旧統一教会の解散命令請求に反対します
イタリアの宗教社会学者 マッシモ・イントロヴィニエ氏は「刑事事件で有罪判決を受けていない旧統一教会を解散させれば、日本はこれを行う最初の民主主義国となる。これは中露のプロパガンダを助ける一方、日本の国際的イメージに深刻な悪影響を及ぼすだろう」(世界日報2023・10・4記事)と言ってます。 死後の安寧を願わない人はいない。信教の自由は核心的に重要な価値、特に良心的なアメリカ人から軽蔑されるでしょう。
米国には1993年の信教の自由回復法があります。1990 年のEmploymentDivision, Department of Human Resources v. Smith判決がネイティブアメリカンが宗教的儀式にペヨーテという違法薬物(幻覚剤)を用いたことによる不利益処分を合憲とし、従来の厳格司法審査と違う基準で判断を行ったことが非難され、この判例を覆すためにわざわざ制定法をつくったものなのである。
スミス判決のテストは「宗教を狙い撃ちする法律(law that targets religion)は、「最も厳格な審査(the most exacting scrutiny)」に服せしめられ、およそ違憲とされるけれども、「宗教的行為」を付随的に規制する「宗教に中立的な法律(religion-neutral law)」は、いかなる合憲性審査にも服せしめられるというものでした。これはゆるい審査基準です。
ぬるい司法審査基準に判例変更したことに対し、アメリカ合衆国の国是ともいうべき宗教上の権利の行使をおとしめるものとして議会が強く反発し、それ以前の最高裁が修正第一条「宗教の自由な実践」条項(Free Exercise Clause)にとっていた司法審査基準である「やむにやまれぬ政府利益(compelling governmentalinterest)を促進する最も制限的でない手段(the least restrictive means)」でない限り、「宗教的行為」に「実質的負担(substantial burden)」を課することを許されないという厳格司法審査と同じ効果をもたらすための制定法である「信教の自由回復法(Religious Freedom Restoration Act of 1993(RFRA)を制定したのである。
よほどのことでない限り、宗教的権利の行使に負担を課してはいけないということです。。
ロジャー・ウィリアムスとかウイリアム・ペンとか宗教の自由については古い歴史があり、良心的兵役拒否に理解のあったストーン主席判事や、アーミッシュなど少数派の権利を擁護したバーガー主席判事とか米国には連綿として宗教の自由を擁護するしきたりがあります。政治的な理由でマスコミなどに不人気な宗教だから消滅させてしまったほうが政権浮揚になるというばかげた思惑で、解散命令請求などやらないでください。
神尾将紀「アメリカにおける「信教の自由」の展望--Smithテストの理論と実際」 (第43回 宗教法学会)宗教法 (21) を参照、引用した。
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