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2019/01/13

入手資料整理192

11157武井寛「大阪市庁舎内組合事務所不許可処分と労使関係条例-条例制定による「便宜供与」廃止」季刊教育法251 2015
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 呉市立中学校判決の判断枠組、大阪市労使関係条例の評価、施設管理権とアナロジーで行政庁の裁量を語ることができることなど原審(大阪地裁平26・9・10)と控訴審(大阪高裁平27・6・26)双方の批評である。著者は高裁判決や大阪市の条例に批判的だが、私は高裁判決を評価し、なるほど大阪市労使関係条例は、地方自治法との整合性につき疑問との批判があるにせよ、結果的に合憲・適法との司法判断をたことの意義は大きいとみる。
 本件は、4つの事件からなる。
第1事件・平成24年度の組合事務所使用不許可処分を団結権等の侵害とし国家賠償法条の損害賠償金の支払いを求めるもの。第2事件が不許可処分後も組合事務所として占有している事務室部分について明け渡しを求めるとともに不法行為に基づき使用料相当損害金の支払いを求めるもの。第3・4事件が、大阪市労使関係条例制定後の平成25・26年度の組合事務所使用不許可処分を団結権等の侵害とし国家賠償法条の損害賠償金の支払いを求め、加えて第4事件は許可処分の義務づけを求めた。゜
 原審は第1、3、4事件の不許可処分を取り消し、許可処分を義務づけ、無形損害を認め、第2事件は却下。労働組合等の便宜供与を禁止する大阪市労使関係条例を適用違憲とする。
 高裁は第1事件のみ原審の判断を維持し、第3~4事件は地裁の判断を否定、同条例を合憲であり、労組法や地公法にも違反しない「適正かつ健全な労使関係の確保を図るため」「法的権利とはされていない労働組合に対する便宜供与を一律に禁止するのは不相当とはいえない」として、組合事務所を退去させ行政事務スペースを確保する必要を認め、使用不許可処分を適法としたうえ、第2事件も地裁の判断占有部分の明け渡しと使用料相当の損害金の支払いを命じた。
 団結権等に支障を及ぼす支障の有無・程度をも考慮すべき要素としているのは、原審、高裁も同じだが、原審(地裁判決)には「団結権等を侵害するおそれがないか配慮しなければならない」という言辞があり、最高裁が認めてはいない配慮義務に言及したのは組合に寄りすぎる説示といえる。高裁は、労組法は便宜供与を受ける権利を組合に付与するものではないし、問題となるのは、組合を嫌悪し、弱体化する意図、不当労働行為であるが、原審がH市長に団結権を侵害する意図が継続的にあったとするのに対し、高裁は、H市長は労使癒着の構造を改め、市民感覚に会うように是正を求めたのであって、組合を嫌悪し、支配介入する意図までは認められないとする。ただし、第1事件についてのみ市長が3ヶ月前に何の前触れもなく不許可を方針を示し、事務方の説明も詳細に亘るものではなく、あまりに性急だったとして、社会通念に反し違法としたのである。
 これは私の見解だが、本件は行政庁の庁舎管理に関する事案だが、高裁判決は大筋で、一般私企業の施設管理権判例の判例法理とのアナロジーで行政庁を裁量を語ってよいことを示しており、それゆえ、行政財産の先例(地方自治法238条の4第7項の目的外使用不許可処分)である呉市立中学校事件の判断枠組みのみならず、札幌地本事件最三小判昭54・10・30民集33-6-676(ビラ貼り戒告処分を適法とする)、済生会中央病院事件最二小判平元・1・12・11民集43-12-1786(無許可集会警告を適法とする)、オリエンタルモーター事件最二小判平7・9・8判時1546号130頁(無許可食堂利用拒否を適法とする)といった私企業の代表的な先例を引用している。これらの先例は、団結権等との法益権衡による調整的アプローチを否定しており、許諾のない労組の勝手な施設利用は正当な組合活動でないと判示するものである。
 原審のような、団結権等への配慮云々という判断枠組は先例に反する。もしも原審の判断が維持されたとするならば、許許諾施設利用は、労働条件によって正当化されないとする一般私企業の判例法理と著しく乖離したものとなった。
 この点、高裁は最高裁の先例に沿った無難な判断をとった。団結権等に支障を及ぼす支障の有無・程度をも考慮すべき要素とすることについて原審同様に認めるとしても、オリエンタルモーター事件最二小判平7・9・8が説示する「使用者が労働組合による企業施設の利用を拒否する行為を通して労働組合の弱体化を図ろうとする場合に不当労働行為が成立し得ることはいうまでもない」(総合花巻病院事件・最一小判昭60・ 5・23労働委員会関係裁判例集20集164頁という先例にもとづくと考えられる)のと同様の趣旨と理解してよいたろう。 
11158奥宮京子・高橋哲也「市長と労組、事務所退去をめぐるバトルの行方は?」判例地方自治 407 2016
高裁と原審と双方に言及、比較的平易
11159大島佳代子「大阪市労使関係条例に関する条例12条の合憲性」新・判例解説Watch憲法№4 17巻 2015 地裁の判批
11160人見剛「大阪市労使関係に関する条例に基づく学校使用不許可処分の違法性」法学セミナー726 条例12条は比例原則に違反し違法無効とする論理構成もありえたとする。。
2015
11161奥宮京子・高橋哲也「はんれい最前線 余裕教室の活用施策をめぐる対立に司法判断 : 教育委員会が学校法人等に対し行った学校施設目的外使用の使用料免除は適法 : 裁判所[東京地裁平成25.6.11判決]判例地方自治392 2015
目的外使用についてわかりやすい解説
11162 渡部正和「施設利用の組合活動と違法性--最高裁昭和54年10月30日判決に関連して」警察学論集 33(3) 1980
 ビラ貼りのみならず、オルグ活動での立ち入りにも言及したうえで、労働法上の違法と刑法上の違法との違いを説明。有益だ。

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