。
3日の内閣改造で「働き方改革担当相」というポストを新設するというが、本来労使関係に任せるべき問題を政府が強く干渉して労働時間規制という意思自治、契約の自由に反する政策を実行するとはまさに自由主義、自由企業体制に敵対するのものだといわなければならない。
共産党亜流の政策をやろうとしているのである。「働き方改革」は共産党の公約にもあって週当たりの時間規制や一定時間の勤務間インターバルの実施、大筋で違いはない。これまでブラック企業対策だの、時間外労使協定を超えた残業をさせている企業の摘発とか共産党に迎合する政策をさんざんやっておいて、そのうえにまた時短というのである。
新自由主義的な「働き方改革」脱時間給、ホワイトカラーエグゼンプションの導入、労働基準法の罰則規定とか規制撤廃なら話はわかるが、安倍政権が目指しているのはそれとは逆の規制強化でプロビジネスではない。これでは外資は呼べないし、景気浮揚もない。
とくに深刻なのは、勤勉に働くというモラルを転覆させかねないこと。プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神を引くまでもなく、ウェーバーのいう自己を滅して仕事献身、禁欲的に、より困難な仕事に、より完璧な仕事をめざすことが自己実現というエートスがあって近代市民社会があるわけで、英国コモンローの営業制限の法理では勤勉に働くこと奨励することがパブリックポリシーと宣言している。(実際、サッチャー、メジャー政権では年少者以外労働時間規制はなかったし。メジャーは最低賃金制度も廃止した)
時間を制限すれば、やっつけ仕事、剽窃、手抜きになるし、腕を磨いていく時間もなくなる。達成感のない積み残しでは、労働者自身の内部労働市場での評判も悪くなり結果的に損をするのは働き手である。どんな仕事でも最初はつまらなくても、週70時間ぐらい熱中して仕事をすればおもしろみも出てくるものだ。熱中しないと本当によい仕事はできない。現代では、顧客第一主義のため、権限委譲が進んでおり組織もフラット化していて、複数以上の分野の仕事も同時にこなして高業績が求められる時代である。時間が規制されたら業績は達成できない。とりわけ知的職業ほど。
特に男性は職業上の地位が社会的威信でありワークライフバランスなんて云っていたら人生で成功することなどありえない。
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