公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2019/08/04

公務員及び公企体職員等の争議行為の合憲性判断の変遷と争議行為及び関連する組合活動の刑事事件主要判例の検討(その2)

(承前)


(二)判例法理で明確に否定されたプロレイバー学説に依拠した労務管理をすべきではない

 

2.主なプロレイバー学説


組合側は、プロレイバー学説によって企業の業務指揮権や施設管理権を掣肘することにより職場を支配しようとする。しかし以下の学説は判例によって明確に否定されているから組合の言い分を聞く必要は全くない。


 2-1.争議行為時に業務運営=業務命令ができないという説について

  
(要旨)
 組合側の論理として闘争時に職場を支配するため、管理者が業務命令することは労働基本権の趣旨に反し不当と主張することがありうる。プロレイバー学説では、争議行為は業務の正常な運営を阻害する行為という性格側面を持つとし、したがって争議時にも平常時と同様操業の自由が法的保障を受けるとすれば、操業の妨害を通じて要求貫徹を図る争議権の構造を否定し、操業妨害の効果を減殺させる争議対抗行為を、使用者に争議権が保障されていないのに認めることになるという理屈が根拠になっている。
 しかし 最高裁は、朝日新聞小倉支店解雇事件・最大判昭27・10・22民集6-9-857等初期の判例から争議時において操業=業務の運営が使用者の自由であることを否定しておらず、決定的には山陽電軌事件・最二小決昭53・11・15刑集32-8-1855において「ストライキ中であっても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができる」と操業を維持する使用者の権利を明示したので、争議行為時に業務運営=業務命令ができないという組合側の主張に同調する理由はない。

(1)最高裁判例はストライキ中の操業も使用者の自由であり刑法上保護されるとする

 平常時における操業=業務の運営が使用者の自由に属することはいうまでもないが、争議時において操業=業務の運営が使用者の自由が認められているかについて、学説は見解が分かれ、多数説は操業の自由を否定する立場(プロレイバー学説)で、争議中の操業は、市民的自由権ではあっても争議権との対抗の中では権利性を失い、法律上の特別の保護を受けることのない事実行為ないし自由放任行為にすぎないとする。
 片岡曻「使用者の争議対抗行為」労働法実務体系6 106頁、本多淳亮「争議中の操業について」労働法16 100頁、浅井清信 労働法論208、近藤正三「争議中の操業と施設管理権」浅井還暦労働争議法論がこのような立場である。
 しかし、判例は早くから操業の自由を肯定してきた。最高裁判例では、朝日新聞社西部本社事件(朝日新聞小倉支店解雇事件)最大判昭27・10・22 民集6-9-857(組合員外の者の作業を暴行脅迫をもって妨害するような行為は、同盟罷業の本質と手段方法を逸脱したものと判示)、羽幌炭礦鉄道事件・最大判33・5・28刑集12-8-1694(争議続行決議に反対して脱退した組合員が結成した第二組合に加わった労働者+非組合員による操業に対する実力ピケにつき威力業務妨害罪の成立を認めた)、横浜駐留軍事件・最二小判昭33・6・20刑集12-10-2250(非組合員+争議に加わらなかった組合員に対する就業の妨害につき威力業務妨害罪の成立を認める)等が挙げられる。
 最高裁はさらに山陽電気軌道事件・最二小決昭53・11・15刑集32-8-1855においてストライキ対抗措置としての操業行為は完全に法的保護の対象となると説示した。事案は昭和36年春闘に際し、私鉄総連系の私鉄中国地方労働組合山陽電軌支部組合(約500名)のストライキが必至の情勢になったところから、会社側は第二組合の山陽電軌労組員(約800名)によるバス運行を図るため、支部組合のスト突入に備え、第三者の管理する建物等を選び、営業の終わった貸し切り車等から順次回送する方法で数カ所に車両を分散し、保全管理したため、労使で車両の争奪戦となり、多数人による暴力を伴う威力を用いて会社が回送中又は路上に駐車中のバスを奪つて組合側の支配下に置きあるいは多数の威力を示して会社が取引先の整備工場又は系列下の自動車学校に預託中のバスを搬出しようとして建造物に侵入した本件車両確保行為につき、上告審決定は威力業務妨害罪、傷害罪、建造物侵入罪の成立を認めた原判決を是認した(なお山陽電軌は後にサンデン交通と改称)。
 決旨は「使用者は、労働者側の正当な争議行為によって業務の正常な運営が阻害されることは受忍しなければならないが、ストライキ中であっても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができると解すべきであり‥‥使用者が操業を継続するために必要とする業務は、それが労働者側の争議手段に対する対抗措置として行われたものであるからといつて、威力業務妨害罪によって保護されるべき業務としての性格を失うものではない」と説示し、ストライキ中の操業が法的に保護されることは、組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置であるという理由で業務性を失うことはないと明示したことでこの問題は決着がついているのである。

 

 

(2)最高裁判例は業務命令によりスト参加者の代務を行う者の業務も刑法上保護されるとする


 上記の判例は争議権が認められている私企業の事案である。一方、公務員は争議行為が禁止されているのに、プロレイバー学者や組合側が争議中の業務命令を認めないと強気に主張していた理由は、全逓東京中郵事件・最大判昭41・10・26、都教組勤評事件・最大判昭44・4・2刑集23-5-305等が、公務員の組合にも争議行為を正当業務と認めたとの解釈を可能にしたためである。
 しかしながら、重要なことは、公労法違反の争議行為にも刑事免責が適用されるとした東京中郵判決の判例が維持されている時点でも、争議行為に対抗して代替業務者に業務命令することにより操業を維持することについて業務性を認め刑法上保護している判例が多数存在することである。動労糸崎駅事件・最一小決昭51・4・1刑事裁判資料230号215頁や、動労鳥栖駅事件・最三小決昭50・11・21判時801号がそうである。
 昭和38年12月13日、動労は全国7拠点(函館・盛岡・尾久・田端・稲沢第二・糸崎・鳥栖各機関区)で19時より2時間 勤務時間内職場集会(事実上の時限スト)を決行した。尾久、糸崎、鳥栖のマスピケの裁判例が知られている。

 国鉄は本件闘争に備えあらかじめ同じ動労の指導機関士を確保して代替乗務を命じており、代務の乗務員を職場大会(スト)に参加させるための動労によるマスピケについて威力業務妨害罪の成立を認めている。つまり、動労組合員である指導機関士が動労のスト指令に従わず、国鉄当局の業務命令によって、スト参加者の代替乗務員として列車を運転することは刑法上保護される業務とされており、争議行為時の業務命令は不当なものではないことは明らかである。

 ここでは動労鳥栖駅事件をピックアップする。門司鉄道管理局は、動労が時限ストを実施する情報に接し、機関車乗務員が勤務につかない場合に備え、管内から26名の指導機関士を集め、これを業務命令で代替乗務員として鳥栖駅に出張させること、現地対策本部を設置して門鉄局運輸部長を本部長にあて、鉄道公安職員合計約200名を動員し、警備に当らせること等を決定し、対策本部長は、19時から21時までに勤務すべき機関車乗務員が動労側によって市内某所の旅館に軟禁されていること、および鳥栖より乗務する長崎発京都行急行「玄海」号の機関車乗務員(当時は鳥栖でSLから電気機関車に付け替え発車する)が当日出勤していない旨の報告を受けるや、前述26名の指導機関士の一人であるS機関士(門司機関区所属の指導機関士であるが、動労組合員である)に対し、機関車(発機)を運転するよう命令し、対策本部長が先頭に立つて、同機関士が動労組合員らによつて連れ去られないように、数十名の鉄道公安職員に擁護させながら同機関士を誘導し、機留線にある発機に乗車させたのである。
 Sの運転する急行「玄海」号が定刻19時30分より五十数分遅延して発車しようとするや、組合員数百名と共に同列車進路前方の線路上軌条両外側の枕木付近にスクラムを組んで立ち並び、且つ、かけ声を発して気勢をあげ、その発車を阻止する行為等を指揮した動労中央執行委員と、動労西部地方評議会議長につき、威力業務妨害罪の成立を認めた福岡高判昭49・5・25判時770を上告審決定は是認している。
 このように国鉄当局は、時限ストに拱手傍観していない。ストに備え代替乗務員を確保し業務命令を発し、警備と実力ピケ排除のため鉄道公安職員を動員して、列車運行業務を遂行する労務管理は正当なものとされたとみてよい。

 

 

(3)最高裁判例は、公務員が争議行為に参加する場合、上司の就労命令等に従わないと、上司の職務上の命令違反として懲戒処分できるとしている以上、争議時に職務命令ができないなどということはない


 さらに神戸税関事件・最三小判昭52・2・20は、昭和36年の勤務時間内くい込み集会、繁忙期の怠業、超過勤務拒否等の争議行為等に指導的な役割を果たした全税関神戸支部幹部三名の懲戒免職処分を適法としたものであり、刑事事件の全司法仙台事件 最大判昭44・4・2刑集23-5-685を判例変更した全農林警職法事件・最大判昭48・4・25刑集27-4-547の判旨(争議行為の禁止とは違法とされるものとされないものを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものを区別したうえ、刑事制裁を科せられるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るとする判断を否定)にそって、争議行為は全面的に違法とする前提なので、操業の自由の問題に踏み込まずとも、税関当局のとった勤務時間内職場集会に対して事前の警告や、集会当日も懸垂幕の掲出とともに、携帯マイクにより就労命令を行っていることが適法であることを前提として、上司の職務上の命令に従う義務違反としての懲戒処分を是認しているので、就労命令違反の懲戒処分を認めている以上、争議行為中は業務命令できないとする説は完全に退けたことになるのである。
 
 
 

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