妻は婚入配偶者として夫の家に入るのであるから夫婦同氏が日本の慣習に合致しているとの明治民法の立法趣旨は正しい
明治民法起草委員の梅謙次郎は法典調査会で、漢土法に倣って夫婦別氏とすべきという一部の意見に強く反対し、日本の慣習では妻が夫の家に入ることが慣習である以上、実家の苗字を唱えることは理屈にあわないとはっきり言っている。
「支那ノ慣例ニ従テ、妻ハ矢張リ生家ノ苗字ヲ唱フベキモノト云フ考ヘガ日本人ノ中ニ広マッテ居ルヤウデアリマス〔ガ〕‥‥之カ日本ノ慣習少ナクトモ固有ノ慣習テアルトハ信しシラレマセヌ、兎ニ角妻カ夫ノ家ニ入ルト云フコトガ慣習デアル以上ハ夫ノ家ニ入ッテ居ナガラ実家ノ苗字ヲ唱ヘルト云フコトハ理窟ニ合ワヌ‥‥」『人事慣例全集』58頁
実際、日本において出嫁女は主婦予定者あるいは主婦として婚家に迎えられてその成員となり、死後は婚家の仏となるのが慣習なのである。それは今日でも全く同じなのだ。
実はシナにおいても妻は夫の宗に帰属し、清朝の姓名記載慣習は夫婦別姓ではない。漢土法については誤解があると思われる。我が国においても夫婦別氏(姓)は旧慣習ではなく夫婦同氏(姓)が妥当なものである。
婚入配偶者の婚家帰属は揺るがせにできない根本的社会規範・倫理であるので、この立法趣旨は堅持されるべき
ところが法制史家は、夫の家に入ることを象徴するための氏という明治民法立法趣旨に批判的な人が多い。夫婦同氏制度を妻が夫の家に入って共同生活に入ると同時に夫の戸主権に服するとみなすのである。
しかし、ナポレオン法典231条「夫は妻を保護し、妻は夫に服従する義務を負う」とある。ナポレオン法典には、父権、夫権、親族会議の力を示すものが多い。父権、夫権は近代市民社会において全く正当な価値である。
戦後の改正で戸主権に服するという法意は喪失したとはいえ、実質、妻が夫の家に入るという、(出嫁女は婚家の成員となる)ということが慣習と合致しているとする立法趣旨が今日でも有効性を失ってない。婚入配偶者の婚家帰属が崩壊すれば、我が国の家族慣習は維持できなくなり醇風美俗がすたれる。
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