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2019/01/27

地方公営企業に適用できる施設管理権(庁舎管理権)や行政財産の目的外使用許可の裁量等の判例法理(その5)

第4 組合活動類型ごとの検討

 

一 組合集会

 

1 .総論


(要旨)

 ○施設構内の無許可組合集会が正当な組合活動とされることは、5つの最高裁判例が否定している以上ありえない。中止・解散命令・監視・警告書交付は適法なので躊躇する理由はない。

 ○法益権衡論の調整的アプローチは明確に否定されている

 ○懲戒処分とするには就業規則を具備しているうえ、「実質的に企業秩序を乱すおそれ」という抽象的危険説にもとづく説明ができけば違法とされることはまずない。

 ○例外的に施設利用拒否を支配介入としたり、過度に重い不利益処分の事例で違法とする判例もあるが、あくまでも企業秩序の維持を理由とするもので、適切な量定であれば懲戒処分が無効とされることはない

 

 

1.最高裁5判例は無許可集会を明確に正当な行為でないと判示

 

 

 

 最高裁の5判例(●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58・12・20、●池上通信機事件・最三小判昭63・7・19、●日本チバガイギー事件・最小一判平元・1・19、●済生会中央病院事件・最二小判平元・1・29民集43巻12号1786頁、●オリエンタルモーター事件・最二小判平7・9・8判時1546号130頁)は、決定的な意義があり、 国労札幌地本判決の判断枠組により、企業施設内(屋外含む)の勤務時間内、勤務時間外も含めて、無許諾の組合集会は正当な組合活動ではないから、施設利用の拒否、解散命令、監視、警告書交付等は不当労働行為に当たらないと判示しており、労働委員会等が主張する法益権衡の諸般の事情を勘案する調整的アプローチを明確に排除しているので、有益な先例である。特に最高裁が理論的説示をしている済生会中央病院事件とオリエンタルモーター事件は指導的判例の位置づけである。

 

 

 

2.懲戒処分とする場合に注意を要すること

 

 

 

 ただ、注意を要するのは、上記の最高裁5判例は、懲戒処分事案ではなく、無許可集会強行しただけの理由で懲戒処分に処す例はさほど多くないため、懲戒処分事案の先例も検討しておく必要がある。いずれも就業規則等がよく整備されている事業所の判例といえる。

 

 無許可集会強行、無許可入構強行を懲戒処分事由として判列としては、最高裁判例で●米軍立川基地事件・最三小判昭491129集民113号235頁があるほか、国労札幌地本判決の枠組を引用した級審判例では、●東京城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6労判442号、●JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件 ・大阪地判平12・3・29がある。

 

 施設管理権の侵害というよりは争議行為の慫慂の事案だが●熊本地方貯金局事件 熊本地判昭和63・7・18 労判523号27頁が、ストライキの前日午後0時35分ころから局玄関前広場において、全逓組合員約500名が無許可集会を行った際‥‥局管理者の解散命令を無視してあいさつを行った後、団結ガンバローを三唱の音頭をとった等が、全逓熊本地方貯金局支部支部長(郵政事務官)に減給1/10(6か月)の懲戒事由の一つとなっている。

 

 無許可集会を実行したうえ、違法争議行為に参加すれば当然懲戒処分事由となることはいうまでもない。

 

 もっとも、懲戒処分事由とするには、目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭521213民集317974の「実質的に秩序をみ乱すおそれのない特別の事情」が認められれば懲戒処分は無効とするという判断枠組をクリアする必要もある。

 

 この判断枠組は、抽象的危険説を採用しているので、企業秩序・風紀を乱すおそれという抽象的な説明ができればよく、具象的な業務阻碍がなくてもよいのであるから、クリアするのは容易である。

 

 東京城東郵便局事件のように公労法17条1項で争議行為を禁止されていた郵政省現業の事例で、ストライキが予定され闘争を行っている状況で、組合集会を許可することは、違法行為を助長するおそれがあるので「特別の事情」は認められていない。このことは、地公労法18条1項が適用される地方公営企業も同じことである。

 

 職務専念義務違反もしくは他者の職務専念義務を妨げるおそれのある場所において、勤務時間中(済生会中央病院判決)もしくは、勤務時間中の労働者と、そうでない労働者が混在する時間帯の集会(日本チバガイギー事件)であれ先例は「特別の事情」を認めていない。

 

 一方、例外的に施設利用拒否や無許可集会に対する不利益処分が違法とされた事例としては、◯総合花巻病院事件・最一小判昭60 523のように組合の利用申し入れを拒否したことはなかったにもかかわらず、突然不許可としたのは、組合が上部団体に加盟したことを嫌悪しこれを牽制、阻止するためと認定され、支配介入とされている。◯アヅミ事件・大阪地決昭62・8・21労判503号25号は他の労組やサークル活動と異なる処遇のうえ懲戒免職のような重い処分である。○金融経済新聞社事件・東京地判平15・5・19労判858の役付(営業局参事・次長心得)を解く降格処分としたケースで違法とされている。

 

 とはいえ、この種の例外を過大評価する必要もないのであって、慎重な立場をとるとしても、中止・解散命令や監視、警告を躊躇する理由はなく、ただ、実際に懲戒処分事由とするのは、明らかに企業秩序をみだすおそれのあった無許可企業施設利用にしぼり、過重にならない量定の処分なら安全運転といえると思う。 

 

 

 

(二)各論

 

 

 

1.勤務時間中の無許可集会-正当な組合活動とされる余地なし

 

 

 

●済生会中央病院事件・最二小判平元・1・29民集43巻12号1786頁は、原審の勤務時間中を含む無許可職場集会に対する警告書交付を不当労働行為とした部分について破棄自判した判例だが、「一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。したがって、労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。」としたうえで「病院が本件職場集会(‥‥)に対して本件警告書を交付したとしても、それは、ひっきょう支部組合又はその組合員の労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから、病院(上告人)の行為が不当労働行為に該当する余地はない」と断言した。

 

 

 

 

 

2.違法行為を助長するおそれにより集会を不許可とすることは適法であり、集会開催強行は懲戒事由になる 

 

 

 

●東京城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6労判442号45頁

 

 時間帯からみて勤務時間中の集会の範疇といえなくもないが、それは全く問題にもなっていない。

 

 本件は不許可集会強行、欠勤、管理職らに対する暴行を懲戒理由とする郵政職員2名に対する免職処分の取消が訴求された事案で処分を適法としたものである。

 

 昭和4252日、全逓中央本部からの指導により、合理化反対闘争等に向けての団結を強めるため、各課単位で集会を開催することを決定し、これに基づき、郵便課、保険課等で順次集会が開催され、集配課分会においても右の集会を開催するため、同月9日、同課分会執行委員名義で局長に対し、いずれも組合業務を目的として城東局会議室を同月11日及び12日の両日使用したい旨の庁舎使用許可願を提出したか、局長はストライキ体制確立後の組合への便宜供与を認めない東京郵政局の指示に従って許可しなかった。にもかかわらず同月11日午後後47分から516分ころまで、同会議室において、集配課員約四〇名による職場集会が強行された。

 

 裁判所の判断は、不許可集会の強行について、国労札幌地本判決を引用して、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法171項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、事案の会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないと判示した。

 

 

 

3.休憩時間・就業時間外等の組合集会等で正当な行為とされなかった事例

 

 

 

●米軍立川基地事件・最三小判昭491129集民113号235頁

 

●三菱重工事件・東京地判昭58・4・28労民集34巻3号279頁労判410号46頁

 

 昼休み中の無許可集会・ビラ配布は労働協約に違反し許されないと判示。

 

●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58・12・20判時1102号140頁は、休憩室あるいは予備室を利用した職場集会に対する解散命令及び監視行為は不当労働行為に当たらないとする原審の判断を支持したものだが、解散命令が行われた集会というのは以下の2件である。

 

 

 

 集配課休憩室-休憩時間中の全逓組合員約780名が昭和40510日午後035分ごろから

 

 年賀区分室-67515分ごろから545分ごろまで。611日午後020分~055分ごろまで

 

 

 

 いずれも、休憩時間か就業時間外の時間帯だが、年賀区分室の集会について職制は勤務時間中の者がいるかを監視しており、勤務時間のシフトで勤務時間中の者もいる時間帯といえる。最高裁は、休憩時間の集会の解散命令を是認しているのである。

 

 

 

●池上通信機事件・最三小判昭63・7・19判時1293号173頁

 

 

 

 組合集会のための食堂の無許可使用に対する社内放送の利用による中止命令、警告書の交付、集会開催の妨害などを不当労働行為に該当しないとした事例(出典:日本評論社:法律時報臨時増刊「判例回顧と展望」)

 

 本件は昭和5459日、会社の食堂使用不許可通告の後、組合は午後 5 時半過ぎから組合集会を川崎工場食堂で開催しようとしたが、会社側に阻まれ、結局実質的な合同集会は開かれなかった。また、食堂内にいた組合員に対しても会社側は 20 分おきくらいにスピーカーにより集会中止命令をだして集会を妨害した等の事案なので就業時間外の組合集会である。

 

 

 

●日本チバガイギー事件・最小一判平元・1・19労働判例533号17頁

 

 本件は組合が本部社屋一階の食堂を午後5時から使わせてほしいと申入れた。しかし、会社は、工場部門の終業時刻は午後5時であるものの、本部の終業時刻は午後545分であるから、それまでは本部への来客もあり、また、本部の会議室として食堂を使用することもあるので、午後6時以降の使用しか認められないと回答した。そこで、食堂の使用が業務上どうしても都合が悪いのであれば、屋外での報告集会の開催を認めてほしいと申入れた。これに対して会社は、屋外集会であっても本部の従業員の執務に影響する等、施設管理上の理由から屋外集会の開催を拒否した事案で、本件食堂の使用制限及び屋外集会開催の拒否が施設管理権を濫用したものとはいえず、不当労働行為には当たらないとした原審の判断を維持。

 

 本件の集会参加者は勤務時間外だが、本部棟は勤務時間中という状況での集会開催不許可を適法とした事案である。

 

 

 

●国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件・東京高判平429労判61729

 

 東京駅構内における国労の非番者無許可集会の現認・警告メモ、写真撮影を不当労働行為に当たらないとした公労委命令を支持した原判決維持。

 

 

 

●オリエンタルモーター事件・最二小判平7・9・8判時1546号130頁裁判所ウェブサイト

 

 使用者が、労働組合の結成通知以来約九箇月にわたり、組合からの許可願の提出があれば業務に支障のない限り従業員食堂の使用を許可していたところ、就業時間後食堂で行われていた組合の学習会の参加者の氏名を巡回中の守衛が記録したことに反発した組合執行委員長らが右記録用紙を守衛から提出させたことを契機として、組合による食堂使用を拒否したのに対し、組合が、使用者が食堂に施錠するまで五箇月近くの間、無許可で食堂の使用を繰り返し、その間、使用者は食堂の使用に関し施設管理者の立場からは合理的理由のある提案をしたが、これに対する組合の反対提案は組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であったなど判示の事実関係の下においては、使用者が組合に対し組合集会等のための食堂の使用を許諾しない状態が続いていることは、不当労働行為に当たらないとしたもので、就業時間外の組合活動の事案といってよい。

 

 

 

●JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件 ・大阪地判平12・3・29労判790

 

大阪第三車両所に勤務し、JR東海労組の組合員であったX1(組合大三両分会書記長)及びX2(同分会副会長)が、組合員約三〇名とともに、ストライキの決行日の早朝に、企業施設内に入構しようとしたところ、就業規則の規定(争議行為中の関係組合員の会社施設内への立入り禁止等)に基づいてその入構を拒否され、退去命令が出されたが、警戒員らの抑止を実力で排除して入構し、退去通告に従わず、約三〇分間にわたって施設内に滞留し、暴行を働き、暴言を吐くなどしたため、懲戒解雇されたがことから(Xら以外の組合員の一部は勤停止及び戒告処分)、本件懲戒解雇は無効であるとして雇用契約上の地位確認及び賃金支払を請求した事案で、請求を棄却(「被告は明示に業務と関係のない原告らの入構を拒否しているし、原告らの入構目的が組合活動を行うことであったとしても、会社施設内における無許可での組合活動は禁じられているのであるから、入構が正当な組合活動の一環であったともいえず、これを拒否した被告の措置が施設管理権を濫用するものとは到底言い難い」とする。

 

 

 

 

 

4.例外的に集会使用拒否等が不当労働行為とされた事例及び無許可集会の実施等を理由とする処分を無効とした事例

 

 

 

○総合花巻病院事件・最一小判昭60 523労働委員会関係裁判例集20164頁 

 

 6年余の間、病院は、毎年多数回にわたり、その都度の許可をもって、組合の執行委員会および総会のため、講堂、磨工室、地下の手術室等の病院施設の無償利用を認め、組合の利用申し入れを拒否したことはなかったにもかかわらず、突然不許可としたのは、組合が上部団体の医労協に加盟したことを嫌悪しこれを牽制、阻止することためであった、組合運営に対する支配介入にあたるとした原審の判断を是認している。

 

 病院長は院長室に組合委員長、書記長、副委員長などを呼び、医労協に加盟しないよう説得、依頼し、書記長には出産祝を名目に一万円、副委員長に新築祝を名目に二万円を供与した事実があった。

 

 

 

○アヅミ事件・大阪地決昭62・8・21労判503号25号

 

 本件は、研修命令拒否、職場放棄、配転命令拒否等を理由としてされた懲戒解雇を無効とした判例だが、懲戒事由のひとつが、アヅミ労組を脱退し結成された全大阪産業労組アヅミ分会が1回目は使用不許可の指示に反して、2回目は無断で食堂を使用したという事案であるが、食堂は、アヅミ労組やその他のサークルが、事前の届け出をなすことにより、比較的自由に使用されており、本件は勤務時間外かつ食堂の営業時間外に行われる10名前後の集会であるなにもかかわらず、正当な組合と認めていないという理由で不許可とするのは権利の濫用にあたる。また集会が正当な組合活動であるとも判示する。

 

 

 

○国産自動車交通事件・最三小判・平6・6・7労働法律旬報NO.1349は施設管理権に言及することなく、タクシー労働者を組織する「新協力会」が賃金のスライドダウンに反対するため無許可で会社構内(空地)を約三時間半にわたって占拠して開催した臨時大会(出番者も多数参加)に対して、会社が幹部を懲戒解雇した事案で、違法な争議行為あるいは組合活動ではないとして、解雇を無効とした東京高裁平成3年9月19日判決(前記『労働法律旬報』所収)の判断を是認している。高裁の判断は、本件は就労を予定していた者(出番者)も多数参加したことから、実質ストライキであり、構内を無断で使用したことは責任を免れないとしても、それにより大会開催によるストライキが違法にはならないというもの

 

 

 

○中労委(倉田学園学園事件)・東京地判平9・2・27労民集48巻1・2

 

号20頁裁判所ウェブサイト

 

 小会議室の利用に対する警告書の多数回の交付や使用者の退職勧奨行為等につき、いずれも組合の弱体化を意図して行われたものであるなどとして、労働組合法7条3号の支配介入に当たるとした。「‥‥原告が許可制にあくまで固執したのには、組合に対する否認的態度ないし不信感がその根底にあることはK理事等の発言から十分に窺い知ることができるのであり、組合も、職場集会開催にあたっては、当日又は前日に届出をし、その回数も月二ないし三回で、利用時間も始業時刻前又は終業時刻後の約二時間で、集会内容も団体交渉内容の報告等であったというのであり、その間、非組合員の入室を拒否したこともなければ、小会議室の本来の使用目的である職員の娯楽、懇談等の障害になるとの非組合員からの苦情が寄せられたことも認められないし、また、教育上好ましくない結果が生じたとか、学園業務の阻害になったとの事情も認められないというのであるから、組合に譲歩の余地のあることは勿論であるが、原告にも譲歩の余地がないとはいえない。このような状況下で原告が組合に対し、就業規則違反を理由に本件警告書を多数回に亘り交付したということは、被告の認定・判断しているとおり組合の弱体化を企図した行為であり、不当労働行為に該当すると判断されてもやむを得ない‥‥」

 

 

 

〇金融経済新聞社事件・東京地判平15・5・19労判858

 

 休憩時間中の無許可集会強行、始末書提出拒否を理由とする役付(営業局参事・次長心得)を解く降格処分を無効としたのである。

 

 

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