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2016/09/07

地方公営企業職員の争議行為及び争議付随行為に対してどのような責任追及ができるか(下書)その11

イ.違法争議行為をした個人に対し責任を問える否かについて下級審判例と学説
 ここでは懲戒責任を問えないとするプロレイバー学説(多数説)をA説、懲戒責任を問えるとする学説をB説とする
①A説を採用した下級審判例
七十七(しちじゅうしち)銀行事件第仙台地判昭45・5・29労民集21-3-689
「懲戒は個別的労働関係において遵守が期待される就業規則ないし服務規律違反について個別労働関係の主体たる地位においてその責任を問うものであるから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員の行為は、それが正当な組合活動であれば違法な行為(殺人、放火、暴力行為等その違法が明白かつ重大でももはや社会的に組合活動と評価できない行為をいうのではない)であっても、労働組合の行為として不可欠のものと認められるかぎり、これを組合員個人の行為として懲戒責任を問い得ないのである。‥‥このことは、組合幹部が機関活動として行う行為についても当然いえるのであって、組合幹部の故に使用者との関係で特別に重い企業秩序維持に対する責任を負うべき合理的根拠はなく、したがって、組合幹部がその権限と義務とに基づいて行なう行為、例えば争議行為の企画、提案大会における推進、争議中の指令、指揮等はたとえその争議行為が違法であっても、機関の活動として団体たる組合自身の行為と評価すべきものであるから、個人として使用者から懲戒責任を問われるべき性質のものではない」
 判旨はたとえ違法行為であっても組合員個人の責任を問い得ないというプロレイバー学説を採っており、これが政治ストを是認した唯一の下級審判例という特異な判例であるが。昭和53年7・18全逓東北地本事件最高裁第三法廷判決で明確に否定されたので、組合側が七十七銀行事件判決を根拠に懲戒処分に反対することはできない。
②A説籾井常喜1962「使用者による争議責任追及の限界」季刊労働法45号

「争議中にあっては、労働者には、使用者の指揮・支配から公然と離脱する権利が保障されているのである。したがって、争議中、組合の統括のもとでおこなった組合員の行為にたいしては、使用者の労務指揮の権限が及ぶいわれはない‥‥組合員の行為は、単に個々の組合員の行為おこなう組合員の集積というべきものではなく、団結意思に基づく団体行動なのである。それは個人的行為に還元できない、質の全くちがった行動様式であり‥‥この団体行動の性質は、それが違法だからといって個人的行為に分解されるべき筋合のものではない‥‥‥」
③A説片岡曻「懲戒権の根拠と限界」『菊池勇夫教授六十年祝賀記念 労働法と経済法の理論』有斐閣1960所収469頁以下
「‥‥服務規律の維持を目的とする就業規則の規定を争議中の労働者の行為に適用して懲戒処分を行うことは許されない‥。‥‥‥争議時に当然適用を排除せらるべき服務規律については、労働者側に個人としても団体たる労働組合としても懲戒その他の責任を生じる余地がない。‥‥団体たる労働組合の行為としての争議行為のように、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であり、従って個別労働者としての地位において責任を問いえないものについて懲戒の責任を問題とする余地がないものと考える。つまり、労働組合内部の正規の機関の指示や決定にもとづく行為はもちろん、かりに明示の指示・決定がない場合にも、組合の活動として判断せられうべき目的・態様のもとになされたと認められる場合は、労働組合の行為といわなければならないから、もはや関与した個々の労働者につき懲戒の責任を問うことは許されない」
④A説片岡曻1969「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法73号14頁
「たとい労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、これを独立の行為として、使用者との関係における個別契約法的評価にさらし、使用者からの懲戒その他の民事上の責任の追及を許容することはできない‥‥」
⑤A説川口実1959「違法争議行為と懲戒」季刊労働法32号
「‥‥争議行為は『二面的に集団的な本質』をもっているから、個別的な関係を規律する就業規則の懲戒条項を適用する余地はない。‥‥殺人・放火というような争議行為からはみ出た行為のみ非難すべき‥‥違法争議行為の責任についてはせいぜい組合が損害賠償責任を負うにとどまると解すべきである」(ただし後に改説)

⑥A説橋詰洋三1971「官公労働者の労働法上の地位-現業公務員を中心に-」判タ263

27頁「‥‥争議行為は、これに参加する個々行為の単なる総計ではなく、それを超絶した一個独自の集団行動として社会的・政治的に機能し、かかるものとして法的に評価の対象となり、従ってその正当不当、または合法違法を評価しうるものではない‥‥」

⑦A説山本博1971「公務員の争議行為責任の法理」法律時報43巻12号

22頁「‥‥国公労法の諸規定は‥‥個別公務員の一般的服務関係に関するものであることは明らかである。争議行為はこのような一般的服務の否定の上に立つところの異質の集団的現象である‥個別公務員の一般的服務に関する規定を拡張彎曲して適用しようとするのは解釈論としても合理性を欠く」
ほかにもあるが引用はこの程度にとどめる。上記の学説はいずれも階級的でミリバントな労働運動を支援する学説で、集団的組織的行為であっても個人の個別の責任が逃れられるとしいのは市民法の論理に反対するものであるが、全逓東北地本判決で明確に否定された。

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