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2024年12月の6件の記事

2024/12/31

東京都水道局の対労働組合の労務管理の是正を求める意見具申

東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎管理がなされており、抜本的是正を求める意見具申。

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2024/12/22

東京都水道局の争議行為対応等労務管理を是正を求める意見具申 その4(完)

(承前)
令和6年12月18日
  東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ


 東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎管理がなされており、抜本的是正を求める意見具申 その4
(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化したもの)
                                             川西正彦
 東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。


(Ⅱ)新方針の策定・.4類型の違法行為に対し、職務命令(警告、中止.解散命令)、監視、便宜供与拒否の徹底 3
一 4類型の違法行為とは 3
(一)地公労法11条1項後段「唆し」「あおり」 3
(二)地公労法11条1項違反の同盟罷業 4
1 職員一般に対して違法行為として事前警告をやらず、本部中闘以外は懲戒処分としない方針を改める 4
2 スト当日の、職場集会の中止命令、職場復帰命令、就業命令、監視、現認検書等一切しない在り方の是正 5
(三)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理 6
(四)外形上犯罪要件該当行為 7
二 新方針の提案 具体的対応 9
(一)ストライキ対策本部を設置する 9
🔷非組合員全員対策本部入りの意義 9
(二) 組合中執のオルグ演説-中止命令 11
(三)中央執行委員候補者の就任演説-中止命令 12
(四)頭上報告-中止命令 12
(五)闘争指令下の昼休み集会-中止命令 12
(六)本庁・支所・合理化拠点の動員決起集会-中止・退去命令 14
(七)スト決行体制確立、闘争突入した時点で集会等便宜供与の禁止 14
(八)ビラ貼り-パトロールし現認制止する 15
(九)ビラ配り-闘争態勢に入った時点で許可制に 15
(十) 組合掲示板の公務秩序に反する掲示物の撤去-不適切なものは撤去 16
(十一)マグネットシートの貼付、赤旗の寄書き、煙突闘争等-ビラ貼りと同じ対応 16
(十二)春闘ワッペン、赤腕章-取り外し命令 17
(十三)所属長要請行動は拒否する 17
(十四)三六協定破棄闘争の対応-不可欠な業務と予め日程に組まれていて委託業者に影響のある業務は違法であっても業務命令する 18
1 当局は適法としているが昭和32年内閣法制局意見によれば争議行為である 19
2 労基法違反の時間外労働でも職務の執行は違法にならないとする先例 19
3 経常業務等の管理職対応はやめ業務命令する 20
(十五)スト待機-事務室利用拒否、建造物侵入罪で告訴も検討 20
(十六)ストライキ準備行為の禁止-撤去命令 21
(十七)ピケッティング-中止・解散命令 21
(十八)職員一般向けの「服務の示達」の慣行を廃止し、警告兼就業命令書の手交に改める 22
(十九)ストライキ当日の集会の中止・解散命令、職場復帰命令の徹底 23
(二〇) ストライキ時、営業所の必要業務の管理職対応は原則としてやめる 24
(二一)非組合員の出勤時限前の入庁を締め出し「事故欠勤」とする方針を廃止する 24
1 職員の就労する権利と法令遵守義務を否定する東京都の管理職の悪質さ 24
2 非組合員の就労する権利の否定は違法 25
3 組合の統制を受けないで就労する権利の否定は違法 26
4 地公労法11条2項違反の疑い 26
4 「勤務時間等規程」「処務規程」「事務処理要領」違反の強要は職権を逸脱で違法性が強いのでやめる 27
5 ストライキ時の非組合員の事故欠勤は不正会計で、違法性が強い 27
(二二)積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為は許容しない 27
(二三)昼当番拒否闘争の協力は拒否し就業命令する 28
(二四)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理は拒否 28
(二五)同盟罷業の懲戒処分の在り方を改める。 29
(二六)庁内管理規程で禁止の保険勧誘行為が認められている問題 29
(二七)組合の時間外労働規制に都合よく作られている水道局庁内管理規程の問題 31
(二八)夏28度、冬20度の通達の温度設定は出先の庁舎では守られていない 31
(二九)組合による目標管理制度の自己申告形骸化闘争に管理職が屈している問題 31
(三十)営業所における勤務時間内浴室のシャワー利用の問題 32
🔶勤務時間中の洗身入浴の問題について(詳論) 33
1 洗身入浴時間は労働基準法32条の労働時間に該当しないと最高裁で確定しているのに勤務時間内洗身の有給入浴を認める東京都水道局 33
2 勤務時間中の洗身入浴は、指揮監督から離脱し債務不履行として賃金カットできるとする下級審 34
第Ⅲ部 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき.国会議員と知事、都議会議員へ要望 34
主な参照判例等 35


(Ⅱ)新方針の策定・.4類型の違法行為に対し、職務命令(警告、中止.解散命令)、監視、便宜供与拒否の徹底
 
 東京都(水道局)は、次の4種類の違法行為を全面是認しているが方針を改める。
 都は組織的に、以下の4種類の違法行為を組合の正当業務でないのに、事実上正当業務として是認し支援している。それは組合の論理に従った労務管理によるものであり、地公労法11争議行為禁止の保護法益である、住民の共同利益の否定であり、水道局長のコンプライアンス宣言に著しく反するものである。
 当局には労務管理につき広範な裁量権があり、違法行為を違法行為といわない。職務命令、就業命令や警告をしないことが違法でないからコンプライアンスに反しないというかもしれないが、現状は法令違反を自覚させないため、職員は積極的な業務妨害、犯罪要件該当行為も違法と思ってない、規律のある正常な業務運営ができていないことは是正されるべき。
一 4類型の違法行為とは

第Ⅰ部(Ⅱ)一15頁と同趣旨
(一)地公労法11条1項後段「唆し」「あおり」
 地方公営企業職員の争議行為が、労組法7条1号で保護される正当な行為でないことは、北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42-10-7等の先例が地公労法11条1項違反の争議行為に対する懲戒処分を是認したことにより明白であり、後段の「唆し」「あおり」について組合側のいう限定解釈をとらないことは、地方公務員法の判例だが、日教組スト事件.最一小平成元.12.18刑集43-13-88、埼教組事件.最三小判平2.4.17刑集44-3-1の判旨より明白であり、オルグ演説や頭上報告等での指令の伝達、組合員の意思統一を図る「昼休み集会」、駐車場等での動員決起集会。ピケッティングの指導等が、「唆し」「あおり」に当たる違法行為であることは明白なのに、東京都の管理職は違法行為と全く認識していない。闘争シーズンに毎年恒常的に行われ是認されるものとなっている。後藤雄一都議の質問の対応として平成16年3月の東岡職員部長通知で頭上報告に対し賃金カットの「警告」を行うようになったが、これは演説者の職務専念義務違反に限定して警告するだけで、地公労法11条1項後段違反や他の職員の職務専念妨害のおそれは念頭におかれてない。
 国の官公庁、特に旧郵政であるが、全逓が業務規制闘争、ストを配置した時点で、地方郵政局が、各郵便局に、組合に対する便宜供与拒否の徹底を指示し、集会を強行する場合は中止.解散命令と監視を徹底しているが、東京都は国の省庁のような取り締まりをやらない在り方は、異様であり、是正する。

(二)地公労法11条1項違反の同盟罷業
1 職員一般に対して違法行為として事前警告をやらず、本部中闘以外は懲戒処分としない方針を改める

  東京都水道局の同盟罷業の対応は、全水道東水労側の学説に大筋で従うものである。争議行為があっても職員個人の責任は生じないという、学説に大筋で従っている。
   つまり東京都では職員一般に対し、事前警告せず「服務の示達」と称する慣行で、同盟罷業を違法行為と言わない訓示をすることになっている。
   就業命令でもないので、ストに参加しても地方公務員法32条「‥‥法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従 い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」の適条による懲戒処分はやらないことを示唆するものとなっており、それは組合員もわかっているので、この訓示はインチキ、片八百長であるから是正する必要があるということである。
   違法行為であるとして警告していることが明らかなのは組合執行委員長に対してだけであり、組合委員長向けと明確に区別して、職員一般に対しては「服務の示達」と称する事前警告とは全く違った対応をしていることが問題なのである。
  水道局の争議行為対応はシンプルで、局長名で各部長宛てに服務規律の確保のため地公法30条の服務の基本方針を形式的に述べたA文書と、それを受けて職員部監察指導課が各庶務担当課長宛てに具体的な指示をするB文書を流し、各管理職は庶務担当課長の指示を受け、部下に対し以下のような訓示等を行うのが通例となっているが、文面は規定されておらず、「職員の皆様へ」という雛形か、A文書をなぞった文面とするのが通例である。
  次の文面これは2024年11月8日付グループウェアによる「服務の示達」の通知であるが、以前はマイク放送が通例だったが、違法行為ということは絶対言わないことがお約束になっている訓示である。

 2024年12月13日グループウェアによる「服務の示達」
○○課長 
 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は12月18日(水)午後3時30分から都庁ふれあいモール3割動員決起集会を、12月20日(金)午前8時30分から早朝2時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。
 集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。
皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、都民の批判招くことのないように良識ある行動とられることをお願いします。

「職員の皆さんへ」(平成20年頃の例-現在もフォーマットは同じと考えられる・職員部監察指導課がスト前日に貼りだすよう指示しているが、近年はやらなくなっている)
                                                      東京都水道局長
  皆さんは、都民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を行う立場にあります。とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待にこたえるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。
  とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待はさらに高まりつつあり、この期待に応えるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。
  ところで、全水道東京水道労働組合は、明日3月18日に始業時から2時間のストライキを予定している模様です。
皆さんが一斉に職場を離れることは、都民の生活に大きな影響を与えるばかりでなく、都政に対する信頼を都政に対する信頼を裏切ることになります。
  皆さんが、公務員の本分を十分にわきまえ、都民の批判を招くことのないように良識のある行動をとられることを求めます

 なお、支部.分会役員にはB文書でスト中止の申し入れをすることになっているが、現場を見たことは一度もなく、文言や口頭でよいのか警告書を交付するのか形式も規定していないので警告はしていないとみられる。B文書では違法行為との文言のない訓示である「職員の皆様へ」をスト配置前日ら掲示することになっているが近年では行われていない。
 職員一般に事前警告をしていないことは以下のプレス発表でも明らかで当局は隠蔽すらしていない。違法であっても責任を負うのは組合だけという組合側の主張どおり、組合中央には警告するが、それ以外警告しないという体制である。 
令和5年12月19日付【東京都水道局プレス発表】
12月20日(金)の労働組合ストライキについて
1 組合の行動態様
(略)
2 当局の措置
1)組合に対する警告
2)職員に対する服務規律確保の周知
3)管理職員による事務事業の支障の防止
 国の省庁では職員すべてに違法行為なので必要な措置をとる旨事前警告する。また地方自治体等では就業命令を事前に交付するケースもある。
 これは、組合側の主張では、懲戒処分が個別職務秩序違反者に対する制裁で、集団的組織的行動である争議行為にはなじまない。争議行為が違法であるとしても組合の統一的意思のもとに組織されていることから、集団的性格を有するという事実に変わりはなく、個々の組合員の行為は独立した行為として個人の責任を追及できないという学説に大筋従った方針であり、当局のメンツを維持するため、組合の機関責任を問うと言う形で本部中央闘争委員会のメンバー3~4名を停職処分としているが、それ以外のスト指導者である本部役員、支部.分会役員は懲戒処分の対象せず、組合活動で不利益賦課させないという組合の方針を呑んでいるためである。
 但し平成22年、26年、令和元年の1時間ストライキは、支部長を訓告としているがこれは懲戒処分ではない。
官公庁の近年の懲戒処分の事例では、平成3年11月13日の国立病院の最大27分勤務時間に食い込む集会(11年ぶりの争議行為)があるが、本部役員と地方協議会専従者(26名)支部長(147名)を戒告、支部副支部長及び書記長(399名)に対しては文書訓告、単純参加者(2518名)は厳重注意(全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840)。としている在り方と比較すると、昭和56年の同様の争議行為で支部三役が訓告にとどまっていたのに対し、平成3年は支部長が戒告となっている。
 また北教組の平成20年1月30日終業時1時間同盟罷業につき、道教委は30分以上の職務離脱者12,551名に対し一律戒告処分。札幌市教委は 支部長に対し減給2月、 副支部長、書記長、書記次長ら5名に対し各減給1月、 その他の支部専従役員に対し戒告、 授業を欠務したストライキ参加組合員190名に対し戒告、 その他のストライキ参加組合員1,698名に対し文書訓告であり(北海道労委事件・最二小判決平28.6.17(中労委データベース参照)、東京都が組合中央の機関責任だけを問う、指令に従って組織の方針に従って違法行為をしている組合役員以下は懲戒処分にしないという方針は明らかに抑止効果のない処分であり、指令に従っている大多数の組合員を免責している点で、指導的判例である全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集32-5-1030「争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえない」との判旨に反し不当であるので是正する必要がある。
 ちなみに、平成3年の国立病院の勤務時間に約29分以内食い込む方針で職場大会を開催したケース、西多賀病院(仙台市)では「同病院長名義の西多賀支部支部長あての『貴支部は11月13日に勤務時間内職場大会を計画している模様であるが、国家公務員はいかなる場合においても争議行為を行うことは許されず、このような違法行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならないこととされている。当局は、貴支部が違法な争議行為を行った場合には、厳正な措置をとらざるを得ないので、違法行為が行われないよう貴支部の自重を強く要望する。」旨の警告書を用意して、庶務課長及び会計課長両名が、同月8日、西多賀支部副支部長に同警告書を交付しようとしたが、同人は右警告書の受領を拒否した。
 西多賀病院は、12日、同病院長名義の職員あての「全医労西多賀支部の時間内職場大会について」と題する書面において、「伝えられるところによれば、全医労西多賀支部は来る11月13日早朝時間内職場大会を計画している模様であります。すでに承知のとおり、勤務時間内職場大会は国家公務員法で禁止された争議行為でありますから、このような違法行為には、絶対に参加しないようにして下さい。もしこれに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえないので、皆さんの良識ある行動を望んでやみません。」と記載し、この書面を、西多賀病院内の四か所の掲示板に掲出して、職員に対し、違法な時間内職場大会への参加を辞めるよう警告を発した。(全日本国立医療労組事件.東京地判平11.4.15判時1724)とあり、必ず争議行為は違法だから警告する文言だが、争議行為=違法は、東京都では職員一般に対しては口が腐っても言ってはいけないタブーとなっているが、各事業所の組合役員が違法争議行為を指導しても責任は問われないシステムはコンプライアンスに著しく反することを臆面もなくやり続けている。

2 スト当日の、職場集会の中止命令、職場復帰命令、就業命令、監視、現認検書等一切しない在り方の是正
 
 国の省庁はストライキ当日の職場復帰命令、就業命令を非常に重視していることは、マイクだけでなく、プラカード、懸垂幕など小道具も使って、必ずやっていることからに明らかである。庁舎構内だけでなく、郵政や林野庁のように、庁舎外の会場で集会がなされる場合も、監視、就業命令をしているのである。
 ところが、東京都(水道局)次の3点の理由で組合側の論理を受け容れ、組織的に就業命令をやらない主義になっていると考えている。カッコ内に示す通り最高裁が明示的に否定している。
 A 闘争期間に管理者が業務命令することは労働基本権の趣旨に反し不当、あるいはストライキに突入した場合もはや上司の指揮.支配から離脱しているので業務命令できない。
(神戸税関事件.最三小判52.2.20民集31-7-1101が否定)
 B 業務命令は団結破壊.組合敵視で認められない、
(そもそも違法争議行為の決議.指令に内部統制権はない。国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-163.横浜中郵事件.戻後控訴審東京高判.昭47.10.20判時689等が否定)
 C争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうとして、非組合員や脱落組合員に業務命令して操業してはならない。私企業のユニオンショップと同様の対応を組合が主張。ただし管理職対応の業務は認める。
(最高裁は私企業において争議行為時に、非組合員、スト反対派組合員、第二組合、臨時雇用者に業務命令して操業を維持することは認められているし、山陽電気軌道事件.最二小決昭53.11.15 刑集32-8-18はバス事業者において、私鉄総連系組合のストに反対する第二組合員の就労によるストライキ対抗措置としての操業行為は、完全に法的保護の対象となり、組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置を理由として業務性を失うことはない旨説示しており、操業権は肯定されている。加えて地公労法11条2項でロックアウトできないので、非組合員はもちろん組合員であれ、ストの勧誘を受忍する義務はなく就業の権利と義務があり、むしろ非組合員に業務命令せず、ピケットラインを越えないよう管理職側から指図していることは違法性が強いというべき)
 組織的にというのは、監察指導課のB文書に就業命令は指示されていないので当局の方針である。集会場所と参加者数の報告は義務付けているが、ストに指導している役員や率先助勢者、具体的には集会の演説者、ピケッティングの指導.実践等の現認検書の上申も指示されていない。
 上級部署の指示に忠実に従うのがコンプライアンスなので現場の管理職は何もやらない。違法行為を是認して黒いものを白にすることこそ、コンプライアンスという東京都の職場風土なので腐っているといわざるをえない。就業命令をやらないということは、違法行為を自覚させず、抑止せず、放置することで、管理職の債務の本旨を履行していない状況といえる。それは懲戒処分しない前提ともいえるが、当局には広範な裁量権があって、やらせもありだと、違法行為を抑止しないことが労務管理の在り方として違法ではないと都は主張するかもしれないが、苦しい抗弁になると思う。
 当局は地公法32条適条の懲戒処分の前提にもなりうる職務命令は力関係で組合に逆らうことになり、円滑な労使関係が期待でないので絶対できない。信頼関係も重要だというかもしれないけど、私は要求を譲歩してこのさい処分しなくていいから、就業命令だけはやって王手をかけてくださいと言いたい。違法争議行為に服務規律確保といいながら就業命令しないというのは譬えていうなら「王手をかけない詰将棋」か八百長ゲームに等しいのであって、労務指揮権、職務命令する権限が発動できないというのは、正常な業務運営でなく、それ自体が違法状態であり、争議行為禁止の保護法益である住民の共同利益の侵害と断定できるので、是正されてしかるべきである。


(三)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理
 平成26年1月24日ストが打たれ、決裂した後、組合は中野営業所監理団体業務移転阻止闘争のオルグ活動に入り、退職派遣制度(一時出向して戻る)を希望させない。人事課による出向派遣の説明会には出席させないことを組合員に徹底させたうえ、当局を交渉にひきずりこむという戦略の闘争だが、2月5日には○○本部委員がオルグ演説し、当日の人事課の説明会の入場を阻止するピケを張った。一方で、○○分会書記長が、移転業務の一つである固定資産、備品リストの照合業務のため来所したところ、サービス推進部業務課担当者を追い返し、業務妨害をしたこと。
課長補佐に対し○○は、移転業務に協力するとあなたの立場は悪くなりますよと脅しのようなことを言っていた。
 さらに○○は所長の○○に対し移転関連業務の業務命令をしないよう強要したことである。
移転関連業務が進捗しないから、4月移転は無理ということになり、組合の主張がとおって7月移転に延期したのである。
所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。
 事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応と業務命令するしかないはず。
組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。しかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。
 本庁業務課では管理職が業務命令できると思っているのかもしれないが、それが通用するのは本庁部局内部のみと思われる。出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権.施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。
 以上述べた○○本部委員や○○分会書記長の行為は、地公労法11条1項違反行為であるが、職員部当局は全く問題視していない。1月24日のストは処分を終えており、争議行為は終わったものと認識しているのが大間違いである。本部中闘指令の同盟罷業と動員集会等というスケジュール闘争だけ争議行為と認識し、特定拠点の争議行為は放置するのが職員部当局である。
 こうなってしまうのは、スケジュール化された争議行為でいっさい職務命令をやらない慣行がきいているのである。日頃から違法行為の抑止、職務命令という国の官庁ではあたりまえのことをやってないので、交渉決裂後の業務命令のような修羅場の状況でも組合のいいなりになってしまう。組合によって労務指揮権を凍結されられる状態は、正常な業務運営でないから地公労法11条1項違反で悪質な違法行為である。本部中闘以外懲戒処分にしない方針から、本部委員や分会役員はなにをやっても責任は問われないという職場の慣行というものが、非常に大きな悪影響を及ぼしている。
(四)外形上犯罪要件該当行為
地方公営企業において単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も違法行為であるが、全水道東水労のストは争議権のある私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質であり、当局はそれを許容し犯罪を助長している。
全水道東水労の直近の同盟罷業は令和元年12月20日の1時間ストライキである。新宿営業所で、スト集会は、営業所分会と給水課分会が合同して40名程度で始業時から9時30分近くまで実施され、営業内検針担当エリアに、組合旗を掲出、ビラを貼り、約40名が占拠し座り込む形でなされ、支部組合役員の○○、○○、○○と給水課一名が、司会、交渉経過報告等の演説、決議文朗読、頑張ろう三唱の音頭取りなどを行った。
執務室で働く場所を多数占拠していて、就労を物理的に妨害しているのは非常に悪質。検針担当のエリアだが、非組合員もいるはずで、業務妨害とみなしてよい。
 新宿営業所長の○○はスト参加の組合員に対し、中止.解散.退去.就労命令はいっさい行っていない。
また○○は、紙で塞いだICカードリーダ前に立ち、非組合員に出勤記録を入力しないようピケを張り、私を所内から出るよう指図して、違法行為を強度に慫慂したが、これらの地公労法11条1項違反行為、外形上威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為(シットダウンストライキの態様に近く、刑事免責がないので当局が職場占拠を容認しなければ犯罪は成立する-指導判例である名古屋中郵事件最大判昭52.5.4の判断枠組み参照)に対して、いっさい中止.退去命令、就労命令等を行っていない。
 ちなみに、ストで指導的な役割を果たした○○は翌年3月に主任に昇進した。
非常に深刻な問題として、東京都では職員一般に争議行為が違法行為と警告もしないので、水道局職員は争議行為の限界を知らないので、業務遂行を妨害することを平の組合員まで率先しておこなっている
 座り込みストライキというのは、大恐慌の1937年にアメリカで流行った悪質な態様です。ウォークアウト(単純不作為の職務離脱)と違って、私企業でも正当な行為ではありません。
執務場所を占拠するのはマスピケに類似していますが、外形的には威力業務妨害罪の構成要件該当行為に当たります。
 最高裁先例によれば、争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする(●朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6-9-27、●羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12-8-16)。プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである。組合は業務阻害権があると主張するかもしれないがそれに従う理由はない。
要するに新宿営業所は積極的な業務妨害をやっているので悪質です。スト当日の集会場所は、監察指導課に報告することになっており、同様の態様の事業所もあるはず。当局は把握しているはずなので、積極的業務妨害は組織的に容認されているといってよい。
職場占拠や座り込みについて、例えば国鉄が業務命令した指導機関士の乗務を阻止するため、機関車運転室に乗り込み占拠しマスピケを指導した事案につき●動労糸崎駅事件 広島高判昭48.8.30判タ300号363頁 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)では
 「国鉄当局の適法な業務命令を受けてこれに服従し、就労の意思を以て出務している者の場合においては叙上受忍義務のないことは一層明白であるから、同人に本件職場集会への参加を勧誘、説得するに当つては、その時期、場所、手段、影響等において尚更厳しい制約を受け、団結による示威の程度を超えた物理的な力を以て同人の就労を妨害したり、そのため国鉄の施設や車両を占拠する等して国鉄の正常な列車運行業務を妨害することは、その目的の是非に拘らず許されない」として威力業務妨害罪の成立を認めた。

 新聞社の争議に際して、組合が行なった工務局作業場の占拠が、説得の範囲をこえた違法なものと認められた●東京新聞争議事件.東京地判昭44.10.18労民20-5-1346は企業施設の重要な部分で滞留による業務運営の阻止行為が行なわれた場合において、使用者側が労働者側の説得をきき入れず、あくまでも業務を遂行させるように要求しているにかかわらず、依然として滞留を続け、使用者側が業務を遂行するためには、滞留者を実力をもって排除する以外に方法がないような情況にたち至ったときには、右滞留はもはや説得の範囲をこえて業務運営を阻害しているものというべきであり、違法たるを免れないと判示ししている。
 また業務用機器が隠匿されていたので仕事がでませんでした。スト修了後、○○課長代理がスト終了後に配っていたので隠匿になんらかな形でかかわっている。○○は、目標管理制度の自己申告の際、新人職員に数値目標を書くなと、それをやるとまずいことになるよと強要していて、組合の主張と同じなので、業務妨害の率先助勢者である可能性があります。○○さんは知っている可能性がある。また、○○は、ストを指導する組合役員なので、関与している可能性がある。
 座り込み占拠も機器の隠匿も業務妨害罪の違法性が強く推定されます。ただ3年以上過ぎたので時効です。
 会社の管理する生産手段等財産等を組合の支配下において積極的な業務妨害をすることが正当な争議行為ではないことは、以下の判例で明らかです。
 ●さつきタクシー事件.最二小判昭和45.12.17判タ257はタクシー会社の労働争議において組合側が会社のタクシーの車検およびキーを抑留保管しあるいはタクシーの車輪を取りはずすなどする行為の正当性が争われ、組合員の多数の者が暴力によって会社のタクシーの車検およびキーを奪取し、あるいは多衆共同してその車輪を取りはずすなどする行為、ならびに会社社長の返還要求にもかかわらず、人の意思を制圧する勢力を示して、非組合員の乗務する車両を含め会社のタクシーの車検およびキーの返還を拒絶し組合側において抑留保管する行為は、正当な争議行為の範囲を超えるものであつて、威力業務妨害罪および暴力行為等処罰に関する法律違反の罪を構成するとした。
 バス車両確保の争奪戦となった●山陽電気軌道(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15が威力業務妨害罪の成立を認めていることで明白なことです。
 本件はストライキに対抗する性格を有するストライキ中の操業が法的に保護されるか否かが直接の争点となり、ストライキ中の操業が法的に保護されること。組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置であるという理由で業務性を失うことはないことを明らかにした決定的な意義のある裁判例である。先例として、上記の三判例(朝日新聞西部本社事件、羽幌炭礦事件、進駐軍横浜事件)を引用したうえ、違法性阻却判断基準として久留米駅事件方式をとり、建造物侵入罪、威力業務妨害罪、傷害罪の成立を認めた原判決を認容する決定である。
事案は昭和36年春闘に際し団体交渉が難航し、私鉄中国地方山陽電軌支部組合(約500名)のストライキが必至の情勢になったところから、会社側は第二組合員(山陽電軌労働組合約800名)によるバス運行を図り、予め車両の分散をはじめ、支部組合がストライキに入った日以降は、第三者の管理する建物等を選び、営業の終わった貸し切り車等から順次回送する方法で数カ所に車両を分散し、保全管理していたところ、(1)支部組合員Aらは多数の威力を示して会社が取引先の甲整備工場に、またDらは系列下の乙自動車学校に預託中のバスをそれぞれ多数の組合員ととも搬出しようとして建造物に立ち入った。建造物侵入罪、共同正犯(130条60条)。(2)支部組合員らBは、組合員多数による威力を用いて会社が運行させていたバスを停車させ、運転手を強いて立ち退かせそのバスを確保した。威力業務妨害罪、共同正犯(234条233条60条)。棄却。[中村秀次2010「刑法総論に関する裁判例資料-違法性及び違法性阻却-」『熊本ロージャーナル』4号126頁]
 決旨は「使用者は、労働者側がストライキを行っている期間中であっても、操業を継続することができることは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(略)。使用者は、労働者側の正当な争議行為によって業務の正常な運営が阻害されることは受忍しなければならないが、ストライキ中であっても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができると解すべきであり、このように解しても所論の指摘する労使対等の原則に違背するものではない。(中略)
 ストライキに際し、使用者の継続しようとする操業を阻止するために行われた行為が犯罪構成要件に該当する場合において、その刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、当該行為の動機目的、態様、周囲の客観的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない(略)。
‥‥本件の車両確保行為は、いずれも相手方の納得を前提とすることなく一方的に、営業運転中、回送中又は会社駐車場に駐車中の会社バスを奪って支部組合側の支配下に置いたものであって、旅客運送業を営む会社にとり最も重要な生産手段に対する会社の支配管理権を侵害するもの‥‥諸般の事情並びに所論の指摘する交通産業における特殊性をすべて考慮に入れ,法秩序全体の見地から考察するとき、本件車両確保行為は到底許容されるべきものとは認められない。 そうすると、威力業務妨害罪又は住居侵入罪に該当する本件車両確保行為には刑法上の違法性に欠けるところはない。」
 したがってストライキ時に非組合員やストに反対の組合員を使って操業することは許されないという法解釈は間違いである。争議行為の刑民免責のある私企業でも正当とされる使用者の権利が公営企業で否定されることはありえないのに東京都は否定し組合のいいなりになっているのである。
 ○○○○は組合員だが課長代理という職制でもあり、職制が業務妨害に関与している点で深刻な問題である。隠匿したと考えられる機器は機密性のあるもので、これがないと業務遂行は不能になる。公務員の職場でも機密性のある文書を組合の支配下に置くことは悪質と考えられている。
●四国財務局(全財務四国地本勤評闘争)事件・最三小判昭52.12.20民集31巻72号1225頁は、組合執行委員会で勤務状況報告書を組合で保管することを決定し、在庁執行委員は手分けして第一次評定者(係長)の席をまわって、説得して収集したが、Xは他の役員数名とともに四人をまわり説得したが、その際経理係長が経理課長に提出しようとした報告を引っ張り合い、同課長の制止を妨害して、収集した。組合の保管は約1日程度で、その他の懲戒事由も加わっているが、職制が保管すべき機密文書を組合が一時的にせよ確保した行為は悪質と判断され、懲戒免職を適法としている。
 地公労法11条1項違反者は、12条により解雇できるが、罰則規定はない。しかし地方公営企業の争議行為に刑事免責はなく、争議行為及びそれに付随する行為は全逓名古屋中郵事件最大判最大判昭52.5.4刑集31-3-18の判断枠組に適用されるはずで、業務妨害罪、建造物侵入罪等は比較的容易に成立すると考える。
 当局は管理意思を明確に示すことがないので、業務阻害を認め、組合オルグ等の外来者の侵入やストライキ待機のセキュリティ破りを許容し、犯罪が成立しないようにしている。犯罪の協力が管理職と任務となっているのは本末転倒している。東京都は犯罪に協力しているのである。
私は深夜.未明に出入りするセキュリティ破りのスト待機を建造物侵入とみなすが、これは、私は西部支所管内の事例を知っているが、どこでもやっていることです。
 刑事の名古屋中郵判決の判断枠組は以下のとおりで(香城敏麿、国労松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集32-2-159判解.公労法17条1項と地公労法11条1項は別異に解釈する必要はない)
(イ)公労法17条1項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法1条2項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法17条1項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法17条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
少なくとも外形的には新宿営業所の職場占拠と、業務機器の隠匿は(イ)業務妨害罪、オルグやピケッティング目的の無許可侵入、スト待機の深夜の無許可庁舎侵入は(ハ)建造物侵入罪の犯罪構成要件該当行為に当たり、退去命令をすれば不退去罪、組合側は当局が業務阻害を容認しているから犯罪にならないと主張するだろうが、この判断枠組みは、違法行為目的の建造物侵入は違法性が強く推定されるというものである。仮に犯罪が成立しなくてもコンプライアンスは反すると糾弾されてもやむをえないものといえる。

二 新方針の提案 具体的対応
(一)ストライキ対策本部を設置する
 従来の組合側の論理により業務命令権(労務指揮権)、施設管理権が掣肘されていた労務管理をあらため、正常な業務運営の確保を第一義とした労務管理に改めるべきである。
 このため組織をあげて違法行為の中止.解散命令、就業命令の徹底、スト指導者等の現認検書の上申の義務づけなど違法行為の抑止のために取締を行う。ストライキ対策本部を設置し、管理職だけでなく一般の非組合員全員を召集する。
スト対策本部は局長級を本部長とし、26カ所の組合支部に対応して現地対策本部をおく、管理職+非組合員全員を召集し、時間制限のない職務として権限を付与する。非組合員の職務は闘争期間における事業所施設構内の警戒、組合員の行動の監視、違法行為の阻止、排除、また管理職とチームを組んで実況検分、監視、録音、写真撮影を補助する。
 非組合員といっても監察指導課などを別として、大多数の非組合員は、通常の業務を行いつつ、適宜スト対策本部の職務を行うものとするが、権限を与えただけで対策本部の仕事をせずともよいものとする。
新しい労務管理なので、管理職側の訓練が必要と思われる。
営業所におけるスト決行時の来客や電話対応などの不可欠な業務は、管理職が対応するのではなく、非組合員やスト反対派組合員に業務命令して行わせることを原則とする。スト対策本部の主な任務は次のとおりとする。
 非組合員の任務は、闘争期間の組合活動の取締、特に演説あおり、オルグあおり、違法行為を慫慂する集会の取締り、鉢巻、赤腕章など着用の取締、ピケッティング、ビラ貼り、工作物、組合旗の掲出などへの対応。ストライキ当日の監視、写真撮影。録音等、職務命令をする管理職の補助等である。
 予算措置としては、最低限、就業命令を記載したプラカードの作製、写真機、ボイスレコーダー等の監視のための小道具は必要だろう。
 従来やっていない職務命令と事前警告をするので反発する組合員の抗議活動で職場が荒れることは想定してよい。水道局長は殴られてもいいから債務の本旨を履行せよ喝を入れてください。もちろん殴ってくる組合員に対して殴られ損にならぬよう、監視体制も万全なものとして、荒れる職場対策として特別査察チームの編成も必要だろう。旧郵政省でと「トラック部隊」と称され、臨機応変に荒れる職場に配置する。
 そんな面倒なことはやりたくないというかもしれないが、違法行為の助長協力をやっていたことから都民の信頼を回復するためには必要なことである。
 警備員の臨時雇用は考えていないので、人が足りないなら、オリパラ対応やコロナウイルスの保健所支援のようにオール都庁で動員し、争議行為対策をするものとするというのが私の提案である。したがって12月から即実施は困難かもしれないが、できるだけのことはやってもらいたい。

🔷非組合員全員対策本部入りの意義

 非組員全員召集は三六協定破棄闘争対策である。ストライキ時の就業命令をさせないという組合の掣肘を受けていることの打破が最大の目的である。
東京都水道局は長年の慣行として争議行為に関して就業命令をいっさいしない。組合側の論理は、ストライキは労務指揮権から離脱する行為なので、業務命令はできない。職務命令は組合敵視、団結破壊という主張に全面的に屈服しているからである。
 しかし神戸税関事件.最三小判52.12.20が争議行為中であることを理由として、上司の命令に従う義務(国公法98条1項)は免れないと説示し就業命令が適法であることは確定したので、ストライキ時に就業命令を徹底している国の争議対応実務が是認されている。
また、国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28、全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)、 動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)等多数の判例により公労法17条1項違反の争議行為の内部統制権は否定されており、スト決議.指令に法的拘束力はない。スト参加の勧誘.説得を受忍する義務などない。地公労法11条1項違反を別異に解釈する理由はないので、就業命令によりスト参加者を切り崩すことは団結破壊には当たらない。
従って、ストライキ当日就業命令ができるし、管理意思を示すため絶対必要なことである。ところが、組合はスト予定日の前日の退庁時間から、当日は必ず三六協定を破棄することになっており、組合側は就業時限前に管理職の労務指揮権は消滅しているので、職務命令はできないとの解釈により、職制を麻痺させる闘争を行う。
 組合側は、三六協定破棄により、午前8時30分以前の業務はいっさいできないとし。これにより非組合員は服務上の基本的な義務である、カードリーダによる出勤記録をする義務も許されず、したがって非組合員は、三六協定破棄によりピケットラインを越えられないという、奇妙な論理をふりかざして就労阻止をする。管理職もこの見解には従い、職制の労務指揮権や就業規則が否定されることを甘んじて受け入れいる状況がある。
 平成11年以前在籍していた江東営業所で組合役員は、三六協定破棄により、管理職の労務指揮権は時間外においては消滅し、業務命令は犯罪なので、スト当日に出勤時限前に登庁し、できない出勤簿を押すことが許されない。よってピケットラインを越えてはならない趣旨を言っていた。ようするに、三六協定破棄によって就業規則の服務の基本的義務であるICカードリーダにIDカードをタッチするか、職員番号をテンキーで入力する出勤入力(出勤簿に相当)はやってはならない異様な理屈をふりかざし、管理職もそうした屁理屈をのみ、業務命令を放棄することがコンプライアンスだと思っていて、こうした組合側の論理で非組合員やストに反対の職員を締め出し、就労の権利を侵害している。
 しかし最高裁は、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている。組合のいう労基法により労務指揮権が消滅するということないのであって、労基法上違法であっても違法を承知で職務命令ができると考えられる。
 以下の判例が、三六協定未締結での業務命令により職務執行職員に対する業務妨害等を有罪としており、三六協定未締結で春闘対策本部の非現業職員がビラ剥がし中、動員された全電通組合員に殴られた事案につき、①仙台駅ビラ剥がし事件(春闘仙台駅)事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115が公務執行妨害罪を認め、三六協定未締結で当局が拠点スト対策として指導機関士を召集、出務しない機関士の代務としての業務命令しその運転室乗務をマスピケで実力阻止した事案につき②動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)を久留米駅事件方式で威力業務業務妨害罪の成立を認め、三六協定未締結で全逓組合やアルバイトに業務命令した臨時小包便運搬の業務妨害につき③全逓名古屋中郵第二事件.最二小判昭53.3.3刑集32-2-97は威力業務妨害罪の成立を認めている。
但し、三六協定の法的性質について理論的説示があるのは①だけであり、②は一審で争点になった労基法違反の業務命令は問題にせず、久留米駅事件方式の「法秩序全体の見地」かマスピケを有罪。③も一審、二審で争点になっていた労基法違反の業務命令は問題にせず名古屋中郵事件方式により業務妨害を有罪と判断している。
 国労.動労.全逓による三六協定未締結闘争の法的評価は以上の判例で判然としないことが多いが、未締結で職務命令それ自体が違法無効、労務指揮権が消滅するという解釈はとっていないわけである。
ここでは①の判例法理に依拠して、非組合員のストライキ対策本部の任務を与えるという提案する。
当然組合は反発するだろうが、更新期限を年度末として一年間有効な、三六協定を途中、争議行為目的で一方的に破棄するのは信義則に反し、職制に経常業務を押し付けるなど悪質な職制麻痺闘争をやっているわけで、加えてストライキ正当化の道具としている。
現状は正常な業務運営ではなく、保安要員として浄水場など水供給に不可欠な部署は通常勤務としているとはいえ、保安要員を置くこと自体正常ではなく、ライフラインを預かる企業としても弊害が大きい。三六協定を非組合員の就労の権利と義務を否定するのに利用しているあり方が、きわめて悪質なので対策が必要なのでこの提案をするものである。
 ①は労働者の過半を組織する国労・動労と三六協定未締結で春闘対策本部に召集された仙台鉄道管理局総務部労務課の組合員Iが労働基準法32条に反し1日8時間以上就労の時間帯に列車車体鋼板のビラ剥がし作業をしていたしころ、動員組合員らに半円状に取り囲まれ激しい抗議を受けたが、ビラ剥がしを続行したため、Iに対し全電通組合員が手拳で顔面を強打し全治六日の傷害を負わせた事件につき、一審は傷害罪.公務執行妨害罪ともに有罪、控訴審仙台高裁は、職員Iは午前6時より勤務に就き、本件暴行のあった午後2時40分労基法の8時間を超えているので、職務執行の具体的権限を欠き適法性を有さない業務として公務執行妨害罪は無罪、傷害罪は有罪とした。上告審は、公務執行妨害罪を無罪とした原判決を破棄自判した。

 「Iに発せられた本件職務命令は、昭和三九年四月一五日午前六時から仙台駅構内において組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のものであつたというのであり、これによれば、右命令が同人に対し、前記の職務に従事すべき労働関係上の義務を課するものであるとともに、その反面、右職務を執行する権限をも付与する性質のものであることが明らかである」
「労働基準法三二条一項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥本件職務命令に右強行規定の違反があつたとしても‥‥就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない‥‥労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げない‥‥」と説示する。
 柴田孝夫調査官判解は「労働者に一定の職務の処理する権限を与える行為と、一定の職務に従事させる義務を負わせる行為は、本来は別個の行動として各別に行うことができるのであり、本件判決は、本件職務命令の内容を性質において二分し、労基法三二条一項違反の意味をそれぞれに分けて検討する方法をとった。これによれば、労働を義務付けるものではない、権限を与えるだけの使用者の行為は、権限を行使しうる時間を限っていようといまいと、これを違法無効とすべき積極的な理由は労基法三二条一項からはでてこない」と解説する。
三六協定未締結で労基法違反の労働が刑法上保護に値せず、超過勤務手当請求もないと二審の結論を批判し、労基法違反の時間帯に商事会社の社員が顧客と契約した場合、代理権の範囲外で会社に効果が帰属しないということにはならないと言う。労基法違反であっても職務の執行それ自体が違法にはならないとしている。
 労基法は悪法でも労働者を保護する立法という建前であるが、逆に第3者から就労権の妨害、労働者を貶めることに利用することは法意に反しており、争議行為に利用されることが立法趣旨ではない。
 以上のことから職務命令にはあらかじめ時間の制限のない業務命令があってよいのであり、労基法が違法.無効とできないことが確認できる。
ということは、春闘仙台駅事件で支援する全電通組合員に殴られた職員Iと同じように、組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等を非組合員全員に付与するならば、三六協定未締結でも仙台駅事件と同じようにその時間外の業務は正当となるから、通常通り、出勤時限前に登庁し、カードリーダで出勤入力してよいことを意味し、ストライキ参加をそそのかすピケッティングは違法行為であり、管理職は出勤時限前に登庁し、非組合員に就業命令し、ストに参加しない人員を確保できる。組合は、ストライキに対抗して、非組合員や組合員に業務命令し、争議行為中の操業が許されてはなにないし、当局にその権限はないという論理だが、最高裁判例で否定されているし、地公労法11条2項で事業所の閉鎖はできないので、職員を締め出すことはできないと考える。
要するに組合の主張は、
 8時30分以前は三六協定未締結により業務命令は許されない。
 労務指揮権は凍結されているから、非組合員が8時30分の出勤時限前に入庁はできない
 よって就労は認められないので、ピケットラインは超えてはいけないという主張はそもそも間違いだが、最高裁が労基法で違法無効とできないと明言した、組合員の行動の監視等の職務権限を不与されたことにより、出勤時限前の登庁ができないと言う主張を切り崩すことができ、組合の拠ってたつ論理は崩壊する。要するに業務命令するための対策である。
 もちろん召集職員は対策本部の職務をやってもらいたいが、仙台駅判決が「就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響」としている点をふまえ、三六協定未締結時は職務を拘束的には義務づけず、できる人がやるという態勢になる。ただし、就業命令は掣肘されず、就業命令により通常どおり、出勤しカードリーダも入力させる。服務規律上当然のことはやっていただくということになる。
 就業命令の徹底が最大の目的ということになる。(第Ⅰ部(Ⅵ)各論三(六)108頁)
 
(二) 組合中執のオルグ演説-中止命令
従来、許諾している執務室内勤務時間中になされる組合中執のオルグ演説は、不許可、中止.退去命令する。現認・監視対象とする。
 (スト批准投票の呼び掛け、闘争課題の説明、闘争戦術の説明、ストライキの日程などの演説)

根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
 犯罪 建造物侵入罪、退去命令に従わない場合の不退去罪の犯罪構成要件該当行為

 処分 実際にストが実行された場合、懲戒処分事由とする。監視対象。オルグ演説で中執を紹介し、挨拶や闘争の日程を示す支部.分会役員も同じ。抗議で暴言、暴行を働いた場合は量定を過重。

令和4年の例(スト批准投票の前)
10月25日朝 8時33から43分 所長が支部役員の〇〇と朝長い話、そのあと中執の〇〇が到着。8時33分よりオルグ演説、11月1日スト権一票投票で、まず人事委員会勧告はコロナ渦と物価高で不当だ。都労連闘争の課題を説明、局内闘争については、砧浄水場と長澤浄水場の業務移転、夜間待機が7か所から2か所にして緊急隊の業務とするのは無茶苦茶で容認できない。また営業所の業務移転も提案される可能性がある。局は全営業所移転を計画しており、警戒が必要、株式会社東京水道の社員は入って2~3年の若い人が多く、業務がハードで心を病んでいる人、突然仕事を放棄する人がいる状態でとても円滑な移行はできない。最後にスト権投票は高率の批准をとぶちあげて43分に終了、そのあと〇〇が、棄権が絶対ないように、不在者投票の受付など告知。

令和5年の例(闘争期間中)
11月28日 午前8時30~44分、支部役員の○○と中執の〇〇が所長に挨拶、○○がそこでやると指差し、所長は許諾。司会の○○が中執の〇〇を紹介し、13分間演説。局内闘争の課題、墨田荒川営業所の業務移転に伴う定員削減と、他の営業所の派遣割合の削減、目黒営業所の過員を暫定とするなどの重要な闘争になると説明、さらに中野営業所の病欠者が多い問題をとりあげ、徴収サイクルの見直しによる業務繁忙の改善に不満があり12月1日の拡大窓口では交渉打ち切りも辞さずとい意気込みで臨むなどとし、21日にストを構え、8日の支所集会、19日のふれあいモールでの勤務時間内3割動員決起集会と闘争日程を述べ、19日より3日間の三六協定破棄闘争は、局に24時間態勢で業務を行うのに組合の協力がいかに必要かを自覚させるためのものと争議行為意思を表明。闘争への協力をよびかけ。最後に○○が12月5日の昼休み集会と、19日の賃金カットの動員決起集会の呼びかけなどがあり終了。

(三)中央執行委員候補者の就任演説-中止命令
 組合の役員選挙は私が知る限り無投票当選しか知らないが、告示後立候補の挨拶と称し、勤務時間内に執務室で演説することがあるが、不許可、中止.退去命令する。
 根拠 新規則違反
1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
 犯罪 建造物侵入罪
 処分 特段懲戒処分とはしない。演説を強行し態度が悪かった場合は別途検討する。

(四)頭上報告-中止命令
(執務室内での演説行為。中央委員会報告.書記長会議報告.友好団体の政治集会参加呼びかけ、指令伝達、オルグ演説、闘争課題の説明、闘争日程等の説示、その他教宣活動)

 勤務時間内.出勤時限前.休憩時間いずれも不許可。中止命令する。現認・監視対象。
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる演説がなされるおそれがある。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
昼休み当番や時差出勤による勤務中の職員がいない場合でも、執務室内で囚われの聴衆の状況で組合の訴えかけを聴かされることは、能率的な環境とはいえず、演説の余韻などで作業能率を低下させるおそれがあり、適正.良好な職場環境とはいえないので、職場の秩序を維持する当局の権限にもとづき、中止命令の対象とする。これにより、勤務時間中に限定した平成16年3月東岡職員部長通知による頭上報告の警告は解消する。

処分 中止命令にもかかわらず地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる演説がなされ、且つストが実行された場合、懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。

(五)闘争指令下の昼休み集会-中止命令

 闘争課題を確認し、ストライキ決行体制のため意思統一を図り、闘争課題を確認し組合員の意思統一を図り、ストライキ態勢の志気を鼓舞する目的の集会であり、執務室内でなされることが多い。挨拶.基調報告.決意表明.決議文朗読.頑張ろう三唱等がなされる。従来管理職は許諾している。職員部監察指導課は「昼休み集会」に関し何の指示もしていないし、違法行為と言う認識がないので、現場の管理職も認めてしまっている。

不許可。中止.解散命令する。現認・監視対象とし演説者等記録する。その際、スト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」そのものである。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
昼休み当番や勤務中の職員がいない場合でも、執務室内で囚われの聴衆の状況で組合の訴えかけを聴かされることは、能率的な環境とはいえず、演説の余韻などで作業能率を低下させるおそれがあり、休憩時間の自由利用の妨げとなるおそれもあり、適正.良好な職場環境とはいえないので、職場の秩序を維持する当局の権限にもとづき、中止命令の対象とする。
処分 中止命令にもかかわらず集会を強行し且つストが実行された場合、主宰者、演説者、頑張ろう三唱の音頭取り等懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。

◆実況見分記録(「昼休み集会」平成23年12月9日(金)中野営業所) 

同日15時より全水道東水労の都庁第二本庁舎前で勤務時間離脱3割動員の決起集会(当時は半地下の新宿NSビルとの間の空間で行われていたが近年は地上のふれあいモールに移行している)、夜には書記長会議がある日だが、通常昼休み集会と早朝ビラ配りは、3割動員集会のある日にセットで設定されるので容易に予測できる。

【始業時前朝ビラ情宣行動】構内通用口ドア前
構内の狭い入口の通路の左に二人、右に一人が立ち、通路を挟むかたちで配られる。小さな営業所なので、3人しか立ってないが、支所だと構内入り口前右に5人左に5人といった規模になる。挟まれた間を通行し半強制的にビラを受け取らせる。人数が多い場合は特に威圧感がある。人を挟んだり、包囲する組合活動は押しつけになるので、規制すべきである。ビラの内容も動員集会.ストライキの日程が記載され、違法行為を慫慂する内容であるから、ビラ配布自体が違法行為にあたり中止命令すべき態様と内容といえる。

【昼休み組合決起集会】事務室内ほぼ中央に演説者

 12時28分に分会書記長が赤腕章をつけ基調報告の紙を配りだしたので、自席で昼食をとっていた○○○○所長(のち経理部管理課長、職員部監察指導課長、労務課長)に昼休み集会を組合がやることを知っているのかと問い合わせたところ知らないと言う。
その後分会書記長がこれから集会をやると所長に通告、所長は休憩している人に配慮云々と言っただけで、中止命令せず、集会自体を許諾。
 昼休みはこの年の東日本大震災による電力不足のため消灯していたが電気がつけられ31分頃から集会が始まった。
 なお、過去の例では所長は離席し監視しないように組合に配慮するが、この時は一部始終を管理職が見ている。
 集会の態様は、営業所事務室ほぼ中央(所長席の向かい)に組合役員、演説者等、多くの職員は自席。昼休み当番として2名が休憩時間を午後1時以降にずらして、窓口のレジと電話当番として勤務中、演説者との距離は近く10mも離れていない。従って、折り畳み式の衝立が立っているので、来客からは覗かれないが、演説や鯨波などは当然雑音として入るので、職務への集中を散漫にさせ、電話の相手方の声が聞き取りにくくなるなど職務専念を妨げるおそれがある状況でなされる。

●31分から37分頃 司会の組合分会長挨拶 〇〇
 まず集会時間を20分、目的について闘争課題を確認し意思統一を図ることと述べ、国政の状況、国家公務員の労働基本権付与の法改正は、国会が本日閉会したので、見通しが立ってない現状をまず報告したうえ、今回の闘争目的を説明。 
●38分から43分頃 分会書記長基調報告 ○○
 事前に配られた内容を読み上げた。前半は14日1時間ストを設定して監理団体業務委託を見直し、直営職場を残す闘いをやる云々と述べ、後半は21日1時間を設定しその他の職場要求と反合理化課題の解決を目指す。震災復興が進まないのは被災自治体の人員削減が要因などと言い、人員削減計画を見直す契機とすべきだといった趣旨を述べていた。演説が終わってぱらぱらと拍手があり、司会の分会長が確認のため拍手を催促し、比較的大きな拍手となった。
●44分から46分  組合員代表の決意表明 〇〇
 組合委員代表一人(元中央委員)が矢先漏水調査業務見直しは営業所業務にも影響がある云々と述べたうえ、闘争の決意表明を読み、拍手が求められた。
●47分から49分頃 分会長の音頭で頑張ろう三唱等(組合分会長)〇〇
 事務連絡の後、大声で「14日、21日ストライキに向け闘争課題を確認し、決意表明を受けました、最後に頑張ろう三唱で締めたいと思います」といったことを述べ、「団結用意」とかけ声があり、頑張ろう三唱が行われた。
以上、これは一例だが、組合員代表の決意表明があったのは中野ではこのケースのみなので掲載した。昼休み集会の流れの大筋は上記のとおりである。
参照判例 全逓新宿郵便局事件.最三小判昭58.12.20判時1102、 東京高裁判決昭55.4.30労判340、池上通信機事件.最三小判昭63.7.19、日本チバガイギー事件.最小一判平元.1.19、済生会中央病院事件.最二小判平元.1.29民集43-12-1786全逓長崎中央郵便局事件.長崎地判昭59.2.29労判441号カード、東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442、熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566、JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件 .大阪地判平12.3.19労判790、仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464


(六)本庁・支所・合理化拠点の動員決起集会-中止・退去命令
 勤務時間内に下水道局も含め2割動員.3割動員の決起集会

 当局は2割動員については休暇、時間休をとって参加を認め、3割動員は年間3~4回はあり、大きな闘争のあるときは回数が多くなるが、当局は争議行為と認定し賃金カットする。賃金カット分は組合が闘争資金から補償する。
 内容は昼休み集会と同じ形式と考えられる。基調報告、交渉経過報告、組合員代表決意表明、決議文朗読、頑張ろう三唱でしめくくる。平成12~13年ごろの千代田営業所で庁内デモ行進も行われた。

 勤務時間内いかんにかかわらず庁舎構内は不許可。中止.退去命令する。3割動員は職場復帰命令をする。現認・監視対象とし演説者等記録する。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。その際、スト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。

根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」そのものである。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。許可すれば当局が違法行為を助長したことになるからである。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
犯罪 動員された外来者については建造物侵入罪、退去命令に従わない場合の不退去罪の犯罪構成要件該当行為
ただし、都庁構内の集会は敷地内だが、外部の者が自由に立ち入れる公開空地のため建造物侵入罪が成立するかは微妙。
今後、このような集会は労働組合が自己の負担及び利益において開催するものとする。庁舎管理権の及ばない、公園や集会施設の開催も監視の対象としつつも中止命令まではしないが、三割動員やスト集会の場合は職場復帰命令をしてもよいだろう。道路専用許可をとったうえでの街宣デモ行進は、他の市民団体、政治団体と同じ条件なので当局は関与しない。
処分 中止命令にもかかわらず集会を強行し且つストが実行された場合、主宰者、演説者、頑張ろう三唱の音頭取り等懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。参照判例は(四)と同じ。


(七)スト決行体制確立、闘争突入した時点で集会等便宜供与の禁止
 国の省庁では組合がストライキを配置した時点で、組合集会に庁舎構内の便宜供与を禁止し、強行した場合の中止命令を徹底している。東京都はなんでも容認し、事実上違法行為の強度の慫慂に加担している。この方針は(五)と(六)の禁止と重複する
旧郵政省では、日常的な組合活動については、会議室等利用を許可している。しかし全逓が、業務規制闘争やストライキを配置し闘争体制に入った時点で、地方郵政局が各郵便局に指示して、局所内の組合活動の便宜供与を停止し、集会を強行した場合は、監視.中止解散命令を徹底している。
 それは、組合が闘争態勢での便宜供与は当局が違法行為を助長することになるので、目的外使用である組合集会を規制する正当な理由があるものとして不許可とする方針で、裁判所もこの方針を是認している。これは重要な改革になる。

根拠 地公法11条1項後段の「そそのかし」「あおり」がなされるおそれがあり、規律ある業務運営を維持する権限、または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。
参照判例.東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442号は、国労札幌地本判決を引用して、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法17条1項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないと判示した。熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566、仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464)スト決行態勢での便宜供与はしないことになっている。東京都でも国の省庁と同方針をとるべき。
処分 中止命令に従わず集会を強行した場合、集会で演説等に立ち指導的な役割を果たした場合、暴言や暴行をふるった場合は懲戒処分の対象となる。ただし当面、ストライキが実行された場合に限り、懲戒事由とすることとする。

(八)ビラ貼り-パトロールし現認制止する
 ステッカー闘争は組合が指令しているもので、平成半ばまでは夥しい数のビラ貼がなされていた。主として階段やエレベーターホールなどの壁面、支所動員集会のあるときは大がかりなものとなる。しかし平成16年頃後藤雄一都議が西部支所のビラ貼の写真をネットにアップしたことから、当局はビラの枚数の確認や、写真撮影を指示するなどして、一時下火になったが、近年復活傾向にある。
組合掲示板以外のビラ貼りは全面禁止とする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(九)前掲のとおり。
 ビラ貼りは、組合役員が複数の若手の組合員に指図して行うが、廊下の壁面などに午後五時一五分の定時退庁直後になされるのは、管理職が現認.制止をすることがないことがわかっているからであるが、今後はパトロールして、現認し制止することとする。
 根拠 東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない 8(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、組合掲示板を別として、管理者の許可のない文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。
(4)以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの

五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文.寄せ書き、幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。
参照判例.国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30民集33-6-676、東京郵政局事件.東京地判昭46.3.18判時624、北九州市若松清掃事務所事件.福岡地判昭56.8.24訟務月報28巻1号109、朝日新聞社西部本社事件.福岡高判昭57.3.5労民集33-2-231、麹町郵便局事件.東京高判昭58.7.20判時1049号75頁、七福交通事件東京地判平10.3.3労判738号38頁、動労甲府支部ビラ貼り損害賠償請求事件.東京地判昭50.7.15労民集26-4-567、帝国興信所岐阜支店事件.岐阜地判昭56.2.23判時1005号167頁、大久保製壜所事件.東京地判昭58.4.28判時1082号134頁。
処分 管理職と現地スト対策本部職員はパトロールし、貼付現場を現認した場合、制止する。制止をはねのけた場合は、1回目警告、2回目訓告、3回目戒告とする。指導的役割を果たした場合ストが実行された場合は懲戒事由とし、量定を過重する場合があるものとする。
写真撮影をする。貼付後の対応は、平成17年頃と同じく、写真撮影ののち、撤去命令に従わない場合、スト対策本部職員を動員して剥がす。剥がしたものは返還しない。組合側はビラ等が組合の財物だと主張し返還を求めているが、「通常のビラの場合、それを使用者の許諾なしに物的施設に貼った段階で所有権が消滅する(所有権の放棄を擬制するか、或いは民法242条、243条の付合の理論)ので返還は不要。東水労の場合大多数はセロテープやまたは両面テープで貼り付けるが、接着剤で糊付けされ、撤去.清掃に費用が掛かった場合は撤去費を貼り付けた責任者に請求するものとする。
(九)ビラ配り-闘争態勢に入った時点で許可制に
 私の職場では、平時は組合の印刷物配布は勤務時間前か後に各職員の机に置くスタイルで、ただし11月15日はビラを午後勤務時間に配布していた。
 庁舎管理規程でビラの無許可配布を禁止事項だが、新規則は、平時は無許可配布でよいこととしたので、態様で規則違反は中止命令する。
ただしストライキを配置し闘争に入った時点で、違法行為の慫慂が目的のビラが配布されるおそれがあるため、無許可配布を認めないものとする。とくにストライキや動員集会の参加の慫慂が目的の、動員集会と昼休み集会とセットでなされる朝ビラ情宣は態様も半強制的なので認めない。
 中止命令をする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(七)131頁参照

根拠 東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。 
新規則8(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。
処分 無許可配布、中止命令に従わなかっただけで処分の対象とせず、2回目に警告、ストライキが実行され、ストを慫慂するビラを配布した場合に戒告処分以上の処分事由とする。

(十) 組合掲示板の公務秩序に反する掲示物の撤去-不適切なものは撤去
 新規則に示された地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの「闘争宣言」や「ストライキで戦うぞ」等は撤去対象となる。「闘争宣言」は平成11年以前江東営業所で見た。「ストライキで戦うぞ」のビラは平成12~3年千代田営業所で見た。小さい文言だが、平成6年10月31日スト権批准投票結果92.77%のビラが、11月15日にも貼り出されておりの表示の文言にもあり現在も貼り出されている。少数組合の掲示板でも赤旗に「激」とあり寄せ書き(平成18~19にみかけた)も撤去対象として、撤去命令には違わない場合は、当局で撤去する。
 掲示物撤去判例としては全国税東京足立分会事件・最二小判昭59.1.27労判425等にあり、庁舎管理者による庁舎等における広告物等の掲示の許可は、専ら庁舎等における広告物等の掲示等の方法によってする情報、意見等の伝達、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除するものであって、右許可の結果許可を受けた者は右のような伝達、表明等の行為のために指定された場所を使用することができることとなるが、それは、禁止を解除され、当該行為をする自由を回復した結果にすぎず、右許可を受けた者が右行為のために当該場所を使用するなんらかの公法上又は私法上の権利を設定され又はこれを付与されるものではなく、また、右許可が国有財産法18条3項にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらないと解すべき」
 組合掲示板の掲示物は組合に公法上、私法上の権利を設定され付与するものではないので、庁舎管理権にもとづいて公務秩序に反する掲示物を転居する権限が当局にある。違法な文言、違法行為を慫慂する文言の掲示物は撤去されてもやむをえないというものである。
掲示板の法的位置づけの上記の枠組みは、東京都水道局にもあてはまる。庁内管理規程で第五条の十ではり紙若しくは印刷物を掲示することは禁止事項となっており、組合掲示板は禁止を解除されたものと解釈でき、行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)の許可ではない。従って公法上又は私法上の権利を設定され又はこれを付与されるものではない。組合掲示板の掲示物は庁舎管理者で事実上使用することを許可しているだけであって、不当労働行為とされることがないことは、参照判例のとおりである。

根拠 庁舎管理規則第五条の十新規則8以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの。
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの。
五 公務秩序、良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文.寄せ書き.幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。
参照判例 全逓損害賠償請求(新宿局.空港局.静岡局)事件東京地判昭54.2.27労民集30-1-20、昭和郵便局(全逓昭瑞支部)掲示板撤去事件.最一小判昭57.10.7民集36-10-2091、全国税東京足立分会事件.最二小判昭59.1.27労判425、国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件.東京地判平3.7.3判時1396
処分 撤去命令に従わない場合、当局が庁舎管理権発動で自力撤去するが、抗議活動で、暴言、暴行があった場合は懲戒処分の対象となる。ストライキが実行された場合は懲戒事由に含める。量定を重くする場合がありうる。
 
(十一)マグネットシートの貼付、赤旗の寄書き、煙突闘争等-ビラ貼りと同じ対応
 
 現在は行われてないが、平成15~16年頃、14.5×4.5cmのマグネットシートで「お客様センターNОストライキで戦うぞ! 完結型受付防衛‥‥」とか「イラク戦争反対」と言った文言のある組合の主張が印刷されたものが各組合員に配布され、机や什器、戸棚などに貼り付ける闘争が行われた。
 これは実質ビラ貼りと同じ効果のあるものであり、「ストライキで戦うぞ」のような違法な文言もあるので撤去命令し、従わない場合自力撤去する。
 このほか、平成7年頃七夕の笹飾を机上に設置し、短冊に要求項目を書く闘争があったが、これもビラ貼りと同様の措置とする。またストライキ態勢を固めるため、赤旗に寄せ書きして団結を示威するため、赤旗は事務室内に掲出ないし設置することがしばしば行われるが、これも撤去命令等、ビラ貼りと同じ対応とする。
 煙突闘争というのは円筒状のボール紙などに要求項目を書いて机上に設置して、組合員の訴えかけをするもので水道局では見たことがないが、そういう闘争もありうるが、この場合もビラ貼りと同じ対応とする。
 なお、組合が団扇や手ぬぐい、ボールペン、ティッシュペーパーなどの「全水道東水労」と記載されている組合グッズを組合員に配って使用を促すことがしばしばあるが、見せつけたりしない以上は取締りの対象としないこととする。
 処分 ビラ貼りと同じ。

(十二)春闘ワッペン、赤腕章-取り外し命令
 勤務時間中に業務外の徽章等、春闘ワッペン、頭上報告、集会主宰者が着用する赤腕章、業務外のメッセージが記載されているトレーナーやTシャツの着用を禁止し取り外し命令等、職務命令をする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(四)で詳しく説示したとおりである。争議行為でなく正当でない組合活動の範疇になる。

根拠 地方公務員法35条職務専念義務違反。新規則 3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)
参照判例 服装戦術判例〇服装戦術許容●服装戦術を正当な組合活動と認めない△服装戦術を正当な組合活動と認めないが処分を無効とする。または服装戦術は違法だが違法性を軽微なものとする
●ノースウエスト航空事件 東京高判昭47.12.21(腕章着用が職務専念義務違反と判示)●国労青函地本リボン闘争事件 札幌高判昭48.5.29●神田郵便局腕章事件 東京地判昭49.5.27● 大成観光リボン闘争事件 東京地判昭50.3.11△中部日本放送リボン闘争解雇事件 名古屋高判昭50.10.2●全逓灘郵便局事件 大阪高判昭51.1.30●神田郵便局腕章事件 東京高判昭51.2.25●大成観光リボン闘争事件 東京高判昭52.8.9●目黒電報電話局事件 最三小判昭52.12.13●大成観光リボン闘争事件 最三小判昭57.4.13●東急電鉄自動車部淡島営業所事件 東京地判昭60.8.26△国鉄鹿児島自動車営業所事件 鹿児島地判昭63.6.27△国鉄鹿児島自動車営業所事件 福岡高裁宮崎支判平元.9.18●国鉄鹿児島自動車営業所事件 最三小判平5.6.11〇JR西日本国労広島地本事件 広島地判平5.10.12△延岡学園事件 福岡高裁宮崎支判平5.10.20〇東洋シート警告書事件 東京地判平昭7.6.8●西福岡自動車学校腕章事件 福岡地判平7.9.20(自動車学校の労働組合員らがした腕章着用闘争につき、同闘争は、労働者の団結を示威し、使用者に対し心理的圧迫を加え、労働者の要求ないし主張を貫徹する争議行為的側面と、組合員相互間において連帯感を触発し、団結をより強固にし、使用者との交渉に当たって士気を鼓舞する組合活動的側面の双方を有するものであるが、業務を阻害しなくともその本来的な目的を達することができるから、特別な事情のない限り、本質的には争議行為ではなく組合活動であると解するのが相当であるとした上、就業時間中に組合活動を行うことはその具体的態様にかかわらず職務専念義務に反するもので、正当な組合活動ではないとして、腕章着用闘争を理由とする戒告処分は不当労働行為に当たらないとした)●JR東海国労東京地本新幹線支部国労バッジ事件 東京地判平7.12.14〇JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京地判平9.8.7〇神戸陸運事件 神戸地判平9.9.30●JR東海新幹線支部国労バッジ事件 東京高判平9.10.30●JR西日本国労広島地本事件 広島高判平10.4.30●延岡学園事件 宮崎地裁延岡地判平10.6.17●JR東海新幹線支部国労バッジ事件 最三小判平10.7.17△JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京高判平11.2.24△JR東日本神奈川国労バッチ事件 最一小決平11.11.11●JR西日本大阪国労バッチ事件 東京地判平24.10.31●JR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件 東京地判平24.11.7●JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京高判25.3.27△JR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京地判平25.3.28△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京高判平25.11.28△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 最一小決平27.1.22△東京都立南大沢学園養護学校事件 東京地判平29.5.22都立学校教師が、卒業式において、校長の職務命令に違反し、国歌斉唱の際、起立しなかったこと、「強制反対 日の丸 君が代」又は「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」等と印刷されたトレーナーの着用を続けたことによる停職6月の懲戒処分は、処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱し違法としたが、●都立南大沢学園養護学校事件.最一小判令元10.31TKCは懲戒処分を適法としている。
処分 ワッペン.腕章については取り外し命令 1回目警告、2回目厳重注意、3回目訓告、4回目戒告処分。

(十三)所属長要請行動は拒否する
 
 「所属長要請行動」とは、大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものがある。
役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、言うことをきかなければ怒号が飛び交い、吊るし上げる態様のもので、事実上執務妨害だが、拒否、退去・.就業命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、闘争期間中の職務命令はしないという慣例によるものと考えられるが、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもあるそれゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。
 しかし平成16年3月17日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動の質問したことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、東岡職員部長通知にもとづき昼休み等に移行させることとなった。
 当局の提案の交渉当事者でない管理職が要請を受ける理由はなく、実質組合の言い分を認めさせるための職制を取り込む儀式であるから、拒否が妥当である。
参照判例 抗議活動、話し合いの強要、執務妨害は懲戒処分の理由になる。神戸税関(全税関神戸支部)事件・最三小判52・2・20民集31巻7号1101頁「組合員Oに対する懲戒処分の抗議行動 神戸税関長官房主事が戒告処分書の交付及び処分説明をしようとしたところ、処分者は「でっち上げだ。」「税関長に会わせろ。」等と大声をあげて処分書等の受取を拒否し、その後、組合員四、五〇名が同室につめかけ、「ばかやろうー、ちんぴら。」などと罵声を浴びせ、あるいは携帯マイクを使用して同様のことをし、他の組合員も机を叩くなどして口々に激しく抗議した。また、室内の壁や入口のドアには「オマエはバカなチンピラだ。」「不当弾圧撤回、首切りを仕事にする‥‥」などと書かれたビラが貼られた。退去要求を無視し、官房主事ららの退出を妨げた。昭和三六年一〇月五日当局の発した前日の警告及び当日の執務命令を無視して、当関本庁舎正面玄関前で勤務時間内にわたつて行なわれた職場集会を積極的に指導し、更に引き続いて当関本庁舎内デモ行進を提案し、これを行なつた。同年一〇月二六日当局の発した前日の警告及び当日の執務命令を無視して、当関本庁舎正面玄関前で勤務時間内にわたつて行なわれた職場集会を積極的に指導した。人員増加要求を貫徹するため、同年一〇月三一日から一一月二日に至る間、当関輸出為替業務担当職員に対し処理件数を低下させるよう提案するなど、輸出事務繁忙期における通関業務の処理を妨げようと企て、これをしようようし、その結果上記業務を妨げた。人員増加要求などを貫徹するため、同年一二月二日全国税関労働組合神戸支部執行部役員とともに、当関輸出関係業務担当職員に、一斉に超過勤務命令徹回願を提出するよう勧しようし、その結果作成された同徹回願を一括して、当関業務及び鑑査両部長にそれぞれ提出し、かつ同日午後一時三〇分から超過勤務に服すべき上記職員約四五名を三階講堂に集結させて、同二時五分頃まで同人らによる通関業務の処理を妨げた。
 上記の行為は国家公務員法第九八条第一項、第五項及び同法第一〇一条第一項並びに人事院規則一四ー一第三項の規定に違反し、国家公務員法第八二条に該当するので同条の規定により懲戒処分として免職する。。
総理府統計局事件・東京地判昭50・12・24判時806、東京高判55・訴務月報26ー9-1594
懲戒免職 統計職組執行委員長 停職四月 統計職組役員2名、月額10/1減給三月 3名 懲戒免職の理由 同職組の代議員会及び合同委員会の決定に基づく職場大会の開催にあたり、これを指導するとともに、ピケツトによる各門からの入門阻止行為の総指揮にあたるなど職場大会の全般にわたり指導的な役割を果したほか、同職組の執行委員会の決定に基づき、賃金カツトに抗議するため、勤務時間中の職場オルグ活動、話合の強要、局長に会わせろ。局長がだめなら、総務課長に会わせろ。」、「今放送した業務命令、退去命令を取り消せ。」、「犬みたいなまねをするな。どういう権限があつて、通さないのだ。」などと大声でどなり、執拗に被告局長に対し、面会を強要し、この間、これに伴う喧騒のため、局長室前の会議室において、開催されていた改正消費者物価指数説明会の運行を妨げた。職制に対する抗議行動をした際にも、指導的かつ積極的な役割を果している。
四国財務局(全財務四国地本)事件・最三小判昭52・12・20民集31巻72号1225頁
全財務四国地本執行委員長は① 10時30分頃から約1時間、組合支部が主催した会合に参加してその職務を妨害した。
② 10時30頃から公務員共闘会議の役員が局長室において局長と会見した際、それに参加してその職務を放棄。局長が退出しようとしたところ、大声で詰問し局長の退出を約七、八分妨害し詰寄る。
③ 勤務時間中の午後3時ごろ、事務室において携帯拡声器を用い、執務中の職員に対し約四、五分間にわたり放送して、職員の執務を妨害した。
④ 組合執行委員会で勤務状況報告書を組合で保管することを決定し、在庁執行委員は手分けして第一次評定者(係長)の席をまわって、説得して収集したが、Xは他の役員数名とともに四人をまわり説得したが、その際経理係長が経理課長に提出しようとした報告を同課長と引っ張り合い、同課長の制止を妨害して、収集した。(組合の保管は約1日程度)
⑤ 中央執行委員長が事務室において執務中の職員三、四分くらい経過報告をした際、これに同行して職務を放棄した。
⑥ 事務室において午後0時30分~午後1時27分頃まで午後4時30分~5時5分頃、約12分間勤務時間に食い込む職場集会が開かれた際、これに参加し、闘争経過報告を行った。
⑦ 勤務時間中の、みだりに職務を放棄し、組合役員約九名とともに、総務課長に対し大声で荒々しく抗議要求し、同課長の勤務を妨害した。①~⑦は国家公務員法101条1項(職務専念義務)及び人事院規則14-1第3項前段(勤務時間中の組合活動に従事し)②の局長退出妨害は国家公務員法99条(信用失墜行為)③⑦の各行為は人事院規則4-1第3項後段(勤務時間中における他の職員の勤務を妨げた)④の行為は国家公務員法98条5項後段、人事院規則14-1第3項後段にそれぞれ違反し、Xの本件各行為は、国家公務員法82条1号2号に該当するとして懲戒免職とした。
(註-昭和37年当時の人事院規則14-1第3項後段は現在の人事院規則17-2第7条2項に相当するものと考えられる)⑨は国家公務員法101条1項(職務専念義務)及び人事院規則14-1第3項前段(勤務時間中の組合活動に従事し)②の局長退出妨害は国家公務員法99条(信用失墜行為)③⑦の各行為は人事院規則4-1第3項後段(勤務時間中における他の職員の勤務を妨げた)④の行為は国家公務員法98条5項後段、人事院規則14-1第3項後段にそれぞれ違反し、Xの本件各行為は、国家公務員法82条1号2号に該当するとして懲戒免職とした。
(註-昭和37年当時の人事院規則14-1第3項後段は現在の人事院規則17-2第7条2項に相当するものと考えられる)
処分 拒否しても強要するならば相応の懲戒処分の対象とする。

(十四)三六協定破棄闘争の対応-不可欠な業務と予め日程に組まれていて委託業者に影響のある業務は違法であっても業務命令する

水道局と過半数組合である全水道東水労の時間外に関する協定(三六協定)では1年おきに更新されるが、第10条で「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という組合が一方的に破棄できる条項があり、令和6年度は、11月15日、12月19.20.21日、1月23日、3月11.12日を指定して超過勤務拒否闘争を実施した。近年では年間10日を超えることはまずないが、毎年恒例であるほか、業務手当闘争のあった平成16年には9日間連続の破棄闘争などがわたりかなりの日数で超勤拒否闘争を行った。
ストライキ時と同様、水の供給、突発事故対応に支障がないようにするため保安要員は適用除外といっても、保安要員を置くことを自体がすでに正常な業務運営ではなく、当局は事実上労働協約で地公労法11条1項違反を容認しているように思える。当局はこのほうが三六協定の現場締結や、短期間で更新するような在り方より安定的と判断しているのかもしれないが、信義則をいつでも破れるという組合のスケジュール闘争を前提とした協定なので問題は当然ある。

 これまでの当局の方針は、組合の主張どおり、三六協定破棄が過半数組合の権利であり、争議行為ではなく適法として、保安要員か組合との事前保安協議で認められた業務を除き、いっさい超過勤務の命令をしてはならないというものである。このため必要な時間外業務は管理職で行うものとされている。
しかし、今後はスケジュールで事前に予定されていた時間外の業務、経常業務で時間外のもの、それを中止すれば委託業者等の実務に工事の日程に支障があるもの等、必要不可欠な時間外の業務は、三六協定未締結でも業務命令する方針に今後は変更するものとする。
組合は労基署に訴えるなど反発が想定できるが、国鉄や旧郵政省で三六協定未締結でも業務命令する場合があり、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当すると最高裁が判断していることを前提として、労基法違反承知で、経常業務維持の最低限の業務命令を行う方針とする。法秩序全体の見地から労働法が完全優位という組合側の論理にはならないと判断するからである。
 組合は、三六協定未締結の状況で、出勤時限前の労務指揮権が消滅するので、スト参加の説得に応じない非組合員などの出勤時限前の入庁とICカードリーダに出勤入力はできないとの見解を示すことがあり、管理職も同調し、非組合員の締め出しに加担する場合がある。
そもそも、当局は、組合側の争議行為は当局の労務指揮権から離脱するものだから、業務命令を行ってはならないという学説に示したがってストライキに対し就業命令等職務命令はいっさいしないことになっているが、争議中であることを理由として、国公法98条1項の上司の命令に従う義務を免れることはない明示した神戸税関事件.最三小判52.12.20の判例で就業命令が適法であることは確定しているのに、東京都は全く無視している。
 ICカードリーダに出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務と東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件.東京高判平26.2.12労判1096が説示していることかに、三六協定破棄によって、服務上の基本的義務が否定されることはありえないし、それに同調する管理職は就業規則違反の慫慂することであり許されないことである。
 
1 当局は適法としているが昭和32年内閣法制局意見によれば争議行為である
 北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-739は、最高裁が初めて地公労法11条1項を合憲とし、同条項違反による懲戒処分を適法とした判例だが、三六協定未締結の超過勤務拒否闘争を争議行為と認定した判例でもある。
岩淵正紀判解は、最高裁は明示しなかったが、内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁従来更新を重ねてきた三六協定の更新拒否が、超過勤務自体の条件改善のためではなく、労使間の他の要求貫徹の手段としてなされるときには、禁止された争議行為にあたるという趣旨)に近似した判断とみなしており、この趣旨から、全水道東水労の三六協定破棄闘争も、争議行為である疑いが極めて濃いとみてよい。
 にもかかわらず、東京都水道局職員部の見解は、北九州市交通局事件で三六協定未締結での超勤拒否闘争を争議行為と認定したのは平常ダイヤのバス運行が9勤務、超過勤務が前提のものだからとして、水道局ではバス運転手のように毎日超勤を義務付けている職場はないので、適法とするのである(平成15年に上司を通じて確認した)。
つまり、東京都水道局は、最高裁は三六協定未締結闘争は、市営バス運転手の毎日超勤という特殊な事例について争議行為と判断したが、水道局は違うので争議行為にあたらないとするのである。
 しかし水道局の営業所でも経常業務で、超勤はあるし超勤予算もとっている。又、毎日ではなくても配水課などでは夜間作業が頻繁にあり、時間外労働がなければ成り立たない職場であるのに、職員部当局は組合のいいなり。少なくとも北九州市の判決は未締結闘争を争議行為と認定しているのだから、積極的に適法で労務指揮権を掣肘する組合の不当な権利を容認している東京都の労務管理に問題がある。 
三六協定未締結闘争は、昭和20年代から、争議行為が禁止されていても、職制麻痺できる遵法闘争の一つとして、全逓、国労、動労がよく用いた戦術であった。しかし国鉄や郵政当局は東京都のように労務指揮権を放棄していない。
 動労の全国7拠点昭和38年12月13日19時より2時間の職場大会(事実上スト)において、三六協定が未締結の状況で動労組合員でもある指導機関士を召集し、出務してこない組合員の代務として乗務を業務命令しているし(動労糸崎駅事件.広島地判尾道支部昭43.2.26.下級裁判所刑事裁判例集10巻2号195頁)、三六協定未締結の状態で1日8時間を超える勤務があったとしても、それによって業務遂行の適法性は否定されていない。旧郵政省では法内超勤は合法との見解をとり、全逓名古屋中郵第二事件.名古屋地判昭39.2.20刑集32-2-139のように状況によっては三六協定未締結でも地方郵政局と協議したうえで時間外労働の業務命令をすることがある。
 三六協定破棄によって、組合のいうように時間外の職制の業務命令権や施設管理権が消滅することはなく、労基法違反の業務命令もありうるということである。組合側が労基法違反として訴えるとしても、法制局意見や最高裁の先例で争議行為の疑いが濃いこと、信義則に反する協定の一方的破棄等、法秩序全体の見地からみて、この状況で使用者側が処罰される結論にはなりにくいと判断するからである。

2 労基法違反の時間外労働でも職務の執行は違法にならないとする先例

 三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている
水道緊急隊は工務係を除き保安要員とされていて、突発事故の対応はできるから問題ないと当局はいうだろうが、悪質な職制麻痺闘争である以上、いつでも組合が違法争議目的で労務指揮権が掣肘されることを許している職場慣行は、1400万都民と首都中枢のライフラインを支える企業としては無責任な体制といえる。
 最高裁は三六協定未締結で国鉄や郵便局が業務命令したケースで、就労を妨害する組合員による、公務執行妨害や業務妨害罪の成立が争点になった事案では以下の判断をとっている。
仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件.最二小判昭48.5.25は、「労働基準法32条1項は‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」と説示し公務執行妨害罪の成立を認め、動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30は労働基準法違反の時間外労働という一審の争点を明示することもなく久留米駅事件方式の「法秩序の全体的見地から」という決まり文句で、名古屋中郵第二事件最二小判昭53.3.3も一審、二審で争点になった三六協定未締結の問題に言及することもなく名古屋中郵判決方式での「法秩序の全体的見地から」、職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとし、威力業務妨害罪の成立を認めている。

3 経常業務等の管理職対応はやめ業務命令する
 
 かつて国労が、三六協定未締結超勤拒否で仕事を助役に押し付けていやがらせしたように、営業所では全水道東水労役員は三六協定破棄闘争で、管理職に出勤事件前や定時退庁後の経常業務、金庫をあけれて釣銭を準備し窓口のレジを設営して、8時半の開庁時間のスタンバイをさせるいやがらせをする。退庁時には逆に金庫にしまうまで管理職にやらせるのである。管理職の本来業務でない。組合の指図で管理職が経常業務を行うのは正常な業務運営ではないので、今後は業務命令して管理職対応にしないものとする。このほか年間スケジュールでワックスがけの清掃の検査業務とか時間外のものがあるが、これも、管理職対応でなく、業務命令するものとする。
 1日の定時出勤.退庁で労働時間は東京都水道局は7時間45分なので、法内超勤としては15分の余裕があることと、8時間以上越えでも、先に述べた理由で業務命令する。
 違法であってもやむをえざる事情にしぼっての命令なので当局に不利な結論にはならないと思う。 
 
(十五)スト待機-事務室利用拒否、建造物侵入罪で告訴も検討
 全水道東水労は年間3~4回はストライキを配置し闘争する。令和五年度は4回、11月、12月、1月、3月にあった、スト前日は当局の最終回答を受けて、中央委員会が開催され、そこでストライキを回避するか、決行するかの判断がなされるが、早い場合は午後7時、遅いと深夜、未明にまでずれこむことがしばしばある。
 組合はスト前日の夜から当日の朝方にかけて、各事業所に役員を待機させ、指令の組合員への伝達、スト集会準備などをさせることになっている。
 スト前日の夜から当日は三六協定破棄しているので、職員一般は締め出されるが、組合役員はスト待機という任務ゆえ、深夜、未明に事務室内に滞在、ないし出入りをする。
 
 私の職場では2年前に、次のような事件があった。
 令和4年12月22日スト配置日に早朝中央委員会報告があり組合分会長兼中央委員〇〇が演説し、スト回避と三六協定再締結の経緯の説明渋谷営業所の業務移転は押し返すことができず、ただし、葛飾の1名退職派遣増員させる。徴収サイクル問題について、三六協議が日常茶飯事、健康管理を要請、待機廃止の緊急隊移管は、再来年と2月19日に延期で妥結、ただし事務職でできるのか正月以降継続協議、頭上報告は今年は最後協力ありがとうございましたでしめくくる。
 そのあと朝、所長、総括課長代理、営業係の庶務担当者、3者で深刻な話をしていたので何かと思ったら、昨日スト待機でセキュリティに不具合、所長と〇〇が1階はいいが2、3、4階で不具合との話をしていた。そのあと、別の組合役員と20分ぐらい〇〇が話、その前に、○○とも話、四時十分、四時三十分と言っていた。そのころ〇〇が侵入したのが原因らしい。橋本は警報もならなかったので問題ないと思っていたなどと話していた。
 要するに、〇〇がスト待機で、未明の4時すぎに事務所入り、何か操作をセキュリティ破りをしたので機器に不具合が生じた。
 平成21年から5年間在籍していた中野営業所が、スト待機の日は事前に警備会社に連絡して、警報が鳴らないよう措置を指示していた。平成6年11月13日のスト配置前日は総括課長代理が組合中央委員の〇〇に対し、入室の方法を話していた。
 当局はスト待機を組合の業務として全面的に支持し、セキュリティ破りも認めているのである。
しかし、スト待機の主要な目的が指令伝達とストが決行された場合のスト準備であり、地公法11条1項違反の違法行為を目的とするものゆえ、目的外使用であり、事務室利用の便宜供与を認めることは違法行為の支援、助長であるから、事務室立ち入り拒否すべきである。パトロールをして現認、退去命令してもよいである。新規則では無許可組合活動は勤務時間外でも禁止しているので対応できるので、スト待機を禁止する。
 むろん24時間稼働している部署では深夜でも出入りできるのであるが、警備会社と契約しセキュリティを稼働している部署のセキュリティ破りは建造物侵入罪を成立させるべきである。
 地公労法11条1項違それ自体には罰則規定はないが、労組法1条2項の刑事免責が適用されないことは、指導判例である全逓名古屋中郵事件判決.最大判昭52.5.4により明らかなことであり、これは公労法判例だが地公労法違反のストライキを別異に解する理由はない。
全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53.3.3刑集32-2-97香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならい。
名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法17条1項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している。
 スト待機は、争議行為そのものではないがそれに付随する行為、争議行為目的なので違法性を阻却する余地はないことなる。
ちなみに、建造物侵入罪については、全逓釜石支部大槌郵便局事件.最二小判昭58.4.8刑集37-3-215が、管理者側に有益な先例といえる。「刑法130条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである」とする。
 このため、私の提案では新規則に勤務時間外であれ無許可組合活動を禁止事項としているので、規則制定と周知だけでも管理者が容認してないと判断できると思う、そのうえに、当局が管理意思をアナウンスする。災害時対応等の緊急の場合を除き、深夜未明のセキュリティがかかった時間帯の事務室の無許可出入りを禁止することを職務命令すべきである。現状では、庁舎管理者がスト待機を知っていながら黙認しているので犯罪が成立しない。
根拠 スト待機の重要な目的が指令の伝達なので違法行為である地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」の恐れがあるという理由だけて、規律ある業務運営態勢を維持する当局の施設管理権にもとづく。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。
処分 無許可立ち入りを現認したうえ、ストが実行された場合は懲戒処分事由とする。刑事告訴も検討(住居侵入罪)。


(十六)ストライキ準備行為の禁止-撤去命令 


 西部支所ではストライキ決行時に、ビラ貼りのほかICカードリーダを紙でふさぐ工作をし、組合旗の掲出、横断幕が用意された集会を過去みている。平成半ば以前だが、江東営業所や千代田営業所で組合旗のほか立看もあり、ストの準備がなされるが、以下の規則違反として扱う。
 根拠 東京都水道局庁内管理規程違反第五条十等の禁止事項違反。地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」の恐れがあるという理由だけて、規律ある業務運営態勢を維持する当局の施設管理権にもとづく。新規則 55 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.プラカード.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設置してはならない。又、業務用機器を使用させない作為をしてはならない。業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進をしてはならない。
処分 撤去命令に従わなかった場合懲戒処分の対象とする。

 (十七)ピケッティング-中止・解散命令
 

 過去の経験では庁舎構内のピケッティングは、入庁させないため、ICカードリーダに出勤入力させないための説得、入庁後、多衆で包囲して罵倒などの行為があった。違法行為の慫慂それ自体が地公労法11条1項後段違反であり、多衆による包囲、通行妨害は、新就業規則(5)違反として、中止、退去命令し、監視、写真撮影し、現認検書の上申を義務づける。
 ピケッティングは同盟罷業だけでなく、平成26年2月5日の中野営業所の業務委託拒否闘争では、〇〇本部委員が勤務時間中オルグ演説し、当日の人事課の退職派遣説明会の入場を阻止するピケを張った。そうしたものも中止命令をしていないが、説明会の開催と出席という業務の妨害なので、当局は認めていないが地公労法違反の違法行為である。
ピケが小人数の場合は、地公労法11条1項後段の違反として戒告以上の処分対象とし、物理的に就労を阻止する大量動員ピケがあった場合は、解散命令など管理意思を示し威力業務妨害罪を成立させるようにする。
 なお、組合側がこだわっている。職員全員を欠務させ、スト破りを認めないこと。ICカードリーダに出勤入力することを阻止することは「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務の否定であり、就業妨害とみなす。
 スト当日は三六協定が破棄される慣例だが、(一)(十四)や第Ⅰ部(Ⅵ)三で述べたとおり、最高裁は、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている。組合のいう労基法により労務指揮権が消滅するということはないのであって、労基法上違法であっても違法を承知で職務命令ができると考えられる。業務命令してはならないという組合側の理屈に従う必要はない。出勤時限前の出勤入力は規則で服務上の基本的義務なので、管理職が妨害することは許されない。
 また(一)で言及した非組合員はスト対策本部に召集し、組合員の行動の監視等に権限を時間制限なく与えられているので、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)ビラ剥がし事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115の判旨に依拠して、三六協定破棄を口実として、組合によって出勤時限前の入庁を阻まれることはないという解釈をとる。
 大量動員ピケッティング物理的に就労を阻止するスクラムが組まれた場合は、威力業務妨害罪の構成要件該当行為となるので、刑事告訴もありうる。
根拠 地公労法11条1項後段の「そそのかし」「あおり」に当たる違法行為。庁内管理規程第五条十三 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。
 参照判例
 違法争議行為の内部統制権は否定されており、組合員であれストの勧誘.説得に受忍義務はない。 根拠 国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28 全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)  動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)、動労鳥栖駅事件.福岡高判昭49.5.2(上告審-最三小決昭50.11.21判時801号101頁 棄却)、国労東和歌山.和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19(上告審最一小決昭51.4.1棄却)
物理的に就労阻止する実力ピケ、大量動員ピケについて多くの事件で有罪と判決している。
 最高裁は積極的業務妨害を正当な行為として認めていない。争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件.最大判昭33.5.28、久留米駅事件最大判昭48.4.25 物理的に就労阻害する場合(不法な威力 、業務妨害.マスピケ.占拠.逮捕行為.強制的拉致)てせの有罪判例は、  ホテル.ラクヨー事件最一小判昭和32.4.25暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、第二港湾司令部駐留軍横浜事件最二小判昭33.6.20威力業務妨害、 東北電力大谷発電所事件最一小判昭33.12.15威力業務妨害、水利妨害、四国電力財田発電所事件最一小昭33.12.25威力業務妨害、嘉穂砿業事件最一小判昭35.5.26威力業務妨害.暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、長万部駅事件.最一小判昭45.7.16建造物侵入、浜松動労事件.最一小判昭45.7.16 威力業務妨害全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後上告審最一小決昭49.7.4 公務執行妨害、動労鳥栖駅事件、国労東和歌山駅事件、尼崎駅ピケ事件.最一小判昭52.10.20、春闘松山駅事件.最小二判昭53.3.3、動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.2(物理的に業務遂行を妨害するマスピケ)、動労糸崎駅事件(運転席占拠+マスピケ)、動労尾久駅事件最三小決昭49.7.1(乗務員の強制的拉致+マスピケ)、光文社事件最三小判昭50.5.8(出勤途中の包囲ピケ逮捕行為)山陽電軌(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15威力業務妨害
 ピケッティングの指導.実践は地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」なので違法
根拠 北見郵便局懲戒免職事件.札幌高裁昭54.3.29、北九州交通局事件福岡高裁昭55.12.22
 処分 スト参加を慫慂する言動、ピケッティングの指導.実践は戒告以上の処分を原則とする。物理的に就労を阻止するマスピケがあった場合は威力業務妨害罪で告訴も検討する。刑事事件にしない場合でも処分の量定は重くなる。

(十八)職員一般向けの「服務の示達」の慣行を廃止し、警告兼就業命令書の手交に改める

 一般職員向けの「服務の示達」と、現行の「職員の皆様へ」は、違法行為という文言がなく、事前警告としてはインチキなので、新しい警告書兼職務命令書の交付に切り替る。マイク放送と掲示のほか、文書で手交を義務づける。
 全員手交ができなくとも最低限支部.分会の組合役員には手交を義務づける。職務命令書を突き返したり、一括返還を指図した場合は非違行為として記録したうえ、ストが実行された場合は、懲戒処分事由に追加し、量定の加重を行う場合があるものとする。

東京都水道局職員に対する警告兼就業命令書(案)

                                   東京都水道局長 〇〇〇〇
                                       所属長 〇〇〇〇

 全水道東京水道労働組合は、〇月〇日勤務時間職場離脱3割動員集会、〇月〇日に2時間のストライキを予定していますが、上記の行動は、「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と定めた地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反行為であり、法令遵守義務等の服務規律に違反し、東京都水道局庁内管理規程に違反する行為でもあります。
 争議行為は集団的組織的行動でありますが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものでなく、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者は懲戒責任を免れません(全逓東北地本事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030)。従って各職員がストライキに参加した場合は関係法令に照らし必要な措置をとらざるをえません。
 労働組合は統制権の行使を理由として、かかる違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は上記組合行動の指令に服従すべき義務はなく、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はありません(国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時689、動労糸崎駅事件控訴審 .広島高判昭48.8.30判タ300)。
従って、職員各位は出勤時限前にICカードリーダの所定操作によって出勤記録を自ら入力し、定められた時刻より職務を遂行することともに、当該組合行動の時間に職務放棄しないことを命令する。
 ICカードリーダの出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務でありますので妨害は容認しません。
 また争議行為に際して、スト参加の慫慂、庁舎構内での集会、組合旗、横断幕、立て看板等工作物の設置及無許可で旗・のぼり・プラカード・たすき・ゼッケン・はちまき、拡声器等を所持又は着用したままの無断立ち入り、ビラ貼り、ビラ配りを禁止します。
地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反の行為については、当局には地方公務員法第29条1項1号、2号、3号、第32条、第33条、第35条の適条により、懲戒処分等に付す権限、もしくは地公労法12条によって解雇する権限があることについて注意を喚起します。
また当該争議行為は違法であり、労組法1条2項は適用されないので、争議行為に際し、ないし付随して積極的な業務遂行妨害、犯罪構成要件該当行為がなされる場合には、違法性が強く推定され、厳正に対処せざるをえないので注意を喚起します。

 この警告書のメリットは、従来組合側の論理に屈従し、ストライキ時に非組合員やストに消極的な組合員に業務命令して操業を維持することをしていなかった方針はあらためることを明確に示したことである。
全員に就業命令を徹底し、法的拘束力などないスト指令からの離反を促す。ストライキ前日は、就労できる職員を申し出させるなど努力により、就業命令に従い出務する職員を多くすることを管理職の責務とする。

参照判例 全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408は、警告書を職員全員に交付している。全日本国立医療労組事件.最三小判平14.11.26労判840の一審東京地判平11.4.15判時1724によれば職員には掲示だけだが警告書の文面が記載されている。旧郵政省の例では事前に職員に就労意思を確認し就労意思を表明しない職員に業務命令を発出している(昭和48年4月27日(4時間スト)、昭和50年12.8.1(8時間スト)熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、国鉄末期の昭和61年2月15日の千葉動労ストでは、電車の運休を減らす努力として津田沼機関区等が乗務員に対し「私は、昭和 年 月 時 分 私の意思で就労することといたします。ついては、組合のストライキ指令に従うことなく、駅(区、所)長の命令する業務に従事いたします。」との確認書を提出させている(国鉄清算事業団事件.千葉地判平5.3.15)。
警告に加えて事前に職員に職務命令書を交付している例として北九州市の昭和43年10月8日1時間スト(北九州市清掃事業局事件.最二小判昭63.12.9民集42-10-850)、北海道釧路支庁昭和41.10.21、昭43.10.8の事案(北海道釧路支庁事件.札幌高判昭56.2.29労民32-5-231)などがある。
近年では、北教組の平成20年1月20日の1時間ストがあるが、道教委は30分以上職務離脱者全員一律戒告処分としたが、地公労法11条1項が適用される単純労務職員が戒告処分を不当として救済を申立たが、道労委の平成23年6月24日命令書(中労委データベース参照)に「1月29日、 G 養護学校の O 校長は、朝の職員打合せにおいて職員に対してストライキに参加しないよう指導し、所属長訓示を掲示の上、職務命令書を B を含む職員に手交した。」とある。本件は札幌高裁が救済命令取消、最高裁棄却。

(十九)ストライキ当日の集会の中止・解散命令、職場復帰命令の徹底
 

 私が見聞きしたストの集会場所は、品川営業所は構内駐車場、江東営業所は構内駐車場+庁舎内練り歩くデモ、西部支所は来客用駐車場、中野営業所は構内駐車場で、新宿営業所は事務室内シットダウンストライキに近く、執務場所を40名ほどが占拠する業務妨害罪態様の悪質なものだった。
 管理職はスト集会の中止.解散命令、職場復帰命令、就業命令を行っていない。職員部監察指導課の指示は集会場所と人数を報告することにはなっているが、国の官公庁のようにストライキ決行に際し就業命令等の職務命令をすることは指示していないからである。今後は、就業命令を義務付ける。方法は口頭、携帯マイクのほかプラカード等に職務命令を記載して周知する。その際、反抗する場合も想定しスト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。
 旧郵政省や林野庁のスト集会は、庁舎構内ではなく、近隣の集会施設、公園やその他の場所で行われることが多いが、その場合でも管理職は監視し、職場復帰命令を徹底して行っているので、これを努力義務とする。
 また国の官公庁では、ストで指導的な役割を果たした者と率先助勢者は記録し、現認検書を上申することになっている。これまで本部中闘をのぞいて各事業所で勤務する組合役員、組合員は懲戒処分の方針とせず、組合の見解や方針に従っていたが、今後は、現認検書上申を義務づける。具体的には組合旗掲出、工作物、ビラ貼り等スト準備、ピケッティングの指導.実践、スト集会の演説者、頑張ろう三唱の音頭取りのすべて。
 なお、非組合員をスト対策本部として召集するのは、違法行為の取り締まりだけでなく、管理職が職務命令をしているか否かの監視役でもある。義務に反し組合と結託したり、組合に業務管理されてしまった場合は告発をスト対策本部長が受理するものとする。
 就業命令の法的根拠を示す主な判例 神戸税関(全税関神戸支部)事件.最三小判52.2.20民集31-7-1101、全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408、大阪高判昭57.2.25民集39-7-1478、最二小判昭60.11.8民集39-1-1375、北九州市清掃事業局小倉西清掃事務所事件.福岡地判昭51.7.22民集42-10-940、福岡高判昭57.4.27民集42-10-997、最二小判昭63.12.9民集42-10-880

(二〇) ストライキ時、営業所の必要業務の管理職対応は原則としてやめる

 営業所の必要業務とは窓口対応と、電話対応だが、営業所長ともうひとり管理職が派遣されて対応するのが通例になっているが、令和元年12月10日の新宿営業所の1時間ストでは、そもそも組合がスト決行の貼り紙をしていたので窓口に来所する方は一人もいなかった。また電話もお客様センターから取り次いだ苦情の電話1本しかなかった。これは管理職か組合側かわからないが、営業所では通常8時30分より前は、営業時間は8時半からで、緊急の要件はお客様センターへ電話をおかけくださいといったアナウンスが流れ、電話がかかってこないことになるが、留守電は8時半に解除にするが、留守電を解除していなかったのかもしれない。ストにより実質お客様センターに負担がかかっている在り方である。
 管理職対応は当局の方針だが組合の意向を受け容れている、本来は、非組合員やスト反対の組合員に業務命令し出務させ、操業を維持すべきだが、組合がスト完全防衛のため非組合員や組合員に業務命令して操業を一部でも維持することを認めない方針なので管理職対応としており、ストに対抗した業務命令を認めないと方針自体が正常な業務運営ではなく、今後は要員を確保すべく業務命令し、管理職対応はやむをえざる場合に限定するものとする。


(二一)非組合員の出勤時限前の入庁を締め出し「事故欠勤」とする方針を廃止する
1 職員の就労する権利と法令遵守義務を否定する東京都の管理職の悪質さ

 この問題詳細は、「第Ⅰ部のⅤ-二-(八) 非組合員の就労する権利を侵害する管理職の行為について」のとおりであるが、基本的に東京都では1960年代の価値観であるピケットラインを尊重するのが労働者階級の倫理的義務だというような左翼思想にもとづき、非組合員は組合役員にスト協力の説得に応じ、ピケットラインを越えないとべきであるという指導を職員にする。実態として、東京都水道局では私の知る限りでは、組合員は全員近くストに参加し、非組合員も組合の説得に応じ、就労せず、庁舎構内の片隅で待機していることほとんどであり、ストに協力せず破っているのは自分以外ほとんど知らないのである。非組合員の事故欠勤も含めて事実上同盟罷業の参加率が非常に高く、全水道東水労は令和元年77.2%と組織率は高いとはいえ(少数組合の自治労連東水労1.1%)なので非組合員もそこそこいるが、ほとんどすべてと言ってよいほど職員は職務から離脱する。私企業のユニオンショップのストのような状況になっている。
 
 東京都ではスト決行時に、職務離脱者がほとんどすべてになってしまうのは、東京都は違法争議行為を組合の正当業務と事実上認め、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという最高裁が否定しているプロレイバー学説に従って、管理職は非組合員やスト反対の組合員に業務命令して操業を維持することがあってはならないという組合の方針に屈従しているからである。
東京都では最高裁が否定するプロレイバー学説に従うのが絶対的価値になっていて、組合との力関係で、東京都の管理職は就業命令を絶対やらないことになっている。
 しかしこれは異常なことである。国労でも、動労でも、全逓でもストライキの際、組合の指令でなく当局の業務命令に従っている職員は少なからずいる。
 東京都では職員全般に対し、違法行為として事前警告をしていないこと。就業命令していないことと、平成22年.26年、令和元年、過去3回の同盟罷業は26名ほど支部長が訓告とされているが、履歴に載るだけで、これは懲戒処分ではない。各事業所の組合役員は懲戒処分のおそれなく違法行為が慫慂でき、組合活動で絶対不利益賦課させないという組合の方針に従っているためである。
さらに非組合員には事故欠勤にするというストに協力する運用があって、職員は組合の説得に応じやすい環境にあるためである。
ちなみに、昭和44年11月13日の北九州市の市労、市職及び市職労1時間30分時限スト(実際は早く終了)の参加者 門司区880名中330名(38%)、小倉区1760名中500名(28%)、八幡区1710名中340名(20%)で、就業命令書を交付したり、懲戒処分も厳正に対処している自治体ではスト参加率は決して高くないのである。
 
 組合は非組合員に対し出勤簿(現在はICカードリーダ)を押すことは許されないと言ってくるが、管理職も全く同じで、平成7~8年頃の江東営業所は東一副支所長が非組合員は、入庁せず出勤簿を押さす構内屋外で待機せよと命じている。私はそれに逆らって就労したので管理職から非違行為扱いにされたわけである。
平成21年ストはなかったのだが、私が中野営業所長にストが決行されても就労すると申し出たところ、所長はまず組合分会役員と相談し、職員部と連絡をとったうえ、中野営業所○○はが私に指図したことは、まず出勤時限の8時30分以前の入庁を認めない。従ってICカードリーダの操作により出勤入力(IDカードを通すか、職員番号をテンキーで入力する)をしてはならない。事故欠勤にすると強い口調でいい。事実上の出勤停止命令である。
 事故欠勤というのは就労実態がなくても賃金を受け取れる制度で、反発すると、○○は賃金を出すと言っているのに従わないのは非常識だとなじってきた。
 むろん、職員は上司の職務上の命令に従う義務があり、それが組合との共謀で不当なものであろうと、各職員に審査権はないので本来は従うべきだが、就労せずに詐欺的に賃金を受け取る汚いことはやりたくないし、職員は非組合員であれ組合員であれ就労の権利と義務(法令遵守義務.職務専念義務.信用失墜避止義務)がある。水道局長が形式的とはいうえ服務規律の確保と指示している以上、職権を逸脱している、服務の基本的義務である就業規則をやぶり、違法行為することはできない。
この争議行為対応は違法性が顕著なので、その理由を以下述べる。

2 非組合員の就労する権利の否定は違法

 非組合員の就労権の行政解釈は「労働組合の統制力は、原則として労働組合の組合員以外には及ばないから、‥‥正当な就労を妨げることはできない。なお、労働協約等において代替要員雇入禁止の条項が規定されていない限り使用者が争議中必要な業務維持のための代替要員を雇い入れ、その業務を続けることは、労働組合の争議行為に対する使用者の対抗手段であって、そのことが妥当かどうかについては状況によって異なるが、それ自体は違法とはいえない」(昭和29年11月6日労働省発労第41号各都道府県知事あて労働事務次官通牒。)である。
 非組合員と統制権が及ばない組合員(脱退した組合員、争議に反対する第二組合員、組合執行部が争議中止を決定したが執行部に反対する争議続行派が就業派、臨時雇用者)に対する物理力を行使して就業を阻止するピケットについて、最高裁は、特殊な事情や可罰的違法論の適用により無罪とした例外的二例を除きすべて有罪の判断を下しているので、非組合員は、当然就労権を主張できると結論する。以下はいずれも争議行為が合法である私企業等の判例である。
 例えばホテル.ラクヨー事件最判昭32.4.25刑集11-4-1431(就労しようとする非組合員に体当たりするピケ)、羽幌炭礦鉄道事件最大判昭33.5.28刑集12-8-8-1694(争議続行決議に反対して脱退した組合員が結成した第二組合に加わった労働者+非組合員に対する実力ピケ)、進駐軍横浜事件最判昭33.6.23.刑集12-10-2250(非組合員+争議に加わらなかった組合員に対する実力ピケ)。東北電力大谷電所事件最判昭33.12.25刑集12-16-1255(臨時雇用の非組合員に対するピケ)、嘉穂砿業事件最判昭35.5.26刑集14-7-868(嘉穂労組執行部は上部団体の炭労の指導による争議の中止と炭労からの脱退も決定したが、上部団体支持の争議続行派が、就労派砿員+争議に加わってない職員に対してピケットを行った例)が挙げられる。
 上記の判例は使用者が、ストライキ中であっても、非組合員、反対派ないし脱落組合員、第二組合員、臨時雇用者を使って操業する自由を是認するものでもある。
 また、下級審判例においては、非組合員の就労権と組合員の争議権は対等であり、非組合員の就労権を明示するものがある。
例えば横浜第二港湾司令部駐留軍要員労組事件.東京高裁判昭33.3.31『別冊労働法律旬報』№204.1955であるが
「労働組合は、その所属構成員に対してのみ、労働力のコントロールを加えうるものであって、構成員以外にまでこれを強制しえないことは、労働法上の基本理論であるから労働組合が組合員の労働力を統制してストライキを継続することが、当然の権利行使であると同時に、非組合員が右ストライキに同調しないで就業することも、また当然の権利行使であり、右の争議権と就業権とは対等の立場に立ち、互いに並行する関係にあるものと解すべき‥‥非組合員らは、いずれも自己の自由意思によって‥‥労働組合に加入せず、原判示ストライキにも参加しなかったものである上に、就労しようとしたのは、ストライキに同調して就労しないでおれば、その間賃金による収入が中絶するばかりでなく、職場を馘首されるおそれがあったため、‥‥非組合員ら就労しようとしたことは、正当な権利の行使というべきであり、従って、かかる権利の行使に対しては、ストライキ参加者において、これを積極的に妨害することは許されないものといわなければならない。‥‥」
 しかし東京都では争議行為が違法であっても非組合員の就労を認めないことで違法である。

3 組合の統制を受けないで就労する権利の否定は違法

 争議行為が禁止されている公務員の職場においては、組合のストライキ決議や指令は統制権により組合員を拘束しない。違法争議行為に内部統制権はなく、組合のストの勧誘、説得を受忍する義務がないということは、いずれも公労法17条1項の事案で、いずれも、刑事免責を認め争議行為に好意的な中郵判決が判例を維持していた時期だが昭和47年から下記7判例がある。
 東京都の管理職が就業命令等をやらない別の理由として、違法ストライキであっても団結統制権で、組合の決議で、組合員を争議行為参加に拘束できるという考え方を事実上受けいれているという問題がある。
 全水道東水労スト権一票投票は、毎年11月初め頃に、11月半ばの都労連闘争と、12月の局内合理化闘争、2月末に3月の春闘につき行われる。高率で批准されるのが通例である。ちなみに令和6年は10月31日にスト権一票投票がなされ、92.77%で批准した。
投票用紙の裏面は、ストライキが批准されたら、団結して本部指令に従って行動しますと言う趣旨の文言がある。
組合側の主張は、団結統制権により組合員をストライキ態勢から離脱しないよう拘束している。組合役員のスト指導は、指令にしたがって組織の義務として行っているもので、個別責任は問われないというものだが、当局は鵜呑みにして、事実上闘争期間組合の支配下にある各職員に業務命令はできないものとしている。
 しかし私企業のユニオンショップとは違って、争議行為は違法なので、組合員でも本部指令に服従する義務はない。
〇国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634は組合の統制権について理論的に説示し「公労法に違反して行われる争議行為とこれに対する組合員の協力義務関係について考察する。同法違反の争議行為に対する直接の効力(争議行為の参加)については、これを組合員に強制することはできないと解すべきである。禁止違反の争議行為の実行に対して刑罰や解雇等の不利益な法的効果が結びつけられている場合に、その不利益を受忍すべきことを強いるのが不当であることはいうまでもなく、また、右のような不利益を受ける可能性がない場合でも、法律は公共の利益のために争議行為を禁止しているのであるから、組合員が一市民として法律の尊重遵守の立場をとることは是認されるべきであり、多数決によって違法行為の実行を強制されるいわれはない。‥‥」
これだけでなく争議行為にも刑事免責を認めた中郵判決が維持されていた時期に、争議行為に可罰的違法なしとしながら、三公社五現業に適用される公労法17条1項違反の争議行為については、組合員であれ、争議行為の勧誘、説得を受忍する義務はなく、違法争議行為参加を団結統制権により拘束されないとしており、そもそも統制権の及ばない非組合員も同じことである。
●全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却) 
 全逓の2時間の同盟罷業それ自体は中郵判決に従って可罰的違法性なしとしながら、全逓の要請で神奈川地評が動員したスト支援者の約200名のマスピケは争議行為に付随する行為として別個の法的評価をとり、機動隊に暴力をふるった2名の公務執行妨害罪の成立を認め以下のとおり説示している。
「公共企業体等の職員および組合は公労法一七条一項により争議行為を禁止されているのであるから、組合自身も組合員もこれを行なつてはならない義務を負っているこというまでもない。それゆえ、組合としては組合員に対して同盟罷業への参加を強制することのできない筋合いのものであり、これを組合員の側からいえば、各組合員は、法に従うべきであるという建て前からも、また自らが解雇等の民事責任を負わないためにも、組合の指令にもかかわらず、同盟罷業に参加することなく就業する義務を負うとともに権利を有するものである。‥‥公共企業体等の組合がたとえ同盟罷業の決議をしても、その決議は違法であって民間企業の組合の場合のように組合員に対し法的拘束力をもつものではなく、組合員としてはその決議に従わずに就業しても、特段の事由のないかぎり組合の統制に対する違反ないしはいわゆる裏切りの問題は生じない‥‥同支部所属の各組合員が原判示当日出勤就業しようとしたことも正当な行為であって、組合側としてその入局を実力を用いてまで阻止することを正当ならしめる特段の事情があったものとは認められない。」
●動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30判タ300 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)●国労岡山操車場駅.糸崎駅事件.広島高判昭48.9.13 ●国労尼崎駅事件.大阪高判49.4.24判時734号40頁  (上告審-最一小判昭52.10.20 刑事裁判資料230号812頁 棄却)● 動労鳥栖駅事件.福岡高判昭49.5.25判時770号113頁(上告審-最三小決昭50.11.21判時801号101頁 棄却)● 国労東和歌山.和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19
「国労が企てた本件ストライキが違法なものであることは明らかであり、組合がストライキの決議をしたとしても、組合員に対してストライキへの参加を求めることは組合の統制権を理由としても違法であることに変りはなく、組合員は組合の要請に従ってストライキに参加すべき義務はなく、就労の意思をもつて出務している場合においては、その受忍義務のないことは一層明白であって、まして組合は、非組合員に対してストライキへの参加を強制すべき権能を有するものではない」
 上記は公労法の判例だが、地公労法を別異に解釈する理由はない。したがって、組合員にも就労の権利が、東京都は統制権がないのに、警告と就業命令をあえてやらないことにより統制権を認めるようにアシストしていることで違法性が強い。

4 地公労法11条2項違反の疑い

 私企業で作業所を閉鎖して労働者の就業を拒み、労働者側の自主管理運営を阻止することをロックアウトという。これは11条2項で禁止されている。
 しかし、水道局の管理職は、就労したい職員を締め出して出勤入力をさせない。就労も認めない方針なので、ストライキに対抗するロックアウトとは性格が違い、スト完全防衛をアシストする目的だが、この条項違反の疑いがある。
 この点は、事故欠勤にするので就労せずとも賃金を支払いっているので、ロックアウトに値しないという反論が想定できるが、事故欠勤は就労実態なく賃金を受けとる詐欺的な不正会計であるから、8時29分まで入庁して出勤入力させないという。ストライキに反対の職員に対する措置は、作業所閉鎖に准じた措置として違法性がある

4 「勤務時間等規程」「処務規程」「事務処理要領」違反の強要は職権を逸脱し違法性が強いのでやめる

 東京都水道局出勤記録修正懲戒処分事件.東京高判平26.2.12労判1096は、水道局の管理職が72回につき出勤時限に遅れた上、そのうち71回につき部下に指示して出勤記録を修正させたとして停職三月という重い処分を適法とした事案であるが、「東京都水道局においては,所定操作によって出勤記録を自ら入力することは,『勤務時間等規程』『処務規程』『事務処理要領』などの規程上、職員の基本的な服務上の義務であり」と説示している。
 水道局長は形式的に服務規律の確保を示達している。しかし東京都水道局の管理職は、ストライキ時は、規程に反し基本的な服務上の義務をなすことは許さないとするのである。示達に反しているのではないか。
 これは地方公務員法第32条 「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い‥‥」の服務上の基本的義務を否定することになり、違法性が強い。
 現場の管理職に服務上の基本的義務を否定する権限はない。職権を逸脱した行為である。
 しかもその目的が地公労法違反のストライキを防衛する違法目的なので余計に悪質である。

5 ストライキ時の非組合員の事故欠勤は不正会計で、違法性が強い
 
 事故欠勤とは水道局処務規程55条の「交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できないときは、その旨を速やかに連絡」すれば遅延証明を根拠として、遅刻しても賃金カットされず、実質出勤扱いにする制度であるが「交通機関の事故等の不可抗力の原因」とストライキは違う。非組合員であれ組合員であれ、組合に職場離脱を慫慂されたとしても、それは地公労法違反の違法行為であるから、説得を受忍する義務はないことは既に述べたとおりである。
 私は江東営業所で複数の組合員が取り囲む、包囲型ピケッティングで罵声を浴びせられることはあれ、腕を抱えられたり、逮捕行為をされたことはなく、スクラムを組むようなマスピケはない。
しかし「ピケットラインの尊重」は労働組合主義の左翼思想にすぎず、ストに参加しない権利の方が正当なので不可抗力ではない。組合側も逮捕行為や強制連行、物理的に通行を阻止するマスピケか威力業務妨害罪となるのである。昭和48年久留米駅事件以降、犯罪該当構成要件行為に可罰的違法性論は適用されなくなったので、不可抗力はありえないのである。
 ノーワーク.ノーペイの原則からして就労していない職員に賃金を支払う必要はない。不正会計であると同時に、ストに参加している組合員は、賃金カットし、その補償は、組合の闘争資金から出される。しかし非組合員には補償できないので当局にその肩代わりをさせているとみるほかない。この慣行は同盟罷業の慫慂と同じことでありやめるべきである。
仮に事故欠勤を認めるとしても、威力業務妨害罪、逮捕罪の犯罪構成要件該当行為があった場合に限定し、刑事告発もしくは、懲戒処分との見合いですべきである。

処分 ストライキ時の勤務実態なく事故欠勤した者は申請した者も、承認した管理職も原則として懲戒処分の対象とする。ストライキ時、出勤入力をするなとか、ピケットラインを越えるなといった指示を非組合員等に行った管理職も同じである。

(二十二)積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為は許容しない 

 地方公営企業において単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も違法行為であるが、全水道東水労のストは争議権のある私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質であり、当局はそれを許容し犯罪を助長することに邁進している。
既に威力教務妨害罪は時効であるが、令和元年12月20日の1時間ストで、新宿営業所では事務室の検針担当執務エリアを40人程度で占拠して集会する態様で、物理的に業務遂行を不可能にするシットダウンストライキである。また業務用機器をストの時間帯隠匿される業務阻害があった。これには組合役員でない当時○○○○課長代理及び〇〇が関与している疑いが強く、外形上業務妨害罪の構成要件該当行為である。
 ところが○○所長は(現サービス推進部業務課長.本庁要職)、積極的業務妨害を全面容認し、中止.解散.就労命令は一切やらない。スト指導者といえる集会の演説者、○○、○○、○○について現認検書の上申しないと言っていた。そればかりか○○所長は、ピケッティングに立って私を出ていけと恫喝し、集会でも演説してストを指導した○○を主任に昇進させている。違法行為を指導して処分されないどころか昇進するのが東京都の倣いである。
 犯罪構成要件該当行為の是認は当然という認識のようであるが、それは刑事免責を肯定した中郵判決が判例を維持していた昭和40年代の考え方で、先例は、刑事免責を否定した名古屋中郵判決方式の判断枠組になるから、違法性が阻却されることはありえない。
職員部から就労命令等の指示はないため、職員部の指示どおり動き、犯罪構成要件該当行為容認がコンプライアンスとなっている。管理意思を示すことを義務づけ犯罪を成立させるべき。
処分 新宿営業所の態様は威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為なので、刑事告訴か指導者の懲戒処分は加重されてしかるべき。

(二十三)昼当番拒否闘争の協力は拒否し就業命令する
 東京都水道局営業所では、昼休みに窓口と電話では2名、大きな営業所では3名、昼当番といって、休憩時間を午後1時以降にずらして、所長の命令により勤務する。月に1~2回は当番をすることになるが、平成23年10月31日~2日と4日昼休み当番拒否闘争がなされた。労働協約で休憩時間を午後1時以降にずらして業務命令できることになっているので、事実上組合による労務管理、労務指揮権の奪取だが、水道局は闘争、争議行為を認める方針で一貫している。
代務として管理職を動員して対応している。昼当番拒否者は、不完全就労であるが○○所長から直接賃金カットしていないと聴いた。
 足立営業所の監理団体業務移転の提案に反発して突発的にスト権一票投票もやってないのに、突然分会委員長が当局の提案に反対するため2名配置の昼休み当番を引き上げ、電話と窓口を管理職対応とすると宣言。組合役員が管理職に指図して仕事をさせるいやがらせである。当番の職員の代務者に組合役員となり、管理職に仕事を押し付けるが後ろにみえないところで控えていて、経常業務に不慣れな管理職に質問があったら、こう端末を操作するとか、回答するとか、指図する役となる。中野では昼当番は窓口のレジと電話と2人体制であるので、営業所長(後に監察指導課長、労務課長の○○○○)と、もう1名は西部支所配水課もしくは給水課管理職が応援体制であたっていた。
 正常な業務運営ではなく、地公労法11条1項違反だが、当局は争議行為と認定していない。
この闘争はその前は10年前くらいで、めったにやらないが、唯々諾々と管理職が組合役員の指揮下におかれる必要はないので拒否、業務命令し、従わない場合は戒告以上の処分が妥当である。

(二十四)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理は拒否
 
 平成26年1月28日~2月下旬に当局は争議行為と認めていてないが、中野営業所監理団体への業務移転拒否闘争があった。1月24日スト後も争議行為は続行し、中野営業所では業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。2月20日停職中の本部書記長〇〇が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、これに先立ち1月29日本部委員の〇〇が勤務時間中のオルグのほか職員部人事課の監理団体派遣説明会の前でピケを張り業務を妨害した。
 ○○所長は外来者の本部委員の勤務時間内オルグ、退去命令できず、人事課説明会ピケ容認、組合の移転準備の業務命令をさせない工作により、管理職は職務命令を凍結して闘争に加担している。
 ○○分会書記長は、課長補佐(営業係長)に対し、移転業務のため固定資産.備品の帳簿の現品確認に来た本庁サービス推進部の職員を追い返せと指図した。組合に協力しないとまずいことになりますよと恫喝し、本庁職員は追い返された。さらに○○は○○所長に業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為といえる。
 違法争議行為とは同盟罷業だけではない。本庁から固定資産.備品の帳簿と現品の照合という業務で出張してきた職員を追い返しのだから重大な業務妨害なのである。
 北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-7民間ディーラー整備員の入構拒否を争議行為と認定したようにまさに争議行為である。
 最終的には組合はしかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。業務移転は7月移転で決着することとなった。実力で3か月移転を遅らせたことを組合は誇っている。
 管理職の業務命令ができないというガバナンス問題は全く解決されていない。所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。
事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応としては業務命令するしかないはずだし、それはサービス推進部から指示されているはず。
 組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。
 本庁業務課では管理職が業務命令できると思っているのかもしれないが、それが通用するのは本庁部局内部のみと思われる。出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権.施設管理権凍結が通例なので、上級部 署の指示は止まってしまうことがあるのである。
以上述べた○○分会書記長の行為は、地公労法11条1項違反行為であり悪質である。
 今後も全水道東水労は中野営業所のような徹底抗戦をやる可能性もありうるので組合の恫喝により労務指揮権を当凍結しないよう、ガバナンスを徹底する必要があり、このような場合、特別査察チームを派遣して、組合に業務管理されないよう万全の体制をしくべきである。
本部中闘以外懲戒処分にしない方針から、本部委員や分会役員はなにをやっても責任は問われないという職場の慣行というものが、非常に大きな悪影響を及ぼしている。

(二十五)同盟罷業の懲戒処分方針を改める
(懲戒処分の在り方の是正  安心して違法行為ができる職場を改革すべき)
 全水道東水労の過去3回の同盟罷業の懲戒処分等は以下のとおりである。

★平成22年12月10日 1時間スト
同盟罷業私の記録では23年2月3日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名(下水道局職員含)の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく人事記録に載るだけなので痛くない。スト集会参加の組合員は賃金カット(組合が補償する)
★平成26年1月24日 1時間スト  同盟罷業 争議行為が続行(中野営業所業務移転拒否闘争)しているにもかかわらず処分は26年2月5日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職18日2人、停職16日1人、停職7日1人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。スト集会参加の組合員は賃金カット
★令和元年12月20日 1時間スト
同盟罷業 令和2年2月6日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職13日1人、停職10日1人、停職7日1人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分。スト集会組合員は賃金カット

 東京都は懲戒処分の対象は組合の機関責任のみを問う形式で、水道局の全水道東水労の場合、本部中央闘争委員のみにしぼっており、実際に各事業所でストを指導している本部委員.支部.分会役員等が懲戒処分に付されることはない。各事業所の組合員は組合活動で不利益賦課させないという組合の方針に従った対応になっているので、安心して違法行為の慫慂「あおり」「そそのかし」という違法行為ができる職場となっている。安心して違法行為ができるのである。
 これは、争議行為は違法であっても団体たる労働組合の行為としての、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であるから、指令に従って組織の義務としてストを指導している個々の組合役員は責任を問われないとするプロレイバー学説を当局が呑んでいるためだが、この組合側の主張は、全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示したことであり、最高裁が明示的に否定しているので、東京都の懲戒処分方針は左翼体質で異常である。
 各事業所でスト集会の実行行為者、ストに指導的役割を果たした場合は、本部委員、統制委員、支部.分会役員のほか、無役の組合員、管理職においても率先助勢した場合は、戒告以上の処分の対象とする方針に改めるべきである。
私案は事業所スト集会毎の指導者につき最低一人は戒告にする。悪質な場合は複数以上の処分で量定も加重する。
また、年間3~4回恒常的に行われている3割動員勤務時間内職場集会であるが、当局も争議行為と認めているので賃金カットだけはする(組合が補償するのが通例)。争議行為と認定しているのは、佐教組懲戒処分事件.最一小判昭63.1.21が3割.3割.4割休暇闘争を争議行為としているためだろうが、動員1回につき3時間程度の欠務であるから、年間9時間ぐらい動員に行っている組合員はざらにいる。ベテランの組合員ではスト参加も含め累計100時間以上欠務している人も沢山いるはずである。例えば3年間で15時間の欠務といった基準で戒告等処分対象とすべきである。

(二十六)庁内管理規程で禁止の保険勧誘行為が認められている問題

 とにかく、水道局の庁舎管理は私的利用が暗黙のうちに認められたりおかしなことが多い。業務移転の前、平成25年以前中野営業所で一番威張っていたのは委託業務の日常清掃員の〇〇で、清掃委託業者はしょっちゅう変わっているのに組合役員経由で元請にたのみこんで20年以上雇用され居ついていた。20年いるわけだから、何がどこにあるとか一番よく知っているわけです。個室が与えられ、物置の半分以上野菜だの私物が持ちこまれ、自宅の物置のように勝手に使って、行政財産の目的外使用、私的利用は当然になっていた。高齢者人材センターとかけもちで、個室は待機する時間に休憩するため使っている。時間と仕事の内容は自分が決めるんだと言っていた、一番待遇がいいんです。私は清掃の検査業務もしていたので仕様書に書かれているとおり仕事しろと言っても、言うことを全然きかないし、監督業務をしている職員を見下すんですよ。所長席の机を毎朝雑巾で拭くんだけれども、それは契約にはない仕事で、所長に媚びるために余計なサービスをしている。庁舎管理にルーズなところを外部の人間にも利用されているんです。
 水道局庁内管理規程で、保険勧誘行為は第五条で禁止されている。但し庁内管理者が特別の事情があり、かつ、公務の円滑な遂行を妨げるおそれがないと認めて許可した場合は、当該許可に係る行為をすることができるとしており、禁止事項解除ができるので、庁舎管理者の意向しだいで、禁止事項でも容認できるルーズなものとなっている。
 そもそも禁止事項で積極的に認める理由がないもの認めてしまっているのはコンプライアンスに反する。
私は昭和59年水道局には多摩ニュータウン水道事務所に勤務していたが、昼休みには保険勧誘員が所内に入って営業活動をするのが常であった。ちらしやアメが配られていた。他の事業所も、保険勧誘員に地域の情報を聞けて昔はよかったとか、保険勧誘員に縁談を世話してもらった人もいるというような話を仄聞するので、相当入り込んでいた状態と考えられる。
 しかし、個人情報保護との関連で、執務室内には入れないようしたが、私の職場では、エントランスや廊下までは立入ることができ、休憩時間の勧誘活動を認めている。あくまで外来者には勧誘せず職員だけ。昼休みだけということ認めているということだが、庁内管理規程で禁止である以上、局の公式の方針は禁止である。行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)許可の申請もなく口頭でほいほい容認するような事案ではない。
 むろん営業所には料金その他の窓口もあるので一般住民も出入りするが、あくまでも、所轄業務になんらかの所用がある業者や住民の一時滞留であって、その他の営業活動のため無許可で立ち入らせる必要はない。
 公民館や公園のように住民に開かれた施設ではないので目的外使用を不許可として当然よいのである。
禁止されているのに認める必要はないと前から管理職には苦情を言っているが、当然のように勧誘を認めているのはおかしい。ルーズな庁舎管理になっているのは庁舎管理権の発動がタブーという職場風土にあるのではないかと考えている。
 執務室内に入れないのは効率の悪い営業活動と思えるが、オフィスビルのセキュリティが厳しくなったこともあり、庁舎管理がゆるいことで知られているためか水道局には少なくとも4社が営業活動を行っている実態がある。私に声をかけてきた勧誘員はワンノートに記録してあるが、明治安田生命、第一生命、住友生命、日本生命である。
 しかし、庁内管理規程で保険勧誘は禁止事項であるので認める必要は全くないのに、私が平成24年ころ中野営業所でも、課長補佐が執務室内に入らなければ、エントランス廊下での勧誘活動を認めたので、抗議したところ本庁で認めていいんだとのこと。西部支所長にも抗議した。目的外使用許可の問題も言ってあるが、とにかく管理者は認めたいということのようだ。私は間違って料金を払いにきたお客様に保険を勧誘しないかひやひやしている。
 苦情はないというかもしれませんが、わざわざ支払いにきて、保険の勧誘を受けたらなんで勝手に出入りさせているんだと怒る人がいると思いますよ。
 わたしの職場ではかなりの頻度で昼休みに勧誘員がエントランス、エレベータ付近とそこから25メートルほど廊下に入ったシュレッダーのある場所などに立って、職員に声をかけるような形で勧誘活動がなされる。
複数社が競合する場合も多い。
 平成22年~23年の記録の一部
11 月15日 勧誘員二人確認、新人が捕っていた。
11月25日 勧誘員一人
11月26日 勧誘一人
11月30 日 11時50分頃勧誘員一人
12月8日  カードリーダ前に一人いて営業活動商品説明をしていた。
12月9日  正午、勧誘員から挨拶される
12月10日 勧誘員と女子職員が話している。
12月17日 きょうも勧誘員 女子職員と話。
12月20日 勧誘員二人
12月23日 きょうも勧誘員二人
1 月11日  正午前に勧誘
1月20日  一人勧誘員
1 月27日 昼休み勧誘員二人、第一生命の今森ですと言いしつこく、2回声をかけられたのでうるさいと言ってやった。トイレに行って声をかけられ、キャップを洗いにいってまただ。
1 月31 日 午前エレベータ近く一人勧誘員に声をかけられた。
2 月8 日 奥に1人、エレベータ前に1人、それぞれ職員を捕まえていた。
2 月18日  エレベータ前二人12時45分
 平成24年頃の中野営業所では組合掲示板で、中央労働金庫の営業活動が予告され、打ち合わせスペースなどで。無許可で行われていた。今でも中央労働金庫の金融商品は宣伝のちにしはくばられているし、平成27年頃の世田谷営業所太子堂分室でも若手の職員をあつめて中央労金の営業活動が勤務時間内でもおこなわれていた。それはいいと思います。組合員の福利厚生のために提携関係のある金融機関の商品をあっせんすることも組合活動だという名目で、目的外使用許可申請を出させたうえで、特別の事情により許可すればよいことである。
 それは組合活動への便宜供与であって、平時は認めてよいわけです。労金を認めるから、第一生命や住友生命、明治安田生命も認めるみたいな発想は間違っている。

(二十七)組合の時間外労働規制に都合よく作られている水道局庁内管理規程の問題

 庁内管理規程に(門扉閉鎖後の出入り)という項目があるが、知事部局の東京都庁内管理規則と違うのである。

第十二条 庁内管理者は、門扉閉鎖後又は日曜日、休日等に庁舎に入ろうとする者があるときは、次の各号に掲げる場合を除き、これを拒否することができる。

一 職員については、当該職員が門扉閉鎖後又は日曜日、休日等に勤務に服する旨、当該職員の所属の勤務命令者からあらかじめ庁内管理者に届出がある場合

二 外来者については面会先の承諾がある場合又は料金等の払込み、修繕等の申込みをする場合

 平成20年水道緊急隊工務係に勤務していたとき、庶務経理関係の仕事で忙しくて土日出勤もしていた。管理職が土日出勤は組合協議が必要で、1か月前に出さなければいけないと言うので、これは実質認めないという趣旨なので、協議せずに働くのでもちろん手当なしの奉仕していた。平成20年の3~4月は56日間休日なしのこともあったし(超勤は30時間で組合協議が必要ない範囲内で水特隊の3月はとっていた)、月120時間残業の月(緊急隊ではすべて無償)もあったが、和泉庁舎の待機者みていて私が組合と協議せずに土日出勤しているのをみていて、告発するので、みられないよう遅くなって夜が暗くなってから帰るので余計長時間働いていたのですが、平成20年6月14日 (土)8時43分に最大震度6強の岩手・宮城内陸地震があって、私に地震に関係なく出勤していたが、緊急隊長の佐藤が地震対応で出勤してきて、なんで組合協議もなく土曜出勤しているんだと非違行為扱いされ怒りだし、その根拠が12条の一ということで、規程違反といわれた。これは組合協議でなければ出勤させないという業務規制で組合に都合がよくできていると思った。一方で門扉を閉めたあとでセキュリティを破って深夜や未明に出入りするスト待機は認めている。
 12条の一は、知事部局の庁内管理規則は、職員等については、用向き及び職員カード又は身分を証する書類の提示がある場合土日出勤は拒否できないことになっており、組合との協議に関係なく、仕事で入庁できるのである。組合が三六協定(時間外労働協定)の趣旨で土日出勤を規制する趣旨を庁舎管理の規則に盛り込んでいるのは不適切だし、緊急時にも三六協定で排除されかねない。組合の方針にもとづいている東京都水道局庁内管理12条の一の削除が妥当である。
 なお、たぶんオリパラの警備対策で組合対策でないと思うが、庁内管理規程は令和年以降改訂され以前のようにスカスカなものではなくなった。それは良しとしても、やはり業務外の集会、演説行為の禁止の明文がないのは大きな欠陥であり盛り込む必要がある。

(二十八)夏28度、冬20度の通達の温度設定は出先の庁舎では守られていない

 現在の職場では冬全館空調24度湿度も高くて暑すぎ、小池都知事推奨のウォームビス、下着を重ね着したりすると汗だくになるような状態になる。というのは湿度を高くできる強力な空調なので、湿度が高いと24度でも下着2枚重ねるとかなり暑いのである。この苦情は水道特別作業隊のとき平成19年に管理職に言ったが、かんかんになって怒られた。
温度設定について文句がいえない状況にある。
 くわえてエリア空調もある。杉並営業所は夏は全館空調26度で湿度が20%代まで下がるし、風も舞うのかなり涼しいうえ、エリア空調4器を20度設定まで下げたうえ、暑がりの○○が、扇風機をかけまくるので、頭痛がして喉がいたくなるオミクロンの症状が出るのである。それで私は夏は冬服長袖を着て防衛している。暑がり職員の声が大きく温度設定は全くまもられない。私は29度でも湿度が低いので相当涼しく感じるが、とにかく温度を下げないときがすまない人が勝手に空調を設定してコントロールされてない。庶務経理でコントロールしている全館空調もそもそも設定温度が違う。温度監察をすべきである。
 ちなみに、12月7日休日発災緊急参集訓練で多摩給水管理事務所に初めて訪問したのだが、訓練本部は21度設定、2階事務室は22度と24度設定、1階のTWは25度と26度設定で、多摩給水管理事務所は比較的真面目な温度設定になっていたので事業所によって違うと思う。
 
(二十九)組合による目標管理制度の自己申告形骸化闘争に管理職が屈している問題

 私の職場では2024年10月31日の支部ニュースで自己申告中間報告について
① 面接の強制は行わない
② 書き方の強制は行わない
③ 目標の数値化を求めない 以上は管理職と確認した。
自己採点シートはB以上に統一
コピーを分会に提出
といったことが書かれていたが、南部支所系列の世田谷でも同じだった。目標管理制度とは1990年代に民間企業で流行したもので、多くの企業で導入されている。ピーター.ドラッカーが1954年にManagement by objectivesと呼ばれる目標管理制度を提唱し、社員が自ら目標を設定し、その進捗や実行を主体的に創意工夫でき達成感を与えることのできる制度として流行ったのである。
 東京都でも平成中葉に制度化され、職務に位置づけられているが面接の拒否を認めよとは労務指揮権の掣肘である。
特に問題なのが数値目標を書いてはいけないという方針で、目標管理制度で数値目標の記載はタブーというのは異常で三流企業の人事管理でもありえない。制度の趣旨は捻じ曲げられ、実質形骸化しているといってよい。
 実際令和元年に新宿営業所の○○課長代理が、新人2年目の職員に対して数値目標を絶対書くな、それをすると出世できないよと脅していた。職制が組合の方針を伝えるのである。
 数値目標を書けといえないというのは労務指揮権の掣肘であり、正常な業務運営ではない。

(三十)営業所における勤務時間内浴室のシャワー利用の問題

 私の職場では組合役員の○○○○がグループウェアで職員全員に、地下にある洗濯室とシャワー(浴室)を積極的に利用してくださいと通知していて、利用の仕方の詳細はご相談くださいと浴室のシャワー利用を、当局との合意があるのでうながしている。当局も認めている。利用の仕方は〇〇自身が勤務時間内にしているので勤務時間内でよいとといことのようだ。さかんに推奨しているわけである。
 ただ職員の中にはグレイゾーンだという人もいて、当局組合合意の方針に疑問を持っている職員もいるのである。
私はシャワー利用の在り方は見直し、最高裁判例により労働時間とはみなされないのだから、賃金カットの対象として管理されるべきであると考える。
 シャワーは入浴ではないという理屈で、トイレ利用とおなじように勤務時間中職務離脱してOKという考え方だか、
しかし国鉄池袋電車区.蒲田電車区事件.東京地判昭63.2.24労民集39-1-21は国鉄蒲田電車区において、終業時刻の30分前から洗身施設で身体汚染を洗身して退区することが慣行とされ、池袋電車区でも、作業内容にかかわらず日勤勤務者が勤務時間中に洗身入浴する慣行があった。国鉄の職場規律の乱れが政治問題となった昭和58年に就業規則違反として禁止され、指揮監督を離脱したものとして職員賃金基準規定にもとづき賃金カットした事案で、勤務時間内の洗身入浴が電車区長の承認の下に長期間反覆継続されて行われてきたとしても、電車区長は就業規則で定められた勤務時間を短縮する権限を付与されておらず、また、身体汚染の除去は顔、手足の洗浄及び衣服の更衣等によって可能であり、勤務時間内の洗身入浴が必要不可欠なものであったとは認められないなどとして労使慣行として成立していたとはいえないとされ、賃金減額の措置が、不当でないとされ、確認書が取り交わされたとしても、電車区長は就業規則の改正をもたらすことになる労働協約を締結する権限を有しないから、洗身時間についての有効な労働協約は成立しないとした。 国労は、国鉄末期に勤務時間内の入浴の要求を取下げている。
 三菱重工長崎造船所事件.一審長崎地判平元.2.10労判534は、昭和48年4月三菱重工長崎造船所が完全週休二日制実施に伴い勤怠把握方法を変更し、洗身入浴等について所定時間外にするよう命じた事案で、少数組合が労働基準法上の労働時間に該当すると主張し、賃金の支払を請求したものである。
「作業後の洗身については、労働安全衛生規則625条が、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではなく、また洗身入浴は一般に本来の作業を遂行するうえで密接不可分な行為ともいえないので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情がない限り原則として洗身入浴は使用者の指揮監督下における労務の提供と解されず、これに要する時間は労働基準法上の労働時間には該当しないというべきである‥‥」として請求を棄却した。
控訴審一審の判断を維持。上告審(一次訴訟.組合側上告)最一小判平12.3.9も棄却。
最高裁は、労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」としたうえで、「実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができず‥‥洗身等に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しない」と判示した。
 洗身入浴とシャワーは同じと考える、全裸になって洗うのだから。コンプライアンス上、最高裁判例により労働時間とはみなされないのだから、賃金カットの対象として管理されるべきである。
 また○○は時間外でも朝にシャワーを利用しているのを令和元年新宿営業所でみた。自宅でガスや水道を節約するために職場でシャワーを浴びるというせこい根性をもっており、労働衛生施設として時間外であっても利用の仕方は規制すべきである。百歩譲っても事務職員は重筋労働をやっているわけでなく、ごみやバキュームカーの作業員で臭いがつく作業でもない以上、洗身入浴を積極的に奨励する理由はない。水道局だから水は使い方ほうだいでいいと考え方も問題である。
 浴室利用の内規を見直し、コンプライアンス上問題がないようにすべき。

🔶勤務時間中の洗身入浴の問題について(詳論)
 平成15年当時千代田営業所ではYという職員がほとんど毎日16時半前後20分程度、就業時間中にシャワーのために離席していた。私はこれを禁止するよう管理職に訴えたが、所長、接客業務として身だしなみを整える行為としてシャワー利用は当然のように認められなくてはなららないとし、上司の許可など必要ないと断言、小便等の生理現象でトイレを利用するのと同様勤務時間中に離脱もさしつかえないといたぶん組合側が用意した見解を述べ、むしろあなたのように汗臭くお客に不快さを与えてけしからんとし、勤務時間中のシャワー利用をそそのかされたばかりでなく、これについて強く抗議したことなどを理由として、勤務不良として昇給延伸の処分の理由の一つとなり異動希望も出していない部署に転勤させられた。
 もちろん、上司の命令が違法行為であったとしても、職員に違法か否かの審査権はないので従わなければならないし、集団的労働関係にあって、職員個人は労働条件について交渉対象ではないので、質問しても当局は回答は義務付けられてない。不服でも従うのが筋といわれるかもしれないが、私の見解自体は以下のとおり間違ってないと思う。
〇洗身入浴は労働時間に含まれないということは下記に引用する平成12年の最高裁判例により確定している。労働安全衛生規則六二五条は、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではないからである。しかし平成15年に千代田営業所で閲覧した入浴に関する内規によると、入浴とは浴槽につかった入湯のことでてシャワー利用のみでは入浴とは定義されないとし、汚れたときは上司の許可があれば就業時間中であってもシャワーを浴びてよいと記載されており、無許可で認めるというのは、内規にも違反しているし、シャワーは入浴じゃないから、勤務時間中の利用可能にしている内規自体もおかしい。
〇勤務時間中の洗身入浴は債務の本旨を履行したものとはいえないし、職務専念義務違反、みだりに離席してならないとする就業規則に反する行為の慫慂であり、営業所長には規則にない職免を付与し労働時間を短縮させる職権はないはずで、所長は管理職しての裁量権を逸脱するものと考えるし、そもそも浴室は汚染を伴う業務に就いた者の労働衛生上の施設で、身だしなみやさっばり汗を流して帰宅するしたり、自宅でガスや水道を節約するために、職員の福利厚生施設として利用されるべきものではないのである。
〇昭和15年当時千代田営業所で組合支部長が毎日、就業時間の後に洗身入浴していた。しかし就業時間外だからよいとは考えない。なぜなら、同人は営業係でデスクワークだけで、身体が汚染する仕事はしていないのである。シャワー利用は身体又は被服の汚染を伴う業務についている者に限定されるべきである。
〇別の部署の内規(水道特別作業隊)をみたが、営業所とは違い勤務時間内に入浴できるのは、管工事等現場作業で著しく汚れがあった場合、16時半以降に上司の許可があった場合に認めると書かれていた。したがって、重筋労働もしていない、たんに外勤があるというだけのケースでは就業時間中は認めていない。したがって営業所の対応を疑問に思う。
〇管理職の説明に常識にも反している。私は判例にもあるとおり通勤に際し支障となるほどの著しい汚染がない限り、シャワーは必要がないとの考えであり、組合に業務指揮権、施設管理権を掣肘されている状況があるといえる。
〇住民に対して渇水時は節水を呼びかけ、環境計画でも水使用量は削減する目標なのに、職員のシャワーはじゃんじゃん使えという管理職の見解が当然視される企業風土はおかしい。

1 洗身入浴時間は労働基準法32条の労働時間に該当しないと最高裁で確定しているのに勤務時間内洗身の有給入浴を認める東京都水道局

 三菱重工長崎造船所事件・.一審長崎地判平元.2.10労判534は、昭和48年4月三菱重工長崎造船所が完全週休二日制実施に伴い勤怠把握方法を変更し、洗身入浴等について所定時間外にするよう命じた事案で、少数組合が労働基準法上の労働時間に該当すると主張し、賃金の支払を請求したものである。
 「作業後の洗身については、労働安全衛生規則625条が、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではなく、また洗身入浴は一般に本来の作業を遂行するうえで密接不可分な行為ともいえないので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情がない限り原則として洗身入浴は使用者の指揮監督下における労務の提供と解されず、これに要する時間は労働基準法上の労働時間には該当しないというべきである‥‥」として請求を棄却した。
控訴審一審の判断を維持。上告審(一次訴訟.組合側上告)最一小判平12.3.9も棄却。
 最高裁は、労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」としたうえで、「実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができず‥‥洗身等に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しない」と判示した。
 したがって組合と洗身入浴時間を労働時間に含めその時間の賃金請求権を認めるという合意があったとしても、当局が公式に勤務時間中の職務遂行上、洗身入浴を義務づけてない以上労働時間には含まれないという結論になる。

2 勤務時間中の洗身入浴は、指揮監督から離脱し債務不履行として賃金カットできるとする下級審
 国鉄池袋電車区.蒲田電車区事件.東京地判昭63.2.24労民集39-1-21は国鉄蒲田電車区において、終業時刻の30分前から洗身施設で身体汚染を洗身して退区することが慣行とされ、池袋電車区でも、作業内容にかかわらず日勤勤務者が勤務時間中に洗身入浴する慣行があった。国鉄の職場規律の乱れが政治問題となった昭和58年に就業規則違反として禁止され、指揮監督を離脱したものとして職員賃金基準規定にもとづき賃金カットした事案で、勤務時間内の洗身入浴が電車区長の承認の下に長期間反覆継続されて行われてきたとしても、電車区長は就業規則で定められた勤務時間を短縮する権限を付与されておらず、また、身体汚染の除去は顔、手足の洗浄及び衣服の更衣等によって可能であり、勤務時間内の洗身入浴が必要不可欠なものであったとは認められないなどとして労使慣行として成立していたとはいえないとされ、賃金減額の措置が、不当でないとされ、確認書が取り交わされたとしても、電車区長は就業規則の改正をもたらすことになる労働協約を締結する権限を有しないから、洗身時間についての有効な労働協約は成立しないとした。
 国労は、国鉄末期に勤務時間内の入浴の要求を取下げている。
 昭和40年代の北九州市の清掃事業局では勤務時間内に洗身入浴を認めていた。当時はゴミだけでなく屎尿(バキュームカー)の処理もやっていたので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情に当たると解釈してもいいだろう。
 力士は取組のあと支度部屋で入浴するが、お相撲さんは個人事業主なので労働者と同列に議論できない。平成15年この問題をつついたことにより、不利益処分の理由になっており、組合の既得権優先思考の東京都の管理職には悪者扱いされているので、遺恨がある。
現在の状況はどうかというと、令和元年新宿営業所に転勤したとき、組合役員で庶務担当の○○○○が転勤者に庁舎内の施設を案内し、更衣室に附属している、洗濯機とシャワー室を案内し、いつでもいいから利用せよとしきりに利用をすすめ、○○自身は勤務時間前によくシャワーを利用していた。私は家で水道代とガス代を払って入浴すべきだと思うが、朝登庁してシャワーで汗を流して、ガス代と水道代を節約するのはせこいと考える。
 令和6年に夜間待機が、水道緊急隊の業務となったため、これまで夜間待機当番やっていた人が、当番制で浴室の清掃をしていたが、夜間待機業務が廃止されたので浴室の清掃は、配水課などと、営業所で回り持ちとなり、しかし実際は利用者は少なく、風呂掃除をする人が少なくなって困っているために○○は○○に組合要求として委託業務で風呂清掃をさせよと言っていた。
 いずれにせよ、造船所のような重筋労働でも洗身入浴は労働時間に含めないことになっている。国労は昭和時代に勤務時間内の要求をやめたのである。でも水道局は今でも勤務時間内に事務職でもシャワーは勤務時間内自由とされ、労働時間に含めている。水道局だからいいじゃないかと言われるかもしれないが、局の環境計画では電気や紙と同じく、水道使用量を減らすことになっているのである。
 だからといって勤務時間外だからによいというものではなく、あくまで労働衛生上の施設という位置づけであるなら、水道代やガス代を節約するために職場で風呂をすますという利用の仕方には問題があるので、規則で明文化することは慎重にした。
現在は内規で運用しているが実際は内規に勤務時間内のシャワーは上司の許可が必要としているとこめ実際には無許可利用で内規も守られていない。この問題は別途見直すこととして、当面この問題は「上司の許可を得ないで、執務場所を離れ」てはならないという規則で対応することとする。
 当局が、どうしても勤務時間内のシャワーを認めたいのなら、浴室に入っていた時間を申告させ、賃金カットとすべき。


第Ⅲ部 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき.国会議員と知事、都議会議員へ要望

 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき、会社に取り外し命令をするよう特に国と都が株主の東京メトロの労務管理の是正を要望します。
これは一旅客公衆の立場から公式の請願ではなく、たんに非公式な意見具申です。
 私鉄総連加盟の組合のある民鉄の駅員や乗務員が、直径7~8センチの円形の春闘と記載されているデザインのワッペンを毎年2月15日頃から3月中旬頃まで胸章として着用するのが通例になっている。私が知る限りでは、鉄道では東京メトロ、東急、東武、京成、京急、京王(但し京王は着用しない駅員もおり他社と温度差がある)が恒例である(なお小田急の鉄道部門で春闘ワッペンは見たことはない。西武は私鉄総連ではないから論外、関西や地方の状況は把握してない)。バスの運転手もつけているし、制服を着用せず、ワッペンをつけた制服を吊り下げている東急バスの運転手など過去にみたことがあるが、バス運転手の態度も非常に不快だがさしあたり鉄道を問題にする。
 駅員や乗務員が勤務しながらワッペンによる春闘の宣伝をしていることは不快。目につきます。会社は職務に専念させるべきである、雇用契約の債務の本旨にしたがった履行でないことを許しているのは労務管理として怠慢である。

 ワッペンは、私鉄総連組合員として意思表示をし、相互の団結と使用者に対する示威、旅客公衆に対する春闘への連帯を訴えかける活動といえる。勤務時間中に職務の遂行に関係のない行為または活動をするときは当然に職務に対する注意力がそがれるから、旅客公衆が不快、不安に思うのは当然のことである。
 具体的な要求項目の記載はない。ワッペンの記載は、民鉄協会と合同して行っている「公共交通利用促進」というスローガン、西暦と「春闘」、私鉄総連の英訳の頭文字、電車やバスのデザインである。
 しかし「春闘」とは2月ころから労働組合が一斉に賃上げ等を要求する闘争を意味することは明らかであり、近年はこれが目立つようになっている。
業務外の徽章.胸章.腕章等の着用を禁止する就業規則を定め、適正良好な職場環境を維持し規律のある業務運営体制を確立するため最高裁が案出した企業秩序論に基づく労務管理、取り外し命令を徹底し、JRの国労バッチのケースでは、指導に従わない場合、夏季手当の減額という不利益賦課がなされた。それをやるべきである。
 もちろん気にしない人も多数いるだろう。しかし乗務員.駅員の業務が旅客公衆の身体、財産の安全にかかわるものとして、特に強く要請される職場規律の保持を確保するという観点で業務用でないワッペンの着用は規制されてしかるべきなのである。
 春闘と書かれている以上組合活動であり、有名な中川幹郎チームの名判決、リボン闘争の大成観光ホテルオークラ事件東京地裁昭和50年3月11日判決労判221号が「本来労働組合が自己の負担及び利益においてその時間及び場所を設営しておこなうべきものであつて、このことは負担及び利益の帰属関係からして当然の事理に属する。ところで、勤務時間中であるという場面は、労働者が使用者の業務上の指揮命令に服して労務の給付ないし労働をしなければならない状況下のものであり、まさに使用者の負担及び利益において用意されたものにほかならないから、勤務時間の場で労働者がリボン闘争による組合活動に従事することは、人の褌で相撲を取る類の便乗行為であるというべく、経済的公正を欠く」と批判したとおりで、それがワッペンであれ同じことだ。
 中川判決では、リボン闘争がホテルサービスに求めている休らい、寛ぎ、そして快適さとはおよそ無縁であるばかりでなく、徒らに違和、緊張、警戒の情感を掻き立てることが特別違法性とされているが、民鉄もホームライナー等快適な輸送のサービスで集客しており私が知る限り、京王の車掌はワッペンを着用し、春闘との連帯を訴える行為をされることは同種のことがいえる。
 この論点については、JRの労務管理が圧倒的に優れている。就業規則に「社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない」とあり、業務上の徽章以外の着用を禁止し「くまんばち」はもちろん春闘ワッペンよりずっと小さい縦1.1㎝、横1.3㎝の四角形国労バッチの着用を禁止し、徹底してきた。平成中葉には着用者はいなくなった。要するに民鉄もJR並みの労務管理を要求する。

 春闘を宣伝するワッペン着用は、企業秩序維持と職務専念義務違反もしくは雇用契約の債務の本旨に従った履行ではないとして就業規則(もしくは労働協約)で禁止し、着用した者は軽微であれ懲戒処分等不利益賦課の対象とすべきであると要求したい。
もっとも基本的には鉄道会社の労使関係の問題であって、政治が介入すべきことではないかもしれないが、公共交通機関という公益性の強い事業で、しかも旅客公衆に接客対応の駅員もそれをつけているのだから、一般市民や乗客からの非難にこたえるべきである。
 ちなみに目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13以降の企業秩序論判例は、抽象的危険説をとり、具体的業務阻害がないことを理由に組合活動が正当化されることはないことを明示している。
 つまりワッペンを禁止するのに具象的な業務阻害を説明する必要はない。2014年2月15日午前0時半すぎに、東急東横線元住吉駅で、大雪の影響で電車が追突し乗客65人が負傷した事故があった。2月15日というと東急では春闘ワッペンを着用しだす時期である。事故の原因については究明されていることであり、その時、運転指令室や乗務員がワッペンを着けていたかどうかは知らない。仮に着けていたとしても春闘ワッペンを意識した雑念が事故と関係しているという根拠はないから無関係だろう。しかし、ワッペンはたんに抽象的な理由、それが目に触れるため春闘を意識し他の社員の職務専念義務を妨げるおそれがあるというだけでも企業秩序をみだすものとして禁止できるのである。
 とりわけ東京メトロは、国と東京都が株主となっている特殊会社である以上、国会議員や都議会議員が労務管理に口出ししてよいはずである。永田町駅の駅員もやってます。国会議員は不快ではないのか。

 具体的法的根拠、判例については、前記三-(四)業務外の徽章・胸章・腕章の禁止121頁 全水道東水労の春闘ワッペン規制の提言と同じなので参照されたい。

主な参照判例等
 ●〇は労働組合.被用者.住民側からみた勝敗 第Ⅱ部でビラ配りについては類型別にまとめた。

●山田鋼業事件.最大判昭25.11.15刑集4-11-2257(生産管理)
●朝日新聞小倉支店解雇事件.最大判昭27.10.22民集6-9-857(非組合員による業務の遂行の暴行脅迫)
〇三友炭鉱事件.最三小判昭31.12.11刑集10-12-605
●ホテル.ラクヨー事件.最一小昭和32.4.25刑集11-4-1431(体当たりによる就労阻止)
●羽幌炭鉱鉄道事件.最大判昭33.5.28刑集12.8.1694(マスピケによる罷業脱退派と非組合員による出炭業務阻止)
●進駐軍横浜(駐留軍横浜陸上輸送部)事件.最二小昭33.6.20刑集12-10-2250(非組合員運転のバス輸送を止める妨害)
●東北電力大谷発電所事件.最一小昭33.12.15刑集12-16-355(電源スト.会社側から臨時に雇われたがスト破りの代替雇用者のピケットによる阻止)。
●四国電力財田発電所事件.最一小昭33.12.25刑集12-16-3627(スクラムを組んで会社側の業務を妨害)
●嘉穂砿業事件.最一小判昭35.5.26.最一小判昭35.5.26刑集14-7号-868 (鉱員の組合と、職員の組合が分かれていて、鉱員の労働組合のみがストライキを実行中、争議行為に加わっていない職員が就業のために出勤するに際し、炭労傘下の嘉穂砿業労働組合員数百人が、ピケを強行突破しようとする職員組合員甲等に体当たりするなどして十数回にわたり押し返した)
●国鉄檜山丸事件.函館地判昭36.4.8●札幌高裁函館支部判昭37.7.3判時308●最二小判昭38.3.15刑集17-2-23(職場集会の指令点検、指導等のために、船長の制止を振り切り乗船した国労青函支部執行委員ら刑法130条艦船侵入罪とする)
◯都教組勤評反対闘争事件.東京地判昭37.4.18判時304●東京高判昭40.11.16判時437最大判昭44.4.2刑集23-5-305(1日一斉休暇闘争)
◯全逓東京中郵職場離脱事件.東京地判昭37.5.30●東京高判昭38.11.27判時363○最大判昭41.10.26刑集20-8-901○差戻後控訴審東京高判昭42.9.6判時509(単純不作為職場離脱)
●国鉄檜山丸事件.函館地判昭36.4.8●札幌高裁函館支部判昭37.7.3判時308●最二小判昭38.3.15刑集17-2-23(職場集会の指令点検、指導等のために、船長の制止を振り切り乗船した国労青函支部執行委員ら刑法130条艦船侵入罪とする)
●全司法仙台支部事件.福島地判昭38.3.27 下級裁判所刑事裁判例集5-3.4-309●仙台高判昭41.3.29判タ190●最大判昭44.4.2刑集23-5-685(安保反対.あおりの罪)
○全農林警職法事件.東京地判昭38.4.19判時338●東京高判昭43.9.30判時547●最大判昭48.4.25刑集27-4-547(あおり.あおりの企ての罪)
●米空軍立川基地出勤停止処分事件.東京地判昭和38.5.14労民14-3-733●東京高判昭40.4.27労民16-2-377●最三小判昭49.11.29訟務月報21-2-421(休憩時間の集会)
●津電話局懲戒解雇事件.名古屋地判昭38.5.20労民14-3-777
◯横浜中郵事件.横浜地判昭38.6.28判時341号、●東京高判.昭41.8.26判タ202号◯最大判昭45.9.16刑集24-10-1345破棄差戻 8対6、●★差戻後控訴審東京高判.昭47.10.20判時689●差戻後上告審最一小決.昭49.7.4判時784(支援者によるマスピケ、公務執行妨害.久留米事件方式で有罪)
●全逓名古屋中郵事件.名古屋地判昭39.2.20刑集31-3-517○名古屋高判昭44.10.29●最大判昭52.5.4刑集31-3-18(郵便法違反幇助、建造物侵入)
〇全逓名古屋中郵第二事件.名古屋地判昭39.2.20刑集32-2-139●名古屋高判昭45.9.30刑集32-2-148●最二小判昭53.3.3刑集32-2-97(臨時小包便搬出の業務妨害.名古屋中郵事件方式で有罪)
▲国鉄小郡駅事件.最三小判昭39.11.24刑集18巻9号610頁(ビラ貼り.建造物侵入罪.軽犯罪法は時効)
◯東京都水道局時間外労働拒否事件.東京地判昭40.12.27労民16-6-1212◯東京高判昭43.4.26労民19-2-623
●仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件.仙台地判.昭41.1.8刑集27-5-1170〇仙台高判昭44.4.1刑集27-5-1170●最二小判昭48.4.25刑集27-5-1115(三六協定未締結での就労者への暴力)
●動労仙台地本役員解雇事件.仙台地判昭41.1.31労民18-1-37●仙台高判昭42.11.6労民18-6-1101
○丸亀電報電話局事件.高松地判昭41.3.31労民17-2-405
○動労四国地本事件.高松地判昭41.5.31労民17-3-726 〇高松高判昭45.1.22労民21-1-37
○四国財務局勤評闘争(全財務四国地本)事件.昭41.6.23高松地判民集31-7-1256○高松高判昭46.12.13民集31-7-1433●最三小判昭52.12.20民集31-72-1225
●国労久留米駅事件.福岡地裁久留米支部 昭41.12.14刑集27-3-521)◯福岡高判昭43.3.26判時516号●最大判昭48.9.16刑集27-10-418●差戻後控訴審福岡高判昭52.10.25判時884(マスピケ)
◯尼崎駅ピケ事件.神戸地判昭41.12.16●★大阪高裁昭49.4.24判時743(線路上で渦巻デモや座り込 久留米事件方式で有罪) ●最一小判昭52.10.20刑事裁判資料203号812頁) 
●安西郵便局事件.最三小判昭42.2.7刑集21-1-19(特定郵便局長が拒否した組合の点検活動の立入を強行)
◯全逓灘郵便局リボン闘争事件 神戸地判昭42.4.6労民18-2-302●大阪高判昭51.1.30労民27-1-18(勤務時間中に「さあ!団結で大巾賃上げをかちとろう」と記載したリボン及び「全逓、灘郵便局支部」と記載した腕章を着用したことは就業規則に違反し、取外し命令に対する不服従を理由とする訓告処分を適法と判示。)
●日本鉄工所事件.大阪地裁昭42.4.47刑集29-7-468◯大阪高裁昭46.4.21刑集29-7-481●最二小判 昭50.8.27刑集29-7-442(逮捕行為.久留米事件方式で有罪)
◯春闘松山駅事件.松山地判昭42.7.10刑集32-2-191〇高松高裁昭46.3.26刑集32-2-204●最二小判昭53.3.3刑集32-2-159(マスピケ.名古屋中郵事件方式で有罪)
○長岡電報電話局事件.新潟地判長岡支部昭42.8.7判時491●東京高判.昭46.4.19判時638(管理者側のピケ突破実力行使)
〇長田電報電話局公務執行妨害事件.神戸地判昭42.9.30刑集32-2-895●大阪高裁昭50.11.12刑集32-4-914、●最一小判昭53.6.29刑集32-4-816
◯動労糸崎駅事件.広島地判尾道支部昭43.2.26.下級裁判所刑事裁判例集10巻2号195頁9マロ●★.広島高判昭和48.8.30判タ300(マスピケ.運転室占拠 久留米事件方式で有罪)●最一小決昭51.4.1
◯国労岡山操車場.糸崎駅事件広島地裁尾道支部昭43.6.10判時529号●★広島高裁 昭48.9.13判時727号(マスピケ.久留米事件方式で有罪)
●九建日報社救済命令取消事件.福岡地判昭43.8.30労民集19巻4号1092頁(ポスター貼付.諭旨解雇)
●全逓労組幹部解雇事件.東京地判昭44.6.17労民20-3-585
◯動労南延岡機関区事件.宮崎地判昭44.7.15刑集32-4-801〇福岡高判昭47.2.29刑集32-4-807●最一小判昭53.6.29刑集32-4-759(マスピケ.名古屋中郵事件方式で有罪)
〇七十七銀行政暴反対斗争事件.仙台地判昭45.5.29労民21-3-6891
●国鉄鹿ノ谷駅事件.札幌高判昭49.8.28判時764
〇神戸税関(全税関神戸支部)事件.神戸地判昭44.9.24民集317-1164、○大阪高判昭47.2.16民集31-7-1211●最三小判52.2.20民集31巻7号1101頁
〇青函連絡船渡島丸事件.札幌高判昭44.2.17
△中部日本放送リボン闘争解雇事件 名古屋地判昭47.12.22労民27-5-779△名古屋高判昭50.10.2労民26-5-762(就業時間中、社内及び取引先において、リボン、腕章、はちまき等を着用、正当な行為ではないが、解雇処分は懲戒権の濫用)
●長岡電報電話局解雇事件.新潟地判昭44.11.25労民20-6-1553、●東京高判昭56.9.30訴務月報28-4-665
〇浜松市役所事件.静岡地判昭45.3.6行政事件裁判例集21巻3号438頁
◯毎日放送千里スタジオ事件.大阪地裁昭45.4.4判時619〇大阪高裁昭47.1.31判時671●最一小判昭51.5.6刑集30-4-519(生放送中に騒音混入.久留米駅事件方式で有罪)
◯札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)札幌地判昭41.5.2判時449◯札幌高判昭42.4.27判時491〇最三小決昭45.6.23刑集24-6-311(マスピケ)
○目黒電報電話局事件.東京地判昭45.4.13判タ248.○東京高判昭47.5.10判タ276●最三小判昭52.12.13民集31-7-974(「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」プレート着用とビラ配布を理由とする戒告)
◯国労東和歌山駅事件.和歌山地判昭45.4.25刑事裁判資料201●★大阪高裁 昭50.9.19刑事裁判月報7巻9.10合併号826頁(マスピケ.久留米駅事件方式で有罪)
◯動労鳥栖駅事件.佐賀地判昭45.5.14●★福岡高判昭49.5.25判時770号(マスピケ久留米駅事件方式で有罪.●最三小決昭50-11-21判時801
●第七青函丸.長万部駅事件 最一小判昭45.7.16刑集24-7-475(オルグのため艦船侵入とマスピケ)
●浜松動労事件.最一小判昭45.7.16判時605(マスピケ)
●東京郵政局事件.東京地判昭46.3.18判時624は、(ビラ撤去業務の妨害)
◯佐教組事件.最三小判昭46.3.23刑集25-2-110 3対2(3割.3割.4割休暇闘争)
●平和タクシー争議事件.最三小判昭46.3.23刑集25-2-239(ビラ貼り.器物損壊罪)
●三井鉱山賃金カット事件.福岡地判昭46.3.15労民集22-2-268(ゼッケン着用)
●江戸川.昭島郵便局減給戒告.東京地判事件.昭48.6.28労民24.3.345
〇佐教組懲戒処分事件.佐賀地判昭46.8.10判時640判タ266、●福岡高裁昭58.5.27判タ501、●最一小判昭63.1.21判時1284、判タ266(3割.3割.4割休暇闘争)
○都教組勤評懲戒処分事件.東京地判昭46.10.15判時645,判タ230☆、●東京高判昭51.7.3判時835、判タ337、●最二小判昭52.12.23裁判所ウェブサイト☆
〇全逓都城郵便局事件.東京地判昭46.11.12判時658判タ270
●光文社事件.東京地裁昭47.4.3刑集29-10-962◯東京高裁昭48.4.26判時708●最三小判昭50-5-8刑集29-10-929(包囲型ピケ.逮捕行為.久留米事件方式で有罪)
○静岡県教委事件.静岡地判昭47.4.7判タ227、●東京高判昭52.3.15、●最一小判昭53.9.7
◯国労青函地本リボン闘争事件 .函館地判昭47.5.19労民23-3-347●札幌高判昭48..5.29労民24-3-257(制服の左胸に「大巾賃上げを斗いとろう、16万5千人合理化粉砕」と書いたリボンを着用したことは、職務専念義務に違反し、鉄道営業法第22条及び国鉄の服装に関する定めに違反
●静岡鉄道管理局沼津機関区事件.静岡支部沼津支部判昭47.7.15判時685
〇日本専売公社山形工場事件.昭47.11.27山形地判民集35ー3ー545●仙台高裁昭53.3.31民集35ー3-565●最一小判昭56.4.9民集35-3ー477
◯富士重工業原水禁運動調査事件.東京地判昭47.12.9判時687●東京高判昭49.4.26判時743○最三小昭52.12.13民集31-7-103
●動労幹部解雇事件.東京地判昭47.12.19労民23-5.6-637
○国労札幌地本ビラ貼り事件.札幌地判昭47.12.22判時709●札幌高判昭49.8.28判時764●最三小判54.10.30民集33-6-647
〇全林野西条分会宿直日拒否闘争事件.大阪地判昭48.3.27労民24ー1.2ー112、●大阪高判昭54.12.7労民30-6-1164
〇国労熊本地本事件.熊本地判昭48.10.4判時719
〇国労大阪地本半日スト事件.昭48.12.22判時731
●関西電力事件.神戸地裁尼崎支部判昭49.2.8判判時739●大阪高判昭53.6.29判時898●最一小判昭58.9.8判時1094
●墨田民商事件.東京地判昭49.3.27税務訴訟資料84号748頁●東京高判昭52.5.30判時882(税務署会計係長長による民主商工会員の庁内立入阻止行為)
●神田郵便局腕章事件 .東京地判昭49.5.27労民25-3-206(腕章取りはずし命令に従わないことを理由とした担務変更命令を放棄したことによる減給処分)●東京高判昭51.2.25訟務月報22-3-740(勤務中に赤地に白く「全逓神田支部」と染め抜いた腕章を着用)
〇動労盛岡地本半日スト解雇事件.盛岡地判昭49.6.6判時743、判タ308
●国労東京地本新宿駅事件.東京地判昭49.6.24判時757
●全逓東北地本事件.東京地判昭49.7.1民集32ー5-1064●東京高判昭50.3.30民集32-5-1139●最三小判昭53.7.18民集32-5-1030
○北九州市交通局12条解雇事件.福岡地裁昭49.11.19判時766●福岡高裁昭55.11.11判タ435●最二小判昭55.2.8 労判335、
●北見郵便局懲戒免職事件.札幌地判昭50.2.26判時771、●札幌高裁昭54.3.29判時940判タ397
●大成観光リボン闘争事件. 東京地判昭50.3.11民集36-4-681(花形から垂らした幅約2.5センチメートル、長さ6ないし11センチメートルの白の布地に「要求貫徹」等の文字を記載したリボン闘争「人の褌で相撲を取る類の便乗行為‥‥誠意に労務に服すべき労働者の義務に違背する」として争議行為としても、その他の組合活動としても正当性を欠くと説示した中川幹郎判決)●東京高判昭52.8.9民集36-4ー702●最三小判昭57.4.13民集36-4-6592(就業時間中の組合活動であって、労働組合の正当な行為にあたらない)
●動労天王寺地本一日スト地位保全仮処分事件.大阪地裁昭50.3.14判時774、判タ321
●全逓昭和瑞穂支部郵便局事件.名古屋地判昭50.4.30民集36-10-2109●名古屋高判最52.1.31民集36-10-2128●最二小判昭57.10.7民集36-10-2091(組合掲示板撤去.掲示の許可は、公法上又は私法上の権利を設定、付与するものではなく、また、国有財産法18条3項にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらない。)
〇全林野旭川地本(美瑛営林署)事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900●札幌高判昭57.10.27労民33-5-893●最二小判昭62.3.27判タ634
●動労甲府支部ビラ貼り損害賠償事件.東京地判昭50.7.15判時784使用者が無断ビラ貼りを「受忍」すべきいわれはなく、当該のビラ貼りは使用者の所有権ないし施設管理権の侵害にあたるとして、初めて労働組合及び組合員に不法行為に基づく損害賠償責任を認めビラはがし代142,300円の支払いを動労側に命じた中川幹郎判決
〇和教組懲戒免職事件.和歌山地判昭50.6.9判時780
□国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-163
●総理府統計局事件.東京地判昭50.12.24判時806、●東京高判55.訴務月報26ー9-1594●最三小判昭53.7.18民集32-5-1030
●国鉄田端機関区事件.昭51.1.22判時805、●最一小判昭56.4.6判時1001
○全林野広島営林署分会事件.広島地判昭51.4.21 判時812、●最三小判昭62.3.20判時1228
●岩教組学力調査事件.盛岡地判昭41.7.22判時462○仙台高判昭44.2.19判時548●最大判昭51.5.21刑集30-5-1178(あおりの罪.道路交通法違反)〇北海道立釧路診療所.札幌地判昭52.3.31労民32-5-623●札幌高判昭56.9.29労民32-5-593▲北九州市清掃局事件.福岡地判昭52.12.2労民34-2-183☆、▲福岡高判昭58.3.16労民34-2-169☆、▲最一小判平元.1.19労判540
◯全国税東京足立分会事件.東京地判昭52.2.24判時850●東京高判昭57.3.10労判385●最二小判昭59.1.27労判425(争議行為をそそのかす掲示物の自力撤去)
●動労北陸地本判決.金沢地判52.6.10昭43.9.12判時859●名古屋高判昭56.2.18判時1024
●日本エヌ.シー.アール事件.東京高判昭52.7.14労民28-5.6-411(ビラ配布.出勤停止処分)
●全建労事件.東京地判昭52.7.25行裁集28-67-680 (リボン闘争)
●信越郵便局事件.長野地判昭52.10.13訟務月報23
●北九州市清掃局年末休日勤務拒否事件.福岡地判昭52.12.2労民34-2-183、●福岡高判昭58.3.18労民34-2-169、●福岡高判昭58.3.16労民34-2-169、最一小判平元.1.19労判540
○北九州市交通局事件.福岡地判昭52.11.18判時874●福岡高判昭55.10.22労民31-5-1033●最小一判昭63.12.8民集42-10-739
〇全林野青森地本事件.青森地判昭52.12.13 判時885
●福教組内申抜き処分事件.福岡地判昭52.12.27民集40-2-37 ●福岡高判昭56.11.27判時1026、判タ459、最一小判昭61.3.13民集40-27-258
◯全逓釜石支部(大槌郵便局)事件.盛岡地判昭53.3.22刑集37-3-294◯仙台高判昭55.3.18判時979●最二小判昭55.4.8刑集37-3-215●差戻控訴審仙台高判昭61.2.3判時1194(ビラ貼り.建造物侵入罪)
●全林野三役18条解雇事件.東京地判昭53.7.14労民29-4-494●東京高判昭58.10.5労民349-5.6-861●最三小判昭62.3.20判タ634
●全電通一宮局事件.名古屋地判昭53.12.15労民29-5.6-776
●富岡営林署(全林野前橋地本富岡分会)事件.東京地判昭54.3.22労民30-2-457
〇恵庭営林署事件.札幌地判54.3.29労民34-5.6-831●札幌高裁58.9.28労民34-5.6-812
●新潟貯金局事件.新潟地判.昭54.3.30判タ396
○北教組(41~43年闘争事件)札幌地判昭54.5.10判時945判タ394 ▲札幌高判昭60.6.25判時1159▲最一小判昭4.9.24労判615
●全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408●大阪高判昭57.2.25民集39-7-1478●最二小判昭60.11.8民集39-1-1375
●全電通荻窪局事件 東京地判昭54.9.14判時954
●北海道開発局網走開発建設部事件.札幌地判昭54.10.9判時964、●札幌高判58.3.15訴務月報29-9-1709
●明石郵便局事件.神戸地判昭54.12.13訴務月報26ー3ー473
●東北電通局事件.仙台高判昭55.1.24 判タ420(ビラ貼り.建造物損壊罪)
●昭和49年春闘日教組スト事件.東京地判昭55.3.14判時967●東京高判昭60.11.20判時1177●最一小判平元.12.18刑集43-13-882)
●全逓新宿郵便局事件.東京高判昭55.4.30労民31-2-544.●最三小判昭58.12.20判時1102号(無許可集会等)
●北九州市病院局事件.福岡地判昭55.5.7労判341●福岡高判昭55.9.28判タ534●最三小判平元.4.25判時1336
●京都西郵便局(太秦郵便局)事件.京都地判昭55.6.6労民31-3-682
●長崎県職組事件.長崎地判昭55.9.8判時998●福岡高判昭60.9.26労判461、●最一小判平元.9.28判時1349判タ729
〇全林野川内営林署事件.東京地判昭55.11.17訴務月報27-4●東京高判昭61.8.14労判481
●帝国興信所岐阜支店事件.岐阜地判昭56.2.23判時1005(ビラ貼り.損害賠償)
●北九州市役所労組事件.福岡地判昭56.2.26判時1011
●北九州市職員組合事件.福岡地判.56.4.22労判365
▲校長着任拒否闘争事件.福岡地裁昭56.7.26判時1021、▲福岡高裁昭60.9.27判時1166判タ572、▲最二小判平1.9.8判例地方自治72
●北九州市若松清掃事務所事件.福岡地判昭56.8.24訟務月報28-1(ビラ貼り.戒告処分)。
●エッソ.スタンダード石油事件.東京地決昭56.12.25労民集32-6-988(ビラ貼り禁止仮処分申請)
●朝日新聞社西部本社事件.福岡高判昭57.3.5労民集33-2-231(ビラ貼り.懲戒処分)
●岩手県教組事件.盛岡地判昭57.6.11刑集43-13-1326●仙台高判昭61.10.21判時1216●最一小判平元.12.18刑集43-50-10-783●差戻後控訴審仙台高判平5.5.27刑集50-10-783●差戻後上告審平8-11-18刑集50-10-745
●三菱重工事件.東京地判昭58.4.28労民集34-3-279
●池上通信機事件.横浜地判昭58.9.29労判420●東京高判昭59.8.30判時1154●最三小判昭63.7.19判時1293(無許可施設利用集会)
◯明治乳業福岡工場事件.最三小判昭和58-11-1判時1100
●大栃営林署事件.高知地判昭58.12.19訴務月報30-7●高松高裁昭61.9.30訴務月報33-7
●東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442
●戸塚郵便局事件.横浜地判昭59.10.25.労民集37-4.5-407(ビラ貼り.落書き)
●北九州市現業職員給料表分離反対闘争等懲戒免職処分事件.福岡地判昭59.12.26判例地方自治13
●鹿児島県立大島高校等6カ所の学校施設目的外使用不許可事件.福岡高裁宮崎支部判昭60.3.29判タ574 
●郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566
●日東運輸事件.大阪地決昭60.5.16労判454(車両にビラ貼付禁止の仮処分申請)
◯総合花巻病院事件.最一小判昭60. 5.23労働委員会関係裁判例集20集164頁(施設利用拒否)
●埼玉県教組事件東京地判昭60.6.27刑集44-3-184●東京高判昭63.5.26刑集44-3-247●最三小判平2.4.17刑集44-3-1(あおりの罪)
●北九州市(43年闘争水道局)事件.昭60.6.26労判468、●最三小判平元.6.20労判552
●北海道開発局昭和48年事件.札幌地判昭60.9.24判時964
●福教組.福高教組事件.福岡地判昭60.12.16判タ588、●福岡高裁.平3.12.26労判639、●最一小判平5.4.8労判639
●国鉄千葉鉄道管理局事件.昭60.12.25
●福岡県教委(福教組.高教組事件)福岡地判昭60.12.26判タ588●福岡高判平3.12.26労判639、●最一小判平5.4.8労判639
〇済生会中央病院事件.東京地判昭61.1.29民集43-12-1821〇東京高判昭63.7.27民集43-12-1890.●最二小判平元年12.11民集43-12-1786(無許可集会)
●全商工事件.東京地判昭61.3.25 判時1189号 ○アヅミ事件.大阪地決昭62.8.21労判503
●国鉄甲府駅事件.甲府地判昭62.6.9労判500、●東京高判平2.2.28判時1346、●最二小判平2.10.19労判572
●仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464●仙台高判.平2.3.30●最三小判平5.3.2判時1457.判タ817
●北九州市(48年闘争)事件 (福岡地裁昭62.9.29 労判511-82頁)
●エッソ石油事件.東京地判昭62.12.23労判509(ビラ貼り禁止の仮処分決定の異議申立を却下したもので、「ビラは貼付されている限り視覚を通じ常時従業員等に対する組合活動に関する訴えかけを行う効果」に言及している)。
●灰孝小野田レミコン.洛北レミコン事件.東京地判昭63.1.14労判515(ビラ貼り禁止仮処分申請)
●福岡県職労(43年公務員共闘)事件.福岡地判昭63.3.15判例地方自治49●福岡高判平3.9.18労判601
●国労兵庫支部鷹取分会事件.神戸地決昭63.3.22労働判例517号52頁(ビラ配布禁止仮処分)
●ミツミ電機事件.東京高判昭63.3.31判タ682(争議中の集会、デモ、泊り込み、ビラ貼付.赤旗掲揚.懲戒解雇)
●熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523
●福岡県職労(43年公務員共闘)事件.福岡地判昭63.9.18判例地方自治49
◯国鉄鹿児島自動車営業所事件.鹿児島地判昭63.9.27 労民39-2.3-21〇福岡高判平元.9.18労民40-4.5-565●最三小判平5.6.11判時1466(26ミリ×26ミリの布製、NURの文字の大型組合バッチ離脱命令に従わなかった職員の業務外し、火山灰除去作業の業務命令)
●福岡県教委内申抜き処分第二事件.福岡地判昭63.10.5労判528、●福岡高裁平4.11.24労判620
●日本チバガイギー事件.東京地判昭60.4.25労判452●東京高判昭60.12.24労民36-6-785●最小一判平元.1.19労判533中労委DB(食堂使用集会不許可)
●全農林(82秋季年末闘争)事件.東京地判平元.10.31判時1331●東京高判令和7.2.28判タ877●最二小判平成12.3.17判時1710
●オリエンタルモーター事件.東京地判平2.2.21労民41-1-16◯東京高判平2.11.21労民41-1-971●平7.9.8判時1546(従業員食堂利用の不許可)
○国労直方自動車営業所事件.福岡地判直方支部平2.3.30労判561、●福岡高判平4.9.24労判639、〇北海道釧路診療所事件.札幌地判平2.12.26労判578
●平和第一交通事件.福岡地判平3.1.16労経速1423(組合旗)
●国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件.東京高判平4.2.9労判617号29頁(無許可集会)
●熊本人勧スト事件.熊本地判平4.11.26判時1477.判タ814、●熊本高裁平4.11.12判タ1026、●最二小判平12.12.15労判803
〇大分県教組人勧スト事件.大分地判平5.1.19判時1457判タ814●福岡高裁平12.10.6判タ1108
◯国鉄清算事業団(千葉鉄道管理局)事件.千葉地判平5.3.15
●総評全国一般東京ユニオン.神谷商事事件.東京地判平6.4.28判時1493(ビラ貼り.損害賠償)
○国産自動車交通事件.最三小判.平6.6.7労働法律旬報1349
〇北海道教育委員会(学力テスト不実施)事件.札幌地判平7.5.30労判685
●社団法人全国社会保険協会連合会(鳴和病院)事件 東京地判平8.3.6労判693(組合旗掲揚)
●新潟高教組事件.新潟地判平成8.3.19判タ919●最二小判平.12.12.15労判803
●北海道教育委員会(北教組)事件.札幌地判平7.11.13労判691中労委DB"
○中労委(倉田学園学園事件).東京地判平9.2.27労民集48-1.2-20
●医療法人南労会事件.大阪地判平9.4.30労経速1641号3頁(ビラ貼付等)
〇北海道教育委員会事件.札幌地判平11.2.16
●全日本国立医療労組事件.東京地判平11.4.15判時1724●東京高判平12.11.29労判840●最三小判平14.11.26労判840
◯呉市立中学校教研集会目的外使用拒否事件.広島地判平14.3.18民集60-2-401〇広島高判平15.9.18民集60-2-471〇最二小判平18.2.7民集60-2-443
●広島県高教組「人事委員会報告説明会」県立高校体育館使用拒否事件.広島地判平14.3.28裁判所ウェブサイト
〇金融経済新聞社事件.東京地判平15.5.19労判858(無許可集会)
●広島県高教組定期総会学校施設使用不許可事件.広島地判平17.2.9裁判所ウェブサイト
●大阪市立人権センター事件.大阪地判平20.3.27判タ1300
●札幌市教委(北教組スト)事件.札幌地判.平成20.7.7判例地方自治311
●北教組事件.札幌高裁平20.8.29☆
●北海道.北海道教育委員会事件.平成26.3.26判時2250
○北海道.道労委(北教組)事件.札幌地判平26.3.31労判1136中労委DB、●福岡高裁平27.3.26労判1136中労委DB、●最二小判平28.6.3別冊中央労働時報1502中労委DB
◯●大阪市労連、市職、市従、学給労等組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2282
◯●大阪市労組.大阪市労働組合総連合組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2278
●大阪市教職員組合分会会議使用不許可事件.大阪地判平29.12.20判タ1452
●エッソ石油(出勤停止処分)事件.名古屋地判平6.10.17労判664号18頁(ビラ貼り.ゼッケン着用.店内デモ.ピケによる入退場阻止.出勤停止処分)
○本荘保線区国労ベルト事件 仙台高判秋田支部平4.12.25労判690◯仙台高裁秋田支部判平4.12.25労判690〇最二小判平8.2.23労判690(バックルに国労マークの入ったベルト取り外し命令に従わなかった組合員を就業規則の書き写しを命じる)
△九州女子学園事件.福岡地小倉地判平5.8.9労判714号77頁(煙突闘争.リボン闘争.ビラ貼付.プラカード闘争につき正当な組合活動ではないとしたが、解雇が解雇権の濫用とされた)な)。
〇JR西日本(国労広島地本組合バッジ)事件 広島地判平5.10.12判タ851、△広島高判平10.4.30判タ97(組合バッジ着用等を理由として夏季一時金の減率査定(5%カット)(組合バッジの着用行為のみを減率の理由とした者以外の減率査定には合理性が認められ,裁量権の濫用とはいえないとした)
△延岡学園事件 福岡高裁宮崎支判平5.10.20労判650(リボン闘争)
●西福岡自動車学校腕章事件 福岡地判平7.9.20労民46-5.6-1233(腕章着用闘争.戒告処分)
●七福交通事件東京地判平10.3.3労判738号38頁は営業用自動車へのステッカー貼付その他の理由による懲戒解雇を有効
●大和交通事件.大阪高判平11.6.29労判773(タクシーパレード)
●JR東海(懲戒解雇)事件。大阪地判平12.3.19労判790
●JR東海(国労東京地本新幹線支部バッジ着用)事件 東京地判平7.12.14判時1556●東京高判平9.10.30判時1626●最二小判平10.7.17労判744.中労委DB(組合バッヂ着用の厳重注意と夏期手当減額の措置を不当労働行為に当たらないとして都労委の救済命令を取消した原判決を支持)
〇JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京地判平9.8.7判タ957◯東京高判平11.2.24判時1665(組合バッジ着用を理由とする訓告処分、夏季手当減額、業務外し「敵意と嫌悪感を露骨に示す言動を繰り返し」バッジ取外しの指示.指導等は「執拗かつ臓烈なもので,平和的な説得の域を大きく逸脱するものであり」「就業規則の書き写しの作業などは,嫌がらせ」である)〇最二小判平11.11.11労判770.中労委DB(て)
〇神戸陸運事件 神戸地判平9.9.30労判726 中労委DB(腕章着用を理由とする乗務拒否)
●延岡学園事件 宮崎地裁延岡地判平10.6.17労判752(リボン着用、生徒配布文書の配布、父兄等文書配布行為.解雇)
●国立ピースリボン事件.東京地判平18.7.26裁判所ウェブサイト
●全国一般労働組合長崎地本.支部(光仁会病院.組合旗)事件長崎地判平18.11.16
●自治労.公共サービス清掃労働組合ほか(白井運輸)事件.東京地判平18.12.26労判93(ピケッティング.損害賠償)
□全国一般労働組合長崎地本.支部(光仁会病院.組合旗)事件.福岡高判平20.6.25労判1004
●千葉動労事件.東京地判平20.9.17中労委DB●東京高判平21.7.22中労委DB(掲示板貸与、施設利用、団体交渉の勤務開放拒否)
◯国.中労委(医療法人光仁会)事件東京地判平21.2.21労判981◯東京高判平21.8.19労判1001(組合旗掲出)
●杉並区立○○中「夜スペシャル」目的外使用許可処分違法確認等請求事件.東京地判平22.3.30判時2087(私塾連携有料補習授業の目的外使用許可及び使用料免除を適法とする)
●JR西日本大阪国労バッチ事件 東京地判平24.10.31別冊中央労働時報1434中労委DB(国労バッチ着用を理由とする平成12年、13年の訓告と同年の夏季手当減額を不当労働行為とした大阪府労働委員会の救済命令につき、会社側は不服として中労委に再審査申し立てしたところ、初審命令を取り消したので、原告側が中労委の処分を取り消しを求めた事案で、東京地裁は本件組合バッジの取外しの注意.指導は,労働組合に対する団結権の否認ないし嫌悪の意図を決定的動機として行われたものであると認めることはできず,の不当労働行為に当たるということはできないとして、原告の請求を棄却)
●渋谷区行政財産目的外使用許可取消請求等事件 東京地判平25.6.11判例地方自治383号22頁(在日トルコ人子弟のための教育事業に対する、学校施設の一部の目的外使用許可及び使用料免除を適法とする)
●JR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件 東京地判平24.11.7労判1067(就業規則違反行為は約15年にもおよんで再三反復継続していたことからすれば業務に対する支障がない行為ではあるがそれに対する処分の加重性には合理的理由があり,さらに国労は昭和62年の会社発足以来組織的な組合活動としてバッジ着用行為を指示し,組織としても不当労働行為救済申立てを行うなどしてきたが,平成14年3月末以降は,組織として不当労働行為救済申立てを行うことはなくなり,平成18年11月には,バッジ事件を含む合計61件の不当労働行為救済申立事件を取り下げているのであって、平成15年7月以降は国労バッジ着用者が□□のみとなり,本件各処分の対象となった平成19年ころには,既にその組合活動としての色彩が後退し,個人的行為の側面が強く不当労働行為には当たらないとした。)●東京高判25.3.27別冊中央労働時報1445●最一小決平27.1.22別冊中央労働時報1478中労委DB。
△JR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京地判平25.3.28別冊中央労働時報1443
(救済命令取り消し訴訟、棄却。平成12年5月30日になされた四党合意について,国労は,平成13年1月27日,これを受諾し,さらに,平成14年3月末ころ,国労バッジ着用処分について,組織として救済申立てをしない方針に転換した。国労の上記方針の転換の時期と相前後する平成14年3月28日,原告は本件警告書の掲出を行い,国労バッジ着用行為に対し,従前行っていた1年度2回の訓告よりも処分を加重する旨を通告した。6名はその後の調査期間(平成14年4月から同年6月まで)経過後も国労バッジ着用行為を続けたため,これを止めるまで減給以上の処分を受けた。本件警告書掲出前にされていた処分と,掲出後にされた処分は,後者の方が格段に大きな経済的不利益をもたらすものと認められるが,この極端な厳罰化は,組合バッジ着用を継続する国労内少数派が組合活動を行うことを嫌悪していた会社が,組合執行部の方針転換を認識するに至り,これを機に,組合内少数派の組合活動を一掃しようとの意図に基づき行ったものであると推認することができることから,組合内少数派の勢力を減殺し,組合執行部の方針に加担したものと認められ,支配介入を構成し不当労働行為が成立するとした)。△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京高判平25.11.28別冊中央労働時報1455号△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 最一小決平27.1.22別冊中央労働時報1478中労委データベース。
●東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件.東京地判昭25.6.6労判1081◯東京高判平26.2.12労判1096◯最三小判平27.4.14決TKC(出勤記録の操作を部下に指示)
●枚方市組合事務所使用料徴収処分取消請求事件.大阪地判平28.3.28TKC
〇東京都立南大沢学園養護学校事件 東京地判平29.5.22判例地方自治439●東京高判平31.3.14労働判例ジャーナル88(「強制反対 日の丸 君が代」等と書かれたトレーナー着用等)●最一小判令元10.31TKC

(承前)
令和6年12月18日
  東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ
 東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎管理がなされており、抜本的是正を求める意見具申 その4
(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化したもの)
                           川西正彦
 東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。
(Ⅱ)新方針の策定・.4類型の違法行為に対し、職務命令(警告、中止.解散命令)、監視、便宜供与拒否の徹底 3
一 4類型の違法行為とは 3
(一)地公労法11条1項後段「唆し」「あおり」 3
(二)地公労法11条1項違反の同盟罷業 4
1 職員一般に対して違法行為として事前警告をやらず、本部中闘以外は懲戒処分としない方針を改める 4
2 スト当日の、職場集会の中止命令、職場復帰命令、就業命令、監視、現認検書等一切しない在り方の是正 5
(三)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理 6
(四)外形上犯罪要件該当行為 7
二 新方針の提案 具体的対応 9
(一)ストライキ対策本部を設置する 9
🔷非組合員全員対策本部入りの意義 9
(二) 組合中執のオルグ演説-中止命令 11
(三)中央執行委員候補者の就任演説-中止命令 12
(四)頭上報告-中止命令 12
(五)闘争指令下の昼休み集会-中止命令 12
(六)本庁・支所・合理化拠点の動員決起集会-中止・退去命令 14
(七)スト決行体制確立、闘争突入した時点で集会等便宜供与の禁止 14
(八)ビラ貼り-パトロールし現認制止する 15
(九)ビラ配り-闘争態勢に入った時点で許可制に 15
(十) 組合掲示板の公務秩序に反する掲示物の撤去-不適切なものは撤去 16
(十一)マグネットシートの貼付、赤旗の寄書き、煙突闘争等-ビラ貼りと同じ対応 16
(十二)春闘ワッペン、赤腕章-取り外し命令 17
(十三)所属長要請行動は拒否する 17
(十四)三六協定破棄闘争の対応-不可欠な業務と予め日程に組まれていて委託業者に影響のある業務は違法であっても業務命令する 18
1 当局は適法としているが昭和32年内閣法制局意見によれば争議行為である 19
2 労基法違反の時間外労働でも職務の執行は違法にならないとする先例 19
3 経常業務等の管理職対応はやめ業務命令する 20
(十五)スト待機-事務室利用拒否、建造物侵入罪で告訴も検討 20
(十六)ストライキ準備行為の禁止-撤去命令 21
(十七)ピケッティング-中止・解散命令 21
(十八)職員一般向けの「服務の示達」の慣行を廃止し、警告兼就業命令書の手交に改める 22
(十九)ストライキ当日の集会の中止・解散命令、職場復帰命令の徹底 23
(二〇) ストライキ時、営業所の必要業務の管理職対応は原則としてやめる 24
(二一)非組合員の出勤時限前の入庁を締め出し「事故欠勤」とする方針を廃止する 24
1 職員の就労する権利と法令遵守義務を否定する東京都の管理職の悪質さ 24
2 非組合員の就労する権利の否定は違法 25
3 組合の統制を受けないで就労する権利の否定は違法 26
4 地公労法11条2項違反の疑い 26
4 「勤務時間等規程」「処務規程」「事務処理要領」違反の強要は職権を逸脱で違法性が強いのでやめる 27
5 ストライキ時の非組合員の事故欠勤は不正会計で、違法性が強い 27
(十九)積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為は許容しない 27
(二十)昼当番拒否闘争の協力は拒否し就業命令する 28
(二十一)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理は拒否 28
(二十二)同盟罷業の懲戒処分の在り方を改める。 29
(二十三)庁内管理規程で禁止の保険勧誘行為が認められている問題 29
(二十四)組合の時間外労働規制に都合よく作られている水道局庁内管理規程の問題 31
(二十五)夏28度、冬20度の通達の温度設定は出先の庁舎では守られていない 31
(二十七)組合による目標管理制度の自己申告形骸化闘争に管理職が屈している問題 31
(二十八)営業所における勤務時間内浴室のシャワー利用の問題 32
🔶勤務時間中の洗身入浴の問題について(詳論) 33
1 洗身入浴時間は労働基準法32条の労働時間に該当しないと最高裁で確定しているのに勤務時間内洗身の有給入浴を認める東京都水道局 33
2 勤務時間中の洗身入浴は、指揮監督から離脱し債務不履行として賃金カットできるとする下級審 34
第Ⅲ部 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき.国会議員と知事、都議会議員へ要望 34
主な参照判例等 35
(Ⅱ)新方針の策定・.4類型の違法行為に対し、職務命令(警告、中止.解散命令)、監視、便宜供与拒否の徹底
 
東京都(水道局)は、次の4種類の違法行為を全面是認しているが方針を改める。
 都は組織的に、以下の4種類の違法行為を組合の正当業務でないのに、事実上正当業務是認し支援している。それは組合の論理に従った労務管理によるものであり、地公労法11争議行為禁止の保護法益である、住民の共同利益の否定であり、水道局長のコンプライアンス宣言に著しく反するものである。
 当局には労務管理につき広範な裁量権があり、違法行為を違法行為といわない。職務命令、就業命令や警告をしないことが違法でないからコンプライアンスに反しないというかもしれないが、現状は法令違反を自覚させないため、職員は積極的な業務妨害、犯罪要件該当行為も違法と思ってない、規律のある正常な業務運営ができていないことは是正されるべき。
一 4類型の違法行為とは
第Ⅰ部(Ⅱ)一15頁と同趣旨
(一)地公労法11条1項後段「唆し」「あおり」
 地方公営企業職員の争議行為が、労組法7条1号で保護される正当な行為でないことは、北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42-10-7等の先例が地公労法11条1項違反の争議行為に対する懲戒処分を是認したことにより明白であり、後段の「唆し」「あおり」について組合側のという限定解釈をとらないことは、地方公務員法の判例だが、日教組スト事件.最一小平成元.12.18刑集43-13-88、埼教組事件.最三小判平2.4.17刑集44-3-1の判旨より明白であり、オルグ演説や頭上報告等での指令の伝達、組合員の意思統一を図る「昼休み集会」、駐車場等での動員決起集会。ピケッティングの指導等が、「唆し」「あおり」に当たる違法行為であることは明白なのに、東京都の管理職は違法行為と全く認識していない。闘争シーズンに毎年恒常的に行われ是認されるものとなっている。後藤雄一都議の質問の対応として平成16年3月の東岡職員部長通知で頭上報告に対し賃金カットの「警告」を行うようになったが、これは演説者の職務専念義務違反に限定して警告するだけで、地公労法11条1項後段違反や他の職員の職務専念妨害のおそれは念頭におかれてない。
 国の官公庁、特に旧郵政であるが、全逓が業務規制闘争、ストを配置した時点で、地方郵政局が、各郵便局に、組合に対する便宜供与拒否の徹底を指示し、集会を強行する場合は中止.解散命令と監視を徹底しているが、東京都は国の省庁のような取り締まりをやらない在り方は、異様であり、是正する。
(二)地公労法11条1項違反の同盟罷業
1 職員一般に対して違法行為として事前警告をやらず、本部中闘以外は懲戒処分としない方針を改める
東京都水道局の同盟罷業の対応は、全水道東水労側の学説に大筋で従うものである。争議行為があっても職員個人の責任は生じないという、学説に大筋で従っている。
つまり東京都では職員一般に対し、事前警告せず「服務の示達」と称する慣行で、同盟罷業を違法行為と言わない訓示をすることになっている。
就業命令でもないので、ストに参加しても地方公務員法32条「‥‥法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」の適条による懲戒処分はやらないことを示唆するものとなっており、それは組合員もわかっているので、この訓示はインチキ、片八百長であるから是正する必要があるということである。
違法行為であるとして警告していることが明らかなのは組合執行委員長に対してだけであり、組合委員長向けと明確に区別して、職員一般に対しては「服務の示達」と称する事前警告とは全く違った対応をしていることが問題なのである。
水道局の争議行為対応はシンプルで、局長名で各部長宛てに服務規律の確保のため地公法30条の服務の基本方針を形式的に述べたA文書と、それを受けて職員部監察指導課が各庶務担当課長宛てに具体的な指示をするB文書を流し、各管理職は庶務担当課長の指示を受け、部下に対し以下のような訓示等を行うのが通例となっているが、文面は規定されておらず、「職員の皆様へ」という雛形か、A文書をなぞった文面とするのが通例である。
次の文面これは2024年11月8日付グループウェアによる「服務の示達」の通知であるが、以前はマイク放送が通例だったが、違法行為ということは絶対言わないことがお約束になっている訓示である。
 2024年12月13日グループウェアによる「服務の示達」
○○課長 
 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は12月18日(水)午後3時30分から都庁ふれあいモール3割動員決起集会を、12月20日(金)午前8時30分から早朝2時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。
 集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。
皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、都民の批判招くことのないように良識ある行動とられることをお願いします。
「職員の皆さんへ」(平成20年頃の例-現在もフォーマットは同じと考えられる・職員部監察指導課がスト前日に貼りだすよう指示しているが、近年はやらなくなっている)
                                                       東京都水道局長
皆さんは、都民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を行う立場にあります。とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待にこたえるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。
とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待はさらに高まりつつあり、この期待に応えるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。
ところで、全水道東京水道労働組合は、明日3月18日に始業時から2時間のストライキを予定している模様です。
皆さんが一斉に職場を離れることは、都民の生活に大きな影響を与えるばかりでなく、都政に対する信頼を都政に対する信頼を裏切ることになります。
皆さんが、公務員の本分を十分にわきまえ、都民の批判を招くことのないように良識のある行動をとられることを求めます
なお、支部.分会役員にはB文書でスト中止の申し入れをすることになっているが、現場を見たことは一度もなく、文言や口頭でよいのか警告書を交付するのか形式も規定していないので警告はしていないとみられる。B文書では違法行為との文言のない訓示である「職員の皆様へ」をスト配置前日ら掲示することになっているが杉並営業所では行われていない。
職員一般に事前警告をしていないことは以下のプレス発表でも明らかで当局は隠蔽すらしていない。違法であっても責任を負うのは組合だけという組合側の主張どおり、組合中央には警告するが、それ以外警告しないという体制である。 
令和5年12月19日付【東京都水道局プレス発表】
12月20日(金)の労働組合ストライキについて
1 組合の行動態様
(略)
2 当局の措置
1)組合に対する警告
2)職員に対する服務規律確保の周知
3)管理職員による事務事業の支障の防止
国の省庁では職員すべてに違法行為なので必要な措置をとる旨事前警告する。また地方自治体等では就業命令を事前に交付するケースもある。
これは、組合側の主張では、懲戒処分が個別職務秩序違反者に対する制裁で、集団的組織的行動である争議行為にはなじまない。争議行為が違法であるとしても組合の統一的意思のもとに組織されていることから、集団的性格を有するという事実に変わりはなく、個々の組合員の行為は独立した行為として個人の責任を追及できないという学説に大筋従った方針であり、当局のメンツを維持するため、組合の機関責任を問うと言う形で本部中央闘争委員会のメンバー3~4名を停職処分としているが、それ以外のスト指導者である本部役員、支部.分会役員は懲戒処分の対象せず、組合活動で不利益賦課させないという組合の方針を呑んでいるためである。
但し平成22年、26年、令和元年の1時間ストライキは、支部長を訓告としているがこれは懲戒処分ではない。
官公庁の近年の懲戒処分の事例では、平成3年11月13日の国立病院の最大27分勤務時間に食い込む集会(11年ぶりの争議行為)があるが、本部役員と地方協議会専従者(26名)支部長(147名)を戒告、支部副支部長及び書記長(399名)に対しては文書訓告、単純参加者(2518名)は厳重注意(全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840)。としている在り方と比較すると、昭和56年の同様の争議行為で支部三役が訓告にとどまっていたのに対し、平成3年は支部長が戒告となっている。
また北教組の平成20年1月30日終業時1時間同盟罷業につき、道教委は30分以上の職務離脱者12,551名に対し一律戒告処分。札幌市教委は 支部長に対し減給2月、 副支部長、書記長、書記次長ら5名に対し各減給1月、 その他の支部専従役員に対し戒告、 授業を欠務したストライキ参加組合員190名に対し戒告、 その他のストライキ参加組合員1,698名に対し文書訓告であり(北海道労委事件・最二小判決平28.6.17(中労委データベース参照)、東京都が組合中央の機関責任だけを問う、指令に従って組織の方針に従って違法行為をしている組合役員以下は懲戒処分にしないという方針は明らかに抑止効果のない処分であり、指令に従っている大多数の組合員を免責している点で、指導的判例である全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集32-5-1030「争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえない」との判旨に反し不当であるので是正する必要がある。
ちなみに、平成3年の国立病院の勤務時間に約29分以内食い込む方針で職場大会を開催したケース、西多賀病院(仙台市)では「同病院長名義の西多賀支部支部長あての『貴支部は11月13日に勤務時間内職場大会を計画している模様であるが、国家公務員はいかなる場合においても争議行為を行うことは許されず、このような違法行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならないこととされている。当局は、貴支部が違法な争議行為を行った場合には、厳正な措置をとらざるを得ないので、違法行為が行われないよう貴支部の自重を強く要望する。」旨の警告書を用意して、庶務課長及び会計課長両名が、同月8日、西多賀支部副支部長に同警告書を交付しようとしたが、同人は右警告書の受領を拒否した。
西多賀病院は、12日、同病院長名義の職員あての「全医労西多賀支部の時間内職場大会について」と題する書面において、「伝えられるところによれば、全医労西多賀支部は来る11月13日早朝時間内職場大会を計画している模様であります。すでに承知のとおり、勤務時間内職場大会は国家公務員法で禁止された争議行為でありますから、このような違法行為には、絶対に参加しないようにして下さい。もしこれに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえないので、皆さんの良識ある行動を望んでやみません。」と記載し、この書面を、西多賀病院内の四か所の掲示板に掲出して、職員に対し、違法な時間内職場大会への参加を辞めるよう警告を発した。(全日本国立医療労組事件.東京地判平11.4.15判時1724)とあり、必ず争議行為は違法だから警告する文言だが、争議行為=違法は、東京都では職員一般に対しては口が腐っても言ってはいけないタブーとなっているが、各事業所の組合役員が違法争議行為を指導しても責任は問われないシステムはコンプライアンスに著しく反することを臆面もなくやり続けている。
2 スト当日の、職場集会の中止命令、職場復帰命令、就業命令、監視、現認検書等一切しない在り方の是正
 
 国の省庁はストライキ当日の職場復帰命令、就業命令を非常に重視していることは、マイクだけでなく、プラカード、懸垂幕など小道具も使って、必ずやっていることからに明らかである。庁舎構内だけでなく、郵政や林野庁のように、庁舎外の会場で集会がなされる場合も、監視、就業命令をしているのである。
 ところが、東京都(水道局)次の3点の理由で組合側の論理を受け容れ、組織的に就業命令をやらない主義になっていると考えている。カッコ内に示す通り最高裁が明示的に否定している。
 A 闘争期間に管理者が業務命令することは労働基本権の趣旨に反し不当、あるいはストライキに突入した場合もはや上司の指揮.支配から離脱しているので業務命令できない。
(神戸税関事件.最三小判52.2.20民集31-7-1101が否定)
B 業務命令は団結破壊.組合敵視で認められない、
(そもそも違法争議行為の決議.指令に内部統制権はない。国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-163.横浜中郵事件.戻後控訴審東京高判.昭47.10.20判時689等が否定)
C争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうとして、非組合員や脱落組合員に業務命令して操業してはならない。私企業のユニオンショップと同様の対応を組合が主張。ただし管理職対応の業務は認める。
(最高裁は私企業において争議行為時に、非組合員、スト反対派組合員、第二組合、臨時雇用者に業務命令して操業を維持することは認められているし、山陽電気軌道事件.最二小決昭53.11.15 刑集32-8-18はバス事業者において、私鉄総連系組合のストに反対する第二組合員の就労によるストライキ対抗措置としての操業行為は、完全に法的保護の対象となり、組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置を理由として業務性を失うことはない旨説示しており、操業権は肯定されている。加えて地公労法11条2項でロックアウトできないので、非組合員はもちろん組合員であれ、ストの勧誘を受忍する義務はなく就業の権利と義務があり、むしろ非組合員に業務命令せず、ピケットラインを越えないよう管理職側から指図していることは違法性が強いというべき)
 組織的にというのは、監察指導課のB文書に就業命令は指示されていないので当局の方針である。集会場所と参加者数の報告は義務付けているが、ストに指導している役員や率先助勢者、具体的には集会の演説者、ピケッティングの指導.実践等の現認検書の上申も指示されていない。
 上級部署の指示に忠実に従うのがコンプライアンスなので現場の管理職は何もやらない。違法行為是認して黒いものを白にすることこそ、コンプライアンスという東京都の職場風土なので腐っているといわざるをえない。就業命令をやらないということは、違法行為を自覚させず、抑止せず、放置することで、管理職の債務の本旨を履行していない状況といえる。それは懲戒処分しない前提ともいえるが、当局には広範な裁量権があって、やらせもありだと、違法行為を抑止しないことが労務管理の在り方として違法ではないと都は主張するかもしれないが、苦しい抗弁になると思う。
 当局は地公法32条適条の懲戒処分の前提にもなりうる職務命令は力関係で組合に逆らうことになり、円滑な労使関係が期待でないので絶対できない。信頼関係も重要だというかもしれないけど、私は要求を譲歩してこのさい処分しなくていいから、就業命令だけはやって王手をかけてくださいと言いたい。違法争議行為に服務規律確保といいながら就業命令しないというのは譬えていうなら「王手をかけない詰将棋」か八百長ゲームに等しいのであって、労務指揮権、職務命令する権限が発動できないというのは、正常な業務運営でなく、それ自体が違法状態であり、争議行為禁止の保護法益である住民の共同利益の侵害と断定できるので、是正されてしかるべきである。
(三)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理
 平成26年1月24日ストが打たれ、決裂した後、組合は中野営業所監理団体業務移転阻止闘争のオルグ活動に入り、退職派遣制度(一時出向して戻る)を希望させない。人事課による出向派遣の説明会には出席させないことを組合員に徹底させたうえ、当局を交渉にひきずりこむという戦略の闘争だが、2月5日には○○本部委員がオルグ演説し、当日の人事課の説明会の入場を阻止するピケを張った。一方で、○○分会書記長が、移転業務の一つである固定資産、備品リストの照合業務のため来所したところ、サービス推進部業務課担当者を追い返し、業務妨害をしたこと。
課長補佐に対し○○は、移転業務に協力するとあなたの立場は悪くなりますよと脅しのようなことを言っていた。
さらに○○は所長の○○に対し移転関連業務の業務命令をしないよう強要したことである。
移転関連業務が進捗しないから、4月移転は無理ということになり、組合の主張がとおって7月移転に延期したのである。
所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。
事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応と業務命令するしかないはず。
組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。しかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。
本庁業務課では管理職が業務命令できると思っているのかもしれないが、それが通用するのは本庁部局内部のみと思われる。出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権.施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。
以上述べた○○本部委員や○○分会書記長の行為は、地公労法11条1項違反行為であるが、職員部当局は全く問題視していない。1月24日のストは処分を終えており、争議行為は終わったものと認識しているのが大間違いである。本部中闘指令の同盟罷業と動員集会等というスケジュール闘争だけ争議行為と認識し、特定拠点の争議行為は放置するのが職員部当局である。
こうなってしまうのは、スケジュール化された争議行為でいっさい職務命令をやらない慣行がきいているのである。日頃から違法行為の抑止、職務命令という国の官庁ではあたりまえのことをやってないので、交渉決裂後の業務命令のような修羅場の状況でも組合のいいなりになってしまう。組合によって労務指揮権を凍結されられる状態は、正常な業務運営でないから地公労法11条1項違反で悪質な違法行為である。本部中闘以外懲戒処分にしない方針から、本部委員や分会役員はなにをやっても責任は問われないという職場の慣行というものが、非常に大きな悪影響を及ぼしている。
(四)外形上犯罪要件該当行為
地方公営企業において単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も違法行為であるが、全水道東水労のストは争議権のある私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質であり、当局はそれを許容し犯罪を助長している。
全水道東水労の直近の同盟罷業は令和元年12月20日の1時間ストライキである。新宿営業所で、スト集会は、営業所分会と給水課分会が合同して40名程度で始業時から9時30分近くまで実施され、営業内検針担当エリアに、組合旗を掲出、ビラを貼り、約40名が占拠し座り込む形でなされ、支部組合役員の○○、○○、○○と給水課一名が、司会、交渉経過報告等の演説、決議文朗読、頑張ろう三唱の音頭取りなどを行った。
執務室で働く場所を多数占拠していて、就労を物理的に妨害しているのは非常に悪質。検針担当のエリアだが、非組合員もいるはずで、業務妨害とみなしてよい。
新宿営業所長の○○はスト参加の組合員に対し、中止.解散.退去.就労命令はいっさい行っていない。
また○○は、紙で塞いだICカードリーダ前に立ち、非組合員に出勤記録を入力しないようピケを張り、私を所内から出るよう指図して、違法行為を強度に慫慂したが、これらの地公労法11条1項違反行為、外形上威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為(シットダウンストライキの態様に近く、刑事免責がないので当局が職場占拠を容認しなければ犯罪は成立する-指導判例である名古屋中郵事件最大判昭52.5.4の判断枠組み参照)に対して、いっさい中止.退去命令、就労命令等を行っていない。
ちなみに、ストで指導的な役割を果たした○○は翌年3月に主任に昇進した。
非常に深刻な問題として、東京都では職員一般に争議行為が違法行為と警告もしないので、水道局職員は争議行為の限界を知らないので、業務遂行を妨害することを平の組合員まで率先しておこなっている
座り込みストライキというのは、大恐慌の1937年にアメリカで流行った悪質な態様です。ウォークアウト(単純不作為の職務離脱)と違って、私企業でも正当な行為ではありません。
執務場所を占拠するのはマスピケに類似していますが、外形的には威力業務妨害罪の構成要件該当行為に当たります。
最高裁先例によれば、争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする(●朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6-9-27、●羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12-8-16)。プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである。組合は業務阻害権があると主張するかもしれないがそれに従う理由はない。
要するに新宿営業所は積極的な業務妨害をやっているので悪質です。スト当日の集会場所は、監察指導課に報告することになっており、同様の態様の事業所もあるはず。当局は把握しているはずなので、積極的業務妨害は組織的に容認されているといってよい。
職場占拠や座り込みについて、例えば国鉄が業務命令した指導機関士の乗務を阻止するため、機関車運転室に乗り込み占拠しマスピケを指導した事案につき●動労糸崎駅事件 広島高判昭48.8.30判タ300号363頁  (上告審最一小決昭51.4.1棄却)では
「国鉄当局の適法な業務命令を受けてこれに服従し、就労の意思を以て出務している者の場合においては叙上受忍義務のないことは一層明白であるから、同人に本件職場集会への参加を勧誘、説得するに当つては、その時期、場所、手段、影響等において尚更厳しい制約を受け、団結による示威の程度を超えた物理的な力を以て同人の就労を妨害したり、そのため国鉄の施設や車両を占拠する等して国鉄の正常な列車運行業務を妨害することは、その目的の是非に拘らず許されない」として威力業務妨害罪の成立を認めた。
新聞社の争議に際して、組合が行なった工務局作業場の占拠が、説得の範囲をこえた違法なものと認められた●東京新聞争議事件.東京地判昭44.10.18労民20-5-1346は企業施設の重要な部分で滞留による業務運営の阻止行為が行なわれた場合において、使用者側が労働者側の説得をきき入れず、あくまでも業務を遂行させるように要求しているにかかわらず、依然として滞留を続け、使用者側が業務を遂行するためには、滞留者を実力をもって排除する以外に方法がないような情況にたち至ったときには、右滞留はもはや説得の範囲をこえて業務運営を阻害しているものというべきであり、違法たるを免れないと判示ししている。
また業務用機器が隠匿されていたので仕事がでませんでした。スト修了後、○○課長代理がスト終了後に配っていたので隠匿になんらかな形でかかわっている。○○は、目標管理制度の自己申告の際、新人職員に数値目標を書くなと、それをやるとまずいことになるよと強要していて、組合の主張と同じなので、業務妨害の率先助勢者である可能性があります。○○さんは知っている可能性がある。また、○○は、ストを指導する組合役員なので、関与している可能性がある。
座り込み占拠も機器の隠匿も業務妨害罪の違法性が強く推定されます。ただ3年以上過ぎたので時効です。
会社の管理する生産手段等財産等を組合の支配下において積極的な業務妨害をすることが正当な争議行為ではないことは、以下の判例で明らかです。
●さつきタクシー事件.最二小判昭和45.12.17判タ257はタクシー会社の労働争議において組合側が会社のタクシーの車検およびキーを抑留保管しあるいはタクシーの車輪を取りはずすなどする行為の正当性が争われ、組合員の多数の者が暴力によって会社のタクシーの車検およびキーを奪取し、あるいは多衆共同してその車輪を取りはずすなどする行為、ならびに会社社長の返還要求にもかかわらず、人の意思を制圧する勢力を示して、非組合員の乗務する車両を含め会社のタクシーの車検およびキーの返還を拒絶し組合側において抑留保管する行為は、正当な争議行為の範囲を超えるものであつて、威力業務妨害罪および暴力行為等処罰に関する法律違反の罪を構成するとした。
バス車両確保の争奪戦となった●山陽電気軌道(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15が威力業務妨害罪の成立を認めていることで明白なことです。
本件はストライキに対抗する性格を有するストライキ中の操業が法的に保護されるか否かが直接の争点となり、ストライキ中の操業が法的に保護されること。組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置であるという理由で業務性を失うことはないことを明らかにした決定的な意義のある裁判例である。先例として、上記の三判例(朝日新聞西部本社事件、羽幌炭礦事件、進駐軍横浜事件)を引用したうえ、違法性阻却判断基準として久留米駅事件方式をとり、建造物侵入罪、威力業務妨害罪、傷害罪の成立を認めた原判決を認容する決定である。
事案は昭和36年春闘に際し団体交渉が難航し、私鉄中国地方山陽電軌支部組合(約500名)のストライキが必至の情勢になったところから、会社側は第二組合員(山陽電軌労働組合約800名)によるバス運行を図り、予め車両の分散をはじめ、支部組合がストライキに入った日以降は、第三者の管理する建物等を選び、営業の終わった貸し切り車等から順次回送する方法で数カ所に車両を分散し、保全管理していたところ、(1)支部組合員Aらは多数の威力を示して会社が取引先の甲整備工場に、またDらは系列下の乙自動車学校に預託中のバスをそれぞれ多数の組合員ととも搬出しようとして建造物に立ち入った。建造物侵入罪、共同正犯(130条60条)。(2)支部組合員らBは、組合員多数による威力を用いて会社が運行させていたバスを停車させ、運転手を強いて立ち退かせそのバスを確保した。威力業務妨害罪、共同正犯(234条233条60条)。棄却。[中村秀次2010「刑法総論に関する裁判例資料-違法性及び違法性阻却-」『熊本ロージャーナル』4号126頁]
決旨は「使用者は、労働者側がストライキを行っている期間中であっても、操業を継続することができることは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(略)。使用者は、労働者側の正当な争議行為によって業務の正常な運営が阻害されることは受忍しなければならないが、ストライキ中であっても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができると解すべきであり、このように解しても所論の指摘する労使対等の原則に違背するものではない。(中略)
ストライキに際し、使用者の継続しようとする操業を阻止するために行われた行為が犯罪構成要件に該当する場合において、その刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、当該行為の動機目的、態様、周囲の客観的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない(略)。
‥‥本件の車両確保行為は、いずれも相手方の納得を前提とすることなく一方的に、営業運転中、回送中又は会社駐車場に駐車中の会社バスを奪って支部組合側の支配下に置いたものであって、旅客運送業を営む会社にとり最も重要な生産手段に対する会社の支配管理権を侵害するもの‥‥諸般の事情並びに所論の指摘する交通産業における特殊性をすべて考慮に入れ,法秩序全体の見地から考察するとき、本件車両確保行為は到底許容されるべきものとは認められない。 そうすると、威力業務妨害罪又は住居侵入罪に該当する本件車両確保行為には刑法上の違法性に欠けるところはない。」
したがってストライキ時に非組合員やストに反対の組合員を使って操業することは許されないという法解釈は間違いである。争議行為の刑民免責のある私企業でも正当とされる使用者の権利が公営企業で否定されることはありえないのに東京都は否定し組合のいいなりになっているのである。
○○○○は組合員だが課長代理という職制でもあり、職制が業務妨害に関与している点で深刻な問題である。隠匿したと考えられる機器は機密性のあるもので、これがないと業務遂行は不能になる。公務員の職場でも機密性のある文書を組合の支配下に置くことは悪質と考えられている。
●四国財務局(全財務四国地本勤評闘争)事件・最三小判昭52.12.20民集31巻72号1225頁は、組合執行委員会で勤務状況報告書を組合で保管することを決定し、在庁執行委員は手分けして第一次評定者(係長)の席をまわって、説得して収集したが、Xは他の役員数名とともに四人をまわり説得したが、その際経理係長が経理課長に提出しようとした報告を引っ張り合い、同課長の制止を妨害して、収集した。組合の保管は約1日程度で、その他の懲戒事由も加わっているが、職制が保管すべき機密文書を組合が一時的にせよ確保した行為は悪質と判断され、懲戒免職を適法としている。
地公労法11条1項違反者は、12条により解雇できるが、罰則規定はない。しかし地方公営企業の争議行為に刑事免責はなく、争議行為及びそれに付随する行為は全逓名古屋中郵事件最大判最大判昭52.5.4刑集31-3-18の判断枠組に適用されるはずで、業務妨害罪、建造物侵入罪等は比較的容易に成立すると考える。
当局は管理意思を明確に示すことがないので、業務阻害を認め、組合オルグ等の外来者の侵入やストライキ待機のセキュリティ破りを許容し、犯罪が成立しないようにしている。犯罪の協力が管理職と任務となっているのは本末転倒している。東京都は犯罪に協力しているのである。
私は深夜.未明に出入りするセキュリティ破りのスト待機を建造物侵入とみなすが、これは、私は西部支所管内の事例を知っているが、どこでもやっていることです。
刑事の名古屋中郵判決の判断枠組は以下のとおりで(香城敏麿、国労松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集32-2-159判解.公労法17条1項と地公労法11条1項は別異に解釈する必要はない)
(イ)公労法17条1項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法1条2項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法17条1項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法17条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
少なくとも外形的には新宿営業所の職場占拠と、業務機器の隠匿は(イ)業務妨害罪、オルグやピケッティング目的の無許可侵入、スト待機の深夜の無許可庁舎侵入は(ハ)建造物侵入罪の犯罪構成要件該当行為に当たり、退去命令をすれば不退去罪、組合側は当局が業務阻害を容認しているから犯罪にならないと主張するだろうが、この判断枠組みは、違法行為目的の建造物侵入は違法性が強く推定されるというものである。仮に犯罪が成立しなくてもコンプライアンスは反すると糾弾されてもやむをえないものといえる。
二 新方針の提案 具体的対応
(一)ストライキ対策本部を設置する
従来の組合側の論理により業務命令権(労務指揮権)、施設管理権が掣肘されていた労務管理をあらため、正常な業務運営の確保を第一義とした労務管理に改めるべきである。
このため組織をあげて違法行為の中止.解散命令、就業命令の徹底、スト指導者等の現認検書の上申の義務づけなど違法行為の抑止のために取締を行う。ストライキ対策本部を設置し、管理職だけでなく一般の非組合員全員を召集する。
スト対策本部は局長級を本部長とし、26カ所の組合支部に対応して現地対策本部をおく、管理職+非組合員全員を召集し、時間制限のない職務として権限を付与する。非組合員の職務は闘争期間における事業所施設構内の警戒、組合員の行動の監視、違法行為の阻止、排除、また管理職とチームを組んで実況検分、監視、録音、写真撮影を補助する。
 非組合員といっても監察指導課などを別として、大多数の非組合員は、通常の業務を行いつつ、適宜スト対策本部の職務を行うものとするが、権限を与えただけで対策本部の仕事をせずともよいものとする。
新しい労務管理なので、管理職側の訓練が必要と思われる。
営業所におけるスト決行時の来客や電話対応などの不可欠な業務は、管理職が対応するのではなく、非組合員やスト反対派組合員に業務命令して行わせることを原則とする。スト対策本部の主な任務は次のとおりとする。
非組合員の任務は、闘争期間の組合活動の取締、特に演説あおり、オルグあおり、違法行為を慫慂する集会の取締り、鉢巻、赤腕章など着用の取締、ピケッティング、ビラ貼り、工作物、組合旗の掲出などへの対応。ストライキ当日の監視、写真撮影。録音等、職務命令をする管理職の補助等である。
 予算措置としては、最低限、就業命令を記載したプラカードの作製、写真機、ボイスレコーダー等の監視のための小道具は必要だろう。
 従来やっていない職務命令と事前警告をするので反発する組合員の抗議活動で職場が荒れることは想定してよい。水道局長は殴られてもいいから債務の本旨を履行せよ喝を入れてください。もちろん殴ってくる組合員に対して殴られ損にならぬよう、監視体制も万全なものとして、荒れる職場対策として特別査察チームの編成も必要だろう。旧郵政省でと「トラック部隊」と称され、臨機応変に荒れる職場に配置する。
 そんな面倒なことはやりたくないというかもしれないが、違法行為の助長協力をやっていたことから都民の信頼を回復するためには必要なことである。
 警備員の臨時雇用は考えていないので、人が足りないなら、オリパラ対応やコロナウイルスの保健所支援のようにオール都庁で動員し、争議行為対策をするものとするというのが私の提案である。したがって12月から即実施は困難かもしれないが、できるだけのことはやってもらいたい。
🔷非組合員全員対策本部入りの意義
 非組員全員召集は三六協定破棄闘争対策である。ストライキ時の就業命令をさせないという組合の掣肘を受けていることの打破が最大の目的である。
東京都水道局は長年の慣行として争議行為に関して就業命令をいっさいしない。組合側の論理は、ストライキは労務指揮権から離脱する行為なので、業務命令はできない。職務命令は組合敵視、団結破壊という主張に全面的に屈服しているからである。
しかし神戸税関事件.最三小判52.12.20が争議行為中であることを理由として、上司の命令に従う義務(国公法98条1項)は免れないと説示し就業命令が適法であることは確定したので、ストライキ時に就業命令を徹底している国の争議対応実務が是認されている。
また、国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28、全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)、 動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)等多数の判例により公労法17条1項違反の争議行為の内部統制権は否定されており、スト決議.指令に法的拘束力はない。スト参加の勧誘.説得を受忍する義務などない。地公労法11条1項違反を別異に解釈する理由はないので、就業命令によりスト参加者を切り崩すことは団結破壊には当たらない。
従って、ストライキ当日就業命令ができるし、管理意思を示すため絶対必要なことである。ところが、組合はスト予定日の前日の退庁時間から、当日は必ず三六協定を破棄することになっており、組合側は就業時限前に管理職の労務指揮権は消滅しているので、職務命令はできないとの解釈により、職制を麻痺させる闘争を行う。
 組合側は、三六協定破棄により、午前8時30分以前の業務はいっさいできないとし。これにより非組合員は服務上の基本的な義務である、カードリーダによる出勤記録をする義務も許されず、したがって非組合員は、三六協定破棄によりピケットラインを越えられないという、奇妙な論理をふりかざして就労阻止をする。管理職もこの見解には従い、職制の労務指揮権や就業カードリーダ力により否定されることを甘んじて受け入れいる状況がある。
 平成11年以前在籍していた江東営業所で組合役員は、三六協定破棄により、管理職の労務指揮権は時間外においては消滅し、業務命令は犯罪なので、スト当日に出勤時限前に登庁し、できない出勤簿を押すことが許されない。よってピケットラインを越えてはならない趣旨を言っていた。ようするに、三六協定破棄によって就業規則の服務の基本的義務であるICカードリーダにIDカードをタッチするか、職員番号をテンキーで入力する出勤入力(出勤簿に相当)はやってはならない異様な理屈をふりかざし、管理職もそうした屁理屈をのみ、業務命令を放棄することがコンプライアンスだと思っていて、こうした組合側の論理で非組合員やストに反対の職員を締め出し、就労の権利を侵害している。
 しかし最高裁は、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている。組合のいう労基法により労務指揮権が消滅するということないのであって、労基法上違法であっても違法を承知で職務命令ができると考えられる。
以下の判例が、三六協定未締結での業務命令により職務執行職員に対する業務妨害等を有罪としており、三六協定未締結で春闘対策本部の非現業職員がビラ剥がし中、動員された全電通組合員に殴られた事案につき、①仙台駅ビラ剥がし事件(春闘仙台駅)事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115が公務執行妨害罪を認め、三六協定未締結で当局が拠点スト対策として指導機関士を召集、出務しない機関士の代務としての業務命令しその運転室乗務をマスピケで実力阻止した事案につき②動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)を久留米駅事件方式で威力業務業務妨害罪の成立を認め、三六協定未締結で全逓組合やアルバイトに業務命令した臨時小包便運搬の業務妨害につき③全逓名古屋中郵第二事件.最二小判昭53.3.3刑集32-2-97は威力業務妨害罪の成立を認めている。
但し、三六協定の法的性質について理論的説示があるのは①だけであり、②は一審で争点になった労基法違反の業務命令は問題にせず、久留米駅事件方式の「法秩序全体の見地」かマスピケを有罪。③も一審、二審で争点になっていた労基法違反の業務命令は問題にせず名古屋中郵事件方式により業務妨害を有罪と判断している。
 国労.動労.全逓による三六協定未締結闘争の法的評価は以上の判例で判然としないことが多いが、未締結で職務命令それ自体が違法無効、労務指揮権が消滅するという解釈はとっていないわけである。
ここでは①の判例法理に依拠して、非組合員のストライキ対策本部の任務を与えるという提案する。
当然組合は反発するだろうが、更新期限を年度末として一年間有効な、三六協定を途中、争議行為目的で一方的に破棄するのは信義則に反し、職制に経常業務を押し付けるなど悪質な職制麻痺闘争をやっているわけで、加えてストライキ正当化の道具としている。
現状は正常な業務運営ではなく、保安要員として浄水場など水供給に不可欠な部署は通常勤務としているとはいえ、保安要員を置くこと自体正常ではなく、ライフラインを預かる企業としても弊害が大きい。三六協定を非組合員の就労の権利と義務を否定するのに利用しているあり方が、きわめて悪質なので対策が必要なのでこの提案をするものである。
①は労働者の過半を組織する国労・動労と三六協定未締結で春闘対策本部に召集された仙台鉄道管理局総務部労務課の組合員Iが労働基準法32条に反し1日8時間以上就労の時間帯に列車車体鋼板のビラ剥がし作業をしていたしころ、動員組合員らに半円状に取り囲まれ激しい抗議を受けたが、ビラ剥がしを続行したため、Iに対し全電通組合員が手拳で顔面を強打し全治六日の傷害を負わせた事件につき、一審は傷害罪.公務執行妨害罪ともに有罪、控訴審仙台高裁は、職員Iは午前6時より勤務に就き、本件暴行のあった午後2時40分労基法の8時間を超えているので、職務執行の具体的権限を欠き適法性を有さない業務として公務執行妨害罪は無罪、傷害罪は有罪とした。上告審は、公務執行妨害罪を無罪とした原判決を破棄自判した。
「Iに発せられた本件職務命令は、昭和三九年四月一五日午前六時から仙台駅構内において組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のものであつたというのであり、これによれば、右命令が同人に対し、前記の職務に従事すべき労働関係上の義務を課するものであるとともに、その反面、右職務を執行する権限をも付与する性質のものであることが明らかである」
「労働基準法三二条一項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥本件職務命令に右強行規定の違反があつたとしても‥‥就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない‥‥労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げない‥‥」と説示する。
 柴田孝夫調査官判解は「労働者に一定の職務の処理する権限を与える行為と、一定の職務に従事させる義務を負わせる行為は、本来は別個の行動として各別に行うことができるのであり、本件判決は、本件職務命令の内容を性質において二分し、労基法三二条一項違反の意味をそれぞれに分けて検討する方法をとった。これによれば、労働を義務付けるものではない、権限を与えるだけの使用者の行為は、権限を行使しうる時間を限っていようといまいと、これを違法無効とすべき積極的な理由は労基法三二条一項からはでてこない」と解説する。
三六協定未締結で労基法違反の労働が刑法上保護に値せず、超過勤務手当請求もないと二審の結論を批判し、労基法違反の時間帯に商事会社の社員が顧客と契約した場合、代理権の範囲外で会社に効果が帰属しないということにはならないと言う。労基法違反であっても職務の執行それ自体が違法にはならないとしている。
労基法は悪法でも労働者を保護する立法という建前であるが、逆に第3者から就労権の妨害、労働者を貶めることに利用することは法意に反しており、争議行為に利用されることが立法趣旨ではない。
 以上のことから職務命令にはあらかじめ時間の制限のない業務命令があってよいのであり、労基法が違法.無効とできないことが確認できる。
ということは、春闘仙台駅事件で支援する全電通組合員に殴られた職員Iと同じように、組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等を非組合員全員に付与するならば、三六協定未締結でも仙台駅事件と同じようにその時間外の業務は正当となるから、通常通り、出勤時限前に登庁し、カードリーダで出勤入力してよいことを意味し、ストライキ参加をそそのかすピケッティングは違法行為であり、管理職は出勤時限前に登庁し、非組合員に就業命令し、ストに参加しない人員を確保できる。組合は、ストライキに対抗して、非組合員や組合員に業務命令し、争議行為中の操業が許されてはなにないし、当局にその権限はないという論理だが、最高裁判例で否定されているし、地公労法11条2項で事業所の閉鎖はできないので、職員を締め出すことはできないと考える。
要するに組合の主張は、
8時30分以前は三六協定未締結により業務命令は許されない。
 労務指揮権は凍結されているから、非組合員が8時30分の出勤時限前に入庁はできない
 よって就労は認められないので、ピケットラインは超えてはいけないという主張はそもそも間違いだが、最高裁が労基法で違法無効とできないと明言した、組合員の行動の監視等の職務権限を不与されたことにより、出勤時限前の登庁ができないと言う主張を切り崩すことができ、組合の拠ってたつ論理は崩壊する。要するに業務命令するための対策である。
 もちろん召集職員は対策本部の職務をやってもらいたいが、仙台駅判決が「就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響」としている点をふまえ、三六協定未締結時は職務を拘束的には義務づけず、できる人がやるという態勢になる。ただし、就業命令は掣肘されず、就業命令により通常どおり、出勤しカードリーダも入力させる。服務規律上当然のことはやっていただくということになる。
 就業命令の徹底が最大の目的ということになる。(第Ⅰ部(Ⅵ)各論三(六)108頁)
 
(二) 組合中執のオルグ演説-中止命令
従来、許諾している執務室内勤務時間中になされる組合中執のオルグ演説は、不許可、中止.退去命令する。現認・監視対象とする。
 (スト批准投票の呼び掛け、闘争課題の説明、闘争戦術の説明、ストライキの日程などの演説)
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
 犯罪 建造物侵入罪、退去命令に従わない場合の不退去罪の犯罪構成要件該当行為
 処分 実際にストが実行された場合、懲戒処分事由とする。監視対象。オルグ演説で中執を紹介し、挨拶や闘争の日程を示す支部.分会役員も同じ。抗議で暴言、暴行を働いた場合は量定を過重。
令和4年の例(スト批准投票の前)
10月25日朝 8時33から43分 所長が支部役員の〇〇と朝長い話、そのあと中執の〇〇が到着。8時33分よりオルグ演説、11月1日スト権一票投票で、まず人事委員会勧告はコロナ渦と物価高で不当だ。都労連闘争の課題を説明、局内闘争については、砧浄水場と長澤浄水場の業務移転、夜間待機が7か所から2か所にして緊急隊の業務とするのは無茶苦茶で容認できない。また営業所の業務移転も提案される可能性がある。局は全営業所移転を計画しており、警戒が必要、株式会社東京水道の社員は入って2~3年の若い人が多く、業務がハードで心を病んでいる人、突然仕事を放棄する人がいる状態でとても円滑な移行はできない。最後にスト権投票は高率の批准をとぶちあげて43分に終了、そのあと〇〇が、棄権が絶対ないように、不在者投票の受付など告知。
令和5年の例(闘争期間中)
11月28日 午前8時30~44分、支部役員の○○と中執の国谷が所長に挨拶、○○がそこでやると指差し、所長は許諾。司会の○○が中執の国谷を紹介し、13分間演説。局内闘争の課題、墨田荒川営業所の業務移転に伴う定員削減と、他の営業所の派遣割合の削減、目黒営業所の過員を暫定とするなどの重要な闘争になると説明、さらに中野営業所の病欠者が多い問題をとりあげ、徴収サイクルの見直しによる業務繁忙の改善に不満があり12月1日の拡大窓口では交渉打ち切りも辞さずとい意気込みで臨むなどとし、21日にストを構え、8日の支所集会、19日のふれあいモールでの勤務時間内3割動員決起集会と闘争日程を述べ、19日より3日間の三六協定破棄闘争は、局に24時間態勢で業務を行うのに組合の協力がいかに必要かを自覚させるためのものと争議行為意思を表明。闘争への協力をよびかけ。最後に○○が12月5日の昼休み集会と、19日の賃金カットの動員決起集会の呼びかけなどがあり終了。
(三)中央執行委員候補者の就任演説-中止命令
 組合の役員選挙は私が知る限り無投票当選しか知らないが、告示後立候補の挨拶と称し、勤務時間内に執務室で演説することがあるが、不許可、中止.退去命令する。
 根拠 新規則違反
1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
 犯罪 建造物侵入罪
 処分 特段懲戒処分とはしない。演説を強行し態度が悪かった場合は別途検討する。
(四)頭上報告-中止命令
(執務室内での演説行為。中央委員会報告.書記長会議報告.友好団体の政治集会参加呼びかけ、指令伝達、オルグ演説、闘争課題の説明、闘争日程等の説示、その他教宣活動)
 勤務時間内.出勤時限前.休憩時間いずれも不許可。中止命令する。現認・監視対象。
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる演説がなされるおそれがある。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
昼休み当番や時差出勤による勤務中の職員がいない場合でも、執務室内で囚われの聴衆の状況で組合の訴えかけを聴かされることは、能率的な環境とはいえず、演説の余韻などで作業能率を低下させるおそれがあり、適正.良好な職場環境とはいえないので、職場の秩序を維持する当局の権限にもとづき、中止命令の対象とする。これにより、勤務時間中に限定した平成16年3月東岡職員部長通知による頭上報告の警告は解消する。
処分 中止命令にもかかわらず地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」に当たる演説がなされ、且つストが実行された場合、懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。
(五)闘争指令下の昼休み集会-中止命令
 闘争課題を確認し、ストライキ決行体制のため意思統一を図り、闘争課題を確認し組合員の意思統一を図り、ストライキ態勢の志気を鼓舞する目的の集会であり、執務室内でなされることが多い。挨拶.基調報告.決意表明.決議文朗読.頑張ろう三唱等がなされる。従来管理職は許諾している。職員部監察指導課は「昼休み集会」に関し何の指示もしていないし、違法行為と言う認識がないので、現場の管理職も認めてしまっている。
不許可。中止.解散命令する。現認・監視対象とし演説者等記録する。その際、スト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」そのものである。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
昼休み当番や勤務中の職員がいない場合でも、執務室内で囚われの聴衆の状況で組合の訴えかけを聴かされることは、能率的な環境とはいえず、演説の余韻などで作業能率を低下させるおそれがあり、休憩時間の自由利用の妨げとなるおそれもあり、適正.良好な職場環境とはいえないので、職場の秩序を維持する当局の権限にもとづき、中止命令の対象とする。
処分 中止命令にもかかわらず集会を強行し且つストが実行された場合、主宰者、演説者、頑張ろう三唱の音頭取り等懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。
◆実況見分記録(「昼休み集会」平成23年12月9日(金)中野営業所) 
同日15時より全水道東水労の都庁第二本庁舎前で勤務時間離脱3割動員の決起集会(当時は半地下の新宿NSビルとの間の空間で行われていたが近年は地上のふれあいモールに移行している)、夜には書記長会議がある日だが、通常昼休み集会と早朝ビラ配りは、3割動員集会のある日にセットで設定されるので容易に予測できる。
【始業時前朝ビラ情宣行動】構内通用口ドア前
構内の狭い入口の通路の左に二人、右に一人が立ち、通路を挟むかたちで配られる。小さな営業所なので、3人しか立ってないが、支所だと構内入り口前右に5人左に5人といった規模になる。挟まれた間を通行し半強制的にビラを受け取らせる。人数が多い場合は特に威圧感がある。人を挟んだり、包囲する組合活動は押しつけになるので、規制すべきである。ビラの内容も動員集会.ストライキの日程が記載され、違法行為を慫慂する内容であるから、ビラ配布自体が違法行為にあたり中止命令すべき態様と内容といえる。
【昼休み組合決起集会】事務室内ほぼ中央に演説者
12時28分に分会書記長が赤腕章をつけ基調報告の紙を配りだしたので、自席で昼食をとっていた○○○○所長(のち経理部管理課長、職員部監察指導課長、労務課長)に昼休み集会を組合がやることを知っているのかと問い合わせたところ知らないと言う。
その後分会書記長がこれから集会をやると所長に通告、所長は休憩している人に配慮云々と言っただけで、中止命令せず、集会自体を許諾。
昼休みはこの年の東日本大震災による電力不足のため消灯していたが電気がつけられ31分頃から集会が始まった。
なお、過去の例では所長は離席し監視しないように組合に配慮するが、この時は一部始終を管理職が見ている。
集会の態様は、営業所事務室ほぼ中央(所長席の向かい)に組合役員、演説者等、多くの職員は自席。昼休み当番として2名が休憩時間を午後1時以降にずらして、窓口のレジと電話当番として勤務中、演説者との距離は近く10mも離れていない。従って、折り畳み式の衝立が立っているので、来客からは覗かれないが、演説や鯨波などは当然雑音として入るので、職務への集中を散漫にさせ、電話の相手方の声が聞き取りにくくなるなど職務専念を妨げるおそれがある状況でなされる。
●31分から37分頃 司会の組合分会長挨拶 〇〇
 まず集会時間を20分、目的について闘争課題を確認し意思統一を図ることと述べ、国政の状況、国家公務員の労働基本権付与の法改正は、国会が本日閉会したので、見通しが立ってない現状をまず報告したうえ、今回の闘争目的を説明。 
●38分から43分頃 分会書記長基調報告 ○○
事前に配られた内容を読み上げた。前半は14日1時間ストを設定して監理団体業務委託を見直し、直営職場を残す闘いをやる云々と述べ、後半は21日1時間を設定しその他の職場要求と反合理化課題の解決を目指す。震災復興が進まないのは被災自治体の人員削減が要因などと言い、人員削減計画を見直す契機とすべきだといった趣旨を述べていた。演説が終わってぱらぱらと拍手があり、司会の分会長が確認のため拍手を催促し、比較的大きな拍手となった。
●44分から46分  組合員代表の決意表明 〇〇
 組合委員代表一人(元中央委員)が矢先漏水調査業務見直しは営業所業務にも影響がある云々と述べたうえ、闘争の決意表明を読み、拍手が求められた。
●47分から49分頃 分会長の音頭で頑張ろう三唱等(組合分会長)〇〇
事務連絡の後、大声で「14日、21日ストライキに向け闘争課題を確認し、決意表明を受けました、最後に頑張ろう三唱で締めたいと思います」といったことを述べ、「団結用意」とかけ声があり、頑張ろう三唱が行われた。
以上、これは一例だが、組合員代表の決意表明があったのは中野ではこのケースのみなので掲載した。昼休み集会の流れの大筋は上記のとおりである。
参照判例 全逓新宿郵便局事件.最三小判昭58.12.20判時1102、 東京高裁判決昭55.4.30労判340、池上通信機事件.最三小判昭63.7.19、日本チバガイギー事件.最小一判平元.1.19、済生会中央病院事件.最二小判平元.1.29民集43-12-1786全逓長崎中央郵便局事件.長崎地判昭59.2.29労判441号カード、東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442、熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566、JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件 .大阪地判平12.3.19労判790、仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464
(六)本庁・支所・合理化拠点の動員決起集会-中止・退去命令
 勤務時間内に下水道局も含め2割動員.3割動員の決起集会
 当局は2割動員については休暇、時間休をとって参加を認め、3割動員は年間3~4回はあり、大きな闘争のあるときは回数が多くなるが、当局は争議行為と認定し賃金カットする。賃金カット分は組合が闘争資金から補償する。
 内容は昼休み集会と同じ形式と考えられる。基調報告、交渉経過報告、組合員代表決意表明、決議文朗読、頑張ろう三唱でしめくくる。平成12~13年ごろの千代田営業所で庁内デモ行進も行われた。
勤務時間内いかんにかかわらず庁舎構内は不許可。中止.退去命令する。3割動員は職場復帰命令をする。現認・監視対象とし演説者等記録する。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。その際、スト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。
根拠 違法行為 地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」そのものである。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。許可すれば当局が違法行為を助長したことになるからである。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
新規則違反 1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
犯罪 動員された外来者については建造物侵入罪、退去命令に従わない場合の不退去罪の犯罪構成要件該当行為
ただし、都庁構内の集会は敷地内だが、外部の者が自由に立ち入れる公開空地のため建造物侵入罪が成立するかは微妙。
今後、このような集会は労働組合が自己の負担及び利益において開催するものとする。庁舎管理権の及ばない、公園や集会施設の開催も監視の対象としつつも中止命令まではしないが、三割動員やスト集会の場合は職場復帰命令をしてもよいだろう。道路専用許可をとったうえでの街宣デモ行進は、他の市民団体、政治団体と同じ条件なので当局は関与しない。
処分 中止命令にもかかわらず集会を強行し且つストが実行された場合、主宰者、演説者、頑張ろう三唱の音頭取り等懲戒処分事由とする。抗議で暴言、暴行があった場合は量定を過重する。参照判例は(四)と同じ。
(七)スト決行体制確立、闘争突入した時点で集会等便宜供与の禁止
国の省庁では組合がストライキを配置した時点で、組合集会に庁舎構内の便宜供与を禁止し、強行した場合の中止命令を徹底している。東京都はなんでも容認し、事実上違法行為の強度の慫慂に加担している。この方針は(五)と(六)の禁止と重複する
旧郵政省では、日常的な組合活動については、会議室等利用を許可している。しかし全逓が、業務規制闘争やストライキを配置し闘争体制に入った時点で、地方郵政局が各郵便局に指示して、局所内の組合活動の便宜供与を停止し、集会を強行した場合は、監視.中止解散命令を徹底している。
それは、組合が闘争態勢での便宜供与は当局が違法行為を助長することになるので、目的外使用である組合集会を規制する正当な理由があるものとして不許可とする方針で、裁判所もこの方針を是認している。これは重要な改革になる。
根拠 地公法11条1項後段の「そそのかし」「あおれ」がなされるおそれがあり、規律ある業務運営を維持する権限、または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。
東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。
参照判例.東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442号は、国労札幌地本判決を引用して、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法17条1項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないと判示した。熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566、仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464)スト決行態勢での便宜供与はしないことになっている。東京都でも国の省庁と同方針をとるべき。
処分 中止命令に従わず集会を強行した場合、集会で演説等に立ち指導的な役割を果たした場合、暴言や暴行をふるった場合は懲戒処分の対象となる。ただし当面、ストライキが実行された場合に限り、懲戒事由とすることとする。
(八)ビラ貼り-パトロールし現認制止する
 ステッカー闘争は組合が指令しているもので、平成半ばまでは夥しい数のビラ貼がなされていた。主として階段やエレベーターホールなどの壁面、支所動員集会のあるときは大がかりなものとなる。しかし平成16年頃後藤雄一都議が西部支所のビラ貼の写真をネットにアップしたことから、当局はビラの枚数の確認や、写真撮影を指示するなどして、一時下火になったが、近年復活傾向にある。
組合掲示板以外のビラ貼りは全面禁止とする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(九)前掲のとおり。
 ビラ貼りは、組合役員が複数の若手の組合員に指図して行うが、廊下の壁面などに午後五時一五分の定時退庁直後になされるのは、管理職が現認.制止をすることがないことがわかっているからであるが、今後はパトロールして、現認し制止することとする。
 根拠 東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない 8(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、組合掲示板を別として、管理者の許可のない文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。
(4)以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの
五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文.寄せ書き、幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。
参照判例.国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30民集33-6-676、東京郵政局事件.東京地判昭46.3.18判時624、北九州市若松清掃事務所事件.福岡地判昭56.8.24訟務月報28巻1号109、朝日新聞社西部本社事件.福岡高判昭57.3.5労民集33-2-231、麹町郵便局事件.東京高判昭58.7.20判時1049号75頁、七福交通事件東京地判平10.3.3労判738号38頁、動労甲府支部ビラ貼り損害賠償請求事件.東京地判昭50.7.15労民集26-4-567、帝国興信所岐阜支店事件.岐阜地判昭56.2.23判時1005号167頁、大久保製壜所事件.東京地判昭58.4.28判時1082号134頁。
処分 管理職と現地スト対策本部職員はパトロールし、貼付現場を現認した場合、制止する。制止をはねのけた場合は、1回目警告、2回目訓告、3回目戒告とする。指導的役割を果たした場合ストが実行された場合は懲戒事由とし、量定を過重する場合があるものとする。
写真撮影をする。貼付後の対応は、平成17年頃と同じく、写真撮影ののち、撤去命令に従わない場合、スト対策本部職員を動員して剥がす。剥がしたものは返還しない。組合側はビラ等が組合の財物だと主張し返還を求めているが、「通常のビラの場合、それを使用者の許諾なしに物的施設に貼った段階で所有権が消滅する(所有権の放棄を擬制するか、或いは民法242条、243条の付合の理論)ので返還は不要。東水労の場合大多数はセロテープやまたは両面テープで貼り付けるが、接着剤で糊付けされ、撤去.清掃に費用が掛かった場合は撤去費を貼り付けた責任者に請求するものとする。
(九)ビラ配り-闘争態勢に入った時点で許可制に
 私の職場では、平時は組合の印刷物配布は勤務時間前か後に各職員の机に置くスタイルで、ただし11月15日はビラを午後勤務時間に配布していた。
 庁舎管理規程でビラの無許可配布を禁止事項だが、新規則は、平時は無許可配布でよいこととしたので、態様で規則違反は中止命令する。
ただしストライキを配置し闘争に入った時点で、違法行為の慫慂が目的のビラが配布されるおそれがあるため、無許可配布を認めないものとする。とくにストライキや動員集会の参加の慫慂が目的の、動員集会と昼休み集会とセットでなされる朝ビラ情宣は態様も半強制的なので認めない。
中止命令をする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(七)131頁参照
根拠 東京都水道局庁内管理規程第五条の九違反 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。 
新規則8(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。
処分 無許可配布、中止命令に従わなかっただけで処分の対象とせず、2回目に警告、ストライキが実行され、ストを慫慂するビラを配布した場合に戒告処分以上の処分事由とする。
(十) 組合掲示板の公務秩序に反する掲示物の撤去-不適切なものは撤去
 新規則に示された地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの「闘争宣言」や「ストライキで戦うぞ」等は撤去対象となる。「闘争宣言」は平成11年以前江東営業所で見た。「ストライキで戦うぞ」のビラは平成12~3年千代田営業所で見た。小さい文言だが、平成6年10月31日スト権批准投票結果92.77%のビラが、11月15日にも貼り出されておりの表示の文言にもあり現在も貼り出されている。少数組合の掲示板でも赤旗に「激」とあり寄せ書き(平成18~19にみかけた)も撤去対象として、撤去命令には違わない場合は、当局で撤去する。
掲示物撤去判例としては全国税東京足立分会事件・最二小判昭59.1.27労判425等にあり、庁舎管理者による庁舎等における広告物等の掲示の許可は、専ら庁舎等における広告物等の掲示等の方法によってする情報、意見等の伝達、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除するものであって、右許可の結果許可を受けた者は右のような伝達、表明等の行為のために指定された場所を使用することができることとなるが、それは、禁止を解除され、当該行為をする自由を回復した結果にすぎず、右許可を受けた者が右行為のために当該場所を使用するなんらかの公法上又は私法上の権利を設定され又はこれを付与されるものではなく、また、右許可が国有財産法18条3項にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらないと解すべき」
組合掲示板の掲示物は組合に公法上、私法上の権利を設定され付与するものではないので、庁舎管理権にもとづいて公務秩序に反する掲示物を転居する権限が当局にある。違法な文言、違法行為を慫慂する文言の掲示物は撤去されてもやむをえないというものである。
掲示板の法的位置づけの上記の枠組みは、東京都水道局にもあてはまる。庁内管理規程で第五条の十ではり紙若しくは印刷物を掲示することは禁止事項となっており、組合掲示板は禁止を解除されたものと解釈でき、行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)の許可ではない。従って公法上又は私法上の権利を設定され又はこれを付与されるものではない。組合掲示板の掲示物は庁舎管理者で事実上使用することを許可しているだけであって、不当労働行為とされることがないことは、参照判例のとおりである。
根拠 庁舎管理規則第五条の十新規則8以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの。
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの。
五 公務秩序、良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文.寄せ書き.幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。
参照判例 全逓損害賠償請求(新宿局.空港局.静岡局)事件東京地判昭54.2.27労民集30-1-20、昭和郵便局(全逓昭瑞支部)掲示板撤去事件.最一小判昭57.10.7民集36-10-2091、全国税東京足立分会事件.最二小判昭59.1.27労判425、国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件.東京地判平3.7.3判時1396
処分 撤去命令に従わない場合、当局が庁舎管理権発動で自力撤去するが、抗議活動で、暴言、暴行があった場合は懲戒処分の対象となる。ストライキが実行された場合は懲戒事由に含める。量定を重くする場合がありうる。
 
(十一)マグネットシートの貼付、赤旗の寄書き、煙突闘争等-ビラ貼りと同じ対応
 
 現在は行われてないが、平成15~16年頃、14.5×4.5cmのマグネットシートで「お客様センターNОストライキで戦うぞ! 完結型受付防衛‥‥」とか「イラク戦争反対」と言った文言のある組合の主張が印刷されたものが各組合員に配布され、机や什器、戸棚などに貼り付ける闘争が行われた。
 これは実質ビラ貼りと同じ効果のあるものであり、「ストライキで戦うぞ」のような違法な文言もあるので撤去命令し、従わない場合自力撤去する。
 このほか、平成7年頃七夕の笹飾を机上に設置し、短冊に要求項目を書く闘争があったが、これもビラ貼りと同様の措置とする。またストライキ態勢を固めるため、赤旗に寄せ書きして団結を示威するため、赤旗は事務室内に掲出ないし設置することがしばしば行われるが、これも撤去命令等、ビラ貼りと同じ対応とする。
 煙突闘争というのは円筒状のボール紙などに要求項目を書いて机上に設置して、組合員の訴えかけをするもので水道局では見たことがないが、そういう闘争もありうるが、この場合もビラ貼りと同じ対応とする。
 なお、組合が団扇や手ぬぐい、ボールペン、ティッシュペーパーなどの「全水道東水労」と記載されている組合グッズを組合員に配って使用を促すことがしばしばあるが、見せつけたりしない以上は取締りの対象としないこととする。
 処分 ビラ貼りと同じ。
(十二)春闘ワッペン、赤腕章-取り外し命令
勤務時間中に業務外の徽章等、春闘ワッペン、頭上報告、集会主宰者が着用する赤腕章、業務外のメッセージが記載されているトレーナーやTシャツの着用を禁止し取り外し命令等、職務命令をする。Ⅱ-(Ⅰ)-三-(四)で詳しく説示したとおりである。争議行為でなく正当でない組合活動の範疇になる。
根拠 地方公務員法35条職務専念義務違反。新規則 3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)
参照判例 服装戦術判例〇服装戦術許容●服装戦術を正当な組合活動と認めない△服装戦術を正当な組合活動と認めないが処分を無効とする。または服装戦術は違法だが違法性を軽微なものとする
●ノースウエスト航空事件 東京高判昭47.12.21(腕章着用が職務専念義務違反と判示)●国労青函地本リボン闘争事件 札幌高判昭48.5.29●神田郵便局腕章事件 東京地判昭49.5.27● 大成観光リボン闘争事件 東京地判昭50.3.11△中部日本放送リボン闘争解雇事件 名古屋高判昭50.10.2●全逓灘郵便局事件 大阪高判昭51.1.30●神田郵便局腕章事件 東京高判昭51.2.25●大成観光リボン闘争事件 東京高判昭52.8.9●目黒電報電話局事件 最三小判昭52.12.13●大成観光リボン闘争事件 最三小判昭57.4.13●東急電鉄自動車部淡島営業所事件 東京地判昭60.8.26△国鉄鹿児島自動車営業所事件 鹿児島地判昭63.6.27△国鉄鹿児島自動車営業所事件 福岡高裁宮崎支判平元.9.18●国鉄鹿児島自動車営業所事件 最三小判平5.6.11〇JR西日本国労広島地本事件 広島地判平5.10.12△延岡学園事件 福岡高裁宮崎支判平5.10.20〇東洋シート警告書事件 東京地判平昭7.6.8●西福岡自動車学校腕章事件 福岡地判平7.9.20(自動車学校の労働組合員らがした腕章着用闘争につき、同闘争は、労働者の団結を示威し、使用者に対し心理的圧迫を加え、労働者の要求ないし主張を貫徹する争議行為的側面と、組合員相互間において連帯感を触発し、団結をより強固にし、使用者との交渉に当たって士気を鼓舞する組合活動的側面の双方を有するものであるが、業務を阻害しなくともその本来的な目的を達することができるから、特別な事情のない限り、本質的には争議行為ではなく組合活動であると解するのが相当であるとした上、就業時間中に組合活動を行うことはその具体的態様にかかわらず職務専念義務に反するもので、正当な組合活動ではないとして、腕章着用闘争を理由とする戒告処分は不当労働行為に当たらないとした)●JR東海国労東京地本新幹線支部国労バッジ事件 東京地判平7.12.14〇JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京地判平9.8.7〇神戸陸運事件 神戸地判平9.9.30●JR東海新幹線支部国労バッジ事件 東京高判平9.10.30●JR西日本国労広島地本事件 広島高判平10.4.30●延岡学園事件 宮崎地裁延岡地判平10.6.17●JR東海新幹線支部国労バッジ事件 最三小判平10.7.17△JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京高判平11.2.24△JR東日本神奈川国労バッチ事件 最一小決平11.11.11●JR西日本大阪国労バッチ事件 東京地判平24.10.31●JR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件 東京地判平24.11.7●JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京高判25.3.27△JR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京地判平25.3.28△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京高判平25.11.28△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件  最一小決平27.1.22△東京都立南大沢学園養護学校事件 東京地判平29.5.22都立学校教師が、卒業式において、校長の職務命令に違反し、国歌斉唱の際、起立しなかったこと、「強制反対 日の丸 君が代」又は「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」等と印刷されたトレーナーの着用を続けたことによる停職6月の懲戒処分は、処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱し違法としたが、●都立南大沢学園養護学校事件.最一小判令元10.31TKCは懲戒処分を適法としている。
処分 ワッペン.腕章については取り外し命令 1回目警告、2回目厳重注意、3回目訓告、4回目戒告処分。
(十三)所属長要請行動は拒否する
 
 「所属長要請行動」とは、大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものがある。
役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、言うことをきかなければ怒号が飛び交い、吊るし上げる態様のもので、事実上執務妨害だが、拒否、退去・.就業命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、闘争期間中の職務命令はしないという慣例によるものと考えられるが、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもあるそれゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。
しかし平成16年3月17日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動の質問したことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、東岡職員部長通知にもとづき昼休み等に移行させることとなった。
 当局の提案の交渉当事者でない管理職が要請を受ける理由はなく、実質組合の言い分を認めさせるための職制を取り込む儀式であるから、拒否が妥当である。
参照判例 抗議活動、話し合いの強要、執務妨害は懲戒処分の理由になる。神戸税関(全税関神戸支部)事件・最三小判52・2・20民集31巻7号1101頁「組合員Oに対する懲戒処分の抗議行動 神戸税関長官房主事が戒告処分書の交付及び処分説明をしようとしたところ、処分者は「でっち上げだ。」「税関長に会わせろ。」等と大声をあげて処分書等の受取を拒否し、その後、組合員四、五〇名が同室につめかけ、「ばかやろうー、ちんぴら。」などと罵声を浴びせ、あるいは携帯マイクを使用して同様のことをし、他の組合員も机を叩くなどして口々に激しく抗議した。また、室内の壁や入口のドアには「オマエはバカなチンピラだ。」「不当弾圧撤回、首切りを仕事にする‥‥」などと書かれたビラが貼られた。退去要求を無視し、官房主事ららの退出を妨げた。昭和三六年一〇月五日当局の発した前日の警告及び当日の執務命令を無視して、当関本庁舎正面玄関前で勤務時間内にわたつて行なわれた職場集会を積極的に指導し、更に引き続いて当関本庁舎内デモ行進を提案し、これを行なつた。同年一〇月二六日当局の発した前日の警告及び当日の執務命令を無視して、当関本庁舎正面玄関前で勤務時間内にわたつて行なわれた職場集会を積極的に指導した。人員増加要求を貫徹するため、同年一〇月三一日から一一月二日に至る間、当関輸出為替業務担当職員に対し処理件数を低下させるよう提案するなど、輸出事務繁忙期における通関業務の処理を妨げようと企て、これをしようようし、その結果上記業務を妨げた。人員増加要求などを貫徹するため、同年一二月二日全国税関労働組合神戸支部執行部役員とともに、当関輸出関係業務担当職員に、一斉に超過勤務命令徹回願を提出するよう勧しようし、その結果作成された同徹回願を一括して、当関業務及び鑑査両部長にそれぞれ提出し、かつ同日午後一時三〇分から超過勤務に服すべき上記職員約四五名を三階講堂に集結させて、同二時五分頃まで同人らによる通関業務の処理を妨げた。
 上記の行為は国家公務員法第九八条第一項、第五項及び同法第一〇一条第一項並びに人事院規則一四ー一第三項の規定に違反し、国家公務員法第八二条に該当するので同条の規定により懲戒処分として免職する。。
総理府統計局事件・東京地判昭50・12・24判時806、東京高判55・訴務月報26ー9-1594
懲戒免職 統計職組執行委員長 停職四月 統計職組役員2名、月額10/1減給三月 3名 懲戒免職の理由 同職組の代議員会及び合同委員会の決定に基づく職場大会の開催にあたり、これを指導するとともに、ピケツトによる各門からの入門阻止行為の総指揮にあたるなど職場大会の全般にわたり指導的な役割を果したほか、同職組の執行委員会の決定に基づき、賃金カツトに抗議するため、勤務時間中の職場オルグ活動、話合の強要、局長に会わせろ。局長がだめなら、総務課長に会わせろ。」、「今放送した業務命令、退去命令を取り消せ。」、「犬みたいなまねをするな。どういう権限があつて、通さないのだ。」などと大声でどなり、執拗に被告局長に対し、面会を強要し、この間、これに伴う喧騒のため、局長室前の会議室において、開催されていた改正消費者物価指数説明会の運行を妨げた。職制に対する抗議行動をした際にも、指導的かつ積極的な役割を果している。
四国財務局(全財務四国地本)事件・最三小判昭52・12・20民集31巻72号1225頁
全財務四国地本執行委員長は① 10時30分頃から約1時間、組合支部が主催した会合に参加してその職務を妨害した。
② 10時30頃から公務員共闘会議の役員が局長室において局長と会見した際、それに参加してその職務を放棄。局長が退出しようとしたところ、大声で詰問し局長の退出を約七、八分妨害し詰寄る。
③ 勤務時間中の午後3時ごろ、事務室において携帯拡声器を用い、執務中の職員に対し約四、五分間にわたり放送して、職員の執務を妨害した。
④ 組合執行委員会で勤務状況報告書を組合で保管することを決定し、在庁執行委員は手分けして第一次評定者(係長)の席をまわって、説得して収集したが、Xは他の役員数名とともに四人をまわり説得したが、その際経理係長が経理課長に提出しようとした報告を同課長と引っ張り合い、同課長の制止を妨害して、収集した。(組合の保管は約1日程度)
⑤ 中央執行委員長が事務室において執務中の職員三、四分くらい経過報告をした際、これに同行して職務を放棄した。
⑥ 事務室において午後0時30分~午後1時27分頃まで午後4時30分~5時5分頃、約12分間勤務時間に食い込む職場集会が開かれた際、これに参加し、闘争経過報告を行った。
⑦ 勤務時間中の、みだりに職務を放棄し、組合役員約九名とともに、総務課長に対し大声で荒々しく抗議要求し、同課長の勤務を妨害した。①~⑦は国家公務員法101条1項(職務専念義務)及び人事院規則14-1第3項前段(勤務時間中の組合活動に従事し)②の局長退出妨害は国家公務員法99条(信用失墜行為)③⑦の各行為は人事院規則4-1第3項後段(勤務時間中における他の職員の勤務を妨げた)④の行為は国家公務員法98条5項後段、人事院規則14-1第3項後段にそれぞれ違反し、Xの本件各行為は、国家公務員法82条1号2号に該当するとして懲戒免職とした。
(註-昭和37年当時の人事院規則14-1第3項後段は現在の人事院規則17-2第7条2項に相当するものと考えられる)⑨は国家公務員法101条1項(職務専念義務)及び人事院規則14-1第3項前段(勤務時間中の組合活動に従事し)②の局長退出妨害は国家公務員法99条(信用失墜行為)③⑦の各行為は人事院規則4-1第3項後段(勤務時間中における他の職員の勤務を妨げた)④の行為は国家公務員法98条5項後段、人事院規則14-1第3項後段にそれぞれ違反し、Xの本件各行為は、国家公務員法82条1号2号に該当するとして懲戒免職とした。
(註-昭和37年当時の人事院規則14-1第3項後段は現在の人事院規則17-2第7条2項に相当するものと考えられる)
処分 拒否しても強要するならば相応の懲戒処分の対象とする。
(十四)三六協定破棄闘争の対応-不可欠な業務と予め日程に組まれていて委託業者に影響のある業務は違法であっても業務命令する
水道局と過半数組合である全水道東水労の時間外に関する協定(三六協定)では1年おきに更新されるが、第10条で「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という組合が一方的に破棄できる条項があり、令和6年度は、11月15日、12月19.20.21日、1月23日、3月11.12日を指定して超過勤務拒否闘争を実施した。近年では年間10日を超えることはまずないが、毎年恒例であるほか、業務手当闘争のあった平成16年には9日間連続の破棄闘争などがわたりかなりの日数で超勤拒否闘争を行った。
ストライキ時と同様、水の供給、突発事故対応に支障がないようにするため保安要員は適用除外といっても、保安要員を置くことを自体がすでに正常な業務運営ではなく、当局は事実上労働協約で地公労法11条1項違反を容認しているように思える。当局はこのほうが三六協定の現場締結や、短期間で更新するような在り方より安定的と判断しているのかもしれないが、信義則をいつでも破れるという組合のスケジュール闘争を前提とした協定なので問題は当然ある。
 これまでの当局の方針は、組合の主張どおり、三六協定破棄が過半数組合の権利であり、争議行為ではなく適法として、保安要員か組合との事前保安協議で認められた業務を除き、いっさい超過勤務の命令をしてはならないというものである。このため必要な時間外業務は管理職で行うものとされている。
しかし、今後はスケジュールで事前に予定されていた時間外の業務、経常業務で時間外のもの、それを中止すれば委託業者等の実務に工事の日程に支障があるもの等、必要不可欠な時間外の業務は、三六協定未締結でも業務命令する方針に今後は変更するものとする。
組合は労基署に訴えるなど反発が想定できるが、国鉄や旧郵政省で三六協定未締結でも業務命令する場合があり、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当すると最高裁が判断していることを前提として、労基法違反承知で、経常業務維持の最低限の業務命令を行う方針とする。法秩序全体の見地から労働法が完全優位という組合側の論理にはならないと判断するからである。
 組合は、三六協定未締結の状況で、出勤時限前の労務指揮権が消滅するので、スト参加の説得に応じない非組合員などの出勤時限前の入庁とICカードリーダに出勤入力はできないとの見解を示すことがあり、管理職も同調し、非組合員の締め出しに加担する場合がある。
そもそも、当局は、組合側の争議行為は当局の労務指揮権から離脱するものだから、業務命令を行ってはならないという学説に示したがってストライキに対し就業命令等職務命令はいっさいしないことになっているが、争議中であることを理由として、国公法98条1項の上司の命令に従う義務を免れることはない明示した神戸税関事件.最三小判52.12.20の判例で就業命令が適法であることは確定しているのに、東京都は全く無視している。
ICカードリーダに出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務と東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件.東京高判平26.2.12労判1096が説示していることかに、三六協定破棄によって、服務上の基本的義務が否定されることはありえないし、それに同調する管理職は就業規則違反の慫慂することであり許されないことである。
 
1 当局は適法としているが昭和32年内閣法制局意見によれば争議行為である
北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-739は、最高裁が初めて地公労法11条1項を合憲とし、同条項違反による懲戒処分を適法とした判例だが、三六協定未締結の超過勤務拒否闘争を争議行為と認定した判例でもある。
岩淵正紀判解は、最高裁は明示しなかったが、内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁従来更新を重ねてきた三六協定の更新拒否が、超過勤務自体の条件改善のためではなく、労使間の他の要求貫徹の手段としてなされるときには、禁止された争議行為にあたるという趣旨)に近似した判断とみなしており、この趣旨から、全水道東水労の三六協定破棄闘争も、争議行為である疑いが極めて濃いとみてよい。
にもかかわらず、東京都水道局職員部の見解は、北九州市交通局事件で三六協定未締結での超勤拒否闘争を争議行為と認定したのは平常ダイヤのバス運行が9勤務、超過勤務が前提のものだからとして、水道局ではバス運転手のように毎日超勤を義務付けている職場はないので、適法とするのである(平成15年に上司を通じて確認した)。
つまり、東京都水道局は、最高裁は三六協定未締結闘争は、市営バス運転手の毎日超勤という特殊な事例について争議行為と判断したが、水道局は違うので争議行為にあたらないとするのである。
しかし水道局の営業所でも経常業務で、超勤はあるし超勤予算もとっている。又、毎日ではなくても配水課などでは夜間作業が頻繁にあり、時間外労働がなければ成り立たない職場であるのに、職員部当局は組合のいいなり。少なくとも北九州市の判決は未締結闘争を争議行為と認定しているのだから、積極的に適法で労務指揮権を掣肘する組合の不当な権利を容認している東京都の労務管理に問題がある。 
三六協定未締結闘争は、昭和20年代から、争議行為が禁止されていても、職制麻痺できる遵法闘争の一つとして、全逓、国労、動労がよく用いた戦術であった。しかし国鉄や郵政当局は東京都のように労務指揮権を放棄していない。
動労の全国7拠点昭和38年12月13日19時より2時間の職場大会(事実上スト)において、三六協定が未締結の状況で動労組合員でもある指導機関士を召集し、出務してこない組合員の代務として乗務を業務命令しているし(動労糸崎駅事件.広島地判尾道支部昭43.2.26.下級裁判所刑事裁判例集10巻2号195頁)、三六協定未締結の状態で1日8時間を超える勤務があったとしても、それによって業務遂行の適法性は否定されていない。旧郵政省では法内超勤は合法との見解をとり、全逓名古屋中郵第二事件.名古屋地判昭39.2.20刑集32-2-139のように状況によっては三六協定未締結でも地方郵政局と協議したうえで時間外労働の業務命令をすることがある。
 三六協定破棄によって、組合のいうように時間外の職制の業務命令権や施設管理権が消滅することはなく、労基法違反の業務命令もありうるということである。組合側が労基法違反として訴えるとしても、法制局意見や最高裁の先例で争議行為の疑いが濃いこと、信義則に反する協定の一方的破棄等、法秩序全体の見地からみて、この状況で使用者側が処罰される結論にはなりにくいと判断するからである。
2 労基法違反の時間外労働でも職務の執行は違法にならないとする先例
 三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている
水道緊急隊は工務係を除き保安要員とされていて、突発事故の対応はできるから問題ないと当局はいうだろうが、悪質な職制麻痺闘争である以上、いつでも組合が違法争議目的で労務指揮権が掣肘されることを許している職場慣行は、1400万都民と首都中枢のライフラインを支える企業としては無責任な体制といえる。
最高裁は三六協定未締結で国鉄や郵便局が業務命令したケースで、就労を妨害する組合員による、公務執行妨害や業務妨害罪の成立が争点になった事案では以下の判断をとっている。
仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件.最二小判昭48.5.25は、「労働基準法32条1項は‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」と説示し公務執行妨害罪の成立を認め、動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30は労働基準法違反の時間外労働という一審の争点を明示することもなく久留米駅事件方式の「法秩序の全体的見地から」という決まり文句で、名古屋中郵第二事件最二小判昭53.3.3も一審、二審で争点になった三六協定未締結の問題に言及することもなく名古屋中郵判決方式での「法秩序の全体的見地から」、職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとし、威力業務妨害罪の成立を認めている。
3 経常業務等の管理職対応はやめ業務命令する
 
かつて国労が、三六協定未締結超勤拒否で仕事を助役に押し付けていやがらせしたように、営業所では全水道東水労役員は三六協定破棄闘争で、管理職に出勤事件前や定時退庁後の経常業務、金庫をあけれて釣銭を準備し窓口のレジを設営して、8時半の開庁時間のスタンバイをさせるいやがらせをする。退庁時には逆に金庫にしまうまで管理職にやらせるのである。管理職の本来業務でない。組合の指図で管理職が経常業務を行うのは正常な業務運営ではないので、今後は業務命令して管理職対応にしないものとする。このほか年間スケジュールでワックスがけの清掃の検査業務とか時間外のものがあるが、これも、管理職対応でなく、業務命令するものとする。
 1日の定時出勤.退庁で労働時間は東京都水道局は7時間45分なので、法内超勤としては15分の余裕があることと、8時間以上越えでも、先に述べた理由で業務命令する。
 違法であってもやむをえざる事情にしぼっての命令なので当局に不利な結論にはならないと思う。 
 
(十五)スト待機-事務室利用拒否、建造物侵入罪で告訴も検討
 全水道東水労は年間3~4回はストライキを配置し闘争する。令和五年度は4回、11月、12月、1月、3月にあった、スト前日は当局の最終回答を受けて、中央委員会が開催され、そこでストライキを回避するか、決行するかの判断がなされるが、早い場合は午後7時、遅いと深夜、未明にまでずれこむことがしばしばある。
 組合はスト前日の夜から当日の朝方にかけて、各事業所に役員を待機させ、指令の組合員への伝達、スト集会準備などをさせることになっている。
 スト前日の夜から当日は三六協定破棄しているので、職員一般は締め出されるが、組合役員はスト待機という任務ゆえ、深夜、未明に事務室内に滞在、ないし出入りをする。
 
 私の杉並営業所では2年前に、次のような事件があった。
令和4年12月22日スト配置日に早朝中央委員会報告があり組合分会長兼中央委員〇〇が演説し、スト回避と三六協定再締結の経緯の説明渋谷営業所の業務移転は押し返すことができず、ただし、葛飾の1名退職派遣増員させる。徴収サイクル問題について、三六協議が日常茶飯事、健康管理を要請、待機廃止の緊急隊移管は、再来年と2月19日に延期で妥結、ただし事務職でできるのか正月以降継続協議、頭上報告は今年は最後協力ありがとうございましたでしめくくる。
 そのあと朝、所長、総括課長代理、営業係の庶務担当者、3者で深刻な話をしていたので何かと思ったら、昨日スト待機でセキュリティに不具合、所長と橋本が1階はいいが2、3、4階で不具合との話をしていた。そのあと、別の組合役員と20分ぐらい〇〇が話、その前に、○○とも話、四時十分、四時三十分と言っていた。そのころ橋本が侵入したのが原因らしい。橋本は警報もならなかったので問題ないと思っていたなどと話していた。
 要するに、橋本がスト待機で、未明の4時すぎに事務所入り、何か操作をセキュリティ破りをしたので機器に不具合が生じた。
 平成21年から5年間在籍していた中野営業所が、スト待機の日は事前に警備会社に連絡して、警報が鳴らないよう措置を指示していた。平成6年11月13日のスト配置前日は総括課長代理が組合中央委員の〇〇に対し、入室の方法を話していた。
当局はスト待機を組合の業務として全面的に支持し、セキュリティ破りも認めているのである。
しかし、スト待機の主要な目的が指令伝達とストが決行された場合のスト準備であり、地公法11条1項違反の違法行為を目的とするものゆえ、目的外使用であり、事務室利用の便宜供与を認めることは違法行為の支援、助長であるから、事務室立ち入り拒否すべきである。パトロールをして現認、退去命令してもよいである。新規則では無許可組合活動は勤務時間外でも禁止しているので対応できるので、スト待機を禁止する。
むろん24時間稼働している部署では深夜でも出入りできるのであるが、警備会社と契約しセキュリティを稼働している部署のセキュリティ破りは建造物侵入罪を成立させるべきである。
地公労法11条1項違それ自体には罰則規定はないが、労組法1条2項の刑事免責が適用されないことは、指導判例である全逓名古屋中郵事件判決.最大判昭52.5.4により明らかなことであり、これは公労法判例だが地公労法違反のストライキを別異に解する理由はない。
全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53.3.3刑集32-2-97香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。
(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならい。
名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法17条1項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している
スト待機は、争議行為そのものではないがそれに付随する行為、争議行為目的なので違法性を阻却する余地はないことなる。
ちなみに、建造物侵入罪については、全逓釜石支部大槌郵便局事件.最二小判昭58.4.8刑集37-3-215が、管理者側に有益な先例といえる。「刑法130条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである」とする。
このため、私の提案では新規則に勤務時間外であれ無許可組合活動を禁止事項としているので、規則制定と周知だけでも管理者が容認してないと判断できると思う、そのうえに、当局が管理意思をアナウンスする。災害時対応等の緊急の場合を除き、深夜未明のセキュリティがかかった時間帯の事務室の無許可出入りを禁止することを職務命令すべきである。現状では、庁舎管理者がスト待機を知っていながら黙認しているので犯罪が成立しない。
根拠 スト待機の重要な目的が指令の伝達なので違法行為である地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」の恐れがあるという理由だけて、規律ある業務運営態勢を維持する当局の施設管理権にもとづく。または地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用により不許可。新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。
処分 無許可立ち入りを現認したうえ、ストが実行された場合は懲戒処分事由とする。刑事告訴も検討(住居侵入罪)。
(十六)ストライキ準備行為の禁止-撤去命令 
 西部支所ではストライキ決行時に、ビラ貼りのほかICカードリーダを紙でふさぐ工作をし、組合旗の掲出、横断幕が用意された集会を過去みている。平成半ば以前だが、江東営業所や千代田営業所で組合旗のほか立看もあり、ストの準備がなされるが、以下の規則違反として扱う。
 根拠 東京都水道局庁内管理規程違反第五条十等の禁止事項違反。地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」の恐れがあるという理由だけて、規律ある業務運営態勢を維持する当局の施設管理権にもとづく。新規則 55 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.プラカード.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設置してはならない。又、業務用機器を使用させない作為をしてはならない。業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進をしてはならない。
処分 撤去命令に従わなかった場合懲戒処分の対象とする。
 (十七)ピケッティング-中止・解散命令
 過去の経験では庁舎構内のピケッティングは、入庁させないため、ICカードリーダに出勤入力させないための説得、入庁後、多衆で包囲して罵倒などの行為があった。違法行為の慫慂それ自体が地公労法11条1項後段違反であり、多衆による包囲、通行妨害は、新就業規則(5)違反として、中止、退去命令し、監視、写真撮影し、現認検書の上申を義務づける。
 ピケッティングは同盟罷業だけでなく、平成26年2月5日の中野営業所の業務委託拒否闘争では、〇〇本部委員が勤務時間中オルグ演説し、当日の人事課の退職派遣説明会の入場を阻止するピケを張った。そうしたものも中止命令をしていないが、説明会の開催と出席という業務の妨害なので、当局は認めていないが地公労法違反の違法行為である。
ピケが小人数の場合は、地公労法11条1項後段の違反として戒告以上の処分対象とし、物理的に就労を阻止する大量動員ピケがあった場合は、解散命令など管理意思を示し威力業務妨害罪を成立させるようにする。
 なお、組合側がこだわっている。職員全員を欠務させ、スト破りを認めないこと。ICカードリーダに出勤入力することを阻止することは「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務の否定であり、就業妨害とみなす。
 スト当日は三六協定が破棄される慣例だが、(一)(十四)や第Ⅰ部(Ⅵ)三で述べたとおり、最高裁は、三六協定未締結で労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとしている。組合のいう労基法により労務指揮権が消滅するということはないのであって、労基法上違法であっても違法を承知で職務命令ができると考えられる。業務命令してはならないという組合側の理屈に従う必要はない。出勤時限前の出勤入力は規則で服務上の基本的義務なので、管理職が妨害することは許されない。
 また(一)で言及した非組合員はスト対策本部に召集し、組合員の行動の監視等に権限を時間制限なく与えられているので、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)ビラ剥がし事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115の判旨に依拠して、三六協定破棄を口実として、組合によって出勤時限前の入庁を阻まれることはないという解釈をとる。
 大量動員ピケッティング物理的に就労を阻止するスクラムが組まれた場合は、威力業務妨害罪の構成要件該当行為となるので、刑事告訴もありうる。
根拠 地公労法11条1項後段の「そそのかし」「あおり」に当たる違法行為。庁内管理規程第五条十三 新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。
 参照判例
 違法争議行為の内部統制権は否定されており、組合員であれストの勧誘.説得に受忍義務はない。 根拠 国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28 全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)  動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)、動労鳥栖駅事件.福岡高判昭49.5.2(上告審-最三小決昭50.11.21判時801号101頁 棄却)、国労東和歌山.和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19(上告審最一小決昭51.4.1棄却)
物理的に就労阻止する実力ピケ、大量動員ピケについて多くの事件で有罪と判決している。
 最高裁は積極的業務妨害を正当な行為として認めていない。争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件.最大判昭33.5.28、久留米駅事件最大判昭48.4.25 物理的に就労阻害する場合(不法な威力 、業務妨害.マスピケ.占拠.逮捕行為.強制的拉致)てせの有罪判例は、  ホテル.ラクヨー事件最一小判昭和32.4.25暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、第二港湾司令部駐留軍横浜事件最二小判昭33.6.20威力業務妨害、 東北電力大谷発電所事件最一小判昭33.12.15威力業務妨害、水利妨害、四国電力財田発電所事件最一小昭33.12.25威力業務妨害、嘉穂砿業事件最一小判昭35.5.26威力業務妨害.暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、長万部駅事件.最一小判昭45.7.16建造物侵入、浜松動労事件.最一小判昭45.7.16 威力業務妨害全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後上告審最一小決昭49.7.4 公務執行妨害、動労鳥栖駅事件、国労東和歌山駅事件、尼崎駅ピケ事件.最一小判昭52.10.20、春闘松山駅事件.最小二判昭53.3.3、動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.2(物理的に業務遂行を妨害するマスピケ)、動労糸崎駅事件(運転席占拠+マスピケ)、動労尾久駅事件最三小決昭49.7.1(乗務員の強制的拉致+マスピケ)、光文社事件最三小判昭50.5.8(出勤途中の包囲ピケ逮捕行為)山陽電軌(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15威力業務妨害
 ピケッティングの指導.実践は地公労法11条1項後段の「唆し」「あおり」なので違法
根拠 北見郵便局懲戒免職事件.札幌高裁昭54.3.29、北九州交通局事件福岡高裁昭55.12.22 
 処分 スト参加を慫慂する言動、ピケッティングの指導.実践は戒告以上の処分を原則とする。物理的に就労を阻止するマスピケがあった場合は威力業務妨害罪で告訴も検討する。刑事事件にしない場合でも処分の量定は重くなる。
(十八)職員一般向けの「服務の示達」の慣行を廃止し、警告兼就業命令書の手交に改める
 一般職員向けの「服務の示達」と、現行の「職員の皆様へ」は、違法行為という文言がなく、事前警告としてはインチキなので、新しい警告書兼職務命令書の交付に切り替る。マイク放送と掲示のほか、文書で手交を義務づける。
 全員手交ができなくとも最低限支部.分会の組合役員には手交を義務づける。職務命令書を突き返したり、一括返還を指図した場合は非違行為として記録したうえ、ストが実行された場合は、懲戒処分事由に追加し、量定の加重を行う場合があるものとする。
東京都水道局職員に対する警告兼就業命令書(案)
                                   東京都水道局長 〇〇〇〇
                                       所属長 〇〇〇〇
全水道東京水道労働組合は、〇月〇日勤務時間職場離脱3割動員集会、〇月〇日に2時間のストライキを予定していますが、上記の行動は、「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と定めた地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反行為であり、法令遵守義務等の服務規律に違反し、東京都水道局庁内管理規程に違反する行為でもあります。
争議行為は集団的組織的行動でありますが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものでなく、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者は懲戒責任を免れません(全逓東北地本事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030)。従って各職員がストライキに参加した場合は関係法令に照らし必要な措置をとらざるをえません。
労働組合は統制権の行使を理由として、かかる違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は上記組合行動の指令に服従すべき義務はなく、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はありません(国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時689、動労糸崎駅事件控訴審 .広島高判昭48.8.30判タ300)。
従って、職員各位は出勤時限前にICカードリーダの所定操作によって出勤記録を自ら入力し、定められた時刻より職務を遂行することともに、当該組合行動の時間に職務放棄しないことを命令する。
ICカードリーダの出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務でありますので妨害は容認しません。
また争議行為に際して、スト参加の慫慂、庁舎構内での集会、組合旗、横断幕、立て看板等工作物の設置及無許可で旗・のぼり・プラカード・たすき・ゼッケン・はちまき、拡声器等を所持又は着用したままの無断立ち入り、ビラ貼り、ビラ配りを禁止します。
地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反の行為については、当局には地方公務員法第29条1項1号、2号、3号、第32条、第33条、第35条の適条により、懲戒処分等に付す権限、もしくは地公労法12条によって解雇する権限があることについて注意を喚起します。
また当該争議行為は違法であり、労組法1条2項は適用されないので、争議行為に際し、ないし付随して積極的な業務遂行妨害、犯罪構成要件該当行為がなされる場合には、違法性が強く推定され、厳正に対処せざるをえないので注意を喚起します。
 この警告書のメリットは、従来組合側の論理に屈従し、ストライキ時に非組合員やストに消極的な組合員に業務命令して操業を維持することをしていなかった方針はあらためることを明確に示したことである。
全員に就業命令を徹底し、法的拘束力などないスト指令からの離反を促す。ストライキ前日は、就労できる職員を申し出させるなど努力により、就業命令に従い出務する職員を多くすることを管理職の責務とする。
参照判例 全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408は、警告書を職員全員に交付している。全日本国立医療労組事件.最三小判平14.11.26労判840の一審東京地判平11.4.15判時1724によれば職員には掲示だけだが警告書の文面が記載されている。旧郵政省の例では事前に職員に就労意思を確認し就労意思を表明しない職員に業務命令を発出している(昭和48年4月27日(4時間スト)、昭和50年12.8.1(8時間スト)熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523、国鉄末期の昭和61年2月15日の千葉動労ストでは、電車の運休を減らす努力として津田沼機関区等が乗務員に対し「私は、昭和 年 月 時 分 私の意思で就労することといたします。ついては、組合のストライキ指令に従うことなく、駅(区、所)長の命令する業務に従事いたします。」との確認書を提出させている(国鉄清算事業団事件.千葉地判平5.3.15)。
警告に加えて事前に職員に職務命令書を交付している例として北九州市の昭和43年10月8日1時間スト(北九州市清掃事業局事件.最二小判昭63.12.9民集42-10-850)、北海道釧路支庁昭和41.10.21、昭43.10.8の事案(北海道釧路支庁事件.札幌高判昭56.2.29労民32-5-231)などがある。
近年では、北教組の平成20年1月20日の1時間ストがあるが、道教委は30分以上職務離脱者全員一律戒告処分としたが、地公労法11条1項が適用される単純労務職員が戒告処分を不当として救済を申立たが、道労委の平成23年6月24日命令書(中労委データベース参照)に「1月29日、 G 養護学校の O 校長は、朝の職員打合せにおいて職員に対してストライキに参加しないよう指導し、所属長訓示を掲示の上、職務命令書を B を含む職員に手交した。」とある。本件は札幌高裁が救済命令取消、最高裁棄却。
(十九)ストライキ当日の集会の中止・解散命令、職場復帰命令の徹底
 私が見聞きしたストの集会場所は、品川営業所は構内駐車場、江東営業所は構内駐車場+庁舎内練り歩くデモ、西部支所は来客用駐車場、中野営業所は構内駐車場で、新宿営業所は事務室内シットダウンストライキに近く、執務場所を40名ほどが占拠する業務妨害罪態様の悪質なものだった。
 管理職はスト集会の中止.解散命令、職場復帰命令、就業命令を行っていない。職員部監察指導課の指示は集会場所と人数を報告することにはなっているが、国の官公庁のようにストライキ決行に際し就業命令等の職務命令をすることは指示していないからである。今後は、就業命令を義務付ける。方法は口頭、携帯マイクのほかプラカード等に職務命令を記載して周知する。その際、反抗する場合も想定しスト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。
 旧郵政省や林野庁のスト集会は、庁舎構内ではなく、近隣の集会施設、公園やその他の場所で行われることが多いが、その場合でも管理職は監視し、職場復帰命令を徹底して行っているので、これを努力義務とする。
 また国の官公庁では、ストで指導的な役割を果たした者と率先助勢者は記録し、現認検書を上申することになっている。これまで本部中闘をのぞいて各事業所で勤務する組合役員、組合員は懲戒処分の方針とせず、組合の見解や方針に従っていたが、今後は、現認検書上申を義務づける。具体的には組合旗掲出、工作物、ビラ貼り等スト準備、ピケッティングの指導.実践、スト集会の演説者、頑張ろう三唱の音頭取りのすべて。
 なお、非組合員をスト対策本部として召集するのは、違法行為の取り締まりだけでなく、管理職が職務命令をしているか否かの監視役でもある。義務に反し組合と結託したり、組合に業務管理されてしまった場合は告発をスト対策本部長が受理するものとする。
 就業命令の法的根拠を示す主な判例 神戸税関(全税関神戸支部)事件.最三小判52.2.20民集31-7-1101、全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408、大阪高判昭57.2.25民集39-7-1478、最二小判昭60.11.8民集39-1-1375、北九州市清掃事業局小倉西清掃事務所事件.福岡地判昭51.7.22民集42-10-940、福岡高判昭57.4.27民集42-10-997、最二小判昭63.12.9民集42-10-880
(二〇) ストライキ時、営業所の必要業務の管理職対応は原則としてやめる
 営業所の必要業務とは窓口対応と、電話対応だが、営業所長ともうひとり管理職が派遣されて対応するのが通例になっているが、令和元年12月10日の新宿営業所の1時間ストでは、そもそも組合がスト決行の貼り紙をしていたので窓口に来所する方は一人もいなかった。また電話もお客様センターから取り次いだ苦情の電話1本しかなかった。これは管理職か組合側かわからないが、営業所では通常8時30分より前は、営業時間は8時半からで、緊急の要件はお客様センターへ電話をおかけくださいといったアナウンスが流れ、電話がかかってこないことになるが、留守電は8時半に解除にするが、留守電を解除していなかったのかもしれない。ストにより実質お客様センターに負担がかかっている在り方である。
 管理職対応は当局の方針だが組合の意向を受け容れている、本来は、非組合員やスト反対の組合員に業務命令し出務させ、操業を維持すべきだが、組合がスト完全防衛のため非組合員や組合員に業務命令して操業を一部でも維持することを認めない方針なので管理職対応としており、ストに対抗した業務命令を認めないと方針自体が正常な業務運営ではなく、今後は要員を確保すべく業務命令し、管理職対応はやむをえざる場合に限定するものとする。
(二一)非組合員の出勤時限前の入庁を締め出し「事故欠勤」とする方針を廃止する
1 職員の就労する権利と法令遵守義務を否定する東京都の管理職の悪質さ
 この問題詳細は、「第Ⅰ部のⅤ-二-(八) 非組合員の就労する権利を侵害する管理職の行為について」のとおりであるが、基本的に東京都では1960年代の価値観であるピケットラインを尊重するのが労働者階級の倫理的義務だというような左翼思想にもとづき、非組合員は組合役員にスト協力の説得に応じ、ピケットラインを越えないとべきであるという指導を職員にする。実態として、東京都水道局では私の知る限りでは、組合員は全員近くストに参加し、非組合員も組合の説得に応じ、就労せず、庁舎構内の片隅で待機していることほとんどであり、ストに協力せず破っているのは自分以外ほとんど知らないのである。非組合員の事故欠勤も含めて事実上同盟罷業の参加率が非常に高く、全水道東水労は令和元年77.2%と組織率は高いとはいえ(少数組合の自治労連東水労1.1%)なので非組合員もそこそこいるが、ほとんどすべてと言ってよいほど職員は職務から離脱する。私企業のユニオンショップのストのような状況になっている。
 
東京都ではスト決行時に、職務離脱者がほとんどすべてになってしまうのは、東京都は違法争議行為を組合の正当業務と事実上認め、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという最高裁が否定しているプロレイバー学説に従って、管理職は非組合員やスト反対の組合員に業務命令して操業を維持することがあってはならないという組合の方針に屈従しているからである。
東京都では最高裁が否定するプロレイバー学説に従うのが絶対的価値になっていて、組合との力関係で、東京都の管理職は就業命令を絶対やらないことになっている。
 しかしこれは異常なことである。国労でも、動労でも、全逓でもストライキの際、組合の指令でなく当局の業務命令に従っている職員は少なからずいる。
東京都では職員全般に対し、違法行為として事前警告をしていないこと。就業命令していないことと、平成22年.26年、令和元年、過去3回の同盟罷業は26名ほど支部長が訓告とされているが、履歴に載るだけで、これは懲戒処分ではない。各事業所の組合役員は懲戒処分のおそれなく違法行為が慫慂でき、組合活動で絶対不利益賦課させないという組合の方針に従っているためである。
さらに非組合員には事故欠勤にするというストに協力する運用があって、職員は組合の説得に応じやすい環境にあるためである。
ちなみに、昭和44年11月13日の北九州市の市労、市職及び市職労1時間30分時限スト(実際は早く終了)の参加者 門司区880名中330名(38%)、小倉区1760名中500名(28%)、八幡区1710名中340名(20%)で、就業命令書を交付したり、懲戒処分も厳正に対処している自治体ではスト参加率は決して高くないのである。
 
組合は非組合員に対し出勤簿(現在はICカードリーダ)を押すことは許されないと言ってくるが、管理職も全く同じで、平成7~8年頃の江東営業所は東一副支所長が非組合員は、入庁せず出勤簿を押さす構内屋外で待機せよと命じている。私はそれに逆らって就労したので管理職から非違行為扱いにされたわけである。
平成21年ストはなかったのだが、私が中野営業所長にストが決行されても就労すると申し出たところ、所長はまず組合分会役員と相談し、職員部と連絡をとったうえ、中野営業所○○はが私に指図したことは、まず出勤時限の8時30分以前の入庁を認めない。従ってICカードリーダの操作により出勤入力(IDカードを通すか、職員番号をテンキーで入力する)をしてはならない。事故欠勤にすると強い口調でいい。事実上の出勤停止命令である。
事故欠勤というのは就労実態がなくても賃金を受け取れる制度で、反発すると、○○は賃金を出すと言っているのに従わないのは非常識だとなじってきた。
むろん、職員は上司の職務上の命令に従う義務があり、それが組合との共謀で不当なものであろうと、各職員に審査権はないので本来は従うべきだが、就労せずに詐欺的に賃金を受け取る汚いことはやりたくないし、職員は非組合員であれ組合員であれ就労の権利と義務(法令遵守義務.職務専念義務.信用失墜避止義務)がある。水道局長が形式的とはいうえ服務規律の確保と指示している以上、職権を逸脱している、服務の基本的義務である就業規則をやぶり、違法行為することはできない。
この争議行為対応は違法性が顕著なので、その理由を以下述べる。
2 非組合員の就労する権利の否定は違法
非組合員の就労権の行政解釈は「労働組合の統制力は、原則として労働組合の組合員以外には及ばないから、‥‥正当な就労を妨げることはできない。なお、労働協約等において代替要員雇入禁止の条項が規定されていない限り使用者が争議中必要な業務維持のための代替要員を雇い入れ、その業務を続けることは、労働組合の争議行為に対する使用者の対抗手段であって、そのことが妥当かどうかについては状況によって異なるが、それ自体は違法とはいえない」(昭和29年11月6日労働省発労第41号各都道府県知事あて労働事務次官通牒。)である。
非組合員と統制権が及ばない組合員(脱退した組合員、争議に反対する第二組合員、組合執行部が争議中止を決定したが執行部に反対する争議続行派が就業派、臨時雇用者)に対する物理力を行使して就業を阻止するピケットについて、最高裁は、特殊な事情や可罰的違法論の適用により無罪とした例外的二例を除きすべて有罪の判断を下しているので、非組合員は、当然就労権を主張できると結論する。以下はいずれも争議行為が合法である私企業等の判例である。
例えばホテル.ラクヨー事件最判昭32.4.25刑集11-4-1431(就労しようとする非組合員に体当たりするピケ)、羽幌炭礦鉄道事件最大判昭33.5.28刑集12-8-8-1694(争議続行決議に反対して脱退した組合員が結成した第二組合に加わった労働者+非組合員に対する実力ピケ)、進駐軍横浜事件最判昭33.6.23.刑集12-10-2250(非組合員+争議に加わらなかった組合員に対する実力ピケ)。東北電力大谷電所事件最判昭33.12.25刑集12-16-1255(臨時雇用の非組合員に対するピケ)、嘉穂砿業事件最判昭35.5.26刑集14-7-868(嘉穂労組執行部は上部団体の炭労の指導による争議の中止と炭労からの脱退も決定したが、上部団体支持の争議続行派が、就労派砿員+争議に加わってない職員に対してピケットを行った例)が挙げられる。
上記の判例は使用者が、ストライキ中であっても、非組合員、反対派ないし脱落組合員、第二組合員、臨時雇用者を使って操業する自由を是認するものでもある。
また、下級審判例においては、非組合員の就労権と組合員の争議権は対等であり、非組合員の就労権を明示するものがある。
例えば横浜第二港湾司令部駐留軍要員労組事件.東京高裁判昭33.3.31『別冊労働法律旬報』№204.1955であるが
「労働組合は、その所属構成員に対してのみ、労働力のコントロールを加えうるものであって、構成員以外にまでこれを強制しえないことは、労働法上の基本理論であるから労働組合が組合員の労働力を統制してストライキを継続することが、当然の権利行使であると同時に、非組合員が右ストライキに同調しないで就業することも、また当然の権利行使であり、右の争議権と就業権とは対等の立場に立ち、互いに並行する関係にあるものと解すべき‥‥非組合員らは、いずれも自己の自由意思によって‥‥労働組合に加入せず、原判示ストライキにも参加しなかったものである上に、就労しようとしたのは、ストライキに同調して就労しないでおれば、その間賃金による収入が中絶するばかりでなく、職場を馘首されるおそれがあったため、‥‥非組合員ら就労しようとしたことは、正当な権利の行使というべきであり、従って、かかる権利の行使に対しては、ストライキ参加者において、これを積極的に妨害することは許されないものといわなければならない。‥‥」
 しかし東京都では争議行為が違法であっても非組合員の就労を認めないことで違法である。
3 組合の統制を受けないで就労する権利の否定は違法
 争議行為が禁止されている公務員の職場においては、組合のストライキ決議や指令は統制権により組合員を拘束しない。違法争議行為に内部統制権はなく、組合のストの勧誘、説得を受忍する義務がないということは、いずれも公労法17条1項の事案で、いずれも、刑事免責を認め争議行為に好意的な中郵判決が判例を維持していた時期だが昭和47年から下記7判例がある。
 東京都の管理職が就業命令等をやらない別の理由として、違法ストライキであっても団結統制権で、組合の決議で、組合員を争議行為参加に拘束できるという考え方を事実上受けいれているという問題がある。
全水道東水労スト権一票投票は、毎年11月初め頃に、11月半ばの都労連闘争と、12月の局内合理化闘争、2月末に3月の春闘につき行われる。高率で批准されるのが通例である。ちなみに令和6年は10月31日にスト権一票投票がなされ、92.77%で批准した。
投票用紙の裏面は、ストライキが批准されたら、団結して本部指令に従って行動しますと言う趣旨の文言がある。
組合側の主張は、団結統制権により組合員をストライキ態勢から離脱しないよう拘束している。組合役員のスト指導は、指令にしたがって組織の義務として行っているもので、個別責任は問われないというものだが、当局は鵜呑みにして、事実上闘争期間組合の支配下にある各職員に業務命令はできないものとしている。
しかし私企業のユニオンショップとは違って、争議行為は違法なので、組合員でも本部指令に服従する義務はない。
〇国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634は組合の統制権について理論的に説示し「公労法に違反して行われる争議行為とこれに対する組合員の協力義務関係について考察する。同法違反の争議行為に対する直接の効力(争議行為の参加)については、これを組合員に強制することはできないと解すべきである。禁止違反の争議行為の実行に対して刑罰や解雇等の不利益な法的効果が結びつけられている場合に、その不利益を受忍すべきことを強いるのが不当であることはいうまでもなく、また、右のような不利益を受ける可能性がない場合でも、法律は公共の利益のために争議行為を禁止しているのであるから、組合員が一市民として法律の尊重遵守の立場をとることは是認されるべきであり、多数決によって違法行為の実行を強制されるいわれはない。‥‥」
これだけでなく争議行為にも刑事免責を認めた中郵判決が維持されていた時期に、争議行為に可罰的違法なしとしながら、三公社五現業に適用される公労法17条1項違反の争議行為については、組合員であれ、争議行為の勧誘、説得を受忍する義務はなく、違法争議行為参加を団結統制権により拘束されないとしており、そもそも統制権の及ばない非組合員も同じことである。
●全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却) 
全逓の2時間の同盟罷業それ自体は中郵判決に従って可罰的違法性なしとしながら、全逓の要請で神奈川地評が動員したスト支援者の約200名のマスピケは争議行為に付随する行為として別個の法的評価をとり、機動隊に暴力をふるった2名の公務執行妨害罪の成立を認め以下のとおり説示している。
「公共企業体等の職員および組合は公労法一七条一項により争議行為を禁止されているのであるから、組合自身も組合員もこれを行なつてはならない義務を負っているこというまでもない。それゆえ、組合としては組合員に対して同盟罷業への参加を強制することのできない筋合いのものであり、これを組合員の側からいえば、各組合員は、法に従うべきであるという建て前からも、また自らが解雇等の民事責任を負わないためにも、組合の指令にもかかわらず、同盟罷業に参加することなく就業する義務を負うとともに権利を有するものである。‥‥公共企業体等の組合がたとえ同盟罷業の決議をしても、その決議は違法であって民間企業の組合の場合のように組合員に対し法的拘束力をもつものではなく、組合員としてはその決議に従わずに就業しても、特段の事由のないかぎり組合の統制に対する違反ないしはいわゆる裏切りの問題は生じない‥‥同支部所属の各組合員が原判示当日出勤就業しようとしたことも正当な行為であって、組合側としてその入局を実力を用いてまで阻止することを正当ならしめる特段の事情があったものとは認められない。」
●動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30判タ300 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)●国労岡山操車場駅.糸崎駅事件.広島高判昭48.9.13 ●国労尼崎駅事件.大阪高判49.4.24判時734号40頁   (上告審-最一小判昭52.10.20 刑事裁判資料230号812頁 棄却)● 動労鳥栖駅事件.福岡高判昭49.5.25判時770号113頁(上告審-最三小決昭50.11.21判時801号101頁 棄却)● 国労東和歌山.和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19
「国労が企てた本件ストライキが違法なものであることは明らかであり、組合がストライキの決議をしたとしても、組合員に対してストライキへの参加を求めることは組合の統制権を理由としても違法であることに変りはなく、組合員は組合の要請に従ってストライキに参加すべき義務はなく、就労の意思をもつて出務している場合においては、その受忍義務のないことは一層明白であって、まして組合は、非組合員に対してストライキへの参加を強制すべき権能を有するものではない」
 上記は公労法の判例だが、地公労法を別異に解釈する理由はない。したがって、組合員にも就労の権利が、東京都は統制権がないのに、警告と就業命令をあえてやらないことにより統制権を認めるようにアシストしていることで違法性が強い。
4 地公労法11条2項違反の疑い
 私企業で作業所を閉鎖して労働者の就業を拒み、労働者側の自主管理運営を阻止することをロックアウトという。これは11条2項で禁止されている。
 しかし、水道局の管理職は、就労したい職員を締め出して出勤入力をさせない。就労も認めない方針なので、ストライキに対抗するロックアウトとは性格が違い、スト完全防衛をアシストする目的だが、この条項違反の疑いがある。
 この点は、事故欠勤にするので就労せずとも賃金を支払いっているので、ロックアウトに値しないという反論が想定できるが、事故欠勤は就労実態なく賃金を受けとる詐欺的な不正会計であるから、8時29分まで入庁して出勤入力させないという。ストライキに反対の職員に対する措置は、作業所閉鎖に准じた措置として違法性がある
4 「勤務時間等規程」「処務規程」「事務処理要領」違反の強要は職権を逸脱で違法性が強いのでやめる
 東京都水道局出勤記録修正懲戒処分事件.東京高判平26.2.12労判1096は、水道局の管理職が72回につき出勤時限に遅れた上、そのうち71回につき部下に指示して出勤記録を修正させたとして停職三月という重い処分を適法とした事案であるが、「東京都水道局においては,所定操作によって出勤記録を自ら入力することは,『勤務時間等規程』『処務規程』『事務処理要領』などの規程上、職員の基本的な服務上の義務であり」と説示している。
 水道局長は形式的に服務規律の確保を示達している。しかし東京都水道局の管理職は、ストライキ時は、規程に反し基本的な服務上の義務をなすことは許さないとするのである。示達に反しているのではないか。
 これは地方公務員法第32条 「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い‥‥」の服務上の基本的義務を否定することになり、違法性が強い。
 現場の管理職に服務上の基本的義務を否定する権限はない。職権を逸脱した行為である。
 しかもその目的が地公労法違反のストライキを防衛する違法目的なので余計に悪質である。
5 ストライキ時の非組合員の事故欠勤は不正会計で、違法性が強い
 
事故欠勤とは水道局処務規程55条の「交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できないときは、その旨を速やかに連絡」すれば遅延証明を根拠として、遅刻しても賃金カットされず、実質出勤扱いにする制度であるが「交通機関の事故等の不可抗力の原因」とストライキは違う。非組合員であれ組合員であれ、組合に職場離脱を慫慂されたとしても、それは地公労法違反の違法行為であるから、説得を受忍する義務はないことは既に述べたとおりである。
私は江東営業所で複数の組合員が取り囲む、包囲型ピケッティングで罵声を浴びせられることはあれ、腕を抱えられたり、逮捕行為をされたことはなく、スクラムを組むようなマスピケはない。
しかし「ピケットラインの尊重」は労働組合主義の左翼思想にすぎず、ストに参加しない権利の方が正当なので不可抗力ではない。組合側も逮捕行為や強制連行、物理的に通行を阻止するマスピケか威力業務妨害罪となるのである。昭和48年久留米駅事件以降、犯罪該当構成要件行為に可罰的違法性論は適用されなくなったので、不可抗力はありえないのである。
ノーワーク.ノーペイの原則からして就労していない職員に賃金を支払う必要はない。不正会計であると同時に、ストに参加している組合員は、賃金カットし、その補償は、組合の闘争資金から出される。しかし非組合員には補償できないので当局にその肩代わりをさせているとみるほかない。この慣行は同盟罷業の慫慂と同じことでありやめるべきである。
仮に事故欠勤を認めるとしても、威力業務妨害罪、逮捕罪の犯罪構成要件該当行為があった場合に限定し、刑事告発もしくは、懲戒処分との見合いですべきである。
処分 ストライキ時の勤務実態なく事故欠勤した者は申請した者も、承認した管理職も原則として懲戒処分の対象とする。ストライキ時、出勤入力をするなとか、ピケットラインを越えるなといった指示を非組合員等に行った管理職も同じである。
(十九)積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為は許容しない 
地方公営企業において単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も違法行為であるが、全水道東水労のストは争議権のある私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質であり、当局はそれを許容し犯罪を助長することに邁進している。
既に威力教務妨害罪は時効であるが、令和元年12月20日の1時間ストで、新宿営業所では事務室の検針担当執務エリアを40人程度で占拠して集会する態様で、物理的に業務遂行を不可能にするシットダウンストライキである。また水道局ネットワークシステムを起動するためのセキュリティIDカードをストの時間帯隠匿される業務阻害があった。これには組合役員でない当時○○○○収納担当課長代理及び当時収納担当の森静江が関与している疑いが強く、外形上業務妨害罪の構成要件該当行為である。
ところが○○所長は(現サービス推進部業務課長.本庁要職)、積極的業務妨害を全面容認し、中止.解散.就労命令は一切やらない。スト指導者といえる集会の演説者、○○○○、○○茂雄、○○○○(支部.分会役員いずれも現杉並営業所勤務)について現認検書の上申しないと言っていた。そればかりか○○所長は、ピケッティングに立って私を出ていけと恫喝し、集会でも演説してストを指導した○○茂雄を主任に昇進させている。違法行為を指導して処分されないどころか昇進するのが東京都の倣いである。
犯罪構成要件該当行為の是認は当然という認識のようであるが、それは刑事免責を肯定した中郵判決が判例を維持していた昭和40年代の考え方で、先例は、刑事免責を否定した名古屋中郵判決方式の判断枠組になるから、違法性が阻却されることはありえない。
職員部から就労命令等の指示はないため、職員部の指示どおり動き、犯罪構成要件該当行為容認がコンプライアンスとなっている。管理意思を示すことを義務づけ犯罪を成立させるべき。
処分 新宿営業所の態様は威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為なので、刑事告訴か指導者の懲戒処分は加重されてしかるべき。
(二十)昼当番拒否闘争の協力は拒否し就業命令する
東京都水道局営業所では、昼休みに窓口と電話では2名、大きな営業所では3名、昼当番といって、休憩時間を午後1時以降にずらして、所長の命令により勤務する。月に1~2回は当番をすることになるが、平成23年10月31日~2日と4日昼休み当番拒否闘争がなされた。労働協約で休憩時間を午後1時以降にずらして業務命令できることになっているので、事実上組合による労務管理、労務指揮権の奪取だが、水道局は闘争、争議行為を認める方針で一貫している。
代務として管理職を動員して対応している。昼当番拒否者は、不完全就労であるが○○所長から直接賃金カットしていないと聴いた。
足立営業所の監理団体業務移転の提案に反発して突発的にスト権一票投票もやってないのに、突然分会委員長が当局の提案に反対するため2名配置の昼休み当番を引き上げ、電話と窓口を管理職対応とすると宣言。組合役員が管理職に指図して仕事をさせるいやがらせである。当番の職員の代務者に組合役員となり、管理職に仕事を押し付けるが後ろにみえないところで控えていて、経常業務に不慣れな管理職に質問があったら、こう端末を操作するとか、回答するとか、指図する役となる。中野では昼当番は窓口のレジと電話と2人体制であるので、営業所長(後に監察指導課長、労務課長の○○○○)と、もう1名は西部支所配水課もしくは給水課管理職が応援体制であたっていた。
正常な業務運営ではなく、地公労法11条1項違反だが、当局は争議行為と認定していない。
この闘争はその前は10年前くらいで、めったにやらないが、唯々諾々と管理職が組合役員の指揮下におかれる必要はないので拒否、業務命令し、従わない場合は戒告以上の処分が妥当である。
(二十一)組合役員による労務指揮権の奪取による、業務妨害、業務管理は拒否
 
平成26年1月28日~2月下旬に当局は争議行為と認めていてないが、中野営業所監理団体への業務移転拒否闘争があった。1月24日スト後も争議行為は続行し、中野営業所では業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。2月20日停職中の本部書記長渡邉洋が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、これに先立ち1月29日本部委員の今井博之が勤務時間中のオルグのほか職員部人事課の監理団体派遣説明会の前でピケを張り業務を妨害した。
○○所長は外来者の本部委員の勤務時間内オルグ、退去命令できず、人事課説明会ピケ容認、組合の移転準備の業務命令をさせない工作により、管理職は職務命令を凍結して闘争に加担している。
○○分会書記長は、課長補佐(営業係長)に対し、移転業務のため固定資産.備品の帳簿の現品確認に来た本庁サービス推進部の職員を追い返せと指図した。組合に協力しないとまずいことになりますよと恫喝し、本庁職員は追い返された。さらに○○は○○所長に業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為といえる。
違法争議行為とは同盟罷業だけではない。本庁から固定資産.備品の帳簿と現品の照合という業務で出張してきた職員を追い返しのだから重大な業務妨害なのである。
北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-7民間ディーラー整備員の入構拒否を争議行為と認定したようにまさに争議行為である。
最終的には組合はしかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。業務移転は7月移転で決着することとなった。実力で3か月移転を遅らせたことを組合は誇っている。
管理職の業務命令ができないというガバナンス問題は全く解決されていない。所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。
事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応としては業務命令するしかないはずだし、それはサービス推進部から指示されているはず。
組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。
本庁業務課では管理職が業務命令できると思っているのかもしれないが、それが通用するのは本庁部局内部のみと思われる。出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権.施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。
以上述べた○○分会書記長の行為は、地公労法11条1項違反行為であり悪質である。
今後も全水道東水労は中野営業所のような徹底抗戦をやる可能性もありうるので組合の恫喝により労務指揮権を当凍結しないよう、ガバナンスを徹底する必要があり、このような場合、特別査察チームを派遣して、組合に業務管理されないよう万全の体制をしくべきである。
本部中闘以外懲戒処分にしない方針から、本部委員や分会役員はなにをやっても責任は問われないという職場の慣行というものが、非常に大きな悪影響を及ぼしている。
(二十二)同盟罷業の懲戒処分の在り方を改める。
(懲戒処分の在り方の是正  安心して違法行為ができる職場を改革すべき)
全水道東水労の過去3回の同盟罷業の懲戒処分等は以下のとおりである。
★平成22年12月10日 1時間スト
同盟罷業私の記録では23年2月3日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名(下水道局職員含)の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく人事記録に載るだけなので痛くない。スト集会参加の組合員は賃金カット(組合が補償する)
★平成26年1月24日 1時間スト  同盟罷業 争議行為が続行(中野営業所業務移転拒否闘争)しているにもかかわらず処分は26年2月5日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職18日2人、停職16日1人、停職7日1人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。スト集会参加の組合員は賃金カット
★令和元年12月20日 1時間スト
同盟罷業 令和2年2月6日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職13日1人、停職10日1人、停職7日1人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分。スト集会組合員は賃金カット
東京都は懲戒処分の対象は組合の機関責任のみを問う形式で、水道局の全水道東水労の場合、本部中央闘争委員のみにしぼっており、実際に各事業所でストを指導している本部委員.支部.分会役員等が懲戒処分に付されることはない。各事業所の組合員は組合活動で不利益賦課させないという組合の方針に従った対応になっているので、安心して違法行為の慫慂「あおり」「そそのかし」という違法行為ができる職場となっている。安心して違法行為ができるのである。
これは、争議行為は違法であっても団体たる労働組合の行為としての、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であるから、指令に従って組織の義務としてストを指導している個々の組合役員は責任を問われないとするプロレイバー学説を当局が呑んでいるためだが、この組合側の主張は、全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示したことであり、最高裁が明示的に否定しているので、東京都の懲戒処分方針は左翼体質で異常である。
各事業所でスト集会の実行行為者、ストに指導的役割を果たした場合は、本部委員、統制委員、支部.分会役員のほか、無役の組合員、管理職においても率先助勢した場合は、戒告以上の処分の対象とする方針に改めるべきである。
私案は事業所スト集会毎の指導者につき最低一人は戒告にする。悪質な場合は複数以上の処分で量定も加重する。
また、年間3~4回恒常的に行われている3割動員勤務時間内職場集会であるが、当局も争議行為と認めているので賃金カットだけはする(組合が補償するのが通例)。争議行為と認定しているのは、佐教組懲戒処分事件.最一小判昭63.1.21が3割.3割.4割休暇闘争を争議行為としているためだろうが、動員1回につき3時間程度の欠務であるから、年間9時間ぐらい動員に行っている組合員はざらにいる。ベテランの組合員ではスト参加も含め累計100時間以上欠務している人も沢山いるはずである。例えば3年間で15時間の欠務といった基準で戒告等処分対象とすべきである。
(二十三)庁内管理規程で禁止の保険勧誘行為が認められている問題
とにかく、水道局の庁舎管理は私的利用が暗黙のうちに認められたりおかしなことが多い。業務移転の前、平成25年以前中野営業所で一番威張っていたのは委託業務の日常清掃員の〇〇で、清掃委託業者はしょっちゅう変わっているのに組合役員経由で元請にたのみこんで20年以上雇用され居ついていた。20年いるわけだから、何がどこにあるとか一番よく知っているわけです。個室が与えられ、物置の半分以上野菜だの私物が持ちこまれ、自宅の物置のように勝手に使って、行政財産の目的外使用、私的利用は当然になっていた。高齢者人材センターとかけもちで、個室は待機する時間に休憩するため使っている。時間と仕事の内容は自分が決めるんだと言っていた、一番待遇がいいんです。私は清掃の検査業務もしていたので仕様書に書かれているとおり仕事しろと言っても、言うことを全然きかないし、監督業務をしている職員を見下すんですよ。所長席の机を毎朝雑巾で拭くんだけれども、それは契約にはない仕事で、所長に媚びるために余計なサービスをしている。庁舎管理にルーズなところを外部の人間にも利用されているんです。
水道局庁内管理規程で、保険勧誘行為は第五条で禁止されている。但し庁内管理者が特別の事情があり、かつ、公務の円滑な遂行を妨げるおそれがないと認めて許可した場合は、当該許可に係る行為をすることができるとしており、禁止事項解除ができるので、庁舎管理者の意向しだいで、禁止事項でも容認できるルーズなものとなっている。
そもそも禁止事項で積極的に認める理由がないもの認めてしまっているのはコンプライアンスに反する。
私は昭和59年水道局には多摩ニュータウン水道事務所に勤務していたが、昼休みには保険勧誘員が所内に入って営業活動をするのが常であった。ちらしやアメが配られていた。他の事業所も、保険勧誘員に地域の情報を聞けて昔はよかったとか、保険勧誘員に縁談を世話してもらった人もいるというような話を仄聞するので、相当入り込んでいた状態と考えられる。
しかし、個人情報保護との関連で、執務室内には入れないようしたが、現在の職場では、エントランスや廊下までは立入ることができ、休憩時間の勧誘活動を認めている。あくまで外来者には勧誘せず職員だけ。昼休みだけということ認めているということだが、庁内管理規程で禁止である以上、局の公式の方針は禁止である。行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)許可の申請もなく口頭でほいほい容認するような事案ではない。
むろん営業所には料金その他の窓口もあるので一般住民も出入りするが、あくまでも、所轄業務になんらかの所用がある業者や住民の一時滞留であって、その他の営業活動のため無許可で立ち入らせる必要はない。
 公民館や公園のように住民に開かれた施設ではないので目的外使用を不許可として当然よいのである。
禁止されているのに認める必要はないと前から管理職には苦情を言っているが、当然のように勧誘を認めているのはおかしい。ルーズな庁舎管理になっているのは庁舎管理権の発動がタブーという職場風土にあるのではないかと考えている。
執務室内に入れないのは効率の悪い営業活動と思えるが、オフィスビルのセキュリティが厳しくなったこともあり、庁舎管理がゆるいことで知られているためか水道局には少なくとも4社が営業活動を行っている実態がある。私に声をかけてきた勧誘員はワンノートに記録してあるが、明治安田生命、第一生命、住友生命、日本生命である。
しかし、庁内管理規程で保険勧誘は禁止事項であるので認める必要は全くないのに、私が平成24年ころ中野営業所でも、課長補佐が執務室内に入らなければ、エントランス廊下での勧誘活動を認めたので、抗議したところ本庁で認めていいんだとのこと。西部支所長にも抗議した。目的外使用許可の問題も言ってあるが、とにかく管理者は認めたいということのようだ。私は間違って料金を払いにきたお客様に保険を勧誘しないかひやひやしている。
苦情はないというかもしれませんが、わざわざ支払いにきて、保険の勧誘を受けたらなんで勝手に出入りさせているんだと怒る人がいると思いますよ。
わたしの職場ではかなりの頻度で昼休みに勧誘員がエントランス、エレベータ付近とそこから25メートルほど廊下に入ったシュレッダーのある場所などに立って、職員に声をかけるような形で勧誘活動がなされる。
複数社が競合する場合も多い。
 平成22年~23年の記録の一部
11 月15日  勧誘員二人確認、新人が捕っていた。
11月25日 勧誘員一人
11月26日 勧誘一人
11月30 日 11時50分頃勧誘員一人
12月8日  カードリーダ前に一人いて営業活動商品説明をしていた。
12月9日  正午、勧誘員から挨拶される
12月10日 勧誘員と女子職員が話している。
12月17日 きょうも勧誘員 女子職員と話。
 12月20日 勧誘員二人
12月23日 きょうも勧誘員二人
1 月11日  正午前に勧誘
1月20日  一人勧誘員
1 月27日 昼休み勧誘員二人、第一生命の今森ですと言いしつこく、2回声をかけられたのでうるさいと言ってやった。トイレに行って声をかけられ、キャップを洗いにいってまただ。
1 月31 日 午前エレベータ近く一人勧誘員に声をかけられた。
2 月8 日 奥に1人、エレベータ前に1人、それぞれ職員を捕まえていた。
2 月18日  エレベータ前二人12時45分
  平成24年頃の中野営業所では組合掲示板で、中央労働金庫の営業活動が予告され、打ち合わせスペースなどで。無許可で行われていた。それは公式に申請して、今でも中央労働金庫の金融商品は宣伝のちにしはくばられているし、平成27年頃の世田谷営業所太子堂分室でも若手の職員をあつめて中央労金の営業活動が勤務時間内でもおこなわれていた。それはいいと思います。組合員の福利厚生のために提携関係のある金融機関の商品をあっせんすることも組合活動だという名目で、目的外使用許可申請を出させたうえで、特別の事情により許可すればよいことである。
 それは組合活動への便宜供与であって、平時は認めてよいわけです。労金を認めるから、第一生命や住友生命も認めるみたいな発想は間違っている。
(二十四)組合の時間外労働規制に都合よく作られている水道局庁内管理規程の問題
 庁内管理規程に(門扉閉鎖後の出入り)という項目があるが、知事部局の東京都庁内管理規則と違うのである。
第十二条 庁内管理者は、門扉閉鎖後又は日曜日、休日等に庁舎に入ろうとする者があるときは、次の各号に掲げる場合を除き、これを拒否することができる。
一 職員については、当該職員が門扉閉鎖後又は日曜日、休日等に勤務に服する旨、当該職員の所属の勤務命令者からあらかじめ庁内管理者に届出がある場合
二 外来者については面会先の承諾がある場合又は料金等の払込み、修繕等の申込みをする場合
 平成20年水道緊急隊工務係に勤務していたとき、庶務経理関係の仕事で忙しくて土日出勤もしていた。管理職が土日出勤は組合協議が必要で、1か月前に出さなければいけないと言うので、これは実質認めないという趣旨なので、協議せずに働くのでもちろん手当なしの奉仕していた。平成20年の3~4月は56日間休日なしのこともあったし(超勤は30時間で組合協議が必要ない範囲内で水特隊の3月はとっていた)、月120時間残業の月(緊急隊ではすべて無償)もあったが、和泉庁舎の待機者みていて私が組合と協議せずに土日出勤しているのをみていて、告発するので、みられないよう遅くなって夜が暗くなってから帰るので余計長時間働いていたのですが、平成20年6月14日 (土)8時43分に最大震度6強の岩手・宮城内陸地震があって、私に地震に関係なく出勤していたが、緊急隊長の佐藤が地震対応で出勤してきて、なんで組合協議もなく土曜出勤しているんだと非違行為扱いされ怒りだし、その根拠が12条の一ということで、規程違反といわれた。これは組合協議でなければ出勤させないという業務規制で組合に都合がよくできていると思った。一方で門扉を閉めたあとでセキュリティを破って深夜や未明に出入りするスト待機は認めている。
12条の一は、知事部局の庁内管理規則は、職員等については、用向き及び職員カード又は身分を証する書類の提示がある場合土日出勤は拒否できないことになっており、組合との協議に関係なく、仕事で入庁できるのである。組合が三六協定(時間外労働協定)の趣旨で土日出勤を規制する趣旨を庁舎管理の規則に盛り込んでいるのは不適切だし、緊急時にも三六協定で排除されかねない。組合の方針にもとづいている東京都水道局庁内管理12条の一の削除が妥当である。
 なお、たぶんオリパラの警備対策で組合対策でないと思うが、庁内管理規程は令和年以降改訂され以前のようにスカスカなものではなくなった。それは良しとしても、やはり業務外の集会、演説行為の禁止の明文がないのは大きな欠陥であり盛り込む必要がある。
(二十五)夏28度、冬20度の通達の温度設定は出先の庁舎では守られていない
 現在の職場では冬全館空調24度湿度も高くて暑すぎ、小池都知事推奨のウォームビス、下着を重ね着したりすると汗だくになるような状態になる。というのは湿度を高くできる強力な空調なので、湿度が高いと24度でも下着2枚重ねるとかなり暑いのである。この苦情は水道特別作業隊のとき平成19年に管理職に言ったが、かんかんになって怒られた。
温度設定について文句がいえない状況にある。
くわえてエリア空調もある。杉並営業所は夏は全館空調26度で湿度が20%代まで下がるし、風も舞うのかなり涼しいうえ、エリア空調4器を20度設定まで下げたうえ、暑がりの○○が、扇風機をかけまくるので、頭痛がして喉がいたくなるオミクロンの症状が出るのである。それで私は夏は冬服長袖を着て防衛している。暑がり職員の声が大きく温度設定は全くまもられない。私は29度でも湿度が低いので相当涼しく感じるが、とにかく温度を下げないときがすまない人が勝手に空調を設定してコントロールされてない。庶務経理でコントロールしている全館空調もそもそも設定温度が違う。温度監察をすべきである。
  
(二十七)組合による目標管理制度の自己申告形骸化闘争に管理職が屈している問題
 2024年10月31日の西部支部ニュースでは自己申告中間報告について
面接の強制は行わない
書き方の強制は行わない
目標の数値化を求めない 以上は管理職と確認した。
自己採点シートはB以上に統一
コピーを分会に提出
といったことが書かれていたが、南部支所系列の世田谷でも同じだった。目標管理制度とは1990年代に民間企業で流行したもので、多くの企業で導入されている。ピーター.ドラッカーが1954年にManagement by objectivesと呼ばれる目標管理制度を提唱し、社員が自ら目標を設定し、その進捗や実行を主体的に創意工夫でき達成感を与えることのできる制度として流行ったのである。
 東京都でも平成中葉に制度化され、職務に位置づけられているが面接の拒否を認めよとは労務指揮権の掣肘である。
特に問題なのが数値目標を書いてはいけないという方針で、目標管理制度で数値目標の記載はタブーというのは異常で三流企業の人事管理でもありえない。制度の趣旨は捻じ曲げられ、実質形骸化しているといってよい。
 実際令和元年に新宿営業所の○○課長代理が、新人2年目の職員に対して数値目標を絶対書くな、それをすると出世できないよと脅していた。職制が組合の方針を伝えるのである。
 数値目標を書けといえないというのは労務指揮権の掣肘であり、正常な業務運営ではない。
(二十八)営業所における勤務時間内浴室のシャワー利用の問題
 私の職場では組合役員の○○○○がグループウェアで職員全員に、地下にある洗濯室とシャワー(浴室)を積極的に利用してくださいと通知していて、利用の仕方の詳細はご相談くださいと浴室のシャワー利用を、当局との合意があるのでうながしている。当局も認めている。利用の仕方は〇〇自身が勤務時間内にしているので勤務時間内でよいとといことのようだ。さかんに推奨しているわけである。
 ただ職員の中にはグレイゾーンだという人もいて、当局組合合意の方針に疑問を持っている職員もいるのである。
私はシャワー利用の在り方は見直し、最高裁判例により労働時間とはみなされないのだから、賃金カットの対象として管理されるべきであると考える。
 シャワーは入浴ではないという理屈で、トイレ利用とおなじように勤務時間中職務離脱してOKという考え方だか、
しかし国鉄池袋電車区.蒲田電車区事件.東京地判昭63.2.24労民集39-1-21は国鉄蒲田電車区において、終業時刻の30分前から洗身施設で身体汚染を洗身して退区することが慣行とされ、池袋電車区でも、作業内容にかかわらず日勤勤務者が勤務時間中に洗身入浴する慣行があった。国鉄の職場規律の乱れが政治問題となった昭和58年に就業規則違反として禁止され、指揮監督を離脱したものとして職員賃金基準規定にもとづき賃金カットした事案で、勤務時間内の洗身入浴が電車区長の承認の下に長期間反覆継続されて行われてきたとしても、電車区長は就業規則で定められた勤務時間を短縮する権限を付与されておらず、また、身体汚染の除去は顔、手足の洗浄及び衣服の更衣等によって可能であり、勤務時間内の洗身入浴が必要不可欠なものであったとは認められないなどとして労使慣行として成立していたとはいえないとされ、賃金減額の措置が、不当でないとされ、確認書が取り交わされたとしても、電車区長は就業規則の改正をもたらすことになる労働協約を締結する権限を有しないから、洗身時間についての有効な労働協約は成立しないとした。 国労は、国鉄末期に勤務時間内の入浴の要求を取下げている。
 三菱重工長崎造船所事件.一審長崎地判平元.2.10労判534は、昭和48年4月三菱重工長崎造船所が完全週休二日制実施に伴い勤怠把握方法を変更し、洗身入浴等について所定時間外にするよう命じた事案で、少数組合が労働基準法上の労働時間に該当すると主張し、賃金の支払を請求したものである。
「作業後の洗身については、労働安全衛生規則625条が、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではなく、また洗身入浴は一般に本来の作業を遂行するうえで密接不可分な行為ともいえないので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情がない限り原則として洗身入浴は使用者の指揮監督下における労務の提供と解されず、これに要する時間は労働基準法上の労働時間には該当しないというべきである‥‥」として請求を棄却した。
控訴審一審の判断を維持。上告審(一次訴訟.組合側上告)最一小判平12.3.9も棄却。
最高裁は、労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」としたうえで、「実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができず‥‥洗身等に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しない」と判示した。
 洗身入浴とシャワーは同じと考える、全裸になって洗うのだから。コンプライアンス上、最高裁判例により労働時間とはみなされないのだから、賃金カットの対象として管理されるべきである。
 また○○は時間外でも朝にシャワーを利用しているのを令和元年新宿営業所でみた。自宅でガスや水道を節約するために職場でシャワーを浴びるというせこい根性をもっており、労働衛生施設として時間外であっても利用の仕方は規制すべきである。百歩譲っても事務職員は重筋労働をやっているわけでなく、ごみやバキュームカーの作業員で臭いがつく作業でもない以上、洗身入浴を積極的に奨励する理由はない。水道局だから水は使い方ほうだいでいいと考え方も問題である。
 浴室利用の内規を見直し、コンプライアンス上問題がないようにすべき。
🔶勤務時間中の洗身入浴の問題について(詳論)
平成15年当時千代田営業所ではYという職員がほとんど毎日16時半前後20分程度、就業時間中にシャワーのために離席していた。私はこれを禁止するよう管理職に訴えたが、所長、接客業務として身だしなみを整える行為としてシャワー利用は当然のように認められなくてはなららないとし、上司の許可など必要ないと断言、小便等の生理現象でトイレを利用するのと同様勤務時間中に離脱もさしつかえないといたぶん組合側が用意した見解を述べ、むしろあなたのように汗臭くお客に不快さを与えてけしからんとし、勤務時間中のシャワー利用をそそのかされたばかりでなく、これについて強く抗議したことなどを理由として、勤務不良として昇給延伸の処分の理由の一つとなり異動希望も出していない部署に転勤させられた。
もちろん、上司の命令が違法行為であったとしても、職員に違法か否かの審査権はないので従わなければならないし、集団的労働関係にあって、職員個人は労働条件について交渉対象ではないので、質問しても当局は回答は義務付けられてない。不服でも従うのが筋といわれるかもしれないが、私の見解自体は以下のとおり間違ってないと思う。
〇洗身入浴は労働時間に含まれないということは下記に引用する平成12年の最高裁判例により確定している。労働安全衛生規則六二五条は、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではないからである。しかし平成15年に千代田営業所で閲覧した入浴に関する内規によると、入浴とは浴槽につかった入湯のことでてシャワー利用のみでは入浴とは定義されないとし、汚れたときは上司の許可があれば就業時間中であってもシャワーを浴びてよいと記載されて
おり、無許可で認めるというのは、内規にも違反しているし、シャワーは入浴じゃないから、勤務時間中の利用可能にしている内規自体もおかしい。
〇勤務時間中の洗身入浴は債務の本旨を履行したものとはいえないし、職務専念義務違反、みだりに離席してならないとする就業規則に反する行為の慫慂であり、営業所長には規則にない職免を付与し労働時間を短縮させる職権はないはずで、所長は管理職しての裁量権を逸脱するものと考えるし、そもそも浴室は汚染を伴う業務に就いた者の労働衛生上の施設で、身だしなみやさっばり汗を流して帰宅するしたり、自宅でガスや水道を節約するために、職員の福利厚生施設として利用されるべきものではないのである。
〇昭和15年当時千代田営業所で組合支部長が毎日、就業時間の後に洗身入浴していた。しかし就業時間外だからよいとは考えない。なぜなら、同人は営業係でデスクワークだけで、身体が汚染する仕事はしていないのである。シャワー利用は身体又は被服の汚染を伴う業務についている者に限定されるべきである。
〇別の部署の内規(水道特別作業隊)をみたが、営業所とは違い勤務時間内に入浴できるのは、管工事等現場作業で著しく汚れがあった場合、16時半以降に上司の許可があった場合に認めると書かれていた。したがって、重筋労働もしていない、たんに外勤があるというだけのケースでは就業時間中は認めていない。したがって営業所の対応を疑問に思う。
〇管理職の説明に常識にも反している。私は判例にもあるとおり通勤に際し支障となるほどの著しい汚染がない限り、シャワーは必要がないとの考えであり、組合に業務指揮権、施設管理権を掣肘されている状況があるといえる。
〇住民に対して渇水時は節水を呼びかけ、環境計画でも水使用量は削減する目標なのに、職員のシャワーはじゃんじゃん使えという管理職の見解が当然視される企業風土はおかしい。
1 洗身入浴時間は労働基準法32条の労働時間に該当しないと最高裁で確定しているのに勤務時間内洗身の有給入浴を認める東京都水道局
三菱重工長崎造船所事件・.一審長崎地判平元.2.10労判534は、昭和48年4月三菱重工長崎造船所が完全週休二日制実施に伴い勤怠把握方法を変更し、洗身入浴等について所定時間外にするよう命じた事案で、少数組合が労働基準法上の労働時間に該当すると主張し、賃金の支払を請求したものである。
「作業後の洗身については、労働安全衛生規則625条が、使用者に対し、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けしているだけで、労働者に洗身入浴させることまでも義務付けるものではなく、また洗身入浴は一般に本来の作業を遂行するうえで密接不可分な行為ともいえないので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情がない限り原則として洗身入浴は使用者の指揮監督下における労務の提供と解されず、これに要する時間は労働基準法上の労働時間には該当しないというべきである‥‥」として請求を棄却した。
控訴審一審の判断を維持。上告審(一次訴訟.組合側上告)最一小判平12.3.9も棄却。
最高裁は、労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」としたうえで、「実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができず‥‥洗身等に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しない」と判示した。
 したがって組合と洗身入浴時間を労働時間に含めその時間の賃金請求権を認めるという合意があったとしても、当局が公式に勤務時間中の職務遂行上、洗身入浴を義務づけてない以上労働時間には含まれないという結論になる。
2 勤務時間中の洗身入浴は、指揮監督から離脱し債務不履行として賃金カットできるとする下級審
国鉄池袋電車区.蒲田電車区事件.東京地判昭63.2.24労民集39-1-21は国鉄蒲田電車区において、終業時刻の30分前から洗身施設で身体汚染を洗身して退区することが慣行とされ、池袋電車区でも、作業内容にかかわらず日勤勤務者が勤務時間中に洗身入浴する慣行があった。国鉄の職場規律の乱れが政治問題となった昭和58年に就業規則違反として禁止され、指揮監督を離脱したものとして職員賃金基準規定にもとづき賃金カットした事案で、勤務時間内の洗身入浴が電車区長の承認の下に長期間反覆継続されて行われてきたとしても、電車区長は就業規則で定められた勤務時間を短縮する権限を付与されておらず、また、身体汚染の除去は顔、手足の洗浄及び衣服の更衣等によって可能であり、勤務時間内の洗身入浴が必要不可欠なものであったとは認められないなどとして労使慣行として成立していたとはいえないとされ、賃金減額の措置が、不当でないとされ、確認書が取り交わされたとしても、電車区長は就業規則の改正をもたらすことになる労働協約を締結する権限を有しないから、洗身時間についての有効な労働協約は成立しないとした。 
国労は、国鉄末期に勤務時間内の入浴の要求を取下げている。
昭和40年代の北九州市の清掃事業局では勤務時間内に洗身入浴を認めていた。当時はゴミだけでなく屎尿(バキュームカー)の処理もやっていたので、洗身入浴しなければ通勤が著しく困難といった特段の事情に当たると解釈してもいいだろう。
力士は取組のあと支度部屋で入浴するが、お相撲さんは個人事業主なので労働者と同列に議論できない。平成15年この問題をつついたことにより、不利益処分の理由になっており、組合の既得権優先思考の東京都の管理職には悪者扱いされているので、遺恨がある。
現在の状況はどうかというと、令和元年新宿営業所に転勤したとき、組合役員で庶務担当の○○○○が転勤者に庁舎内の施設を案内し、更衣室に附属している、洗濯機とシャワー室を案内し、いつでもいいから利用せよとしきりに利用をすすめ、○○自身は勤務時間前によくシャワーを利用していた。私は家で水道代とガス代を払って入浴すべきだと思うが、朝登庁してシャワーで汗を流して、ガス代と水道代を節約するのはせこいと考える。
令和6年に夜間待機が、水道緊急隊の業務となったため、これまで夜間待機当番やっていた人が、当番制で浴室の清掃をしていたが、夜間待機業務が廃止されたので浴室の清掃は、配水課などと、営業所で回り持ちとなり、しかし実際は利用者は少なく、風呂掃除をする人が少なくなって困っているために○○は○○に組合要求として委託業務で風呂清掃をさせよと言っていた。
いずれにせよ、造船所のような重筋労働でも洗身入浴は労働時間に含めないことになっている。国労は昭和時代に勤務時間内の要求をやめたのである。でも水道局は今でも勤務時間内に事務職でもシャワーは勤務時間内自由とされ、労働時間に含めている。水道局だからいいじゃないかと言われるかもしれないが、局の環境計画では電気や紙と同じく、水道使用量を減らすことになっているのである。
だからといって勤務時間外だからによいというものではなく、あくまで労働衛生上の施設という位置づけであるなら、水道代やガス代を節約するために職場で風呂をすますという利用の仕方には問題があるので、規則で明文化することは慎重にした。
現在は内規で運用しているが実際は内規に勤務時間内のシャワーは上司の許可が必要としているとこめ実際には無許可利用で内規も守られていない。この問題は別途見直すこととして、当面この問題は「上司の許可を得ないで、執務場所を離れ」てはならないという規則で対応することとする。
当局が、どうしても勤務時間内のシャワーを認めたいのなら、浴室に入っていた時間を申告させ、賃金カットとすべき。
第Ⅲ部 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき.国会議員と知事、都議会議員へ要望 
 私鉄総連組合員の春闘ワッペン着用を規制すべき、会社に取り外し命令をするよう特に国と都が株主の東京メトロの労務管理の是正を要望します。
これは一旅客公衆の立場から公式の請願ではなく、たんに非公式な意見具申です。
 私鉄総連加盟の組合のある民鉄の駅員や乗務員が、直径7~8センチの円形の春闘と記載されているデザインのワッペンを毎年2月15日頃から3月中旬頃まで胸章として着用するのが通例になっている。私が知る限りでは、鉄道では東京メトロ、東急、東武、京成、京急、京王(但し京王は着用しない駅員もおり他社と温度差がある)が恒例である(なお小田急の鉄道部門で春闘ワッペンは見たことはない。西武は私鉄総連ではないから論外、関西や地方の状況は把握してない)。バスの運転手もつけているし、制服を着用せず、ワッペンをつけた制服を吊り下げている東急バスの運転手など過去にみたことがあるが、バス運転手の態度も非常に不快だがさしあたり鉄道を問題にする。
 駅員や乗務員が勤務しながらワッペンによる春闘の宣伝をしていることは不快。目につきます。会社は職務に専念させるべきである、雇用契約の債務の本旨にしたがった履行でないことを許しているのは労務管理として怠慢である。
 ワッペンは、私鉄総連組合員として意思表示をし、相互の団結と使用者に対する示威、旅客公衆に対する春闘への連帯を訴えかける活動といえる。勤務時間中に職務の遂行に関係のない行為または活動をするときは当然に職務に対する注意力がそがれるから、旅客公衆が不快、不安に思うのは当然のことである。
 具体的な要求項目の記載はない。ワッペンの記載は、民鉄協会と合同して行っている「公共交通利用促進」というスローガン、西暦と「春闘」、私鉄総連の英訳の頭文字、電車やバスのデザインである。
 しかし「春闘」とは2月ころから労働組合が一斉に賃上げ等を要求する闘争を意味することは明らかであり、近年はこれが目立つようになっている。
 業務外の徽章.胸章.腕章等の着用を禁止する就業規則を定め、適正良好な職場環境を維持し規律のある業務運営体制を確立するため最高裁が案出した企業秩序論に基づく労務管理、取り外し命令を徹底し、JRの国労バッチのケースでは、指導に従わない場合、夏季手当の減額という不利益賦課がなされた。それをやるべきである。
 もちろん気にしない人も多数いるだろう。しかし乗務員.駅員の業務が旅客公衆の身体、財産の安全にかかわるものとして、特に強く要請される職場規律の保持を確保するという観点で業務用でないワッペンの着用は規制されてしかるべきなのである。
 春闘と書かれている以上組合活動であり、有名な中川幹郎チームの名判決、リボン闘争の大成観光ホテルオークラ事件東京地裁昭和50年3月11日判決労判221号が「本来労働組合が自己の負担及び利益においてその時間及び場所を設営しておこなうべきものであつて、このことは負担及び利益の帰属関係からして当然の事理に属する。ところで、勤務時間中であるという場面は、労働者が使用者の業務上の指揮命令に服して労務の給付ないし労働をしなければならない状況下のものであり、まさに使用者の負担及び利益において用意されたものにほかならないから、勤務時間の場で労働者がリボン闘争による組合活動に従事することは、人の褌で相撲を取る類の便乗行為であるというべく、経済的公正を欠く」と批判したとおりで、それがワッペンであれ同じことだ。
 中川判決では、リボン闘争がホテルサービスに求めている休らい、寛ぎ、そして快適さとはおよそ無縁であるばかりでなく、徒らに違和、緊張、警戒の情感を掻き立てることが特別違法性とされているが、民鉄もホームライナー等快適な輸送のサービスで集客しており私が知る限り、京王の車掌はワッペンを着用し、春闘との連帯を訴える行為をされることは同種のことがいえる。
 この論点については、JRの労務管理が圧倒的に優れている。就業規則に「社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない」とあり、業務上の徽章以外の着用を禁止し「くまんばち」はもちろん春闘ワッペンよりずっと小さい縦1.1㎝、横1.3㎝の四角形国労バッチの着用を禁止し、徹底してきた。平成中葉には着用者はいなくなった。要するに民鉄もJR並みの労務管理を要求する。
 春闘を宣伝するワッペン着用は、企業秩序維持と職務専念義務違反もしくは雇用契約の債務の本旨に従った履行ではないとして就業規則(もしくは労働協約)で禁止し、着用した者は軽微であれ懲戒処分等不利益賦課の対象とすべきであると要求したい。
  もっとも基本的には鉄道会社の労使関係の問題であって、政治が介入すべきことではないかもしれないが、公共交通機関という公益性の強い事業で、しかも旅客公衆に接客対応の駅員もそれをつけているのだから、一般市民や乗客からの非難にこたえるべきである。
 ちなみに目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13以降の企業秩序論判例は、抽象的危険説をとり、具体的業務阻害がないことを理由に組合活動が正当化されることはないことを明示している。
 つまりワッペンを禁止するのに具象的な業務阻害を説明する必要はない。2014年2月15日午前0時半すぎに、東急東横線元住吉駅で、大雪の影響で電車が追突し乗客65人が負傷した事故があった。2月15日というと東急では春闘ワッペンを着用しだす時期である。事故の原因については究明されていることであり、その時、運転指令室や乗務員がワッペンを着けていたかどうかは知らない。仮に着けていたとしても春闘ワッペンを意識した雑念が事故と関係しているという根拠はないから無関係だろう。しかし、ワッペンはたんに抽象的な理由、それが目に触れるため春闘を意識し他の社員の職務専念義務を妨げるおそれがあるというだけでも企業秩序をみだすものとして禁止できるのである。
 とりわけ東京メトロは、国と東京都が株主となっている特殊会社である以上、国会議員や都議会議員が労務管理に口出ししてよいはずである。永田町駅の駅員もやってます。国会議員は不快ではないのか。
 具体的法的根拠、判例については、前記三-(四)業務外の徽章・胸章・腕章の禁止121頁 全水道東水労の春闘ワッペン規制の提言と同じなので参照されたい。
主な参照判例等
 ●〇は労働組合.被用者.住民側からみた勝敗 第Ⅱ部でビラ配りについては類型別にまとめた。
●山田鋼業事件.最大判昭25.11.15刑集4-11-2257(生産管理)
●朝日新聞小倉支店解雇事件.最大判昭27.10.22民集6-9-857(非組合員による業務の遂行の暴行脅迫)
〇三友炭鉱事件.最三小判昭31.12.11刑集10-12-605
●ホテル.ラクヨー事件.最一小昭和32.4.25刑集11-4-1431(体当たりによる就労阻止)
●羽幌炭鉱鉄道事件.最大判昭33.5.28刑集12.8.1694(マスピケによる罷業脱退派と非組合員による出炭業務阻止)
●進駐軍横浜(駐留軍横浜陸上輸送部)事件.最二小昭33.6.20刑集12-10-2250(非組合員運転のバス輸送を止める妨害)
●東北電力大谷発電所事件.最一小昭33.12.15刑集12-16-355(電源スト.会社側から臨時に雇われたがスト破りの代替雇用者のピケットによる阻止)。
●四国電力財田発電所事件.最一小昭33.12.25刑集12-16-3627(スクラムを組んで会社側の業務を妨害)
●嘉穂砿業事件.最一小判昭35.5.26.最一小判昭35.5.26刑集14-7号-868 (鉱員の組合と、職員の組合が分かれていて、鉱員の労働組合のみがストライキを実行中、争議行為に加わっていない職員が就業のために出勤するに際し、炭労傘下の嘉穂砿業労働組合員数百人が、ピケを強行突破しようとする職員組合員甲等に体当たりするなどして十数回にわたり押し返した)
●国鉄檜山丸事件.函館地判昭36.4.8●札幌高裁函館支部判昭37.7.3判時308●最二小判昭38.3.15刑集17-2-23(職場集会の指令点検、指導等のために、船長の制止を振り切り乗船した国労青函支部執行委員ら刑法130条艦船侵入罪とする)
◯都教組勤評反対闘争事件.東京地判昭37.4.18判時304●東京高判昭40.11.16判時437最大判昭44.4.2刑集23-5-305(1日一斉休暇闘争)
◯全逓東京中郵職場離脱事件.東京地判昭37.5.30●東京高判昭38.11.27判時363○最大判昭41.10.26刑集20-8-901○差戻後控訴審東京高判昭42.9.6判時509(単純不作為職場離脱)
●国鉄檜山丸事件.函館地判昭36.4.8●札幌高裁函館支部判昭37.7.3判時308●最二小判昭38.3.15刑集17-2-23(職場集会の指令点検、指導等のために、船長の制止を振り切り乗船した国労青函支部執行委員ら刑法130条艦船侵入罪とする)
●全司法仙台支部事件.福島地判昭38.3.27 下級裁判所刑事裁判例集5-3.4-309●仙台高判昭41.3.29判タ190●最大判昭44.4.2刑集23-5-685(安保反対.あおりの罪)
○全農林警職法事件.東京地判昭38.4.19判時338●東京高判昭43.9.30判時547●最大判昭48.4.25刑集27-4-547(あおり.あおりの企ての罪)
●米空軍立川基地出勤停止処分事件.東京地判昭和38.5.14労民14-3-733●東京高判昭40.4.27労民16-2-377●最三小判昭49.11.29訟務月報21-2-421(休憩時間の集会)
●津電話局懲戒解雇事件.名古屋地判昭38.5.20労民14-3-777
◯横浜中郵事件.横浜地判昭38.6.28判時341号、●東京高判.昭41.8.26判タ202号◯最大判昭45.9.16刑集24-10-1345破棄差戻 8対6、●★差戻後控訴審東京高判.昭47.10.20判時689●差戻後上告審最一小決.昭49.7.4判時784(支援者によるマスピケ、公務執行妨害.久留米事件方式で有罪)
●全逓名古屋中郵事件.名古屋地判昭39.2.20刑集31-3-517○名古屋高判昭44.10.29●最大判昭52.5.4刑集31-3-18(郵便法違反幇助、建造物侵入)
〇全逓名古屋中郵第二事件.名古屋地判昭39.2.20刑集32-2-139●名古屋高判昭45.9.30刑集32-2-148●最二小判昭53.3.3刑集32-2-97(臨時小包便搬出の業務妨害.名古屋中郵事件方式で有罪)
▲国鉄小郡駅事件.最三小判昭39.11.24刑集18巻9号610頁(ビラ貼り.建造物侵入罪.軽犯罪法は時効)
◯東京都水道局時間外労働拒否事件.東京地判昭40.12.27労民16-6-1212◯東京高判昭43.4.26労民19-2-623
●仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件.仙台地判.昭41.1.8刑集27-5-1170〇仙台高判昭44.4.1刑集27-5-1170●最二小判昭48.4.25刑集27-5-1115(三六協定未締結での就労者への暴力)
●動労仙台地本役員解雇事件.仙台地判昭41.1.31労民18-1-37●仙台高判昭42.11.6労民18-6-1101
○丸亀電報電話局事件.高松地判昭41.3.31労民17-2-405
○動労四国地本事件.高松地判昭41.5.31労民17-3-726 〇高松高判昭45.1.22労民21-1-37
○四国財務局勤評闘争(全財務四国地本)事件.昭41.6.23高松地判民集31-7-1256○高松高判昭46.12.13民集31-7-1433●最三小判昭52.12.20民集31-72-1225
●国労久留米駅事件.福岡地裁久留米支部 昭41.12.14刑集27-3-521)◯福岡高判昭43.3.26判時516号●最大判昭48.9.16刑集27-10-418●差戻後控訴審福岡高判昭52.10.25判時884(マスピケ)
◯尼崎駅ピケ事件.神戸地判昭41.12.16●★大阪高裁昭49.4.24判時743(線路上で渦巻デモや座り込 久留米事件方式で有罪) ●最一小判昭52.10.20刑事裁判資料203号812頁) 
●安西郵便局事件.最三小判昭42.2.7刑集21-1-19(特定郵便局長が拒否した組合の点検活動の立入を強行)
◯全逓灘郵便局リボン闘争事件 神戸地判昭42.4.6労民18-2-302●大阪高判昭51.1.30労民27-1-18(勤務時間中に「さあ!団結で大巾賃上げをかちとろう」と記載したリボン及び「全逓、灘郵便局支部」と記載した腕章を着用したことは就業規則に違反し、取外し命令に対する不服従を理由とする訓告処分を適法と判示。)
●日本鉄工所事件.大阪地裁昭42.4.47刑集29-7-468◯大阪高裁昭46.4.21刑集29-7-481●最二小判 昭50.8.27刑集29-7-442(逮捕行為.久留米事件方式で有罪)
◯春闘松山駅事件.松山地判昭42.7.10刑集32-2-191〇高松高裁昭46.3.26刑集32-2-204●最二小判昭53.3.3刑集32-2-159(マスピケ.名古屋中郵事件方式で有罪)
○長岡電報電話局事件.新潟地判長岡支部昭42.8.7判時491●東京高判.昭46.4.19判時638(管理者側のピケ突破実力行使)
〇長田電報電話局公務執行妨害事件.神戸地判昭42.9.30刑集32-2-895●大阪高裁昭50.11.12刑集32-4-914、●最一小判昭53.6.29刑集32-4-816
◯動労糸崎駅事件.広島地判尾道支部昭43.2.26.下級裁判所刑事裁判例集10巻2号195頁9マロ●★.広島高判昭和48.8.30判タ300(マスピケ.運転室占拠 久留米事件方式で有罪)●最一小決昭51.4.1
◯国労岡山操車場.糸崎駅事件広島地裁尾道支部昭43.6.10判時529号●★広島高裁 昭48.9.13判時727号(マスピケ.久留米事件方式で有罪)
●九建日報社救済命令取消事件.福岡地判昭43.8.30労民集19巻4号1092頁(ポスター貼付.諭旨解雇)
●全逓労組幹部解雇事件.東京地判昭44.6.17労民20-3-585
◯動労南延岡機関区事件.宮崎地判昭44.7.15刑集32-4-801〇福岡高判昭47.2.29刑集32-4-807●最一小判昭53.6.29刑集32-4-759(マスピケ.名古屋中郵事件方式で有罪)
〇七十七銀行政暴反対斗争事件.仙台地判昭45.5.29労民21-3-6891
●国鉄鹿ノ谷駅事件.札幌高判昭49.8.28判時764
〇神戸税関(全税関神戸支部)事件.神戸地判昭44.9.24民集317-1164、○大阪高判昭47.2.16民集31-7-1211●最三小判52.2.20民集31巻7号1101頁
〇青函連絡船渡島丸事件.札幌高判昭44.2.17
△中部日本放送リボン闘争解雇事件 名古屋地判昭47.12.22労民27-5-779△名古屋高判昭50.10.2労民26-5-762(就業時間中、社内及び取引先において、リボン、腕章、はちまき等を着用、正当な行為ではないが、解雇処分は懲戒権の濫用)
●長岡電報電話局解雇事件.新潟地判昭44.11.25労民20-6-1553、●東京高判昭56.9.30訴務月報28-4-665
〇浜松市役所事件.静岡地判昭45.3.6行政事件裁判例集21巻3号438頁
◯毎日放送千里スタジオ事件.大阪地裁昭45.4.4判時619〇大阪高裁昭47.1.31判時671●最一小判昭51.5.6刑集30-4-519(生放送中に騒音混入.久留米駅事件方式で有罪)
◯札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)札幌地判昭41.5.2判時449◯札幌高判昭42.4.27判時491〇最三小決昭45.6.23刑集24-6-311(マスピケ)
○目黒電報電話局事件.東京地判昭45.4.13判タ248.○東京高判昭47.5.10判タ276●最三小判昭52.12.13民集31-7-974(「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」プレート着用とビラ配布を理由とする戒告)
◯国労東和歌山駅事件.和歌山地判昭45.4.25刑事裁判資料201●★大阪高裁 昭50.9.19刑事裁判月報7巻9.10合併号826頁(マスピケ.久留米駅事件方式で有罪)
◯動労鳥栖駅事件.佐賀地判昭45.5.14●★福岡高判昭49.5.25判時770号(マスピケ久留米駅事件方式で有罪.●最三小決昭50-11-21判時801
●第七青函丸.長万部駅事件 最一小判昭45.7.16刑集24-7-475(オルグのため艦船侵入とマスピケ)
●浜松動労事件.最一小判昭45.7.16判時605(マスピケ)
●東京郵政局事件.東京地判昭46.3.18判時624は、(ビラ撤去業務の妨害)
◯佐教組事件.最三小判昭46.3.23刑集25-2-110 3対2(3割.3割.4割休暇闘争)
●平和タクシー争議事件.最三小判昭46.3.23刑集25-2-239(ビラ貼り.器物損壊罪)
●三井鉱山賃金カット事件.福岡地判昭46.3.15労民集22-2-268(ゼッケン着用)
●江戸川.昭島郵便局減給戒告.東京地判事件.昭48.6.28労民24.3.345
〇佐教組懲戒処分事件.佐賀地判昭46.8.10判時640判タ266、●福岡高裁昭58.5.27判タ501、●最一小判昭63.1.21判時1284、判タ266(3割.3割.4割休暇闘争)
○都教組勤評懲戒処分事件.東京地判昭46.10.15判時645,判タ230☆、●東京高判昭51.7.3判時835、判タ337、●最二小判昭52.12.23裁判所ウェブサイト☆
〇全逓都城郵便局事件.東京地判昭46.11.12判時658判タ270
●光文社事件.東京地裁昭47.4.3刑集29-10-962◯東京高裁昭48.4.26判時708●最三小判昭50-5-8刑集29-10-929(包囲型ピケ.逮捕行為.久留米事件方式で有罪)
○静岡県教委事件.静岡地判昭47.4.7判タ227、●東京高判昭52.3.15、●最一小判昭53.9.7
◯国労青函地本リボン闘争事件 .函館地判昭47.5.19労民23-3-347●札幌高判昭48..5.29労民24-3-257(制服の左胸に「大巾賃上げを斗いとろう、16万5千人合理化粉砕」と書いたリボンを着用したことは、職務専念義務に違反し、鉄道営業法第22条及び国鉄の服装に関する定めに違反
●静岡鉄道管理局沼津機関区事件.静岡支部沼津支部判昭47.7.15判時685
〇日本専売公社山形工場事件.昭47.11.27山形地判民集35ー3ー545●仙台高裁昭53.3.31民集35ー3-565●最一小判昭56.4.9民集35-3ー477
◯富士重工業原水禁運動調査事件.東京地判昭47.12.9判時687●東京高判昭49.4.26判時743○最三小昭52.12.13民集31-7-103
●動労幹部解雇事件.東京地判昭47.12.19労民23-5.6-637
○国労札幌地本ビラ貼り事件.札幌地判昭47.12.22判時709●札幌高判昭49.8.28判時764●最三小判54.10.30民集33-6-647
〇全林野西条分会宿直日拒否闘争事件.大阪地判昭48.3.27労民24ー1.2ー112、●大阪高判昭54.12.7労民30-6-1164
〇国労熊本地本事件.熊本地判昭48.10.4判時719
〇国労大阪地本半日スト事件.昭48.12.22判時731
●関西電力事件.神戸地裁尼崎支部判昭49.2.8判判時739●大阪高判昭53.6.29判時898●最一小判昭58.9.8判時1094
●墨田民商事件.東京地判昭49.3.27税務訴訟資料84号748頁●東京高判昭52.5.30判時882(税務署会計係長長による民主商工会員の庁内立入阻止行為)
●神田郵便局腕章事件 .東京地判昭49.5.27労民25-3-206(腕章取りはずし命令に従わないことを理由とした担務変更命令を放棄したことによる減給処分)●東京高判昭51.2.25訟務月報22-3-740(勤務中に赤地に白く「全逓神田支部」と染め抜いた腕章を着用)
〇動労盛岡地本半日スト解雇事件.盛岡地判昭49.6.6判時743、判タ308
●国労東京地本新宿駅事件.東京地判昭49.6.24判時757
●全逓東北地本事件.東京地判昭49.7.1民集32ー5-1064●東京高判昭50.3.30民集32-5-1139●最三小判昭53.7.18民集32-5-1030
○北九州市交通局12条解雇事件.福岡地裁昭49.11.19判時766●福岡高裁昭55.11.11判タ435●最二小判昭55.2.8 労判335、
●北見郵便局懲戒免職事件.札幌地判昭50.2.26判時771、●札幌高裁昭54.3.29判時940判タ397
●大成観光リボン闘争事件. 東京地判昭50.3.11民集36-4-681(花形から垂らした幅約2.5センチメートル、長さ6ないし11センチメートルの白の布地に「要求貫徹」等の文字を記載したリボン闘争「人の褌で相撲を取る類の便乗行為‥‥誠意に労務に服すべき労働者の義務に違背する」として争議行為としても、その他の組合活動としても正当性を欠くと説示した中川幹郎判決)●東京高判昭52.8.9民集36-4ー702●最三小判昭57.4.13民集36-4-6592(就業時間中の組合活動であって、労働組合の正当な行為にあたらない)
●動労天王寺地本一日スト地位保全仮処分事件.大阪地裁昭50.3.14判時774、判タ321
●全逓昭和瑞穂支部郵便局事件.名古屋地判昭50.4.30民集36-10-2109●名古屋高判最52.1.31民集36-10-2128●最二小判昭57.10.7民集36-10-2091(組合掲示板撤去.掲示の許可は、公法上又は私法上の権利を設定、付与するものではなく、また、国有財産法18条3項にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらない。)
〇全林野旭川地本(美瑛営林署)事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900●札幌高判昭57.10.27労民33-5-893●最二小判昭62.3.27判タ634
●動労甲府支部ビラ貼り損害賠償事件.東京地判昭50.7.15判時784使用者が無断ビラ貼りを「受忍」すべきいわれはなく、当該のビラ貼りは使用者の所有権ないし施設管理権の侵害にあたるとして、初めて労働組合及び組合員に不法行為に基づく損害賠償責任を認めビラはがし代142,300円の支払いを動労側に命じた中川幹郎判決
〇和教組懲戒免職事件.和歌山地判昭50.6.9判時780
□国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-163
●総理府統計局事件.東京地判昭50.12.24判時806、●東京高判55.訴務月報26ー9-1594●最三小判昭53.7.18民集32-5-1030
●国鉄田端機関区事件.昭51.1.22判時805、●最一小判昭56.4.6判時1001
○全林野広島営林署分会事件.広島地判昭51.4.21 判時812、●最三小判昭62.3.20判時1228
●岩教組学力調査事件.盛岡地判昭41.7.22判時462○仙台高判昭44.2.19判時548●最大判昭51.5.21刑集30-5-1178(あおりの罪.道路交通法違反)〇北海道立釧路診療所.札幌地判昭52.3.31労民32-5-623●札幌高判昭56.9.29労民32-5-593▲北九州市清掃局事件.福岡地判昭52.12.2労民34-2-183☆、▲福岡高判昭58.3.16労民34-2-169☆、▲最一小判平元.1.19労判540
◯全国税東京足立分会事件.東京地判昭52.2.24判時850●東京高判昭57.3.10労判385●最二小判昭59.1.27労判425(争議行為をそそのかす掲示物の自力撤去)
●動労北陸地本判決.金沢地判52.6.10昭43.9.12判時859●名古屋高判昭56.2.18判時1024
●日本エヌ.シー.アール事件.東京高判昭52.7.14労民28-5.6-411(ビラ配布.出勤停止処分)
●全建労事件.東京地判昭52.7.25行裁集28-67-680 (リボン闘争)
●信越郵便局事件.長野地判昭52.10.13訟務月報23
●北九州市清掃局年末休日勤務拒否事件.福岡地判昭52.12.2労民34-2-183、●福岡高判昭58.3.18労民34-2-169、●福岡高判昭58.3.16労民34-2-169、最一小判平元.1.19労判540
○北九州市交通局事件.福岡地判昭52.11.18判時874●福岡高判昭55.10.22労民31-5-1033●最小一判昭63.12.8民集42-10-739
〇全林野青森地本事件.青森地判昭52.12.13 判時885
●福教組内申抜き処分事件.福岡地判昭52.12.27民集40-2-37 ●福岡高判昭56.11.27判時1026、判タ459、最一小判昭61.3.13民集40-27-258
◯全逓釜石支部(大槌郵便局)事件.盛岡地判昭53.3.22刑集37-3-294◯仙台高判昭55.3.18判時979●最二小判昭55.4.8刑集37-3-215●差戻控訴審仙台高判昭61.2.3判時1194(ビラ貼り.建造物侵入罪)
●全林野三役18条解雇事件.東京地判昭53.7.14労民29-4-494●東京高判昭58.10.5労民349-5.6-861●最三小判昭62.3.20判タ634
●全電通一宮局事件.名古屋地判昭53.12.15労民29-5.6-776
●富岡営林署(全林野前橋地本富岡分会)事件.東京地判昭54.3.22労民30-2-457
〇恵庭営林署事件.札幌地判54.3.29労民34-5.6-831●札幌高裁58.9.28労民34-5.6-812
●新潟貯金局事件.新潟地判.昭54.3.30判タ396
○北教組(41~43年闘争事件)札幌地判昭54.5.10判時945判タ394 ▲札幌高判昭60.6.25判時1159▲最一小判昭4.9.24労判615
●全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408●大阪高判昭57.2.25民集39-7-1478●最二小判昭60.11.8民集39-1-1375
●全電通荻窪局事件 東京地判昭54.9.14判時954
●北海道開発局網走開発建設部事件.札幌地判昭54.10.9判時964、●札幌高判58.3.15訴務月報29-9-1709
●明石郵便局事件.神戸地判昭54.12.13訴務月報26ー3ー473
●東北電通局事件.仙台高判昭55.1.24 判タ420(ビラ貼り.建造物損壊罪)
●昭和49年春闘日教組スト事件.東京地判昭55.3.14判時967●東京高判昭60.11.20判時1177●最一小判平元.12.18刑集43-13-882)
●全逓新宿郵便局事件.東京高判昭55.4.30労民31-2-544.●最三小判昭58.12.20判時1102号(無許可集会等)
●北九州市病院局事件.福岡地判昭55.5.7労判341●福岡高判昭55.9.28判タ534●最三小判平元.4.25判時1336
●京都西郵便局(太秦郵便局)事件.京都地判昭55.6.6労民31-3-682
●長崎県職組事件.長崎地判昭55.9.8判時998●福岡高判昭60.9.26労判461、●最一小判平元.9.28判時1349判タ729
〇全林野川内営林署事件.東京地判昭55.11.17訴務月報27-4●東京高判昭61.8.14労判481
●帝国興信所岐阜支店事件.岐阜地判昭56.2.23判時1005(ビラ貼り.損害賠償)
●北九州市役所労組事件.福岡地判昭56.2.26判時1011
●北九州市職員組合事件.福岡地判.56.4.22労判365
▲校長着任拒否闘争事件.福岡地裁昭56.7.26判時1021、▲福岡高裁昭60.9.27判時1166判タ572、▲最二小判平1.9.8判例地方自治72
●北九州市若松清掃事務所事件.福岡地判昭56.8.24訟務月報28-1(ビラ貼り.戒告処分)。
●エッソ.スタンダード石油事件.東京地決昭56.12.25労民集32-6-988(ビラ貼り禁止仮処分申請)
●朝日新聞社西部本社事件.福岡高判昭57.3.5労民集33-2-231(ビラ貼り.懲戒処分)
●岩手県教組事件.盛岡地判昭57.6.11刑集43-13-1326●仙台高判昭61.10.21判時1216●最一小判平元.12.18刑集43-50-10-783●差戻後控訴審仙台高判平5.5.27刑集50-10-783●差戻後上告審平8-11-18刑集50-10-745
●三菱重工事件.東京地判昭58.4.28労民集34-3-279
●池上通信機事件.横浜地判昭58.9.29労判420●東京高判昭59.8.30判時1154●最三小判昭63.7.19判時1293(無許可施設利用集会)
◯明治乳業福岡工場事件.最三小判昭和58-11-1判時1100
●大栃営林署事件.高知地判昭58.12.19訴務月報30-7●高松高裁昭61.9.30訴務月報33-7
●東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442
●戸塚郵便局事件.横浜地判昭59.10.25.労民集37-4.5-407(ビラ貼り.落書き)
●北九州市現業職員給料表分離反対闘争等懲戒免職処分事件.福岡地判昭59.12.26判例地方自治13
●鹿児島県立大島高校等6カ所の学校施設目的外使用不許可事件.福岡高裁宮崎支部判昭60.3.29判タ574 
●郵政省下関局事件.山口地判昭60.3.19判タ566
●日東運輸事件.大阪地決昭60.5.16労判454(車両にビラ貼付禁止の仮処分申請)
◯総合花巻病院事件.最一小判昭60. 5.23労働委員会関係裁判例集20集164頁(施設利用拒否)
●埼玉県教組事件東京地判昭60.6.27刑集44-3-184●東京高判昭63.5.26刑集44-3-247●最三小判平2.4.17刑集44-3-1(あおりの罪)
●北九州市(43年闘争水道局)事件.昭60.6.26労判468、●最三小判平元.6.20労判552
●北海道開発局昭和48年事件.札幌地判昭60.9.24判時964
●福教組.福高教組事件.福岡地判昭60.12.16判タ588、●福岡高裁.平3.12.26労判639、●最一小判平5.4.8労判639
●国鉄千葉鉄道管理局事件.昭60.12.25
●福岡県教委(福教組.高教組事件)福岡地判昭60.12.26判タ588●福岡高判平3.12.26労判639、●最一小判平5.4.8労判639
〇済生会中央病院事件.東京地判昭61.1.29民集43-12-1821〇東京高判昭63.7.27民集43-12-1890.●最二小判平元年12.11民集43-12-1786(無許可集会)
●全商工事件.東京地判昭61.3.25 判時1189号 ○アヅミ事件.大阪地決昭62.8.21労判503
●国鉄甲府駅事件.甲府地判昭62.6.9労判500、●東京高判平2.2.28判時1346、●最二小判平2.10.19労判572
●仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464●仙台高判.平2.3.30●最三小判平5.3.2判時1457.判タ817
●北九州市(48年闘争)事件 (福岡地裁昭62.9.29 労判511-82頁)
●エッソ石油事件.東京地判昭62.12.23労判509(ビラ貼り禁止の仮処分決定の異議申立を却下したもので、「ビラは貼付されている限り視覚を通じ常時従業員等に対する組合活動に関する訴えかけを行う効果」に言及している)。
●灰孝小野田レミコン.洛北レミコン事件.東京地判昭63.1.14労判515(ビラ貼り禁止仮処分申請)
●福岡県職労(43年公務員共闘)事件.福岡地判昭63.3.15判例地方自治49●福岡高判平3.9.18労判601
●国労兵庫支部鷹取分会事件.神戸地決昭63.3.22労働判例517号52頁(ビラ配布禁止仮処分)
●ミツミ電機事件.東京高判昭63.3.31判タ682(争議中の集会、デモ、泊り込み、ビラ貼付.赤旗掲揚.懲戒解雇)
●熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523
●福岡県職労(43年公務員共闘)事件.福岡地判昭63.9.18判例地方自治49
◯国鉄鹿児島自動車営業所事件.鹿児島地判昭63.9.27 労民39-2.3-21〇福岡高判平元.9.18労民40-4.5-565●最三小判平5.6.11判時1466(26ミリ×26ミリの布製、NURの文字の大型組合バッチ離脱命令に従わなかった職員の業務外し、火山灰除去作業の業務命令)
●福岡県教委内申抜き処分第二事件.福岡地判昭63.10.5労判528、●福岡高裁平4.11.24労判620
●日本チバガイギー事件.東京地判昭60.4.25労判452●東京高判昭60.12.24労民36-6-785●最小一判平元.1.19労判533中労委DB(食堂使用集会不許可)
●全農林(82秋季年末闘争)事件.東京地判平元.10.31判時1331●東京高判令和7.2.28判タ877●最二小判平成12.3.17判時1710 
●オリエンタルモーター事件.東京地判平2.2.21労民41-1-16◯東京高判平2.11.21労民41-1-971●平7.9.8判時1546(従業員食堂利用の不許可)
○国労直方自動車営業所事件.福岡地判直方支部平2.3.30労判561、●福岡高判平4.9.24労判639、〇北海道釧路診療所事件.札幌地判平2.12.26労判578
●平和第一交通事件.福岡地判平3.1.16労経速1423(組合旗)
●国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件.東京高判平4.2.9労判617号29頁(無許可集会)
●熊本人勧スト事件.熊本地判平4.11.26判時1477.判タ814、●熊本高裁平4.11.12判タ1026、●最二小判平12.12.15労判803
〇大分県教組人勧スト事件.大分地判平5.1.19判時1457判タ814●福岡高裁平12.10.6判タ1108
◯国鉄清算事業団(千葉鉄道管理局)事件.千葉地判平5.3.15
●総評全国一般東京ユニオン.神谷商事事件.東京地判平6.4.28判時1493(ビラ貼り.損害賠償)
○国産自動車交通事件.最三小判.平6.6.7労働法律旬報1349
〇北海道教育委員会(学力テスト不実施)事件.札幌地判平7.5.30労判685
●社団法人全国社会保険協会連合会(鳴和病院)事件 東京地判平8.3.6労判693(組合旗掲揚)
●新潟高教組事件.新潟地判平成8.3.19判タ919●最二小判平.12.12.15労判803
●北海道教育委員会(北教組)事件.札幌地判平7.11.13労判691中労委DB"
○中労委(倉田学園学園事件).東京地判平9.2.27労民集48-1.2-20
●医療法人南労会事件.大阪地判平9.4.30労経速1641号3頁(ビラ貼付等)
〇北海道教育委員会事件.札幌地判平11.2.16
●全日本国立医療労組事件.東京地判平11.4.15判時1724●東京高判平12.11.29労判840●最三小判平14.11.26労判840
◯呉市立中学校教研集会目的外使用拒否事件.広島地判平14.3.18民集60-2-401〇広島高判平15.9.18民集60-2-471〇最二小判平18.2.7民集60-2-443
●広島県高教組「人事委員会報告説明会」県立高校体育館使用拒否事件.広島地判平14.3.28裁判所ウェブサイト
〇金融経済新聞社事件.東京地判平15.5.19労判858(無許可集会)
●広島県高教組定期総会学校施設使用不許可事件.広島地判平17.2.9裁判所ウェブサイト
●大阪市立人権センター事件.大阪地判平20.3.27判タ1300
●札幌市教委(北教組スト)事件.札幌地判.平成20.7.7判例地方自治311
●北教組事件.札幌高裁平20.8.29☆
●北海道.北海道教育委員会事件.平成26.3.26判時2250
○北海道.道労委(北教組)事件.札幌地判平26.3.31労判1136中労委DB、●福岡高裁平27.3.26労判1136中労委DB、●最二小判平28.6.3別冊中央労働時報1502中労委DB
◯●大阪市労連、市職、市従、学給労等組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2282
◯●大阪市労組.大阪市労働組合総連合組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2278
●大阪市教職員組合分会会議使用不許可事件.大阪地判平29.12.20判タ1452
●エッソ石油(出勤停止処分)事件.名古屋地判平6.10.17労判664号18頁(ビラ貼り.ゼッケン着用.店内デモ.ピケによる入退場阻止.出勤停止処分)
○本荘保線区国労ベルト事件 仙台高判秋田支部平4.12.25労判690◯仙台高裁秋田支部判平4.12.25労判690〇最二小判平8.2.23労判690(バックルに国労マークの入ったベルト取り外し命令に従わなかった組合員を就業規則の書き写しを命じる)
△九州女子学園事件.福岡地小倉地判平5.8.9労判714号77頁(煙突闘争.リボン闘争.ビラ貼付.プラカード闘争につき正当な組合活動ではないとしたが、解雇が解雇権の濫用とされた)な)。
〇JR西日本(国労広島地本組合バッジ)事件 広島地判平5.10.12判タ851、△広島高判平10.4.30判タ97(組合バッジ着用等を理由として夏季一時金の減率査定(5%カット)(組合バッジの着用行為のみを減率の理由とした者以外の減率査定には合理性が認められ,裁量権の濫用とはいえないとした)
△延岡学園事件 福岡高裁宮崎支判平5.10.20労判650(リボン闘争)
●西福岡自動車学校腕章事件 福岡地判平7.9.20労民46-5.6-1233(腕章着用闘争.戒告処分)
●七福交通事件東京地判平10.3.3労判738号38頁は営業用自動車へのステッカー貼付その他の理由による懲戒解雇を有効
●大和交通事件.大阪高判平11.6.29労判773(タクシーパレード)
●JR東海(懲戒解雇)事件。大阪地判平12.3.19労判790
●JR東海(国労東京地本新幹線支部バッジ着用)事件 東京地判平7.12.14判時1556●東京高判平9.10.30判時1626●最二小判平10.7.17労判744.中労委DB(組合バッヂ着用の厳重注意と夏期手当減額の措置を不当労働行為に当たらないとして都労委の救済命令を取消した原判決を支持)
〇JR東日本神奈川国労バッチ事件 東京地判平9.8.7判タ957◯東京高判平11.2.24判時1665(組合バッジ着用を理由とする訓告処分、夏季手当減額、業務外し「敵意と嫌悪感を露骨に示す言動を繰り返し」バッジ取外しの指示.指導等は「執拗かつ臓烈なもので,平和的な説得の域を大きく逸脱するものであり」「就業規則の書き写しの作業などは,嫌がらせ」である)〇最二小判平11.11.11労判770.中労委DB(て)
〇神戸陸運事件 神戸地判平9.9.30労判726 中労委DB(腕章着用を理由とする乗務拒否)
●延岡学園事件 宮崎地裁延岡地判平10.6.17労判752(リボン着用、生徒配布文書の配布、父兄等文書配布行為.解雇)
●国立ピースリボン事件.東京地判平18.7.26裁判所ウェブサイト
●全国一般労働組合長崎地本.支部(光仁会病院.組合旗)事件長崎地判平18.11.16
●自治労.公共サービス清掃労働組合ほか(白井運輸)事件.東京地判平18.12.26労判93(ピケッティング.損害賠償)
□全国一般労働組合長崎地本.支部(光仁会病院.組合旗)事件.福岡高判平20.6.25労判1004
●千葉動労事件.東京地判平20.9.17中労委DB●東京高判平21.7.22中労委DB(掲示板貸与、施設利用、団体交渉の勤務開放拒否)
◯国.中労委(医療法人光仁会)事件東京地判平21.2.21労判981◯東京高判平21.8.19労判1001(組合旗掲出)
●杉並区立○○中「夜スペシャル」目的外使用許可処分違法確認等請求事件.東京地判平22.3.30判時2087(私塾連携有料補習授業の目的外使用許可及び使用料免除を適法とする)
●JR西日本大阪国労バッチ事件 東京地判平24.10.31別冊中央労働時報1434中労委DB(国労バッチ着用を理由とする平成12年、13年の訓告と同年の夏季手当減額を不当労働行為とした大阪府労働委員会の救済命令につき、会社側は不服として中労委に再審査申し立てしたところ、初審命令を取り消したので、原告側が中労委の処分を取り消しを求めた事案で、東京地裁は本件組合バッジの取外しの注意.指導は,労働組合に対する団結権の否認ないし嫌悪の意図を決定的動機として行われたものであると認めることはできず,の不当労働行為に当たるということはできないとして、原告の請求を棄却)
●渋谷区行政財産目的外使用許可取消請求等事件 東京地判平25.6.11判例地方自治383号22頁(在日トルコ人子弟のための教育事業に対する、学校施設の一部の目的外使用許可及び使用料免除を適法とする)
●JR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件 東京地判平24.11.7労判1067(就業規則違反行為は約15年にもおよんで再三反復継続していたことからすれば業務に対する支障がない行為ではあるがそれに対する処分の加重性には合理的理由があり,さらに国労は昭和62年の会社発足以来組織的な組合活動としてバッジ着用行為を指示し,組織としても不当労働行為救済申立てを行うなどしてきたが,平成14年3月末以降は,組織として不当労働行為救済申立てを行うことはなくなり,平成18年11月には,バッジ事件を含む合計61件の不当労働行為救済申立事件を取り下げているのであって、平成15年7月以降は国労バッジ着用者が□□のみとなり,本件各処分の対象となった平成19年ころには,既にその組合活動としての色彩が後退し,個人的行為の側面が強く不当労働行為には当たらないとした。)●東京高判25.3.27別冊中央労働時報1445●最一小決平27.1.22別冊中央労働時報1478中労委DB。
△JR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京地判平25.3.28別冊中央労働時報1443
(救済命令取り消し訴訟、棄却。平成12年5月30日になされた四党合意について,国労は,平成13年1月27日,これを受諾し,さらに,平成14年3月末ころ,国労バッジ着用処分について,組織として救済申立てをしない方針に転換した。国労の上記方針の転換の時期と相前後する平成14年3月28日,原告は本件警告書の掲出を行い,国労バッジ着用行為に対し,従前行っていた1年度2回の訓告よりも処分を加重する旨を通告した。6名はその後の調査期間(平成14年4月から同年6月まで)経過後も国労バッジ着用行為を続けたため,これを止めるまで減給以上の処分を受けた。本件警告書掲出前にされていた処分と,掲出後にされた処分は,後者の方が格段に大きな経済的不利益をもたらすものと認められるが,この極端な厳罰化は,組合バッジ着用を継続する国労内少数派が組合活動を行うことを嫌悪していた会社が,組合執行部の方針転換を認識するに至り,これを機に,組合内少数派の組合活動を一掃しようとの意図に基づき行ったものであると推認することができることから,組合内少数派の勢力を減殺し,組合執行部の方針に加担したものと認められ,支配介入を構成し不当労働行為が成立するとした)。△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件 東京高判平25.11.28別冊中央労働時報1455号△JR東日本国労神奈川国労バッチ減給処分等事件  最一小決平27.1.22別冊中央労働時報1478中労委データベース。
●東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件.東京地判昭25.6.6労判1081◯東京高判平26.2.12労判1096◯最三小判平27.4.14決TKC(出勤記録の操作を部下に指示)
●枚方市組合事務所使用料徴収処分取消請求事件.大阪地判平28.3.28TKC
〇東京都立南大沢学園養護学校事件 東京地判平29.5.22判例地方自治439●東京高判平31.3.14労働判例ジャーナル88(「強制反対 日の丸 君が代」等と書かれたトレーナー着用等)●最一小判令元10.31TKC

 

東京都水道局の争議行為対応等労務管理を是正を求める意見具申 その3

(承前)

令和61218

 

   東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ

 

 東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎管理がなされており、抜本的是正を求める意見具申 その2

(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化したもの)

                                             川西正彦

 東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。

目次

第Ⅱ部 東京都水道局の労務管理の包括的改革 1
(Ⅰ) 就業規則の整備 1
一 要旨 1
二 東京都水道局就業規則追加案 3
三 明文規程を追加する目的と理由・法的根拠 4
(一) 対組合活動方針の全面的転換 4
(二)無許可の演説・集会・組合活動の禁止(追加案1と2)の目的と運用について 6
1 東岡職員部長通知は解消し演説行為等は全面的に禁止事項とする 6
2 集会は平時、会議室等の施設利用は広範に認める 8
3 集会.演説行為で施設利用拒否と中止・解散命令を義務とするケース 9
4 集会規制の根拠となる判例1(企業秩序論系) 9
(1)最高裁5判例は無許可集会を明確に正当な行為でないと判示 10
(2)懲戒処分する場合に注意を要すること 10
(3)各論 10
A 勤務時間中の無許可集会-正当な組合活動とされる余地なし 10
B 違法行為を助長するおそれにより集会を不許可とすることは適法 10
C 休憩時間.就業時間外の集会で正当な組合活動とされなかった事例 11
D 例外的に集会使用拒否等が不当労働行為とされた事例 12
5 集会規制等の根拠となる判例2(財産管理法制系) 12
(三)他の職員の職務遂行、職務専念を妨げる行為の禁止(3) 14
(四)業務外の徽章・胸章・腕章等の着用禁止(4) 14
1 春闘ワッペンの取り外し命令の根拠とする 14
2 春闘ワッペンの法的評価=就業時間中の組合活動とみなされる 15
2 服装闘争判例は正当な行為と認めていない 15
(1)国労青函地本リボン闘争事件 ・札幌高判昭48.5.29労民24-3-257 16
(2)大成観光リボン闘争事件・ 東京地判昭50.3.11民集36-4-681 17
(3)目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13民集31-7-974 18
(4)大成観光リボン闘争事件・最三小判昭57.4.13民集36-4-659 19
3.春闘ワッペンは労働契約上の誠実労働義務に反し違法と断言してよい 19
(1) 私企業の労働契約上の誠実労働義務にも厳格な職務専念義務論が適用される 19
(2)予想される組合側の反論に対する再反論(長文になるのでせ註記に移す) 20
(六)業務外の車両.旗.幟.プラカード.横断幕.立看板等の持ち込み、設営。集団行進、示威行為等の禁止 20
(七)文書・印刷物の配布の時・態様・内容の規制(8) 24
1 平時は無許可配布を認めるが、闘争態勢では許可制 24
2 ビラ配り判例の分析と対応 25
(1)行為態様.場所.時間について 25
A 半強制的なビラ受け取りを促す態様、狭い入口でのビラ配り 25
B 就業中の従業員のいる時間帯 25
C 就業時間前.休憩時間 25
D 敷地の境界、敷地外のビラ配り 26
E 内容 26
F 就業規則の明文規定 26
(2)ビラ配りへの警告、処分を適法、妨害禁止の仮処分申請を却下 26
(3)ビラ配り等の懲戒処分を無効 27
(七) 組合掲示板以外のビラ貼りの禁止(8) 29
1 無許可ビラ貼りは正当な組合活動でないことは確定している 29
2ビラ貼り取り締まりの根拠 31
(1)国労札幌地本事件最三小判昭54.10.30に至るまでの判例の進展 31
(2) 国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30 31
(3)懲戒処分等の判例 32
(4) 損害賠償請求判例 33
(5)仮処分申請 33
(6)建造物損壊罪.器物損壊罪 33
(7)建造物侵入罪 34
(8)使用者の自救行為について 34
(八)組合掲示板の不都合な掲示物の撤去 34
(九)局所内の政治活動の禁止は検討したが、今回の提案では見送る 37
(十)煙突闘争類似事案について 38
(十一)その他追加した規則について 39

第Ⅱ部 東京都水道局の労務管理の包括的改革案
(Ⅰ) 就業規則の整備
一 要旨

 就業規則に🔶局所構内における無許可集会、演説行為禁止、🔶局所構内における無許可組合活動の禁止、🔶他の職員の業務を妨害もしくは職務専念を妨げる行為の禁止、🔶業務外の徽章、胸章、腕章等の着用の禁止、🔶不適切な掲示物の禁止など新設する。
 主たる目的は職場環境を適正良好に保持し規律のある業務運営態勢を確立するため、昭和50年代に最高裁が案出した企業秩序論の判例法理にもとづき、法益調整論、受忍義務説の調整的アプローチを排除した労務管理を行う。
 野放図に容認していた正当でない組合活動等、違法行為と秩序を乱す行為を取り締まる根拠を明文化するためである。
最高裁は私企業において懲戒処分の前提として就業規則の記載(国労札幌地本事件.最三小判54.10.30)と周知(フジ興産事件.最二小判平15.10.10)を求めており、規則の明文化が必要なのである。
 水道局は公法上の勤務関係だが、私企業判例の企業秩序論に準拠できる。(詳しくは「第Ⅰ部(Ⅳ)パラダイムチェンジの手法について(一)企業秩序論による管理を徹底すべし」)を参照されたい。規則の明文規定がないと管理職や監察指導課が違法行為を野放しにする口実になり、労働組合との不透明な癒着の要因となっているのでこの改革は必須である。
 
二 東京都水道局就業規則追加案

 下記を水道局処務規程第七章服務心得に編入する。なお現行第58条は項目9と重複するので削除する。

1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない
3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。
4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)
5 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.プラカード.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設営してはならない。又、許可なく業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進をしてはならない。
6 職員は、庁舎、局施設のその秩序維持等について庁舎管理規程に基づく庁舎管理者の指示に従わなければならない。
7 職員は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をしてはならない。また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならない。
8 
(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。
(2)職員は局が許可しないメッセージ性のある旗やマグネットシート、煙突状の小物、マスコット、短冊を机上、什器等に設置、陳列、貼付してはならない。
(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に許可された文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。
(4)以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの
五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文、寄せ書き、幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。
9 職員は、みだりに欠勤し、遅刻し、若しくは早退し、又は上司の許可を得ないで、執務場所を離れ,勤務時間を変更し、若しくは職務を交換してはならない
10 職員は、みだりに業者、物品販売、保険の勧誘、当該事業所に勤務していない職員等を職場に立ち入らせてはならない。職場の規律.秩序をみだすおそれのある署名.募金活動をしてしならない。
11 職員は、職場において、みだりに飲酒し、又は酩酊してはならない。

以上の規程は、水道局処務規程に追加する。

三 明文規程を追加する目的と理由・法的根拠

(一) 対組合活動方針の全面的転換 


 (受忍義務説による組合による管理権の掣肘を排斥し、最高裁が案出した企業秩序の判例法理に依拠した労務管理に移行させる41頁八パラダイムチェンジの手法と同趣旨)
 
 東京都水道局は、プロレイバー学説の受忍義務説によって、勤務時間内外いかんをとわず、正当でない組合活動、違法行為、外形上犯罪構成要件該当行為が広範に許容され、一切中止・解散命令はされないため、特に闘争期間は騒がしく殺気立ち、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢が全く確保されない職場であった。
 官公労はプロレイバー学説(階級闘争としての戦闘的労働組合を支援する労働法学)に依拠し、以下のように組合活動に対する懲戒処分や職務命令の不当性を主張してきた。全水道東水労も大筋で同じと考えられる。
(1)懲戒処分は個別職務秩序違反者に対する制裁で、集団的組織的行動である争議行為にはなじまない。争議行為が違法であるとしても組合の統一的意思のもとに組織されていることから、集団的性格を有するという事実に変わりはなく、個々の組合員の行為は独立した行為として個人の責任を追及できない。
(2)闘争期間に管理者が業務命令することは労働基本権の趣旨に反し不当、あるいはストライキに突入した場合もはや上司の指揮・支配から離脱しているので業務命令できない。
(3)争議権は本質的に「業務妨害権」であり、同盟罷業による業務妨害状態を有効に維持するためにピケッティングは争議行為の範囲にあるとし、一定程度の実力行使も許される。争議行為は労働組合の正当業務である。
(4)争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なう。
(5)業務運営や施設管理に多少の支障が生じたとしても、直ちに組合活動の正当性が否定されるわけではない。示威ないし圧力行動たる実質を有する組合活動の場合にも、受忍義務が使用者に課され、それに対応する法的保護が労働者や労働組合に与えられることは基本的に承認されなければならない(受忍義務説)
 以上のような組合側の論理を東京都や東京都水道局が大筋で呑んでいる状況に今日でもかわりない。それゆえ争議行為時にも職員一般に対し警告せず、就業命令もいっさいしない。
 ただし職員のリークがあって、平成16年3月17公営企業委員会で後藤雄一都議が勤務時間中の頭上報告が職務専念義務違反行為ではないかと指摘したことから、東岡職員部長が消極的ながら対応せざるをえず、頭上報告は賃金カットする旨の警告をする旨の警告をするよう通知し、所属長要請行動は昼休みに移行するという改革はあった。
 しかしながら東岡職員部長通知では本部役員のオルグ演説、業務阻害行為は職務専念義務違反にあたらないので警告なし。昼休み事務室内の集会・演説は全面的に許諾し、地公労法11条1項後段の違法行為である「あおり」を全面的に認めているだけでなく、休憩時間をずらして勤務している職員の職務専念を妨げている等の弊害は除去するものではなく、明らかに欠陥があり、後藤氏の追及が不十分だった。
 もっとも勤務時間中の大勢の組合員が職務を離脱して所長の執務妨害行為、怒鳴り散らしつるし上げる行為がなくなり、勤務時間中の頭上報告が自粛傾向となったのは事実であり、殺気だった職場環境が改善されたのは事実だが、正当でない組合活動が広範に許容されている実態に変わりないのである。
 平成16年より令和元年の間に6回の1時間スト、その他の争議行為が繰り返されてきたことに鑑みれば、東岡職員部長通知は、争議行為の抑止にほとんど役にたたなかったと評価できるのである。
そこで、対組合活動の労務管理の方針を根本的に変更すべきである。
最高裁が2回にわたって受忍義務説を明示的に否認(国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30 、 呉市立二河中学校事件.最三小判平18.2.7)している以上、昭和52以降累次の「企業秩序論」の判例法理に沿った、労務管理、施設管理に方針を転換する。
 すなわち富士重工業原水禁運動調査事件.最三小判昭52.12.13は、譴責処分を無効とした事案だが、企業は、企業秩序を維持確保するため、必要な諸事項を規則をもつて一般的に定め、また、企業秩序に違反する行為には、業務上の指示、命令を発し、又は懲戒処分を行うことができる。けだし労働者は、労働契約を締結して企業に雇用されることによって、企業に対し、労務提供義務を負うとともに、これに付随して、企業秩序遵守義務その他の義務を負うが、企業の一般的な支配に服するものではないとした。
 国労札幌地本事件最三小判昭54.10.30は、「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢」を確保する企業の権限を明言した点、画期的な意義がある。
 昭和44年春闘に際し、職員詰所のロッカー310個に五百数十枚のビラを貼付行動の際、現認した職制と応酬、制止をはねのけた組合員に対する戒告処分を適法とした事案だが、「労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されていても、雇用契約の趣旨に従って労務を提供するために必要な範囲において、 企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまる」「労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であって定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないもの」であり許諾を得ない施設利用は「使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容され」ないとする。
 これに対して「特段の事情」に法益権衡論を持ち込んで風穴を開けようという試みがあったが、最高裁は排斥している。
 日本チバガイギー事件.最小一判平元.1.19労判533号7頁でも工場は勤務時間外だか事務棟は勤務時間中での施設内集会不許可事案で、中労委は、上告趣旨において「権利の濫用」を広く解釈し「労働者の団結権、団体行動権保障の趣旨からする施設利用の組合活動の必要性と、その施設利用により使用者が蒙る支障の程度との比較衡量により、両者の権利の調和を図ることが要請される。そして、使用者の施設管理権行使が右の調和を破るときには、権利の濫用があるといわなければならない」と述べ、「業務上ないし施設管理上の支障に藉口」するもので不当労働行為にあたるとしたが、棄却しているので、この両権利の調和を図るべきとの見解を退けたことになる。
 当該施設を利用する目的等を総合考慮して判断する調整的アプローチを明確に退けたものであって、指導判例の趣旨に沿った純法理的な判断で一貫している。
 また企業秩序論の優れているところは、抽象的危険説を採用している点であって、職務の専念を妨げるおそれ、作業能率を低下するおそれ、端的にロッカーのビラ貼りにつき、組合の主張を訴えかけるもので、能率的な環境とはいえないという理由でよく、具象的業務阻害があることを証明する必要はない。
 但し、最高裁判例は懲戒処分の前提として私企業においては就業規則の記載(国労札幌地本ビラ貼り戒告事件・最三小判昭54.10.30)と周知(フジ興産事件.最二小判平15.10.10判時1840号144頁)が必要としているので就業規則が整備されていることが前提になる。水道局は公法上の勤務関係であり、懲戒処分の前提として地公法29条32条等の適条によるが、規則違反は32条により懲戒処分理由となるので大筋で同じことであり、懲戒処分を円滑に進めるには明文の規則が必要。それゆえ、JRグループの就業規則で、勤務時間内外を問わない無許可組合活動、無許可集会.演説禁止の明文規程を設けることを強く提言するものである。
 これは一職員として強く望むものである。囚われの聴衆でアジ演説を聴かされ、ビラ貼りや赤旗が視覚に入ってくるのは職務に集中できないばかりか、敵対的不愉快な職場環境であり、業務機器の隠匿、職場占拠のような業務妨害も肯定される。企業秩序論が優れているのは職務専念妨害抑制義務があることを明らかにしたことである(目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13)。職務専念は妨害されない秩序を確立することを第一に望む。東京都は昭和52年や54年に確立された判例法理をいまだに認めていないという点で、時代遅れも甚だしく、昭和40年代の雰囲気が残っている職場風土を変える必要がある。
 ただし、目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13は「形式的に右規定に違反するようにみえる場合であっても、実質的に局内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときには、右規定の違反になるとはいえないと解する」と言う判断枠組を示し、形式的規則違反で実質的に秩序を乱すおそれのない特別の事情があるとき、ビラ配りの事案で、処分が無効にされた事例がある。
 しかし本意見書が問題視している、闘争指令下の執務室内もしくは庁舎駐車場等での集会.演説、地公労法11条1項後段の違法行為がなされるおそれがある。あるいは他の職員の職務への集中を妨げ、作業能率を低下させるおそれのある、あるいは来客や業者の駐車場利用を妨げる等は客観的事実なので、形式的違反にすぎないとされることありえない。
 もとより、規則で禁止しても、管理職が違法行為を助長する組合活動を許諾してしまっては意味がないので、運用解釈にそった、施設利用不許可、強行した場合の中止.解散命令、記録、写真撮影、現認検書の上申を徹底して義務づけるものとする。
 以上のとおり、今後は当局が「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢」を確保する企業の権限にもとづく管理に加えて、適宜、行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)の目的外使用不許可の広範な裁量権最行使などを加味して、労務管理、庁舎管理をおこない正常な業務運営の確保を行う方針とすることを当局に強く求める。
 企業秩序論は労働法学者からも肯定的な評価がなされている。
 例えば菊池高志[1983]「労働者は単に自己の約定労働債務を履行するにとどまちない義務を負うであろう。多数労働者が密接な関連、協力関係に元って業務が遂行される近代的経営の現実に立てば他の労働者の義務履行の障害とならないよう配慮すべき義務を負うと考えることにも合理性があろう」

 中嶋士元也[1992]は企業秩序論の内容範囲機能を次の5点にまとめている。
1.服務規定.懲戒規定設定権限
2.企業秩序維持権限にもとづく具体的指示命令権
(1)労務提供への規律機能
(イ)労働者の職務専念義務の発生
(ロ)他人の職務専念義務への妨害抑制義務
(2)労務履行に関する附随機能(信義則機能)
(3)秩序違反予防回復の機能
3.施設管理の機能
4.企業秩序違反の効果(懲戒機能)
5.その他の機能

 三井正信[2009]は「企業においては共同作業秩序の維持.確保が要請されることになるのはいうまでもない。ことの性質上、共同作業秩序の侵害は協働して働く多くの労働者に重大な影響を及ぼしてその労働の正常な遂行を妨げる可能性ないしおそれを生じさせ、その企業の円滑な運営にとっても障害となるといえよう。つまり集団的.組織的な協働体制に組み込まれた労働者が債務の本旨に従って自己の労働義務を履行することができるためにはそのための職場環境整備の一環として共同作業秩序が維持されなければならず、また使用者も企業の円滑な運営を行うためには共同作業秩序=企業秩序を必要とする。」
 他人の職務専念義務の妨害=共同作業秩序の侵害=企業秩序の侵害との論理を展開している。
平成13年当時の中央支所長は私に聴きたい人がいるから、演説はやらせるんだ。地公労法11条1項後段の頭上報告は正当業務という扱い。笹十郎副支所長は、ビラが視覚に入って不愉快な職場環境というのは認めない。郷に入れば、郷に従え、「ストライキで戦うぞ」といったビラが視覚にちらつく環境になれるようなれと私に言った。正当でない組合活動と違法行為、執務妨害を断固容認し組合との円滑な関係を維持していくことこそ管理職の責務ということになっている、この体質はながら条例改正以降も変わってない。職場風土は変えるべきである。そうでないかぎり、いくら東京都がDXや未来型オフィスをやったって、敵対的不愉快な職場環境を提供している三流官庁といってさしつかえないのである。


(二)無許可の演説・集会・組合活動の禁止(追加案1と2)の目的と運用について


1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。
2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

1 東岡職員部長通知は解消し演説行為等は全面的に禁止事項とする

 平成16年3月17日の公営企業委員会における後藤雄一都議の質問の対応として、執務室内勤務時間内の演説行為(頭上報告)は下記の平成16年3月の東岡職員部長通知より、職務専念違反なので警告し、1か月で累積30分以上の職務離脱で賃金カットする方針となっている。
東岡職員部長 「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました。」
 しかし今後は、東岡通知を解消したうえ、演説者の出勤時限前、休憩時間等時間外も含め、事務室内での演説行為はすべて不許可、強行したばあい中止.解散命令をすることとする。賃金カットだけでなく、懲戒処分事由となることがありうるものとする。
 東岡通知では以下のような違法行為が禁止できない大きな欠陥があるためである。
平成26年2月の中野営業所監理団体業務移転阻止闘争における○○所長の対応は、まず勤務時間内の練馬営業所属の本部委員のオルグ演説(地公労法11条1項条後段違反)につき、有給休暇をとっているという理由で認容され、人事課主催の管理団体派遣説明会に職員の出席を阻止するため廊下でのピケッティング(11条1項後段違反)も認めており、さらに停職中の本部中執書記長の勤務時間内のオルグ演説(11条1項後段違反)も認容し、退去命令が行われない状況があり、事務室内で頭上報告と同様演説や示威行為がなされるこのような違法行為の助長の再発防止のため規則上明文規定が必要。
 モデル規則に示したJRグループ、旧郵政省、電電公社、国立大学法人東北大学の規則を示したが庁舎内の演説は禁止事項であるから、明文で演説行為を禁止していない東京都のほうが異常なのである。
 
モデル1 JRグループ就業規則
第20条 
3 社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない。
第22条1項 社員は、会社が許可した場合のほか、会社施設内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配付その他これに類する行為をしてはならない
第23条 社員は、会社が許可した場合のほか、勤務時間中に又は会社施設内で、組合活動を行ってはならない

モデル2 JR東海の基本協約

「第9章 組合活動
第1節 総則
(組合活動)
第216条 会社は、組合員の正当な組合活動の自由を認め、これにより不利益な扱いをしない。」
「第4節 組合による企業施設の利用
(組合事務所)
(略)
(一時的利用)
第226条 組合は、会社の施設、什器等を一時的に利用する場合は、会社に申し出、その許可を得なければならない。
2 前項の申し出は、使用の目的、責任者名、時間、人数等を明示して書面で行うものとする。
3 会社は、組合が前項の規定に違反した場合、もしくは申し出と異なる使用方をした場合には、使用の許可を取り消すことができる。
(掲示)
第227条 組合は、会社の許可を得た場合には、指定された掲示場所において、組合活動に必要な宣伝、報道、告知を行うことができる。
2 会社は、業務上の必要が生じた場合には、前項で指定した掲示場所の変更または取消しをすることができる。
3 組合は、会社の指定した組合掲示場所以外の場所に、掲示類を掲出してはならない。
(掲示内容)
第228条 掲示類は、組合活動の運営に必要なものとする。また、掲示類は、会社の信用を傷つけ,政治活動を目的とし、個人を誹謗し、事実に反し、または職場規律を乱すものであってはならない。
2 掲示類には、掲出責任者を明示しなければならない。 
(違反の措置)
第229条 会社は、組合が前2条の規定に違反した場合は、掲示類を撤去し、掲示場所の使用の許可を取り消すことができる。」
(以上出典.東海旅客鉄道(組合ビラ配布等)事件.東京地判平成22.3.25労判1011より)
第261条 争議行為中、当該争議行為に関係する組合員は、会社の施設、構内、車両への立入及び物品の使用をすることができない。
(出典.JR東海(懲戒解雇)事件.大阪地判平12.3.29労判779)

モデル3 
郵政省就業規則一三条七項は、「職員は、庁舎その他国の施設において、演説若しくは集会を行ない、又はビラ等のちょう付、配布その他これに類する行為をしてはならない。ただし、これらを管理する者の事前の許可を受けた場合は、この限りでない。」
郵政省庁舎管理規程七条は、「庁舎管理者は、庁舎等において、演説、ビラ等の配布、その他これに類する行為をさせてはならない。ただし、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認める場合に限り、これを許可することができる。」
(出典.東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442)

モデル4 電電公社の就業規則
就業規則第五条第六項は、「職員は、局所内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配布その他これに類する行為をしようとするときは、事前に別に定めるその局所の管理責任者の許可を受けなければならない。」
 七項は、「職員は、局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。」
(出典.目黒電報電話局事件.東京地判昭45.4.13民集37-1-1019)

モデル5 国立大学法人東北大学規則
 4 職員は、許可なく、本学の施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。

 この規則の目的は、第一に地公労法11条1項後段の違法行為である「唆し」「あおり」の禁止である。勤務時間内の頭上報告はスト権一票投票のよびかけ、闘争課題の説明、指令伝達、スト配置日の日程、戦術の説明、交渉経過報告、勤務時間内3割、2割動員の決起集会参加の呼びかけ、三六協定破棄闘争により超勤拒否の徹底の指示などがあり、大声でアジ演説がなされることがある。容認すること自体当局が違法行為に加担したことになるからである。
 また、事務室内での昼休み集会は基調報告、交渉経過報告、決議文朗読、決意表明演説、拍手がもとめられ、鯨波、頑張ろう三唱がおこなわれるので、「唆し」「あおり」そのものであるから、これを認めることは当局が違法行為を助長することになるから禁止理由となる。
また無許可組合活動の禁止条項により、庁舎構内駐車場等でなされる支所.拠点での動員決起集会、庁内デモ等示威行為の取り締まりの根拠とする。オルグ、ピケット、動員集会等で本部役員や他の支部分会組合員等の外来者の建造物侵入禁止の根拠とする。
 スト待機(スト配置前日から当日の深夜.未明にかけて事務室内に組合役員が待機する)、スト突入指令(地公法11条1項後段違反)、スト準備のためセキュリティを破って庁舎に出入りする行為であり。職務命令による排除の根拠を与える。
第二の理由として規則により管理意思を明示して建造物侵入罪、不退去罪等に問えるようにするためである。
 第三の理由は、「昼休み集会」等が、他の職員の職務専念妨害になるおそれが大きいことである。地公労法違反の「あおり」でないとしても、休憩時間であれ、休憩時間をずらして勤務している「昼当番」等の職員がおり、近くで演説行為がなされていることは、職務の集中をさまたげ、電話の相手の声が聞き取りにくくなるなど、業務に影響をきたす、少なくとも作業能率を低下させるおそれがあるので、禁止する理由がある。
 出勤時限の8時半より前であったとしても、時差出勤で勤務中の職員がいる場合があるほか、勤務中の職員がいない場合でも、スタンバイしている職員は、囚われの聴衆の状況であり、勤務時間内と同じことで、アジ演説を聴かされて、その余韻から作業能率が低下させるおそれのある行為であるので禁止理由となる。
 職場にいると組合の訴えかけを常に聴かされるというのは能率的でない職場環境なのであり、「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢」確保する権限が当局にあるので、執務室内の演説行為を排除すべきとの判断であるが正当なものである。加えて水道局の事務室は水道事業目的に使用されるもので行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)の目的外使用不許可という観点でも規制できるのである。
 つまり「当該企業に雇用される労働者のみをもつて組織される労働組合(いわゆる企業内組合)の場合にあっては、当該企業の物的施設内をその活動の主要な場とせざるを得ないのが実情であるから、その活動につき右物的施設を利用する必要性の大きいことは否定することができないところではあるが‥‥‥利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない(国労札幌地本ビラ貼り事件.最三小判54.10.30)」
 「職員団体にとって使用の必要性が大きいからといって、管理者において職員団体の活動のためにする学校施設の使用を受忍し、許容しなければならない義務を負うものではないし、使用を許さないことが学校施設につき管理者が有する裁量権の逸脱又は濫用であると認められるような場合を除いては、その使用不許可が違法となるものでもない。また、従前、同一目的での使用許可申請を物理的支障のない限り許可してきたという運用があったとしても、そのことから直ちに,従前と異なる取扱いをすることが裁量権の濫用となるものではない。(呉市立中学校教研集会使用拒否事件.最三小判平18.2.7)」
 労働組合の教宣活動(宣伝、報道、告知)については、組合掲示板の便宜供与のほか、印刷物、組合ニュース、機関紙等の配布は後段で述べるように、多くの企業と同様、許可制にしても問題はないにもかかわらず、平常時の無許可配布を認める考え方で提案しているので、組合活動には相当に配慮してあるので、演説を許可する必要はないという判断である。

2 集会は平時、会議室等の施設利用は広範に認める 

 郵政省就業規則及びその運用通達は、国有財産の使用に関する取扱いにつき、「組合から組合事務室以外の庁舎の一時的な使用を申し出たときは、庁舎使用許可願を提出させ、業務に支障のない限り、必要最小限度において認めてさしつかえないこと。」と規定している(全逓新宿郵便局事件 東京高裁判決昭55.4.30労判340)。
 したがって旧郵政省では、平常時には組合に便宜供与する。水道局においても旧郵政と同じ基本方針とする。世田谷営業所太子堂分室には平成26年より5年在籍し、支部執行委員会を毎月実施するため、会議室を午後6時頃から1~2時間程度利用していたが、使用許可願は出していないはずである。また水道局職員であっても当該事業所以外に勤務している組合役員が参集するが、誰が何人出席するのか届け出させるべきで、外部からの出入りは管理者が把握すべきである。
 また平成21年中野営業所では目標管理制度の形骸化闘争の一環として申告書を提出する5月に、昼休みに会議室で申告書の書き方(数値目標を書かない、組合が考案した雛形どおりに記入する。役員へコピーの提出)の指導を弁当付きで実施していたほか、中野営業所と世田谷営業所では中央労働金庫の金融商品についての営業活動を事務室内で実施している、若手や新人に金融商品の説明と勧誘がある。
 これは許可することとする。庁舎管理規程では物品販売と保険の勧誘は禁止されているが、中央労働金庫だけは組合活動の一貫として特別に事務室の接客コーナーを便宜供与する。組合との信頼関係で入室を認めるが、本来業務で使用する接客コーナーの利用のため庁舎使用許可願の提出が条件である。
 平時の会議室利用、組合活動については集会内容に踏み込まなくてよいと思う。組合加入の勧誘活動に関し施設利用不許可が違法な処分とされた福岡県教職員組合鞍手直方支部事件.福岡高判平16.1.20判タ1159といった例がある。
 このほか組合の運営で電気代を払う条件でコーヒーやコーラの自動販売機設置を無償で許可されているので組合は収益を得ているほか、組合事務室を支部レベルで便宜供与しているし、組合掲示板のほか、分会レベルでは事務室はなくても書類等組合の管理物を収納する什器を無許可で慣例的に使用を認めていることであるが、ファックスの利用、コピー機の使用の便宜供与は特段問題視せず、私の提案では、違法行為と秩序を乱すおそれのある正当でない組合活動だけを規制する趣旨である。
 ところで、大阪市議会は平松邦夫市長時代の平成20年3月28日に突如チェック.オフ廃止条例が提案され即日可決したほか、平成24年7月30日に可決した大阪市労使関係に関する条例では第12条で「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする」とし、条例成立後の組合事務所の施設利用不許可は司法においても適法とされ大阪市教職員組合分会会議使用不許可事件.大阪地判平29.12.20判タ1452号131頁は、大阪市労使関係に関する条例第12条にもとづく組合分会会議の施設利用不許可を適法とする。教職員組合が延べ44回にわたり学校施設の目的外使用許可を申請したところ、各校長は、大阪市労使関係に関する条例第12条にもとづき各校長は、同申請をいずれも不許可とした不許可処分につていて無形損害が生じたと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項につき損害賠償請求した事案で、件各校長に裁量権の逸脱及び濫用があったとはいえないとして原告の請求を棄却しており、組合活動に厳しい方針をとっているが、本意見書はあくまでも企業秩序論等の判例法理に沿った規制をするだけであり、とくに平時の便宜供与は認めているので大阪市のような厳しい方針をとる趣旨では全くない。
 要するに私の提案は大阪市などよりずっと組合活動に好意的な案であり、受け入れやすいものとしているのである。

3 集会.演説行為で施設利用拒否と中止・解散命令を義務とするケース

 以上述べたことを要約すると禁止するのは以下のとおり

(1) 事務室内の演説行為(頭上報告・オルグ演説等)
 休憩時間.出勤時限前も認めない。違法な同盟罷業のオルグ活動のほか、それ自体は違法ではないにせよ無投票組合役員選挙の候補者演説も認めない(理由.執務室は時限前であれ囚われの聴衆の状態でアジ演説を聴かされるのは、勤務時間中と同じであり、異様な雰囲気を醸し出し、作業能率を低下させる。目的外使用を認めるにふさわしくない、水道事業でない事柄について施設使用を認めない権限が当局にはある。大抵の企業では執務室の演説行為は禁止している)。
(2) 他の職員の職務への集中・専念を妨害する態様
(3) 庁舎構内のデモ行進、鯨波等示威行為
(4) 事務室外の庁舎構内に集会についてはストライキを配置した時点で施設利用拒否
(5) 前項(1)(3)(4)と重なるが、地公労法11条1項後段の違法行為がなされるおそれがあると判断される場合。

4 集会規制の根拠となる判例1(企業秩序論系)
 
〇一般に、企業は、これを構成する人的要素及びその所有、管理する物的施設の両者を統合し、合理的、合目的的に配備組織するための企業秩序定立.維持権限を有し、その一環として、職場環境を適正良好に保持し、規律ある業務の運営態勢を確保するため、一般的規則又は具体的指示、命令によってその物的施設の使用を禁止又は制限する権限(施設管理権)を有する(JR東海(懲戒解雇)事件・大阪地判平12.3.29労判779)
○施設構内の無許可組合集会が正当な組合活動とされることは、5つの最高裁判例が否定している以上ありえない。中止・解散命令・監視・警告書交付は適法なので躊躇する理由はない。
○法益権衡論や労働基本権と使用者の権利との調整的アプローチは明確に否定されている。
○懲戒処分とするには就業規則を具備しているうえ、「実質的に企業秩序を乱すおそれ」という抽象的危険説にもとづく説明ができれば違法とされることはまずない。
○例外的に施設利用拒否を支配介入とし、過度に重い不利益処分の事例で違法とする判例もあるが、あくまでも企業秩序風紀の維持を理由とするもので、適切な量定であれば懲戒処分が無効とされることはない

(1)最高裁5判例は無許可集会を明確に正当な行為でないと判示
 最高裁の5判例(●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20、●池上通信機事件・最三小判昭63.7.19、●日本チバガイギー事件・最小一判平元.1.19、●済生会中央病院事件・最二小判平元.1.29民集43-12-1786、●オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8判時1546号130頁)は、決定的な意義があり、国労札幌地本判決の判断枠組により、企業施設内の勤務時間内、勤務時間外も含めて、無許諾の組合集会は正当な組合活動ではないから、施設利用の拒否、解散命令、監視、警告書交付等は不当労働行為に当たらないと判示しており、労働委員会等が主張する法益権衡の諸般の事情を勘案する調整的アプローチを明確に排除しているので、有益な先例である。特に最高裁が理論的説示をしている済生会中央病院事件とオリエンタルモーター事件は指導的判例の位置づけである。

(2)懲戒処分する場合に注意を要すること
 ただ、注意を要するのは、上記の最高裁5判例は、警告・中止命令等が不当労働行為に当たらないとするもので、懲戒処分事案ではなく、無許可集会を強行しただけの理由で懲戒処分に処す例はさほど多くないため、懲戒処分事案の先例も検討しておく必要がある。
 無許可集会強行、無許可入構強行を懲戒処分事由とした判列としては、最高裁判例で●米空軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29訟務月報21-2-421があるほか、国労札幌地本判決の枠組を引用した下級審判例では、●東京城東郵便局事件・東京地判昭59.9.6労判442、●全逓長崎中央郵便局事件・長崎地判昭59.2.29労判441カード●JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件・大阪地判平12.3.29労判742がある。
 施設管理権の侵害というよりは争議行為の慫慂の事案だが●熊本地方貯金局事件・熊本地判昭和63.7.18労判523が、ストライキの前日午後0時35分ころから局玄関前広場において、全逓組合員約500名が無許可集会を行った際‥‥局管理者の解散命令を無視してあいさつを行った後、団結ガンバローを三唱の音頭をとった等が、全逓熊本地方貯金局支部支部長(郵政事務官)に減給1/10(6か月)の懲戒事由の一つとなっている。
 無許可集会を実行したうえ、違法争議行為に参加すれば当然懲戒処分事由となることはいうまでもない。
 東京城東郵便局事件のように公労法17条1項で争議行為を禁止されていた郵政省現業の事例で、ストライキが配置され業務規制闘争を行っている状況で、組合集会を許可することは、違法行為を助長するおそれがあるので「特別の事情」は認められていない。このことは、地公労法18条1項が適用される地方公営企業も同じことである。
 職務専念義務違反もしくは他者の職務専念義務を妨げるおそれのある場所において、勤務時間中(済生会中央病院判決)もしくは、勤務時間中の労働者と、そうでない労働者が混在する時間帯の集会(日本チバガイギー事件)であれ先例は「特別の事情」を認めていない。
 一方、例外的に施設利用拒否や無許可集会に対する不利益処分が違法とされた事例としては、◯総合花巻病院事件・最一小判昭60. 5.23のように組合の利用申し入れを拒否したことはなかったにもかかわらず、突然不許可としたのは、組合が上部団体に加盟したことを嫌悪しこれを牽制、阻止するためとされ、支配介入に当たる。◯アヅミ事件・大阪地決昭62.8.21労判503号25号は他の労組やサークル活動と異なる処遇のうえ懲戒解雇と重い。○金融経済新聞社事件・東京地判平15.5.19労判858は無許可集会だけで役付(営業局参事・次長心得)を解く降格処分とされた事案で違法とされている。
 とはいえ、例外を過大評価する必要はなく、中止.解散命令や監視、警告を躊躇する理由はなく、ただ、実際に懲戒処分事由とするのは、過重にならない量定の処分なら安全運転といえる。
 無許可集会の強行は、抗議して暴行した場合以外、それだけで懲戒処分とせず、実際のストが実行された場合のみ懲戒処分事由の一つとする安全運転でよいと考えている
 
(3)各論
A 勤務時間中の無許可集会-正当な組合活動とされる余地なし
●済生会中央病院事件・最二小判平元.1.29民集43巻12号1786頁は、原審の勤務時間中を含む無許可職場集会に対する警告書交付を不当労働行為とした部分について破棄自判した判例だが、「一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。したがって、労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。」としたうえで「病院が本件職場集会(‥‥)に対して本件警告書を交付したとしても、それは、ひっきょう支部組合又はその組合員の労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから、病院(上告人)の行為が不当労働行為に該当する余地はない」と断言した。

B 違法行為を助長するおそれにより集会を不許可とすることは適法
 
●東京城東郵便局事件・東京地判昭59.9.6労判442号45頁
 本件は不許可集会強行、欠勤、管理職らに対する暴行を懲戒理由とする郵政職員2名に対する免職処分の取消が訴求された事案で処分を適法としたものである。
  昭和42年5月2日、全逓中央本部からの指導により、合理化反対闘争等に向けての団結を強めるため、各課単位で集会を開催することを決定し、これに基づき、郵便課、保険課等で順次集会が開催され、集配課分会においても右の集会を開催するため、同月9日、同課分会執行委員名義で局長に対し、いずれも組合業務を目的として城東局会議室を同月11日及び12日の両日使用したい旨の庁舎使用許可願を提出した、局長はストライキ体制確立後の組合への便宜供与を認めない東京郵政局の指示に従って許可しなかった。にもかかわらず同月11日午後4時7分から5時16分ころまで、同会議室において、集配課員約40名による職場集会が強行された。
 地裁は、不許可集会の強行について、国労札幌地本判決を引用して、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法17条1項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、事案の会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないと判示した。

C 休憩時間.就業時間外の集会で正当な組合活動とされなかった事例

●米軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29訟務月報21-2-421、全駐労組合員10名が、米軍の許可なく休憩時間中に基地内の食堂、休憩室等で職場報告会等の組合活動を行ったことを理由とする出勤停止処分を適法とした。
●三菱重工事件・東京地判昭58.4.28労民集34-3-279 昼休み中の無許可集会.ビラ配布は労働協約に違反し許されないと判示。
●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20判時1102号140頁は、休憩室あるいは予備室を利用した職場集会に対する解散命令及び監視行為は不当労働行為に当たらないとする原審の判断を支持したものだが、解散命令が行われた集会というのは以下の2件である。
 集配課休憩室-休憩時間中の全逓組合員約7.80名が昭和40年5月10日午後0時35分ごろから
 年賀区分室-6月7日5時15分ごろから5時45分ごろまで。6月11日午後0時20分~0時55分ごろまで
 いずれも、休憩時間か就業時間外の時間帯だが、年賀区分室の集会について職制は勤務時間中の者がいるかを監視しており、勤務時間のシフトで勤務時間中の者もいる時間帯といえる。最高裁は、休憩時間の集会の解散命令を是認しているのである。
●全逓長崎中央郵便局事件・.長崎地判昭59.2.29労判441カード.刑事裁判資料246号139頁
 「全逓支部は45年12月1日より年末闘争に突入し、同支部保険分会は、同日午後5時頃から、男子休憩室において‥‥分会集会を開いた、5時25分頃、Y庶務課長が、無許可集会であることを理由に、解散を命じ、分会員がこれをとり囲んで抗議していたところ、被告人Y1が‥‥同課長に対し、腕組みした左肘で顎を一回突き上げる暴行を加え、さらに5時35分頃、A労働課長が加わり、再三にわたって解散命令を発したところ、被告人Y1は、腕組した姿勢で同補佐を押して数メートル後退させ、右肘で同人の股間を一回蹴る暴行を加え(後略)。」「本件有形力の行使は可罰的違法性に欠けるものはなく(以下略)」「労働組合又はその組合員が使用者との合意ないし許諾がないまま企業の物的施設を利用して組合活動を行うときは、これらの者に対して利用を許さないことが、当該物的施設につき使用者の権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合‥‥を除いては施設管理権に抵触するものであ」るから、「地下食堂及び地下男子休憩室の無届利用行為も、長崎中央郵便局長の庁舎管理権限を侵すものとして正当なものとすることはできず、‥‥即刻解散等を命じたことは不法不当なものということはできない」と判示。
●池上通信機事件・最三小判昭63.7.19判時1293号173頁
 本件は昭和54年5月9日、会社の食堂使用不許可通告の後、組合は午後 5 時半過ぎから組合集会を川崎工場食堂で開催しようとしたが、会社側に阻まれ、結局実質的な合同集会は開かれなかった。また、食堂内にいた組合員に対しても会社側の社内放送の利用による中止命令、警告書の交付、集会開催の妨害などつき、不当労働行為に該当しないとした。
●日本チバガイギー事件・最小一判平元.1.19労判533号
 本件は組合が本部社屋一階の食堂を午後5時から使わせてほしいと申入れた。しかし、会社は、工場部門の終業時刻は午後5時であるものの、本部の終業時刻は午後5時45分であるから、それまでは本部への来客もあり、また、本部の会議室として食堂を使用することもあるので、午後6時以降の使用しか認められないと回答した。そこで、食堂の使用が業務上どうしても都合が悪いのであれば、屋外での報告集会の開催を認めてほしいと申入れた。これに対して会社は、屋外集会であっても本部の従業員の執務に影響する等、施設管理上の理由から屋外集会の開催を拒否した事案で、本件食堂の使用制限及び屋外集会開催の拒否が施設管理権を濫用したものとはいえず、不当労働行為には当たらないとした原審の判断を維持。
●国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件・東京高判平4.2.9労判617号29頁
 東京駅構内遺失物取扱所裏の敷地における国労の非番者無許可集会の現認.警告メモ、写真撮影を不当労働行為に当たらないとした公労委命令を支持した原判決維持。
●オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8判時1546
 使用者が、労働組合の結成通知以来約九箇月にわたり、組合からの許可願の提出があれば業務に支障のない限り従業員食堂の使用を許可していたところ、就業時間後食堂で行われていた組合の学習会の参加者の氏名を巡回中の守衛が記録したことに反発した組合執行委員長らが右記録用紙を守衛から提出させたことを契機として、組合による食堂使用を拒否したのに対し、組合が、使用者が食堂に施錠するまで五箇月近くの間、無許可で食堂の使用を繰り返し、その間、使用者は食堂の使用に関し施設管理者の立場からは合理的理由のある提案をしたが、これに対する組合の反対提案は組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であったなど判示の事実関係の下においては、使用者が組合に対し組合集会等のための食堂の使用を許諾しない状態が続いていることは、不当労働行為に当たらないとしたもので、就業時間外の組合活動の事案といってよい。
●JR東海鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件・大阪地判平12.3.29労判790号
 大阪第三車両所に勤務し、JR東海労組の組合員であったX1(組合大三両分会書記長)及びX2(同分会副会長)が、組合員約三〇名とともに、ストライキの決行日の早朝に、企業施設内に入構しようとしたところ、就業規則の規定(争議行為中の関係組合員の会社施設内への立入り禁止等)に基づいてその入構を拒否され、退去命令が出されたが、警戒員らの抑止を実力で排除して入構し、退去通告に従わず、約三〇分間にわたって施設内に滞留し、暴行を働き、暴言を吐くなどしたため、懲戒解雇されたがことから(Xら以外の組合員の一部は勤停止及び戒告処分)、本件懲戒解雇は無効であるとして雇用契約上の地位確認及び賃金支払を請求した事案で、請求を棄却(「被告は明示に業務と関係のない原告らの入構を拒否しているし、原告らの入構目的が組合活動を行うことであったとしても、会社施設内における無許可での組合活動は禁じられているのであるから、入構が正当な組合活動の一環であったともいえず、これを拒否した被告の措置が施設管理権を濫用するものとは到底言い難い」とする。

D 例外的に集会使用拒否等が不当労働行とされた事例
○総合花巻病院事件・最一小判昭60. 5.23労働委員会関係裁判例集20集164頁 
 6年余の間、病院は、毎年多数回にわたり、その都度の許可をもって、組合の執行委員会および総会のため、講堂、磨工室、地下の手術室等の病院施設の無償利用を認め、組合の利用申し入れを拒否したことはなかったにもかかわらず、突然不許可としたのは、組合が上部団体の医労協に加盟したことを嫌悪しこれを牽制、阻止することためであった、組合運営に対する支配介入にあたるとした原審の判断を是認している。
 病院長は院長室に組合委員長、書記長、副委員長などを呼び、医労協に加盟しないよう説得、依頼し、書記長には出産祝を名目に一万円、副委員長に新築祝を名目に二万円を供与した事実があった。
○アヅミ事件・大阪地決昭62.8.21労判503号25号
 本件は、研修命令拒否、職場放棄、配転命令拒否等を理由としてされた懲戒解雇を無効とした判例だが、懲戒事由のひとつが、アヅミ労組を脱退し結成された全大阪産業労組アヅミ分会が1回目は使用不許可の指示に反して、2回目は無断で食堂を使用したという事案であるが、食堂は、アヅミ労組やその他のサークルが、事前の届け出をなすことにより、比較的自由に使用されており、本件は勤務時間外かつ食堂の営業時間外に行われる10名前後の集会であるなにもかかわらず、正当な組合と認めていないという理由で不許可とするのは権利の濫用にあたる。また集会が正当な組合活動であるとも判示するが、本件はあくまでも少数組合社員の懲戒解雇の例である。
○国産自動車交通事件・最三小判.平6.6.7労働法律旬報1349施設管理権に言及することなく、タクシー労働者を組織する「新協力会」が無許可で会社構内(空地)を約三時間半にわたって占拠して開催した臨時大会(出番者も多数参加)に対して、会社が幹部を懲戒解雇した事案で、違法な争議行為あるいは組合活動ではないとして、解雇を無効とした東京高裁平成3年9月19日判決の判断を是認している。本件は就労を予定していた者(出番者)も多数参加したことから、実質ストライキであり、構内を無断で使用したことは責任を免れないとしても、それによりストライキが違法にはならないというもの。
○中労委(倉田学園学園事件)・東京地判平9.2.27労民集48巻1.2号20頁
 小会議室の利用に対する警告書の多数回の交付や使用者の退職勧奨行為等につき、いずれも組合の弱体化を意図して行われたものであるなどとして、労働組合法7条3号の支配介入に当たるとした。「‥‥原告が許可制にあくまで固執したのには、組合に対する否認的態度ないし不信感がその根底にあることはK理事等の発言から十分に窺い知ることができるのであり、組合も、職場集会開催にあたっては、当日又は前日に届出をし、その回数も月二ないし三回で、利用時間も始業時刻前又は終業時刻後の約二時間で、集会内容も団体交渉内容の報告等であったというのであり、その間、非組合員の入室を拒否したこともなければ、小会議室の本来の使用目的である職員の娯楽、懇談等の障害になるとの非組合員からの苦情が寄せられたことも認められないし、また、教育上好ましくない結果が生じたとか、学園業務の阻害になったとの事情も認められないというのであるから、組合に譲歩の余地のあることは勿論であるが、原告にも譲歩の余地がないとはいえない。このような状況下で原告が組合に対し、就業規則違反を理由に本件警告書を多数回に亘り交付したということは、被告の認定.判断しているとおり組合の弱体化を企図した行為であり、不当労働行為に該当すると判断されてもやむを得ない‥‥」
 本意見書の提案は日常的な組合活動の便宜供与を否定していないのでこのケースは該当しない。
〇金融経済新聞社事件・東京地判平15.5.19労判858
 休憩時間中の普段より大きな声を出した事務室内ミーティング無許可強行、始末書提出拒否を理由とする役付(営業局参事.次長心得)を解く降格処分(月額2万8千円の役付手当剥奪)を無効とした。
 この降格処分は実質長期にわたる減給処分ともいえ、たんに無許可集会の実施だけで処分としては重過ぎると言う趣旨だろう。


5 集会規制等の根拠となる判例2(財産管理法制系)


 地方自治法238条の4項7項号(旧4項)の目的外使用許可の裁量処分については、指導判例である◯呉市立二河中学校事件・最三小判平18.2.7民集60-2-401(教研集会使用不許可を違法とする)の判旨が、学校施設以外でも多く引用されていて、判断枠組として定着しているが、決め手は「教育研究集会は‥‥労働運動としての側面も強く有するもの‥‥教員らによる自主的研修としての側面をも有しているところ、その側面に関する限りは、自主的で自律的な研修を奨励する教育公務員特例法19条、20条[平成15年改正で21条.22条]の趣旨にかなうものであり‥‥使用目的が相当なものである」という判断をとったことにあり、目的内使用に近い認識といえる。しかし以下のような集会使用拒否について司法は適法と判断している。
●鹿児島県立大島高校等6カ所の学校施設目的外使用不許可事件(鹿高教組主催ミュージカル公演不許可)事件・福岡高裁宮崎支部判昭60.3.29判タ574号
 本件鹿高教組主催ミュージカルの「ああ野麦峠」公演が主任制形骸化闘争としてなされた主任手当拠出運動の一環であり‥‥本件公演の会場として本件学校施設の使用を許可することは主任制度をめぐる‥‥教職員間の対立、緊張を一層昂め、紛争が激化増大して学校運営に支障をきたし‥‥ミュージカル公演は学校教育の目的上明らかに支障がないとはいえないので、不許可処分は憲法に違反しないと述べ、裁量権の濫用にもあたらないとする。
●広島県高教組「人事委員会報告説明会」県立高校体育館使用拒否事件・広島地判平14.3.28、裁判所ウェブサイト
 広島県高教組が毎年開催している「人事委員会の報告」集会を県立高校で開催しようとして、同校体育館の使用を申し入れが拒否された事案で、 当該集会では、組合員にストライキの実施の賛否を問う批准投票が実施されることになっており、集会の内容に一部、争議行為を禁止する地公法37条1項の規定に抵触するものが存在することが明らかで、施設管理上、学校教育上の支障に該当するとして、不許可行為は適法であるとしたが、不許可を文書で通知する義務に違反した点を違法とし、教育長の責任を認め10万円の賠償を命令した。
●広島県高教組定期総会学校施設使用不許可事件・広島地判平17.2.9-裁判所ウェブサイト(公立高校の施設利用不許可)
 高校の体育館で定期総会を開催するための使用許可申請の校長による不許可処分を適法とした。
 本件各大会が開催された平成14年4月20日は土曜日で部活動その他への影響はなかった、施設管理上の支障は特に認められない。しかしながら、本件各大会を学校施設で開催することは学校教育上の支障を来すといわざるを得ない。
第1に、前年の第49回定期大会(府中地区)ではストライキを視野に入れた組合活動が提言された上、ストライキの方針であったが最終的に不満を残しつつもストライキを回避するに至った経緯が詳細に報告され、(三次地区)では、高教組がストライキを配置し、諸要求実現のために戦う方針であると組織決定された。ストライキ権が確立されたことの報告や、「ストライキを基軸とした通年的な戦いを堅持」などの内容からすれば、生徒、父兄等が公教育に対して不信を抱くことは想像に難くなく、学校教育上の支障を肯定する事情として考慮するのが相当であるとした。
 第2に、主任制に反対し、学校組織の見直しと確立を提言している第49回各大会の内容には、学校教育法施行規則65条1項、22条の3第1項に抵触するものが含まれていたと認められる。
 第3に、卒業式等での国旗掲揚等を強制すべきではないとの立場を明確にし文部省告示である学習指導要領に反している以上、生徒、県民等が公教育への不信を抱くことは否定できない。
 第4に、第49回定期大会(府中地区.三次地区)において、次回の参議院選挙で新社会党から立候補する予定の者を組織推薦し支援することが決定されたことは、公教育においては政治的中立性が求められるのであって学校教育上の支障を肯定する事情として考慮すべきである。
○●大阪市労連、市職、市従、学給労等組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2282号28頁(原判決変更。平成24年の使用不許可処分のみ違法、平成25.26年の不許可処分は適法)
◯●○●大阪市労組.大阪市労働組合総連合組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時2278号32頁(原判決変更。平成24年の使用不許可処分のみ違法、平成25.26年の不許可処分は適法)
 一審判断を一部変更。平成24年の目的外使用申請不許可では、前年度の許可満了の3ヶ月前に、何らの前触れもなく不許可の方針を表明した処分であるので違法とするが、大阪市労使関係に関する条例の規定及び行政事務スペースの欠如を理由としてなされた平成25年、26年の不許可処分を適法とする。同条例12条を労働組合等に対する便宜供与はほぼ例外なく行われないものと解したうえ、条例制定には十分に理由があり、支配介入には当たらず、憲法28条にも違反しない。又労組法上は、最小限の広さの事務所の供与を許容しているが使用者の義務ではなく奨励するものでもないとし、被控訴人らは、本件事務室部分を権原なく占有しているというべきであって明渡請求は理由がある、この間の相当使用料額は1か月17万6830円となることが認められ、明渡済みまでの使用料相当損害金を支払う義務を負うと判示した。(上告審平最二小決成29.2.1棄却.不受理 掲載TKC)
●枚方市組合事務所使用料徴収処分取消請求事件.大阪地判平28.3.28掲載TKC
 市長が職員会館における組合事務所の使用料を徴収することとしたことにつき、裁量権を逸脱又は濫用したものとは認められないとする。「公有財産の使用に関する受益者負担の要請が強まっており‥‥市議会等において、組合事務所の無償使用についての質疑がなされ、住民監査請求もなされるなど‥‥関心が高まり、大阪府下においても組合事務所の使用料を徴収する自治体が増加しつつあったことなどといった‥‥状況下において、市長が、原告による組合事務所の‥‥使用料の減免申請に対し、組合事務所が収益を目的としない使用に当たるものの、「市長が特に必要と認めるもの」に当たらないとした判断は‥‥相応の合理性が認められる。」
●大阪市教職員組合分会会議使用不許可事件.大阪地判平29.12.20判タ1452号131頁(大阪市労使関係に関する条例第12条にもとづく組合分会会議の施設利用不許可を適法とする) 
 東京都水道局の場合、地方自治法238条の4第7項の行政財産の目的外使用は、東京都公有財産規則ではなく、東京都水道局固有資産規程で運用がなされている。
具体的には、全水道東水労の分会が電気メータをつけて電気代を支払うことを条件として、無償でコーヒー、清涼飲料等の自動販売機の設置を許可している。
 一般論として行政財産の目的外使用は売店や記者クラブ、長期にわたって庁舎を占有する形態か、政策として石原都知事が推進したロケーションボックス(下水道局は映画「シンゴジラ」のロケ地を提供)や、東日本大震災の教訓から災害時の帰宅困難者滞在施設といった事案が対象のようで、都や水道局の庁舎管理規程は、国の官庁と違って、地方自治法の財産管理上の規定ではなく目的外使用についての言及がないことから、当局が全面的に許容している施設構内駐車場等での決起集会や執務室内を占拠する集会、庁舎内デモ行進、示威行為、スト待機者のセキュリティ破りの深夜立ち入り行為など本意見書が問題とする組合活動の多くは地方自治法238条の4第7項とは無関係な庁舎管理権の問題として取り上げてよいように思える。
 つまり私のこの提案は、企業秩序論の判例法理にもとづく庁舎管理とするものである。行政財産の目的外使用の不許可という形で、組合活動の規制もできるので活用の余地はあるので判例を引用した。


(三)他の職員の職務遂行、職務専念を妨げる行為の禁止(3)


 3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない
モデルは人事院規則17-2 第7条2項
「職員は、職員団体のためその業務を行ない、又は活動することによって、他の職員の職務の遂行を妨げ、又は国の事務の正常な運営を阻害してはならない。」
郵政事業庁就業規則13条6項
「職員は、職場において、他の職員の執務を妨げ、その他秩序を乱す言動をしてはならない。」

 東京都水道局に類似する同規則はなく、国の官庁と同じく、他者の職務専念義務への妨害抑制義務を規則化すべきである。
職務専念義務への妨害抑制義務については、目黒電報電話局事件・最三小判昭52.12.13が「勤務時間中における本件プレート(「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載)を着用し同僚に訴えかけるという‥‥行動は、他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し‥‥局所内の秩序維持に反する」と説示し、他の労働者の職務専念を妨げる行為であるとして、その他の非違行為を含めて戒告処分を適法としており、規則化を期待して然るべきである。又、春闘ワッペン着用を禁止する根拠にもなるので有益である。
 四国財務局勤評闘争事件・最三小判昭52.12.20においては、組合役員が事務室において携帯拡声器を用い、執務中の職員に対し局長との会談について約4、5分にわたり放送したことが、職員の執務を妨害したと認定され、勤務時間中の午後二時より30分間、職務を放棄し、組合役員約9名とともに、総務課長室において机を取り囲み、同課長に対して勤評反対闘争の結果措置等について大声で荒々しく抗議要求を行ったことが、同課長の勤務をの妨害したと認定され、その他の非違行為を含めて懲戒免職を適法としている。
 ところが東京都においては、勤務中に頭上報告、オルグ演説、集会を囚われの聴衆の状況で演説を聴かされ、職務の集中を妨げる行為が当然のようになされ、事務室内でなさける昼休み集会であれ、休憩時間をずらして勤務中の職員はいるので同じことであり、所属長要請行動のような多衆の威圧のもとに管理職の執務妨害ですら非違行為とされず容認してきた経緯がある。
 勤務時間中の組合活動の問題は平成16年に頭上報告等後藤雄一都議が質問し、その対応として「東岡職員部長通知」により勤務時間内の活動は賃金カットの警告がなさけるようになったが(第Ⅰ部(Ⅳ)六平成16年3月17日後藤雄一都議質問の影響34頁参照)、始業時間前の頭上報告であってもアジ演説を聴かされた余韻で作業能率に影響するおそれがあり、能率的、適正良好な職場環境、規律のある業務運営とはいえないという観点から規制してしかるべきである。今回は規則で明文化し、休憩時間や勤務時間外も含めて取り締まりの根拠とするものである。
 
(四)業務外の徽章・胸章・腕章等の着用禁止(4)
1 春闘ワッペンの取り外し命令の根拠とする
4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたトレーナー、Tシャツの着用を含める)

モデルはJRグループ就業規則
第20条の3 社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない

 運用解釈としては、リボン、ワッペン、鉢巻、ゼッケン、プレート、バッジのほか、政治的なスローガンをプリントされているトレーナー等の着用を含め服装闘争全般、組合の組織的行動だけでなく、組織されていない個人的行動も含めて取り締まる。
 これは、主に全水道東水労の春闘ワッペン着用闘争をやめさせる目的の規則である。近年は見かけなくなったが10年前頃まで配布していた。実際には、着用しない組合員も多かったが役員は着用していた。また闘争を再開する可能性もあるので予防のため規則になる。
腕章は役員がオルグ演説や頭上報告で用いるほか、過去に赤い腕章着用のまま勤務する職員もいた。これらも規制する。
春闘ワッペンは私鉄総連のワッペンと似ており、ビニール製直径6~7センチである。私は私鉄総連(私が見たところでは東京メトロ.東急.京浜急行.京成.東武については着用率が高く、京王は着用時期が短くやってない社員もいる。小田急は着用を確認していない)の駅員や乗務員、東急バス等バスの運転手のワッペン着用も非常に不愉快であり、バス運転手など制服をハンガーにかけて着用せず態度も悪いケースがある。
 第Ⅲ部特に東京メトロについては株を手放すまえに国会と都議会から注文をつけてもらいたいと思っているが、東京急行電鉄の昭和54年当時の就業規則は「従業員は、勤務時間中所定の社員章または制服制帽を着用しなければならない」としているが会社が認めないワッペンの着用を禁止していないようである。私鉄各社が禁止できていないのは、東京都水道局と全く同じ、企業秩序維持権を行使していないなのである。
春闘ワッペンの法的評価は、私鉄であれ、水道局では公衆の目に触れる頻度の高さの違いだけであり、大筋で同じ。この点JRグループは冒頭の就業規則等のもとに、会社発足当初から、国労バッジの取り外しを徹底的に指導しており、結果として、平成15年頃には着用者がいなくなった。企業秩序論による労務管理を徹底して成功している事例なので、それにならった労務管理を東京都も取り入れることを強く要求する。
結論を先にいうと、類似事案の判例は蓄積しており、明文の規則にもとづいて、春闘ワッペンの取り外し命令や、職務命令に従いない場合の不利益賦課が労組法7条1号の不当労働行為とされることはないから、勤務時間中に組合行動を意識させ職務の集中を妨げるおそれがあり、職務専念義義務違反にあたる。適正良好で能率的な職場環境を確保すべく取り締まっていくべきである。
 端的に一言でいえば、業務外の徽章等禁止の就業規則を明文化すれば、確実に取り締まりができる。それは、ワッペンよりずっと小さくて目立たない国労バッジ事件で就業規則違反として夏期手当減額措置を適法としている判決があるので、それは着用者の職務専念義務違反だけでなく、それが視覚に入ることによる他の職員の職務専念妨害、能率的な業務運営態勢なので規制できるという趣旨である。
 JR東海(国労東京地本新幹線支部)国労バッジ事件 東京高判平9.10.30判時1626号(最二小判平10.7.17労判744.中労委DB組合バッヂ着用の厳重注意と夏期手当減額の措置を不当労働行為に当たらないとして都労委の救済命令を取消した原判決を支持)
「本件組合バッヂ着用行為は‥‥本件組合員等相互間の組合意識を高めるためのものであるから‥‥職場の同僚組合員に対し訴えかけようとするものであり‥‥これを勤務時間中に行うことは‥‥たとえ職務の遂行に特段の支障を生じなかったとしても、労務の提供の態様においては、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い、職務にのみ従事しなければならないという‥‥職務専念義務に違反し、企業秩序を乱すものであるといわざるを得ない。また、同時に、勤務時間中に本件組合バッヂを着用して職場の同僚組合員に対して訴えかけるという行為は、国労に所属していても自らの自由意思により本件組合バッヂを着用していない同僚組合員である他の社員に対しても心理的影響を与え、それによって当該社員が注意力を職務に集中することを妨げるおそれがあるものであるから、この面からも企業秩序の維持に反するものであったといわなければならない。」
 腕章その他の服装闘争も大筋で同じ企業秩序論にもとづく理由でよいわけである。

2 春闘ワッペンの法的評価=就業時間中の組合活動とみなされる
 

 私鉄総連の春闘ワッペン着用行為が、組合活動か争議行為という問題は、当然にその法的性格を異にし、労組法7条1号との関係においても正当性の判断が異なりうるし、私企業では労組法8条の民事免責を正当な争議行為ならば認めることになるので、重要な論点である。
リボン闘争について最高裁が初めて判断を下した大成観光リボン闘争事件最三小判昭57.4.13民集36-4-659は、これを就業時間中の組合活動として、労働組合の正当な行為にあたらないと判示しているため、類似事案である私鉄総連の春闘ワッペンや全水道東水労のワッペンも就業時間中の組合活動とされることは間違いない。
 大成観光リボン闘争事件の原判決は、リボン闘争について組合活動の面と争議行為の面と両面があると考察しているが、最高裁は争議行為とみなさなかった。
 理由は判文では不明だが、新村正人調査官判解では、原審のいう使用者に対する団結示威の作用、機能を直ちに争議行為とみなす根拠はないと断定的に述べている。最高裁はリボン闘争が類型的に争議行為に当たらないとする見解に好意的とも言っている。
仮に争議行為にするとしても正当性の限界を確定する理論的作業は困難というほかなく、積極的に解することはないだろう。そうするとストライキ当日を別として、私企業で労働組合側がリボン闘争は争議行為と主張し労組法8条の適用があると主張しても認められることはないだろう。
したがって以下、ワッペン着用行為を就業時間中の組合活動と捉え法的な評価を行う。

3 服装闘争判例は正当な行為と認めていない

 就業時間中にリボン、腕章、ワッペン、鉢巻、ゼッケン、組合バッジ等を着用しながら労務提供することが、債務の本旨に従った履行といえるのか、労組法によって保護される組合活動の正当な行為といえるのか、その着用を理由とする取り外し命令、訓告、戒告、減給、期末手当減額、出勤停止処分等の不利益処分、あるいは就労拒否、配置転換、本来業務外し等の措置が適法かなどについては判例の蓄積がある。
労働委員会命令の傾向は、服装戦術を団結活動の一環としてとらえ、服装規定にもとづく懲戒処分の不当労働行為性を認定する傾向があるが、裁判所(救済命令取消訴訟)になると正当な組合活動とされる例は少なく、大多数の判例は服装闘争を正当な組合活動とみなしていないし、不利益処分について労組法7条1号の不当労働行為に当たらないとする。
 ノースウエスト航空事件・東京高判昭47.12.21労判速805-9が初めて腕章着用の就労を職務専念義務違反と判示した判例である。神田郵便局事件・東京高判昭51.2.25訟務月報22-3-740は勤務中に赤地に白く「全逓神田支部」と染め抜いた腕章を着用し、取りはずし命令に従わないことを理由とした担務変更命令を放棄したことによる減給処分を適法とする。
国労青函地本リボン闘争事件・ 札幌高判昭48.5.29判時704号6頁では、リボン着用は職務専念義務に違反し、国鉄の服装に関する定めにも違反し違法であり、取外し命令に従わない職員の訓告処分を是認とした。リボン闘争を違法とする判断枠組を示したリーディングケースである。同様にリボン闘争を違法とした判例として全逓灘郵便局事件・大阪高判昭51.1.30労民集27-1-1、全建労事件・東京地判昭52.7.25行裁集28-67-680等がある。 
      
(1)国労青函地本リボン闘争事件 ・札幌高判昭48.5.29労民24-3-257
 国労が昭和45年春闘に際し全国各支部に闘争指令を発し、青函地本は3月20日ころよりリボン闘争を含む職場点検闘争に入ることを各職場分会に指令した。これにより国労組合員が同年3月20日から5月8日にわたって「大巾賃上げを斗いとろう、16万5千人合理化紛砕」と書いた黄色のリボン(縦1.0㎝横3.5㎝)を制服に着用して勤務に就いた。当局は再三に亘って取り外しを指示したが、従わなかった組合員延べ492名を訓告処分に付し、このうち54名が国鉄総裁を相手取って訓告処分無効確認と損害賠償請求の訴訟を起こしたものである。
 一審函館地判昭47.5.19判時668号21頁はリボン着用を正当な組合活動として訓告処分を無効としたが、控訴審は破棄自判し処分を適法とした。
 この判例は「‥‥国有鉄道の職員は、勤務中は、法令等による特別の定めがある場合を除き、その精神的、肉体的活動力の全てを職務の遂行にのみ集中しなければならず、その職務以外のために、精神的、肉体的活動力を用いることを許さないとするものである。‥‥勤務時間中に職務の遂行に関係のない行為または活動をするときは、通常はこれによって当然に職務に対する注意力がそがれるから、かかる行為または活動をすることは、原則として職務専念義務に違反する‥‥その行為または活動によって、具体的に業務が阻害される結果が生じたか否かは、右の判断とは直接関係がないものというべき」と職務専念義務を厳格に解釈した判断枠組を示したことで知られ、最高裁(目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13民集31-7-974)もこの判断を採っている。
国鉄時代のリボン着用禁止の根拠となったのは、職務専念義務(国鉄法32条2項の「職員は、全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない。」)のほか服装整正規定がある。
 鉄道営業法第22条は「旅客及公衆ニ対スル職務ヲ行フ鉄道係員ハ一定ノ制服ヲ著スヘシ」と規定し、この規定の趣旨を受けて、安全の確保に関する規程第14条、職員服務規程第9条、営業関係職員の職制及び服務の基準第14条、服制及び被服類取扱基準規程第2条、第9条等の定めがなされ、現業に従事する職員に対し、制服(作業服を含む)を着用し、服装を整えて勤務することが命ぜられており、服制及び被服類取扱基準規程では、現場職員の制服等の制式と着装方を定め、これを職員に貸与するものとし(第3条)、かつ「被服類には、腕章、キ章及び服飾類であって、この規程に定めるもの及び別に定めるもの以外のものを着用してはならない」(第9条第3項)と規定していた。
 水道局では鉄道営業法のような制服着用の義務はないから鉄道員よりルーズといえる。
国鉄法の職務専念義務は、私企業の労働契約上の誠実労働義務にもあてはまる。また国鉄中国支社事件判決.最一小昭49.2.28民集28-1-66において国鉄の懲戒処分は、行政処分でなく、私法上の行為と判示しているので、国鉄においては公労法17条1項で争議行為が禁止されていたことを除いて、国鉄判例は私企業においても先例となるのである。
札幌高裁は次のように説示する。「‥‥被控訴人らは、本件リボンを着用することにより、勤務に従事しながら、青函地本の指令に従い、国労の組合員として意思表示をし、相互の団結と使用者に対する示威、国民に対する教宣活動をしていたものであり、したがって‥‥勤務の間中、組合員相互に本件リボンの着用を確認し合い、これを着用していない組合員には着用を指導していたものであつて、本件リボンの着用が精神的に被控訴人らの活動力の職務への集中を妨げるものでなかったとは到底認めることはできない。‥‥組合活動を実行していることを意識しながら、その職務に従事していたものというべきであり、その精神的活動力のすべてを職務の遂行にのみ集中していたものでなかつたことは明らかである。よって、被控訴人らが勤務時間中本件リボンを着用したことは、職務専念義務に違反するものである」 
 「国鉄職員のうち旅客及び公衆に対する職務を行なう者については、鉄道営業法第二二条によって、制服の着用が義務づけられており、また、直接右法条に該当しない者であっても、現業に従事する者について、公共の福祉の増進を目的とする国鉄の職員としての公正中立と品位を保持し、旅客公衆に対し国鉄職員であることの識別を可能ならしめ、かつ不快感を与えることを防止し、その職務が旅客公衆の身体、財産の安全にかかわるものとして、特に強く要請される職場規律の保持を確保するために、制服を着用すべきものとすることが必要であるから‥‥現業に従事する職員に対し制服を着用し、服装を整えて勤務することが命ぜられていることは、十分合理的な根拠を有するのであり、そして、右制服に、定められた服飾類以外の物を着用することを禁止することも、制服の性質、趣旨よりすれば、これを不合理な規制ということはできない。‥‥また、本件リボンは、前記のとおり組合活動として着用されたもので、その内容は組合の要求を記載したものであるところ、‥‥被控訴人ら国鉄職員がこれを着用して勤務していることに対し旅客公衆の中には不快感を抱く者があることは十分予想される。被控訴人らは、そのような不快感は反組合的感情で保護するに値しないと主張するが、しかし、その不快感が、本件リボンの内容である国労の要求内容に対する不満にあるのではなく、被控訴人らが職務に従事しながら本件リボンを着用して組合活動をしているその勤務の仕方に対する不信、不安によるものであるときは、国鉄が公共の福祉の増進を目的とする公法人で、その資本は全額政府が出資していることを考えると、右の趣旨の旅客公衆の不快感は十分理由があるものであつて、これを単なる反組合的感情にすぎないものということはできない。さらに、本件リボンと職場の規律、秩序の関係についても、本件リボンが前記のとおり国労の要求を記載したもので、これを着用することによって国労の団結をはかるものであるところ、国鉄内には、国労のほか、これと対立関係にある鉄道労働組合があることは顕著な事実であり、本件リボンの着用が鉄労組合員その他組合未加入者に心理的な動揺を与え、‥‥国労の組合員の中にも指令に反し本件リボンを着用しなかつた者が相当数あつたことが認められるが、これらの者にも精神的な重圧となったことも十分考えられ、勤務時間中の本件リボンの着用は、その勤務の場において、不要に職場の規律、秩序を乱すおそれのあるものというべきである。‥‥よって、本件リボンの着用は、控訴人の服装に関する定めに違反するものであり、法律及び控訴人の規程の遵守を求める法律に反する違法のものである。」
 私鉄総連の春闘ワッペンには、具体的な要求項目の記載はない。ワッペンの記載は、民鉄協会と合同して行っている「公共交通利用促進」というスローガン、西暦と「春闘」、私鉄総連の英訳の頭文字、電車やバスのデザインである。
 しかし「春闘」とは2月ころから労働組合が一斉に賃上げ等を要求する闘争を意味することは明らかであり、ワッペンは直径6~7㎝はあり目につきやすいという点ではリボンと比較しても遜色はない。全水道東水労のものも形状はだいたい同じ。
旅客公衆は「春闘」という文字をみて、使用者に対する団結示威というだけでなく、乗客にも春闘への連帯を訴えかける宣伝と受けとめる。したがって、旅客公衆が「職務に従事しながら‥組合活動をしているその勤務の仕方に対する不信、不安」を抱くことは、国労青函地本リボン闘争事件・ 札幌高判昭48.5.29の説示と基本的には同じことというべきである。それが水道局で行われる場合も同じである。

(2)大成観光リボン闘争事件・ 東京地判昭50.3.11民集36-4-681

 事案は、昭和45年10月、ホテルオークラ(従業員約1200人)の従業員で組織する労働組合(組合員約300人)が結成三か月後、賃上げ闘争の一環として、2回にわたってリボン闘争を行った。リボンは直径5~6センチの花形に長さ6センチ幅2センチの白地に「要求貫徹」「ホテル労連」という文字を黒や朱色で印刷されていたもの。第1回のリボン闘争は10月6日から8日午前7時まで、リボン着用者は約226名(客面に出た者約25名)、7日は276名(客面に出た者約59名)であった。会社はリボンを外すよう説得し、担務変更などの対抗策を講じたが、組合は無視しリボン闘争を強行したため、組合三役らの6名の幹部責任を問い、就業規則にもとづいて減給処分とした。
 第2回のリボン闘争は、処分撤回の目的で団交決裂後の10月28日午前7時から30日午後12時まで実行され、リボン着用者は28日256名(客面に出た者は約50名)、29日243名(同じく約49名)だった。11月9日賃金紛争は妥結し、11 日再び組合三役を譴責処分とした。 組合側は、東京都地労委に救済を申し立て、東京都地労委は、労組法7条1号の不当労働行為に該当するとして、処分の取り消し、減給分の賃金の支払いを命じた。会社側は救済命令を不服としする行政訴訟を提起した。
 東京地裁は、リボン闘争による団結示威の機能領域の異別という視点から、組合活動の面と争議行為の面とにわけて考察したうえ、「いわゆる組合活動の面においても、争議行為の面においても、労働組合の正当な行為ではありえないというべき」と断じ、救済命令を取消した。
(判決理由の要旨)
○組合活動としてのリボン闘争の一般的違法性
 労働者の連帯感を昂揚し、その士気を鼓舞するための集団示威は労働組合が自己の負担及び利益においてその時間及び場所を設営しておこなうべきもので、勤務時間の場で労働者がリボン闘争による組合活動に従事することは、人の褌で相撲を取る類の便乗行為であるというべく、経済的公正を欠く。労働者が使用者の業務上の指揮命令に服して労務の給付ないし労働をしなければならない状況下でのリボン闘争は、誠意に労務に服すべき労働者の義務に違背し違法であり、使用者はそれを受忍する理由はない。
○争議行為としてのリボン闘争の一般的違法性
 使用者の指揮命令に従って業務を遂行しつつ、それに乗じて団結の示威を行うことは、心理上の二重機能的メカニズム、一面従順、他面反噬という精神作用を分裂させて二重人格の形成を馴致する虞れがあり、労働人格の尊厳を損なう性質のものであるのに加え、リボン闘争に対して使用者が、賃金カット、ロックアウトで対抗するのは困難であって、労使間の公平の原則に悖るため、争議行為としても違法であり、使用者が受忍する理由もない。
○特別違法性
 リボン闘争は、労使が互いに緊張していることをまあたりに現前させるので、客がホテルサービスに求めている休らい、寛ぎ、そして快適さとはおよそ無縁であるばかりでなく、徒らに違和、緊張、警戒の情感を掻き立てることなり、ホテルの品格、信望につき鼎の軽重を問われ、客の向背を左右することは必定。ホテル業の使用者において忍受しなければならない理由はさらにない。
労働側が殆ど勝てないため「地獄の東京地裁民事19部」と恐れられた中川幹郎裁判官チームの判決である。下線部で示すよう特徴的な表現のある判決として名高い。なお、控訴審東京高判昭52.8.9民集36-4-702は一審の判断を支持し棄却。

(3)目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13民集31-7-974
 本件は政治活動であるが、服装闘争判例とみす。判断枠組みは組合活動でも先例となる。
数日間継続して、作業衣左胸に、青地に白字で「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプレートを勤務時間中に着用した行為等に対する戒告処分を適法とした。
 判決理由は、局所内の政治活動を禁止する就業規則にたんに形式的に違反するだけではなく、実質的にみても局所内の秩序をみだすと判定し処分を是認しているが、職務専念義務論は、プレート着用が職務に専念すべき局所内の規律秩序を乱しているから、実質的に就業規則違反になるという脈絡で展開されており、直接職務専念義務違反として処分を適法としている下級審判例と異なるが、その内容は、国労青函地本リボン闘争事件の判旨を踏襲しているといえる。
 つまりプレート着用が公社就業規則5条2項の局所内の政治活動を禁止した規定に違反する行為とした。ただし、この就業規則は局所内の秩序風紀の維持を目的としたものであることにかんがみ、形式的に右規定に違反するようにみえる場合であっても、実質的に局所内の秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右規定の違反になるとはいえないという判断枠組を示したうえで、大筋以下の2点で実質的に局所内の秩序を乱すもしくは乱すおそれがあるので、就業規則違反として懲戒処分を適法と結論する。
 a)職務と無関係な同僚への訴えかける行動は、職務の遂行と無関係な行動であり、職務に専念すべき局所内の規律秩序を乱している
 b)他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、よって他の職員がその注意力を職務に集中することを妨げる  おそれがあることは局所内の秩序維持に反する。
a)について同判決は、公社法三四条二項が「職員は、全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない旨を規定しているのであるが、これは職員がその勤務時間及び勤務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないことを意味するものであり、右規定の違反が成立するためには現実に職務の遂行が阻害されるなど実害の発生を必ずしも要件とするものではないと解すべきである。」と判示した。
 菊池高志[1983「労働契約.組合活動.企業秩序 『法政研究』49(4)]によれば目黒電報電話局判決は「勤務中は‥‥職務以外のことは行ってはならないのが職務専念義務であると言う。そうである以上、職務専念義務違反の判断は、職務以外の行為があったという事実さえ認められれば目的、態様、行為の及ぼす影響などは改めて吟味を要旨はないこととなる」とするが、これが普通の解釈である
 国労青函事件札幌高裁判決や、目黒電報電話局事件上告審判決が示した職務専念義務論が、私企業の労働契約上の誠実労働義務と同一内容といえるかについては議論があるが、通説は同一内容とみなす。
 「職務専念義務」あるいは「誠意に労務に服すべき義務」というにしても、法的に考えるならば、両者の義務は職場規律を遵守し、就業時間中仕事以外のこといっさいかんがえてはならない義務として使用されており、「誠意に労務を提供する義務」は職務専念義務と同一内容をもつものと考えられる[石橋洋「組合のリボン闘争戦術と実務上の留意点-大成観光(ホテルオークラ)事件」労働判例391号1982]。
加えて最高裁は、国鉄中国支社事件判決.最一小昭49.2.28民集28-1-66において日本国有鉄道法31条1項に基づく懲戒処分は、行政処分ではなく、私法上の行為としているから、国鉄職員懲戒処分の判例は、公労法17条1項の争議行為が禁止されている点は異なるとはいえ、私企業一般の先例なのである。
 目黒電信電報電話局事件判決は直接には公社法所定の職務専念義務に関する判断であるが、判決は「公社と職員との関係は、基本的には一般私企業における使用者と従業員との関係と本質を異にするものではなく、私法上のものである」としており、公社職員の職務専念義務も雇用契約関係における被用者一般の義務とその本質を異にするものではないと捉えられているから、私企業一般の先例なのである。
とすれば、職務専念義務の判断も特殊公社法上の解釈として示されたものではなく、雇用契約関係において労働者が負う義務に関する一般的理解として述べられたものと解するべき[菊池高志前掲1983]という見方が有力なのである。

(4)大成観光リボン闘争事件・最三小判昭57.4.13民集36-4-659
 最高裁が初めてリボン闘争について判断を下した大成観光リボン闘争事件最三小判昭57.4.13民集36-4-659は、「本件リボン闘争は就業時間中に行われた組合活動であって参加人組合の正当な行為にあたらないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。‥‥」とした。

 この結論は妥当であるが、第三小法廷4人のうち横井大三(高検検事長出身)、寺田治郎(高裁長官出身)判事の主流派2人と左派プロレイバー(反主流派)が2人(弁護士出身の環昌一裁判長、学者出身の伊藤正己各判事)という構成のため、先例についての法的評価が一致せず、結論にいたった最高裁としての理由が示されていない。目黒電報電話事件最高裁第3小法廷判決は本件控訴審の後のものであるので、本件上告審においても、目黒局事件判決を引用し、雇用契約上の誠意に労務に服すべき労働者の義務において、被用者はその勤務時間及び勤務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならず、誠実労働義務違反というには現実に職務の遂行が阻害されるなど実害の発生を必ずしも要件としないとなぞった説示してもよいはずなのに、それをしていない。
 判文で理論的説示がない理由は、目黒電報電話局判決に半数の2判事が批判的なためである。
しかし理論的な説示がなくしも、結論は正当な行為とされていないのだから、リボン闘争に否定的な下級審の傾向を追認したとする解釈をとってよいように思える。
 ただし当該事案に限定しての判断のため、玉虫色的解釈がなされる要因となっている。この先例をホテル業に限定した判断であってケースバイケースで正当な行為とすることもありえるといったような労働組合側に有利に解釈することは、次節で述べるとおり他の最高裁判例との整合性からみて無理がある。
 服装闘争類似事案の判例も多数蓄積しているが、JR東海(新幹線支部)国労バッジ事件.東京高判平9.10.30判時1626号388頁(上告審最三小判平10.7.17労判744号15頁も原判決の判断を支持)が、組合バッチを着用したこと理由とする夏期手当支給5%減、賃金規定の昇給欠格条項該当者とする不利益措置は、労組法7条1号の不当労働行為にはあたらないと判示し、平成20年代の下級審判例である、JR西日本大阪国労バッチ事件.東京地判平24.10.31別冊中央労働時報1434号20頁やJR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件.東京地判平24.11.7労判1067号18頁が  JR東海(新幹線支部)高裁判決の理論的説示を踏襲していることから、近年においても労働組合に有利といえる状況はないといえる。
総合的に判断しておよそ春闘ワッペン闘争については下記の立論により否定的な法的評価ができる。

3.春闘ワッペンは労働契約上の誠実労働義務に反し違法と断言してよい

(1) 私企業の労働契約上の誠実労働義務にも厳格な職務専念義務論が適用される


 まず労働契約上の誠実労働義務に反し違法と断言してよいと考える。労働者は、雇用契約に基づき職務専念義務を負っており、就業時間中の組合活動は違法である。
 近年の組合バッジ着用事案の判例でも「労働者は、就業時間中は使用者の指揮命令に服し労務の提供を行う義務を負うものであって、勤務時間中の組合活動は、原則として右義務に違反する‥‥労働契約においては、労務の提供の態様において職務専念義務に違反しないことは労働契約の重要な要素となっているから、職務専念義務に違反することは企業秩序を乱すものであるというべきであり‥‥」(JR東海新幹線支部国労バッジ事件.東京高判平9.10.30判時1626号388頁)と判示しているとおりである。
 この判断の根拠になっているのは引用こそされてないが目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13民集31-7-974の職務専念義務論である。
 同判決は公社法三四条二項の職務専念義務規定を「‥職員がその勤務時間及び勤務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないことを意味するものであり、右規定の違反が成立するためには現実に職務の遂行が阻害されるなど実害の発生を必ずしも要件とするものではない」として厳格に解釈したことはよく知られている。
 同判決は公社法所定の職務専念義務に関する判断であるが、「公社と職員との関係は、基本的には一般私企業における使用者と従業員との関係と本質を異にするものではなく、私法上のものである」と判示し、公社職員の職務専念義務も雇用契約関係における被用者一般の義務とその本質を異にするものではないと捉えられているから、職務専念義務の判断も特殊公社法上の解釈として示されたものではなく、雇用契約関係において労働者が負う義務に関する一般的理解として述べられたものと解するべき(菊池高志前掲 1983 )とする見解が通説である。
 つまり職務専念義務は公務員法制の実定法に限られず、私企業の雇用契約でも同じことである。
なお、目黒電報電話局反戦プレート事件.最三小判昭52.12.13民集31-7-974は、ベトナム反戦プレート着用という個人的な政治活動の事案だが、組合活動についても同判決の判断枠組が適用されることは判例法理上当然の帰結といわなければならず、そうでないとする大成観光リボン闘争事件最三小判昭57.4.13伊藤正己補足意見は先例無視の勝手な見解だといわなければならない。
 この点については大成観光リボン闘争事件・最三小判昭57.4.13民集36-4-659新村正人調査官判解が目黒電報電話局判決は「‥‥右事案におけるプレートの着用は組合活動として行われたものではないが、その判旨の趣旨を推し及ぼすと、同様に職務専念義務を肯定すべき私企業においてリボン闘争が就業時間中の組合活動としておこなわれたときは、労働組合の正当な行為とはいえないことになる。‥‥本件リボン闘争が組合活動として行われたものとの前提に立つ限り、その正当性を否定することは、判例理論上必然のことといってよい」と解説しており、大成観光リボン闘争事件・最三小判昭57.4.13は理由を示していないが、目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13の判断を踏襲しているという解釈が法律家の標準的見解といえる。 (菊池高志前掲判批だが、石橋洋前掲判批や西谷敏「リボン闘争と懲戒処分――大成観光事件」ジュリスト臨時増刊792号226頁1983、プロレイバー側の学者も同趣旨を言っている)
 なお目黒局判決に後続する企業秩序論判例である国労札幌地本ビラ貼り戒告事件・最三小判昭54.10.30民集33-6-676とそれを引用する多くの判例が、使用者は無許諾の企業施設内組合活動の受忍義務はないこと、済生会中央病院事件・最二小判平元.1.12.11民集43-12-1786によって就業時間中の無許諾組合活動が正当化されることはないことを明らかにしており、法益衡量の調整的アプローチを明確に否定していることから、職務専念義務は、政治活動を禁止する場合適用されるが、組合活動には適用されないということは、他の判例との整合性からみてありえないことである。
 以上のことから私企業の労働契約上の誠実労働義務にも厳格な職務専念義務論が適用されるのであり、東京急行電鉄自動車部淡島営業所事件・東京地判昭60.8.26労民集36巻4.5号558頁では、同社の就業規則八条「従業員は、会社の諸規程および上長の指示にしたがい、……誠実にその義務を遂行しなければならない。」が引用され、「労働者は誠実に職務に従事すべき義務を負うことは、労働契約の性質から当然のことである。したがつて、労働者が勤務時間中にその職務と関係のない行為を行うことは原則として右義務に違反することとなり、この場合に右義務違反が成立するためには必ずしも現実に職務の遂行が阻害されるなどの実害が発生することまでは要しないものというべきである。そして、被告会社の前記就業規則八条の定めも、このことを明らかにしたものと解される。」と判示しているとおりである。
本件は、狭山差別裁判粉砕等、裁判の不当を訴える内容の縦10センチメートル、横14センチメートルの硬質プラスチック製のプレートを制服の左胸部に着用してした就労申入れを拒否した事案で組合活動ではないが、現在の東急電鉄の就業規則は不明だが、民鉄の就業規則を引用して厳格な職務専念義務論を述べた先例としてその意義が認めなければならない。


(2)予想される組合側の反論に対する再反論(長文になるのでせ註記に移す)

(六)業務外の車両.旗.幟.プラカード.横断幕.立看板等の持ち込み、設営。集団行進、示威行為等の禁止

5 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設営してはならない。又、許可なく業務外の目的で、局施設内に侵入、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進、警備会社の警備解除をしてはならない。

 東京都の庁舎管理規則と水道局庁舎管理規程は、以前は穴の多いものだったが、オリパラ開催に伴う警備強化のため令和2年に大きな改正がなされ、禁止事項が増加した。概ね法務省や裁判所の規則をモデルにしているものと思えるが、これは組合活動というよりも外来者の抗議活動や面会の強要などに対応できるものとした感がある。庁舎管理規程とは別に職員に限定した就業規則として庁舎管理規程と同様の禁止事項を設けることは郵政省などの例があるので、就業規則でも庁舎管理規程と同様の規則を制定してよいと考える。


モデル 法務省
左の写真は、霞が関の東京家庭裁判所の構内にある看板を撮影したもの。東京法務局のある九段第二合同調査にも同文の立て札があるので、法務省や裁判所ではどこも同じと考えられるが、これは組合対策というより陳情、抗議行動の来庁者対策といえるが、庁舎管理規程と重複する部分はあっても、職員に対する就業規則で規定して万全を期す。
旗上げ行為や立て看板は、スト当日だけでなく、闘争期間や支部の決起集会時にみられ、私が勤務した場所では、江東営業所や千代田営業所は巨大な立て看板が出されるほか、千代田営業所では来客用駐車場に多数の組合旗が掲出される。闘争期間はビラだけでなく、旗が掲出されることがあり、寄せ書きをした組合旗か陳列されたりすることもある。都庁前の決起集会では、車両や旗、幟が持ち込まれるほか、平成16年の業務手当闘争では都庁前の集会参加者が、第二庁舎に旗や幟持参のままなだれこみ、庁舎内を練り歩くデモ、座り込みが行われているが、退去命令等は行われていない。
本庁はセキュリティゲートが設置されたので、突入して練り歩くことは困難になったが、出先の事業所にはセキュリティゲートなどなく、鉢巻やゼッケン、腕章は前段の規則で規制しているのでそれと合わせて、規則を明文化し、撤去命令、退去命令の根拠する趣旨である。
庁舎管理規程の改訂でも懲戒処分は可能だが、就業規則で規定して万全を期す。

モデル 最高裁判所庁舎管理規程

裁判所の庁舎等の管理については、最高裁判所において裁判所の庁舎等の管理に関する規程(昭和四三年六月一〇日最高裁判所規程第四号)を制定している。
その規程中には次のような定めがなされている。
(目的外使用)
第八条 管理者は、前二条に定める場合のほか、庁舎等をその目的以外の目的のために使用させてはならない。ただし、管理者が相当と認めるときは、その使用を許可することができる。
(許可条件)
第九条 管理者は、前三条の許可をする場合において、条件を付することができる。
(掲示)
第十条 管理者は、庁舎等において広告物、びら、ポスター、立看板その他これらに類する物の掲示(展示を含む。以下同じ。)をさせてはならない。ただし、管理者が相当と認めるときは、その掲示を許可することができる。
2 前項の許可は、管理者が掲示の場所及び期間を指定して行なう。
3 管理者は、第一項に掲げる物が許可を受けないで掲示されたとき、又は前項の指定に違反して掲示されたときは、掲示をした者に対し、その撤去を命じなければならない。
4 管理者は、第一項に掲げる物を掲示した者が前項の命令に従わないとき、その者若しくはその所在が判明しない等のため前項の命令をすることができないとき、又は緊急の必要があると認めるときは、これを撤去しなければならない。
(退去命令等)
第十二条 管理者は、庁舎等において次の各号の一に該当する者に対し,その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。ただし、管理者が第九号又は第十号に該当する者に対し、庁舎等の管理に支障がないものと認め、その行為を許可した場合は、この限りでない。
一ないし八(省略)
九 旗、のぼり、プラカード、拡声機、その他これらに類する物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
十 はちまき、ゼッケン、腕章、その他これらに類する物を着用する者
十一 前各号に掲げる者のほか、庁舎等の管理に支障がある行為をし、又はしようとする者
2 管理者は、庁舎等の管理のため必要があると認めるときは、庁舎等において、文書、図画、びら、その他これらに類する物を頒布し、又は頒布しようとする者に対し、その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。 
3 省略
(撤去命令)
第十三条 管理者は、庁舎等にある次の各号に掲げる物について、その所有者又は所持者に対し、その撤去又は搬出を命じなければならない。ただし、第四号又は第五号に掲げる物について、管理者が庁舎等の管理に支障がないものと認めた場合は、この限りでない。
一ないし三(省略)
四 旗、のぼり、プラカード、拡声機、その他これらに類する物
五 はちまき、ゼッケン、腕章、その他これらに類する物
六 前各号に掲げる物のほか、庁舎等の管理に支障を生じ、又は支障を生ずるおそれがある物
2 管理者は、庁舎等の管理のため必要があると認めるときは、庁舎等にある第十二条第二項に掲げる物についてその所有者又は所持者に対し、その撤去又は搬出を命じなければならない。
3 管理者は、第一項各号及び前項に掲げる物の所有者又は所持者が前二項の命令に従わないとき、これらの者若しくはその所在が判明しない等のため、前二項の命令をすることができないとき、又は緊急の必要があると認めるときは、これを撤去し、又は搬出しなければならない。
裁判所以外の各省庁における庁舎等管理規程も、ほぼ同様の条項が存在する
(出所国労札幌地本ビラ貼り事件最三小判昭54.10.30上告趣意書

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 旗上げ行為、横断幕規制等の根拠となる判例は以下のとおり

○北見郵便局事件・札幌地判昭50.2.26判時771号3頁
 北見郵便局の庁舎管理者である同郵便局長の許可を受けることなく、通用門の両側の鉄柵に全逓旗が各2本ずつ計4本、入口に立看板が1枚立てられ、図書室前の鉄柵に横断幕2枚張られた。郵便局長は組合書記局に撤去するよう命じたが応じず、管理職により撤去作業を始めたところ、原告ら組合員が妨害行為をしたことが懲戒事由の一つとされておりそれ自体は違法であるとしている。郵政省庁舎管理規程によると、庁舎管理者の許可なく広告物またはビラ、ポスター、旗、幕その他これに類するものを掲示、掲揚または掲出したときは、その撤去を命じ、これに応じないとき庁舎管理者はみずから撤去することができる旨規定されている(六条、一二条)。全逓旗、横断幕および立看板はいずれも北見郵便局長の事前の許可を得ないで掲出されたものであり、原告はその撤去命令に従なかったのであるから、同局長はみずからこれを撤去することができると説示する。
●北見郵便局懲戒免職事件・札幌高判昭54.3.29判時940号114頁
 スト指導その他を理由とする懲戒免職を違法とした一審を破棄し適法とする。庁舎管理者の許可を得ないで掲出された組合旗、横断幕及び立看板を管理者側が撤去しようとするのは正当な職務行為であり、右撤去作業を妨害した行為が国家公務員法99条(信用失墜行為の禁止)に違反し、同法82条1号、3号に該当するとした。
●ミツミ電機事件・東京高判昭63.3.31判タ682号132頁
 争議中の集会、デモ、泊込み、ビラ貼付、赤旗掲揚等を理由として組合役員になされた懲戒解雇を是認。
○国鉄松山電気区事件・高松高判平元.5.17労判540号52頁
 組合旗を撤去した電気支区長に対して暴言、暴行に及んだ国労愛媛支部書記長の懲戒免職を解雇権の濫用として無効とした原審を支持。(懲戒免職が重過ぎるとの判断とみられる)
●平和第一交通事件・福岡地判平3.1.16労経速1423号3頁
 組合旗の撤去、処分警告書の交付等を不当労働行為とした労委命令を取消し、施設管理権の行使として是認された例であるが、国労札幌地本事件最高裁判決を引用したうえ「組合が掲揚した組合旗は、昭和六一年六月一〇日ころにはその数が二〇本に及び、原告事務所の美観を著しく損ない、通行人や乗客に奇異な印象を与えるものであることが認められ、‥‥、組合が依然として組合旗等の掲揚を中止しないために、やむをえず掲揚されていた組合旗等を自力で撤去し、無断で組合旗を掲揚していた組合員に対し、再発防止のための責任追及及び処分の警告を発したものであって‥‥必要な施設管理権の行使であって、組合が企業内組合として団結を示すために掲揚することが必要であることを十分考慮に入れても、それゆえに組合が原告の施設を使用できる当然の権利を有するものではなく、原告が組合の組合旗掲揚を受忍する義務もないというべきである。」と説示。
●ミツミ電機事件・東京地八王子地判平6.10.6.24労働判例674号45頁
 組合の行った座り込み.デモ.ビラ貼付.赤旗掲揚.立て看板等を理由とする、組合委員長の解雇を是認。
●社団法人全国社会保険協会連合会(鳴和病院)事件・東京地判平8.3.6労判693号81頁 
 組合旗撤去は不当労働行為に当たらないとする中労委命令を支持。
「本件組合旗は、縦約数十センチメートル、横約一メートルで、掲揚場所も正面玄関のほぼ真上に当たる屋上であり、歩道から鳴和病院構内に入る地点からも、また、道路を隔てた向かい側からも見通せる非常に目につきやすい位置に掲揚されたことを認めることができる。‥‥使用者は、施設管理権を有しているのであるから、施設の使用を制限することは、これが施設管理権の濫用と認められる特段の事情がない限り適法であって、施設の使用」と説示。
組合旗については全国一般労働組合長崎地本.支部事件というのがあり、以下のように懲戒処分を肯定したもの不当労働行為としたものがあるが組合旗の掲出自体は違法であり、信用棄損にもなりうる。但し組合旗だけで停職3か月が重過ぎ組合活動に対する嫌悪を主たる動機としたと判断する判例があるということである。
●全国一般労働組合長崎地本・支部(光仁会病院・組合旗)事件・長崎地判平18.11.16
 全国一般労組長崎地本長崎合同支部(医療法人光仁会)事件とは平成16年、長崎市にある精神科専門の医療法人光仁会病院(精神病床561床、従業員271名=当時)と全国一般労組長崎地本長崎合同支部(長崎地区の中小企業.商店など労働者が職種.企業を越えて組織された組合、組合員数221人、光仁会病院の組合の分会は61名)との間で夏期賞与支給をめぐって4回の団体交渉が行われたが妥結に至らなかったことから、分会長及び組合員らは、抗議行動として、赤地に白抜き文字で「団結」「全国一般」「長崎地本」などと記された組合旗を病院正門の左右両側に及び公道に面した位置に計5本を設置した。これに対して病院は再三にわたり撤去を求めたが組合は正当な組合活動であるとして応じず、約3ヶ月半にわたり設置しつづけたために、病院は、組合旗設置行為が施設管理権及び所有権を侵害する違法行為として分会長に対して停職3ヶ月の懲戒処分を科したという事案で、病院側が組合旗設置行為の違法を前提に、原告医療法人が被告らに対し損害賠償を求めた甲事件及び丙事件と、懲戒処分の無効を前提に、被告が原告医療法人に対し賃金請求をするとともに、被告組合支部及び被告が原告医療法人に対し損害賠償を請求する乙事件の3事件が併合審理され、被告組合支部と分会長の請求を棄却し、医療法人側の損害賠償請求を一部認容した。
 判断枠組として昭和54年最判(国労札幌地本事件)が引用され、本件事実関係によれば、本件組合旗設置行為は、約三か月半も継続したものであり、しかも、四本の組合旗は公道に面した場所に掲揚され、残り一本の組合旗も正門を入ってすぐの場所に掲揚されていて、組合旗の大きさ、色彩、記載された文字等に照らすと、これらを見る者の視覚を通じて、組合活動を展開している旨の訴えかけを行う効果を十分に有していたものと認められる。そのため、本件組合旗設置行為により軽視することのできない信用毀損の損害を被ったのであって、被告組合支部はその執行委員会の決定に基づき、違法な本件組合旗設置行為に及んだのであるから、民法七〇九条による不法行為責任を負うものである。また、分会長は、違法な本件組合旗設置行為を実際に実行した主体の一人であり、その個人責任が否定されることにはならず、民法七〇九条による不法行為責任を負うものである。
 原告が、病院施設に掲揚された組合旗を目にした医療従事者、患者及びその家族、近隣住民、金融機関、行政機関等から、悪しき評価を受け、本件組合旗設置行為によりその信用を害されたのは明らかである。原告は、精神に障害を負った患者の治療を行うための精神科の病院を経営しているため、その静謐な環境と相反する本件組合旗設置行為に対する一般の評価も厳しくなったものと考えられ、本件組合旗設置行為による信用毀損の損害が認められる。本件組合旗設置行為による原告光仁会の損害額は、合計275万5千円とした。また懲戒処分の内容として、三か月の停職処分が重すぎるということはできないと判示した。
□全国一般労働組合長崎地本・支部(光仁会病院.組合旗)事件.福岡高判平20.6.25労判1004号134頁
 本件、組合旗設置行為は違法であるから、不法行為責任を負う。また正当な組合活動とはいえず、就業規則上の懲戒事由に該当するが、使用者の敵対的行動や団体交渉に対する消極的態度に反発したことにも起因し、当該懲戒処分は組合やその活動に対する敵意の発現であったとも考えられ、組合員に対する停職処分は、行為内容と対比してあまりに均衡を失し、社会通念上合理性を欠き無効とする。(TKC参照)
「本件のように、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権利を侵し、企業秩序を乱すものであって、正当な組合活動には当たらないものと解するのが相当である(昭和54年最判参照)。
 そして、控訴人丁原ら組合員は、被控訴人の許諾を受けることなく、光仁会病院の病院施設に本件組合旗を設置したものであるから、被控訴人が本件組合旗の設置を許さないことをもって権利の濫用であるということがいえない限り、本件組合旗設置行為等は、被控訴人の施設管理権を侵害し企業秩序を乱すものであって、正当な組合活動ということはできず、違法というべきである。‥‥‥本件組合旗設置行為等は違法であって、不法行為を構成するというべきである。そして、控訴人丁原は控訴人組合の決定に基づいて本件組合旗を設置したものであるから、同控訴人らが不法行為責任を負うことは明らかであり、また、控訴人組合本部についても、同控訴人は控訴人組合の上部組織であって、実質的にも指揮監督関係にあったものと認められるから、民法715条に基づく責任(使用者責任)を負うというべきである。
本件懲戒処分のような、使用者の懲戒権の行使には裁量が認められているのであるが、これがその原因となった行為との対比においてはなはだしく均衡を失し、社会通念に照らして合理性を欠くなど裁量の範囲を超えてなされた場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である(最高裁昭和49年2月28日判決.民集28巻1号66頁、最高裁昭和50年4月25日判決.民集29巻4号456号参照)。
これを本件についてみると、本件組合旗の設置は正当な組合活動とはいえないのであるから、‥‥約108日間の長期間にわたって本件組合旗を撤去しなかったものであって、‥‥その情状は決して軽くはないというべきである。 
 しかしながら、控訴人組合が本件組合旗設置を決意したのは、被控訴人の控訴人組合に対する敵対的行動や団体交渉に対する消極的態度に反発したことにも起因するものであったこと、本件組合旗の設置期間が長期に及んだのは、被控訴人が、本件組合旗の設置に対抗して、本件ビラを配布したり本件日の丸等を設置し、さらに、その間に行われた団体交渉にも消極的な態度で臨んだことにも起因していること、本件懲戒処分は、3か月間にわたって賃金を支給せず、かつ光仁会病院の敷地内にも立入りができないという厳しい処分であるにもかかわらず、被控訴人の理事会においては、今まで組合旗が設置してなされた組合活動に懲戒権が行使されたことはないことや、光仁会病院における過去の懲戒権行使の事例について検討した形跡はなく、ただ、本件組合旗の設置期間が108日間であったから3か月の停職にするという薄弱な理由で本件懲戒処分を決定していること、労働協約の一括しての解約通告においても、被控訴人において事前にその必要性の有無等を真摯に検討したことをうかがわせる資料はないこと、被控訴人は、本件ビラに控訴人組合を揶揄するような内容の記載をし、従業員からも組合側が設置したと誤解されるような横断幕を設置し、また、本件懲戒処分直後から光仁会病院の正門にガードマンを配置して控訴人丁原の立入りを阻止しており、これらの行動と本件組合旗設置前からの被控訴人の敵対的態度とを併せると、被控訴人には控訴人組合やその組合活動に対する敵意がうかがわれ、本件懲戒処分はその発現であったとも考えられること、以上の事実を総合して考えると、本件懲戒処分は、本件組合旗設置行為等の行為内容と対比してあまりに均衡を失するものといわざるを得ず、社会通念上合理性を欠くというべきである。したがって、本件懲戒処分は権利の濫用として無効である。‥‥ 」
 なお、本件組合旗の設置による信用毀損等の無形の損害として、8月5日に取引銀行の担当課長が、翌6日に医療技術者養成学校の関係者が、9月30日に保健所の担当者が、10月25日に常勤医師が、同月28日には取引銀行の担当者が、それぞれ被控訴人の関係者に苦言を呈したり、被控訴人を敬遠するなどの状況になり、病院の信用が毀損されたことは明らかであるとし、損害は150万円をもって相当と認めた。

◯国.中労委(医療法人光仁会)事件東京地裁平21.2.18労判981号38頁

◯国.中労委(医療法人光仁会)事件.東京高判平21.8.19労判1001号94頁

(七)文書・印刷物の配布の時・態様・内容の規制(8)

1 平時は無許可配布を認めるが、闘争態勢では許可制

8(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。
 全水道東水労は、毎週発行される東水労ニュース、不定期の東水労新聞、支部ニュースで教宣活動を行っているほか、中央労働金庫の商品サービスの宣伝、アンケート、その他の印刷物を主として机の上に配布する。闘争時は朝ビラ情宣といって、楯列左右に組合員がならんで、通行者を挟んで次々ビラを差し出し半強制的に受け取らせるビラ配りがなされるが、電電公社やJRの規則がそうだが、多くの企業は許可制にしていると考えられ、ビラ、印刷物の配布は許可制としても勿論よいわけである。
 しかし全面許可制にすると、管理職が組合から支配介入などといいがかりを恐れるあまり審査がなおざりになり、配布される量も多いことからいずれ形骸化することを見込んで、私の提案は、業務遂行を妨げず、平穏な態様、半強制的に受け取らせる態様でないもの、違法行為の慫慂等の内容がないものなら、無許可配布の余地を残している、より現実的な労務管理とした。
ただし、ストライキが配置され、闘争態勢に入った時点で、無許可廃止を禁止できる規程とした。朝ビラ情宣は当局も争議行為と認めている勤務時間内3割動員決起集会の当日になされることがあり、闘争課題と交渉経過、ストや三六協定破棄の日程を示すもので、「そそのかし」「あおり」に当たる印刷物であるから規制する理由があるし、そういうビラが配布されるおそれというだけで理由になるので、闘争が終了するまでは許可制とする。許可制であるが、反対派のビラなど認めてもよいのであって全面的禁止ではない。

モデル国立大学法人東北大学職員就業規則
第37条 職員は、本学の施設内で、次のいずれかに該当する文書又は図画を配布又は掲示してはならない。
一 教育、研究その他本学の業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの
二 第34条に規定する信用失墜行為等に該当するおそれのあるもの
三 前条に規定する政治的活動等に該当するおそれのあるもの
四 他人の名誉の毀損又は誹謗ひぼう中傷等に該当するおそれのあるもの
五 公の秩序に反するおそれのあるもの
六 その他本学の業務に支障をきたすおそれのあるもの
2 職員は、本学の施設内で、文書若しくは図画を配布若しくは掲示する場合、又は業務外の集会若しくは演説を行う場合は、業務の正常な遂行を妨げる方法又は態様で行ってはならない。
3 職員は、本学の施設内で文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に掲示しなければならない。
4 職員は、許可なく、本学の施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。

 東北大学の規則では許可制でなく無許可ビラ配りの余地を与えている。国立大学法人に移行する際、議論してこのような規則となったといわれる。

 ビラ配りも、国労札幌地本判決の判断枠組が適用される。したがって近年の西日本旅客鉄道(動労西日本)事件東京高判平27.3.25別冊中央労働時報1506号78頁のように「ビラ配布による情報伝達等の組合活動の必要性から直ちにビラ配布行為が許容されることにならない」、企業施設構内のビラ配りは、就業規則により事前許可のないビラ配りを禁止でき、配布の時間や態様を規制できるのは当然のことである。
 しかし、ビラ配りは正当な行為とされる余地のないビラ貼りと違って、懲戒処分を無効とする判例も少なくない。
目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13の「実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、就業規則違反になるとはいえない」という判断枠組を引用して正当な行為とする判例が倉田学園(大手前高(中)校.五三年申立)事件.最一小判平6.12.24労民集48巻8号1496頁等いくつかあるほか、懲戒解雇のような重い処分は無効とされるケースが少なくないので、その点注意を要する。
 したがって、就業規則で無許可ビラ配りを禁止しても、組合側は、それが実質的に企業秩序を乱すおそれがなく、事業場の規律を乱さない時間帯及び配布の態様であることを主張することによって無許可ビラ配りを正当化する余地が残されている。
許可制でもよいが、全面許可制でないほうが受け入れやすいためその方針とした。
 運用は、規則のとおり、無許可配布を原則としつつ職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様があった場合は中止命令をする。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき(ストライキを配置した闘争期間は違法行為を慫慂する文書の配布のおそれがあるので、無許可配布を禁止するものとする。
 許可制にしないで、平時は無許可配布を可能にしたのは、以下のような判例を参考にしたということである。

2 ビラ配り判例の分析と対応

(1)行為態様.場所.時間について

A 半強制的なビラ受け取りを促す態様、狭い入口でのビラ配り

●日本エヌ.シー.アール出勤停止事件.東京高判昭52.7.14労民28巻5.6号411頁
 使用者の警告制止にもかかわらず無許可で使用者の所有ないし占有する工場の敷地内において従業員に対し組合活動としてビラ)を配布する行為を継続したことを理由としてなされた出勤停止処分を有効とする。
事案は大磯工場(2007年閉鎖)構内における就業時間前のビラ配りである。
 「大磯工場では従業員のうち相当多数が国鉄平塚駅前から被控訴会社大磯工場構内まで乗り入れる通勤バス三台に一台約七〇名宛分乗して午前七時三五分頃から午前七時五五分頃までの間に三回に分れ順次到着出勤するので従業員が前叙のように通路巾の狭い各通用口を長い一列縦隊となって通過することが多く、ビラを受け取らない出勤者には次ぎから次ぎにと胸元前方にビラが差し出され通行に渋滞を来しかねないこともあって、出勤者のうち職制でない従業員の多数は一応ビラを受け取っていた。しかし、前叙のとおりNCR労組が結成されていたこともあり、従業員に手渡された「おはようみなさん」が其の場に捨てられ、散乱することも多かつた」
 「出勤してくる従業員を巾約一.六メートルの工場内通路の片側ないし両側にならんで迎え、出勤者一名に対し通路手前にならんだ者から順次一名が出勤者の前に「おはようみなさん」を差し出し、出勤者が受け取らなければ、次にならんだ者が続いてその出勤者の前にビラを差し出し、雨天のため従業員が雨具等を所持していたこともあって、混乱がないではなかった」 といった態様である。
判決は「あくまで組合ビラ配布は自由であるという独自の立場に固執し、被控訴会社の協議に応ぜず、指示に従わず、前叙のとおり一過的にもせよ、繰りかえし大磯工場の敷地建物の機能を害した各控訴人の所為は相当でなく、これを正当な組合活動であると認むべき特段の事由は認められない。そして、‥‥本件懲戒処分は被控訴会社の適法な懲戒権の範囲内にあり、他意はないと認められるから、控訴人らの不当労働行為の主張もまた採用し難い」と判示した。
 類似したケースは水道局でもある。闘争期間に3割動員決起集会がなされるときに行われる、西部支所の朝ビラ情宣では、職員通用口に組合員が右側に4~5人、左側に同数が並び、登庁する職員をはさみ、次々とビラを差し出す、半強制的にとらせる。通用口の狭い事業所や雨の日には傘をたたんだりするため混乱することがありうるので、これ態様だけの問題でなく、ビラの内容が指令の伝達、違法行為参加の慫慂なので、許可しないのが妥当である。

B 就業中の従業員のいる時間帯

●日本工業新聞社事件.東京地判平22.9.30が、原告合同労組が無許可で配布した機関紙を、会社が回収し、制限した行為は、施設管理権の行使として許容される範囲内であり、配布に事前許可を求めることが支配介入にあたらないと判示したが、事案は平成6年2月1日午後6時過ぎ、Sビル5階の会社内を含む3か所において、会社の従業員のほか産経新聞編集局及び夕刊フジ編集局の従業員等に対し、原告の組合機関紙を約500部配布したこと(その配布時間帯には、多数の会社の従業員ほか上記各編集局の従業員等が就業中であったこと、Eら会社役員は、Aら3名による会社内での同組合機関紙の配布行為を制止しようとしたが、Aら3名は、それに従わず、その配布を実行したこと等の事案であることから、就業中の従業員のいる時間帯はビラ配りを禁止できると考える。
 また●西日本旅客鉄道岡山駅(動労西日本)事件東京高判平27.3.25別冊中央労働時報1506号75頁「本件ビラ配布について、手渡し等による交付の態様自体は、比較的平穏な方法で行われたものと認めることができるものの、配布時間の点においては、配布を受けた相手方社員には手待ちによる業務中の者があって、その全員が休憩時間中又は業務終了後であったとは認められず、職場規律及び職場秩序を乱すおそれがないとまでは認められないものといわざるを得ない」として訓告処分を是認している。

C 就業時間前.休憩時間

○倉田学園(大手前高(中)校.五三年申立)事件.最一小判平6.12.24労民集48巻8号1496頁が、就業時間前の通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯にビラを二つ折りにして教員の机の上に置くという方法でされたものであるなど判示の事実関係の下においては、右のビラの配布は、学校内の職場規律を乱すおそれがないため、正当な組合活動とされている。
 就業時間外.休憩時間であることからビラ配りが容認されるものではないことも明らかである。●三菱重工事件.東京地判昭58.4.28は労働協約違反として許されないとしており、政治活動事案だが、●日本アルミニウム建材事件.東京高判昭61.8.19休憩時間での配布であっても、就業規則所定の「事業場の規律を乱したとき」に当たるとしている。●国労兵庫支部鷹取分会事件.神戸地決昭63.3.22労働判例517号52頁は「ビラ配布等に利用する場合には、休憩時間中であっても、利用の態様如何によっては使用者の施設の管理を妨げる虞れがあり、他の社員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいては企業の運営に支障を及ぼし、企業秩序が乱される虞れがあるから、使用者がその就業規則で労働者において企業施設をビラ配布等に利用するときは事前に使用者の許可を得なければならない旨の規定を置くことは、休憩時間の自由利用に対する合理的な制約であると解すべき」としているとおりである。●大日本エリオ事件.大阪地判平元.4.13労判538は、ビラでなく署名活動事案だが「本件署名活動はその趣旨説明、説得を伴っていたことが認められる。そして、休憩時間中においては他の労働者が休憩時間を自由に利用する権利を有していることが尊重されなければならないから、これを妨げる行為を当然にはなしえないと解すべき」として譴責処分を是認している。
私の提案は平時、事前許可制でないので判例よりゆるい対応だが、支障があればみなおしていく。

D 敷地の境界、敷地外のビラ配り

○住友化学名古屋製造所事件.最二小判昭54.12.14は就業時間外に会社の敷地内ではあるが事業所内ではない、会社の正門と歩道との間の広場(公開空地)でのビラ配りに対する懲戒処分を無効にしている。○不当労働行為に対する損害賠償請求事件.広島地判平26.10.30は、近隣の商業施設でのビラ配布を違法ではないとしている。
 しかし●関西電力社宅事件.最一小判昭58.9.8は就業時間外、社宅でのビラ配布、●中国電力事件.広島高判平元.10.23は地域住民に配布した事案で●東急バス事件.東京地判平29.2.3TKCも駅前でのビラ配布であるがビラの内容に基づいて、懲戒処分を是認している。判例はケースバイケースといえる。

E 内容
●関西電力社宅事件.最一小判昭58.9.8は、大部分事実に基づかず、又は事実を歪曲して誇張し、会社を誹謗中傷するものであり、従業員の企業に対する不信感を醸成し、企業秩序を乱すおそれがあるとして、譴責処分を是認している。同趣旨の判例は少なくないが、一方○福岡西鉄タクシー事件.福岡地判平15.1.30 ビラは記載内容において不正確、不適切、誇張にわたる面はあるものの、過度に挑発的な表現を用いて、ことさらに職場秩序を乱す意図を感じさせる程度には至っておらず、一部に事実の裏付けのある記載もあり、組合員に注意を喚起しようとした目的自体は不当とは言い難いとして懲戒解雇を無効とする。●中国電力事件.広島高判平元.10.23判例時報1345号128頁
「島根原発の社員は地元の魚は食べません」「その放射能がみなさんの頭の上に降ってきます」などの記載を含むビラを配布したことを理由とする組合役員の懲戒処分につき、本件ビラにはその主要部分について虚偽事実の記載があり懲戒処分を支持する。判例はケースバイケースといえる。
F 就業規則の明文規定
◯明治乳業福岡工場事件.最三小判昭58.11.1は組合支部長の地位にある従業員が昼の休憩時間に食堂において赤旗号外や共産党の参議院議員選挙法定ビラを食堂において、手渡しまたはと食卓に静かに置くという態様のビラ配りについて工場内の秩序を乱すことのない特別の事情が認められる場合は就業規則違反とみなすことができないという判断をしているが、本件は、就業規則や労働協約で政治活動を禁止していなかったので、ビラ配りの問題として扱われた。しかし、●日本アルミニウム建材事件.東京高判昭61.8.19労働協約で「社内においては一切の政治的活動を行わない」と規定しているために、休憩時間に「赤旗」「日本共産党」等を引用した印刷物等を配布したことを理由とする出勤停止処分が是認されている。従って、就業規則の記載の有無は大きいのである。
私の提案では政治的なビラ配布自体禁止していない。支障があれば再検討する。

2)ビラ配りへの警告、処分を適法、妨害禁止の仮処分申請を却下
●日本ナショナル金銭登録機懲戒解雇事件.東京地判昭42.10.25労民18巻5号1051頁
 休憩時間中のアカハタ号外配布を理由とする組合支部委員長に対する懲戒解雇は不当労働行為に当たらない。労働基準法第三四条第三項が休憩時間を自由に利用させることを使用者に命じているのは、労働者に義務を課するなどしてその休憩を妨げることを禁じたものであつて、労働者が休憩時間中いかなる行為をも自由にできることを保障したものではない。従って、労働者は休憩時間中法の禁ずる行為をすることができないのは勿論、使用者がその事業場の施設及び運営について有する管理権にもとづいて行う合理的な禁止には従わなければならないと判示。企業内政治活動禁止のリーディングケース。
●横浜ゴム事件.東京高裁判決昭48.9.28労働法律旬報851号
 横浜ゴム労組上尾支部執行委員2名が、施設内における三ないし四回の『アカハタ』の配布.勧誘行為が就業規則所定の企業内政治活動を禁止状況に違反すること。さらに勤務時間中に勤務につかなく、注意されたことに対して棒を振り上げ反抗した、あるいはあやまって器具を損壊したという三~四年前の就業規則違反を理由とする懲戒解雇処分に対して、地位保全の仮処分申請を提起したもので、一審は懲戒処事由としてはささいな事実であり実害もなかったとして無効とする判決であったが、控訴審では懲戒解雇を有効とした。
 「企業と雇傭契約を締結した者(従業員)は職場の規律を守り、誠実に労務を提供すべき契約上の義務を負うものであり、企業の施設又は構内において労務の提供と無関係な政治活動を自由に行い得るものとすれば、もともと高度の社会的利害の対立、イデオロギーの反目を内包する政治活動の性質上、従業員の間に軋轢を生じせしめ、職場の規律を乱し、作業能率を低下させ、労務の提供に支障をきたす結果を招くおそれが多分にあるから、使用者が企業の施設又は構内に限ってこれらの場所における従業員の政治活動を禁止することには合理的な理由があるというべき‥‥」

●倉田学園大手前高松高等学校事件.東京地判平2.4.9労働判例.重要労働判例総覧91年版33頁
 始業時間前の職員室における組合ビラ配布を理由とした前執行委員長に対する訓告及び戒告処分は不当労働行為に当たらない。
●倉田学園大手前高松高等学校.最一小判平2.12.25労判600号9号
 上告棄却。始業時間前の職員室における組合ビラ配布を理由とした前執行委員長に対する訓告及び戒告処分は不当労働行為に当たらない。
●倉田学園(大手前高(中)校)五三年申立)事件.高松高判平3.2.29民集48-8-1651頁
 無許可で職場ニュースを配布したことを理由とする組合ニュースを配布した
ことを理由とする組合幹部の懲戒処分は不当労働行為に当たらないとした。
●JR東日本(国労高崎地本)事件.東京高判平5.2.10労働関係民事裁判例集
44巻1号95頁
 出向先の会社の門前で出向制度を批判する演説、ビラ配布等の情報宣伝活動をした組合員らに対し使用者がした出勤停止の懲戒処分につき、労働組合側が出向先企業に向けて情報宣伝活動を行うこと自体は許されるとしても、その内容、方法、態様等は、出向先企業に対し不当に不安動揺を与えたり、出向先企業の出向元企業に対する信頼を失わせ、もって出向元企業の出向制度の円滑な実施に不当な影響をもたらすようなものではないことが要求され、交渉の対象となる出向制度自体の破壊につながるおそれのある行動をすることは、特段の事情のない限り労働組合の正当な活動の範囲内にはないとし懲戒処分は著しく重く不相当なものとはいえないとして、不当労働行為に当たらないとした。
●東京医療生活協同組合立入禁止等請求事件.東京地判平7.9.11労働判例682号37頁
 職員の解雇撤回を求めて病院内で行われた、ビラ配り、連呼、ゼッケン着用旗掲示などの活動について、病院側が差止請求を認容。
●JR西日本岡山駅(動労西日本)事件東京地判平26.8.25労働判例1104号26頁
 組合員は、本件ビラ配布以前においても、会社に許可を得ないまま、施設内のホワイトボードにビラを貼付して厳重注意を受けたり、その他、本件ビラ配布以外にも30回ほど会社に無許可で施設内におけるビラ配布を行っていたものであって、本件訓告は労組法7条1号の不当労働行為に該当しない
●JR西日本岡山駅(動労西日本)事件東京高判平27.3.25別冊中央労働時報1506号78頁
 訓告処分が会社の合理的裁量を逸脱する不当に重いものではないと原判決を維持
1審被告は、本件ビラ配布について、社員の職務専念上又は業務上支障をきたしたり、職場秩序を乱したりするおそれのほとんどない場所で行われ、とりわけ、岡山駅2階営業事務室内個人用小ロッカー前通路及び同駅2階男子ロッカー室(休養室)については、営業区域に隣接しながらも明確に区別され、業務を遂行する場所のように社員に緊張感を持つことが求められる場所とは明らかに異なるものであって、業務との関係性は希薄であり、その配布の態様は、相応の配慮がされ、会社の業務運営に支障を及ぼさないような平穏なものである上、本件ビラの内容も、組合の情報や主張の伝達を図るものであって、職場秩序を乱すおそれがあると評価されるようなものでないことからすれば、職場秩序を乱すおそれがあるとはいえない特別の事情があったものであり、また、組合は.会社から組合掲示板が貸与されず、組合の情報伝達活動や組織拡大の呼びかけの手段がほぼビラ配布に限られ、ビラ配布による情報伝達等の組合活動の必要性があった旨を主張する。   
しかし、本件ビラ配布については、職場規律及び職場秩序を乱すおそれがないとまでは認められず、上記特別の事情があるとは認められないこと、ビラ配布による情報伝達等の組合活動の必要性から直ちにビラ配布行為が許容されることにならない‥‥」
●東急バス事件.東京地判平29.2.3TKC
 駅のバスターミナルにおいて本件ビラを配り、被告の信用を失墜させたとして、被告から、平均賃金の1日分の2分の1を減給する旨の懲戒処分を受けたところ、本件ビラの配布は懲戒事由に当たらないし、これを理由とする懲戒処分は不当労働行為に該当し無効であると主張して、被告に対し、雇用契約に基づき、減額された賃金及び遅延損害金の支払いを求めるとともに、無効な懲戒処分が不法行為に当たると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料等の支払いを求めた事案において、「安全運転にも支障をきたしかねない事態です。会社はこのような状況を知りながら、何ら改善の手段をとらず、このような状況を黙認していました。」等の記載が事実に反するか、事実を誇張又はわい曲して記載したものと認められる等のことから、懲戒処分は有効であり、不法行為法上の違法も認められないとして、原告の請求をいずれも棄却。


(3)ビラ配り等の懲戒処分を無効

○大和タクシー外二社事件.広島地判昭57.2.17労判387号カード
 本社及びLPGスタンドのある場所の路上での宣伝、ビラ配布に対する管理職の妨害行為と、就業時間中の組合活動に対する警告書の交付を不当労働行為とする。
○西日本重機事件.最一小判昭58.2.24労判408号50頁
 始業時の直前、昼休みのビラ配布に対する警告書の交付を不当労働行為とする。
◯日本チバガイギー事件.東京地判昭60.4.25労民集36巻2号237頁
 本件で配布されたビラは誹謗、中傷し職場秩序を乱すものではなく、配布された時間も早朝、就業時間前であり、配布場所も業務に支障を生じるような場所ではではなかった。ビラ配布によってその場で喧噪や混乱状態を生じたという事情も認められないことから、本件ビラ配布の警告は、権利の濫用であると認められる特別の事情がある場合に該当し、組合活動に対する支配介入とした。控訴審東京高判昭60.12.24労民集36巻6号785頁でも一審の判断維持
◯大鵬薬品事件.徳島地判昭61.10.31労判485号36頁
 会社構内で、上部団体の支援を受けて集会を開き、これと合わせて駐車場や正門出入口付近で帰宅する従業員を対象に組合への参加を呼びかけること等を内容とするビラを配布するというものであったが、このとき集会やビラ配布の現場には原告の課長等の管理職が多数これを包囲するようにして、監視の目を光らせた。そのため帰宅する従業員のなかにはビラの受取りを躊躇する者もあり、駐車場や正門出入口でのビラ配布では十分な活動の実効をあげ得ないと判断した組合は、三回目のビラ配布活動を行うころから、配布の時間を正午から午後一時までの休憩時間帯とし、場所を従業員食堂の出入口からその内部、さらには休憩室.娯楽室へと切り換えていったという事案での管理職による警告書交付が不当労働行為に当たるとした労委命令を支持。
○アヅミ事件.大阪地決昭62.8.21労判503号25号
 また本件ビラ配布行為は、昼休みきわめて平穏な態様でなされ、内容や表現もとりたてて問題と取れたてて問題とすべき部分はないのだから、形式的には就業規則違反であっても企業秩序.風紀をみだすおそれのない特別の事情(目黒電報電話局事件判決の判断枠組)が認められ、懲戒事由に該当しないとする。
○倉田学園(大手前高(中)校.53年申立)事件.高松地判昭62.8.27労民集48巻8号1605頁、倉田学園(大手前高(中)校.57年申立)事件.高松地判昭62.8.27労判509号69頁
 無許可で職場ニュースを配布したことを理由とする組合幹部の懲戒処分は権利の濫用であり、正当な組合活動として、不当労働行為を認めた労委命令を支持する。
◯博多第一交通事件.福岡地決平2.6.3労働判例564号38頁
 組合が配布したビラの内容は、不適切もしくは不穏当な箇所が存したのではないかとの疑念も存在するが、会社と組合間の一連の労使紛争は、主に会社側の組合員に対する強引かつ執拗ないやがらせや脱退工作に端を発するものであること、また、本件ビラの配布は、会社の幹部による組合の切り崩しに対して組合の組織を防衛することを目的として行なわれたものであることなどから、本件ビラの配布行為は適法といえ、この行為を理由としてなされた組合執行委員長の解雇は、使用者に許された懲戒権行使の範囲を著しく逸脱したものというべきであり、解雇権の濫用となり無効である。
◯国鉄清算事業団(JR九州)事件.福岡地小倉支部平2.12.18労働判例575号11頁
 「国労では、毎年六月に全国大会、八ないし九月に中央大会、一〇ないし一二月に支部大会、一二月に分会大会が開かれ、右各大会の代議員を選ぶために選挙が行われていること、右代議員選挙のため運動としては各職場を回って数分の間にビラを配布し、演説を行うという形式をとってきたこと、昭和五七年ころ以降国鉄では職場規律の確立、総点検が言われ、また、第二てこの入口には「勤務者以外許可なく入室を禁ずる。」旨の張り紙があるが、手待ち時間など勤務時間中に、オルグ隊が第二てこ中継運転室及び門操下りに入っても、管理者にオルグ活動を制止されたことはなかったこと‥‥国鉄は、国労が従来の慣習の是正に反協力的であったり、国鉄再建策としての分割民営化にあくまで反対し、そのため抗議行動をしてきたことに対して差別的ともみられる強硬な姿勢をとり、国労の指令を守る国労組合員に対して懲戒処分をするほか、管理者らをしてその組合活動を実質的に妨害してきた‥‥中継運転室及び門操下りで本件オルグ活動を行うにあたって施設管理者の許可を得ていないものの、オルグ活動を行っても職場秩序を乱したと認められない特別の事情があるというべきである。」本件は争議行為のオルグでなく国労代議員選挙のオルグである。
◯住友学園.大阪地判平6.11.13労判674号22頁労判674号.22頁
 学校批判のビラ配布を理由とする懲戒解雇を解雇権の濫用として無効とする。
「本件ビラは、入試説明会に来校した生徒(中学三年生)にも配付されたものと一応認められるから‥‥教育的配慮に欠けるとの謗りは免れない。‥‥債権者からは、学園改革のための緊急避難的行為であるとの反論はあろうが、生徒にまで配付するというのは行き過ぎである。‥本件    ビラ配付は、その内容が正確性に欠ける点や配付方法が教育的配慮に欠ける点において一応は懲戒事由に当たるといえるが、その程度はさほど重大であるとは思われない‥‥.」
○住吉学園事件.大阪地決平6.11.22労働判例674号22頁
 ビラの内容が多少不正確であっても程度は軽微として、ビラ配布によってなされた解雇を無効する。
○倉田学園(大手前高(中)校.五三年申立)事件.最一小判平6.12.24労民集48巻8号1496頁)
 一部破棄自判、一部破棄差戻。
 私立学校の職員室内で、教職員が使用者の許可を得ないまま組合活動としてビラの配布をした場合において、右ビラが労働組合としての日ごろの活動状況等を内容とするもので、違法不当な行為をあおり又はそそのかすこと等を含むものではなく、右配布の態様も、就業時間前の通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯にビラを二つ折りにして教員の机の上に置くという方法でされたものであるなど判示の事実関係の下においては、右のビラの配布は、学校内の職場規律を乱すおそれがなく、生徒に対する教育的配慮に欠けることとなるおそれのない特別の事情が認められるものとして、使用者の許可を得ないで学校内でビラの配布等をすることを禁止する旨の就業規則に違反しない。
○医療財団法人みどり十字事.福岡地小倉支判平7.4.25労働判例680号69頁
 ビラ配布によってなされた解雇を無効。
◯四日市北郵便局事件.津地方裁判所四日市支部平7.5.19労判682号91頁
管理職らが郵政労組員らに対し、ビラ配布の妨害、給与の貯金口座振込強要、挨拶をしないことを口実とした降格.退職の強要などを行ったことにつき慰謝料請求を認容。
○中労委(倉田学園学園事件).東京地判平9.2.27労民集48巻1.2号20頁裁判所ウェブサイト
労働組合による無許可ビラ配布を理由とした組合執行委員長等に対する警告書の交付、組合員に対する労務担当者の発言、会議室の無許可使用を理由とした組合執行委員長に対する警告書の交付及び使用者の退職勧奨行為につき、いずれも組合の弱体化を意図して行われたものであるなどとして、労働組合法7条3号の支配介入に当たるとした。
○中央タクシー事件.徳島地判平10.10.16TKC掲載
 被告会社の女性従業員の仮処分事件の裁判支援活動に伴って、原告組合委員長らが、被告代表者の名誉を毀損するビラ等を駅前等で配付したことを就業規則違反として解雇および出勤停止処分を受けたことに対して、ビラ配付は正当な組合活動であるとして、懲戒処分を無効とした。
○全日本運輸一般労働組合千葉地域支部事件.東京高判平11.11.24判例時報1712号
 被告(被控訴人)らが原告(控訴人)の取引先に対して、具体的事実を摘示して原告が不当労働行為を行った旨を明らかにした要望書を送付した行為によって、原告の名誉.信用が毀損されたとして、不法行為に基づく損害の賠償を求めたところ、棄却されたため、原告が控訴した事案において、表現内容の真実性、表現方法の相当性、表現活動の動機、態様、影響等を総合すると、被告らの送付行為は、正当な組合活動として社会通念上許容された範囲のもので、違法性はないから、不法行為に当たるとはいえないとして、控訴を棄却。
○東急バス(チェック.オフ停止等)事件.東京地判平18.6.14労働判例923号68頁
 被告は、東急バス労組に対しては、日常的に被告職場内で情宣活動(ビラ配布、掲示板使用等)を行うことを認め、春闘時などには、各職場(営業所)において組合旗や横断幕を使用した職場集会を行うことを容認しているが、原告組合に対しては、ビラ配布等について警告書を発して処分をほのめかし、施設内情宣活動を禁止している‥‥、東急バス労組に対する便宜供与の程度と比較すると、組合員数(弁論の全趣旨によれば、東急バス労組には約一六〇〇名の被告従業員の大半が加入しているが、原告組合に加入する被告従業員は十数名程度であると認められる)の差を考慮しても、その取扱いの差に合理的な理由があるとは解されず‥‥他労働組合と比べて極端な差別的取扱いといわざるを得ない郵便物受取り上の便宜供与につき複数の労働組合を極端に差別することは不当労働行為に当たるから、差別的取り扱いを受けた労働組合は会社に対して、不法行為を理由とする損害賠償を請求できる。
◯JR東海(組合ビラ配布等)事件.東京地判平22.3.25別冊中央労働時報1395号42頁
 東海旅客鉄道株式会社が、その管理者による呼出に応じなかった被告補助参加人分会の書記長に対し、1日半にわたり無許可ビラ配布の事情聴取を行い、その中で、顛末書の提出を求め、さらに、就業規則の書き写しを命じた行為等がいずれも労働組合法7条3号の不当労働行為に当たると判断され、その旨等を記載した文書の交付を命ずる救済命令を発せられた原告が、同命令の取消しを求めた事案において、上記事情聴取、顛末書の提出及び本件就業規則総則服務規程の書き写しを命じたことは、被告補助参加人らの組合運営への支配介入に当たるというべきであり、本件事情聴取における管理職の対応、認識等に照らすと、当該支配介入に係る不当労働行為意思も認めうるから、上記原告の行為は、労働組合法7条3号の不当労働行為に該当する等として、原告の請求を棄却した事例。

 私の提案では、より安全運転のため職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な態様での無許可配布を認めておりゆるい体制なので、上記の判例のような問題は起きないと考える。但し、ストライキを配置し状況、明らかに違法行為の慫慂を内容とするビラ、平穏でない態様のものは中止命令をしていくという方針を提案している。

(七) 組合掲示板以外のビラ貼りの禁止(8)


1 無許可ビラ貼りは正当な組合活動でないことは確定している

(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に許可された文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。
(4)以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの
四 選挙運動.国民投票その他の政治活動に該当するもの
五 名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの
五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、寄せ書きの掲出などの示威。
七 その他著しく不都合なもの。

モデル JRグループ就業規則
第22条1項 社員は、会社が許可した場合のほか、会社施設内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配付その他これに類する行為をしてはならない

モデル2 郵政省(手続きが細かいのが特徴 東京地判昭54.2.27労民集30-1-202より)
国有財産法では、各省各庁の長は、その所管に属する行政財産を管理しなければならない(第五条)ところ、各省各庁の長は、その所管に属する国有財産に関する事務の一部を、部局等の長に分掌させることができる(第九条第一項)ものとされている。
郵政省の組織に属する行政機関において遂行する事業及び行政事務の用に供する庁舎等の適正な管理を行なうことを目的として庁舎等の取締りに関し必要な事項を定めることにより、庁舎等における秩序の維持、犯罪の防止、業務の正常な遂行、清潔の保持及び災害の防止を図るため、規程が制定され、昭和40年11月20日から施行された。規程によれば、庁舎等の取締りに関する責任者(庁舎管理者)は、郵便局については郵便局長であり(第二条第一項)、庁舎管理者は、法令等に定めのある場合のほか、庁舎等において、広告物又はビラ.ポスター、旗、幕、その他これに類するものの掲示、掲揚又は掲出をさせてはならないが、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認める場合に限り、場所を指定してこれを許可することができる(第六条)。また、庁舎管理者は、右許可をする場合においては、必要な条件を付し、又は関係者等の守るべき事項を指示することができ(第八条第一項)、右条件又は指示に違反して掲示された広告物等については、庁舎管理者は、その所有者等に対し、その物の撤去又は搬出を命ずるものであり(第一二条第一項)、所有者等が右命令に従わないとき又は庁舎等における秩序維持のため緊急の必要があると認めるときは、みずからこれを撤去又は搬出することができる(同条第二項)ことになっている。
規定の解釈、運用等に関しては、昭和41年3月10日、運用通達が発せられ、これによれば、規程第六条の広告物等の取扱いについて、庁舎管理者は、広告物等の掲示、掲揚又は掲出について申出があつたときは、その内容が法令違反にわたるもの、政治的目的を有するもの、郵政事業もしくは官職の信用を傷つけるようなものまたは人身攻撃にわたるものは、庁舎等における秩序維持等に支障があるものとして許可しないこと、広告物、ビラ.ポスター類の掲示について、組合等恒例的に掲示しようとする者があるときは、掲示申出ごとの許可に代えて掲示許可願を提出させ、あらかじめ一括的に許可してさしつかえないこと、この掲示許可は、右の許可しない場合にあたるものは掲示しないことと撤去又は搬出に関し規程第一二条第二項と同趣旨の事項とを記載した掲示許可書を交付して行うものとすることとなっている。
モデル3 国立大学法人東北大学 職員就業規則
3 職員は、本学の施設内で文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に掲示しなければならない。
 企業の許諾なしにビラ貼りをすることは、正当な組合活動とはならないことを明らかにした国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30は決定的な意義があり、ビラ貼りは争議前であれ、争議中であれ結論に違いはないと解される[河上和雄1980]。従ってビラ貼りを正当な組合活動と言えないこともないとした下級審判例は大阪高判昭58.3.30以降見当たらず、1980年代以降、国労札幌地本判列の判断枠組に従って懲戒処分は是認され、撤去費用の損害賠償請求、ビラ貼り禁止の仮処分申請の認容が通例となっている。
従って、刑事事件についても無許諾ビラ貼りは正当な組合活動ということはできず、労組法1条2項の適用はなく、組合活動なるが故に違法性が阻却されるという理論構成をとれない[河上和雄1980]のであるから、建造物損壊罪や器物損壊罪の構成要件に該当すれば同罪が成立するとみてよいだろう。
 また建造物侵入罪については、ビラ貼り目的で特定郵便局に侵入した事案で、全逓釜石支部大槌郵便局事件.最二小判昭58.4.8刑集37巻3号215頁が、管理者側に有益な先例といえる。

 要するに無許可ビラ貼りは正当な組合活動ではないと決着がついている事柄であり、ビラ配りがケースバイケースの司法判断もありうるのに対して、態様いかんにかかわらず、取り締まっていくべきなのである。
モデルのうち東北大学職員就業規則を参考とした。郵政省のように細かく規定すべきだが、とりあえず、東北大学並でよいのではないかと考えた。
 あらかじめ指定された場所とは組合掲示板のことである。ビラ貼りは平成16年に後藤都議が西部支所のビラ貼りの写真をインターネットに公表したのち、職員部監察指導課が、写真を撮り、ビラの枚数を報告するようになったころから低調となったがそれ以前はおびただしい数のビラ貼りが連日のようになされていた。千代田営業所では支所集会のさいは勤務時間中に屋内階段の壁面、エレベーターホールの壁にびっしり貼られ、勤務時間中でもかまわず貼っていた。通常は五時十五分以降、管理職は大抵定時退庁するので、ただちにセロテープでビラ貼りをしている。現在管理職も若手の時は組合役員に指図され、ビラ貼りをしていた。何日も貼らせておく管理職もいた、はがさないでそのままであることもしばしばある。撤去した後は組合が財産と主張するので組合に返還している。
 管理職がビラ貼りを制止したりパトロールすることは全くないので、西部支所で管理職が三六協定破棄で組合役員に経常業務を指図され、下位職務をやらされている時間にビラ貼りをしているのである。一時自粛傾向にあったとはいえ、近年は復活しつつあり、令和4年度はビラ貼りだけの夏季闘争が行われている。私のメモでは次の通り「8月1日ビラはり一階廊下に60枚 夏季闘争勝利 浄水場業務移転誠実な回答を 徴収の混乱の責任をとれ、都民サービス低下云々、2階に13枚」
 ビラ貼りについて国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30が、無許可ビラ貼りは正当な組合活動ではないとしているから、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するという企業秩序維持の観点から管理職はこれを許さないとの意思を明確にして、今後ビラ貼りはパトロールして、ビラ貼りを指導したりビラ貼りを現認したときは制止し、貼付作業中止.解散命令をするべきである。

2ビラ貼り取り締まりの根拠


(1)国労札幌地本事件最三小判昭54.10.30に至るまでの判例の進展


 我が国の労働運動では大衆闘争の一環として団結力の高揚、要求のアピール、示威活動としてビラ貼り戦術は広範に行われ、プロレイバー労働法学は、団結権、争議権の行使の具体的内容であるとして支持していた。
 もっとも、昭和54年以前ビラ貼りと関連して30件近くの懲戒処分の効力が争われた下級審判例があるけれども、多くの場合特別の理論を述べることなく、貼られたビラの枚数、場所、貼り方、内容等諸般の事情を考慮して直ちに正当な組合活動か否かを判断し、最終的な懲戒処分の効力はともかく、3分の2の判例が正当な組合活動ではないとしており、学説の司法への影響はさほど大きくなかった[山口浩一郎1980]。
また最高裁は刑事事件で、東邦製鋼事件.最三小決昭47.3.28判時667号95頁と関扇運輸事件.最一小決昭47.4.13判時667号103頁は、ビラ貼りが、建造物損壊罪の構成要件に該当するとしながら、正当な争議行為であるとして違法性を阻却し無罪とする原審の判断を是認している。
 しかしながらこの種の可罰的違法性論は国労久留米駅事件最大判昭48.4.25刑集27-3-418によって否定されたのである。
ビラ貼り事件で転換点といえるのが春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)ビラ剥がし事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115である。列車車体に貼られたビラを剥がす職員の行為について「もとより日本国有鉄道の本来の正当な事業活動に属し、作業の方法態様においても特段の違法不当は認められない特別違法な点は認められない」とし正当な事業活動としてビラ自力撤去を認めたのである。
また商大自動車教習所事件.中労委命令昭50.6.18労経速892号は、大阪地労委の救済命令がビラ撤去通告や自力撤去が組合活動を阻害し支配介入にあたるとするのは一面的にすぎるとし、労働委員会がはじめて自力撤去を是認した事である[山口浩一郎1980]。
 続いて動労甲府支部ビラ貼り損害賠償請求事件.東京地判昭50.7.15労民集26巻4号567頁という中川幹郎チームの名判決は、ビラ約3500枚を鉄道管理局庁舎内の壁、扉、窓ガラス等に糊によってはり付けた事案で。使用者の所有権や施設管理権「管理及び運営の目的に背馳し「業務の能率的正常な運営を一切排除する権能」を強調する一方、使用者が無断ビラ貼りを「受忍」すべきいわれはないとして、労働事件で初めてビラ貼りの損害賠償責任を認めたことと「受忍義務説」を明示的に否定した点で画期的な判決と評価する。

(2) 国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30

 国労札幌地本事件とは大略して次の通りである。国労は昭和44年春闘に際して各地方本部に対してビラ貼付活動を指令した。原告らは支部.分会の決定を受けて「合理化反対」「大幅賃上げ」等を内容とする春闘ビラ(ステッカー)を勤務時間外に国鉄札幌駅の小荷物、出札、駅務、改札、旅客などの各係事務室内、同駅輸送本部操連詰所および点呼場に、札幌運転区検修詰所に備え付けの自己又は同僚組合員の使用するロッカーに、セロテープ、紙粘着テープによって少ない者は2枚、最も多い者は32枚貼付した(原告以外の組合員も含めて総計310個のロッカーに五百数十枚のビラを貼った)。原告らは貼付行動の際、これを現認した助役ら職制と応酬、制止をはねのけた。
 この行為が掲示板以外での掲示類を禁止した通達に違反し、就業規則に定めた「上司の命令に服従しないとき」等の懲戒事由に該当するとして、戒告処分に付し、翌年度の定期昇給一号俸分の延伸という制裁を課したため、原告らは戒告処分の無効確認を請求して訴えたものである。
二審札幌高判昭49.8.28は、組合が積極的に要求目標を掲げて団体行動を行なう場合において必要な情宣活動を行なうためには組合掲示板だけを使用しても不十分であるとし、居住性は勿論、その美観が害われたものとは認めがたいこと、業務が直接阻害されあるいは施設の維持管理上特別に差支えが生じたとは認め難いこと等の諸般の事情を考え合すとビラ貼付行為は、正当な組合活動として許容されると判示したが、最高裁は原判決を破棄自判し原告の請求を終局的に退けた。
 「貼付されたビラは当該部屋を使用する職員等の目に直ちに触れる状態にあり、かつ、これらのビラは貼付されている限り視覚を通じ常時右職員等に対しいわゆる春闘に際しての組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼすものとみられるのであって、‥‥本件ロッカーに本件ビラの貼付を許さないこととしても、それは、鉄道事業等の事業を経営し能率的な運営によりこれを発展させ、もって公共の福祉を増進するとの上告人の目的にかなうように、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保する、という上告人の企業秩序維持の観点からみてやむを得ない‥‥上告人の権利の濫用であるとすることはできない。‥‥‥剥離後に痕跡が残らないように紙粘着テープを使用して貼付され、貼付されたロッカーの所在する部屋は旅客その他の一般の公衆が出入りしない場所であり‥‥本来の業務自体が直接かつ具象的に阻害されるものでなかつた等の事情‥‥‥は、‥‥判断を左右するものとは解されない‥‥。従って被告人らのビラ貼付行為は‥‥‥上告人の企業秩序を乱すものとして、正当な組合活動であるとすることはできず」上司が「中止等を命じたことを不法不当なものとすることはできない」と判示する。
 要するにビラは視覚的に組合活動に関する訴えかけを行う効果があり、企業秩序維持をみだすおそれがあるという抽象的論理で施設管理権は発動できるのであり、具象的に業務阻害がないことで、ビラ貼りを正当化できないことを示している。法益衡量的な判断は必要ないのであって、企業秩序維持の観点から使用者が許諾しない意思を明確にもち、就業規則を具備さえすれは、この判決によって、ビラ貼りが正当な組合活動とされる余地はなくなった。
最高裁は国労札幌地本のビラ貼りを「春闘の一環として行われた組合活動」と認定しているが、河上和雄によれば、争議前のものであれ、争議中のものであれ結論に違いはないと解すべきと評する。
 最高裁は全逓名古屋中郵事件.最大判昭52.5.4民集31-3-182において、民事、刑事を通じて一元的に違法性を理解する立場をとっているため、国労札幌地本事件は懲戒処分の事案であったが、使用者の許諾なきビラ貼りは、刑事的にも正当な組合活動とはいえないのであって、労組法1条2項の適用はなく、従って組合活動なるがゆえに違法性が阻却されるという論理構成はとれないものとしたと評している。
そうすると東邦製鋼事件.最三小決昭47.3.28判時667と関扇運輸事件。最一小決昭47.4.13判時667が、ビラ貼りが、建造物損壊罪の構成要件に該当するとしながら、正当な争議行為であるとして違法性を阻却し無罪とした判例は、先例としての意義を失ったものと理解してよい。
 ビラ貼りについては、懲戒処分の有効性が争われた事案のほか、損害賠償請求、ビラ貼付禁止の仮処分申請(仮処分決定異議申立)、刑事事件と多岐にわたるが、下級裁判所の多くは先例である昭和54年10月30日最高裁判決の論旨に従い、無許諾のビラ貼りを正当な組合活動ではないと判断しており、正当な組合活動とみなされる余地は今日においてはないといって差し支えないと思う。
 ビラ貼りを正当な組合活動と言えないこともないとした下級審判例は大阪高判昭58.3.30桜井鉄工所事件以降知らない。今日ではビラ貼り闘争を認めている企業.官庁は、施設管理権が組合によって掣肘されており正常な業務運営を放棄していると否定的に評価してよい。

(3)懲戒処分等の判例 

 ここでは国労札幌事件を除いて主として懲戒処分判例を示す。国労札幌地本判決は、特に目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13の「実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、就業規則違反になるとはいえない」という判断枠組を引用していないが、ビラ貼りが組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼす以上、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため禁止することはやむをえないとし、特別の事情論は認められない趣旨を述べているので、この判断枠組は格別問題にならないので、懲戒処分が適法とされて当然なのである。
●九建日報社救済命令取消事件.福岡地判昭43.8.30労民集19巻4号1092頁は、合同労働組合の分会長である従業員が、「日緯条約を粉砕しよう」というポスター一枚及び「日韓条約批准阻止、小選挙区制反対」「憲法じゆうりんに抗議する福岡県民集会」云々の記載のあるポスター11枚を会社の社屋一階入口左側便所の壁面に貼付し、会社の再三にわたる撤去ならびに指定場所へのはりかえの指示、命令を拒否したため、会社が2度にわたり出勤停止処分に付したにもかかわらず、出勤停止期間中会社の指示、制止を無視して連日出社し、就労を強行したことを理由とした諭旨解雇を是認する。
●東京郵政局事件.東京地判昭46.3.18判時624は、ビラを撤去しようとした課長代理を突いて転倒させた郵政職員に対する減給処分、貼付行為についても戒告処分を適法としたが、次のように説示する。
 「全逓労働組合もしくはその組合員が、組合活動としてならば庁舎管理者の許可を受けないでもビラの貼付等のため庁舎を当然に使用し得るとなすべき実定法上の根拠はなく、たとえ組合活動としてなされる行為であっても、それが庁舎管理権を不当に害するが如きものは、もとより許されないところであるといわなければならない。
郵便局庁舎などは、郵政大臣の管理に係る行政財産であって(国有財産法第三条、第五条)、その本来の目的である国の営む郵便事業の達成のために供用されるべきもので、庁舎管理者の許可ある場合を除いては、何人も右目的以外のために使用することは許されないものである。郵政省就業規則第一三条第七項の規定は、郵便局庁舎などをその本来の使用目的に供することによって国の営む郵便事業の達成に資する目的から郵便局庁舎などに勤務する職員に対する服務規律として当該郵便局庁舎などにおける演説、集会、ビラの貼付等の行為を、その目的、内容、態様の如何に拘わらず、全面的に禁止、規制せんとするものであることが明らかである。」
●北九州市若松清掃事務所事件.福岡地判昭56.8.24訟務月報28巻1号109は 事務室の窓ガラス、壁等に約50枚のビラを貼付した行為を理由とする戒告処分を是認。
●朝日新聞社西部本社事件.福岡高判昭57.3.5労民集33-2-231は 約1か月間にわたり総数約1万8000枚のビラを見学者通路の壁、正面玄関のガラス扉、社屋の外壁等に貼付した行為は正当な組合活動として許容されず、組合支部委員長に対する停職3日間の懲戒処分が不当労働行為に当たるとした救済命令を違法として取消した
●麹町郵便局事件.東京高判昭58.7.20判時1049号75頁は、郵便局庁舎にステッカーを貼付した行為は、郵政省就業規則に違反し訓告処分を適法とする。最二小判昭60.6.17労判456号は上告棄却。
●和進会阪大病院事件.京都地判昭59.7.5労判439号44頁は、新規採用された3人のアルバイトを退職に追い込むため、組合員をあおり、そそのかすなどして右3名に対し共同絶交行為や専用掲示板以外の食堂.売店.喫茶室等の入口に無許可で貼付することを指示した組合長の解雇を是認。
●戸塚郵便局事件.横浜地判昭59.10.25労民集37-4.5-407は、郵便局庁舎の窓ガラス、コンクリート塀等にビラ125枚糊付けして貼付したうえスプレー塗料による落書が、建造物を損壊したという公訴事実により起訴休職処分された事案で、一審無罪にもかかわらず処分を取消さなかったことは違法ではないとした。東京高判昭61.10.28労民集37-4.5-401
●ミツミ電機事件.東京高判昭63.3.31判タ682号132頁は、春闘時の長期ストとピケにかかわる幹部責任追及としての懲戒解雇の効力が争われた、一審と異なり懲戒解雇を正当化した。会社は、争議中の集会、デモ、泊まり込み、ビラ貼付.赤旗掲揚も懲戒解雇の理由となっており、争議中の組合によって行われた会社の物的施設の無断利用が、正当な組合活動として是認する余地はなく、その利用を拒否したことが使用者の権利濫用には当たらないとされた。
●エッソ石油(出勤停止処分)事件.名古屋地判平6.10.17労判664号18頁は、
約一年間にわたり1万枚のビラを強力接着剤で貼付、ゼッケン着用、店内デモ、ピケによる入退場阻止等の行為をしたことを理由とする出勤停止処分を適法とする。
●ミツミ電機事件.東京地八王子地判平6.10.24労働判例674号45頁は組合の行った座り込み.デモ.ビラ貼付.赤旗掲揚.立て看板等を理由とする、組合委員長の解雇を是認する。
○九州女子学園事件.福岡地小倉地判平5.8.9労判714号77頁
原告らの煙突闘争.リボン闘争.ビラ貼付.プラカード闘争.ビラ配布につきその態様.期間に照らして行き過ぎで違法であり、正当な組合活動といえないとしつつも、処分歴もなく懲戒解雇はいささか酷であるとして解雇権の濫用として無効とする。
●医療法人南労会事件.大阪地判平9.4.30労経速1641号3頁は、 ビラ貼付のほか暴言、誹謗中傷、脅迫、強要につきその行為の内容、態様、頻度等に鑑みるとき、その情状は極めて重いので、本件懲戒解雇を相当とする。
●七福交通事件東京地判平10.3.3労判738号38頁は営業用自動車へのステッカー貼付その他の理由による懲戒解雇を有効とする。

(4) 損害賠償請求判例
 下記の通り、ビラの撤去清掃費用の損害賠償請求が認められている

●動労甲府支部ビラ貼り損害賠償請求事件.東京地判昭50.7.15労民26-4-567は、ビラ約3500枚を鉄道管理局庁舎内の壁、扉、窓ガラス等に糊によってはり付けた事案で、労働事件で初めてビラ貼りの損害賠償責任を認めた。
●帝国興信所岐阜支店事件.岐阜地判昭56.2.23判時1005号167頁は国労札幌地本事件最三小判昭54.10.30の判断枠組を引用し、支店事務所のビラ貼りは管理権の侵害として撤去費用の請求を是認した。
●大久保製壜所事件.東京地判昭58.4.28判時1082号134頁は会社の建物等にビラを貼付したことについて、ビラ撤去費用の損害賠償責任を肯定した
●エッソ石油事件.東京地判昭63.3.22判時1273号132頁は全国石油産業労働組合協議会スタンダード.ヴァキューム石油労働組合エッソ本社支部の本件ビラ貼付行為により貼付されたビラを剥離、徹去し、また、マジックインキや墨による落書を消去した費用の損害賠償請求を認めた。
●総評全国一般東京ユニオン.神谷商事事件.東京地判平6.4.28判時1493号139頁、総計17万1700枚の正面玄関、1階エレベーターホール等のビラ貼付の損害賠償を認める。

(5)仮処分申請
 下記の通りビラ貼付禁止の仮処分の申請を認容する判例がある
●エッソ.スタンダード石油事件.東京地決昭56.12.25労民集32-6-988は本社ビルに1ヶ月の間5万7千枚のビラの貼付された事案で、建物の美観や来客の信用を失うという理由からビラ貼付禁止の仮処分の申請が認められた。
●日東運輸事件.大阪地決昭60.5.16労判454号44頁は全日本港湾労働組合関西地本が抗議行動の一環として、コンテナ輸送トラクター等の車体にビラを貼付した事案で、不当な組合活動としたうえで、48台の車両につきビラ貼付禁止の仮処分申請を認めた。
●エッソ石油事件.東京地判昭62.12.23労判509号7頁はビラ貼り禁止の仮処分決定の異議申立を却下したもので、「ビラは貼付されている限り視覚を通じ常時従業員等に対する組合活動に関する訴えかけを行う効果」に言及している。
●灰孝小野田レミコン.洛北レミコン事件.東京地判昭63.1.14労判515号53頁はコンクリートミキサー車へのビラ貼付禁止の仮処分申請を認容。

(6)建造物損壊罪.器物損壊罪
 刑事事件では、東海電通局事件.最三小決昭41.6.10刑集20-5-374が、全電通東海地本役員らによる東海電気通信局庁舎に3回にわたり糊で貼付した所為は、ビラの枚数が1回に約4500枚ないし約2500枚という多数であり、建造物の効用を減損するものとして、建造物損壊罪の成立を認めており、金沢タクシー事件.最一小判昭43.1.18刑集22巻1号32頁はビラ貼による建造物損壊罪、器物損壊罪の成立を認め、平和タクシー争議事件.最三小判昭46.3.23刑集25巻2号239頁は、ビラの貼られた状況がガラスの殆んど全面をおおっている以上、窓ガラスとしての効用を著しく滅却し、器物損壊罪が成立するという原審の判断を維持している。
 東北電通局事件.仙台高判昭55.1.24 判タ420号148頁は、「全電通東北地方本部」等と青、赤字に白抜き印刷した縦37.3㎝.横12.5㎝のビラ及び、手書きの13×18.8㎝のビラ、合計約5501枚を、ドアガラス、窓ガラス、タイル張り壁面その他、建物1Fの東西南北四面と地下の一部にわたりぐるりと貼られ、玄関や通用口のガラス扉にはびっしりと集中的に貼りめぐらされ、その他の部分にはやや乱雑に貼られた事案で、本件建物は実用建築物ではあるが、新築後間もない近代的ビルとして市街地に相応の美観と威容を備えており、大量のビラ貼りにより、その美観と威容が著しく侵害されたものと認められ、刑法260条にいう建造物の損壊をもたらしたとする。
 しかし、国鉄小郡駅事件.最三小判昭39.11.24刑集18-9-610は駅長室内や入口等64枚のビラをメリケン粉製の糊で貼りつけた行為は建造物損壊罪.器物損壊罪が成立しないとした原審の判断を是認したうえ、軽犯罪法1条33号の罪に変更した点についても、起訴当時すでに公訴の時効は完成していた。建造物侵入罪以外は無罪としている。
(7)建造物侵入罪
 全逓釜石支部大槌郵便局事件.最二小判昭58.4.8刑集37巻3号215頁は有益な判例である。
事案は、1973年春闘において全逓岩手地本釜石支部が、計画どおり大槌郵便局(特定局)にビラ貼りを行うこととし、昭和48年4月16日午後9時半頃、被告人支部書記長、支部青年部長両名は他の6名とともに、同日午後9時30分ころ、施錠されていなかつた通用門と郵便発着口を通り、宿直員M(分会長だった)に「おうい来たぞ。」と声をかけ、土足のまま局舎内に立ち入った。被告人ら庁舎内の各所や庁舎外の一部に、ビラ合計約1000枚を貼りつけた。一方、管理権者たるN局長は、同月17日朝、釜石局駐在のA東北郵政局労務連絡官から、全逓が他局でビラ貼りをしているから注意するよう警告され、局長代理と交替で局舎の外側から見回ることし、同日午後10時過ぎ、ビラが貼られているのを発見、若干のやりとりの後、10時45分頃被告人らは退出したというもので、建造物侵入罪で起訴された。
 二審仙台高判昭55.3.18刑集37巻3号304頁は本罪の「侵入」とは「当該建造物の事実上の管理支配を侵害し、当該建造物内の事実上の平穏を害すること」であるところ、本件は宿直員が入室を許諾していること、郵便局長も特段の措置をとらず、立入拒否の意思が外部に表明されていなかったことから、建造物侵入罪の構成要件に該当しないとして原判決を維持して無罪とした。
しかし上告審は「刑法130条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである」として破棄差戻した。
(差戻控訴審仙台高判昭61.2.3で有罪。被告人両名に罰金八千円)
 上告審判決は、立ち入りの目的等につき次のように言及する。「ビラ貼りは‥‥庁舎施設の管理権を害し、組合活動の正当性を超えた疑いがあるから、管理権者としては、このような目的による立入りを受忍する義務はなく、これを拒否できる‥‥‥本件においては、被告人らの本件局舎内への立入りは管理権者である右局長の意思に反するものであり、被告人らもこれを認識していたものと認定するのが合理的である。局舎の宿直員が被告人らの立入りを許諾したことがあるとしても、右宿直員は管理権者から右許諾の権限を授与されていたわけではないから、右宿直員の許諾は右認定に影響を及ぼすものではない。‥‥」
 この趣旨からすると、ビラ貼りに限らず、管理権を侵害する組合活動を規則違反と明示するか、管理権者が容認していないと合理的に判断される場合には、建造物侵入罪は成立することになる。
東京都水道局では管理職が全水道東水労の組合役員に職務命令することはなく、郵政と違ってビラ貼りのパトロールや、現認して制止することは一切管理職はやらないので、勤務時間外でも午後5時15分以降ただちに、勤務時間中でもかまわずビラ貼りをする。
したがって組合役員らが午後9時頃に特定郵便局に立ち入ってビラを貼るというような事案はないが、建造物侵入罪は、当該事業所の職員ではない組合役員のオルグ、ピケ等の立入、支所での決起集会で外来者の立入、スト待機における深夜、未明の立入が相当する。
東京都水道局長は組合活動もしくは争議行為目的の無断夜間立入は認めないとの管理意思を明示して犯罪を成立させるようにすべきである。
(8)使用者の自救行為について
 河上和雄[1980]は、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115が正当な事業活動としてビラ自力撤去を認めており、自救行為というより事業活動として正当という観点からビラの自力撤去を認めるのが判例の傾向とする。
しかし、組合側はビラ等が財物だと主張することがある。とはいえ、河上は「通常のビラの場合、それを使用者の許諾なしに物的施設に貼った段階で所有権が消滅する(所有権の放棄を擬制するか、或いは民法242条、243条の付合の理論となろうか。)と解するのが正しいであろう。その意味で多くの場合、ビラの自力撤去が法的に問題とされることはない‥‥」とする。
 東水労はビラを財物として撤去したのち返還を求めているが、上記の方針に改めてよいのではないかと考える。
(八)組合掲示板の不都合な掲示物の撤去
 以下に該当する文書又は図画等を配布又は掲示は中止、撤去命令の対象となる。
一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。
二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。
三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの。
四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの。
五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。
六 組合旗、激文.寄せ書き.幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。
七 その他著しく不都合なもの。

 平成11年以前に在籍した、江東営業所では組合掲示板には「闘争宣言」が大書して掲示されていたが、郵便局や税務署では撤去対象になっている。水道局ではもちろん放置。平成12年より在籍した千代田営業所では「ストライキで戦うぞ」とのステッカーが一年中はられていて執務室からみえる状態であった。また自治労連東水労の掲示版には赤旗に激と書かれ寄せ書きが掲示されていた。
 地公労法11条1項後段のあおり、そそのかしに当たるものは撤去されなければならない。撤去対象は原則として違法なものとなる。組合旗の寄せ書きの掲出も示威であり闘争参加の表明であり、組合の教宣活動ではなく闘争を志向した掲示物として撤去の対象とする。私の提案では政治活動を知り締まりの対象から外しているのでゆるい感じはされるかもしれないが、従来組合掲示板に貼られたものについて、美観のうえで掲示板からはみ出しているものを注意する職制もいないわけではなかったが、闘争宣言等、国の各省庁でなされていた掲示物を撤去することはしていないので、今回違法な掲示物は撤去させることを規則化することは意味がある。根拠は以下の最高裁判例である。

 国家公務員の職場における組合掲示板の利用関係について、●昭和郵便局(全逓昭瑞支部)掲示板撤去事件.最一小判昭57.10.7民集36-10-2091(郵便局長による掲示板の一部撤去を適法とした)がリーディングケースである。が、国家公務員の職場における組合掲示板の利用関係について、組合側の主張(使用賃貸契約で行政財産の特許使用であるとして原状回復請求、債務不履行による損害賠償請求)を退け、下級審の国有財産法18条3項(現行では6項)の目的外使用とする見解も退け、掲示物の掲示の一括許可が庁舎管理権の行使として掲示板の許可使用を認めるものすぎず、公法上又はその私法上その使用権又は利用権を設定するものではなく、国有財産法18条3項(現行では6項)所定の行政財産の目的外使用にもあたらないとした。
 郵政省庁舎管理規程の運用通達は「『庁舎等の一部をその目的外に使用を許可する』とは、国有財産法一八条‥‥に定める使用許可ではなく、申出によって庁舎管理者がその権限のわく内で事実上使用することを許可するものであって、権利を設定する行為ではない。‥‥」として、国有財産法18条3項所定の行政財産の目的外使用の許可は、行政財産に占有権を設定するような場合にのみに関わるものに限定しているが、最高裁は郵政省運用通達の枠組を是認したのである。
 村上敬一調査官判解も、国有財産法18条3項の規程が掲示物の掲示や物品の移動販売その他の一切の庁舎等の目的外使用に当たるすべての場合に適用されると解することは到底できないと述べているとおりである。
◯全国税東京足立分会事件.東京地判昭52.2.24判時850●東京高判昭57.3.10労判385●最二小判昭59.1.27労判425は、当局の組合掲示板のビラ撤去作業を妨害し、10分ないし20分間職務放棄したことが国公法82条各号に該当するとして、戒告処分に付された事案につき、本件懲戒処分を適法とした事例(出典:日本評論社:法律時報臨時増刊「判例回顧と展望」)原告は、昭和41年10月14日及び15日、足立税務署総務課長、総務課長補佐、総務係長らが同署長の命を受けて同署庁舎一階にある全国税足立分会の使用にかかる掲示板(以下、本件組合掲示板という。)に掲示されていた「ストライキ宣言」等掲示紙(以下、本件掲示紙という。)を撤去しようとしたところ、次の行為を行つた。
1 昭和四一年一〇月一四日
「(1)同日午後二時三八分ころ、同総務課長らが本件掲示紙を撤去していた際、他の職員とともに本件組合掲示板前にかけつけ、暴言を吐きながら同課長らの胸を肘で押すなどして遂に同課長らの撤去行為を不能ならしめ、その間、再三にわたり同課長らが伝達した署長の職場復帰命令に従わず、同三時五分ころまでの間ほしいままに職場を放棄し、かつ、同課長らの右職務の遂行を妨げた
(イ)「ストライキ宣言」これは、総評及び公務員共闘連名の昭和四一年一〇月一二日付のもので、その末尾に「われわれは一六〇万公務員労働者の統一と団結をかため、総評に結集するベトナム反戦、最賃制確立、炭労首切り合理化阻止の全労働者とともに敢然としてたたかい、要求実現をめざし、『一〇.二一』統一ストライキを全力をあげてたたかい抜くことを宣言する。」と記載されており、その大きさは新聞紙二頁(縦五四.五センチメートル、横八一.三センチメートル)をひとまわり拡大した程度のものであつた。
(ロ)「秋闘四大要求獲得のため統一ストライキで闘おう」(以下、「秋闘四大要求獲得」と略する。)これは、総評発行のポスターであり、右の標題のほか、四大要求の内容として1公務員労働者の大幅賃上げを闘いとろう!2全国一律最低賃金制を闘いとろう!3アメリカのベトナム侵略にスト抗議しよう!4石炭合理化に反対し、炭鉱労働者と住民の生活権を守ろう!と記載されており、その大きさは新聞紙一頁(縦五四.五センチメートル、横四〇.六センチメートル)程度のものであつた。
(ハ)「全国一律の最低賃金制をストライキで闘いとろう」(以下、「最低賃金制」と略する。)これは総評発行のステッカーであり、右文言が記載されていて、その大きさは新聞紙一頁の四分の一(縦四〇.六センチメートル、横一三.六センチメートル)を若干小さくした程度のものであつた。
 されば、税務の職場内においてかかる文書を掲示した本件掲示行為が国公法九八条二項後段の規定に違反するものであることは論をまたない。

 なお、付言すれば、この統一ストライキは、公務員共闘さん下の職員団体による一時間の勤務時間内職場集会の開催を含み、また、当時分会が日刊態勢のもとに組合機関紙を発行する等極めて活発な組合活動を行い、かつ、統一行動に参加を呼びかける文書を配布していた事実等から判断すると、本件掲示は、当時分会員をして右勤務時間内職場集会等を実行させ、職務の停廃を招来させる危険性を多分に有したものであるが、税務職員は前記のように国家の財政収入中の租税収入確保をその職務とし、国家の存立ひいては国民の生活、福祉に密接な関係を有する極めて公共性の強い職務であって、その職務の停廃は全く許されないものである。
 本件掲示物の内容は、前記のとおりストライキをあおり、そそのかすものであり、その掲示場所は庁舎内でしかも納税者等の通行人の多い一階の廊下であって、部内の職員はもちろんのこと部外者の目にも容易に触れる所であつた。よつて、仮に分会にストライキ実行の意思がなかったとしても、これをそのまま放置するならば、被告がストライキを容認しているかの如き誤解を招くおそれがあるとともに、職場秩序維持の見地からも極めて不当なものであることはもとより、部外者からも税務行政の信用を失う結果となる事情が存したものであり、国有財産法及び国公法に照らして違法不当たるを免れないものであつた。」

 ストライキ宣言や総評発行のポスター撤去が妥当であるという判断は、東京都水道局でも闘争宣言党、違法争議行為をあおり、そそのかすも掲示神が貼られる場合があり、地公労法11条1項後段違反行為であり、この種の掲示物は撤去してしかるべきである。

 同判決は掲示板の性格について昭和郵便局判決を踏襲する判断をとっている。「庁舎管理者による庁舎等における広告物等の掲示の許可は、専ら庁舎等における広告物等の掲示等の方法によってする情報、意見等の伝達、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除するものであって、右許可の結果許可を受けた者は右のような伝達、表明等の行為のために指定された場所を使用することができることとなるが、それは、禁止を解除され、当該行為をする自由を回復した結果にすぎず、右許可を受けた者が右行為のために当該場所を使用するなんらかの公法上又は私法上の権利を設定され又はこれを付与されるものではなく、また、右許可が国有財産法18条3項にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらないと解すべき」
 組合掲示板の掲示物は組合に公法上、私法上の権利を設定され付与するものではないので、違法な文言のある掲示物は撤去されてもやむをえないというものである。

 郵政当局が撤去した全逓の闘争宣言等の掲示物とは次のようなものであった。全逓損害賠償請求(新宿局.空港局.静岡局)事件東京地判昭54.2.27労民集30-1-202

闘争宣言
郵政当局の激しい「合理化」攻撃のなかで斗つている、全の青年部の仲間たち!全国の全逓の仲間は各職場生産点で四つの重点目標と沖縄協定紛砕、佐藤内閣打倒、等政治課題を結合し、七一秋期年末斗争勝利を掲げ、いつせいにたちがあつた。わが新宿支部も十一月十九日より三六協定を切り、秋期年末斗争に突入した、我々支部青年部も今日ここに斗いのノロシをあげる!
いま郵政当局は「合理化」にみあつた職員づくりを本質的なねらいとし、目標管理の導入、労働協約の無視、権利、慣行の剥奪、処分の乱発、胸章着用の強要、ブラザー制度の導入、職場、寮と二十四時間管理、差別、減額措置、等々きちがいじみたしめつけを露骨に強行してきている。七〇年後半に職場にはりめぐらしてきた小集団管理体制を基礎としてアメリカ式労務管理をてこに職制の専制支配を結合して職場から斗う全逓を破カイしようとしているのだ、全逓組合員の脱退への煽動、第二組合の擁護と新郵会の育成強化の動向は、なによりもこれを証明している。
さらに郵政当局は、資本主義体制の経済危機をのりこえるため、我々郵便労働者に対し第二組合、新郵会をもつて企業危機意識をあおり郵政のための人柱となれといつている!
こうして思想攻撃と全逓破カイをワンセツトにし、職場の民主主義を踏みにじり職場の軍国主義化を急ピツチでおし進めてきている、これは十一月十七日政府自民党のフアツシヨ的な沖縄協定強行「採決」の暴挙と一体のものである。我々は決して許さない!
郵政当局が「明るい職場をつくるため」といつていることは決して我々のための明るい職場づくりではないことを!日本独占資本と政府自民党の「安保ハン栄論」が、ひとにぎりの支配者階級のためのハン栄でしかなかつたように、ことごとくでたらめであることを!我々は五体を通して知っている、こんにちまでなめさせれてきたこの苦しみを決して忘れることはできないのだ
 我々常任委員会は職場は労働と生活の場所であり、団結の拠点であると考える、郵政当局の「合理化」攻撃をはねのけ七一秋期年末斗争における四つの重点目標
一 減額措置紛砕
一 年末手当三ケ月獲得
一 時短、反合理化
一 昨年末斗争の十二、一四労変確認
これら要求を断固勝ちとり、同時にアメリカ帝国主義に加担し再び我々を侵略戦争の尖兵にしようとする佐藤自民党政府を糾弾し、日米軍事同盟の条約化である沖縄協定紛砕、佐藤内閣打倒、日中国交回復の勝利へむけ中核となつて断固斗うことをここに宣言する
 一九七一年十一月二十四日
 全逓新宿支部青年部
 七一秋期年末斗争勝利総決起集会
(別紙二)
 十一.一〇沖縄スト連帯職場集会
 十一月一〇日(水)PM12:15~
 局会議室
沖縄返還協定批准阻止!!
佐藤反動政府打倒!!
秋期年末斗争勝利!!
横山の暴力的職場支配粉砕!!
全逓空港支部団結ガンバロー!!
全逓空港支部執行委員会

 次節で述べるとおり、局所内の政治活動の禁止は今回の提案では見送ることとした。国家公務員の職場では「佐藤内閣打倒」等の政治的ポスターは撤去対象としているが、それは国家公務員に政治活動の規制があるためで、地方公営企業職員にはそれがないので、違法性という観点で不透明。あくまで、闘争宣言やストライキで戦うぞ等の地公労法11条1項後段に違反する、違法行為と態様として闘争を志向し不適切なものにしぼって撤去対象とすることとした。
もちろん政治的ポスターは不快だが、私の提案の主たる目的は、明確な違法行為の規制にあるのでこのような方針とするものである。


(九)局所内の政治活動の禁止は検討したが、今回の提案では見送る
 (見送り)職員は,勤務時間中又は局施設構内で、局の許可のない選挙運動、国民投票その他の政治活動を行ってはならない。

 モデルJRグループの就業規則
第22条1項 社員は、会社が許可した場合のほか、会社施設内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配付その他これに類する行為をしてはならない。
2項 社員は,勤務時間中に又は会社施設内で,選挙運動その他の政治活動を行ってはならない。

電電公社の就業規則
就業規則第五条第六項は、「職員は、局所内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配布その他これに類する行為をしようとするときは、事前に別に定めるその局所の管理責任者の許可を受けなければならない。」と、同条第七項は、「職員は、局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。

 現状は、局所内の政治活動を禁止する明文規定がないので政治活動は許容されている。今後予測される憲法改正の国民投票など、頭上報告等で組合の主張の呼びかけがなされ、職務の集中を妨げるなど職場の規律をみだすおそれがあるから、規程を新設する提案を検討したが結論は見送りとする。
 国家公務員は人事院規則一四―七で、公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。 特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。 特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。五 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含されたものを含む。)の実施を妨害すること。など厳しく政治的行為が制限され、公立学校の教育公務員も国家公務員の例によるが、とされている。
 一方、地方公務員法36条は公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。三 寄附金その他の金品の募集に関与すること。四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させることを禁止しているが、国家公務員ほど厳しくはないといえる。
これに対し水道局(地方公営企業)の管理職は地公法36条が適用されるが、職員一般は適用除外で、政治活動の制限というものはないのである。
 全水道東水労は全労協系なので、社民党の地区委員会が営業所を訪ねてきて組合に対し動員など依頼はあるし、平成27年4月の世田谷区長選挙では保坂展人区長の再選祝勝会に参加した職員もいるが、そのような選挙にかかわる活動も全然問題はないというべきある。
 従って職員には、政治的行為の制限がないわけで、職場から離れたところでの余暇時間での政治活動は規制できない。
しかし、局施設又は構内において労務の提供と無関係な政治活動を自由に行い得るものとすれば、もともと高度の社会的利害の対立、イデオロギーの反目を内包する政治活動の性質上、職員の間に軋轢を生じせしめ、職場の規律を乱し、作業能率を低下させるおそれが多分にあるから、使用者が企業の施設又は構内に限ってこれらの場所における従業員の政治活動を禁止することには合理的な理由があるし、水道事業の運営や事業所の掲示物には政治的中立性が要求されるとものとみてよい。
 しかし職員が政治活動を制限されていないことは、政治活動が禁止されている国家公務員と大きな違いがある、それをふまえるとともに、組合活動と政治活動は不可分なところがあり、上部団体の全労協と友好な政治団体や労働団体、市民運動、たとえば、原水禁や反原発運動、部落解放同盟とか北朝鮮系の団体の友好関係、活動も支援しており、政治活動を禁止するとしても線引きが難しいように思う。
 組合の掲示板で特定の政策の推進、全労協と友好団体の政治集会の案内などが掲示されることはしばしばあり、頭上報告で政治集会参加をよびかけることもあるが、例えば囚われの聴衆の状況でなされる勤務時間内頭上報告では平成20年代前半は、中野営業所では日常的に報告があり、例えば平成22年9月25日 に横須賀ヴェルニー公園における原子力空母ジョージ.ワシントン母港化撤回のための集会(主催者発表で2700人参加)とか頭上報告でこの種の政治集会の告知、よびかけがなされることがあった。組合掲示板には、世田谷営業所太子堂分室の平成末期の事例であるが、「辺野古移転反対」とか、狭山事件に関するボスターが貼られる。新宿営業所などでは9条改正反対のポスターもあったがこうした政治色のある情宣活動について私は不快に思うが、組合掲示板の枠内ということで受忍するものとした。今回の提案では規則化を見送ることとした。規則化せずとも執務室内の演説行為は内容いかんにかかわらず規制する提案にしているので、頭上報告で政治集会の参加呼びかけ等は規制できると考えたからである。

 私の考えていた規制の趣旨について述べる。
政治活動は全面的に禁止せず、ビラ配布による選挙運動は許可し、掲示板の政治的言論は留保とし、禁止としないが、挙ポスターは、組合役員の選挙は組合掲示板の枠の範囲で認める、国政や地方選挙、区長等の選挙ポスターは認めないというやや歯切れの悪い方針である。決着がつきにくいし線引きが難しいので提案をやめた。
 また組合は、国政選挙等において推薦候補を東水労新聞や東水労ニュースで組合員に周知し、平成28年の都知事選挙では鳥越俊太郎氏と政策協定を結び、令和6年の知事選では小池都知事を支持しない声明を東水労ニュースで周知したりしたが、組合が政策協定を結ぶのは自由であるし、組合員に周知も必要なので、それ自体問題視しない。
 実際に水道局では組合の役員が頭上報告等で、これこれの候補者をよろしくと依頼するなどの積極的活動はない。組合本部のオルグ演説で一度だけ、平成7年の都知事選挙で自民党推薦の無所属石原信雄氏を推薦するのは心苦しいが、自社さ政権で連立している以上協力することになったとの説明があった程度にすぎないわけで、選挙のとき印刷物配布による推薦者周知は問題ないと考えている。
 ちなみに2024年10月21日東水労ニュースでは「10/27衆議院選挙で政権交代を実現しよう 東水労組織推薦候補者の全員当選を」とあり組織推薦者候補は 東京3区 阿部裕美子(立憲民主党)、5区 手塚仁雄(立憲民主党)、6区 落合貴之(立憲民主党)、9区 山岸一生(立憲民主党)、11区 阿久津幸彦(立憲民主党)、15区 酒井なつみ(立憲民主党)、東京19区 末松義規(立憲民主党)、22区 山花郁夫(立憲民主党)、30区 五十嵐えり(立憲民主党)、千葉6区 原田義康(社会民主党)、東京都比例代表 桜井夏来(社会民主党)、比例代表の推薦 東京23区在住⇒社会民主党、多摩地域.各県在住⇒立憲民主党 
 なお平成27年の世田谷区長選挙告示前に世田谷営業所太子堂分会役員が、たぶん社民党の地区委員会の要請を受けて、保坂展人氏のポスターを使ってない組合掲示板と称する場所に貼りだした。更衣室の近くで目に触れるのは職員だけであるが、公職選挙法はよく知らないが事前選挙ポスターで、政党や政治活動を行う団体がその政治活動のために使用するポスターは告示前なら掲示できるとされている。このポスターがそれにあたるかは確定できないが、無所属なので顔写真は独りだった。職員は政治活動が禁止されていないので抗議しにくかったが、職場で政治家のポスターを見るのは不快であり、庁舎に区長の事前選挙ポスターを許すのは水道局が区長支持の立場の表明と解釈せざるをえないとして所長に苦情を言った。結果的には外されることとなったが法的根拠が不明である。
 組合掲示板の法的性格は昭和郵便局事件.最二小判昭57.10.7が郵便局の組合掲示板設置は、国有財産法18条の行政財産の目的外使用許可によるものではない。組合に壁面の使用権、利用権を付与したものではないと判示しているので、適切でない掲示物は庁舎管理権の発動で撤去できることは前述のとおりである。職員自体は政治的活動の制限がないとしても、企業秩序維持権、庁舎管理権を侵害して政治活動は行えないはずなので、局所内の政治活動の禁止は可能だが、今回はなによりも地公労法11条1項違反の問題解決が優先なので、局所内政治活動の規制は見送る。


(十)煙突闘争類似事案について


(2)職員は局が許可しないメッセージ性のある旗やマグネットシート、煙突状の小物、マスコット、短冊を机上、什器等に設置、陳列、貼付してはならない。

 全水道東水労は、ビラ貼りやすでにのべた春闘ワッペンのほか、平成15~16年頃、14.5×4.5cmのマグネットシートで「お客様センターNОストライキで戦うぞ! 完結型受付防衛‥‥」とか「イラク戦争反対.自衛隊派遣反対」と言った文言のある組合の主張が印刷されたものが配布され、机や什器、戸棚などに貼り付ける闘争が行われたほか、団扇に組合の要求項目を印刷したもの、組合のロゴのある手ぬぐいやボールペン、クリアファイル、ティシュペーパーなど組合グッズを配布することがある。平成10年前後において、江東営業所では七夕の時期に笹飾りが机に設置され、短冊に要求項目を書いてアピールする闘争があった。水道局では見ていないが円筒状の小物に組合の要求項目を書いて机上に置く   「煙突闘争」、マスコットを置いてアピールするマスコット闘争という活動もありうる。マグネットシートについてはビラに類するものとして無許可掲示物として禁止することも可能であるが、短冊や煙突等の設置による闘争等にも備え上記の規則のを明文規程を追加することとした。
事務室内に掲出、設置する組合旗の寄せ書きで団結を誇示の禁止も明文化した。笹飾り等は撤去命令してしかるべきである。ただ団扇や手ぬぐい、ボールペンなどの組合グッズも不愉快ではある。しかし判例が乏しく、組合グッズの類似事案としては本荘保線区国労ベルト事件 仙台高判秋田支部平4.12.25労判690.仙台高裁秋田支部判平4.12.25労判690.最二小判平8.2.23労判690(バックルに国労マークの入ったベルト取り外し命令に従わなかった組合員を就業規則の書き写しを命じる)を不当労働行為とする判例があるので、組合グッズの配布禁止は今回は見送ることとした。
 このほか組合活動では、組合役員が抱えている組合の管理物を保管する什器など取り決めもなく、慣行として組合役員が勝手に使用している感があるほか、闘争時の立て看なども駐輪場などに保管を勝手に認めている問題や、コピー機の使用などの問題はある。本部発行のニュースは印刷されたものを配布しているが支部.分会の発行のニュースやビラ、組合集会に提出する資料など、紙は組合で用意していても、局がリース契約しているコピー機を使うことが多い。私が経理をやっていたときは、コピー機にカウンターがついていて、月末に経理担当者が確認して基本リース料ブラス複写枚数分の料金を払っている。しかし、無断コピー機利用の判例はあるが、処分を無効とした例で少なく、些末な問題なので黙認することとする。むしろ、収益を得ていると考えられる自動販売機の設置が無償便宜供与で電気代の支払いだけ、組合事務室もそうだろうが、そちらのほうが問題であると考えているが、今回は特段提案しないこととする。


(十一)その他追加した規則について
9 職員は、みだりに欠勤し、遅刻し、若しくは早退し、又は上司の許可を得ないで、執務場所を離れ,勤務時間を変更し、若しくは職務を交換してはならない
10 職員は、みだりに業者、物品販売、保険の勧誘、当該事業所に勤務していない職員等を職場に立ち入らせてはならない。職場の規律・秩序をみだすおそれのある署名・募金活動をしてしならない。
11 職員は、職場において、みだりに飲酒し、又は酩酊してはならない。

 9については郵政事業庁の規則をそのまま用いたものである。水道局の規則にはみだりに離席してしらないという庶務規程はあるが、実際に理由のない離席に職務命令することはない。この規程は発展的に解消する。職務の交換については明文規程の必要があると判断した。昼当番拒否闘争の防止のため必要、休憩時間を午後1時以降にずらして、昼休みの窓口対応と、電話対応するのが昼当番で、協約でも休憩時間をずらして業務命令できることになっているが、昼当番に指定された職員が、組合役員と職務を交換し、組合役員は昼休み当番を拒否し、管理職に職務を命じるというものである。ただし管理職は経常業務に慣れてないので、不明な点をサポートするというもので不完全就労でありながら給与は支給される。いやがらせともいえるが、争議行為の一類型であり、これを就業規則違反とするものである。
理由のない離席については、勤務時間中の洗身入浴の問題がある。
 10については中央労働金庫の営業活動は目的外使用許可により事務室内でも認めることはすでに述べたとおりで、署名.募金活動については組合活動でしばしばあることだが、ビラ配りと同じく無許可で可能とする。ただし説得活動を伴うもの。休憩時間であっても休憩時間の自由利用の妨げになるような態様など、中止命令可能な在り方とした。
(大日本エリオ事件.大阪地判平元.4.13労判538号6頁は「本件署名活動はその趣旨説明、説得を伴っていたことが認められる。そして、休憩時間中においては他の労働者が休憩時間を自由に利用する権利を有していることが尊重されなければならないから、これを妨げる行為を当然にはなしえないと解すべき」として譴責処分を是認している)。勤務時間内であれ、社民党地区委員会の動員要請の面会や、中央労働金庫との打ち合わせは勤務時間中であれ従来どおり認める。ただ、来庁者名簿の記載と、時間を申請させ、業務外のことであるので月間累積30分以上で賃金カットとする。
 なお正月の旗開きや忘年会の会議室利用については、7~8年前まで飲食を伴った会合がなされていたが、職員部の判断で会議室利用の酒類の持ち込みが禁止されたため、旗開きなどの会議室利用は近年知らない。これはビールケースが出入口に置かれ付近の住民に誤解を招くとの趣旨のようだが、郵政省は規則で職場での飲酒を禁止する規則があるので、明示することとしたのはたんに当局の意向に追随しただけである(追加案11)。

 

A 大成観光リボン闘争事件最三小判昭57・4・13は当該事案の判断にすぎず、リボン闘争が一般的に違法とは云っていないとの反論

 大成観光リボン闘争事件最三小判昭57・4・13民集36-4-659は、「本件リボン闘争は就業時間中に行われた組合活動であって参加人組合の正当な行為にあたらないとした原審の判断は、結論において正当として是認することができる。‥‥」としたが、最高裁としての理由を示さなかったことから、判旨にあらわれた限りでは、この判例を一般違法についての判断まで是認した趣旨と読むことはやや無理で、特別違法の観点からする判断、一流ホテルにおける従業員の接客勤務態度に対する要請からみて正当な行為にあたらないとする見解 (花見忠「リボン闘争の正当性--ホテル・オ-クラ事件最高裁判決」『ジュリスト』 771 1982)がある。
 しかし最高裁は昭和50年代以降企業施設内の無許諾の組合活動は企業秩序をみだすものとして受忍義務がないとする、使用者の企業秩序定立権という判例法理を案出し(国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54・10・30民集33-6-676)、この判例法理は、安定的に維持(池上通信機事件最三小判昭63・7・19判時1293、日本チバガイギー事件最一小判平元・1・19労判533号7頁3号、済生会中央病院事件最二小判平元・1・12・11民集43-12-1786、オリエンタルモーター事件最二小判平7・9・8判時1546号130頁)されているが、従業員は企業秩序遵守義務があるのであって、これらの判例は使用者の権利と団結権とを法益調整するという考え方はとらないのであって、法益衡量的な諸般の事情を勘案する調整的なアプローチを否定しており、具体的な業務阻害のないことは無許可組合活動を正当化しないことを明確にしている。ケースバイケースの判断はとらないのである。したがってホテル業だからダメでその他の業種なら正当化される余地があるとする根拠はない。
 例外としては、権利の濫用とみなされる特段の事情がある場合だが、この判断枠組で風穴は開けられていない。
仮に百歩譲って、特別違法性だけを認めた判例とする花見説を認めたとしても、例えば、大手私鉄の主要路線では、通勤客に対し寛ぎや快適さを提供する有料着席ライナーを運行するようになったが、京王ライナーでは、空気清浄機が具えられたうえ、しばしの間お寛ぎください云々とのアナウンスが流れるのである。ところが、2018年2月22日デビュー以降、三週間程度が春闘時期にあたり、車掌は春闘ワッペンを制服の腹の部分に取り付けていた。直径7から8㎝で赤い円形のためかなり目立つ。着席状況を確認するため、車掌が各車両を見回るが、春闘ワッペンをみせつけて、第三者である乗客に春闘との連帯を訴えかける行為は、400円(当時)の有料着席ライナーを利用する乗客が求める「休らい、寛ぎ、そして快適さとはおよそ無縁なことといえる」のであって、原審の説示した特別違法性は、鉄道事業にもあてはまるというべきである。したがって理論的説示がない大成観光リボン闘争事件最三小判昭57・4・13を逆手にとって、ワッペン着用に有利に解釈する妥当性はない。

B 伊藤正己補足意見は、就業時間中の組合活動はすべて違法でなく、具体的な業務阻害のない行為を是認しているという反論
 大成観光リボン闘争事件最三小判昭57・4・13の伊藤正己判事の単独補足意見は、目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52・12・13は事案を異にするので先例とみなさないとし、「就業時間中に‥‥およそ組合活動であるならば、すべて違法の行動であるとまではいえない」とか「業務を具体的に阻害することのない行動は、必ずしも職務専念義務に違背するものではない」としている。
この補足意見については、「伊藤裁判官の補足意見により‥‥労働委員会が実態に即し、不当労働行為制度の趣旨を生かす判断を行う余地が残されるようになった」(松田保彦「いわゆるリボン闘争の正当性-ホテルオークラ事件」・法学教室22号1982)と肯定的評価をする批評がある。
 明らかに間違っている。伊藤補足意見は、リボン闘争が争議行為の類型には当たらないとした以外の主張は、組合活動に好意的な立場で先例を無視した勝手な持論を言っているだけのものであり、最高裁の主流の考え方に異論を示しただけのものである。上記引用した企業秩序論の最高裁判例においても伊藤補足意見の趣旨は完全に否定されていることから、伊藤補足意見に引きずられる理由などない。
例えば済生会中央病院事件最二小判平元・12・11民集43-12-1786が、「一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。」「労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない」としたうえで、勤務時間中の無許可集会に対する警告書交付はそれが業務に支障をきたさない態様であっても「労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎない」ので不当労働行為にあたらないと判示しており、同判決によって無許諾の就業時間内組合活動が正当化される余地はなくなったというべきであるし、業務に具体的阻害のない態様であることは正当化する理由にはならないことを重ねて確認した判決といえる。先に引用した伊藤補足意見の趣旨を完全に否定されている。


C 大成観光リボン闘争事件最三小判昭57・4・13は目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52・12・134の厳格な職務専念義務論を引用していないので、組合活動に適用されるかは未解決の問題であるとする反論

 
 目黒電報電話局判決が引用されてないのは、第三小法廷の4名中2名裁判長環昌一判事(左派、名古屋中郵判決で反対意見)と伊藤正己判事は左派プロレイバーであり、勤務時間中は、注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないとする目黒電報電話局事件判決に批判的な見解をとっていたため小法廷の意見が一致しなかったため推定できる。伊藤判事は補足意見で同判決を批判しているし、環裁判長は、目黒局判決の結果的同意意見となる補足意見で、反戦プレート着用は懲戒処分理由と認めていないことから明らかなことといえる。
 しかし、半数の左派2判事が先例拘束性を認めなかったことで、目黒電報電話局事件判決の先例としての意義を否定されるものではないし、既にのべたとおり、同判決の判断枠組は、私企業においても組合活動においてもそれが適用されることは判例法理上の必然であり、大成観光事件上告審判決は、当該リボン闘争を組合の正当な行為にあたらないとし、組合幹部への減給、訓告処分を是認するものであるから、引用されずとも同判決を踏襲した判断をとったとみるとの妥当である。
大成観光事件以降の判例では本節、冒頭に述べたJR東海新幹線支部国労バッジ事件・東京高判平9・10・30判時1626号388頁も厳格な職務専念義務論をとっており、上告審最三小判平10・7・17労判744号15頁も原判決の判断を支持しているだけでなく、それ以外に目黒局判決の参照指示こそないが、同趣旨、もしくは本文をそのまま引用し、厳格な職務専念義務論をとる下級審判例として以下の判例がある。

 東京急行電鉄自動車部淡島営業所事件・東京地判昭60・8・26労民集36巻4・5号558頁

 国鉄鹿児島自動車営業所事件 鹿児島地判昭63・6・27判時1303号143頁は、(組合バッジ着用は職務専念義務違反禁止できるとしたうえで、管理者に準ずる地位にある職員が、取外し命令を無視して組合員バッジの着用をやめないことから、通常業務から外し降灰除去作業をさせたことが、懲罰的目的であり業務命令権の濫用とする。控訴審の判断も同じ。最三小判平5・6・11判時1466号151頁裁判所ウェブサイトは、原判決破棄自判。本件降灰除去作業は、労働契約に基づく付随的業務としての環境整備作業の範囲を越えるものではなく、懲罰的、報復的目的を認定することは失当とする。

 西福岡自動車学校腕章事件 福岡地判平7・9・20労判695号133頁、

 JR東日本(神奈川地労委・国労バッジ)事件・東京高判平11・2・24判時1665号130頁裁判所ウェブサイト

(国労バッジ着用を理由とする863名に対し厳重注意、訓告、55名に対し夏季手当5%減額の措置につき国労バッジの着用は、就業規則の服装整正規定違反、就業時間中の組合活動禁止規定違反、職務専念義務規定違反であり企業秩序を乱すものであるとし、取外し命令、懲戒、不利益処分を禁止するものではない。しかしながら「厳しい対決姿勢で臨んでいた国労を嫌悪し,組合から組合員を脱退させて,国労を弱体化し,ひいては‥‥排除しようとの意図の下にこれを決定的な動機として行われたもの」として不当労働行為(支配介入)に該当するとした。)

 JR東日本(神奈川)第一次国労バッチ事件・東京高判平11・2・24判時1665号130頁裁判所ウェブサイト

 JR西日本(大阪)国労バッチ事件 東京地判平24・10・31別冊中央労働時報1434号20頁

 JR東日本(神奈川)国労バッチ出勤停止事件 東京高判25・3・27別冊中央労働時報1445号50頁

 JR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件・東京高判平25・11・28別冊中央労働時報1455号38頁
もっとも目黒局判決の参照指示があって職務専念義務論を引用しているものとしは国立ピースリボン事件・東京地判平18・7・26裁判所ウェブサイトと都立南大沢学園養護学校事件・東京地判平29・5・22TKCといった地方公務員の国旗・国歌をめぐる抗議活動の事案がある。が可能である。

 もっとも理論的に労働契約上の誠実労働義務違反で違法といっても、懲戒処分に付すにはフジ興産事件最二小判平15・10・10判時1840号144頁が、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定め、適用を受ける労働者に周知させる手続が採られていることを要すると判示している以上、就業規則を根拠としない懲戒処分は避けたいので、実務的には企業秩序論の脈絡から対応していくことが堅実であり、明文規定は必要と考える。

5 国労バッジ判例多数はJR各社の就業規則違反として組合バッジ着用を理由とする不利益処分を労組法7条1号の不当労働行為に当たらないとしており、バッジよりも大きくて目立つ春闘ワッペンが規制できないということは絶対ない

(1)組合バッジ着用禁止の経緯と終息
 国労バッジを着用し、上司の指示の取り外し命令に従わなかったことを理由とする不利益取扱が不当労働行為に該当するか否かが争われた救済命令取消訴訟が多数ある。
これは国労がJR発足以前から、組織的な組合活動としてバッジ着用行為を指示していたのに対し、JR各社は昭和62年4月発足以来就業規則や賃金規定を根拠として着用規制を徹底して行ったことによる紛争である。
国鉄時代には、動労、鉄労など国労以外の労働組合も、組合バッジを作製し、組合員に配付しており、各労働組合の組合員は、組合バッジを着用していたが、JR発足の昭和62年4月には、国労以外の他の労働組合の組合員のほとんどは組合バッジを外したのである。
国労バッジとは大きさで2種類ある。通常着用していたのは、縦1.1㎝、横1.3㎝の四角形で、黒地に金色のレールの断面と国の英訳の頭文字をとった「NRU」の文字をデザインしたものである。
 これと別に布製のワッペン式大型バッジがあり、通称「くまんばち」と呼ばれ、デザインはほぼ同様であるが、縦2.6㎝、横2.8㎝と大きく、主に闘争時などを中心に着用された。国鉄当局は、これをワッペンの一種であるとして、国鉄末期から規制を行っている。国鉄鹿児島自動車営業所事件 最三小判平5・6・11判時1446号151頁(管理者に準ずる地位にある職員が組合員バッジの取外し命令に従わないため点呼執行業務から外して営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令を適法とする)が昭和60年の国鉄時代の事案だが、布製の「くまんばち」の事案であるから、本件はワッペンに関する判例とみなすべきである。

 しかし大多数の国労バッジ判例は小型バッジの事案なのである。
以下、ここでは主としてJR東日本(神奈川・国労バッジ)事件・東京高判平11・2・24判時1665号130頁裁判所ウェブサイト(国労バッジ着用を理由とする863名に対し厳重注意または訓告処分、55名に対し夏季手当5%減額の措置をとったことが不当労働行為に当たるかが争われた)の判文より引用する。
 国労は、分割民営化反対等を主張し、昭和59年8月10日に2時間ストライキを実施したほか、昭和60年に入ってワッペン着用闘争を行った。これに対して、国鉄は、同年9月13日、闘争に参加した約5万9200人の国労所属組合員に対して戒告、訓告等の処分をした。さらに、国労は、昭和61年4月10日から12日まで、国鉄の分割民営化方針等に抗議して、ワッペン着用闘争を行った。これに対して、国鉄は、同年5月30日、闘争に参加した約2万9000人の国労組合員に対し、戒告又は訓告の処分をした。
国鉄は、昭和61年1月13日、「労使共同宣言(第一次)」の締結を各組合に提案した。諸法規を遵守すること、リボン・ワッペンの不着用、氏名札の着用等定められた服装を整えること、必要な合理化は、労使が一致協力して積極的に推進すること‥‥が掲げられていた。この提案に対し、鉄労、動労及び全施労は受諾したが、国労は、拒否した。
 しかし小型の組合バッジは取締の対象にはなっていなかった。
 国鉄総裁は昭和61年3月に八次にわたる職場規律の総点検の集大成とし職員管理調書の作成を通達しているが、勤務態度に関することとして「服装の乱れ」という項目があり、「リボン・ワッペン、氏名札、安全帽、安全靴、あご紐、ネクタイ等について、指導された通りの服装をしているか。」を評定事項としているが、組合バッジについては言及されていない。
国労は昭和61年5月には組合員約16万3000名(組織率68・3パーセント)を有する国鉄内最大の労働組合であったが、昭和62年2月には約6万47000(同29・2パーセント)、さらに、同年4月には約4万40000と急激に減少させた。組合バッジを組合団結のシンボルとする国労組合員は、国労の組織防衛上の見地からその着用を続けていた。東京地本は、昭和61年10月31日、闘争指令を発し、その中で、当面の闘いとして、「国労バッチの完全着用をはかること。」などの指令を出し、さらに、昭和62年3月31日、各支部執行委員長に対し、「国労バッチは全員が完全に着用するよう再度徹底を期すこととする。」などの指示を出している。
一方、JR東日本発足時には、東鉄労(動労、鉄労、国労脱退者の一部を糾合)の組合員は国鉄時代の慣行をやめ鉄道労連のバッジを着用しなかった。
 JR東日本の調査によれば、62年4月の組合バッジ着用者は、5645名(全体の8.8%)、同年5月の調査で2798名(同4.4%)であり、そのほとんどが国労組合員であった。
 JRの就業規則は昭和62年3月23日に制定されたが以下の3ヶ条が、組合バッジ着用を禁止する根拠になっている。
第3条の1 社員は、会社事業の社会的意義を自覚し、会社の発展に寄与するために、自己の本分を守り、会社の命に服し、法令、規程等を遵守し、全力をあげてその職務の遂行に専念しなければならない。
第20条の3
 社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない。
第23条 社員は、会社が許可した場合のほか、勤務時間中に又は会社施設内で、組合活動を行ってはならない。

 また賃金規程(昭和六三年八月人達第一二号による改正前のもの。)には、期末手当の額の減額に関連する規定があり、減額に係る成績率については、5%減の事由として減給、戒告、訓告及び勤務成績が良好でない者と定められている。これに関して作成される期末手当減額調書には、業績(問題意識、成果)、態度(執行態度、協調性等)、処分の有無、服装(組合バッジ着用等の注意回数等)について記入することとされている。
 なお、昭和62年4月23日付けのJR東日本と国労東日本鉄道本部との労働協約では,経営協議会及び団体交渉など原告から承認を得た場合のほか,勤務時間中の組合活動を行うことはできないことを約定している(同協約第6条)
国鉄の東日本旅客鉄道株式会社設立準備室の小柴次長は、昭和62年3月23日、東日本地区各機関総務(担当)部長(次長)に対し、「社員への「社員証」「社章」「氏名札」の交付等について」と題する事務連絡を行ったが、その中で、JR発足に当たって全社員に交付すべき社員証、社章及び氏名札は、勤務箇所長から直接社員一人一人に手渡しで交付すること、組合バッジを着用している場合には、組合バッジを外させると   ともに、社章を着用させることを指示した 。
 つまり、JR発足時から組合バッジ着用を認めない方針だった。JRの就業規則は非常によくできていて、組合バッジ着用は、職務専念義務違反、服装規定違反、無許可組合活動の3ヶ条に違反するのみならず、服装指導の回数によって、期末手当5%減額事由となる賃金規定があるため、バッジを取外さなければ、ボーナスが減額されてもやむをえないような設計に初めからなっていた。
人事部勤労課長は、昭和62年4月20日、関係各機関の勤労担当課長に対し、「社章、氏名札着用等の指導方について」と題する事務連絡を行ったが、その中で、「組合バッヂ着用者に対しては、服装違反である旨注意を喚起して、取り外すよう注意・指導すること。繰り返し注意・指導を行ったにもかかわらず、これに従わない社員に対しては、「就業規則」、「社員証、社章及び氏名札規程」に違反するとして厳しく対処することとし、人事考課等に厳正に反映させることとされたい。」と指示した。これを受けて、東京圏運行本部の総務部人事課長及び勤労課長は、関係現業機関の長に対し、翌21日、同旨の事務連絡を行い、さらに、同月28日、「服装等の整正状況のは握について」と題する事務連絡を行って、決められた服装をしない社員の整正状況について個人別把握を行うよう指示した。
 国労が労使協調路線へ方針を転換したのは平成8年7月以降であり、平成11年年9月に勤務時間中に組合活動を行うことを禁止する旨の労働協約を締結した。平成18年11月包括和解によりバッジ事件を含む合計61件の不当労働行為救済申立事件を取り下げている。JR東日本神奈川国労バッチ出勤停止処分事件 東京地判平24・11・7労判1067号18頁によれば、JR東日本は組合バッジ着用者に対する処分を年2回程度の割合で実施していった。被処分者は、平成3年9月の処分で2000人を割り込み、平成8年9月の処分で1000人を割り込み,平成14年3月には314人(全従業員の0.4%)になっていた。平成14年3月末以降は、組織として不当労働行為救済申立てを行うことはなくなり、国労は、組合バッジ着用に関し、機関決定違反として統制処分をするまではしないが、支持はしなくなったとする。平成15年7月以降国労バッジ着用者は1人となった。その者も退職したので、現在では組合バッジの着用者はいないはず。
 つまり、会社側が企業秩序を定立するため、しかるべき就業規則を制定し、ワッペン・リボンはもちろんのこと、小型の組合バッジであれ、企業秩序遵守義務に反するものとして、徹底して禁止することができるということは、JRの労務管理の実績で証明されたことなのである。

(2) 国労バッジ事件主要判例が示すように、組合バッジ着用は就業規則違反の限定解釈の判断枠組で実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められてないので、春闘ワッペンも同じことである

 国労バッジの判例は多数あるが以下7例を第1類型の範疇として示す。組合バッジ着用を理由とする不利益取扱が不当労働行為には当たらず適法との判断を下している。

JR東海(新幹線支部)国労バッジ事件・ 東京地判平7・12・14判時1556号141頁
JR東海(新幹線支部)国労バッジ事件・東京高判平9・10・30判時1626号388頁
JR東海(新幹線支部)国労バッジ事件・最三小判平10・7・17労判744号15頁
JR西日本(大阪)国労バッジ事件・東京地判平24・10・31別冊中央労働時報1434号20頁
JR東日本(神奈川)国労バッジ・出勤停止処分事件・東京地判平24・11・7労判1067号18頁

 ここでは代表的な判例である東京高判平9・10・30(組合バッジ着用を理由とする厳重注意、夏季手当5%減額、賃金規定の昇給欠格条項該当措置は不当労働行為に当たらないとした)を引用する。理論的説示は概ね完璧に近く、最高裁に支持されているため 代表的な判例としてよいのである。平成20年代の判例は、後述する第2類型も含めて、この判決を踏襲した理論的説示をしている。
先に要点だけ述べれば組合バッジ着用はJRの前記就業規則3条、20条、23条に違反する。
就業規則に違反することは明らかであるが、先例である目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52・12・13民集31-7-974は不利益処分の客観的合理性を確保するため就業規則の形式的適用を避ける判断枠組を示しているのでこの審査をパスしないと就業規則違反とはならないことになっている。
 東京高判平9・10・30も「文言上形式的には本件就業規則三条一項、二〇条三項、二三条に違反するように見える場合であっても、実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右各規定の違反になるとはいえないと解するのが相当である」と目黒局判決の判断枠組を引用してその審査を行っているが、以下のとおり実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情はないと判定するのである。
「本件組合バッヂ着用行為は、‥‥組合員が当該組合員であることを顕示して本件組合員等相互間の組合意識を高めるためのものであるから、本件組合バッヂに具体的な宣言文の記載がなくとも、職場の同僚組合員に対し訴えかけようとするものであり、‥‥職務の遂行には直接関係のない行動であって、これを勤務時間中に行うことは、身体的活動による労務の提供という面だけをみれば、たとえ職務の遂行に特段の支障を生じなかったとしても、労務の提供の態様においては、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い、職務にのみ従事しなければならないという‥‥職務専念義務に違反し、企業秩序を乱すものであるといわざるを得ない。また、同時に、勤務時間中に本件組合バッヂを着用して職場の同僚組合員に対して訴えかけるという行為は、国労に所属していても自らの自由意思により本件組合バッヂを着用していない同僚組合員である他の社員に対しても心理的影響を与え、それによって当該社員が注意力を職務に集中することを妨げるおそれがあるものであるから、この面からも企業秩序の維持に反するものであったといわなければならない。」
 要するに、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いていないことは職務専念義務に違反し企業秩序を乱しているということ、他の社員が職務に集中できないおそれ、注意力を散漫にするおそれがあること(抽象的危険)により実質的に企業秩序をみだしていると認定した目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52・12・13の説示とほぼ同じ趣旨である。
後段の部分については、私鉄総連の春闘ワッペンは、複数組合のあるJRと違う環境であり少数組合の国労とは違って殆どすべての社員を着用していることから、国労バッジ事件と状況が違うとの反論がありうるが、仮にすべての非管理職社員が着けているとしても、自ら着用することが組合活動を意識しながら職務を行うことで職務専念義務に反しているだけではなく、目立つものであるから、就業時間中に他の社員の春闘バッジが目に入ることでも、団結意思の相互確認、闘争参加意識、春闘を意識することとなり、組合員間の連帯を高め闘争に向けて士気の鼓舞する意味と作用を有するともいえるから、注意力のすべてを職務遂行に向けることを妨げるおそれがあり、組合の指示にしたがって着用しているかを相互に確認する行為がなされるだけでも、就業時間中に注意力を散漫にするおそれがあるといえるのであり、実質的に企業秩序を乱すおそれのない特別の事情が認められることはありえない。
 それが水道局であっても同じことである。
 つまりワッペンを禁止するのに具象的な業務阻害を説明する必要はない。2014年2月15日午前0時半すぎに、東急東横線元住吉駅で、大雪の影響で電車が追突し乗客65人が負傷した事故があった。これは国交省が大雪時に徐行運転させるきっかけになった事故である。2月15日というと春闘ワッペンを着用しだす時期である。事故の原因については究明されていることであり、その時、運転指令室や乗務員がワッペンを着けていたかどうかは知らない。仮に着けていたとして春闘ワッペンを意識した雑念が事故と関係しているという根拠を示すことはできないけれども、ワッペンはたんに抽象的な理由、それが目に触れるため他の社員の職務専念義務を妨げるおそれがあるというだけでも企業秩序をみだすものとして禁止できるのである。

(3)労組法7条3号の支配介入にあたるとする国労バッジ判例も存在するが、労組法7条1号の不当労働行為にあたらず、就業規則違反として禁止できることは認めている
 国労バッジ判例の第2の類型は、組合バッジ着用は就業規則違反として禁止できるとしたうえで、あるいは、不利益措置は労組法に7条1号の不当労働行為にあたらないとしたうえで、労組法7条3号の支配介入にあたるとするものである。
 JR東日本(神奈川)第一次国労バッチ事件・東京高判平11・2・24判時1665号130頁(国労バッジ着用を理由とする863名に対し厳重注意または訓告処分、55名に対し夏季手当5%減額の措置をとったことが不当労働行為に当たるかが争われた)は、国労バッジ着用について「国労の組合員間の連帯感の昂揚、団結強化への士気の鼓舞という意味と作用を有するものと考えられるのであるから、それ自体職務の遂行に直接関係のない行動を就業時間中に行ったもので、たとえ職務の遂行に特段の支障を生じなかったとしても、労務の提供の態様においては、職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないという控訴人の社員としての職務専念義務に違反し、企業秩序を乱すものであるといわざるを得ない。‥‥本件組合バッジの着用は、本件就業規則三条一項、二〇条三項及び二三条に違反するものであった。したがって、控訴人が本件組合員らによるこれら本件就業規則違反をとがめて本件就業規則等にのっとり懲戒その他の不利益処分を行う権限を有することは、明らかである」としている点は、前記JR東海(新幹線支部)国労バッジ事件・東京高判平9・10・30と同趣旨といえる。
 しかしながら「使用者の行為が従業員の就業規則違反を理由としてされたもので、一見合理的かつ正当といい得るような面があるとしても、それが労働組合に対する団結権の否認ないし労働組合に対する嫌悪の意図を決定的な動機として行われたものと認められるときには、その使用者の行為は、これを全体的にみて,当該労働組合に対する支配介入に当たるものというべきである」と述べ、「敵意と嫌悪感を露骨に示す言動を繰り返し」バッジ取外しの指示・指導等は「執拗かつ臓烈なもので,平和的な説得の域を大きく逸脱するものであり」「就業規則の書き写しの作業などは,嫌がらせ」であり、「厳しい対決姿勢で臨んでいた国労を嫌悪し,組合から組合員を脱退させて,国労を弱体化し,ひいては‥‥排除しようとの意図の下にこれを決定的な動機として行われたもの」として不当労働行為(支配介入、労組法7条3号)にあたるとする。
具体的に何を支配介入の論拠としているかだが、国労に対する敵意と嫌悪感を露骨に示す言動として、松田常務取締役の会社に対する反対派(国労)を断固として排除する旨の発言。住田社長の東鉄労との一企業一組合が望ましいとして、国労を攻撃し、このような迷える子羊を救って東鉄労の仲間に迎え入れていただきたいとして、東鉄労の組合員らに対し、国労組合員の国労からの脱退、東鉄労への加入を促す働き掛けを期待する発言など多くの根拠が示されている。
 なるほど、国鉄の末期頃まで国労以外の組合員も組合バッジを付けていた。国鉄末期の八次に及ぶ職場規律の総点検でも組合バッジは問題にされていない。
 原判決東京地判平9・8・7判タ957号114頁 (次節の第3類型)によれば動労委員長時代の松崎東鉄労委員長が「駄目な労働組合には消滅してもらうしかなく、駄目な組織はイジメ抜く」旨述べていたことと関連して、機関紙による組合バッジ着用呼び掛けにもかかわらず、東鉄労の組合員が組合バッジを着用しないことについては、原告と東鉄労との間で事前の話し合いが行われ、東鉄労が労使協調関係を維持するとともにこれを誇示し、あるいは国労の対決路線を際立たせる意図の下に、組合バッジ不着用を決定したことが窺われるとの見方が示され、会社と多数組合が示し合わせて、少数組合を弱体化し追い詰める手段として組合バッジの取り締まりを行ったという図式になる。
もっともJR東日本神奈川事件とは第一次から第四次まであり、JR東日本(神奈川)国労バッチ出勤停止処分事件・東京地判平24・11・7労判1067号18頁は不当労働行為にあたらないとしているし、JR東日本(神奈川)国労バッチ減給処分等事件・東京高判平25・11・28別冊中央労働時報1455号38頁は上記に引用したような脈絡で支配介入は認めていないから、労組法7条3項の支配介入にあたるかは裁判体によって異なった判断をとっている理解するほかない。
 仮に、JR東日本(神奈川)第一次国労バッチ事件・東京高判平11・2・24に説得力があるとしても、引用した支配介入の根拠とされるものは、JR東日本の労務管理の特殊な事情であるから、一般論として使用者側に服装規制を委縮させるような性格のものではない。
またJR東日本神奈川国労バッチ減給処分等事件・東京高判平25・11・28別冊中央労働時報1455号38頁甲事件も前記第一次神奈川事件高裁判決と同類型ともいえる判例で、組合バッジ着用に対する不利益処分(労組法7条1号)の不当労働行為は認められないとする一方、平成14年3月以降の国労バッジ着用行為に対する極端な厳罰化は,国労バッジ着用を継続する国労内少数派が組合活動を行うことを嫌悪していた原告が,国労執行部の方針転換を認識するに至り、これを機に国労内少数派の勢力を減殺し,国労執行部の方針に加担したものと認められるので労組法7条3号の支配介入にあたるとするものである。
 2つの高裁判決(JR東日本(神奈川)第一次国労バッジ事件・東京高判平11・2・24判時1665号130頁と、JR東日本(神奈川)国労バッチ減給処分等事件・東京高判平25・11・28別冊中央労働時報1455号38頁)は決して労働組合に有利な判断を示したものではない。
とくに後者は直近の高裁判決として注目してよい。これは原判決東京地判平25・3・28別冊中央労働時報1443号17頁の判断を一部補正のうえ支持したものであるが、甲事件、乙事件とも労組法7条1号(不利益取扱い)にあたらないとする一方、甲事件について7条3号(支配介入)にあたり不当労働行為にあたるとするものである。

 東京高判平25・11・28は労組法7条1号の不当労働行為にあたらないとする説示は次のように述べている。

 「JR東日本が行う鉄道事業は、多くの利用者の日常生活、社会経済活動に不可欠な公共性の高い事業であり,日々、不特定多数の利用者の生命、身体の安全に直結する性質の事業であることから、時刻表に沿った運転業務を安全かつ確実に遂行することができるように、従業員の職務専念義務を規定して適正な職務遂行を求め、これを服装面から規制することによって就業時間中の組合活動を原則として禁止するなどの就業規則を定めたことは,十分に合理性が認められるというべきである。
そして,P1ら9名の国労バッジ着用行為は,職務専念義務について定める就業規則3条1項,社員の服装の整正について定める同20条3項,勤務時間中の組合活動を禁止する同23条にそれぞれ違反し,原則として,その正当性が否定されるものであると認められる。
補助参加人らは,〔1〕国労バッジ着用は労務提供義務と矛盾なく両立し,業務阻害性はなく,職務専念義務,服装整正義務に違反するとはいえない,〔2〕国労バッジ着用の組合活動としての必要性等を考慮すれば,国労バッジ着用行為には正当性があると主張するので,以下検討する。
 「本件就業規則3条1項に定める職務専念義務は,社員は,勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないという職務専念義務を負うものであることを明らかにしたものであると解するのが相当である。
そして,労働契約においては,労務の提供の態様において職務専念義務に違反しないことは労務契約の重要な要素となっているから,職務専念義務に違反することは企業秩序を乱すものであるというべきであり,その行為が服装の整正に反するものであれば,就業規則20条3項に違反するといわなければならないし,また,それが組合活動としてされた場合には,そのような勤務時間中の組合活動は就業規則23条に違反するものといわなければならない。
 P1ら9名の国労バッジ着用行為は,国労組合員の中でも国労バッジ着用を止める者が大多数となっていく中で、国労内少数派として着用を継続したものと認められるが、国労執行部ないしは原告に対し,国労内少数派としての意思を表明し,また国労内における多数派に対し、少数派との対立を意識させるものといえ、また同時に,国労組合員のうち、JR東日本による不利益処分を回避するために自らの意思で国労バッジの着用を取り止めた者に対して、不利益処分に屈せず、依然として国労執行部の上記方針に抗議し、反対の意思を表明するために国労バッジを着用している者がいることを示すとともに,任意に国労バッジの着用を断念した者を暗に非難し,精神的な負担をも感じさせる効果を併せ持つものであって,当該組合員が職務に精神的に集中することを妨げるおそれがあるものであるから,かかる行為は,勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い,職務にのみ従事しなければならないという従業員としての職務専念義務に違反し,また服装整正にも反するものとして,企業秩序を乱すものといわざるを得ない。
 補助参加人らは,国労バッジ着用に業務阻害性はないと主張するが,上記就業規則違反が成立するためには,現実に職務の遂行が阻害されるなどの具体的な実害の発生を必ずしも要件とするものではないと解するのが相当であり,補助参加人らの主張は採用することができない。‥‥‥‥ 以上により,補助参加人らによる国労バッジ着用行為は,就業規則3条1項,20条3項,23条に反し,実質的に企業秩序を乱すおそれのない事情も認めることができず,正当性を認めることができない。よって,本件各処分等について,労組法7条1号の不当労働行為は認められない。」
 なお、国労バッジ事件等でバッジ着用等が正当な行為とした第3類型のも少数あるが、いずれも地裁判例であり控訴審でその判断は否定されている。
 もっとも本荘保線区事件・ 秋田地判平2・12・14労判690号28頁か、羽越本線出戸駅信号場構内で作業を行っていた国労組合員が、上着を脱いだ状態で、バックルに国労マークの入ったベルトを着用していたところ、ベルトを取り外すよう命じられ、さらに就業規則の書き写し等を内容とする教育訓練を命じた事案であるが、ベルトの着用は、就業規則三条の職務専念義務に違反するものではないとしたうえで、本件教育訓練はしごきであって、正当な業務命令の裁量の範囲を明らかに逸脱した違法があるとし、二十万円の慰謝料を認めた。 控訴審仙台高判秋田支部平4・12・25労判690号13頁も原審を維持、上告審最二小判平8・2・23労判690号12頁も棄却している。筆者は疑問なしとしないが、組合マーク付きのバックルによる組合活動は珍しい例といえる。
このほか神戸陸運事件 神戸地判平9・9・30労判726号80頁は本件腕章着用乗務行為は、労務を誠実に遂行する義務に違反するものでなく、正当な組合活動の範囲内の行為とし、腕章着用等を理由に乗務を拒否(労務受領拒否)したことを不当労働行為と認め、バックペイ等を命じた地労委の救済命令を適法としている。
 一方、三井鉱山賃金カット事件・福岡地判昭46・3・15労民集22-2-268は「不当処分反対、三川通勤イヤ!」「抵抗なくして安全なし」等と書きつけた組合員のゼッケンの着用が、就業時間中の会社構内における情宣等を禁止する労働協約の条項に違反し、正当な組合活動とはいえないと判示した。沖縄全軍労事件・那覇地判昭51・4・21労民集27-2-228は在日米軍基地の従業員が赤布の鉢巻を着用して労務を提供することは、雇用契約上の債務の本旨に従った履行の提供とはいえないとして賃金カットを適法と認めた。控訴審福岡高那覇支判昭53・4・13労民集29-2-253も一審を支持している。
 都立南大沢学園養護学校事件・最一小判令元10・31TKCは、過去の処分歴として「平成17年12月1日,上記(カ)の不起立行為を契機に受講を命ぜられて同年7月21日に受講した服務事故再発防止研修において,日の丸,君が代強制反対と書かれたゼッケンを着用し,同研修の担当者から再三ゼッケンを取るよう言われたにもかかわらず,これを着用し続け,同研修の担当者に対し,ゼッケンを取るようにとの発言を撤回せよ等の発言を繰り返し,同担当者席に居座るなどして,同研修の進行を妨げたことが地公法33条及び35条に違反するとして,減給10分の1,1月の処分を受けた。(乙イ7)」
 (コ)平成20年3月31日,当時の所属校である東京都立南大沢学園養護学校の同月24日の卒業式において,国歌斉唱の際は定められた席で国旗に向かって起立し,国歌を斉唱することを命ずる旨の職務命令を受けていたのに,国歌斉唱の際,起立しなかったことが地公法32条及び33条に違反するとともに,平成19年10月3日,同月9日,同月11日,同月12日,同月15日,同月16日から同月19日までの間,同月22日,同月26日,同月30日,同年11月1日,同月7日,同月12日から同月15日までの間,同月20日,同年12月5日及び同月6日,同校での勤務中に,左胸及び背部に,「強制反対 日の丸 君が代」又は「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」等と印刷された服を着用し,このことについて,再三にわたり,校長及び同校副校長から注意指導を受け,同年10月18日及び19日には,校長から,その服を着用しないようにとの職務命令を受けていたのに,その後も上記のとおり着用を続けたことが,地公法32条,33条及び35条に違反するとして,停職6月の処分を受けた。」と記載されているが、本件の国歌を斉唱することを命ずる旨の職務命令を受けていたのに,国歌斉唱の際,起立しなかったこと等による停職六月という重い処分を適法としている。
 したがって先例に従うとリボン、プレート、ワッペン、バッジ、腕章、ゼッケン、鉢巻、スローガン等文言が記載されたトレーナーの着用は規制できる。組合グッズのベルトは規制できないということになる。
いずれにせよ、JR東海新幹線支部国労バッジ事件・東京高判平9・10・30判時1626号388頁以下多くの判例が労働組合の正当な行為とはみなしていないのだから、類似事案のワッペン着用が正当な行為とされることはありえないので管理職は自信をもって取り外し命令を行うべきである。

 

 

2024/12/21

12月20日全水道東水労2時間スト中止と19日から20日の経過

 19日10時ころ総括課長代理が、分会長に対し、今晩深夜はセキュリティ(警報設定)を解除するとスト待機の便宜供与、外形上建造物侵入罪構成要件該当行為を認める。
 管理意思を明示し犯罪を成立させるよう今後は求めていく。
 昼休み、連日きている明治安田生命に声をかけられ、うざい。保険の勧誘は、庁内管理規程で禁止事項なのに禁止されずに認めていることは引き続き要求していく。
ストが決行されるときは前日に組合役員が非組合員等に出勤入力するな、ストに協力し就業せよと説得でわさわさするものだが、それがなかったので、殺気だった雰囲気がなかったので、決行態勢ではなく越年スト延期なのかと思った。。
 廊下に50枚程度のビラが17時20分から26分ぐらいの間に若手職員を動員して5~6人でビラ貼り。庁舎管理責任者の庶務担当課長が22分頃その現場を通りがかったが、現認、取り外し命令などはもちろんしなかった。管理職が現認や抑止をしないことがわかっているのでやりたい放題なのである。
 パトロールと阻止、取り外し命令をするよう求めることとする。
墨田・荒川の執行態勢、渋谷の完全委託化、杉並・港営業所が4月から政策提携団体TWに業務移管する提案(ただし初年度5割は水道局の出向派遣とする)は、18日に回答があり、当局が譲歩しないとのことで、19日の朝の段階で、1年限りとされた目黒営業所の増員は解消しなかったこと、直営委託双方の安定的業務履行、執行態勢や、業務繁忙による過員の扱いなど引き続き組合と協議していくとのメモを交わしたことで、妥結することが決まっていたとのことだった。
 全水道東水労は下記のように、平成16年以降、6回同盟罷業があり過去3回は足立営業所、中野営業所、世田谷営業所の監理団体委託にからむストで今回は杉並・港と規模が大きく、平成20年から26年までは3年おきにスト決行した。前回は5年前前なので、経験則からするとやってもおかしくなかった。ストに突入しなかったのは、戦闘的な本部委員が退職して内部の突き上げがなかったのか、平成26年の中野営業所のように徹底抗戦、派遣拒否で、移転を実力で7月に遅らせることもしたが、そういう判断をとらなかった。今回自重したとしても直営の大きな営業所としては江東、大田、練馬などが残っているので、来年度以降ストをやる可能性が消えたわけではない。
平成16年以降の同盟罷業
 ★平成16年7月30日
1時間ストライキ
(業務手当完全防衛闘争) 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。
★平成16年10月1日
1時間ストライキ(業務手当完全防衛闘争) 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。
★平成20年3月19日 1時間スト 西部支所等は来客用駐車場で集会 同盟罷業 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場であったが、唐突にストライキがあった。西部支所と西部建設事務所はスト。
★平成22年12月10日 1時間スト
中野営業所 駐車場で集会
○○所長就業命令なし 同盟罷業私の記録では23年2月3日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告(1時間ストライキ)これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく痛くない。
★平成26年1月24日 1時間スト 中野営業所 駐車場で集会 ○○所長 就業命令なし。 同盟罷業 争議行為が続行しているにもかかわらず処分は26年2月5日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職18日2人、停職16日1人、停職7日1人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。
★令和元年12月20日 1時間スト 新宿営業所 ○○所長 事務室内ピケッティング容認 事務室内集会に就業命令等なし、外形上犯罪構成要件該当行為容認。 同盟罷業+積極的に業務遂行を妨害する職場占拠(シットダウンストライキ、)、加えて業務用機器の隠匿により業務遂行を不能にするきわめて悪質な態様。外形上威力妨害罪の構成要件該当行為も公然となされる。
(令和2年2月6日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職13日1人、停職10日1人、停職7日1人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分)。

 20日朝、組合旗の掲出がなかったのでスト中止を知った。8時18分から支部長の司会で、中央委員会報告が事務室内であり、19日の19時に中央委員会2時間スト中止、三六協定は20時台に締結した。
中央委員の報告は27分まで10分程度。ノウハウ技術継承のため支所付営業所を直営で残すという確認を反故にした。18日までいっさい解答なく不誠実な交渉だったがね局全体の課題と見合いで、スト突入を回避したとの説明、その他がなされた。あきる野地区の性能発注の包括委託については5年間検証するうんぬんといった譲歩もあったので、スト回避の理由を説明し、提案を押し返させなかったことはお詫びと言っていた。
 もしストがあった場合は、過去3回の本部中央闘争委員に限定した停職処分、支部長の訓告は甘すぎ抑止効果がないので、本部委員・統制委員・支部分会役員等のうち各事業場のスト指導実行行為者の最低1名は戒告とすべきこと、新宿営業所で5年前になされたシットダウンストライキのような、外形上、威力業務妨害罪の構成要件該当行為については量定の加重について、当局や知事に要望する予定があったが。それはなくなったが、争議行為対応で4類型の違法行為を是認しているあり方等については、引き続き改革を要求していくことになる。

 

2024/12/20

東京都水道局の争議行為対応等労務管理を是正を求める意見具申 その2

(承前)

令和61218

 

   東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ

 

 東京都水道局は、4類型の違法行為・外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎管理がなされており、抜本的是正を求める意見具申 その2

(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化したもの)

 

                           川西正彦

 

 東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。

 

八 パラダイムチェンジの手法について(正当でない組合活動は規制する).. 4

(一)企業秩序論にもとづく管理を徹底すべし. 5

(二)行政財産の目的外使用(地方自治法238条の4第7項)の判例法理について.. 7

(三)財産管理法制とは無関係な管理作用の発動としての庁舎管理権判例法理の活用.. 9

(Ⅴ)改革されなければならないテーマとその法的論拠.. 9

一 規律のある業務の運営態勢が確保されていない問題.. 9

(一)平成16年東岡職員部長通知を全面的に見直すべき. 9

(二)闘争指令下の昼休み集会、勤務時間内支所構内等の動員決起集会の中止・解散命令を強く要求する。  10

1 国と同様、ストライキを配置した時点で組合への便宜供与は禁止すべき... 10

2 「昼休み集会」の内容... 12

◆ 実況見分記録(「昼休み集会」平成23年12月9日(金)中野営業所)... 13

3 「昼休み集会」の違法性は明白... 13

🔶全水道東水労の「昼休み集会」等と類似した事例の司法の判断... 14

◎スト当日の集会の挨拶、演説等が懲戒処分理由とされたケース.. 14

闘争指令下の決起集会の演説、鯨波の音頭とり等が懲戒処分の理由とされたケース.. 16

4 他の職員の職務専念妨害抑制義務等の規則の明文化は絶対必要... 18

5 勤務時間内3割動員集会と2割動員集会は解散・退去命令し、集会の外来者は建造物侵入罪が成立するようにせよ... 18

6「通常随伴行為不罰論」に沿った東京都の労務管理は違法行為を助長... 19

7 休憩時間の集会について誤った法解釈をしている東京都の管理職... 21

(三) 三六協定破棄闘争の対応は法の解釈に疑問が多く見直す必要がある. 23

(四) 組合役員のスト待機、セキュリティ破りの容認、保険の勧誘の要認.. 24

二 全水道東水労の争議行為対応について.. 24

(一)   ストライキ時就業命令をやらない組織ぐるみの方針を是正すべし. 24

1 国の省庁はスト当日の就業命令を重視するが東京都は一切やらない... 24

🔶就業命令をしている官公庁の例... 25

運輸省 全運輸近畿陸運支部事件・最二小判昭60.11.8(一審大阪地判昭54.8.30民集39ー7ー1408)   25

厚生省 全日本国立医療労組事件・最三小判平14.11.26労判840(一審東京地判平11.4.15判時1724  25

大蔵省 神戸税関事件・最三小判昭52.12.20(一審神戸地判昭44.9.24民集317-1164)... 26

北九州市清掃事業局小倉西清掃事務所事件・最二小判昭63.12.9民集42-10-880(一審福岡地判昭51.7.22民集42-10-940). 26

2 最大の悪弊は東京都がストライキに対抗して操業行為をしないこと(組合に従い労務指揮権を放棄する)    26

3 労務指揮権を組合に奪われた平成26年の中野営業所監理団体業務移転阻止闘争... 28

(1)当局が争議行為と絶対に認定しない拠点だけの争議行為... 28

(2)本庁の方針は各事業所で捻じ曲げられるのはしばしばある... 28

(二)違法争議行為の内部統制権は否定されているのに統制権を事実上認めている重大問題.. 28

(三)組合と共謀し、非組合員の就労を阻止しストを防衛する慣例を是正すべし. 30

(四)最高裁が否定しているプロレイバー学説(組合の主張)に従って懲戒処分を本部中央闘争委員のごく少数に限定している在り方を是正すべき. 31

2 全逓勝利の都城郵便局判決の組合側の主張がいまだにまかりとおっている不思議... 31

本意見書の核心である。... 31

2 組合側の主張と根拠となる学説... 32

(1)籾井常喜1962「使用者による争議責任追及の限界」季刊労働法45... 33

(2)片岡曻「懲戒権の根拠と限界」『菊池勇夫教授六十年祝賀記念 労働法と経済法の理論』有斐閣1960所収469頁以下... 33

(3)片岡曻1969「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法73号14... 33

3 プロレイバー学説の批判と同学説を否認する下級審判例と国の見解... 33

(1)菅野和夫1971「違法争議行為における団体責任と個人責任(一)ー損害賠償責任の帰属の問題として」『法学協会雑誌』88巻2... 33

(2)田辺公二1965『労働紛争と裁判』弘文堂... 34

3)三井化学染料事件福岡地判昭32.7.20労民集84503... 34

(4)日本専売公社山形工場事件.昭53.3.31仙台高判民集35-3-565. 34

(5)国(運輸省大阪陸運局)の見解... 34

4 最高裁判例は、争議行為時に職務命令はできる。組織の義務として指令に従っている個別組合員も懲戒処分できる。... 35

5 1時間半以下の同盟罷業の処分例との対比。水道局の処分は妥当か。... 36

(五)外形上犯罪構成要件該当行為、積極的な業務妨害が行われている重大問題.. 39

(六)「業務妨害権」を認めている東京都は異常.. 41

2 例外二判例は先例たりえないその理由... 42

(1)三友炭鉱事件最三小判昭31.12.11. 42

(2)札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23. 42

(3)札幌市労連事件の今日的観点での評価(補足)... 45

①藤木英雄教授の可罰的違法性論の悪影響... 45

②先例としての価値は認められない... 45

A前提となっている刑事免責は判例変更された... 45

B 久留米駅事件方式により可罰的違法性論は事実上排除される.. 45

C 名古屋中郵事件方式により諸般の事情は違法性を肯定する方向で考慮される.. 46

(七)当局の反論の想定と補足.. 46

1 反論としては当局に争議行為対応に広範な裁量権があり懲戒処分前提の警告.就業命令しなくてよい。取り締まらないこと自体違法ではないと言うはず... 46

2 ストライキ時の非組合員の事故欠勤強要の不当性... 47

3 三公社五現業は18条解雇か服務規律違反として懲戒処分を行うのが国の基本方針... 48

(Ⅵ) 各 論.. 50

一 非組合員の就労する権利を侵害する管理職の行為について.. 50

🔶英米におけるストに参加しないで就労する権利について(補遺). 51

二 「服務規律確保の周知(服務の示達)」の訓示は廃止して「警告及び職務命令書」に切りかえるべき   53

(一)「服務の示達」というインチキな慣行.. 54

(二)「服務の示達」の実例.. 55

(三)「職員の皆さんへ」の掲示は形骸化.. 55

(四)厚生省の争議行為対応との比較.. 56

(五) 東京都の「服務の示達」で「違法行為」とは絶対言わない理由.. 56

(六)新しい警告書の提案.. 57

三 三六協定一方的破棄闘争を適法と認め、組合のいいなりになって労務指揮権を放棄している在り方の是正   58

(一)三六協定破棄(超勤拒否)闘争とは.. 58

(二)三六協定破棄闘争の問題点.. 59

(三)当局は適法としているが争議行為である疑いが非常に濃い.. 61

1 争議行為であると言う説... 62

(1)吾妻光俊... 62

(2)石井照久... 63

(3)三橋正... 63

(4)大野雄一郎... 63

5)林迪広... 63

(6)中村博(労働省大臣官房秘書課長、中労委次長、人事院公平局長)... 63

2  労働者側の正当な権利行使とする説... 63

(8)沼田稲次郎... 63

3 三六協定締結拒否が争議行為に当たるかが争点の判例... 63

(1)東京都水道局事件・東京高判昭43.4.26労民集19-2-623. 63

(2)北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-73. 64

A 争議行為の概略... 64

B 二審福岡高判昭55.12.22労民31 51033... 65

C 上告審.最一小判昭63.12.8民集42-10-73. 66

D 岩淵正紀判解の要所... 66

(四)労働基準法所定の労働時間の制限を超える公務の執行の正当性に関する判例.. 67

1     仙台鉄道管理局事件.最二小判昭48.5.25刑集27-5-1115. 67

2     動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)    68

3 第二名古屋中郵事件・最二小判昭53.3.3民集32-2-97. 69

4 労働基準法上違法でも就労は刑法上保護される意義... 69

(五)ストライキ決行時の非組合員を締め出す目的で三六協定破棄している問題点.. 71

(六)ストライキ決行時の非組合員を締め出す目的で三六協定破棄の対抗策.. 71

(七)結論.. 72

 

 

 八 パラダイムチェンジの手法について(正当でない組合活動は規制する)

 労務管理の基本は、労組法71号で保護される正当な組合活動か否かの見極めになる。何が正当な行為かは法律に書かれておらず、労働委員会の命令、裁判例、学説で判断していくことになるが、ビラ貼り、ビラ配り、組合旗掲出、無許可集会、集会利用拒否、リボン闘争、組合バッジ、腕章着用、ピケッティング、争議行為など組合活動類型の大多数は、未解決の分野があるにせよ、判例の蓄積があり、今日では、正当でない行為、あるいは微妙かはおよそ判断できるものといえる。

 ところが東京都は、概ね昭和50年代以降最高裁により明示的に否定されたプロレイバー学説に依拠し、不当労働行為に絶対ならない違法行為や風紀秩序を乱す行為を中止命令せず容認しておりノーマルでない。

 正当でない組合活動を野放図に容認し労務指揮権や施設管理権を組合に奪われ、管理意思が示されない実態は、規律のある能率的で適正な職場環境でなく、ガバナンス・コンプライアンス上是正してしかるべき。

 平時の組合会議等での会議室の使用許可は業務に影響がない限り最小限の使用は労務管理に厳しい旧郵政省でも許可していることであり、本意見書は平成24年大阪市労使関係条例12条のような徹底した便宜供与を認めない政策を求めてはいない。

 しかし業務に影響を及ぼすおそれ、他の職員の職務専念妨害となるおそれ、違法行為の慫慂の想定できる集会、違法行為、外形上犯罪構成要件該当行為は、中止・解散・退去命令をしてしかるべきなのである。労務指揮権、施設管理権を放棄して、労務管理を組合によって業務管理される姿は東京都では管理職の処世術として認められているが、世間一般の常識では正常な業務運営と認識されない。

 郵政省は昭和36年に『新しい管理者』というテキストで現場管理職に対し訓練を行ったうえ、全逓の非合法な組合活動に対して徹底した労務管理を行ってきた。正常な業務運営の確保を管理職の任務の第一義として、荒れる職場には機動的に特別考査、監視するチーム(通称トラック部隊)を派遣し労務管理業務支援を行っていたし、国鉄の場合は、スト対策本部に非組合員等召集するなどし、マスピケに対しては代務となる職員の業務命令、鉄道公安員や警察官も動員して対策している。東京都においては初めから降伏して、組合に労務指揮権や施設管理権(庁舎管理権)に掣肘されてよいことになっており、異常なのである。

 たぶん正常な業務運営の確保を管理職の任務の第一義という郵政省型の労務管理には東京都の管理職は強く反対するむだろう。組合を刺激せず、言い分を聴いて屈従するのが、管理職のならいであるから。従って、政治的に解決していくしかないが訓練期間が必要とあれば猶予することにやぶさかではない。

 

(一)企業秩序論にもとづく管理を徹底

 組合に労務指揮権、施設管理権を奪取、掣肘される在り方をパラダイムチェンジするために私は、JRグループのように、最高裁が昭和50年代に案出した企業秩序論の判例法理、企業秩序維持権にもとづく労務管理を徹底することを提案するものである。なお、JRグループは、就業規則に加えて労働協約でも無許可の業務以外の施設構内利用を禁止しているがそこまでやれば完璧である(●JR東海(懲戒解雇)事件・大阪地判平12.3.労判790)。

 

 企業秩序論とは昭和52年以降最高裁が案出した判例法理で、企業秩序の維持確保のために、企業は従業員に対し(1)規則制定権(2)業務命令権(3)企業秩序回復指示・命令権(4)懲戒権等を有するとし、労働者は、労働契約を締結して企業に雇用されることにより、企業に対し、労務提供義務を負うとともに、これに付随して、企業秩序遵守義務を負うとするものである。(◯富士重工業原水禁運動調査事件・最三小昭52.12.13民集31-7-103)

 また労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されていても、雇用契約の趣旨に従って労務を提供するために必要な範囲において、 企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまる。一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができる(●国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判・昭54.10.30民集33-6-676)。但し最高裁は、使用者が労働者に懲戒を行うためには、あくまでも就業規則の記載(国労札幌地本事件最三小判昭54.10.30)とその周知(フジ興産事件・最二小判15.10.10労判861号5頁)を必要としているので、水道局の就業規則は組合に配慮してスカスカで無許可演説.集会を禁止すすべしるなど明文規定がないところが問題なのではある。

 もっとも地方公務員法は32条で、地方公共団体の機関の定める規程に従う義務があり、懲戒処分の適条となるから、企業秩序論の判旨と大きな隔たりはない。

 ところで国鉄の判例が一般私企業の先例になっているのは、最高裁が国鉄の懲戒処分の法的性質を私法上の行為と判示(国鉄中国支社事件.最一小判昭45.2.28民集28166)し、電電公社においても労働関係を私法上の行為と判示したためである(目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13民集317974)。

  したがって、企業秩序論は原則として官公庁の労務指揮権、庁舎管理権とは一線を画しているとはいえる。

 一方、現業国家公務員について、郵政省の郵便局職員につき、長野郵政局長事件・最二小判昭49.7.19民集285897 が、勤務関係は公法関係と判示している。

 地方公営企業については、名古屋市水道局事件・最一小判昭56.6.4労判36757が勤務関係を公法関係と判示しており、懲戒処分は行政処分であって、私法上の行為とはされていないので、三公社の先例が直ちに適用されるのかという疑問が生じるところではある。

  しかしながら●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.30判時1102140(郵便局局舎内の無許可組合集会に対する解散の通告、監視等を不当労働行為に当たらないと判示)が国労札幌地本事件・最三小判昭54.10.30を引用していることから、企業秩序論は勤務関係が公法関係である職場でも準拠できるのである。

 ちなみに最高裁が維持した原判決●東京高判昭55.4.30労民312544は「企業主体が国のような行政主体である場合と、また私人である場合とで異なるものではない」と述べ企業秩序論が汎用できることを説示している。

  加えて、近年の◯●大阪市組合事務所使用不許可処分事件・大阪高判平27.6.2判時228228が、労働組合等が当然に行政財産を組合事務所として利用する権利を保障されてはいないと説示し、これは、企業の物的施設を行政財産に言い換えただけで、その先例として、●国労札幌地本事件・最三小判昭54.10.30民集336676、●済生会中央病院事件・最二小判平元.1.12.11民集43-12-1786、●オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8判時1546130を参照指示していることから、私企業判例に準拠した判断をとることはできる。

 企業秩序論が優れているといえるのは法益権衡論(労働基本権と使用者の所有権・財産権)の調整的アプローチを否定していることである。国労札幌地本ビラ貼り判決は、「労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であって定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないもの」であり許諾を得ない施設利用は「使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容され」ないとする。

 これに対して「特段の事情」に法益権衡論を持ち込んで風穴を開けようという試みがあったが、最高裁は排斥している。

 組合集会の従業員食堂無許可利用事案で「特段の事情」について、当該施設を利用する目的(とくにその必要性)等を総合考慮して判断する法益権衡論を主張した●池上通信機事件・最三小判昭63.7.19判時1293の伊藤正巳補足意見(結果的同意意見)がそうだが、伊藤補足意見は少数意見にすぎず、多数意見はこの見解を退けている。

 また、最高裁は●日本チバガイギー事件・最小一判平元.1.19労働判例533177でも工場は勤務時間外だか事務棟は勤務時間中での施設内集会不許可事案で中労委は、上告趣意において「権利の濫用」を広く解釈し「労働者の団結権、団体行動権保障の趣旨からする施設利用の組合活動の必要性と、その施設利用により使用者が蒙る支障の程度との比較衡量により、両者の権利の調和を図ることが要請される。そして、使用者の施設管理権行使が右の調和を破るときには、権利の濫用があるといわなければならない」と述べ、「業務上ないし施設管理上の支障に藉口」するもので不当労働行為にあたるとしたが、この中労委の見解を退けている。

 判例法理を変質させようとする意図のある、当該施設を利用する目的等を総合考慮して判断する法益権衡論を再度、明確に退けたものであって、指導判例の趣旨に沿った純法理的な判断をとったものとして評価できる。

 

 🔶施設構内の無許可組合集会が正当な組合活動とされることは、国労札幌地本判決を引用した以下5つの最高裁判例が否定している以上ありえない。中止・解散命令・監視・警告書交付は適法なので躊躇する理由は全くないのである。

(●全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20、●池上通信機事件・最三小判昭63.7.19、●日本チバガイギー事件・最小一判平元.1.19、●済生会中央病院事件・最二小判平元.1.29民集43121786頁、●オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8判時1546130

 水道局の「昼休み集会」「支所・拠点2割動員決起集会」などは、「あおり」そのものであるから文句なしに拒否、中止命令ができると言ってよい。

 

 🔶プロレイバー学説の受忍義務説は明示的に否定されているから、組合に主導権をとられることは絶対ない。

 

 🔶私企業では懲戒処分とするには就業規則を具備していること(無許可組合活動.集会の禁止)+その周知+「実質的に秩序風紀を乱すおそれ」目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13民集317974、という抽象的危険説にもとづく説明ができれば不当労働行為とされることはまずない。他の職員の職務の集中を妨げるおそれ、作業能率を低下させるおそれ、違法行為の慫慂がなされるおそれで十分である。

 つまり目黒電報電話局判決の「形式的に右規定に違反するようにみえる場合であっても、実質的に局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときには、右規定の違反になるとはいえないと解する」と言う判断枠組があるが、そのクリアは容易なことである。

 目黒電報電話局事件は政治活動の事案だが、組合活動でも引用されており先例として重要である。水道局の違法行為慫慂の事務室内「昼休み集会」にもそのままあてはまる。

「他の職員の注意力を散漫にし、あるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、よって他の職員がその注意力を職務に集中することを妨げるおそれのある」「局所内において演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、休憩時間中であっても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあって、その内容いかんによっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがある」

 このような理屈が示されれば、文句なしに勤務時間外であれ休憩時間でも組合活動は取り締まることができる。

 

 🔶例外的に、過度に重い不利益処分の事例で不当労働行為とする判例もあるが(◯光仁会病院事件・東京高裁平21.8.19停職三月.病院敷地内立入禁止という懲戒処分は、懲戒事由の本件組合旗設置に比して著しく過重であって相当性を欠く◯金融経済新聞社事件・東京地判平15.5.19は昼休みの無許可集会だけで次長心得から5段階降格し月額二万八千円の役付手当剥奪処分は過重な処分)、また〇総合花巻病院事件・最一小判昭60. 5.2は、従来許可していた組合の施設利用拒否事案で、院長が組合三役に対し上部団体である医労協への加盟を断念しこれを阻止するよう働きかけた経緯から、上部団体加入を嫌悪、牽制、阻止することが理由として支配介入とされたもので、あくまでも企業秩序風紀の維持を理由とするもので、過重な量定でなれれば懲戒処分が無効とされることはない。

 但し私は、中止・解散命令は必要だが、たんに無許可集会強行それだけでは懲戒処分とせず、必ず現認・監視・記録しておいて、実際ストライキが決行された場合に懲戒処分とする安全運転の方針を提案する。

 

 無許可ビラ貼りは争議前であれ、争議中であれ正当な行為とされることはない[河上和雄1980企業の施設管理権と組合活動--昭和541030日最高裁第三小法廷判決について(最近の判例から)]法律のひろば331]。ビラ貼りを正当な組合活動とした下級審判例は大阪高判昭58.3.30以降見当たらず、1980年代以降、国労札幌地本判列の判断枠組に従って懲戒処分は是認され、撤去費用の損害賠償請求、ビラ貼り禁止の仮処分申請の認容が通例となっており。完全に決着した事柄といえる。

 ただし、懲戒処分の要件は形式的ではなく実質的な規則違反という目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13の判断枠組みがある、「形式的にこれに違反するようにみえる場合でも、ビラの配布が局所内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情が認められるときは、右規定の違反になるとはいえないと解するのを相当とする」という部分を引用して、休憩時間もしくは就業時間外におけるビラ配布を理由とする懲戒処分を無効とした判例が少なからずある(〇明治乳業福岡工場事件・最高裁第三小法廷昭和58.11.1労判417は日本共産党法定ビラ等の配布事案だが、政治活動禁止の就業規則がなかったため。〇倉田学園事件・最三最高裁第三小法廷平成612.20民集4881496は就業時間前に二つ折りにして机上においたケースで規律が乱すおそれがないと判断された。

 つまり無許可ビラ貼りの取締を司法が否定することはないが、無許可ビラ配りは取締を支持する判例と、態様によっては形式的な規則違反であった場合に懲戒処分を無効とする判例があって、ケースバイケースともいえる。先例に即した判断が求められる事案である。しかし、水道局の闘争期間中の「朝ビラ情宣」は、3割動員集会やストの日程、闘争課題を掲げてストで戦うぞとの趣旨であり、地公労法111項の「そそのかし」「あおり」や争議行為目的の活動であるうえ、組合員が左右に並び半強制的に受け取らせる態様など、規律に反し施設管理権の観点からも、取り締まったとしても不当労働行為にはならないはず。

 

(二)行政財産の目的外使用(地方自治法238条の47項)の判例法理について

 

 これとは別に行政財産の目的外使用(地方自治法238条の47項)の判例法理により、組合活動の規制も可能とはいえる。

 指導判例である〇呉市立二河中学校事件・最三小判平18.2.7民集602401(教研集会使用不許可を違法とする)の判旨が、学校施設以外でも多く引用されていて、判断枠組として定着しているが、受忍義務説を明示的に否定しているので有益だからである[i]

 広島県教組が広島県教研集会会場として呉市立二河中学校の施設の使用を申し出、校長いったんは口頭で使用を許可する意思を表示した後に、市教委が、過去の右翼団体の妨害行動を例に挙げて使用させない方向に指導し、不許可処分をするに至ったものだが、組合側が不当に使用を拒否されたとして損害賠償を求めた事案で、一審、二審とも県教組が勝訴、上告審は不許可処分を裁量権の濫用と認定し上告を棄却したというものだが、最高裁が初めて、学校施設の目的外使用の諾否の判断の性質、司法審査のありかたを明らかにした。

 同判決は裁量処分の権利濫用の有無について、従来の重大な事実誤認や社会通念からの顕著な逸脱という社会通念審査(最小限審査)に加えて、「判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くことがないかを検討」する判断過程合理性審査[本多滝夫2007]を採用し、審査密度を濃くした審査方法を示したことで特徴的といえる。

 しかも同判決の判断過程審査方式は、学校施設のみならず、公立の福祉施設や、市庁舎の職員組合に対する便宜供与にいたるまで判断枠組として引用されているので影響力が大きい。

 というのも学校施設は地方自治法238条の47(4)にいう行政財産であり、したがって、公立学校施設をその設置目的である学校教育の目的に使用する場合には、同法244条の規律に服することになるが、これを設置目的外に使用するためには、同法238条の47項(旧4項)に基づく許可が必要であるが、これは、これは地方自治体及び地方公営企業の庁舎も同じことだからである。

 本件の決め手は「教育研究集会は、被上告人の労働運動としての側面も強く有するもの‥‥教員らによる自主的研修としての側面をも有しているところ、その側面に関する限りは、自主的で自律的な研修を奨励する教育公務員特例法19条、20[平成15年改正で21条・22]の趣旨にかなうものであり‥‥使用目的が相当なものである」という判断をとったことにあり、目的内使用に近い認識といえる。

 この判例により、教研集会の学校施設利用拒否は不可能になった。ただし組合活動で教研集会以外、便宜供与拒否を違法としたのは、呉市立学校事件以前の〇福岡県教職員組合鞍手直方支部事件・福岡高判平16.1.20判例タイムズ1159146頁(組合加入勧誘のオルグ活動を目的とした分会会議の施設利用の拒否)ぐらいしかないので、司法が組合活動に好意的になったというわけではない。

 

 以下のとおり、呉中学校判決以前のものだが、組合の闘争や争議行為に絡む施設利用の拒否適法とされているほか、平成24年制定大阪市労使関係に関する条例第12条「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」を適法として市役所や公立学校の施設の利用不許可を適法とする判例が数例ある。大阪市のような条例が制定された場合と、争議行為に絡む施設利用については不許可が違法とされることはありえないと考える。

  • 鹿児島県立大島高校等6カ所の学校施設目的外使用不許可事件・福岡高裁宮崎支部判昭60.3.29判タ574(鹿高教組主催ミュージカル公演不許可-適法)

   広島県高教組「人事委員会報告説明会」県立高校体育館使用拒否事件・広島地判平14.3.28裁判所ウェブサイト (広島県高教組が毎年  開催している「人事委員会の報告」集会を県立高校で開催しようとして、同校体育館の使用を申し入れが拒否された事案。

  当該集会では、組合員にストライキの実施の賛否を問う批准投票が実施されることになっており、集会の内容に一部、争議行為を禁止する公務員法371項の規定に抵触するものが存在することが明らかで、施設管理上、学校教育上の支障に該当するとして、不許可行為は適法であるとしたが、不許可を文書で通知する義務に違反した点を違法とし、教育長の責任を認め10万円の賠償を命令した。

  • 広島県高教組定期総会学校施設使用不許可事件・広島地判平17.2.9-裁判所ウェブサイト(不許可-適法)

○●大阪市労連、市職、市従、学給労等組合事務所使用不許可事件・大阪高判27.6.2判時222828(一審判断を一部変更。平成24年の目的外使用申請不許可では、前年度の許可満了の3ヶ月前に、何らの前触れもなく不許可の方針を表明した処分として違法とするが、平成24年大阪市労使関係に関する条例の規定及び行政事務スペースの欠如を理由としてなされた平成25年、26年の不許可処分を適法とする。同条例12条を労働組合等に対する便宜供与はほぼ例外なく行われないものと解したうえ、条例制定には十分に理由があり、支配介入には当たらず、憲法28条にも違反しない。又労組法上は、最小限の広さの事務所の供与を許容しているが使用者の義務ではなく奨励するものでもないとし、被控訴人らは、本件事務室部分を権原なく占有しているというべきであって明渡請求は理由がある、この間の相当使用料額は1か月176830円となることが認められ、明渡済みまでの使用料相当損害金を支払う義務を負うと判示した。)

○● 大阪市労組・大阪市労働組合総連合組合事務所使用不許可事件.大阪高判27.6.26判時227832(前掲判例と同じ)

  • 枚方市組合事務所使用料徴収処分取消請求事件・大阪地判平28.3.28掲載TKC

(職員会館における組合事務所の使用料の徴収を適法とする。「公有財産の使用に関する受益者負担の要請が強まっており‥‥市議会等において、組合事務所の無償使用についての質疑がなされ、住民監査請求もなされるなど‥‥関心が高まり、大阪府下においても組合事務所の使用料を徴収する自治体が増加しつつあったことなどといった‥‥状況下において、市長が、原告による組合事務所の‥‥使用料の減免申請に対し、組合事務所が収益を目的としない使用に当たるものの、「市長が特に必要と認めるもの」に当たらないとした判断は‥‥相応の合理性が認められる。」)

  • 大阪市教職員組合分会会議使用不許可事件・大阪地判平29.12.20判タ1452131(教職員組合が、延べ44回にわたり学校施設の目的外使用許可を申請したところ、各校長は、大阪市労使関係に関する条例第12条「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」にもとづき、同申請をいずれも不許可処分とした事案で、適法とした。(●国労札幌地本事件・最三小判昭54.10.30、●済生会中央病院事件・最二小判平元.1.12.11、オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8を引用する。)

 

 公用財産としての水道局の庁舎は行政財産であり、公有財産であり、企業用資産でもある。

 地方公営企業は、地方公共団体と別個の独立した法人格を有さないので、企業用資産も地方公共団体に帰属し、地方自治法上の行政財産として規制を受けるのは、企業用資産の範疇も同じことであるから、地方自治法238条の47項(旧4項)の目的外使用「行政財産はその用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」の判例法も適用される。

 この条項の趣旨については●大阪市立人権センター事件・大阪地判平20.3.27判タ1300の説示がわかりやすいので引用する。

 平成12年の人権文化センター開設以来、原告部落解放同盟大阪府連合会各支部は、大阪市長(磯村隆文市長)の行政財産目的外使用許可により大阪市立生江人権文化センター、同住吉人権文化センター、同平野人権文化センター、同西成人権文化センター内に支部事務所を設置し、平成19331日まで目的外使用許可の更新(継続)がされていたが、大阪市(関淳一市長)は、各人権文化センター(現在は他の公共施設と統合されている)の平成1941日以降の行政財産使用許可申請を不許可処分とした、原告が違法無効であるとして取消請求を行ったものであるが、大阪地裁は裁量権の逸脱濫用はないとして、請求を棄却した。

 「地方自治法2 3 8条の41項は、行政財産は、原則として、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し,出資の目的とし、若しくは信託し又はこれに私権を設定することができないとし、同条6項は、これに違反する行為を無効とする。その一方、同条7項は、行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるとし、行政財産の目的外使用許可の制度を定めている。

 目的外使用許可の制度が定められた趣旨は、行政財産が、本来、公益を増進するという行政目的を達成するために用いられるべきものであることから、その使用による行政目的の達成を確保するとともに、他方で、行政財産によっては、本来の用途又は目的外に使用させても、その用途又は目的を妨げないばかりか、場合によっては、行政財産自体の効用を高めることもあることから、当該目的以外の使用に供しても本来の使用目的が阻害されない例外的な場合に、当該行政財産の効率的な利用を可能にしようとした点にあると解される。

 このような目的外使用許可の制度が定められた趣旨に加えて、行政財産が、本来、行政目的達成のために使用されるものであり、地方自治法も目的外使用許可について具体的な要件を定めることなく「その使用を許可することができる。」(同法238条の47項)とし、同条9項は、行政財産の目的外使用許可をした場合において、公用若しくは公共用に供 するため必要を生じたときは、これを取り消すことができるとしていることからすれば、普通地方公共団体の長は、当該行政財産につき目的外使用許可の申請があったとしても、これを許可すべき義務を負うものではなく、当該行政財産の性質、これにより達成しようとする行政目的の内容、公用又は公共用に供する必要の生ずる見込み、当該許可をした場合に予想される支障の程度及び当該許可の相手方が享受する利益の性質など諸般の事情を総合的に考慮してその可否を判断することが予定されていると解すべきである。そして,これを判断するに当たり、普通地方公共団体の長には要件及び効果の双方において広い裁量があるというべきであり、目的外使用の不許可処分が違法となるのは、普通地方公共団体の長がかかる裁量権を逸脱濫用した場合に限られ、裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となると解すべきである。原告らは、本件各事務室部分を原告らの支部事務所として利用することが本件各センターの設置目的に適合していることから、本件各不許可処分の処分庁の裁量は地方自治法 2442項(普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない)の規定に準じて収縮され,正当な理由のない限り行政財産の使用の不許可処分をすることはできないと主張する。しかし‥‥同条項の趣旨は,住民の利用が予定された施設について、住民の自由な利用を保障した点にあると解されるのであり、このような施設ではない本件各事務室部分の利用には妥当しない」と説示している。

 水道局事業所の各庁舎は水道事業という目的に供された財産であるから、2442項の一般住民の利用が予定されている施設ではない。住民の利用に開かれた施設ではない。むろん、事業所の所轄業務に所用のある給水契約者、水道関連業者等が多人数開庁時間に出入りしており、長椅子などもおかれているが、それは所轄業務に所用のある方々の一時滞留のためであって、所轄業務と無関係な滞留や、面会の強要など秩序を乱す行為は当然庁舎管理権で規制できる。組合活動は全て目的外使用となるが、闘争指令下の集会は、違法行為を慫慂する内容であり、これを認めることは違法行為を助長し、業務運営に支障をきたす目的であるので、不許可としても、違法とされることも不当労働行為とされることはありえないということになるから、活用してよいと考える。また、他の事業所に勤務する組合員が支所決起集会の動員指令し令に参集する場合も、業務命令その他業務上の参集、要件で訪問するものではないうえ、違法行為目的のものであるから、集会開催自体拒否できるはずだし、退去命令すべきである。

 なお東京都水道局の場合、地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用は、東京都公有財産規則ではなく、東京都水道局固有資産規程で運用がなされている

 具体的には、全水道東水労の分会が電気メータをつけて電気代を支払うことを条件として、無償でコーヒー、清涼飲料等の自動販売機の設置を許可している。使用許可自体は問題がないと思うが、組合に収益をもたらすのであれば、無償の便宜供与は議論があってもよいが、本意見書の中心的課題ではないので、さしあたり是認することとしたい。

 一般論として行政財産の目的外使用は売店や記者クラブ、長期にわたって庁舎を占有する形態か、ロケーションボックスや災害時の帰宅困難者滞在施設といった事案が対象のようで、都や水道局の庁舎管理規程は、地方自治法の財産管理上の規定ではなく目的外使用についての言及がないことから、当局が全面的に許容している施設構内駐車場等での決起集会や執務室内を占拠する集会、庁舎内デモ行進、示威行為、スト待機者のセキュリティ破りの深夜立ち入り行為など本意見書が問題とする組合活動の多くは地方自治法238条の47項とは無関係な庁舎管理権の問題として取り上げてよいように思える。ただ、行政財産の目的外使用の不許可という形で、組合活動の規制もできるので活用の余地はあると申し上げた。

 

(三)財産管理法制とは無関係な管理作用の発動としての庁舎管理権判例法理の活用

 

 庁舎管理権とは国有財産法や地方自治法の財産管理法制とイコールなのではない。無関係な管理作用の発動も当然ありうる。

  • 墨田民商事件・東京高判昭52.5.30判時882は、国有財産管理法制を全く問題とせず、端的に向島税務署の庁舎管理者が秩序維持のために集団陳情者に対し人数を規制したり、立ち入り自体を阻止することが適法とされている。水道局当局が許容しているオルグやピケッティングなど当該事業所の職員ではない組合役員の建造物侵入も同じことである。

 また、最高裁は郵便局の組合掲示板設置は、国有財産法18条の行政財産の目的外使用許可によるものではない。組合に壁面の使用権、利用権を付与したものではないと判示している(昭和郵便局事件・最二小判昭57.10.7民集36102091)ことから、掲示板の撤去も財産管理法制と無関係の管理作用の発動である。●全国税東京足立分会事件・最二小判昭59.1.27労判425(争議行為をそそのかす掲示物の自力撤去)も同様の例。

 昭和48年を潮目として、昭和50年代以降の判例は総じて組合に厳しくなっており、管理者側が有利なので多いに活用すべきだが、にもかかわらず、東京都の管理職は組合のいいなりになって、労務指揮権や庁舎管理権を掣肘、奪取されて当然というばかげたことをやっているので、抜本的な改革が必要とかんがえる。

 

 

 

(Ⅴ)改革されなければならないテーマとその法的論拠

 

 問題点を大きく二つに分け、一はいわゆる庁舎の目的外使用等、施設管理権と闘争体制で大衆行動とされる組合活動、超過勤務拒否闘争の問題で、二は同盟罷業(ストライキ本番)そのものの問題

 規律のある業務の運営態勢が確保されていない問題

(一)平成16年東岡職員部長通知を全面的に見直すべき 

(要旨)

 「平成163月東岡職員部長通知」は勤務時間内の頭上報告と所属長要請行動につき職務専念義務違反に当たる場合のみ賃金カットの警告対象とするが、それ以外の違法行為、秩序を乱す行為、他の職員の業務を阻害する、職務専念を妨げる行為、正当な行為でない組合活動は放置している。欠陥が大きいので撤回し、企業秩序論の判例法理にもとづき勤務時間内外いかんを問わず、無許可演説行為、無許可集会、秩序を乱す行為、違法行為、犯罪構成要件該当行為を規制できる就業規則の整備を強く求める。

 

 東京都水道局は少なくとも昭和60年代以降、組織ぐるみで管理職が違法であるのに争議目的の正当性を認め、闘争期間において、勤務時間内の執務室内において広範な職務離脱を是認し、執務室内での執務妨害行為、逆らう管理職の吊るし上げ、勤務している職員の職務専念を妨げる演説行為、地公労法111項後段所定の「そそのかし」「あおり」の演説、示威行為等、一切中止・解散命令はなく容認してきた。大衆行動と称される闘争期間の違法行為にはいっさい職務命令は一切なされず、事実上、労務指揮権と施設管理権が組合に奪取されていた。

 しかし職員のリークで、平成16317日公営企業委員会において後藤雄一都議(無所属)が、勤務時間中の所属長要請行動で机に穴を開けた事件や、頭上報告について職務専念義務違反ではないか等の質問があり、場当たり的対応で当時の東岡創示職員部長(後に局長、故人)が「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました」と答弁したため、以降この「通知」による「警告」をするようになったことは事実である。

 これは都議の質問をかわすためのもので、抜本的な改革ではない。「東岡通知」は頭上報告等「職務専念義務違反」にしぼって警告の対象としていて、本部中執や休暇をとっての本部委員の建造物侵入、勤務時間内のオルグ演説やピケッティングは警告の対象外なので全面的に容認されるほか、昼休み等には地公労法111項後段に違反する違法行為を慫慂する集会、示威行為が全面的に認められているという点で著しくコンプライアンスに反し、見直しが絶対必要である。

 就業規則に、勤務時間内外いかんを問わず無許可集会、演説行為と無許可組合活動を禁止する明文規定を加えて、規則に基づく労務管理を徹底すべき。

 頭上報告が内容的にも違法行為の慫慂、「あおり」「そそのかし」に相当するアジ演説があり、地公労法111項後段の違反行為でもある。休憩時間であれ、始業時間前であれ、違法性は変わらない。

 営業所では休憩時間を午後1時以降にずらして勤務を命令することは労働協約で認められ、勤務している職員がいるが、休憩時間の執務室内での演説や集会は、職務の集中を妨げ、職務専念を妨害するという点でも勤務時間内と同じなのである。

 

 違法な集会活動により職務専念が妨げられるのは、適正良好な職場環境とはいえず、許可してならない性質のものであるが、東京都には人事院規則172 第72項「職員は、職員団体のためその業務を行ない、又は活動することによって、他の職員の職務の遂行を妨げ、又は国の事務の正常な運営を阻害してはならない。」とか、公社時代の郵政事業庁就業規則136項に「職員は、職場において、他の職員の執務を妨げ、その他秩序を乱す言動をしてはならない。」等の規則がないため他の職員の業務妨害は許容されるのである。

 始業時間前の頭上報告、あるいは勤務している人がいない昼休みのケースであっても、アジ演説を聴かされた余韻で作業能率に影響するおそれがあり、能率的、適正良好な職場環境、規律のある業務運営とはいえないという観点から規制してしかるべきである。要するに、職務専念違反にならない時間帯の、集会、演説は庁舎執務室の目的外使用としてすべて規制対象とすべきなのに、「東岡通知」は認めてしまっているので欠陥が大きすぎるということである。

 

 「東岡職員部長通知」の、警告がはねつけられた例として、勤務時間内の本部委員によるオルグ演説がある。中野営業所の平成2625日本部委員の○(現在は退職と聴いている)が勤務時間中925分より32分まで、事務室内で業務移転拒否闘争のオルグ演説がなされたがその時、○○が「平成163月東岡職員部長通知」による賃金カットの警告をやったが、○は「なんだおまえは有給休暇を取っているんだ」と罵倒、所長が引き下がって黙り込んだ。さらに10時からはじまる、人事課の派遣説明会を妨害するため、会議室近くでピケを張りそれも排除していない。

 休暇中だからといって地公労法111項後段所定の違反行為をしてよいものではない(全運輸近畿陸運支部事件.大阪地判昭54.8.30、「東岡通知」では警告すらできないのは重大な欠陥であるわけである。

 さらに同月20日、猪瀬知事辞任による都知事選挙中の25日発令の停職処分で、停職中の渡邉洋書記長が勤務時間中にオルグ演説した。出入禁止にしないことが問題だが、26日スト決行の後も、業務移転拒否の争議が継続しているのに、処分の範囲、量定など注文されないよう議会が始まる前に処分をすましておく事情のためか、たった10日のスピード処分してしまったことが問題と言えるが、職務専念義務違反ではないので所長は警告していない。

 解決策として、平成16年東岡通知を撤回し、局所内で勤務時間内外を問わず、無許可演説.集会、無許可組合活動、他の職員の職務中の業務妨害を禁止する就業規則を設け、企業秩序論の判例法理にもとづき職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するよう建議する。

 

(二)闘争指令下の昼休み集会、勤務時間内支所構内等の動員決起集会の中止・解散命令を強く要求する

1 国と同様、ストライキを配置した時点で組合への便宜供与は禁止すべき

 表記の集会は、闘争課題を確認し組合員の意思統一を図り、ストライキ態勢の志気を鼓舞する目的でなされ、地公労法11条1条後段の違法行為そのものだが、東京都の管理職は違法性を認識すらしていない。「昼休み集会」は執務室内でなされることが多く、休憩時間をずらして、所長の命令で窓口対応や電話をとっている「昼休み当番」勤務者の職務専念も妨害している。

 国の省庁では組合がストライキを配置した時点で、組合集会に庁舎構内の便宜供与を禁止し、強行した場合の中止命令を徹底している。東京都はなんでも容認し、事実上違法行為の強度の慫慂に加担している。

 旧郵政省では、日常的な組合活動については、会議室等利用を許可している。しかし全逓が、物だめ闘争やストライキを配置し闘争体制に入った時点で、地方郵政局が各郵便局に指示して、局所内の組合活動の便宜供与を停止し、集会を強行した場合は、監視・中止解散命令を徹底している。

 それは、組合が闘争態勢での便宜供与は当局が違法行為を助長することになるので、目的外使用である組合集会を規制する正当な理由があるものとして不許可とする方針で、裁判所もこの方針を是認している(ストライキ配置で闘争体制となった時点で便宜供与しない方針を示している例として●東京城東郵便局事件・東京地判昭59.9.6労判442号は、国労札幌地本判決を引用して、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法171項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないと判示した。●熊本貯金局事件・熊本地判昭63.7.18、労判523、●郵政省下関局事件・山口地判昭60.3.19判タ566、●仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件・仙台地判昭60.9.25労判464。東京都でも国の省庁と同方針をとるべき。

 

 都の管理職が違法行為を強度に慫慂する趣旨の集会を認めている理由は、管理職が中止・退去命令等、いわゆる施設管理権の発動にきわめて消極的で、事実上、受忍義務説(労働基本権は、事業場内での組合活動につき使用者の労務指揮権、施設管理権を制約し、業務運営や施設管理に多少の支障が生じても、組合活動の正当性が否定されないとする説。法益互譲論ともいわれる)という組合側の論理を承服し、正当な組合活動とはいえない秩序を乱す行為、違法行為、犯罪行為を許容するのが筋という左翼的な立場をとっているからである。

 「受忍義務説」は、私企業の企業秩序維持権を確立した●国労札幌地本ビラ貼り事件・最三小判昭54.10.30で明示的に否定されたほか、地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用不許可の判断枠組を示した○呉市立二河中学校事件・.最三小判平18.2.7も同じく労働組合.職員団体の使用の必要性が大きいからといって管理者に受忍義務はないことを明示しているので、組合に従う理由は全くない。東京都では庁舎管理権は組合に掣肘されて当然という左翼体質の職場風土が蔓延し、私にとっては不愉快で敵対的な職場環境となっている。

 前記平成16年東岡職員部長通知により勤務時間内の頭上報告については、平成20年代は私が知る限り警告が行われるようになったが、「昼休み集会」という違法行為を承認されるものと解釈され、職員部監察指導課は「昼休み集会」には全く関心がなく、黙認しているし、現場の管理職も指示がないので是認している。

 地公労法111項は「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない。」

 同盟罷業それ自体だけが違法行為でなく、同盟罷業等を唆し、あおる行為も違法行為なのであるが東京都は後段について取り締まることをしないし、本番も就業命令しない。

 後段の「そそのかし」「あおり」を違法行為として、中止命令するよう職員部監察指導課が指示しておらず、東京都の管理職が違法行為の強度の慫慂を違法行為と認識しないのは、いわゆる「通常随伴行為不罰論」に沿った左翼思想に凝り固まっているためと考えられるが、この論点は後段で説明する。

 旧郵政省並みに闘争体制での組合活動の便宜供与の禁止を強く求める。根拠となる判例として以下のとおり。

 旧郵政省では無許可職場集会の監視、中止.解散命令は徹底的に行っていた(●全逓新宿郵便局事件.最三小判昭58.12.20判時1102、理論的説示は全逓新宿郵便局事件 東京高裁判決昭55.4.30労判340全逓長崎中央郵便局事件・長崎地判昭59.2.29労判441号カード)不当労働行為とされることはなく、無許可集会強行や中止命令の抗議行動は懲戒処分の理由の一つになっています。

 水道局ではオルグ活動やピケティング、動員集会での外部の職員の構内立ち入りは自由です。一般論として郵便局はオルグや点検での立ち入りに厳しく、国鉄は緩く温度差があるとされるが、JRの就業規則は勤務時間内であれ時間外であれ無許可組合活動を就業規則により明文で禁止しているので、徹底して取り締まっています(JR鳥飼基地無許可入構(懲戒解雇)事件・.大阪地判平12.3.19JR東海新幹線支部国労バッジ事件・東京高判平9.10.30判時1626など)。

 

 参考までに、旧郵政省は就業規則による管理は徹底していて、正常な業務運営の維持を第一義としている点で模範的であると考えている。以下のような規則である。

  • 東京城東郵便局事件(東京地裁判決昭59.9.6労判442から引用)

「‥‥郵政省庁舎管理規程七条は、『庁舎管理者は、庁舎等において、演説、ビラ等の配布、その他これに類する行為をさせてはならない。ただし、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認める場合に限り、これを許可することができる。』と定め、また同第三条は、『職員は、庁舎管理者が、庁舎管理上必要な事項を指示したときは、その指示に従わなければならない』と定められている」

 

  • 全逓新宿郵便局事件 東京高裁判決昭55.4.30『労働判例』340号から引用

郵政省就業規則及びその運用通達は、国有財産の使用に関する取扱いにつき、「組合から組合事務室以外の庁舎の一時的な使用を申し出たときは、庁舎使用許可願を提出させ、業務に支障のない限り、必要最小限度において認めてさしつかえないこと。」と規定している。

 

○ 郵政事業庁就業規則

 

13  (職場の秩序維持)

  1 職員は、上司の許可を受けないで、ほしいままに勤務を離れてはならない。

  2 職員は、休憩時間中であっても、職場を離れる場合には上司に届け出なければならない。

  3 職員は、みだりに勤務を欠いてはならない。

  4 職員は、みだりに他人を職場に立ち入らせてはならない。

  5 職員は、職場において、みだりに飲酒し、又はめいていしてはならない。

  6 職員は、職場において、他の職員の執務を妨げ、その他秩序を乱す言動をしてはならない。

  7 職員は、庁舎その他国の施設において、演説若しくは集会を行い、又はビラ等のちょう付、配布その他これに類する行為をしてはならない。ただし、これらを管理する者の事前の許可を受けた場合は、その限りではない。 

  8 職員は、庁舎その他の国の施設において、みだりに危険な火器その他の危険物を所持してはならない。

  9 職員は、庁舎その他国の施設における秩序維持等について郵政省庁舎管理規程に基づく庁舎管理者の指示に従わなければならない。

 

2 「昼休み集会」の内容

「昼休み集会」とは、本部指令により各事業所の支部・分会役員の主宰で、闘争課題を確認しストライキに向けて組合員の意思統一を図り、ストライキ参加予定者の志気を昂揚、鼓舞し、参加意思を強固にしてストライキ態勢を確立する目的の集会をいう。事務室内を占拠して行われることが多く昼の休憩時間に実施される。

  通例ではスケジュール化された闘争期間中、午後に都庁構内や支所構内等でなされる勤務時間内職場離脱決起集会(3割または2割動員)が予定されている当日、朝ビラ情宣行動とセットで実施されている。

  平成16年以前は、勤務時間内の職務離脱を慣行として広範に許容していたので、職員を囚われの聴衆の状況においた「頭上報告」でオルグ演説、闘争課題の説明、大衆行動の戦術、職場離脱決起集会のよびかけ、全面的に認められていたので、職員を争議行為に巻き込みやすく「昼休み集会」もあったが、勤務時間内の活動で事足りていたが、平成16年の後藤都議の質問以来、勤務時間内活動が自粛傾向となったため、代わって「昼休み集会」が重視されるようになったのである。

  例外的には当局の提案や処分等に対して突発的な抗議集会として実施される場合もある。

   令和元年12月局内闘争では、私が勤務していた新宿営業所においては、124日と、同月17日に、給水課新宿分室事務室内にて、新宿営業所組合員と、給水課組合員との合同集会が行われた。

  令和元年の例では、事前に庁舎管理者である○○新宿営業所長(総務部調整担当課長を経て現サービス推進部業務課長)に職場の秩序を乱し、違法行為を助長するとして、中止.解散命令、監視すべきと要請したが、所長は、職場秩序を乱すものではない。ハンドマイクなら別だがとの話で、黙認する方針を明確に述べた。なお、集会開催について組合からの事前通告はないとも聴いた。

  また、平成23年~263月まで私が勤務していた中野営業所では7回の集会がなされ、いずれも事務室内だったが、当時の○○○○営業所長(のち経理部管理課長.職員部監察指導課長.労務課長、現在は退職)に組合役員の申し出に応じ許諾、労働基準法第34条第3項の規定により、休憩時間を自由に利用させる義務があるので、組合活動を規制できないと言っているがこの法解釈は後段で述べる通り誤りである。○○所長は黙認だった。

   但し、筆者が平成264月~313月まで在籍していた世田谷営業所太子堂分室では昼休み集会を実施してない。頭上報告の分会役員の発言によれば、本部指令でも職場の実態に合わせて対応できるようで、理由は不明だが管理職による規制ではなく、集会を開催しなくても組合員がスト指令に忠実なのであえて必要ないという判断などの理由が考えられる。

  新宿営業所(四谷区民センターという区の施設との合同庁舎)では、3階の営業所内でなく、4階の給水課分室で行われたこともあり、私は実況見分してないので具体的内容は記録していないけれども、中野営業所の7回は営業所事務室内でなされ実況見分の記録があるが、それにもとづくと「昼休み集会」とは大筋で以下のような内容といえる。

  まず司会の挨拶、基調報告もしくは交渉経過報告、決議文または抗議文朗読、組合員代表の決意表明、拍手の要請、頑張ろう三唱の鯨波(シュプレヒコール)その他日程などの連絡。決意表明があったのは7回中1回、鯨波をやらない簡略化したケースも少なくないが、いずれにせよ集会における演説者の発言そのものが、地公労法111項が禁止する「あおり」(オルグあおり、演説あおり)ないし「そそのかし」にあたる。

なお私が記録している事務室内の昼休み集会は以下のとおり、カッコ内主な演説者

1)中野営業所事務室内 平成23年7月7日 (分会役員) 

2)中野営業所事務室内 平成23年11月2日 (分会役員) 

3)中野営業所事務室内 平成23年12月9日 (分会役員) 

4)中野営業所事務室内 平成24年3月8日 (分会役員) 

5)中野営業所事務室内 平成25年11月2日 (支部.分会役員) 

6)中野営業所事務室 平成26128日 (本部委員)

7)中野営業所事務室内 平成26年2月12日(支部.分会役員)

上記は実況見分記録あり。なお、これ以外に勤務時間内の頭上報告多数、勤務時間内オルグ演説、抗議演説もあるが、上記は純然たる昼休み集会をピックアップしたもの。

8)西部支所給水課新宿分室 令和元年124日 

9)西部支所給水課新宿分室 令和元年1217

◆ 実況見分記録(「昼休み集会」平成23年12月9日(金)中野営業所) 

  同日15時より全水道東水労の都庁第二本庁舎前で勤務時間離脱3割動員の決起集会(当時は半地下の新宿NSビルとの間の空間で行われていたが近年は地上のふれあいモールに移行している)、夜には書記長会議がある日だが、通常昼休み集会と早朝ビラ配りは、3割動員集会のある日にセットで設定されるので容易に予測できる。

 

【始業時前朝ビラ情宣行動】構内通用口ドア前

  構内の狭い入口の通路の左に二人、右に一人が立ち、通路を挟むかたちで配られる。小さな営業所なので、3人しか立ってないが、支所だと構内入り口前右に5人左に5人といった規模になる。挟まれた間を通行し半強制的にビラを受け取らせる。人数が多い場合は特に威圧感がある。人を挟んだり、包囲する組合活動は押しつけになるので、規制すべきである。ビラの内容も違法行為を慫慂する内容であるから、ビラ配布自体が違法行為にあたり中止命令すべき態様と内容といえる。

 

【昼休み組合決起集会】事務室内ほぼ中央に演説者

 

   12時28分に分会書記長が赤腕章をつけ基調報告の紙を配りだしたので、自席で昼食をとっていた○○所長(のち経理部管理課長、職員部監察指導課長、労務課長)に昼休み集会を組合がやることを知っているのかと問い合わせたところ知らないと言う。

  その後分会書記長がこれから集会をやると所長に通告、所長は休憩している人に配慮云々と言っただけで、中止命令せず、集会自体を許諾。

   昼休みはこの年の東日本大震災による電力不足のため消灯していたが電気がつけられ31分頃から集会が始まった。

 なお、過去の例では所長は離席し監視しないように組合に配慮するが、この時は一部始終を管理職が見ている。

 集会の態様は、営業所事務室ほぼ中央(所長席の向かい)に組合役員、演説者等、多くの職員は自席。昼休み当番として2名が休憩時間を午後1時以降にずらして、窓口のレジと電話当番として勤務中、演説者との距離は近く10mも離れていない。従って、折り畳み式の衝立が立っているので、来客からは覗かれないが、演説や鯨波などは当然雑音として入るので、職務への集中を散漫にさせ、電話の相手方の声が聞き取りにくくなるなど職務専念を妨げるおそれがある状況でなされる。

 

  • 31分から37分頃 司会の組合分会長挨拶 

 まず集会時間を20分、目的について闘争課題を確認し意思統一を図ることと述べ、国政の状況、国家公務員の労働基本権付与の法改正は、国会が本日閉会したので、見通しが立ってない現状をまず報告したうえ、今回の闘争目的を説明。 

  • 38分から43分頃 分会書記長基調報告 

 事前に配られた内容を読み上げた。前半は141時間ストを設定して監理団体業務委託を見直し、直営職場を残す闘いをやる云々と述べ、後半は211時間を設定しその他の職場要求と反合理化課題の解決を目指す。震災復興が進まないのは被災自治体の人員削減が要因などと言い、人員削減計画を見直す契機とすべきだといった趣旨を述べていた。演説が終わってぱらぱらと拍手があり、司会の分会長が確認のため拍手を催促し、比較的大きな拍手となった。

  • 44分から46分  組合員代表の決意表明 

組合委員代表一人(元中央委員)が矢先漏水調査業務見直しは営業所業務にも影響がある云々と述べたうえ、闘争の決意表明を読み、拍手が求められた。

  • 47分から49分頃 分会長の音頭で頑張ろう三唱等(組合分会長)

事務連絡の後、大声で「14日、21日ストライキに向け闘争課題を確認し、決意表明を受けました、最後に頑張ろう三唱で締めたいと思います」といったことを述べ、「団結用意」とかけ声があり、頑張ろう三唱が行われた。

以上、これは一例だが、組合員代表の決意表明があったのは中野ではこのケースのみなので掲載した。昼休み集会の流れの大筋は上記のとおりである。

 

3 「昼休み集会」の違法性は明白

 上記の内容は、地公労法111項後段が禁止する「あおり」(演説あおり.オルグあおり)そのものであるから、同様の集会での司会者、演説者、頑張ろう三唱の音頭とりについては、公務員の判例で懲戒処分事由として認められた多数の先例があるが、「そそのかし」「あおり」に当たると断言できる。東京都の管理職は違法行為の強度の慫慂する組合活動に施設管理権の発動をしないので、違法行為に加担、助長しているのである。

 「そそのかし」とは「違法行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為をすること」(外務省秘密漏えい事件・最一小判昭53.5.31刑集323457)と定義される。

 「あおり」とは「違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、又は、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること」(全農林警職法事件・最大判昭48.4.25刑集27454、岩教組学力調査事件.最大判昭51.5.21刑集3051178 )と定義される。

 全農林警職法判決は、公務員の勤務条件法定主義、公務員の争議行為に対する市場の抑制力の欠如を強調して、公務員法のあおり等処罰規定は、字義どおり、すべての公務員の一切の争議行為を一律全面的に禁止するものであり、その違反行為について、争議行為に通常随伴する組合役員の指令発出等を含めてすべてのあおり行為を処罰できるものとしている。

 平たくいえば 行動指令の発出伝達、スト実施体制確立のための説得慫慂活動、闘争指令下での演説、集会は「そそのかし」「あおり」になる。狭く解釈する必要はない。

 というのは、「そそのかし」「あおり」の違法性を限定的に解釈する争議行為「通常随伴行為不可罰論」は●全農林警職法事件最大判昭48.4.25刑集274547は、岩教組学力テスト事件最大判昭51.5.21刑集3051178という最高裁大法廷判決で明示的に否定されており、その後の下級審判例で「原動力論」、「統括・指導者責任論」「具体的危険論」「高度の危険性」「組織的統制力を背景とした指令」といった限定解釈の試みがあるが、「あおり」の構成要件該当性が争点になった●日教組スト事件.最一小平成元.12.18刑集431388、●埼教組事件.最三小判平2.4.17刑集4431においては、前記大法廷判決を引用するのみで、下級審の試みに対し明確は答えていない。

 ということは、最高裁は「あおり」の限定解釈は認めていないということである。日教組事件の永井敏雄調査官判解によれば「あおり」の訴因の内容について、過去の例では、会議あおり、議案の提出そのもの及び趣旨説明をあおりとした例、激励のあいさつ、指令あおり、オルグあおり、現場(演説)あおりがあったことを類型的に説明している。

 従って、これまで判例が「そそのかし」「あおり」と認定し、懲戒処分事由となったものは全て「そそのかし」「あおり」と断言してよいのである。

 以下の判例は、昼休み集会の主宰者、演説者司会者、基調演説者、経過報告者、決議文朗読、決意表明、「頑張ろう三唱」の音頭とりが「そそのかし」「あおり」に当たる根拠として示すものである。これは2割動員・3割動員集会、スト当日の集会も同じことである。

 「そそのかし」「あおり」は公労法と地公労法には国家公務員法や地方公務員法の罰則規定はないが、明文で禁止しており、公労法適用の郵便局の判例で「そそのかし」「あおり」を理由として懲戒処分例が多数あり、水道局職員に適用される地公労法111項違反者は、12条により解雇できるが、地公労法111項後段(あおり、そそのかし)違反として解雇された事例として北九州市交通局解雇事件.福岡高判・昭55.11.1判タ435がある。「あおり」「そそのかし」を理由として12条解雇も懲戒処分はできることはいうまでもない。

 

🔶全水道東水労の「昼休み集会」等と類似した事例の司法の判断

◎スト当日の集会の挨拶、演説等が懲戒処分理由とされたケース

  • 全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集3971408●大阪高判昭57.2.25民集3971478●最二小判昭60.11.8民集3911375

 

 最高裁第二小法廷は職場大会の「あいさつ」「職場大会の意義についての演説」「所長交渉の経過報告」「決議文の朗読」は「そそのかし」又は「あおり」と認定している。

 昭和44111315分ないし20分勤務時間(いわゆる出勤簿整理時間)に食い込む各職場大会

 処分理由たる原告らの所為(戒告)

(一)原告A

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部和歌山分会分会長の地位にあったところ、右分会が昭和441113日和歌山県陸運事務所宿直室前の中庭において、給与に関する人事院勧告の完全実施などの要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中、午前830分から同45分までの約15分間にわたり職務を放棄し、その際分会長としての「あいさつ」を行い主たる役割を果した。

(二)原告B

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部奈良分会分会長の地位にあつたところ、右分会が右同日奈良県陸運事務所宿直室において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前830分から同50分までの約20分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「所長交渉の経過報告」を行い主たる役割を果した。

(三)原告C

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部兵庫分会副分会長の地位にあつたところ、右分会が右同日午前833分から同50分までの約17分間にわたり兵庫県陸運事務所姫路支所構内入口横の広場において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に参加し、その際副分会長として「所長交渉の経過報告及び決議文の朗読」を行い主たる役割を果した。

(四)原告D

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部兵庫分会分会長の地位にあつたところ、右分会が右同日兵庫県陸運事務所庁舎玄関前横において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前830分から同42分までの約12分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「あいさつ及び職場大会の意義」について演説を行い主たる役割を果した。

(五)原告E

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部京都分会分会長の地位にあつたところ、右分会が右同日京都府陸運事務所庁舎玄関前広場において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前830分から同49分までの約19分間にわたり職務を放棄し、その際分会長としてがんばろう三唱の音頭とりを行い主たる役割を果した。

(六)原告F

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部大阪分会分会長の地位にあつたところ、右分会が右同日大阪府陸運事務所庁舎玄関前広場において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前830分から同50分までの約20分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「あいさつ及び人事院勧告関係の報告」を行い主たる役割を果した。

(七)原告G

 本件ストライキ当時全運輸近陸支部支部長の地位にあつたところ、右支部本局分会が右同日大阪陸運局自動車部事務室において、右要求貫徹を目的として行なつた勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前95分から同17分までの約12分間にわたり職務を放棄し、その際支部長として「あいさつ及び人事院勧告関係の報告」を行い主たる役割を果した。

 適条

 原告らの各行為は、組合役員として他の者と共に勤務時間にくい込む各職場大会に参加した点において国公法九八条二項前段所定の争議行為に該当し、右大会において組合役員として参加者に対し、あいさつ、経過報告、決議の朗読、演説、がんばろう三唱の音頭とりなどを行なつた点において同法九八条二項後段所定の「そそのかし」、「あおり」行為に該当するので、同法条項に違反し、同法八二条一号に該当する。そして、原告らは、事前に上司から勤務時間にくい込む職場大会は明らかに違法であるから参加しないよう警告されたにもかかわらず、右各行為を行なつたことは情状重いものである。(一審より引用)

 一審は、「国公法九八条二項後段所定の「あおり」「そそのかし」とは、国公法九八条二項前段に定める違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為をなさしめるよう仕向ける行為を総称し、必ずしもこれによって現実に相手方が影響を受けること及び業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しないものと解すべきである。」としたうえで、本件職場大会において、あいさつをした行為、メッセージと祝電を朗読した行為、あいさつと職場大会の意義について演説した行為、所長交渉の経過について演説し、決議文を朗読した行為、団結がんばろう三唱の音頭をとつた行為、あいさつをした行為、人事院勧告に対する閣議決定の不当性を説明した行為は、いずれも国公法九八条二項後段所定の争議行為の「あおり」或いは「そそのかし」行為に該当するものということができると述べた。

 二審は本件職場大会において控訴人らが参加者らに対して行なつた「あいさつ」「職場大会の意義についての演説」「所長交渉の経過報告」「決議文の朗読」メッセージは「そそのかし」「あおり」に該当し、とりわけ「あおり」のうち「既に生じている決意を助長させる勢いのある刺激を与える」ことに該当するものであるとした。

 上告審は本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する「そそのかし」又は「あおり」に該当するとした原審の判断は正当であると判示している。

 

  • 北海道開発局.網走開発建設部事件・札幌地判昭54.10.9判時964

 

 昭和46715日早朝29分(いわゆる出勤簿整理時間内)職場大会

 全開発中央執行委員長、書記長(停職一月)、全開発副執行委員長、会計長、中央執行委員2名(一月ないし六月減給十分の一)全開発本局支部書記長、全開発函館支部執行委員長、全開発函館支部副支部執行委員長、全開発室蘭支部執行委員長、全開発旭川支部書記長ら(1)~(32)まで(一月ないし二か月減給十分の一)

1)全開発書記長は、全開発本局支部の当該集会において、集会に参加した職員を激励する挨拶を行った。

2)全開発本局支部書記長は、全開発本局支部の当該集会において、争議行為に至る経過の報告、決議文の読み上げ.提案及び閉会宣言を行った。

3)全開発函館支部執行委員長は、全開発函館支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶及び団結がんばろうの音頭取りを行った。

4)全開発函館支部書記長は、全開発函館支部の当該集会において、開会宣言、争議行為に至る経過の報告、激励電文の読み上げ、決議文の読み上げ.提案、団結がんばろうの司会及び閉会宣言を行った。

5)全開発函館支部副支部執行委員長は、全開発函館支部の当該集会を実施させるための被告ら主張のごとき監視を玄関ホール附近で行った。

6)全開発室蘭支部書記長は、全開発室蘭支部の当該集会において、開会挨拶、争議行為に至る経過の報告、団結がんばろうの司会及び閉会宣言を行った。

7)全開発室蘭支部執行委員長は、全開発室蘭支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、決議文の読み上げ及び団結がんばろうの音頭取りを行った。

8)全開発旭川支部書記長は、全開発旭川支部の当該集会において、争議行為に至る経過の報告を行った。

9)全開発旭川支部執行委員長は、全開発旭川支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、決議文の提案.採択の司会、団結がんばろうの音頭取り及び閉会宣言を行った。

10)全開発留萌支部書記長は、全開発留萌支部の当該集会において、争議行為に至る経過の報告及び決議文の読み上げを行った。

11)全開発留萌支部副支部執行委員長は、全開発留萌支部幌延分会の当該集会において、争議行為に至る経過の報告、決議文の読み上げ.提案及び閉会挨拶を行った。

12)全開発留萌支部執行委員長は、全開発留萌支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶を行った。

13)全開発稚内支部執行委員長は、全開発稚内支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶を行った。

14)全開発稚内支部書記長は、全開発稚内支部の当該集会において、争議行為に至る経過報告及び決議文の読み上げを行った。

15)全開発稚内支部副支部執行委員長は、全開発稚内支部浜頓別出張所分会の当該集会において、争議行為に至る経過の報告を行った。

16)全開発網走支部執行委員長、全開発網走支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶及び団結がんばろうの音頭取りを行った。

17)全開発網走支部副支部執行委員長は、全開発網走支部の当該集会を実施させるための前同様の監視を庁舎玄関附近及び集会場入口附近で行った。

18)全開発帯広支部執行委員長は、全開発帯広支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、閉会挨拶、団結がんばろうの音頭取り及び閉会宣言を行った。

19)全開発帯広支部副支部執行委員長は、全開発帯広支部の当該集会において、閉会の挨拶及び議事の進行を行った。

20)全開発帯広支部書記長告加藤昌明は、全開発帯広支部の当該集会において、争議行為に至る経過の報告、激励電文の読み上げ及び決議文の読み上げ・提案を行った。

21)全開発釧路支部書記長は、全開発釧路支部の当該集会において、開会の挨拶、社会党釧路総支部役員及び釧路地区労働組合協議会役員の紹介、激励電文の読み上げ並びに当局に対する決意を述べる演説をして議事の進行を行つた。

22)全開発釧路支部執行委員長は、全開発釧路支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、閉会の挨拶及び団結がんばろうの音頭取りを行った。

23)全開発釧路支部執行委員長は、全開発札建支部及び石狩川支部合同の当該集会において、集会をもり上げるため、団結がんばろうの音頭取りを行った。

24)全開発石狩川支部書記長は、全開発札建支部及び石狩川支部合同の当該集会において、争議行為に至る経過の報告を行つた。

25)全開発土試支部書記長は、全開発土試支部の当該集会において、集会スローガン及び決議文の読み上げ等を行つた。

26)全開発土試支部執行委員長は、全開発土試支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶及び団結がんばろうの音頭取りを行つた。

27)全開発土試支部副支部執行委員長は、全開発土試支部の当該集会において、開会の挨拶及び議事の進行を行つた。

28)全開発建機支部執行委員長は、全開発建機支部の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、賃金要求内容の説明、勤務届表の記入方法の指示、団結がんばろうの音頭取り及び閉会宣言を行った。

29)全開発建機支部書記長は、全開発建機支部江別工場分会の当該集会において、開会宣言、議長選出の司会、集会をもり上げる挨拶、勤務届表の記入方法の指示及び閉会宣言を行った。

30)全開発建機支部副支部執行委員長は、全開発建機支部の当該集会において、議長挨拶及び議事の進行を行っつた。

31)全開発建機支部副支部執行委員長は、全開発札建支部及び石狩川支部合同の当該集会において、集会をもり上げる挨拶、全開発石狩川支部書記長が行った争議行為に至る経過の報告の補足、勤務届表の記入方法の指示及び議事の進行を行った。

32)原全開発札建支部書記長は、全開発札建支部及び石狩川支部合同の当該集会において、決議文の読み上げ提案を行った。

33)全開発網走支部書記長は、全開発網走支部の集会において、争議行為に至る経過の報告及び激励電文の読み上げを行った。

 

上記は同盟罷業当日の職場大会だか、ストの前段階の決起集会等については以下のような判例がある。

 

◎闘争指令下の決起集会の演説、鯨波の音頭とり等が懲戒処分の理由とされたケース

 

  • 北見郵便局事件・札幌高判昭54.3.29判時940114

(公労法は、地公労法と同じく「唆し」「あおり」は違法だが罰則規定はない)

 昭和444241147分まで半日スト

423日午後55分ころから同6時ころまでの間、同郵便局二階の局長室前廊下において全逓組合員約100名によりストライキ総決起集会が開かれた際、原告Gは北見支部執行委員長としてストライキ参加予定者らに対して激励の演説を行なってあおった。

23日夕刻からストライキ参加予定者らを北見労働会館に宿泊待機させ、みずからもこれに加わった。

24日午前425分ころ、原告Gは道本部書記長Оと連れ立って北見郵便局職員通用門前でピケを張っている組合員らを巡視した。

◇原告Gは同24日午前11時時30分ころ、ストライキ参加者の集合会場である北見労働会館内から姿を見せ、同会館前でストライキに参加した組合員らに対し「行進する。」との号令をかけて四列縦隊に整列させ、かつ、隊列の先頭に立って北見郵便局まで誘導した。

◇原告Gは同24日午前1138分ころから同局構内において、前記О、全逓中央本部執行委員Kおよび北見支部書記長Hとスクラムを組み、約80名の組合員らの先頭に立ってジグザグデモを行なつた。

◇原告Gは同24日午前1140分ころから、同局構内において右約80名による集会が開かれた際、「団結、頑張ろう。」の音頭をとり他の者を唱和させた。以上一審札幌地判昭50226からの引用。

 控訴審が類型別に「あおり」に該当するか判断をしているので引用する。被控訴人の所為のうち

① ストライキ総決起大会自体ストライキ参加予定者のストライキ参加意思を鼓舞し、その闘争意思を堅固にするための目的で開催されるものであるし、被控訴人の右演説は、ストライキ参加予定者の志気を昂揚、鼓舞し、参加意思を強固にするためのものであつたことが明らかであるから、被控訴人の激励演説は本件ストライキを「あおり」、「そそのかし」たことに該当する‥‥

② ピケ張りの実践、指導は、「あおり」「そそのかし」

③ スト参加者に対する隊列行進の誘導は「そそのかし」

④ ジグザグデモ行進の指導と実践は「あおり」「そそのかし」

⑤ 集会の際のシュプレヒコールの音頭は「あおり」

 と説示し、公労法171項後段のあおり、そそのかしに該当する違法行為と認定したうえで、本件昭和44年春闘に行なつた半日ストライキに際して、組合支部執行委員長としてこれを実践指導したこと、無断掲出した組合旗等の撤去作業を妨害したこと、郵便局管理者に加療約27日を要する傷害を負わせたことを理由とする懲戒免職処分を適法としたものである。

  • 熊本貯金局事件・熊本地判昭63.7.18労判523

 昭和48427日(4時間スト)、昭和501130日から121日(8時間スト)

 公労法171項に違反する争議行為に指導的な役割を果たしたことを理由とする減給36月の懲戒処分を有効とした判例であるが、休憩時間の無許可集会での演説やシュプレヒコールの音頭(水道局でも同様のことがなされている)をとったことも懲戒事由とされている。

【処分例1】 全逓熊本地方貯金局支部長(郵政事務官)減給1106か月)

◇ストライキの前日である昭和501129日午後035分ころから局玄関前広場において、全逓組合員約500名が無許可集会を行った際‥‥局管理者の解散命令を無視してあいさつを行った後、「それでは解散する。スト権奪還の決意をこめて団結ガンバローを三唱する。」と述べ、シュプレヒコールの音頭をとり、同組合員らに唱和させた。

◇昭和49413日(4時間)、同50121日(8時間)違法ストライキに参加し、みだりに勤務を欠いた。

【処分例2】 全逓熊本地方貯金局副支部長(郵政事務官)減給1105か月)

◇昭和501125日午後019分頃から、局第二貯金課事務室において、全逓組合員約60名が無許可集会を行った際‥‥26日からのストライキは堂々と打抜く。」と述べた後、ストライキの実施日について周知させるとともに、ストライキ突入に際しては組合の指示に従うよう要求し、さらに、スト署名をしていない者については粘り強く説得する旨を述べた。

◇昭和49413日(4時間)、同50121日(8時間)違法ストライキに参加し、みだりに勤務を欠いた

 なおこの時期は「段落とし」といって組合側の攻勢で懲戒処分の量定がゆるくなった時期である。40年代前半ならもっと重い処分が考えられる。

 

  • 郵政省下関局事件・山口地判昭60.3.19判タ566

昭和48410日全18時間スト

原告H支部長に停職処分について

(二)昭和4949日の行動について

 U(局管理長)らは、昼ころ、支部が局の第二貯金課事務室において無許可で集会を開く旨聞知し、Uが原告Hを呼んで、便宜供与は打ち切られており、庁舎の使用は許可されていないので集会を実施しないよう注意したところ、同人はこれを聞き入れず、正午過ぎから約200名の組合員を前記事務所に集め、無届の春闘総決起集会を行なつた。025分ころ原告HKを案内して現われ、マイクを持って、「皆さん、K地区委員長を紹介します。これから委員長の挨拶があります。」と春闘の最高指導責任者として中国地本から派遣されたKを紹介した、‥‥、原告HUに対し‥‥に激しい口調で出て行くよう迫つたこと、Uの解散要求に抗議した。

 Hの一連の行為は‥‥、翌日のストライキ突入に向け組合員を激励し、団結を強め、志気を高めるものというべきであるから、あおり、そそのかしの指導行為に該当するといわざるを得ない。原告らが主張するように、たとえ支部の執行権が停止されていたとしてもこれが支部役員の責任を免れるための便法である‥‥中国地区本部の指示があり、主としてK中国地本委員長が演説をし、翌日のストにつき説明をしたとしても、右認定を何ら左右するものではない。

(二)昭和49410日の行動について

 Hがマイクで、ストライキに不参加のYらに対し、参加するよう呼び掛け、支部組合員約220名に対しこれから決起集会を行なう旨挨拶したこと、集会の際シユプレヒコールの音頭をとつたこと、集会終了の挨拶をしたこと等‥‥、右呼掛けは、ストライキ不参加者に参加を強く呼び掛け、同時に参加者の志気を高めるものでもあるから、ストライキをそそのかし、あおったことに該当する。また、右挨拶、シユプレヒコールの音頭をとったことは、ストライキ参加者の志気を昂揚、鼓舞し、その参加意思を堅固にするものであつたこと、‥‥右行為は、いずれもストライキをあおったことに該当する。

(四)昭和501126日の行動について

 原告Hが、約150名の支部組合員に対し挨拶したこと、‥‥は、単にストライキの実施方法を指示するに止まらず、ストライキ参加意思を強固にし、鼓舞するものであるから、ストライキをあおり、そそのかしたことに該当するものといわざるを得ない。

(五)昭和501127日の行動について

 Hが、U、Мにストライキに参加するよう説得したこと‥‥ストライキをそそのかしたことに該当するといわざるを得ない。

4 原告Hの責任の総合評価

 Hは、ストライキ不参加者に対し参加を呼び掛け、また、説得し、決起集会を行なう旨挨拶し、シュプレヒコールの音頭をとったのであるから、公労法一七条一項後段に禁止する同盟罷業その他業務の正常な運営を阻害する行為をあおりそそのかして争議行為そのものの原動力となる指導的行為を行なつた者として問責されるを免れ得ないものというべきである。

 

 東京都水道局では、上記に引用した「あおり」「そそのかし」の行為は闘争シーズンに頻繁になされるが、懲戒処分の対象から外されているので、違法行為が組織ぐるみで保護されている。

 監察指導課は、3割動員、勤務時間内職大、同盟罷業において、賃金カットとなる対象者の把握を指示しており、また後藤都議の平成16年の質問以降、ビラ貼りの枚数と写真撮影を指示した時期があったが、昼休み集会は一切監視の指示はない。スト当日の集会については、どの場所で集会をしたのか、スト参加者の人数を報告するが、写真撮影等の監視や、指導者や率先助勢者の現認検書も上申の指示はないから、誰がどういう演説をしたというような記録もないはず。

 

4 他の職員の職務専念妨害抑制義務等の規則の明文化は絶対必要

 「昼休み集会」の問題点は地公労法111項後段の違反行為であるという理由にとどまらない。執務室で行われるケースが多いことから、一斉休憩時間でも、所長の命令で休憩時間をずらして勤務中の職員がいる場合(昼休み当番)があり、集会のアジ演説や鯨波等示威行為が職務専念を妨げ、職務遂行の集中、注意力を散漫にするおそれがある。

 また集会に巻き込まれたくない職員の休憩時間の自由利用を妨げ、その余韻から午後の作業能率を低下させるおそれなど、演説内容いかんにかかわらず企業秩序をみだすおそれがある態様といえる。勤務中職員の職務への集中を妨げるおそれがあること、勤務中に異様な雰囲気をかもしだすという理由だけでも規制は可能である。

 最高裁の企業秩序論判例は「作業能率を低下させるおそれ」「他の従業員の業務遂行をも妨げるおそれ」「局所内の秩序をみだすおそれ」(●目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13)とか「能率的な運営」(●国労札幌地本事件.最三小判昭54.10.30)といった抽象的理由で、施設経営内の職員の行動を規制できる趣旨なのである。

 別の系統の判例法理として、行政財産の目的外使用不許可の裁量処分(地方自治法238条の47項)に関する判例も蓄積しており、目的外使用なので不許可とすべき事案ということもできる。

 但し、最高裁判例は懲戒処分の前提として私企業において就業規則の記載(国労札幌地本ビラ貼り戒告事件・最三小判昭54.10.30)と周知(フジ興産事件・最二小判平15.10.10判時1840144)が必要としているので就業規則が整備されていることが前提になる。しかるに地公法32条の適条とするために明文の規則が必要に思える。それゆえ、勤務時間内外を問わない無許可組合活動、無許可集会.演説禁止の明文規程を設けることを強く提言する。

 先に引用した事院規則172 第72項に「職員は、職員団体のためその業務を行ない、又は活動することによって、他の職員の職務の遂行を妨げ、又は国の事務の正常な運営を阻害してはならない。」、公社時代の郵政事業庁就業規則136項に「職員は、職場において、他の職員の執務を妨げ、その他秩序を乱す言動をしてはならない。」等の規則の制定も強く求める。

 これによって、業務阻害権を主張している組合の積極的執務妨害の抑止にもなるし、企業秩序論の法理による職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保が可能になり、組合に労務指揮権、施設管理権を奪われない抑止にもなるので、他の職員の職務専念妨害抑制義務を課せば、職場は正常化の道筋になる。

 管理者としては明文の就業規則を根拠として職務命令するほうがやりやすい。現状のように明文規定がないことは職務命令をやらず組合と馴れ合う口実になっている。

 

 

5 勤務時間内3割動員集会と2割動員集会は解散・退去命令し、集会の外来者は建造物侵入罪が成立するようにせよ

 毎年、スケジュール化され実施されている大衆行動のうち当局が争議行為と認定し賃金カットしているものとして勤務時間内3割動員決起集会がある。たぶん佐賀県教組事件(最一小判昭63.1.21判時12843日間の334割休暇闘争を争議行為と認定しているためである。ストライキ態勢を固めるため、闘争課題を確認し組合員を意思統一し、士気を鼓舞、昂揚させる趣旨の集会である。集会・示威行為が都庁本庁構内、支部構内、合理化対象の事業所で行われる。勤務時間内3割動員集会は毎年最低34回実施されている。2割動員集会は休暇取得で認めており、平成初期は1回の闘争で必ず1回は動員集会に参加するよう役員が指導していた。2割動員も含めるとかなりの回数になる。

 3割動員の場合、少なくとも1回3時間は欠務となる。毎年2回動員に行けば、20年間で累積120時間の欠務となるが、賃金カット(組合が補償する)だけで懲戒されることはにない。

 支所及び合理化拠点で行われる集会も(近年は2割動員で、有給休暇の休をとって支所傘下の事業所、その他本部指令で割り当てられた他の事業所の水道局・下水道局職員が集まる)、監視・退去命令等、中止.退去命令を徹底すべきである。理由は昼休み集会と同じく、集会自体が地公労111項後段に禁止されている「あおり」「そそのかし」であり違法行為の強度の慫慂を目的とする集会を黙認することは違法行為の助長であり、当局が違法行為に加担しコンプライアンスに反するためである。

 平成16317日公営企業委員会で次のようなやりとりがあった。

〇後藤委員 ‥‥この写真なんですけれども、38日、これも同じく練馬の北部支所なんですけれども、集会を組合の方たちがやっています。これは水道局の方から確認をとったんですけれども、この集会に関しては事前に届け出があったのかどうか。

○東岡職員部長 北部支所では、38日、お客さまセンター設立反対等と称しまして、営配営業、配水という意味ですけれども、営配庁舎合同集会が本部指令に基づいて行われました。これは1715分から1815分ということで、勤務時間外で約90名が参加して駐車場で行いました。事前の許可手続はとっておりませんでした。

 今後は、各事業所に対しまして、集会などを持つ場合には、事前に庁舎管理規程に基づく許可申請を行って、了解をとった上で実施するよう指導を徹底していきます。39日に、庁舎管理の徹底についてということで周知徹底を図ったところです。

 90人集まったということだが、定時退庁時間にピケを張って、強引に職員を集会参加に引き込む闘争だったのか。定時退庁時間後の集会は珍しいケースといえる。

 東岡職員部長は、今後許可申請を出させるようにすると都議の質問をかわしている。受忍義務があるとして組合が集会の許可申請など出すはずはないし、私は日常的な組合活動についての便宜供与を否定しないが、組合が庁舎管理規程にもとづく申請をするという例を知らない。管理職は黙認し監視も指示されてない。

 問題は手続ではなく、集会の内容が違法な「あおり」「そそのかし」であり、春闘の闘争期間の集会であり、スト参加の志気を鼓舞するものである以上、許可申請を出す出さないにかかわらず、不許可、中止・退去命令すべきなのである。

 前節に示した行政財産の目的外使用不許可の裁量処分(地方自治法238条の47項)という観点でも不許可ができるし、水道業務と無関係な目的で構内に滞留する他の事業所に勤務する動員組合員は、違法行為目的の建造物侵入として退去命令してよいのである。

 水道局事業所は、公共の用に供される行政財産と異なり、一般公衆が自由に出入りしたりすることのできるものではないが、所掌事務に関し用件のある者は、職員であれ住民であれその用件に関して平穏に立入る自由が認められることはいうまでもない。

 工事検査、設計審査、管路図の閲覧、諸申請、営業所窓口での料金の支払い、その他水道事業所掌業務に関連して業者が多く、水道局及び東京水道の事業所を訪れており、ベンチが置かれ外来者の一時的な滞留は認められている。

 しかし組合活動は目的外使用であり、決起集会の目的・内容が違法行為をあおる違法行為そのものである。庁舎管理者は業務が円滑かつ能率的に遂行されるための措置を講ずる権能と責務を有するものであり、外来者の立入りを認めることによって、違法行為を助長すると予測される場合は、立ち入り不許可、退去命令してしかるべきである。理由のある外来者の立入阻止行為は合法であり、●墨田民商(向島税務署)事件・東京高判昭52.5.30判時882が参考になるだろう。

 都庁構内のふれあいモールの決起集会については、「公開空地」という特性により建造物侵入罪の成立が可能なのかという問題だけで、東京都が管理する敷地である以上、庁舎構内の取り締まりとして支所集会と同じ対応でよい。令和2年に庁舎管理規程も改定されているので違反する行為として取り締まるべきであり、組合は違法行為の慫慂、あおり、そそのかしをやりたいならば自らの負担及び利益において、庁舎構内を離れて集会会場を用意して行うべきとすべきである。

 昭和50年代以降最高裁が案出した企業秩序論の判例法理にもとづいて取り締まりを徹底しているJRグループの就業規則のように、社員は、会社が許可した場合のほか、勤務時間中に又は会社施設内で、組合活動を行ってはならない社員は,会社が許可した場合のほか,会社施設内において、演説、集会、貼紙、掲示,ビラの配付その他これに類する行為をしてはならない等、規則の整備をすべきである。

 支所内に動員されてくる組合員の構内立ち入りを禁止するために、建造物侵入罪や不退去罪が成立させるためにも必要である。

  • 全逓釜石支部大槌郵便局ビラ貼り事件・最二小判昭58.4.8は、全逓岩手地本釜石支部は、大槌郵便局(特定局)にビラ貼りを行うこととし、昭和48416日午後9時半頃、役員ほか8名が、分会長だった宿直員の許諾のもとに立ち入り、一千枚のビラ貼りを行った事案で、「管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは」建造物侵入罪は成立するという判断枠組を示し、犯罪の成立を認めた。これは管理者側に有利な判例と評価されているので利用すべきだ。

 要するに無許可集会、無許可組合活動を禁止、就業規則違反、違法行為目的の立ち入りを認めない管理意思を規則制定等により明確に示し周知すれば犯罪は成立する。しかし当局は犯罪を成立させたくないので規則化しないし、管理意思も示さない。当局と組合の不透明な癒着というほかない。

 

6「通常随伴行為不罰論」に沿った東京都の労務管理は違法行為を助長

 

 東京都の管理職は上記地公労法111項後段に違反する平成16年以前の勤務時間中の執務室内頭上報告のアジ演説や、平成20年代以降の「昼休み集会」のほか、支所拠点や本庁の決起集会をすべて容認している。「あおり」そのものといえる演説の違法性を認識していないのである。庁舎の目的外使用、秩序を乱す行為を取り締まる規則も意欲もない。

 実際、平成12年千代田営業所在籍当時、頭上報告が職務専念を妨げていることで苦情を述べたところ、局幹部である中央支所長は、勤務時間内頭上報告は聴きたい人がいるから認めると言い、職務専念義務よりも組合活動を尊重する方針だった。

 副支所長に、組合ビラが目に付いて仕事に集中できないと苦情をいると心を入れ替えろと「郷に入れば郷に従え」と言われ、頭上報告は当然容認なのである。「ストライキで戦うぞ」というビラがあって目につくところにあって、違法法行為慫慂が蔓延した職場環境になじみなさいという。

 違法行為蔓延状態になじむことこそ東京都職員の責務という反コンプライアンス的職場であった。

 局幹部が違法行為全面是認だったのである。知事部局から水道局に異動してくる管理職も体質は同じである。平成16年東岡職員部長の通知も、都議会議員が問題視した以上やむをえず最低限のことをやったというにすぎない。

 実際、今日でも組織ぐるみで職員一般に対し同盟罷業は違法行為だとして警告は行ってないことは変わらない。当局が各事業所の組合員を、地方公務員法32条の適条による不利益賦課はさせないという組合幹部の方針に従っていると考えているが、最高裁が左傾化した時期の昭和4442日の二判決の「二重の絞り」や争議行為「通常随伴行為不可罰論」(判例変更されている)の立場に立っているともいえる。

 

 「あおり」の意義を限定する考え方は可罰的違法性論を適用し、後に判例変更された〇都教組勤評事件・最大判昭44.4.2刑集235305や●全司法仙台事件 最大判昭44.4.2刑集235685にみられる争議行為の「通常随伴行為不可罰論」が典型といえる。

 昭和44年の両判決は「争議行為そのものが、職員団体本来の目的を逸脱してなされるとか、暴力その他にこれに類する不当な圧力を伴うとか、社会通念に反して不当に長期に及ぶなど国民生活に重大な支障を及ぼす」場合を除いて処罰対象としない。さらに、あおり行為等自体についても、「争議行為に通常随伴して行なわれる行為のごときは、処罰の対象とされるべきものではない。」と言い、争議行為に非常に好意的な判例であるため、官公労がそれまで勤務時間内職場大会と称していたものが公然とストライキと称するようになったのである。

 これは〇全逓東京中郵事件・最大判昭41.10.26刑集208901は労働基本権の尊重=争議権をコンセプトとしててることから「刑罰最小限度論」を述べている。この見解を発展させたもので、地方公務員法や国家公務員法が一切の争議行為を禁止し、その遂行のあおり等の行為をすべて処罰する趣旨だとすれば、違憲の疑いを免れないという趣旨に沿ったもので、労働基本権尊重と調和する解釈するときは、あおり行為等の対象となる争議行為について強度の違法性が必要であり、かつ、あおり行為等についても、争議行為に通常随伴する行為を除く、違法性の強いものであることを要すると解すべきであるとした。

 最高裁は昭和48年石田和外コート末期に、中郵判決反対派が多数を占めるにいたり、「通常随伴行為不罰論」は、以下の2判例で判例変更されている。非現業国家公務員に関して●全農林警職法事件・最大判昭48.4.25刑集274547は「あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして、国公法上不処罰とされる争議行為自体と同一視し、かかるあおり等の行為自体の違法性の強弱または社会的許容性の有無を論ずることは、いずれも、とうてい是認することができない。‥‥このように不正確な限定解釈は、かえって犯罪構成要件の保障機能を失わせることになり、その明確性を要請する憲法31条に違反する疑いすら存する」と批判し、非現業地方公務員に関して●岩教組学力調査事件・最大判昭51.5.21刑集3051178はより踏み込んで、「原判決は、労働組合が行う争議行為は、組合幹部による闘争方針の企画、立案に始まり‥‥上部機関から下部機関ないしは各組合員に対する指令、指示の発出、伝達となり、その間組合機関や組合員相互間のさまざまな行為が集積した結果として遂行されるのが通常であり、争議遂行過程におけるこれらの一連の行為は、集団的行為としての争議行為に不可欠か又は通常随伴する行為であるところ、これらの行為は多くは争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる行為等に該当することとなるから、これらの行為者を罰することは‥‥‥争議行為を全面的かつ一律に禁止することとなって不当であると論じているが‥‥争議行為の遂行の共謀、そそのかし、あおり等の行為は‥‥具体的、現実的な争議行為に直接結びつき、このような争議行為の具体的危険性を生ぜしめるそれを指すのであって、このような共謀、そそのかし、あおり等の行為こそが一般的に法の禁止する争議行為の遂行を現実化させる直接の働きをするものなのであるから、これを刑罰の制裁をもつて阻止することには‥‥不当はないのである。原判決は‥組合大会の決議等に従って指令を発するような行為は、組合規約上の義務の遂行としてされるものにすぎず、争議行為に不可欠か又は通常随伴するものとして一般組合員の争議参加行為とその可罰的評価を異にすべきものではないとも論じているが、組合の内部規約上の義務の履行としてされているかどうかは、当然にはそそのかし、あおり等の行為者の刑事責任の有無に影響すべきものではなく、右の議論は、ひっきよう、労働組合という組織体における通常の意思決定手続に基づいて決定、遂行される違法な争議行為については、実際上、当該組合の何人に対しても個人的な責任を問うことができないということに帰着するのであって、とうてい容認することのできないところといわなければならない。したがって、地公法614号(現62条の2)の規定の解釈につき、争議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して、前者のみが‥‥同号にいう争議行為にあたるものとし、更にまた、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為についても、いわゆる争議行為に通常随伴する行為は単なる争議参加行為と同じく可罰性を有しないものとして右規定の適用外に置かれるべきであると解しなければならない理由はなく‥いわゆる都教組事件(最大判昭44.4.2刑集23-5-305)は、上記判示と抵触する限度において、変更すべきものである」。

 この事件で「そそのかし」「あおり」と認定している行為は、「校長も組合員の一人であるから、組合の方針に従ってテストを実施しないことに協力してくれ。テスト責任者を命ぜられてもこれを返上するようにしてくれ。」等と説得。(そそのかし)40名の小、中学校長に対し、「校長も組合員だから、組織の決定に従ってテスト責任者を返上し、テスト拒否にふみ切って貰いたい。」等と力説強調(あおり)。50名の小、中学校長に対し、「今度の学力テスト阻止闘争は指令六号によってやって貰いたい。テスト責任者を返上しテスト補助員を任命するな。」等と力説強調(あおり)。

 この後も最高裁は「あおり」の構成要件該当性について、組合側の限定的解釈の主張を否定している。

  • 日教組スト事件・最一小平成元.12.18刑集431388は、日教組の昭和49年春闘411日一日ストにつき、地方公務員法614号(現62条の2)のあおりの罪により、当時の日教組委員長を懲役六月、また都教組委員長を懲役三月、いずれも執行猶予一年に処した原判決を支持した。

 都教組委員長が地方公務員法614号の「あおり」と認定された行為は、関係役員らと共謀の上、329日ころから48日ころまでの間、329日に日教組本部名義で発出された指令の趣旨を傘下の小・中学校教職員多数に対し伝達し、43日に開催された第一回都教組支部長・書記長会議において、「74春闘一日.半日スト行動規制」及び「‥ストを成功させるための取組みの基本」と題する都教組執行委員会名義の文書を配布して11日の同盟罷業に際し組合員のとるべき行動を指示し、3日ころから10日ころまでの間、右指示の趣旨を傘下の小・中学校教職員多数に対し伝達したということである。

 組合側の上告趣意は、あおりはもっぱら感情に訴える慫慂行為を指し、感情に訴える要素のないものはこれに当たらない、「あおり」はそれ自体において、真に右争議の原動力となるものであることを要する等、あおりを限定的に解釈すべきという構成要件該当性を争ったが、最高裁はこの上告趣意を退けた。

 なお、本件下級審判例は、「二重の絞り」に代えて「あおり」等の意義を限定する試みを行っており、「原動力論」、「統括・指導者責任論」「具体的危険論」であるが最高裁はこれらについて回答せず、従来の大法廷判例を引用するのみであるから(畑尻剛判批『法学教室』117)、限定的解釈をとる必要はない。

  • 埼教組事件・最三小判平2.4.17刑集4431は、埼教組執行委員長の指令及び指示の趣旨の伝達を「あおり」と認定し、あおりの罪が確定した。

 本件も下級審で「あおり」を「高度の危険性」「組織的統制力を背景とした指令」に限定する試みがあるが(横坂健治判批『法学教室』119)最高裁は無視して、従来の大法廷判例を引用するのみである。

 

 最高裁が「あおり」の限定解釈を退けている以上、端的に行動指令の発出伝達、スト実施体制確立のための説得慫慂活動、集会などの演説行為、示威行為は、ことごとく「そそのかし」「あおり」である。そして岩教組学力テスト事件が説示するとおり、本部指令には、内部規約により支部分会の執行役員は従う義務があるとしても、内部規約の義務履行であることが、「あおり」「そそのかし」の違法性の評価に影響を与えるものではない。

 つまり水道局で毎年恒例となっている中執によるオルグ演説、役員の執拗なスト権一票投票の呼びかけ、勤務時間内職場離脱決起集会動員指令、集会それ自体。示威行為、昼休み集会や頭上報告による、ストライキ配置、戦術の説明、経過報告、指令伝達、職場離脱集会の呼びかけ、超勤拒否闘争の呼びかけ、ストライキ時のピケッティング、スト集会での演説すべてが地公労法111項後段違反行為である。

 東京都ではやらないが、地方公共団体で「あおり」「そそのかし」を理由にした処分例としては一般職の場合だが、北九州市病院局事件・福岡地判昭5557判時980「原告Wは現地闘争本部闘争委員会の闘争委員であり、その立場から(昭和43年)12月一四日のスト方針の決定に関与したこと、同月12日午前11時ころおよび翌13日午後440分ころ市役所本庁衛生局総務課室内で、総務課職員に対していずれも約10分間、病院、水道事業の再建計画に反対しストに参加するよう演説して呼びかけをしたこと、‥‥同月14日のストの際には始業時間である午前9時から職場を離脱してその職務を放棄したことが認められ‥‥右行為は、同盟罷業を企て、その遂行を共謀し、そそのかし、あおり、かつ同盟罷業を行ったものというべきであり、地公法371項前段、後段に違反する」。ストライキ参加の呼び掛けは「そそのかし」「あおり」で懲戒事由になる。

 地方公営企業で「そそのかし」「あおり」が懲戒事由となった例としては、北九州市交通局(昭和441113日事件・昭53427判タ366だけを引用する。

 「被控訴人Nは午前4時頃バス出入口でたき火を準備し、労組の旗を立て、N委員長は一番バスの出庫時間の午前430分前に市職労ニユースカーを右出入口を閉鎖する形で駐車させ、組合員らにその位置に集るようよびかけ、もつて右出入口を閉鎖し、被控訴人Nは右出入口で集った組合員らの音頭をとつて労働歌を斉唱させ、集会を司会し開会宣言を行った。その後、N委員長のあいさつ等の間、被控訴人N、同Nは阻止されたバスの前面に立ち、被控訴人Kは集会のためマイクのアンプ操作をし、かくして、右被控訴人らは午前6時まで当局側の退去要請を無視して定期バスの出庫を阻止し、争議行為を指導した。‥‥本件争議行為は威力をもつて業務の遂行を妨害する違法不当なものであつて、このような違法な争議行為をすることを組合内部において決定したとしても、法的拘束力をもつことはなく、‥‥組合役員として従う義務はないものであり、‥‥かかる争議行為をあおり、そそのかしたことを理由に懲戒処分をされたとしても、組合の自主的意思を侵害‥‥を破壊することにはならない。‥‥組合の書記長あるいは執行委員であるといっても‥‥単に組合内部の業務の分掌にすぎず、‥‥責任を云云されるべきいわれはない旨主張するが、本件は‥‥北九州市交通局の業務を威力をもつて妨害した違法な争議行為であり、これを企画、指導した被控訴人らが、組合内部の業務執行を分掌したにすぎないとして責任を免れる理はない‥‥」。

 国家公務員の争議行為につき「そそのかし」「あおり」を理由として懲戒処分を適法とした判例は多数あり通例である。

 都の管理職が取り締まらないのは、判例変更された都教組勤評事件・最大判昭44.4.2刑集235305や全司法仙台支部事件・最大判昭44.4.2刑集235685の争議行為の「通常随伴行為不処罰論」に依拠する確信的左翼体質か、組合の言いなりになるのが管理職の処世術であるためかいずれかであるが、違法行為を放置している実態は、保護法益の住民全体の利益に背馳しているので、厳正な対処に改革することを提言する。

 

7 休憩時間の集会について誤った法解釈をしている東京都の管理職

 

 平成16317日の公営企業委員会で、後藤都議が頭上報告は職務専念義務違反ではないかと指摘したことから、東岡職員部長の通知により、頭上報告については警告し、賃金カット(月間累積でせ0分以上の職務離脱)とする方針、消極的ながらも示した。

 昼休みや時間外なら問題ないとの方針になっている。そもそも頭上報告の演説内容に、スト批准投票の呼び掛け、指令や闘争課題の説明、大衆行動の呼び掛け、アジ演説もあり「唆し」「あおり」に当たる違法行為であるケースが多く、囚われの聴衆の状況での演説のため、職務専念を妨げる秩序をみだす行為であることを捨象していて、時間外なら組合活動は許されるものとなっている。

 それゆえ現場の管理職も闘争指令下の「昼休み集会」を是認する構図になっている。

 

 平成21年水道局中野営業所長[のちに職員監察指導課長、労務課長に栄転、現在は退職]昼休みの組合活動は労働基準法第34条第3項により規制できないと断言した。令和元年新宿営業所長も闘争指令下の二度にわたる給水課分室執務室での集会容認を断言した。

 休憩時間の自由利用という労基法の規定は、施設管理権を否定するものではない。都との管理職は、以下の最高裁を含む多数の判例を無視し、庁舎の目的外使用を安易に容認しているが、それは組合側の受認義務説に立っているためで、法の解釈を誤っているのである。

  • 米空軍立川基地出勤停止事件・東京高判昭40.4.27労民集162317は、全駐労組合員10名が、米軍の許可なく休憩時間中に基地内の食堂、休憩室等で職場報告会等の組合活動を行ったことを理由とする出勤停止処分を適法とした。使用者は、労働基準法第34条第3項の規定により、労働者に対して休憩時間を自由に利用させる義務を負うが、使用者がその事業施設に対する管理権を有する以上、右権利の行使として施設内における労働者の休憩時間中の行動を規制しても、それが労働による疲労の回復と労働の負担軽減を計ろうとする休憩制度本来の目的を害せず、かつ右管理権の濫用とならないかぎり、違法ということはできないと判示。
  • 日本ナショナル金銭登録機懲戒解雇事件・東京地判昭42.10.25労民1851051も同趣旨の判断を示している。

 理論的説示のある最高裁判例は2つあり、●米空軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29訟務月報212421頁は 「一般に労働者は、休憩時間中といえども、その勤務する事業所又は事務所内における行動については、使用者の有する右事業所等の一般的な管理権に基づく適法な規制に服さなければならない‥‥‥管理権の合理的な行使として是認されうる範囲内における規制であるかぎりは、これにより休憩時間中における労働者の行動の自由が一部制約せられることがあっても、有効な規制として拘束力を有し、労働者がこれに違反した場合には、規律違反として労働関係上の不利益制裁を課せられてもやむをえない」と判示した。

 続いて●目黒電報電話局事件・最三小判昭52.12.13民集317974が「休憩時間の自由利用といってもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない‥‥局所内において演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、休憩時間中であっても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあって、その内容いかんによっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるのであるから、これを局所管理者の許可にかからせることは、前記のような観点に照らし、合理的な制約ということができる。」としており、本件は政治活動の事案だが、その判旨は組合活動判例でも引用されており、指導的判例というべきである。

 休憩時間の組合活動につき、企業秩序をみだすおそれのある行動を規制したとしても、労働基準法第34条第3項違反とならないことは明白なのである。

 くどいようだが、同趣旨の下級審判例として、●国労兵庫支部鷹取分会事件・神戸地決昭63.3.22労判517のほか、●大日本エリオ事件・大阪地判平元.4.13労判538は「本件署名活動はその趣旨説明、説得を伴っていたことが認められる。そして、休憩時間中においては他の労働者が休憩時間を自由に利用する権利を有していることが尊重されなければならないから、これを妨げる行為を当然にはなしえないと解すべき」として譴責処分を是認している。

 その他休憩時間.就業時間外等の組合集会等で正当な行為とされなかった事例

  • 三菱重工事件・東京地判昭58.4.28労民集343279(昼休み集会は協約違反)
  • 全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20判時1102は、無許可の休憩室あるいは予備室を利用した職場集会に対する郵便局次長らによる解散命令及び監視行為は不当労働行為に当たらないとする原審の判断を支持したものだが、理論的詳細は東京高判市昭55.4.30労民集312544にあり、解散命令が行われた集会というのは以下の2件である。

 集配課休憩室-休憩時間中の全逓組合員約7080名が昭和40510日午後035分ごろから

 年賀区分室-67515分ごろから545分ごろまで。611日午後020分~055分ごろまで

 いずれも、休憩時間か就業時間外の時間帯だが、年賀区分室の集会について職制は勤務時間中の者がいるかを監視しており、勤務時間のシフトで勤務時間中の者もいる時間帯といえる。

  • 池上通信機事件・最三小判昭63.7.19判時1293(無許可施設利用集会の強行)
  • 日本チバガイギー事件・最小一判平元.11.19労判533(工場は勤務終了後だか事務棟は時間内の施設利用拒否)
  • 国鉄清算事業団(東京北等鉄道管理局)事件・東京高判平4.2.9労判61729(無許可非番者集会)
  • オリエンタルモーター事件・最二小判平7.9.8判時1546(無許可従業員食堂利用)

 このように職務専念義務違反にならない休憩時間の勤務終了後の集会の利用の拒否、中止・解散命令が不当労働行為に当たらないという判例は数多あるのに、都の管理職が労働基準法34条第3項により、違法行為を伴う組合集会でも拒否できないというような判断をとっているのは組合側の勝手な出張に従っているためと言うほかない。

 

(三) 三六協定破棄闘争の対応は法の解釈に疑問が多く見直す必要がある

各論(Ⅵ)三(七)109頁を結論とする。

 

 地方公営企業は労働基準法が全面適用されるため、36条により法定労働時間(18時間、週40時間)を超える時間外労働や、休日労働を従業員に命じる場合、過半数組合と協定を結んでいる。

 水道局と過半数組合である全水道東水労の時間外に関する協定(三六協定)では1年おきに更新されるが、第10条で「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という組合が一方的に破棄できる条項があり、令和6年度は、1115日、1219.20.21日、123日、311.12日を指定して超過勤務拒否闘争を実施した。近年では年間10日を超えることはまずないが、毎年恒例であるほか、業務手当闘争のあった平成16年には9日間連続の破棄闘争など長期の超勤拒否闘争を行った。

 ストライキ時と同様、水の供給、突発事故対応に支障がないようにするため保安要員は適用除外といっても、保安要員を置くことを自体がすでに正常な業務運営ではなく、当局は事実上労働協約で地公労法111項違反を容認している。

 第10条の設けられた経緯は不明だが、現場締結させると未締結で放置されかえって混乱し、組合中央で制御している今の在り方の方が管理しやすいということだろうが、問題はある。

 三六協定未締結による超勤拒否は昭和20年代から国労や全逓が得意としていた遵法闘争であるが、実質職制麻痺闘争であることは同じ。

 この闘争の最大の目的は、業務を遅滞させることでも、職制に業務を押し付ける嫌がらせでもなく、職制の権限を麻痺させて、ストライキ決行に向けて職務命令をさせない口実にして争議行為を有利に進めていくことにある。スト前日から当日の職制のスト対応を麻痺して職務命令させないためである。組合役員は繰り返ししつこく職制や職員すべてに対し、業務命令権が消滅したとして、超過勤務をしないよう号令をかけている。

 局はこの闘争を全面的に適法とし争議行為に当たらないとの見解をとっているが疑問である。組合側のいいなりとなり、職務命令しないこと組合役員と協力して残業させないよう職員を管理することがコンプライアンスとなっている。

 また、経常業務で時間外にやる業務を、組合は管理職におしつけ、組合役員の命令で管理職が仕事をやらされている実態もある。これは国労が助役に仕事を押し付けるやり方と同じであり、現場の組合役員を増長させている。

 主要な論点は2つある。第一に当局が争議行為ではなく適法としている疑問だが長文になるため各論(Ⅵ)三95  頁で取り上げる、第二に当局が、当局は三六協定未締結の状況では、勤務時間外の管理職の労務指揮権は消滅するという考えを受け入れ、当局は具体的に超勤命令禁止を管理職に指示しているが、判例は、労基法上違法でも管理者の労務指揮権は否定されないものとしているから、対応の見直しが必要である。この論点について概要を述べる。

 労働基準法違反の時間外労働であっても職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当することにつき最高裁判例がある。●春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件最二小判昭48.5.25刑集2751115は昭和39415日、三六協定未締結で春闘対策本部に召集された労務課の非組合員が労働基準法32条に反し18時間以上就労の時間帯に列車車体鋼板のビラ剥がし作業をしていたしころ、春闘支援で動員された組合員らに半円状に取り囲まれ激しい抗議を受けたが、ビラ剥がしを続行したため、全電通組合員が、手拳で顔面を強打し全治六日の傷害を負わせた事件につき、上告審は、公務執行妨害罪を無罪とした原判決を破棄自判した。

 「労働基準法三二条一項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥本件職務命令に右強行規定の違反があつたとしても‥‥就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない‥‥労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといって、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げない‥‥」との説示である。

 また●動労糸崎駅事件・広島高判昭和48.8.30判タ300上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)は、昭和381213日全国7拠点の動労の19時より2時間職場集会決行に際し、当局は三六協定未締結であってもスト参加者の代替要員として指導機関士を糸崎に召集、代替乗務を命令された機関士の糸崎発呉行列車乗務を妨害するため、動労岡山地本津山支部執行委員長が運転室を占拠し、引率した組合員、他の支援組合員百数十名にスクラムを組むマスピケを指揮して列車運行を妨害した事案、●名古屋中郵第二事件・最二小判昭53.3.3民集32297は、昭和34123日名古屋中央郵便局と全逓支部は三六協定未締結で、年末首繁忙期の取決めもなされていない状況で、局長は名古屋郵政局と協議のうえ小包臨時便の滞貨の解袋作業につき全逓組合員とアルバイト学生に業務命令した。被告人、全逓中央本部執行委員、愛知地区本部執行委員長、名古屋中央郵便局支部長は、組合員は臨時便を取り扱う義務がないとして、管理者側の臨時便郵袋搬出作業に対し、組合員2030名がスクラムを組んで立ち塞がって業務を妨害した事案があるが、双方とも一審は、組合側の主張を認め無罪だったが、糸崎駅事件二審は久留米駅事件方式、第二名古屋中郵事件上告審は、名古屋中郵事件方式の判断枠組みである「法秩序の全体的見地から」業務妨害罪の成立を認めていることから、三六協定未締結でも時間外の業務命令は有効であり、東水労組合役員の主張のように三六未締結では、時間外の職制の労務指揮権が消滅し、組合が職場を支配できるという法解釈は疑問である。

 国鉄は三六協定未締結でもストライキ時は業務命令していたし、郵政も法内超勤は違法ではないとの見解で、名古屋中郵第二事件のように、局長が郵政局と協議し警察とも連絡をとったうえで、業務命令することがある。したがって違法であっても必要な業務命令は行うなどの対抗策を講じるべきである。

 なお労基法33条により災害時は未締結でも業務命令できるが、それは周知されていない。能登地震被災地派遣には時間外労働協定の労働時間制限を超えて業務命令できることは、国会でも厚労省が答弁していることであるが、能登地震派遣も時間外協定が適用される前提で超過勤務について派遣職員に助言している組合役員がいた。

 1400万都民と首都中枢機能のライフラインを担う企業でありながら、職員が組合の思想で洗脳され、いつでも三六協定を破棄して管理職が時間外の労務指揮権を組合に奪われて当然という職場風土は改革が必要で、各論三96頁以下で掘り下げて検討したうえ、対抗案(七)結論109頁を提案する。

 

(四) 組合役員のスト待機、セキュリティ破りの容認、保険の勧誘の要認

 令和2年に緩かった水道局庁舎管理規程が知事部局と横並びで改訂され詳細な規定となったのは、組合対策かオリパラを控えて警備のためか不明だが、都は本庁も含め、庁舎管理は非常に緩かった。平成17年の業務手当闘争期に、たまたま交換便搬送業務の代務で本庁に出張したとき、NSビルとの間の半地下の広場の恒例の職場離脱勤務時間内組合決起集会と遭遇し、鉢巻きをし、組合旗は持った組合員が、庁舎内になだれこんで、練り歩き、示威行進をしているのを目撃しているが、監視も退去命令もいっさいない異常な緩さであった。その後本庁はテロ対策でセキュリティゲートが設置され、本庁の警備は厳重になっているし、組合決起集会も半地下広場からふれあいモールに移されている。

 しかし出先の事業所は依然として庁舎管理は緩い。

 現在勤務している職場では庁内管理規程第5条の禁止事項に「八 寄附金の募集、物品の販売、保険の勧誘その他これらに類する行為をすること。」があるのに、保険の勧誘・営業活動を昼休み、廊下やエントランスで許可しており、複数の保険会社の勧誘員が廊下に立っており声をかけている。これは私が中野営業所に勤務していた十年前以上から苦情を言っているが、管理者は庁舎の目的外使用許可として不適切という認識は全くない。

 ストライキが配置される前日、当局の最終回答に対し、ストを決行するか、中止するかの判断を中央委員会で行うが、ストの前日からスト当日は必ず、三六協定を破棄するのは、出勤時限前の業務命令をさせない口実にするためであるが。深夜より翌日未明にかけて、組合役員が「スト待機」と称し、セキュリティを破ってスト準備のため事務室内の出入りや仮眠を認めている。ストが決行される場合、ビラ貼りや組合旗、横断幕などスト集会の準備をするためでもある。紙ではあるがICカードリーダを封鎖するという工作もなされる。当局は庁舎から非組合員は締め出そうとする一方、組合役員にはスト準備という違法行為目的の建造物侵入を既得権として容認している実態がある。

 組合にセキュリティ破りの特権を与えるのは疑問で、先に述べた通り建造物侵入罪を成立させるようにすべきである。

 当該事業所勤務でない職員が、争議行為(地公労法違反行為)目的で事業場庁舎内構内に勝手に出入りするケースとして、本部中執、本部委員、支部で他の分会役員によるオルグ、ピケッティング等の活動、または闘争終了後の支援の御礼演説、支所別勤務時間内決起集会参加のため下水道局を含む事業所の職員の動員等があり、これらの業務上の所用で出張しているわけでなく、庁舎構内に立ち入っている職員は、退去命令すべきである。平成26年の入札情報を水道局OBが不正に入手した入札妨害事件の再発防止として、執務室に入場する部外者に対し入室受付簿を設け記入させているが、組合役員のオルグ活動での出入りはフリーパスとなっている。

 

二 全水道東水労の争議行為対応について

 最高裁判例で否定されたプロレイバー学説に依拠し、争議行為を違法であっても正当業務として扱っている異常な労務管理をやめ、国の省庁の行政実務に准じた対応に改めるべきである。

 

  • ストライキ時就業命令をやらない組織ぐるみの方針を是正すべし 

1 国の省庁はスト当日の就業命令を重視するが東京都は一切やらない

 全水道東水労の直近の同盟罷業は令和元年1220日の1時間ストライキである。新宿営業所で、スト集会は、営業所分会と給水課分会が合同して40名程度で始業時から930分近くまで実施され、営業内検針担当エリアに、組合旗を掲出、ビラを壁面に貼り、約40名が占拠し座り込む形でなされ、支部組合役員の○○、○○、○○と給水課一名が、司会、交渉経過報告、ストライキの意義について演説、決議文朗読、頑張ろう三唱などを行った。

 新宿営業所長の○○はスト参加の組合員に対し、中止・解散・退去・就労命令はいっさい行っていない。

 また役員の○○は、紙で塞いだICカードリーダ前に立ち、非組合員に出勤記録を入力しないようピケを張り、私を所内から出るよう指図して、違法行為を強度に慫慂したが、これらの地公労法111項違反行為、外形上威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為(悪質な大恐慌時代米国のシットダウンストライキの態様に近く、刑事免責がないので当局が職場占拠を容認しなければ犯罪は成立する-指導判例である名古屋中郵事件最大判昭52.5.4の判断枠組み参照)に対して、いっさい中止.退去命令、就労命令等を行っていない。

 私は○○所長にスト集会参加者に就労命令すべきと進言したがやらない。集会での演説者など現認検書を上申すべきだと進言したが、やらないと断言し、業務阻害態様の集会を是認した。

 平成221210日の1時間ストライキで、中野営業所では駐車場でスト集会(ウォークアウトなので新宿より悪質ではない)をやったが、○○所長は職場復帰命令をしていない。平成26124日の1時間ストライキも、中野営業所は駐車場で集会、○○所長も職務命令なし。

 管理職が職務命令をやらない理由は、職員部監察指導課長名での庶務担当課長あての文書の指示では、スト参加者の人数と、集会場所を報告することになっているが、国の省庁のように当日の就業命令を指示されておらず、指導的役割を果たした者、率先助勢者の現認、監視、写真撮影等、懲戒処分の前提となる現認検書の上申も指示されていないためである。

 水道局は初めから取り締まる気はさらさらないため、スト対策本部など立ち上げることは全くない。

 2通の文書が庶務担当課長宛てに形式的に通知されるだけである。水道局長名で庶務担当課長宛ての文書は建前上、地公法30条を引用して服務規律維持の確保を示達するもので、それを受けるかたちで「服務の示達」について、職員部監察指導課長が、庶務担当課長あての文書で具体的な指示をするが、警告していることが確認できるのは、水道局長名で全水道東水労執行委員長あての中止の申し入れだけであり、各事業所の支部分会役員には中止の申し入れを指示しているが、文言、形式(口頭か文書交付す)も決まっておらず、実際行われていることは確認できない。国の省庁では必ず行っている、職員一般に同盟罷業は違法行為なので必要な措置をとるなどの等の事前警告は行われない。実際はストライキに協力するのが通例である。

 なお営業所ではスト当日は外部の管理職が一人派遣されるが、ストの取り締りや監視のためでなく、職員の代務として窓口・電話対応するためである。これも組合が業務は管理職対応とし、職員を使って業務をさせない指図にしたがっているためである。

 東京都は公然と組合側の論理に従った実務なので職務命令はやらない主義になっている。

 代表的なプロレイバー学説として籾井常喜「使用者による争議責任追及の限界」季刊労働法451962があるが、「争議中にあっては、労働者には、使用者の指揮.支配から公然と離脱する権利が保障されているのである。したがって、争議中、組合の統括のもとでおこなった組合員の行為にたいしては、使用者の労務指揮の権限が及ぶいわれはない」とする。

 東京都の管理職はこの学説を信奉しているようだが、神戸税関事件最三小判昭52.12.20以降累次の判例で就業命令ができないと言う学説は明示的に否定されていることである。

 国の行政実務では同盟罷業(ストライキ)決行当日の就業命令は必須であり徹底的に行っているので、東京都は対応が著しく異なる。例えば以下の判例である。

 

🔶就業命令をしている官公庁の例

運輸省 全運輸近畿陸運支部事件・最二小判昭60.11.8(一審大阪地判昭54.8.30民集3971408

昭和441113日に勤務時間に1520分食い込む職場集会での、経過報告、決議の朗読、演説、がんばろう三唱の音頭とりなどを行なった点において国家公務員法982項後段所定の「そそのかし」、「あおり」行為に該当すると原判決の判断を支持し、組合支部・分会役員の戒告処分を適法としているが(戒告処分に処せられた者43名の内訳は、全運輸本部役員1名、支部三役8名、分会三役34名。本件では各分会の集会を指導したもの1名に限定して処分)その前提となる当日の解散命令.職場復帰命令は以下のとおり徹底的にやっている。 

 〇兵庫県陸運事務所

兵庫分会(本所)における職場集会は、兵庫県陸運事務所玄関前横庭において、午前820分頃から同42分頃まで47名の組合員が参加して行なわれた。右大会の進行は、開会宣言から始まり、分会長原告Kがあいさつ及び職場大会の意義について約7分間演説を行い、その後書記長らから経過報告、メッセージの紹介、闘争宣言の朗読がなされ、がんばろう三唱し、労働歌を合唱して終了した。その間O総務課長は、分会長原告Kに対し、午前825分ころ「この集会は無許可であるからすぐ解散せよ」との、又、同36分頃「時間内にくい込む大会は違法であるからすぐ解散しなさい。」との解散命令を口頭で伝え、さらに同40分頃、全参加者に対し、プラカードに解散・職場復帰命令を記載して伝達している。  

 

厚生省 全日本国立医療労組事件・最三小判平14.11.26労判840(一審東京地判平11.4.15判時1724

平成31113日、全国の国立病院等(現在は独立行政法人)の支部において、11年ぶりに組合員約25,000人が、勤務時間に29分以内食い込む方針で職場大会を開催したが 「西多賀病院(仙台市)の事務部長Sは大会参加者に対し、勤務時間前の同日午前818分及び19分に、構内の無許可使用を理由に解散命令を発し、勤務時間に入った午前830分、31分及び36分の3回にわたり、本件職場大会は時間内の職場大会で違法であるとの理由による解散命令及び就業命令を発したが、大会参加者らはこれを無視して本件職場大会を敢行した」とあり、国の省庁では就業命令は必須の義務である。

 

 旧郵政省では事前に職員に就労意思を確認し就労意思を表明しない職員に業務命令を発出している(昭和48427日(4時間スト)、昭和5012.8.18時間スト)熊本貯金局事件.熊本地判昭63.7.18、労判523)、国鉄末期の昭和61215日の千葉動労ストでは、津田沼機関区等が乗務員に対し「私は、昭和 年 月 時 分 私の意思で就労することといたします。ついては、組合のストライキ指令に従うことなく、駅(区、所)長の命令する業務に従事いたします。」との確認書を提出させている(国鉄清算事業団事件.千葉地判平5.3.15)。

 警告に加えて事前に職員に職務命令書を交付している例として北九州市の昭和431081時間スト(北九州市清掃事業局事件.最二小判昭63.12.9民集4210850)、北海道釧路支庁昭和41.10.21、昭43.10.8の事案(北海道釧路支庁事件.札幌高判昭56.2..29労民325231)などがあります。

 近年では、北教組の平成20120日の1時間ストがあるが、道教委は30分以上職務離脱者全員一律戒告処分としたが、地公労法111項が適用される単純労務職員が戒告処分を不当として救済を申立たが、道労委の平成23624日命令書(中労委データベース参照)に「129日、 G 養護学校の O 校長は、朝の職員打合せにおいて職員に対してストライキに参加しないよう指導し、所属長訓示を掲示の上、職務命令書を B を含む職員に手交した。」とある。本件は札幌高裁が救済命令取消、処分を適法とし、最高裁棄却。

 このように、国の省庁だけでなく、まともな自治体なら職務命令はやっている。東京都はまともじゃない。

 郵便局(全逓)や林野庁(全林野)のスト集会では庁舎構内でない会場が通例である。労働会館や公園その他の施設、社会党の議員宅前と神社の社務所などで、スト集会がなされることがあるが、その場合でも管理職は現地にいって職場復帰命令して、監視している。職務命令は当然である。

大蔵省 神戸税関事件・最三小判昭52.12.20(一審神戸地判昭44.9.24民集317-1164

 10月5日午前840分頃から本庁舎前で開かれた‥‥当局は、午前95分、(職場大会)中の約200名の職員に対して‥‥本庁舎総務課文書係事務室及び別館図書室のいずれも道路に面した窓から、「職場集会に参加中の職員各位に通知します。勤務時間内の職場集会は業務に支障を来たし、かつ、国家公務員法違反になりますから、直ちに職場において執務して下さい。昭和36105日午前95分神戸税関長遠藤胖」と記載した懸垂幕を掲出すると同時に、右各窓ぎわに設置した携帯マイクを使用して、文書係事務室から総務係長が午前910分頃まで繰り返えし、また図書室から人事係長が数回に亘り、右懸垂幕の記載事項を放送した。

 

北九州市清掃事業局小倉西清掃事務所事件・最二小判昭63.12.9民集42-10-880(一審福岡地判昭51.7.22民集42-10-940)

 地公労法附則5項によって地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法111項の争議行為禁止規定を合憲とし、昭和431081時間ストで勤務時間内職場集会指導し、当局の清掃車借用について抗議行動を行ったことなどを理由として、Y市労支部長、Z支部執行委員に対する停職三月とする処分を適法とした先例である。

 Yは右職場集会の主催者の地位にあって同事務所に所属する市労組合員にその参加を呼びかけ、司会をなした。Xは市労青年部が今後組合の先頭に立って活躍しなければならない旨演説しZは職務命令書を集約し一括して返却すること及び組合員に対して職場集会に参加するよう呼びかける。管理職に対する詰所への三回にわたる入室阻止行為(一審は認定せず)。副支所長のマイク放送抗議(Z以外は一審で認定せず)。清掃車を民間業者から借り上げたことへの抗議。Xが抗議の際所長の机上のガラスを叩いて破損した(一審は、元々ガラスはひびが入っていてセロテープが貼られていたと認定)

 本件は事前警告のほか職務命令書を交付しており、スト当日就業命令も行っている。職務命令書の一喝返還のよびかけは処分理由になっている。

 「10月8日午前815分前後にN副所長が事務所からマイク放送により職場集会をやめて職務に就くよう、三回にわたり繰り返し職務命令した。そこで原告Mは詰所二階の入口から事務所に一人で赴き所長に対し「組合が事務所に貸しているマイク放送の器材を使い職場集会を妨害するような放送をするならばマイクを引き揚げる」という趣旨の発言をしたところ所長は「あゝそう云えば組合から借りたものだから妄りに使えんじゃないか」といった。」とされ、組合のマイクを借用しているのは不手際といわざるをえないが、とにかく、マイクで就業命令はやっている。

 なお、本件は、X市労本部執行委員兼青年部長の懲戒免職は一審で事実誤認があるうえ過重な処分として取消されているが、小倉支部長と支部執行委員を停職三月は適法としたものである(当日の争議行為につき原告以外は1名減給、90名が戒告)。

 東京都の管理職は組合役員に平身低頭するが業務命令するなと言えば受け容れる恥知らずが多く、就業命令を一切やらない。就労命令がタブーという著しい左翼体質の職場である。組織ぐるみで業務命令をやらず違法行為に加担することこそ使命とされている。

 正常な業務運営を維持することが管理者の任務とされていないのは異常なことである。

 

2 最大の悪弊は東京都がストライキに対抗して操業行為をしないこと(組合に従い労務指揮権を放棄する)

 当局が業務命令をしない第一の理由は、ストライキに対抗して非組合員や脱落組合員に業務命令して操業の維持を図ることは許されないとする組合の指示に全面的に屈従しているためで、業務命令(職務命令)を一切行わず、全職員の同盟罷業参加によるストライキ完全防衛を組合と共謀して仕切ることこそ管理職の任務とされているためである。

 プロレイバー学説に争議時における操業=業務の運営について、操業の自由に否定的な学説(片岡曻、近藤正三、浪花源治、外尾健一、本田淳亮)がある

 争議行為は業務の正常な運営を阻害する行為という性格側面を持つから、もし操業の自由が平時におけると同様争議時にも法的保障を受けるとすれば、操業の妨害を通じて要求貫徹を図る争議権の構造を否定し、操業妨害の効果を減殺させる争議対抗行為を、使用者に争議権が保障されていないのに認めることになるという主張をしている。争議中、使用者は単に法的保護を受けない自由放任行為としての「操業の自由」を有するのみであるという。

 東京都はこのトンデモな組合側の論理に従って、争議行為に対抗する業務命令を絶対にやらないのである。ここに東京都の左翼体質の極致をみることができる。

 しかし最高裁は、私企業の操業の自由につき、山田鋼業事件・最大判昭25.11.15、朝日新聞西部支社事件最大判昭27.10.22といった初期の判例から一貫して認めていることである。

 正当なストライキであってもそれに対抗して、使用者が非組合員、スト反対派の組合員、第二組合員、臨時社員等を使って、操業を維持することが正当なことは、羽幌炭礦鉄道事件・最大判33.5.28刑集12-8-1694(争議続行決議に反対して脱退した組合員が結成した第二組合に加わった労働者+非組合員による操業)、横浜駐留軍事件.最二小判昭33.6.20刑集12-10-2250非組合員+争議に加わらなかった組合員による操業に対する就業の妨害につき威力業務妨害罪の成立を認める)等累次の判例により明らかなことである。

 さらに山陽電気軌道事件・最二小決昭53.11.15はバス事業者(現サンデン交通)において、私鉄総連系組合のストに反対する第二組合員の就労によるストライキ対抗措置としての操業行為は、完全に法的保護の対象となり、組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置を理由として業務性を失うことはない旨説示しているとおりである。

 水道局ではストライキといっても過去私が知っている限り2時間ストが最大で、過去7回のストライキは1時間ストにすぎないとはいえ、組合が使用者側の操業権を否定しコントロールすることは法外的である。

 そもそも、地公労法112項により作業場は閉鎖できないのだから、ロックアウトは違法。非組合員やスト反対の組合員は最低限就労させて操業を維持するのが筋であるし、ストに参加したくない職員の就労を拒むことはできないはず。

 下記の水道局のプレス発表は、2)の意味が分かりにくいので後段の(Ⅵ)各論二で説明するが、大筋で正直に書かれている。警告しているのは組合だけで、職員一般に警告していないことを明らかにしているといえるまた事務事業の支障防止とは、いわゆる「管理職対応」を組合から命令されていることを意味する。非組合員もふくめ全員がストに参加する前提となっており、就業命令をやっていないことも深読みできる内容といえる。

 マスピケで管理職を排除するストは全電通が行っていたが(長岡電報電話局事件.東京高判.46.4.1918条解雇となる極めて悪質なものといえる。東水労はそこまでやらないが、ストライキの完全防衛の管理職の協力を得ている実態にある。

令和5年12月19日付【東京都水道局プレス発表】

12月20日(金)の労働組合ストライキについて

1 組合の行動態様

(略)

2 当局の措置

1)組合に対する警告(組合執行委員長宛に違法行為・庁舎管理規程違反として警告しているのは事実。本部中央闘争委員が停職処分とする前提になるもの)

2)職員に対する服務規律確保の周知(局長が各部長宛に服務規律確保の示達をしているのは事実だが、各事業所では行われている訓示放送は、「違法行為なので必要な措置」をとると絶対と言わない偽装の訓示で警告ではない

3)管理職員による事務事業の支障の防止(管理職対応とは非組合員も含め就業命令しないことを意味する) 

 「管理職対応」とは組合用語で、管理職が非組合員等に業務命令させないで、管理職に経常業務等の代務を命令するというものである。この言葉は、平成231031日から4日間の昼休み当番拒否闘争でも分会長が頭上報告で、足立営業所監理団体移転の提案に抗議するため、昼休み当番を引き上げ「管理職対応」にしますと演説しているので、端的に争議行為を意味する。平成24717日に東京都の尖閣啓発ポスター(3つの島と海の写真.キャッチコピーと下部に寄付金口座や問い合わせ先が記載されたもの)が都の施設で6,000枚貼りだすことが報道され、都営地下鉄などでは17日から貼りだされたが水道局では組合が反発し「東水労ニュース」730日付によれば。東水労は尖閣ポスターに非協力の方針が記載されており、組合はポスターに協力せず、掲示も管理職が行い、都民からの苦情対応は管理職が対応するよう確認を願いますと書かれていた。組合の頭上報告でも「管理職対応」としている。中野営業所8月初旬エントランスで所長と分会書記長がなにごとか立ち話をしているのを見ている。○○所長は当時震災後の電力危機で蛍光灯を間引きしており、トイレの前で非常灯しかなく暗くて何も見えないところに掲示した。

 地公労法で争議行為を禁止する保護法益は、「住民全体の共同利益」と最高裁は判示しているが、東京都水道局は組織ぐるみで住民全体の保護法益を侵害し、操業維持をさせないという組合の不当な既得権を尊重している。「都民ファースト」では全くないのである。水道局長のコンプライアンス経営宣言とも矛盾するゆえ、就業命令を全職員に対して徹底するよう是正すべきである。

 東京都水道局はストライキ参加率のきわめて高い職場といえる。それは、当局が職員一般に対して「警告」も「就業命令」もせず、懲戒処分のおそれがなく事実上正当業務のように扱っているためでもあるが、職務命令書の交付などストの取り締まりをきちんとやっている自治体では、参加率はさほど高くない。例えば北九州市職員組合事件.福岡地判.56.8.24労民323513によれば、政治ストの昭和441113日の市労、市職及び市職労1時間30分スト(実際は早く終了)の参加者 門司区880名中330名(38%)、小倉区1760名中500名(28%)、八幡区1710名中340名(20%)、戸畑区2180名中440名(20%)と記載されている。北九州市の判例が多いのは、昭和42年に元国鉄幹部の谷伍平市長が、違法争議行為に厳正に対処することを公約して当選したためだが、その成果は出ているとみてよい。 

 東京都水道局は左翼人士にとってはホワイト企業といえるが、とんでもプロレイバー学説がルールで最高裁判例無視、イリーガルであってもある実態は、コンプライアンス宣言している企業に相当しない。抜本的に刷新すべきである。

 

3 労務指揮権を組合に奪われた平成26年の中野営業所監理団体業務移転阻止闘

(1)当局が争議行為と絶対に認定しない拠点だけの争議行為

 業務命令をしない第二の理由は、組合が承認しない非経常業務は、業務命令しないという日常の慣行の悪影響である。

 平成26124日ストが打たれ、決裂した後、組合は中野営業所監理団体業務移転阻止闘争のオルグ活動に入り、出向に相当する退職派遣を希望させない。人事課による派遣の説明会には出席させないことを組合員に徹底させたうえ、当局を交渉にひきずりこむという戦略の闘争だが、25日には○○本部委員がオルグ演説し、当日の人事課の説明会の入場を阻止するピケを張った。一方で、○○分会書記長が、移転業務の一つである固定資産、備品リストの照合業務のため来所したサービス推進部業務課担当者を、課長補佐に闘争の協力を指図する形で追い返し、事実上、本庁と中野営業所の合同業務を妨害をしたこと。

 課長補佐に対し○○は、移転業務に協力するとあなたの立場は悪くなりますよと脅しのようなことを言っていた。

 さらに○○は所長の○○に対し移転関連業務の業務命令をしないよう強要したことがある。

 移転関連業務が進捗しないから、4月移転は無理ということになり、組合の主張がとおって7月移転に延期したのである。

 所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。

 事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応と業務命令するしかないはず。

 組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。しかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。

 本庁業務課では管理職が業務命令できると思っているのかもしれないが、それが通用するのは本庁部局内部のみと思われる。出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権・施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。

 むろん所長も中野営業所が業務移転の対象となっていることは事前に何も知らされておらず、現場との打ち合わせもなく、ストライキ後も闘争は継続しているのに、組合の労務指揮権の干渉をさせないために、管理職を派遣して支援するとか、特別監察チームを派遣してもよいはず、それは何もない。本局は争議行為の取り締まりをしない方針だから現場の管理職も管理意思を示すことができないといえる。

 以上、○○本部委員や○○分会書記長の行為は、正常な業務運営でなく地公労法111項違反行為であるが、職員部当局は全く問題視していない。124日のストは処分を終えており、争議行為は終わったものと認識しているのが大間違いである。本部中闘指令の同盟罷業と動員集会等というスケジュール闘争だけ争議行為と認識し、特定拠点の争議行為は放置が職員部当局である。

 こうなってしまうのは、スケジュール化された争議行為でいっさい職務命令をやらない慣行がきいているのである。日頃から違法行為の抑止、職務命令という国の官庁ではあたりまえのことをやってないので、交渉決裂後の業務命令のような修羅場の状況でも組合のいいなりになってしまう。組合によって労務指揮権を凍結されられる状態は、正常な業務運営ではない。本部中闘以外懲戒処分にしない方針から、実際に争議行為を指導している本部委員や分会役員はなにをやっても責任は問われないという方針が、非常に大きな悪影響を及ぼしている。

 

(2)本庁の方針は各事業所で捻じ曲げられるのはしばしばある

本件はメインの主題から外れるため註記とする[ii]

 

 

(二)違法争議行為の内部統制権は否定されているのに統制権を事実上認めている重大問題

 

 東京都の管理職が就業命令等をやらない別の理由として、違法ストライキであっても団結統制権で、組合の決議で、組合員を争議行為参加に拘束できるという考え方を事実上受けいれているという問題がある。

 全水道東水労スト権一票投票は、毎年11月初めに、11月半ばの都労連闘争と、12月の局内合理化闘争、2月末に3月の春闘につき行われて、いつも95%以上の高率で批准されるのが通例である。投票用紙の裏面は誓約書になっていて、ストライキが批准されたら、団結して本部指令に従って行動しますと言う趣旨の文言がある。

 組合側の主張は、団結統制権により組合員をストライキ態勢から離脱しないよう拘束している。組合役員のスト指導は、指令にしたがって組織の義務として行っているもので、個別責任は問われないというものだが、当局は鵜呑みにして、事実上闘争期間組合の支配下にある各職員に業務命令はできないものとしている。

 私企業のユニオンショップとは違って、争議行為は違法なので、組合員でも本部指令に服従する義務はない。東京都は非組合員ですら事実上指令に従わせ就労を認めようとしないから異常である。組合に違法行為を強制する強い権力を与えている点で誤っている。

 違法争議行為の内部統制権は最高裁判例によって否定されている。〇国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29101634は組合の統制権について理論的に説示し「公労法に違反して行われる争議行為とこれに対する組合員の協力義務関係について考察する。同法違反の争議行為に対する直接の効力(争議行為の参加)については、これを組合員に強制することはできないと解すべきである。禁止違反の争議行為の実行に対して刑罰や解雇等の不利益な法的効果が結びつけられている場合に、その不利益を受忍すべきことを強いるのが不当であることはいうまでもなく、また、右のような不利益を受ける可能性がない場合でも、法律は公共の利益のために争議行為を禁止しているのであるから、組合員が一市民として法律の尊重遵守の立場をとることは是認されるべきであり、多数決によって違法行為の実行を強制されるいわれはない。‥‥」

 これだけでなく争議行為にも刑事免責を認めた中郵判決が維持されていた時期に、争議行為に可罰的違法なしとしながら、三公社五現業に適用される公労法171項違反の争議行為については、組合員であれ、争議行為の勧誘、説得を受忍する義務はなく、違法争議行為参加を団結統制権により拘束されないとして、内部統制権を否定する説示のある昭和47年から下記7判例があり、そもそも統制権の及ばない非組合員も同じことである。

  • 全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20

(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却) 

 全逓の2時間の同盟罷業それ自体は中郵判決に従って可罰的違法性なしとしながら、全逓の要請で神奈川地評が動員したスト支援者の約200名のマスピケは争議行為に付随する行為として別個の法的評価をとり、機動隊に暴力をふるった2名の公務執行妨害罪の成立を認め以下のとおり説示している。

 「公共企業体等の職員および組合は公労法一七条一項により争議行為を禁止されているのであるから、組合自身も組合員もこれを行なつてはならない義務を負っているこというまでもない。それゆえ、組合としては組合員に対して同盟罷業への参加を強制することのできない筋合いのものであり、これを組合員の側からいえば、各組合員は、法に従うべきであるという建て前からも、また自らが解雇等の民事責任を負わないためにも、組合の指令にもかかわらず、同盟罷業に参加することなく就業する義務を負うとともに権利を有するものである。‥‥公共企業体等の組合がたとえ同盟罷業の決議をしても、その決議は違法であって民間企業の組合の場合のように組合員に対し法的拘束力をもつものではなく、組合員としてはその決議に従わずに就業しても、特段の事由のないかぎり組合の統制に対する違反ないしはいわゆる裏切りの問題は生じない‥‥同支部所属の各組合員が原判示当日出勤就業しようとしたことも正当な行為であって、組合側としてその入局を実力を用いてまで阻止することを正当ならしめる特段の事情があったものとは認められない。」

  • 動労糸崎駅事件 .広島高判昭48.8.30

(上告審最一小決昭51.4.1棄却)後述

  • 国労岡山操車場駅.糸崎駅事件.広島高判昭48.9.13 
  • 国労尼崎駅事件.大阪高判49.4.24判時73440

(上告審-最一小判昭52.10.20 刑事裁判資料230812頁 棄却)

  • 動労鳥栖駅事件.福岡高判昭49.5.25判時770113

(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)後述

  • 国労東和歌山・和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19

 「国労が企てた本件ストライキが違法なものであることは明らかであり、組合がストライキの決議をしたとしても、組合員に対してストライキへの参加を求めることは組合の統制権を理由としても違法であることに変りはなく、組合員は組合の要請に従ってストライキに参加すべき義務はなく、就労の意思をもって出務している場合においては、その受忍義務のないことは一層明白であって、まして組合は、非組合員に対してストライキへの参加を強制すべき権能を有するものではない。‥‥これらの組合においては、争議行為が禁止されていることのために、違法性阻却が認められる範囲も、争議行為が禁ぜられていない民間企業の場合に比較して自ずから限定されたものとなることもやむを得ないものといわなければならないところ、本件におけるピケッティングが、前記のごとく非組合員あるいはもともとスト対象にもなっていなかつた者に対するもので、前述のような相手方の意思の自由を認めないような態度で相当の時間列車あるいは電車の通行を阻止し国民生活上重大な影響を及ぼしたものであることなど諸般の事情を考慮すると、それが労働争議に際して行なわれたものであるという事実を含めて検討しても、到底それが法秩序全体の見地から許容されるものということはできず、刑法上の違法阻却を認める余地はない。」

国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29101634

 

  • はマスピケ事犯であり刑事事件である。動労糸崎駅事件から国労東和歌山駅事件の5判例は可罰的違法性論を実質否認することになった久留米駅事件方式(国労久留米駅事件最大判昭48.4.25刑集273418)の判断枠組により無罪を有罪としたものである。

 いずれも、争議行為と、争議行為に付随する行為を区別して法的評価を行い、「刑罰最小限度論」の刑事免責を認めた全逓東京中郵事件.最大判昭41.10.26刑集208901の判例が維持されている段階(判例変更は昭和52年)で勤務時間内職場大会実施という争議行為そのもの評価は先例のままであっても、これと分離して、マスピケは付随する行為の範疇で法的評価をおこなった点に特徴があり、実力ピケ等は免責されないことを明確にした判例ともいえる。

 上記は公労法171項違反の争議行為に関する判例だが、同文の地公労法111項を別異に解釈する理由はないので先例とみなしてよいのである。

  • 動労糸崎駅事件 広島高判昭48.8.30判タ300363 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)では、当局が、三六協定未締結の状況で、本件昭和38121319時全国7拠点の動労の2時間職場大会に備え、代替乗務をする機関士を前日に糸崎駅に召集、折り返し運転の1920分発651D列車の乗務員が職場大会に参加したため、S指導機関士に代替乗務を業務命令、広島運転本部主任と十数名の鉄道公安職員に護衛されながら運転室に乗り込もうとしたところ,百数十名のピケ隊に押し返され、その後鉄道公安職員を百名に増員、警告に応じないため、ピケ隊と運転室内の被告人を排除し、定刻より40分遅れで発進したという事案で、久留米駅事件方式で業務妨害罪の成立(運転室を占拠しピケ隊を指揮した動労岡山地本津山支部執行委員長に懲役4月、執行猶予2年)を認めた判例だが、以下のとおり説示している。

 「争議行為が少なくとも労働法上一般的に違法とされている国鉄においては、組合は組合員に対する統制権の行使を理由として、斯る違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は右職場集会実施の組合本部指令に服従すべき義務はなく、従って、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務もない‥‥。」「国鉄当局の適法な業務命令を受けてこれに服従し、就労の意思を以て出務している者の場合においては叙上受忍義務のないことは一層明白であるから、同人に本件職場集会への参加を勧誘、説得するに当つては、その時期、場所、手段、影響等において尚更厳しい制約を受け、団結による示威の程度を超えた物理的な力を以て同人の就労を妨害したり、そのため国鉄の施設や車両を占拠する等して国鉄の正常な列車運行業務を妨害することは、その目的の是非に拘らず許されない」と説示している。

  • 動労鳥栖事件福岡高判昭49.5.25判タ31197、同日の動労全国7拠点鳥栖機関区2時限職場大会に際し、門司鉄道管理局は運輸部長を現地対策本部長として、管内26名の指導機関士を鳥栖駅に召集、当日鳥栖から乗務する機関士は旅館に軟禁されたため、S指導機関士(動労組合員だが、国鉄の業務命令に従う)に長崎発京都行急行「玄海」の代替乗務を業務命令した。

 本部長の陣頭指揮で、鉄道公安職員に護衛させて機留線の機関車に乗り込ませ、進路前方軌条枕木付近でスクラムを組む動労組合員のマスピケにより発進が妨害されたが、警告に応じないため、鉄道公安職員と応援を要請した佐賀県警により引き抜いて排除し、定刻より50分遅れて(但し鳥栖到着の時点で30分遅れ)逆ピケを張って列車を発進させている。

 「組合がたとえ同盟罷業を決議しても、それは公労法上違法であり、民間企業の組合の場合のように法的拘束力をもつものではなく、組合員としては組合の決議、指令にかかわらず同盟罷業に参加することなく就業する自由を有するのであって、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はないのである」と説示し、久留米駅事件方式により威力業務妨害罪の成立(動労組合員数百名と共に急行「玄海」号前方軌条の枕木の付近に線路に沿ってスクラムを組んで立ちふさがり、同列車の発進を妨害を指揮した動労中央執行委員、動労西部地方評議会議長に懲役8月執行猶予2年)、を認めている。

 このように国鉄はストに際し業務命令するし、現地対策本部を設置し、ストの影響を最小限にして列車運行を維持すべく努力をしている。違法行為に東京都のように拱手傍観することはないが、東京都は逆にスト防衛に最大限の協力を行う。スト対策本部も設置しないあまりにも無責任といえる。

 国鉄職員はみなし公務員だが、公務員の職場では組合員であれ非組合員であれ、争議行為に参加する受忍義務はないことは郵政の判例もあるので確定していることで、ピケットラインの尊重が労働者の義務というニュアンスで管理職が就労妨害に加担するのは間違っている。

 

三)組合と共謀し、非組合員の就労を阻止しストを防衛する慣例を是正すべし

 

 東京都水道局は(一)に述べた理由で、同盟罷業に際し職員部監察指導課と全管理職は組織ぐるみで、組合の説得に応じた非組合員に対し、ピケットラインを通過せず、水道局処務規程55条「事故欠勤」にさせるのが慣例である。組合の説得に応じないケースでも強要しようとする管理職がいる。

 組合は昔から、スト当日は組合員であれ非組合員であれ、出勤簿を押させない方針で、スト破りに敵意を示すが、当局の就業規則で服務の基本である出勤時限前にICカードリーダの操作による出勤入力をさせない方針は、職員の就労の権利と義務の重大な侵害である。

 一般論として職員は権利侵害の違法行為であれ、審査権がない職員は、職務命令に従うべきものだが、私は上記判例の意義をふまえ組合と共謀する管理職からの説得で職務放棄し違法行為をする義務はないと考える。

 なによりも非組合員の就労する権利の否定が悪質で容認できない。水道局長が建前上、服務規律維持の確保を示達していることから、服務の基本的義務であるICカードリーダ出勤入力(出勤簿に相当)を否定するとは解されないこと、命令に反し就労しても地公法2911号、32条の適条による懲戒処分は、困難と考えるので、服従する理由はない。

 法律を遵守する職員を叩き、違法行為犯罪を指導する組合役員には平身低頭でいいなりになること管理職の処世術となっているわけである。

 現場の管理職が組合に同調し勝手にスト破りだとして敵意を示して出勤停止にする権限はなく、就業規則違反を命令することは権限を逸脱し、違法行為と犯罪行為に著しく加担しているこの方針を撤回することを強く求める。

 なお、組合非加入の新人や、組合の違法行為の慫慂に応じない非組合員を管理職が就労阻止することについては、職員部は表向き指示していないが、昔から内々の慣例といえる。

 私が平成21年に○○○○営業所長(後に監察指導課長、労務課長)は、ストが決行されたら就労する旨申し出たところ機嫌がわるくなり、分会長と協議のうえ、ストは全員参加の方針でスト破りを認めないので、全員参加してもらうと述べ、8時半より前に入庁は許さない。ICカードリーダの操作で出勤事故欠勤を申請するよう命じた。これは、本庁職員部とすりあわせたうえでの対応であるので、組織的に事故欠勤強要を認めているわけである。

 令和元年1220日のスト当時の新宿営業所は新人のほか非組合員の比較的多い職場であり、当時の○○所長は、前日に○○○○といった支部分会役員から要請を受けて、私を除く、非組合員複数以上の事故欠勤を承認していると考えられる。○○はその後本局中枢に栄転し、現在本庁サービス推進部業務課長なので、本件の調査のため議員が召喚して、「事故欠勤」は組合の要請で承認したのか、それは職員部の指示のもと組織的方針なのかが、就労命令をしていないことは私が見ていることだが、なぜやらないのか、特に新宿営業所のストは執務室を占拠し、執務を物理的に不可能する業務阻害態様で悪質であり、組合の業務阻害権という主張を認めるのか。現認検書を上申していないことは私が直接聞いたことであり、違法行為を慫慂する地公法111項後段違反の「昼休み集会」については、私が中止命令を要請したが、問題なしとして容認。さらにスト当日の窓口の入口にスト決行との貼紙をそのままにして、窓口業務は管理職対応でやっているのに、来客の締め出しに加担したこともあり、それらを尋問すれば、争議行為に好意的な管理職の体質が明らかになります。

 むろん令和61220日にストが配置されているので、ストが決行されれば状況を現管理職から聴取すべきです。

 「事故欠勤」とは「職員は、交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できないときは、その旨を速やかに連絡し、出勤後直ちに別記第十二号様式の二による事故簿により届け出なければならない」としているもので、新型コロナウイルス陽性の場合なども対象としているが、通常、交通機関の遅延証明にもとづいて、遅参しても給与が支給される制度である。

 ○○○○は私に対し、勤務しなくても賃金は払うといっているのに「事故欠勤」に応じない私を非難した。

 ストライキ参加の組合員は賃金カットしているが、勤務実態が事実上同盟罷業に参加しているのは組合の説得に応じた非組合員も同じことであり、賃金支給を請求するのは、詐欺行為に近い。

    

 就労実態がなく、ノーワーク・ノーペイ原則に反し、給与を支出しているのは、不正会計支出といえる。

 私は過去、包囲型ピケッティングには遭遇しているが、スクラムを組むマスピケに遭遇したことはなく出勤時限前に入庁できないケースはない。仮にマスピケで物理的に入庁できないは、ピケを張って就労妨害した組合員は、威力業務妨害罪に相当し、刑事告発せずとも懲戒処分に付すこととの見合いなら、「事故欠勤」があっても悪くないが、無条件で就労せず給与を受け取る制度は公正とはいえない。

 「事故欠勤」にする目的が、非組合員がストに協力しても、賃金カットされも闘争資金から補償できないためであり、そのストライキの完全防衛、違法行為に加担していることからみて、違法性が強く推定されるので、この慣行を中止することを強く求める。

  

(四)最高裁が否定しているプロレイバー学説(組合の主張)に従って懲戒処分を本部中央闘争委員のごく少数に限定している在り方を是正すべき

2 全逓勝利の都城郵便局判決の組合側の主張がいまだにまかりとおっている不思議

 本意見書の核心である。

 (要旨)東京都水道局の同盟罷業の懲戒処分の方針は、懲戒免職、停職一年、三月、一月を取消し全逓が全面的に勝利した異色の判例である〇都城郵便局懲戒処分取消請求事件東京地判昭46.11.12労民2261030における全逓の主張「争議行為は労働者の団結体である労働組合自体の行為であり、しかも争議行為は多数組合員の集団的、共同的な活動であることを本質とする行為であるから、違法な争議行為が行なわれた場合にも、その責任は団体である労働組合が負担すべきであって、争議行為を個々の参加者の行為に分解して、個別的労働関係の場において、個々の参加者の責任を追求することは許されない‥争議行為は労働者が企業秩序の拘束から集団的に離脱し、使用者の労務指揮権を排除することを目的とする行為であるから‥‥個々の労働者の行為に対し、懲戒をすることを許されない」に大筋で沿うような形である。全水道東水労も同様の見解と推定できるのである。

 違法な争議行為でも責任を負うのは組合で、その理屈と大差ないところで水道局は本部中闘を停職にしているが、各事業所でストを指導、慫慂している大多数の組合役員と、ランクアンドファイルは懲戒処分にして責任を問うことをしない。断固として守られるというのは、大筋で組合側の主張に従っているといえる。

 しかしこの見解は、●全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集3251030において、

 「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示したことにより否定されている。

 東京都はこの最高裁先例を全く無視している点で非常に偏った労務管理といえる。

 

 水道局で同盟罷業が違法行為であるとして、中止の申し入れを行っていると確実に言えるのは、組合中央執行委員長あての局長名の文書だけである。この警告にもとづいて、違法争議行為の責任はすべて組合中央の機関にのみ帰せられるべきという組合側の主張に沿って本部中闘に限定し停職処分を行い、当局のメンツを保つのが通例となっているが、それ以外は、組合活動を理由に不利益賦課させないという組合の主張どおり何があっても、実質各事業所でストを指導している本部委員・統制委員・支部分会役員以下を懲戒処分しない方針は、不透明な当局との癒着があると考えている。

 もっとも、平成221210日以降、3回の同盟罷業については支部長を訓告としているが、訓告は、人事記録に載るだけで懲戒処分ではなく、痛くない。

 職員部監察指導課は各事業所の組合役員にも中止の申し入れをするよう各所の庶務担当課長宛て指示はしてはいるが、文言が決められておらず、各事業所の事情に応じてなされるので、実際に見たことがない。 

 各事業所の管理職は所長要請行動等で組合の主張である争議目的の正当性を認め、職務命令や警告は後述する「平成16年東岡職員部長通知」を例外としていっさいやらないことになっており、管理職は事実上、組合役員から指示を受け、争議行為対応をする立場になっているからである。

 国の省庁なら組合役員と全職員に、同盟罷業は違法行為なので必要な措置をとる旨の警告を行うのが通常だが、東京都では職員一般に違法行為との文言のある事前警告は絶対やらない。

 違法行為と言ってしまうと、地方公務員法2911号、32条の適条で懲戒処分に王手がかかってしまうのでやらない。組合が騒ぎ出し収拾がつかなくなると考えられているようである。

 しかし他の官庁では警告はきちんとやっていることである。

 東京都は、事実上組合側の主張である、争議行為が違法であっても、集団的組織的行動で、スト指令に従って、組合員として組織的義務は果たすべく、ストを指導したり参加する組合員個人の責任は問われないとする以下のような学説を大筋で認めている点で、著しく左翼体質である。

 例えば、片岡曻「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法73141969「たとい労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、これを独立の行為として、使用者との関係における個別契約法的評価にさらし、使用者からの懲戒その他の民事上の責任の追及を許容することはできない」という学説を大筋で認めている。

 プロレイバー学説は懲戒処分で幹部責任も問われないとするが、本部中央闘争委員会の機関責任を問うのは、そのバリエーションにすぎず、プロレイバー学説の趣旨は受け容れているものとみるべきである。スト実行行為者で、現地闘争委員会という名称はないが、実質その役割をはたす、組合役員の懲戒責任は問わない。それゆえ違法行為でも違法行為とは言わないのである。

 代わりに「服務の示達」と称する、インチキ臭い訓示をマイク放送等で行うが、詳しくは(Ⅵ)各論二で述べるが、マイク放送等の文面は決められておらず、事業所の事情にもとづいて行う。地公法2911号、32条を適条とする懲戒処分の前提とならないよう文面が配慮され、警告として意味をなさないことは、組合員もわかっており、マイク放送があっても嘲笑するだけである。「服務の示達」も不透明な癒着を推定できるいかがわしい慣例といえる。

 全水道東水労は水道局内の令和元年の組合員総数は2,778名で組合本部費月例給与の1.7%をチェック.オフで徴収しているので、闘争資金は蓄積しているはず。懲戒処分は本部中闘の34名程度だけ。過去最大停職18日(平成26年のスト)、令和元年は最大停職13日の減収を補償するのは痛くありません

 ストを指導しているのは組織の指示に従っているだけなので責任は問われないという組合側の論理に当局が従っているのはガバナンス.コンプライアンス上糾弾されるべきです。

 既に述べたとおり北海道教委が、北教組の平成20130日終業時刻1時間ストにつき、30分以上職場離脱の単純参加者に対し一律に戒告処分(12551名)とした救済命令取消訴訟は適法とされたのです(北海道労委事件.最二小判決平28.6.17別冊中央労働時報1502中労委DB)。

 昔から文部省は単純参加でも懲戒処分とすべきと指導していたが、処分の範囲量定は自治体により温度差があった。教職員については熊本や大分で全員懲戒処分の前例はあるが、北海道では初めてであった。

 戒告は最も軽い懲戒処分だが、北海道の給与制度上、懲戒処分を受けていない者に比べて勤勉手当が約10パーセント減額されるほか、定期昇給において1号俸昇給が抑制される。申立人は平成206月期の勤勉手当を28300円減額給され,平成211月に、定期昇給が1号俸抑制されたことにより,同年1月及び2月の給与について554円の不利益を受けた。

 北教組は被処分者の減収を負担したが、少なくとも94388万の支出を余儀なくされたという(札幌地判平7.11.13労判691中労委DB)。終業時1時間のストで自宅待機、ウォークアウトだけで、悪質な争議行為ではないが、組合にとってはそれなりに厳しく、抑止効果のある大量処分とはいえる。

 しかし東京都水道局のストは積極的な業務妨害など悪質な態様なのにたった34名の停職の補償はたやすいことで、組合にとっては、実際に各事業所でストを指導している実行行為者、本部委員、支部分役員以下が大量に処分されない限り、抑止効果はないように思える。

 令和元年の1時間ストで本部中闘の最大13日の停職はそれなりに重いと言う人がいるかもしれないが、すでに述べたとおり、国の省庁の処分例と比較しても決して重くない。

 職場離脱は11年間に4回ある同盟罷業だけではない。毎年最低でも34回はある3割動員勤務時間離脱決起集会は変動はあるが午後3時半ころからなされることが多いので、本庁以外は1回につき組合員3割の職員が3時間以上の欠務となる。かつては動員職員を引率するなどさかんだったし、平成16年度スケジュール闘争の前に4か月に及ぶ業務手当闘争があり、年間6回以上の3割もしくは4割動員集会がなされた。当局も争議行為と認定しており、賃金カットとなる。たぶん、佐教組事件.最判昭46.3.23刑集2521103.3.4割休暇闘争を争議行為としているためだろう。

 したがって、年間少なくとも2回は動員集会で職場離脱する組合員はざらにいるので、年輩の組合員なら通算して100時間以上職務離脱している人はざらにいる。

 しかし、東京都の方針は、指令を受けて組織の義務として違法行為の慫慂、職務離脱をする組合員は懲戒処分の対象外なので、安心して違法行為を慫慂、あおり、そそのかしという地公労法後段の違法行為ができ、通算何百時間職務離脱しても処分されない体制なので、実質争議行為を正当業務として扱っているといえる。

 2割動員集会は、年次有給休暇の時間給の取得を認めて全面的に容認されている。

2 組合側の主張と根拠となる学説

 全水道東水労の公式の見解は不明だが、平成262月の中野営業所業務移転拒否闘争の折、○○分会書記長が争議行為は本部指令を受けて争議行為を指導し、実行しているのは組織の義務であり、争議行為が集団組織的行動で、指令に従っているだけの組合役員の責任は問われず懲戒処分されることはないと言っていた。組合の考え方である。

 また、当時の○○全水道東水労書記長は、停職中であるにもかかわらず、オルグ演説のため、営業所に勝手に出入りし組合員に組合活動で不利益処分はさせない。それだけの実力があると誇示していた。

 

 組合側が主張している論理は、下記の、全運輸近畿陸運支部事件.大阪地判昭54.8.30民集3971408(二審棄却、最二小判昭60.11.8民集3971375棄却)に組合側の主張と大筋で同じと考えられる。事案は昭和44.11.1315分ないし20分勤務時間(いわゆる出勤簿整理時間)に食い込む各職場大会。本件闘争においては、戒告処分に処せられた者43名の内訳は、全運輸本部役員1名、支部三役8名、分会三役34名であること、本件闘争において、全運輸中央本部の責任者らについては企画指導の立証を十分にする資料を収集できなかったので、右企画指導者に対する処分をなさず、職場大会毎に実行行為者をとらえ、主たる役割を果した者を各職場大会に原則一人として戒告に、従たる役割を果した者を訓告に、参加者を厳重注意に処するとの基本方針をたて、本件各処分がなされた。

(全運輸側の主張)

①就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊することにある。

②本件職場大会の行為は、労働組合としての団体行動であるから、組合員個人として、或いは組合幹部としての懲戒責任を問えない。団体的違法争議行為についていかなる個人責任も生じ得ない。

③原告らの各行為は、全運輸近畿支部の支部長または分会責任者とし組合中央からの方針、指令を忠実に実行したものであり、組合中央によって勤務時間のくいこみ時間、集会の態様まですべて定められ‥‥これに反した行動をとれば、原告らは組合の団結を破壊したことになり、組合の統制処分を受けることになる。従って原告ら、中央闘争本部などからの指令に基づく組合員としての当然の義務を果たしただけであって、使用者たる国との関係で、原告らを特別に選択して懲戒処分に付する合理的な理由はない。

 

 上記の主張に対して運輸省側は長文の反論を行っている。東京都は組合の主張を呑む左翼体質で国の対応とは大きな違いがある。

 組合側の主張の根拠となっているプロレイバー学説の主たるものとして以下のとおりである。

1)籾井常喜1962「使用者による争議責任追及の限界」季刊労働法45

「争議中にあっては、労働者には、使用者の指揮.支配から公然と離脱する権利が保障されているのである。したがって、争議中、組合の統括のもとでおこなった組合員の行為にたいしては、使用者の労務指揮の権限が及ぶいわれはない‥‥組合員の行為は、単に個々の組合員の行為おこなう組合員の集積というべきものではなく、団結意思に基づく団体行動なのである。それは個人的行為に還元できない、質の全くちがった行動様式であり‥‥この団体行動の性質は、それが違法だからといって個人的行為に分解されるべき筋合のものではない‥‥‥」

2)片岡曻「懲戒権の根拠と限界」『菊池勇夫教授六十年祝賀記念 労働法と経済法の理論』有斐閣1960所収469頁以下

「‥‥服務規律の維持を目的とする就業規則の規定を争議中の労働者の行為に適用して懲戒処分を行うことは許されない‥。‥‥‥争議時に当然適用を排除せらるべき服務規律については、労働者側に個人としても団体たる労働組合としても懲戒その他の責任を生じる余地がない。‥‥団体たる労働組合の行為としての争議行為のように、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であり、従って個別労働者としての地位において責任を問いえないものについて懲戒の責任を問題とする余地がないものと考える。‥‥個々の労働者につき懲戒の責任を問うことは許されない」

3)片岡曻1969「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法7314

「たとい労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、これを独立の行為として、使用者との関係における個別契約法的評価にさらし、使用者からの懲戒その他の民事上の責任の追及を許容することはできない‥‥」

 プロレイバー学説等に依拠し懲戒処分を取消した下級審判例としては。七十七銀行事件・.仙台地判昭45.5.29労民集213689、全逓都城郵便局懲戒処分取消請求事件・東京地判昭46.11.12労民2261030、都教組勤評懲戒処分取消請求事件.東京地判昭46.10.15判時645があります。

 東京都(水道局)は、大筋で上記の学説にもとづいて、職務命令をやらないし、各事業所の職員は地方公務員法32条適条した懲戒処分もできないこととなり、安心して争議行為の慫慂、違法行為、犯罪行為もやっていだだくとことになっています。

 

 

3 プロレイバー学説の批判と同学説を否認する下級審判例と国の見解

 一方、争議行為に組合員個人の責任は問われないとする説に批判的が学説と主な下級審判例は以下のとおり。

 

(1)菅野和夫1971「違法争議行為における団体責任と個人責任(一)ー損害賠償責任の帰属の問題として」『法学協会雑誌』88巻2号

「‥‥違法行為者は自己を拘束する他人の命令に従ったことをもってその責任を免れる一般的根拠となしえないこと責任法の基本原則である‥‥争議行為の「二面集団的本質」は、「個人の埋没」ばかりでなく、個人の「実行行為性」をも意味しうる‥‥団体法的見解の個人責任否定論は、まず、不法行為法や契約法の基本原則からその当否が疑われるようなあまりにも広範な無責任の結論を導いており、しかもその十分な理由づけを行っていない‥‥」

 

(2)田辺公二1965『労働紛争と裁判』弘文堂

「‥‥労務提供の拒否などを「誘致」することが争議行為の本質だという考えに立ってみますと、‥‥多くの組合員相互の誘致、さらにこれによって生ずる共同の労務放棄行為というものから成りたっている。そういう非常に緊密な精神的.有機的な共同活動である。これは株主が年に一度総会に来て、ごく形式的に会社の運営に関与するのとは根本的に違っていまして、組合員がこれに関与している程度がきわめて高いのであります。‥‥やはり組合と争議を指導した組合幹部から、さらに参加した組合員の全部にまで、理論上は一応責任が及ぶという結論になるのではないか。‥‥ドイツの学説でも‥‥‥結局一般に認められるには至らなかったのであります。違法な命令に従ったからといって、やはり責任は免れないというのが一般の刑法なり不法行為の考え方‥‥」

 

3)三井化学染料事件福岡地判昭32.7.20労民集84503

「組合の決定に基く組合活動といってもそれが違法な争議行為であるときは組合自身の責任(例えば損害賠償責任)を生ずることは勿論、当該違法行為者自身においても個人責任を負うべきものだと言わなければならない。けだし組合の決定に基き、組合のためにする行為だからといってこの行為に基く結果の責任をすべて組合に転嫁することを認めるにおいては、行為が行為者の判断、意欲、決意に基づく価値行為たる本質をないがしろにし、近代法の基本理念に背馳するそしりを免れないばかりでなく、組合の名のもとに違法行為を敢えてする組合員の行為を阻止し得ない事態を招来するからである。‥‥違法組合活動をなした者はその行為によって生ずることのある組合の責任とは別個に違法行為者としての個人責任を免れない‥‥」

(4)日本専売公社山形工場事件.昭53.3.31仙台高判民集35-3-565

「被控訴人らは‥平常時の個別的労働関係を規律する個別的制裁である懲戒処分は争議行為に親しまないから、かりに争議行為が違法であるとしても争議行為に参加したことを懲戒処分の対象とすることはできないと主張するが‥‥本件争議行為のように違法な争議行為の場合は、これを組成した個々の労働者の行為が個別的労働関係上の規制を受けることは当然と考えられる」として、包装課職員の3時間10分職務離脱(単純参加)に対する戒告処分を適法とした(上告審.最一小判昭56.4.9棄却)。

 

(5)国(運輸省大阪陸運局)の見解

 (全運輸近畿陸運支部事件.大阪地判昭54.8.30民集3971408(二審棄却、最二小判昭60.11.8民集3971375棄却 運輸省大阪陸運局の再抗弁)

 

 原告らの主張は、要するに、争議行為は、労働組合という一個独立の団体行動であるから、それが違法な場合でもすべて団体が責任を負うべきで、その構成員個人の行為は、組合の行為に吸収され、独立の評価を受ける余地がないということにあるが、その団体性をいかに強調しようとも、そのことから、直ちに個々の参加者が責任を負担しないという結論を導き出すことはできない。

 争議行為が、一般的に、労働者の団結体たる労働組合の統一的、集団的行為であることは原告の主張のとおりであるが、他面において、争議行為は団体構成員たる組合員の共同に意欲された個別行為の集合であることも事実である。‥‥争議行為は労働組合の行為であると同時に、個々の組合員の行為でもある。そして、個々の組合員は労働組合と別個独立の法的主体であり、従って、違法な争議行為については、労働組合が団体としての責任を負うのとは別に、個々の組合員が責任を負うのは当然である。

 違法争議行為の責任はすべて労働組合にのみ帰せられるべきであるという見解からすれば、違法争議行為が刑罰法規に触れるときも、刑事責任を負うべきは組合のみとなってしまう。このような帰結が、個々の違法行為者がなした行為について刑事責任を負わなければならないという刑事法の一般原則に背馳するものであることは論ずるまでもない。又、不法行為責任について、近代法の下においては、人は自己の行為についてのみ責任を負うという自己責任又は個人責任の原則が確立されている。違法な争議行為が不法行為を構成するとき、第一次的にその責任をおうべきは行為者個人であり、その行為者が組成する団体が責任を負うのは別個の法理によらなければならず、決してその逆はありえない。違法な争議行為が労働契約上の債務不履行を構成するとき、その責任は契約当事者たる個々の労働者について生ずるものであり、組合がかかる風紀の履行責任を負うことはない。原告の主張は‥‥近代法の建前を立論で何ら根拠のないものといわなければならない。

 ‥‥争議権の保障は正当な争議行為に限られており、争議行為が不当、違法なときには、それは労働法上もはや団体行動として保障されず‥‥正当な争議行為に与えられる免責的利益を享受できないのである。換言すれば、違法争議行為は労働法上の団体行為ではなく、法的に個々の労働者の個別行為として契約秩序や服務規律に服することになる。もちろん、争議行為が労働組合の行為であるという側面から、組合としても責任を負うべきことが生じ得るが、‥組合の責任と個々の労働者の責任とは独立別個のものとして併存するのである。

 正当な争議行為の民事免責を定める労組法八条は、「労働組合又はその組合員」に対し賠償を請求することができない旨規定し、本来免責なき場合に組合個々人が使用者に対し債務不履行ないし不法行為による責任を負うことあるべきを当然予定している。又、同法12条は、法人の不法行為能力に関する民法44条の規定、法人たる労働組合に準用するものとしているが、民法の右規定の解釈上、法人と共に機関個人の責任が生ずるものと解されている。そして、労組法12条は、同法8条に規定する組合の正当な争議行為については、右準用を除外する旨明らかにしている」

 

4 最高裁判例は、争議行為時に職務命令はできる。組織の義務として指令に従っている個別組合員も懲戒処分できる。

 

 東京都では管理職が組合に抑えつけられていて就業命令しない、指令に従って組織の義務を果たしているだけの組合員は懲戒処分しない方針は異常である。就業命令を適法とする基本的な判例のみ引用する。

 

  • 神戸税関懲戒免職事件・最三小判昭52.12.20民集31-7-1101

 

 「争議行為中は職務命令できない」「争議行為に対し個別職務秩序違反者として懲戒処分できない」という学説は●神戸税関懲戒免職事件最三小判昭52.12.20民集31-7-1101により明示的に否定され、最高裁は、争議行為時に就業命令を指示している国の争議対応実務を適法とした。

 争議行為禁止規定違反と、服務規律違反規程とが競合的重畳的に成立するというもので、懲戒責任を問えないとする都城郵便局事件・東京地判昭46.11.12のような組合寄りの下級審判例や、前記①②等のプロレイバー学説は否定されたのである。

 事案は、昭和36102回の勤務時間に食い込む職場大会の指導のほか、103Ⅰ日から3日間、輸出為替業務担当職員に対し処理件数を低下させるよう提案、輸出事務繁忙期における通関業務の処理を妨げようと企てた。122日輸出関係業務担当職員に、一斉に超過勤務命令撤回願を提出するよう勧奨し、撤回願を一括して、当関業務及び鑑査両部長にそれぞれ提出し、午後130分から25分超過勤務に服すべき約45名を三階講堂に集結させて、通関業務の処理を妨げた等の争議行為で、全国税関労働組合神戸支部役員3名の懲戒免職を適法とした判例である。

 すなわち国家公務員法985項(現982項争議行為禁止)の保護法益は国民全体の共同利益であり、‥‥国家公務員は、私企業における労働者と異なつて争議行為を禁止され、争議行為中であることを理由として、当然に、上司の命令に従う義務(国公法981項)、職務に専念すべき義務(同法1011項)、勤務時間中に組合活動を行つてはならない義務(人事院規則1413.17272項)等を免れないとしているが、国の各省庁では事前の警告のほか、争議行為(職場大会)当日の職務命令というものを非常に重視しています。神戸税関事件では懸垂幕や携帯マイクで就業命令していることはすでに述べたとおりである。

 

  • 北九州市小倉西清掃事務所事件・最二小判昭63.12.9民集4210880

 地公労法附則5項によって地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法111項の争議行為禁止規定を合憲とし、昭和431081時間ストで勤務時間内職場集会指導し、当局の清掃車借用について抗議行動を行ったことなどを理由として地公労法第111項違反として、市労支部長、支部執行委員に対する地方公務員法2911号(‥‥法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合)、2号(職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合)、3号(全体の奉仕者たるにふさわしくない非行)第32条(法令等及び、上司の職務上の命令に従う義務違反)、第33条(信用失墜避止義務違反)、第33条(職務専念義務違反)の適条により停職三月とする処分を適法とした先例である。

 なおX市労本部執行委員兼青年部長の懲戒免職は事実誤認その他の理由で控訴審にて取消されているが、Y小倉支部長とZ支部執行委員の停職三月を適法としたもので、当日の争議行為につき原告以外は1名減給、90名を戒告処分であった。

なお小倉西清掃事務所において、104日事務所及び作業員詰所に市長名による警告文を掲示するとともに同月7日各職員に対し前記警告書及び職務命令書を交付している。当日も就業命令している。

 

  • 全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18民集3251030

 昭和44年春闘で全逓中央の指令に従って酒田局、横手局、仙台局の拠点局闘争を指導した全逓東北地本委員長の懲戒免職を適法とした判例だが、「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示している。

 昭和44年春闘では全逓組合員約3,600名の懲戒処分。全逓中央執行委員11名(いずれも423日実施された半日スト全国各拠点局における指導責任者)を公労法18条による解雇。地方本部委員長は東北地本委員長が懲戒免職、他は停職十月~停職一年であった。

 

 都議の先生方に糾問していただきたいのは、第一に当局が組合側の学説に従い、争議中、争議行為時に職務命令(中止・解散・退去・職場復帰.就労命令)をやらない方針は(但し例外として後藤都議の質問対応とし消極的ながら実施するようになった、平成16年東岡職員部長通知による職務専念義務違反の頭上報告への警告は平成2126年に行っていたことは現認している)、職員部監察指導課の一貫した方針であり、組織ぐるみの服務規律確保の職務放棄といえます。国の省庁の争議行為の行政実務と全く違うものである。

 国の省庁やまともな自治体では全職員に対し違法行為には厳正に対処するとか、必要な措置をとる等の事前警告、あるいは職務命令書交付、スト当日も職場復帰命令、就労命令は当然行っているが、東京都ではやらない理由は組合との不透明な癒着ではないかと糾問していただきたい。

 ①②の組合側の学説は神戸税関懲戒免職事件最三小判昭52.12.20以降累次の判例で否認されていることなので、攻めやすい。

 知事部局がそういう方針だから、それに沿っていると言うかもしれない。その場合は総務局人事部長を召喚してください。

 反論してきても、北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8が、地公労法111項の争議行為禁止の制約原理を「住民全体ひいては国民全体の共同利益」と説示した以上、就業命令をやらないのは、職員に違法行為を自覚させず増長させ、違法行為を助長し、「住民全体の共同利益」より組合の不当な既得権を重んじている。そもそも労務指揮権を組合に掣肘されている実態は、管理職が債務の本旨を履行していない状況といえる。違法行為を抑止しないだけでなく、助長、加担していることは水道局長のコンプライアンス経営宣言とどう整合するのかと攻めることができ、苦しい答弁になるはず。

 第二に、各事業所勤務の本部委員・統制委員・支部分会役員以下を懲戒処分しないのは、争議行為が集団組織的行動で、指令に従っているだけの組合役員の責任は問われないという組合側の論理を当局が容認しているためだが、水道局では当局が争議行為と認定している3割動員勤務時間内決起集会を34回毎年行い、かつてはもっと回数があったうえ、平成26年以前はほぼ3年おきに同盟罷業も行っていたので、ベテランの職員になると職場離脱時間の累計が百時間以上ある職員もいるはずで、違法行為の慫慂、業務妨害行為を何回、何十回やろうが懲戒処分をくらう恐れがなく、安心して違法行為ができるという問題は、全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18という決定的な判例があるので、容易に攻めることができる。

 

5 1時間半以下の同盟罷業の処分例との対比-水道局の処分は妥当か

 東京都水道局の全水道東水労の令和元年12201時間ストの処分(令和226日発令)全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は全水道東水労なのか少数組合の自治労連東水労の未確認なので34人と支部長26名の訓告処分。スト集会組合員は賃金カットである。

 1時間程度のストで本部中闘委員の最大1334人という懲戒の範囲と量定について判例に出てくる実例と対比してみたいと思います。実際には3割職場離脱集会や超過勤務拒否闘争もやっていますから、たんに1時間ストだけというべきではないかもしれません。

 東水労のスト指導は、本部中闘の下に本部委員と統制委員という本部役員がいて、横並びで支部.分会がある。支部長は訓告としているが、各事業所のスト指導に重要な役割を果たしている本部委員.統制委員.支部.分会役員は、懲戒処分の対象としていない。訓告は懲戒でないので痛くないのである。責任は本部中闘に全て転嫁される。

 当然停職に伴う経済的損失は組合が闘争資金から補填することになるが、停職13日、10日、7日だから、3人合わせても30日にすぎない。それほど大きな金額といえる。打撃はほとんどないといってよい。ゆえにストは繰り返される。既に述べたとおり北教組の平成20120日の1時間ストでは戒告処分(12551名)で組合は被処分者の減収を負担したが、少なくとも94388万の支出を余儀なくされたという(札幌地判平7.11.13労判691中労委DB)。これは道教委の処分だけで、市町村教委の処分もあるだろうから、1時間ストだけで、組合財政から10億以上吹っ飛んでいることから比較すると。東京都は大甘と認識してよい。

 処分の相場に言及している論文として山口浩一郎(上智大助教授=当時) 「公務員の争議行為と懲戒処分-現業国家公務員の場合を中心に」『ジュリスト』4721971.2.15があるが、客観化することは難しいとしつつも次の程度のものが多かったとしている。

○半日スト  組合本部の責任者 解雇又は免職

地本役員 停職

支部役員 減給(ただし停職の場合もある)

一般組合員 減給(一~三か月)

○二~三時間のスト 一般組合員 戒告

○三〇分程度の場合 一般組合員 訓告

 

2  昭和441113日統一スト

 

 総評を中心とする日教組など67単産による史上最大の政治スト(佐藤首相の訪米抗議に人事院勧告完全実施などの要求を絡める70年安保闘争のスタート)といわれる昭和44年の11.17統一ストだが、国公共闘では勤務時間外集会に切り替える組合が続出し、大きな混乱はなかったと報道されているが、前記山口論文に処分一覧表があり、毎日新聞夕刊に実施状況の一覧表がある。

 

2-1昭和4411/13統一スト 全農林 46都道府県本部で1時間半のスト

本部  3人 停職6か月 

    11人 停職 10ヶ月

県本分会役員 361人 減給1/1015か月)

県本.分会役員400人 戒告

分会役員.組合員  1013人 訓告

その他      2455人 厳重注意

 

2-2昭和4411/13統一スト 全開発 始業時から1時間スト

 

本部支部役員 42人 減給1/1014か月)

中執.支部役員 61人 戒告

分会役員 220人 訓告

その他  503人 厳重注意

 

2-3昭和4411/13統一スト 全労働 勤務時間内29分 

 

本部三役 3人 減給1/101か月)

本部6人.支部33人 戒告

支部.分会役員143人 訓告

その他   1668人厳重注意

 

2-4 昭和4411/13統一スト 全港建 勤務時間内29

本部3.支部41人 戒告

支部書記長21人 訓告

その他2215人 厳重注意

 

2-5昭和4411/13統一スト 全運輸 勤務時間内20

本部1人.支部分会役員42人 戒告

支部書記長50人 訓告

その他 1493 厳重注意

 

判例に現れる処分例

★鳥取県智頭町役場、平21.11.20、勤務時間に20分食い込む抗議集会。組合執行委員長減給1/10一月、組合三役は戒告。(智頭町事件.鳥取地判平255.9.25TKC)

★北海道教委 平成20130日、北教組の授業時間修了後,終業時刻1時間ストにつき、道教委は職場離脱30分以上の者(12551名)を一律戒告処分とし、職場離脱の時間が29分以下の者(41人)については文書訓告、札幌市教委の北教組1時間ストの対応は、支部分会役員の幹部責任に重点をおき、単純参加者の戒告は授業に影響を与えた場合に限定している(道労委命令に記載)(北海道.道労委(北教組)事件.札幌地判平26.3.31労判1136中労委DB、札幌高裁平27.2.26労判1136中労委DB、最二小判平28.6.17中労委DB

★国立病院、平成31113日の全医労の最大27分勤務時間に食い込む集会に対し本部役員と地方協議会専従者(26名)支部長(147名)を戒告、支部副支部長及び書記長(399名)に対しては文書訓告、単純参加者(2518名)は厳重注意(全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840)。

★国鉄直方自動車営業所における昭和6085日、自動車運転者を除く組合員1時間スト。国労門司地本中央支部自動車分会直方班三役3名を戒告、(国労直方自動車営業所事件.福岡地判直方支部平2.3.30労判561、最二小判平9.9.13労判712

★北海道開発局、昭46.7.15、午前830分から29分間以内の職場集会 在庁職員約8500名中77%の約6600名が参加。本部執行委員長.書記長を停職一月、本部副委員長を六月間俸給の月額の10分の1、本部会計長.支部役員(Ⅰ9名)を同じく二月間の減給処分、本部執行委員(3名)支部役員(14名)同じく一月間の減給処分(北海道開発局事件.札幌地判昭54.10.9判時964、札幌高判58.3.15訴務月報299

★仙台管区気象台 昭46.7.15 勤務時間に18分食い込む職場集会 戒告が東北支部書記長、仙台分会執行委員長 気象庁全体では、懲戒処分13名(中央執行委員長、本庁支部執行委員長、東管支部執行委員長、気研支部執行委員長、清瀬支部執行委員長、北海道支部執行委員長、同札幌分会長、東北支部書記長、同仙台分会長、関西支部執行委員長、同大阪分会長、西部支部執行委員長、同福岡分会長)、訓告23名(北海道支部四名、東北支部二名、本庁支部一名、関西支部四名、西部支部六名気、研支部二名、清瀬支部二名、函館支部一名、中央執行委員一名)、厳重注意21.分会の参加者全員)(仙台管区気象台(全気象東北支部仙台分会)事件.仙台地判昭60.9.25労判464、仙台高判.2.3.30、最三小判平5.3.2判時1457.判タ817)、

★北海道開発局 昭44.11.13 29分くい込む職場集会。本部委員長を四月間俸給の月額10分の1の減給処分、本部副委員長(2名)及び本部書記長を同じく各三月間の減給処分に、本部会計長、本部執行委員(2名)及び支部組合員(35名)を同じく一月間の減給処分 (北海道開発局事件.札幌高判58.3.15訴務月報299

★通産省、昭44.11.13  7分から29分勤務時間に食い込む職場集会、全商工本部、支部、分会役員を戒告処分(全商工事件.東京地判昭61.3.25 判時1189

★運輸省近畿陸運事務所 昭和44.11.13 1520分勤務時間に食い込む職場集会 戒告処分43名、全運輸本部役員1名、支部三役8名、分会三役34名。全運輸中央本部の責任者らについては企画指導の立証を十分にする資料を収集できなかったので、職場大会毎に実行行為者をとらえ、主たる役割を果した者を各職場大会に原則一人として戒告に、従たる役割を果した者を訓告に、参加者を厳重注意に処するとの基本方針とした。昭和48年以降の闘争については、職場大会が構内で行わなかつたため実行行為を現認できず、全運輸中央本部及び支部の役員を処分の対象者とし、分会役員らは対象者としなかつた。組合側の主張「支部長または分会責任者とし組合中央からの方針、指令を忠実に実行したものであり、組合中央によって勤務時間のくいこみ時間、集会の態様まですべて定められ‥‥これに反した行動をとれば、‥‥‥‥組合の団結を破壊したことになり、組合の統制処分を受けることになる。‥‥中央闘争本部などからの指令に基づく組合員としての当然の義務を果たしただけであって、使用者たる国との関係で、原告らを特別に選択して懲戒処分に付する合理的な理由はない。」は退けられた。

上記と同様、平成262月の中野営業所業務移転拒否闘争の折、○○分会書記長が争議行為は本部指令を受けて争議行為を指導し、実行しているのは組織の義務であり、争議が集団組織的行動で、指令に従う立場の組合役員は懲戒処分されることはないと言っていた。東水労も同じ考え方とみてよい。

(全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件.大阪地判昭54.8.30民集3971408、大阪高判昭57.2.25民集3971478、最二小判昭60.11.8民集3911375

★北九州市交通局 昭和44.11.13 始発から約1時間30分(午前6時)までのスト 北九交通労組執行委員長を12条解雇。運休となったバスは22本(全体の4%)であり約500人の利用者に影響を与えた。職場放棄の争議形態でなく、組合員にはバス乗務の勤務につかせ、バス出入口で集会を開き、その出庫を阻止するという形態で、出庫を阻止されたバスの乗務員には争議不参加の別組合員2名も含まれていた。執行委員長は二島営業所に赴き430分ころ市職労ニュースカーを車庫出入口に横向けに駐車させるよう指示して車庫出入口をふさぎ、さらに動員された組合員ら約120名により集会を開き、挨拶をするなどして所長の退去要請を無視した。原告は争議行為に関して解雇一回を含む停職等の懲戒処分を数回受けていた(北九州市交通局12条解雇事件福岡地裁昭49.11.19判時766、福岡高裁昭55.11.11判タ435、最二小判昭55.2.8 労判335)当日の争議行為につき原告3名以外は1名減給、90名が戒告。

★昭和431時間スト北九州市小倉西.門司.八幡西清掃事務所事件昭56.2.26判時1011、 本件108日争議(小倉西清掃事務所関係者については108日争議及び1026日争議)において、違法行為のあった者に対し、原告らを含めて免職、停職、減給、戒告の計107名の懲戒処分を行うとともに、比較的短時間の集会参加者1456名について訓告を行う。前記のとおり免職は取り消された。

★昭和43425日 江戸川.昭島郵便局事件 東京地判昭48.6.28 判タ297

就労命令を無視し46分ないし1時間20分の欠務行為 戒告

就労命令を無視し3時間15分ないし3時間50分の欠務行為 減給1101ヶ月)

★長崎県庁、昭41.10.21 1時間スト 停職三月が県職組本部執行委員長、停職一月が県職組本部書記長、本部特別執行委員兼自治労長崎県本部執行委員長、減給1102か月)が本部執行委員兼長崎支部長、減給1101か月)が他の本部執行委員、支部三役(支部長、副支部長、書記長)、戒告が 支部執行委員、本庁職員の単純参加者、出先機関在勤者でピケッティングに参加した者、訓告が出先機関在勤者の単純参加者。(長崎県職組事件.長崎地判昭55.9.8判時998、福岡高判昭60.9.26労判461、最一小判平元.9.28判時13499

 上記引用したとおり、東京都側はⅠ時間程度のストライキは下部組織の役員は懲戒処分しないのが普通と反論するかもしれませんが、そんなことはないです。国の懲戒処分の実例は、1時間以下の職務放棄でも支部.分会役員レベルの処分例は普通に多数あります。なお、国の各省庁では、たとえ29分未満の職場大会でも、組合役員ではない参加者は最低「厳重注意」としており、違法行為を自覚させるようにしているが、東京都は抗議活動で荒れることを恐れているのか、不利益賦課とはいえない厳重注意すらやらない。違法行為と自覚させることも遠慮している。

 

 なお単純参加者の処分の雛型と思えるのは、昭和46年の林野庁の半日ストの処分例では2時間程度職務放棄で戒告、4時間以上で減給が通例である(全林野旭川地本事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900 ストの指導を理由として旭川地本役員停職十日~三月、単純参加4時間の職務放棄 減給110 1カ月美瑛営林署分会50人、名寄営林署分会組合員34人、1時間45分~2時間40分の職務放棄 戒告 羽幌営林署分会組合員48人)。

 近年の判例では、平成31113日の国立病院における全医労による最大27分勤務時間に喰込む職場大会(全日本国立医療労組事件.東京地判平11.4.15判タ1040)の厚生省の処分は本部役員及び地方協議会専従者(26)並びに支部長(147)に戒告、支部副支部長及び書記長(399名)に対しては文書訓告、単純参加者(2518名)は厳重注意としており、支部長以下は東京都より厳しい処分である。

 判例に現れている処分例を見るかぎり、懲戒処分を本部中闘に局限してお茶を濁し、圧倒的大多数の組合員は免責している東京都の方針は、著しく組合に忖度し異常で当局と組合で不透明な癒着があるとみてよい。

 郵便局は昭和46年まで懲戒処分は厳しかったが、昭和48年以降、段落としといって処分が軽減され、分会役員クラスは、停職はなくなった。電電公社でも段落としで、懲戒処分が軽減化されたのである。しかし、全農林が、1時間のストライキを実施したことにつき、昭和55年に中央執行委員が停職一月の懲戒処分を受けたこと、1時間29分間のストライキを実施したことにつき、昭和56年に中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキを実施したことにつき、昭和57年中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキを実施したことにつき、昭和59426日に副中央執行委員長らが停職三月等の懲戒処分を受け、2時間のストライキを実施したことにつき、昭和60年に副中央執行委員長らが停職四月等の懲戒処分を受けたこと及び29分間のストライキを実施したことにつき、同年に副中央執行委員長が停職一月の懲戒処分を受けた。全農林は昭和50年代毎年のようにストを決行していた。水道局でも3年おきにストをしていたことから最大18日の停職があるが、農林省との対比では水道局の本部中闘の量定が特に重いということはない(全農林82秋季年末闘争事件.東京地判平3.10.31判時1331

 

(五)外形上犯罪構成要件該当行為、積極的な業務妨害が行われている重大問題

 

 全水道東水労の直近の同盟罷業は令和元年1220日の1時間ストライキである。新宿営業所で、スト集会は、営業所分会と給水課分会が合同して40名程度で始業時から930分近くまで実施され、営業内検針担当エリアに、組合旗を掲出、ビラを貼り、約40名が占拠し座り込む形でなされ、支部組合役員の○○○○○○[3名とも現杉並営業所勤務]と給水課一名が、司会、交渉経過報告等の演説、決議文朗読、頑張ろう三唱の音頭取りなどを行った。

 新宿営業所長の○○(現サービス推進部業務課長)はスト参加の組合員に対し、中止・解散・退去・就労命令はいっさい行っていない。

また○○は、紙で塞いだICカードリーダ前に立ち、非組合員に出勤記録を入力しないようピケを張り、私を所内から出るよう指図して、違法行為を強度に慫慂したが、これらの地公労法111項違反行為、外形上威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為(シットダウンストライキの態様に近く、刑事免責がないので当局が職場占拠を容認しなければ犯罪は成立する-指導判例である名古屋中郵事件最大判昭52.5.4の判断枠組み参照)に対して、いっさい中止.退去命令、就労命令等を行っていない。

 ちなみに、ストで指導的な役割を果たした○○は翌年3月に主任に昇進した。

 非常に深刻な問題として、東京都では職員一般に争議行為が違法行為と警告もしないので、水道局職員は争議行為の限界を知らないので、業務遂行を妨害することを平の組合員まで率先しておこなっている

 座り込みストライキというのは、大恐慌の1937年にアメリカで流行った悪質な態様です。ウォークアウト(単純不作為の職務離脱)と違って、私企業でも正当な行為ではありません。

 執務場所を占拠するのはマスピケに類似していますが、外形的には威力業務妨害罪の構成要件該当行為に当たります。

 最高裁先例によれば、争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする(●朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6927、●羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12816)。プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである。組合は業務阻害権があると主張するかもしれないがそれに従う理由はない。

 要するに新宿営業所は積極的な業務妨害をやっているので悪質です。スト当日の集会場所は、監察指導課に報告することになっており、当局は把握しているはずなので、積極的業務妨害は組織的に容認されているといってよい。

 職場占拠や座り込みについて、例えば国鉄が業務命令した指導機関士の乗務を阻止するため、機関車運転室に乗り込み占拠しマスピケを指導した事案につき●動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30判タ300363  (上告審最一小決昭51.4.1棄却)では

 「国鉄当局の適法な業務命令を受けてこれに服従し、就労の意思を以て出務している者の場合においては叙上受忍義務のないことは一層明白であるから、同人に本件職場集会への参加を勧誘、説得するに当つては、その時期、場所、手段、影響等において尚更厳しい制約を受け、団結による示威の程度を超えた物理的な力を以て同人の就労を妨害したり、そのため国鉄の施設や車両を占拠する等して国鉄の正常な列車運行業務を妨害することは、その目的の是非に拘らず許されない」として威力業務妨害罪の成立を認めた。

 新聞社の争議に際して、組合が行なった工務局作業場の占拠が、説得の範囲をこえた違法なものと認められた●東京新聞争議事件・東京地判昭44.10.18労民2051346は企業施設の重要な部分で滞留による業務運営の阻止行為が行なわれた場合において、使用者側が労働者側の説得をきき入れず、あくまでも業務を遂行させるように要求しているにかかわらず、依然として滞留を続け、使用者側が業務を遂行するためには、滞留者を実力をもって排除する以外に方法がないような情況にたち至ったときには、右滞留はもはや説得の範囲をこえて業務運営を阻害しているものというべきであり、違法たるを免れないと判示ししている。

 新宿営業所のストでは業務用機器の隠匿もありました。会社の管理する生産手段等財産等を組合の支配下において積極的な業務妨害をすることが正当な争議行為ではないことは、以下の判例で明らかです。

  • さつきタクシー事件・最二小判昭和45.12.17判タ257はタクシー会社の労働争議において組合側が会社のタクシーの車検およびキーを抑留保管しあるいはタクシーの車輪を取りはずすなどする行為の正当性が争われ、組合員の多数の者が暴力によって会社のタクシーの車検およびキーを奪取し、あるいは多衆共同してその車輪を取りはずすなどする行為、ならびに会社社長の返還要求にもかかわらず、人の意思を制圧する勢力を示して、非組合員の乗務する車両を含め会社のタクシーの車検およびキーの返還を拒絶し組合側において抑留保管する行為は、正当な争議行為の範囲を超えるものであつて、威力業務妨害罪および暴力行為等処罰に関する法律違反の罪を構成するとした。

 バス車両確保の争奪戦となった●山陽電軌(現サンデン交通)事件・最二小決昭53.11.15が威力業務妨害罪の成立を認めていることで明白なことです。

 本件はストライキに対抗する性格を有するストライキ中の操業が法的に保護されるか否かが直接の争点となり、ストライキ中の操業が法的に保護されること。組合側の計画していた争議行為に対抗するためにとられた措置であるという理由で業務性を失うことはないことを明らかにした決定的な意義のある裁判例である。先例として、上記の三判例(朝日新聞西部本社事件、羽幌炭礦事件、進駐軍横浜事件)を引用したうえ、違法性阻却判断基準として久留米駅事件方式をとり、建造物侵入罪、威力業務妨害罪、傷害罪の成立を認めた原判決を認容する決定である。

 事案は昭和36年春闘に際し団体交渉が難航し、私鉄中国地方山陽電軌支部組合(約500名)のストライキが必至の情勢になったところから、会社側は第二組合員(山陽電軌労働組合約800名)によるバス運行を図り、予め車両の分散をはじめ、支部組合がストライキに入った日以降は、第三者の管理する建物等を選び、営業の終わった貸し切り車等から順次回送する方法で数カ所に車両を分散し、保全管理していたところ、(1)支部組合員Aらは多数の威力を示して会社が取引先の甲整備工場に、またDらは系列下の乙自動車学校に預託中のバスをそれぞれ多数の組合員ととも搬出しようとして建造物に立ち入った。建造物侵入罪、共同正犯(13060条)。(2)支部組合員らBは、組合員多数による威力を用いて会社が運行させていたバスを停車させ、運転手を強いて立ち退かせそのバスを確保した。威力業務妨害罪、共同正犯(234条233条60条)。棄却。[中村秀次2010「刑法総論に関する裁判例資料-違法性及び違法性阻却-」『熊本ロージャーナル』4126頁]

 決旨は「使用者は、労働者側がストライキを行っている期間中であっても、操業を継続することができることは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(略)。使用者は、労働者側の正当な争議行為によって業務の正常な運営が阻害されることは受忍しなければならないが、ストライキ中であっても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができると解すべきであり、このように解しても所論の指摘する労使対等の原則に違背するものではない。(中略)

 ストライキに際し、使用者の継続しようとする操業を阻止するために行われた行為が犯罪構成要件に該当する場合において、その刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、当該行為の動機目的、態様、周囲の客観的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない(略)。

 ‥‥本件の車両確保行為は、いずれも相手方の納得を前提とすることなく一方的に、営業運転中、回送中又は会社駐車場に駐車中の会社バスを奪って支部組合側の支配下に置いたものであって、旅客運送業を営む会社にとり最も重要な生産手段に対する会社の支配管理権を侵害するもの‥‥諸般の事情並びに所論の指摘する交通産業における特殊性をすべて考慮に入れ,法秩序全体の見地から考察するとき、本件車両確保行為は到底許容されるべきものとは認められない。 そうすると、威力業務妨害罪又は住居侵入罪に該当する本件車両確保行為には刑法上の違法性に欠けるところはない。」

 したがってストライキ時に非組合員やストに反対の組合員を使って操業することは許されないという法解釈は間違いである。争議行為の刑民免責のある私企業でも正当とされる使用者の権利が公営企業で否定されることはありえないのに東京都は否定し組合のいいなりになっているのである。

○○○○は組合員だが課長代理という職制でもあり、職制が業務妨害に関与している点で深刻な問題である。隠匿したと考えられるセキュリティカードは機密性のある重要なもので、これがないと業務遂行は不能になる。公務員の職場でも機密性のある文書を組合の支配下に置くことは悪質と考えられている。

  • 四国財務局(全財務四国地本勤評闘争)事件・最三小判昭52.12.20民集31721225は、組合執行委員会で勤務状況報告書を組合で保管することを決定し、在庁執行委員は手分けして第一次評定者(係長)の席をまわって、説得して収集したが、Xは他の役員数名とともに四人をまわり説得したが、その際経理係長が経理課長に提出しようとした報告を引っ張り合い、同課長の制止を妨害して、収集した。組合の保管は約1日程度で、その他の懲戒事由も加わっているが、職制が保管すべき機密文書を組合が一時的にせよ確保した行為は悪質と判断され、懲戒免職を適法としている。

 地公労法111項違反者は、12条により解雇できるが、罰則規定はない。しかし地方公営企業の争議行為に刑事免責はなく、争議行為及びそれに付随する行為は全逓名古屋中郵事件最大判最大判昭52.5.4刑集31318の判断枠組に適用されるはずで、業務妨害罪、建造物侵入罪等は比較的容易に成立すると考える。

 

 当局は管理意思を明確に示すことがないので、業務阻害を認め、組合オルグ等の外来者の侵入やストライキ待機のセキュリティ破りを許容し、犯罪が成立しないようにしている。犯罪の協力が管理職と任務となっているのは本末転倒している。

私は執務室内に深夜・未明に出入りするセキュリティ破りのスト待機を建造物侵入とみなしこれは、私は西部支所管内の事例を知っているが、どこでもやっていることです。

 刑事の名古屋中郵判決の判断枠組は以下のとおりで(香城敏麿・国労松山駅事件.最二小判昭53.3.3刑集322159判解.公労法171項と地公労法111項は別異に解釈する必要はない)

 

(イ)公労法171項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法12項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法171項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法17条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

 

 少なくとも外形的には新宿営業所の職場占拠と、業務用機器の隠匿は(イ)業務妨害罪、オルグやピケッティング目的の無許可侵入、スト待機の深夜の無許可庁舎侵入は(ハ)建造物侵入罪の犯罪構成要件該当行為に当たり、退去命令をすれば不退去罪、組合側は当局が業務阻害を容認しているから犯罪にならないと主張するだろうが、この判断枠組みは、違法行為目的の建造物侵入は違法性が強く推定されるというものである。仮に犯罪が成立しなくてもコンプライアンスは反すると糾弾されてもやむをえないものといえる。

 

(六)「業務妨害権」を認めている東京都は異常

 

 水道局職員は、恒常的に争議行為があり、管理職が警告も就業命令も何もしないから、何でもありのような状況になっていて、管理職も取り締まらないし組合のいいなりで、各事業所の組合員は懲戒処分しないことになっているため、課長代理クラスの活動家でもない組合員がセキュリティカードの隠匿のような外形上業務妨害罪を平然と行うのである。「争議行為の限界」を知らない。

 そもそも公務員はウォークアウト(不作為の職場離脱)も違法である。積極的業務妨害は争議権のある私企業の組合にも認められてないのに、ライフラインを預かる水道局には認めるという東京都の職員は二重に違法を重ねているのである。

 

1  争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とする

 

 ここでは、「争議行為の限界」について主として名古屋中郵判決上告審を担当した臼井茂夫最高検検事の論文に依拠して説示することとする。

 リーディングケースは●山田鋼業事件最大判昭25.11.15刑集4112257と●朝日新聞西部支社事件最大判昭27.10.22民集698である

 争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、したがって、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為は許されないとの見解が確立したものであって、この点についてプロレイバーが主張するように労働法は市民法個人法秩序を超克するものと解する余地はない。

 そしてピケッティングと犯罪の成否についての画期的判例が●羽幌炭礦事件・最大判昭33.5.28刑集1281694であり、事案は、争議続行と組合指導部に反発して組合を脱退し第二組合の結成に加わった労働者と非組合員による出炭を阻止するためのマスピケッティングであるが、「同盟罷業は必然的に業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者に利用させないことにあるのであって、これに対し使用者側がその対抗手段の一種として自らなさんとする業務の遂行行為に対し暴行脅迫をもつてこれを妨害するがごとき行為はもちろん、不法に、使用者側の自由意思を抑圧し或はその財産に対する支配を阻止するような行為をすることは許されないものといわなければならない‥‥。されば労働争議に際し、使用者側の遂行しようとする業務行為を阻止するため執られた労働者側の威力行使の手段が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には刑法上の威力による業務妨害罪の成立を妨げるものではない。」と判示した。

 問題は、「諸般の事情」の解釈だが、臼井検事は、「基本となる基準はあくまで労働力の提供拒否にとどまるか否かであり」労働力の提供拒否にとどまるか否かという基準では割り切らないことを意味するというプロレイバー解釈は誤りと指摘している[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号 ]。

 プロレイバー労働法学では、争議権とは本質的に「業務妨害権」であり、同盟罷業による業務妨害状態を有効に維持するためにピケッティングは争議行為の範囲にあるとし、一定程度の実力行使も許されるというものであるが、最高裁はもちろん認めていないが、東京都は業務妨害権を容認している。

 同判決以外でも最高裁は物理的に就労阻止する実力ピケ、大量動員ピケについて多くの事件で有罪と判決している。●ホテル.ラクヨー事件最一小判昭和32.4.25暴力行為等処罰ニ関スル法律違反第二港湾司令部駐留軍横浜事件最二小判昭33.6.20威力業務妨害、東北電力大谷発電所事件最一小判昭33.12.15威力業務妨害、水利妨害、四国電力財田発電所事件最一小昭33.12.25威力業務妨害、嘉穂砿業事件最一小判昭35.5.26威力業務妨害.暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、長万部駅事件.最一小判昭45.7.16建造物侵入浜松動労事件.最一小判昭45.7.16 威力業務妨害全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後上告審最一小決昭49.7.4 公務執行妨害、国労久留米駅事件.最大判昭48.4.25 建造物侵入、公務執行妨害動労尾久駅事件最三小決昭49.7.16威力業務妨害光文社事件最三小判昭50.5.8逮捕罪動労糸崎駅事件.最一小決昭51.4.1威力業務妨害国労尼崎駅事件.最一小判昭52.10.20公務執行妨害動労鳥栖駅事件.最三小決昭50.11.21?威力業務妨害.公務執行妨害春闘松山駅事件.最小二判昭53.3.3威力業務妨害動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.29威力業務妨害●山陽電軌(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15威力業務妨害

 

2 例外二判例は先例たりえないその理由

 ただし最高裁は羽幌炭礦判決より前に例外的に〇三友炭鉱事件最三小判昭31.12.11刑集1021605において物理力を行使したピケットを正当と判決している。〇札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311 それに続く二つめの例外的判例である。羽幌炭礦判決以降では唯一の例外である。それゆえプロレイバー-学者は、ピケット権の確立を前進させた意義があるものとして本決定を評価している[佐藤昭夫1970「札幌市労連最高裁決定とピケット権の展開」『労働法律旬報』756号 ]。従って組合側がこの判例に依拠して積極的業務妨害やピケット権を主張することはありうるので、検討する。

 

(1)三友炭鉱事件最三小判昭31.12.11

 三友炭鉱事件判決とは可罰的違法性論の典型とみなされるものである。罷業から脱退して生産業務に従事する者に対し「口頭又は文書による平和的説得の方法で就業中止を要求しうることはいうまでもないが、これらの者に対して、暴行、脅迫もしくは威力をもって就業を中止させることは、一般的には違法と解すべきである。」としたうえで、しかしながら違法性を阻却することがあることを認め、「諸般の状況を考慮して慎重に判断されなければならない」とし「炭鉱労働組合が同盟罷業中一部組合員が罷業から脱退して会社の石炭運搬業務に従事し石炭を積載した炭車を連結したガソリン車の運転を開始した際、組合婦人部長たる被告人が、右一部組合員の就業は経営者側との不純な動機に出たもので罷業を妨害する裏切行為であり、これにより罷業が目的を達し得なくなると考え、既に多数組合員等がガソリン車の前方線路上に立ち塞がり、座り込みまたは横臥してその進行を阻止しているところに参加して『ここを通るなら自分たちを轢き殺して通れ』と怒号して就業組合員のガソリン車の運転を妨害したというのであって、被告人の右行為はいわば同組合内部の出来事であり、しかもすでに多数組合員が運転行為を阻止している際、あとからこれに参加したというに止まるから」本件の具体的事情ではまだ違法ということはできないとしたものである。

 最高裁判決では触れられてないが、「諸般の状況」には三友炭鉱の出炭成績は悪くなかったにもかかわらず、社宅の飲料水の如きは山麓に一間半の水槽をつくり、その溜まり水を手押しポンプで汲出すという粗悪な設備で消毒もなく、平素も行列をつくって汲み水を待つ状況に放任されており、浴場も山間部にわずかに屋根があるだけで脱衣所なく濁った構内の腐水を使用し混浴であったが、経営者側が改善に着手する模様がなかったこと、被告人は経営者と縁故のある元組合長らが突然就業を開始した裏切り行為に極度に憤激したといった格別の事情を斟酌したものと考えられる。したがって、あくまでも同情的な例外的判例とみなす。

 

(2)札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23

 ここが本意見書の勘所になる。

 昭和45年の札幌市労連事件最高裁決定はピケッティングの犯罪の成否につき先例の判断基準を変更していないが、原判決が威力業務妨害罪の構成要件に該当することを認め「このような行為は、それが争議行為として行なわれた場合においても、一般には許容されるべきものとは認められない。」と説示しておきながら、具体的事情を斟酌して可罰的違法性にいたらないものとした。三友炭鉱事件に続いて例外的裁判例といえるのであって、最高裁の判例法理の骨格自体を変えるものではない。

 事案は昭和37615日札幌市労連による市電と市バス乗務拒否を主眼とする争議行為において、地公労法適用の札幌市職員である被告人3人が他の40名の組合員とともに交通局中央車庫門扉付近において、当局の業務命令によって乗車した罷業脱落組合員の運転する市電の前にスクラムを組むなどして立ち塞がり、「降りろ」「下がれ」等と怒号しながら電車を揺さぶる等したため、当局側ともみ合い、約30分電車の運行を阻止したことが、威力業務妨害罪として起訴されたが、無罪とする原判決を維持した。

   一審札幌地判昭41.5.22判時449は、威力業務妨害罪の構成要件に該当するが、労働組合法12項の正当な争議行為にあたるとして無罪。原判決札幌高判昭42.4.27でも、業務妨害罪の構成要件に一応該当するものと認めながら、正当な争議行為と認められるから、実質的違法性を欠き、罪とならないとして控訴を棄却。

 最高裁第三小法廷決定は多数意見3、反対意見2の僅差で、本件ピケッティングは正当な行為として上告を棄却した。なお反対意見の下村、松本裁判官は、地公労法111項違反の争議行為に労組法12項は適用されないとの見解を示した。

 坂本武志判解によれば多数意見は、地公労法111項違反の争議行為に労組法12項(刑事免責)の適用があると明示していないが、東京中郵判決・最大判昭41.10.26刑集208901により公労法171項 違反の争議行為にも労組法12項の適用があるとされたので、当然の前提としている。

 後に判例変更された昭41年東京中郵判決の刑罰最小限度論に沿った判例である。同判例は、公労法171項に違反して争議行為をした場合、なんらかの刑罰法規に触れても違法性を阻却すると解すべきだとした。これは藤木英雄東大教授が説いた行為の違法性の相対性の考え方によっている。

 つまり刑事制裁の対象となる争議行為を三つの場合①政治スト、②暴力を伴う、③長期に及ぶなど国民生活に重大な支障をもたらす場合に限定しているのであり、違法性の強弱.程度で違法性阻却される枠組みで刑事上違法とできないとされた。

 但し多数意見は本件ピケのように、多数が市電の前に立ち塞がって進行を阻止する行為は、一般には許容されないというピケッティングの限界に関する原則的見解をとっている。にもかかわらず無罪というのは、本件における具体的事情のもとで、正当な行為ということができるとしているのである。

①本件ピケッティングは、市当局が、組合側の正当な団体交渉の要求を一年有余の長期間にわたって引き延ばしたりして誠意のない態度をとったため、やむなく踏み切られた市電への乗務拒否を主眼とする同盟罷業がその実効性を失うのを防ぐためになされた。

②本件ピケッティングは、罷業から脱落した組合員が、当局の業務命令に従って市電の運転を始めたので、組合の団結が乱され、同盟罷業がその実効性を失うのを防ぐため、翻意を促す目的でなされたものであること。

③進行を阻止した時間が短く、暴力に訴えることはなく、しかも実質的に私企業とあまり変わらない市電の乗客のいない車庫内でのできごとだったこと。

 

2判事の反対意見

◇下村三郎裁判官の反対意見の要約(昭41中郵判決.44都教組判決いずれも反対意見に加わる)

 

 地公労法111項は、争議行為を禁止しているのであるから、これに違反してなされた争議行為は、すべて違法であって、正当な争議行為というものはありえない。‥‥原判決が、地公労法111項に違反してなされた本件争議行為を威力業務妨害罪の構成要件にあたるものとしたうえ、労働組合法12項を準用して、被告人らの本件所為を正当な行為として罪とならないとしたのは、法令の解釈を誤り‥‥

 

◇松本正雄裁判官の長文の反対意見の要約(昭44都教組判決で反対意見に加わる)

 

 地方公営企業労働関係法111項はその前段中において、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」と規定している。そして右の規定は‥‥合憲であることに異論がないであろう。もし、右の規定が違憲であるとするならば問題は別であるが、合憲の規定であると当裁判所が認めるからには、地方公営企業に対する争議行為等が禁止せられていることは明白であり、違法性があることすなわち正当でないことをも意味し、労組法1条二項の適用を排除する趣旨と解すべきものである。この意味で、右の争議行為禁止違反が、単なる民事的違法に過ぎないという解釈にはとうていくみすることができない。

 しかも、労組法12項において、刑法35条の適用があるとされているのは、「労働組合の団体交渉その他の行為」であつて、労働者の地位向上、団結権の擁護等の目的を達成するためにした「正当なもの」についてであるが、地方公営企業においては、「その他の行為」のうちには争議行為は含まれないと解釈すべきであり、また、争議行為は解雇原因ともなりうる違法な行為であるから、「正当なもの」ともいえないわけである。(これは昭52名古屋中郵判決の判旨と大筋で同じ)

 〇仮に、労組法12項の適用があるとしても、被告人らの本件行為は、次に述べる理由により、正当性の範囲を逸脱したものである。

A 被告人らのした本件行為は、かの中郵事件にみられるような単純な不作為ではなく、積極的な実力または威力による業務妨害行為であって、このような、このような行為は、当裁判所が昭和2511月一五日の大法廷判決(山田鋼業事件)以来、累次の判例により違法としているものである。

B Yが争議から脱落した組合員であるとしても、もともと職員の争議行為は禁止されており、これに違反した職員は解雇されることがある。(地公労法11条、12条参照)

‥‥業務に従事しようとする組合員個人の自由意思は特に尊重されるべきであり、これを実力で阻止することは、組合といえども許されない。(この趣旨は全逓横浜中郵ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20等内部統制権引否定の判例により少数意見ではなくなった)

C ピケの正当性は、口頭または文書による、いわゆる平和的説得の程度のみに限られるべきだとは必ずしも思わないが、本件のごとく有形力を行使し、脱落者の就労を事実上不可能にすることまでも(たとい、それが説得の手段であったとしても)許されるべきとは考えない。かかる行為を許容することは、健全な労働運動の発展の障害にこそなれ、正しい方向とはいえない。

 

札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311物理力を行使したピケットを正当としたきわめて例外的な裁判例をどう評価すべきか

 結論を先に言えば

 地公労法違反の争議行為で、組合の物理的就労阻止を認める根拠として組合側が利用できるのは、札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311だけであるが、先例としての意義を持たないというのが結論である。

 明示的に判例変更されていないと言うかもしれないが、それは地方公営企業の労働刑事事件が稀少なため、この場合、判例が蓄積している公労法判例に依拠してよいのである。

 争議行為に付随する行為としてのマスピケの違法性阻却判断基準は、私企業の先例にもなっている国労久留米駅事件最大判昭48.4.25刑集273418の久留米事件方式により明確になった。公務員のストの先例である全逓名古屋中郵事件.最大判昭52.5.4刑集313182は、久留米駅事件方式を継承した判断枠組にとっている。

 東京中郵判決が争議行為にも刑事免責があるとされたが、名古屋中郵事件により判例変更され、争議行為には労組法12項の刑事免責は適用されないうえ、同種のマスピケが昭和50年代以降久留米駅事件以降、無罪とされることはなくなった経緯から、今日では無罪が成立する余地はなくなったというべきで、先例としての意義は認められない。今日の判断枠組み(名古屋中郵事件方式)では、久留米駅事件方式を踏襲し違法性推定機能を強化した「行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない」という違法性阻却の判断基準となっている。したがって本件のような市電車庫発進を物理的に阻止するのピケが、犯罪構成要件該当行為であり、違法争議行為防衛の目的でなされる以上違法性を阻却されることはありえない。業務妨害は正当化されない。威力業務妨害罪は成立する。

 実際、類似したマスピケ事犯の多数が昭和50年代以降、久留米駅事件方式や、名古屋中郵事件方式により有罪とされている。特に類似した事案として業務命令された機関士が機関区内の機関車に乗務することを妨害する動労の500名のマスピケ事犯である、南延岡機関区事件・最判昭53.6.29刑集32-4-759が、名古屋中郵事件方式により無罪とした原判決を破棄し有罪としており、札幌市電ストもそれと同じことである。

 加えて、本件は当局が組合の団結を切り崩して、脱落組合員が市電に乗務し、その出庫を阻止した事案であるが、動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.25判時770113頁(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)のケースは動労のストで、国鉄の業務命令で、スト参加の機関士の代務となる同じ動労の指導機関士の急行列車への乗務を阻止するマスピケの事案で「組合がたとえ同盟罷業を決議しても、それは公労法上違法であり、民間企業の組合の場合のように法的拘束力をもつものではなく、組合員としては組合の決議、指令にかかわらず同盟罷業に参加することなく就業する自由を有するのであって、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はないのである」と説示していることから、脱落組合員がスト参加の慫慂に応じる必要はなく就労の権利があるので、脱落組合員の就労阻止だから大目にみるということは今日ではありえない。

 地方公営企業の労働刑事事件が僅少なため、明示的に判例変更されていないとはいえるが、札幌市電事件は、特殊な事情が強調されているが、羽幌炭鉱事件の判断枠組みを変更したものではないし、公労法171項と、地公労法111項は同文同趣旨の立法のため、公労法の先例と別異に解釈する理由はないのである。

今日では、この判例ではなく指導的な位置づけにある名古屋中郵事件最大判昭52.5.4方式に依拠することになるのは必定。また違法争議行為の参加を強要する統制権を否定する判例があることは既にのべたとおりであり、札幌市労連事件を根拠に、就業の物理的阻害を正当化することはできない。

 

 3対2で無罪とされた札幌市電ピケット事件の評価を誤らないことが重要である。最高裁は昭和48年を潮目として石田和外長官派が多数を占めるようになる、本件は最高裁が左派優勢、中郵判決維持派が多数を占めていた昭和45年の決定である。刑罰最小限度論をとっていた時期の判例である。のちに反対意見側の見解が多数派になるのである。

 池田首相に近い弁護士で最高裁判事に就任した松本正雄裁判官は、この反対意見だけでも名裁判官と評価してよい。反対意見のBの見解(違法争議行為の内部統制権の否定)は、将来の中郵判決の判例変更を見越したうえで、全逓横浜中郵ピケ事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時68951(差戻後上告審最一小決昭49.7.4判時74826頁棄却)において中郵判決の調査官だった中野次雄裁判長が採用し、マスピケ事犯を、争議行為に付随した行為として、争議行為の評価の切り離すテクニックにより、2時間ストされ自体は可罰的違法性なしとしつつも、本件郵便局員神奈川地評に動員され機動隊に暴行を働いたピケ隊2名の公務執行妨害罪の成立を認めた。組合員であれ「組合の指令にもかかわらず、同盟罷業に参加することなく就業する義務を負うとともに権利を有するものである」として内部統制の否定は、国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29101634でも説示されたものであるから、実質判例変更されたものとみてよいのである。したがって今日の判断では、当局の業務命令により同盟罷業から脱落した組合員による業務遂行は、正当な業務であり、刑法上保護される。

(3)札幌市労連事件の今日的観点での評価(補足)

①藤木英雄教授の可罰的違法性論の悪影響

 昭和40年代労働事件や公安事件で司法が左傾化した要因として、可罰的違法性論の影響がある。

 藤木教授は労働刑法での違法性概念について「労働権の保障の結果それと矛盾する限度で財産権に対する保障が後退するのは当然のこと」「通常の一般市民間でなされた場合に威力ないし脅迫にあたる行為であっても、労働争議という実力闘争の場において常態を逸脱しない‥‥程度の行為については‥‥威力あるいは脅迫にあたらないとして構成要件該当性を否認することにより問題を処理することが許されよう」と述べたわけである。[藤木英雄1967 81頁]市民法秩序を軽視する理論である。争議行為の限界を消極的限度にとどまるとしている最高裁判例を突破し、市民法と労働法のぶつかり合う矛盾を労働法優位に改変していこうとする志向性を有している。

 また藤木教授はピケッティングについて、「組合員であって争議から脱落した者は‥‥統制力の行使として、緊急の場合、スクラムによる絶対阻止が許される」「組合の組織の防衛をはかる目的で、会社のために就労しようとする者を‥‥強力な威力行使によって、その通行の最終的な阻止を試みることは‥‥場合によっては合法」としてスクラム阻止を容認している[藤木1967 181頁以下]

 この学説と中郵判決の刑事免責適用を根拠に、争議行為を明文で禁止されているはずの公労法適用職場において、積極的業務阻害であっても、可罰的違法性を欠くとして無罪とする下級審判例が相次ぎ、大きな混乱をもたらした。例えば〇国労尼崎駅事件神戸地判昭41.12.16判決逆ピケを張った鉄道公安職員に体当たりし負傷者を出したにもかかわらず、正当防衛、渦巻きデモや坐り込みにより電車の発進を阻止した行為を正当な争議行為として無罪、実力ピケを無罪としたものとして、マスピケ事犯の多くが無罪となったほか、私企業で、典型的可罰的違法性論の判例として一例をあげると、〇光文社事件東京高判昭48.4.26判時708である。これは第二組合員が通勤途上の路上で第一組合員と支援者6人に包囲され両腕をつかまえられ、引っ張り、押されるなどして腰を低く落として抵抗するのもかまわず、約30メートル引きずられたあと、さらに両脇下に手をさしいれたまま、200メートル余り自由を拘束され連行された事案で、「‥‥身体に殴打、足げり等の暴行を加えてないのはもちろん、その着衣その他に対しても何ら損傷を与えていない程度のものである」と述べ、「なお外形的には、逮捕罪にあたる」ことを認めつつ結局本件は「犯罪として処罰するに足りる実質的違法性をいまだ備えていない」として逮捕罪の成立を認めた一審を破棄して無罪判決を下した。

 要するに労働争議においては、ある程度の有形力行使を認めるというというのが藤木学説であったし、刑罰最小限度論の41年中郵判決も、藤木学説の影響である。しかし最高裁は昭和48年に石田長官派が多数を占めることとなり、潮目が変わるのである。

 

②先例としての価値は認められない

 本決定は、藤木英雄東大教授の可罰的違法性論の影響力の大きかった時代の所産であり、諸般の状況によっては一定程度の実力行使も許容される余地があるピケット権を是認した先例とみなす評価は正しくない。先例として意義は以下の理由で認められない。

 

A前提となっている刑事免責は判例変更された

 第一に、本決定は昭和41年の中郵判決の公労法171項違反の争議行為であっても労組法12項(刑事免責)の適用があるとの判断に従って、地公労法111項違反の争議行為にも適用があるとの前提に立っているが、52年の名古屋中郵判決で明示的に判例変更されていることである。

 同じく、41年中郵判決では刑事処罰の対象となりうる争議行為は、強い違法性のある争議行為、「三つの場合」に限定されるとしたが、この基準も52年の名古屋中郵判決で判例変更されていることである。

 

B 久留米駅事件方式により可罰的違法性論は事実上排除される

 第二に●国労久留米駅事件最大判昭48.4.25刑集273418は、藤木英雄東大教授の可罰的違法性論を事実上排除するために、違法性推定機能を重視する、次のような違法性阻却判断基準を示したことで時代のターニングポイントとなる判例といえる。

【久留米駅事件方式】

 「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行われた犯罪構成要件該当行為について、刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するに当っては、その行為が争議行為に際して行われたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に容れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない。」との判断方式を打ち出した。

 臼井最高検検事は、久留米駅事件方式確立の結果、結論的に「最高裁判例においてはピケッティングの正当性の限界につき,消極的性格の行為の限度にとどまるべきであるという見解が堅持され、いわゆる平和的説得の限度を越えたピケッティングが犯罪構成要件に該当するときは、犯罪の成立を阻却するごく特殊な事情が存在する場合は格別、原則として違法性が阻却されないものとされている」[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号]

 国鉄が私法上の勤務関係のため、私企業を含めた先例であり、久留米駅事件の意義は大きい。

 実際、藤木学説を根拠として可罰的違法性を欠くとして無罪とした判例は130件あったが、久留米駅事件方式による違法性阻却判断基準により、他組合員への断続的暴行、逮捕行為を無罪とした原判決を破棄した日本鉄工所事件最二小判昭50.8.27 以降ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去った[前田雅英1984「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』551号 ]。

 

C 名古屋中郵事件方式により諸般の事情は違法性を肯定する方向で考慮される

 久留米駅事件方式は争議行為そのものと、争議行為に際して行われる行為とを区別した私企業を含めた判断基準として画期的であった。その後公労法違反の争議行為、および付随行為については、中郵判決を判例変更した全逓名古屋中郵判決において久留米駅事件方式を継承したうえで発展させた判断方式が示されるに至っている。

 名古屋中郵事件は公労法違反の事案だが、地公労法111項と、公労法171項とは同文であるから別異に解釈する理由はない。

 札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23は原判決が威力業務妨害罪の構成要件に該当することを認めているのであるから、久留米駅事件方式を踏襲した名古屋中郵事件の判断枠組みでは、先述の香城敏麿国鉄松山駅事件調査官解説は名古屋中郵事件最大判昭52.5.4刑集313182判決の要点を3点にまとめているが、(イ)に相当し、違法性は阻却されない。

 したがって、昭和45年の札幌市労連事件は先例たりえない。地方公営企業の類似事件としては、○北九州市交通局12条解雇事件福岡地裁昭49.11.19判時766福岡高裁昭55.11.11判タ435最二小判昭55.2.8 労判335があり、バスの出庫に対し、バスを横付けして発進を妨害した例がある。この事案は指導した組合執行委員長を12条解雇としたため、刑事事件になっていない。地方公営企業の威力妨害罪の判例がその後ないから、判例変更になっていないだけの話であると説明できる。

 組合側は札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)を先例として、業務妨害権、ピケット権を主張してくるかもかもしれないが、以上の理由で先例にならないことは明らかであるから、業務妨害を擁護する余地は全くないのに、東京都は容認している。全く法解釈を誤った労務管理として糾弾したい。

 以上のことから全水道東水労の西部支所新宿分会のストの態様は、時効だが、威力業務妨害罪が成立する悪質な態様と断じることができる。

令和61220日に配置されているストが決行され同じことが繰り返されるかもしれない。

 

七)当局の反論の想定と補足

 

1 反論としては当局に争議行為対応に広範な裁量権があり懲戒処分前提の警告.就業命令しなくてよい。取り締まらないこと自体違法ではないと言うはず

 

 争議行為時に、国の行政実務のように就業命令やらないのはなぜだと、それは争議行為が労務指揮命令系統から離脱する行為だからか、あるいは組合敵視と非難されるためだからかと都議が質問した場合、当局は就業命令しないこと自体違法ではないとして次のような反論をすると想定します。

 就業命令が適法で、就業命令できないとする学説は、神戸税関判決で否定していることは認めざるをえないが、国の争議対応実務に倣うことは義務とされていないと答えると思う、そのうえで、懲戒処分の範囲や量定は指導判例である神戸税関判決が、「懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきか‥‥広範な事情を総合的に考慮してされるものである以上、平素から庁内の事情に通暁し、部下職員の指揮監督の衝にあたる者の裁量に任せるのでなければ、とうてい適切な結果を期待することができないものといわなければならない。それ故‥‥懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきである」としており、違法行為をしても懲戒処分しないで部下を守るという裁量もあってよい。

 そもそも、地公労法111項違反は、12条で「‥解雇することができる」としているだけで、判例により、懲戒処分もできるが、懲戒権者の広範な裁量権があるので、違法行為に不利益賦課しなければ違法となるものではない以上、コンプライアンスに反しないと言うだろう。

 コンプライアンスとは組織のルールです。国の方針と同じくすることではないともいうだろう。就業命令すると抗議活動で収拾がつかなくなる。殴られてもいいから職務命令しろなどいうのはパワハラというかもしれない。

 

 しかし、管理職は違法行為や犯罪行為を制止し、正常な業務運営を維持するために、懲戒処分するしないは別問題としても、職場秩序維持のため中止・解散・退去命令、就業命令等、職務命令をすることは、違法行為は認めない管理意思を示すことは必要である。なにもしないのは労務指揮権の放棄で怠慢。少なくとも水道局長が庶務担当課長あてに服務規律の確保を通知している以上、管理職の債務の本旨と言うべきであり、組織的に職務命令をやらない方針が異常なのである

 争議行為に職務命令をしなくてもそれは当局の政策判断と反論しても、管理意思を示さず、職務命令の凍結することが違法行為を助長することはいうまでもなく、住民全体の共同利益の侵害の放置と非難されても仕方がないように思える。

 少なくとも40年以上、事業所においては地公労法11条違反行為と外形上威力業務妨害罪構成要件該当行為に対して職務命令等せず、拱手傍観もしくは積極的に協力している実態、組合に労務指揮権・施設管理権を掣肘されている状況は異常である。

 都の管理職が違法争議の慫慂を承認し、事実上管理職と組合役員が共謀.共同統治で職員全員を組合の方針に従って争議行為に巻き込んでいく体制は改めなければならない。

 事故欠勤にすると命令した管理職は令和2Ⅰ年の○○○○中野営業所長の例のほか平成初期の東部第一支所の庶務課長が、就労した私を非難したケースだけですが、組合に入ってない新人を、庁舎から締め出すことを見ていますし、かなり前から当局が組合と共謀して出勤簿は押させない方針に加担しているのは非公式であれ組織的方針であることは間違いありません。

 他の管理職はピケットラインを通過するなと命令せずとも、江東営業所勤務時、包囲型のピケッティングを振り切って就労しても、歓迎は絶対しません。管理職が就労を促すことは組合に対する裏切りになるのでやりません。組合を刺激して吊るしあげられることを怖れていますし、私が就業規則どおり出勤簿(現在いICカードリーダ)を押しての就労は非違行為扱いに等しい異常な職場です。

 抗議活動で荒れるから、職務命令できないと言うかもしれなすが、郵政は全逓、国鉄は国労や動労と対峙してひるんでいない。特別査察チーム派遣とか、それなりの対策をすればよい話で理由にはならない。

 

2 ストライキ時の非組合員の事故欠勤強要の不当性

 

 平成21年当時中野営業所長だった○○氏は組合役員と共謀し、私に出勤停止を命じた人です。実際本局部署と連絡をとったうえで、自信をもって私の就労の権利を否定し事故欠勤を強要しようとしました。

 ストが決行された場合私に対し、8時半より前に入庁は許さない。事故欠勤にします。賃金はやるといっているのに従わないのは非常識と言いました。都労連に頑張ってもらいたいと言っていたし、争議行為を正当業務と認識していました。法解釈がおかしいです。

 又、○○所長は、私の執務室内昼休み集会の中止命令の進言も拒否、組合役員の申し出に応じ演説「あおり」そのものの違法行為を許諾しています。労働基準法第34条第3項により組合活動を規制できないと言っていましたが、そんなばかなことはありません。米軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29訟務月報212421 「一般に労働者は、休憩時間中といえども、その勤務する事業所又は事務所内における行動については、使用者の有する右事業所等の一般的な管理権に基づく適法な規制に服さなければならない‥‥‥休憩時間中における労働者の行動の自由が一部制約せられることがあっても、有効な規制として拘束力を有し、労働者がこれに違反した場合には、規律違反として労働関係上の不利益制裁を課せられてもやむをえない」とされ以降累次の、昭和50年代以降企業秩序論(目黒電報電話局事件・最三小判昭52.12.13)などの多数の判例があるので、勤務時間外の組合活動も当然規制できます。

 たぶん○○氏のように組合側の論理プロレイバー学説が法律だと思っている誤った法解釈をしている人でも、本局中枢の重要ポストに就けるという東京都の人事は異常です

 また○○所長は平成231031日~4日の1週間(祝日をはさむ)昼当番拒否闘争で就労拒否.は不完全就労なのに、賃金カットはしていないことも聴きました。平成231031日~4日の1週間(祝日をはさむ)○○所長は、粛々と昼休み当番下位職業務を組合の指図に従ってやっていました。組合の指図には従順です。

 ○○所長が、事実上ピケットラインを尊重しなればならず、就労の権利を否定したので、私が局幹部に抗議するグループウェアメールをしたところ非違行為とされ、私を「愉快犯」となじったわけです。実際には平成21年にストはなく、平成2212101時間ストは組合がピケットを張らなかったので、私は就労していますが、○○所長は、駐車場での組合集会に対して職場復帰命令、解散命令、就労命令はしていません。職員部の指示がないからやらないということでした。

 違法行為に対して、制止、中止命令せず、違法行為、犯罪の実行がそこで行われているのに拱手傍観する。それが東京都では一番良い管理職ということになっています。組織的な方針としては、○○氏の言動や行動のとおりですし、○○氏のような水道局プロパーに限らず、知事部局から転任した管理職であれ総じて東京都は違法行為に好意的といえます。

 服務規律として基本的義務である就業規則に反する行為を部下に強要するのは権限を逸脱し、水道局長の服務規律確保の通知の趣旨にも反します。非組合員の就労締め出しは、地公労法112条に反しており、違法行為と評価される可能性が高い。コンプライアンス経営宣言に反している。

 なお、ストに参加する組合員は懲戒処分を受けないが、賃金カットはされます。組合の説得によってピケットラインを突破せず就労しない非組合員は、ノーワーク.ノーペイ原則に反し、「事故欠勤」としても賃金が支給されているのは、不平等であります。

 東京都は、管理職も、組合員も、非組合員も総ぐるみで悪いと私は思っています。

 事故欠勤とは水道局処務規程55条の「交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できないときは、その旨を速やかに連絡」すれば遅延証明を根拠として、遅刻しても賃金カットされず、実質出勤扱いにする制度であり、それを違法行為であるストライキの防衛のために適用しているのは、職権を逸脱し、コンプライアンスに反しているし、就労実態もないのに賃金を受け取っている非組合員も腐りきっています。

 不当な給与支出であり、都議に追及していただきたいと思います。

 

3 三公社五現業は18条解雇か服務規律違反として懲戒処分を行うのが国の基本方針

 

 国の争議行為対応の方針は、 岸内閣昭和32927日公共企業体等の職員の労働組合の争議行為についての閣議了解に示されているとおりです。公労法171項違反者は服務規律違反として免職その他の懲戒処分を免れない。組合が「合法的な実力行使」と称している勤務時間内職場集会、休暇闘争、遅刻戦術、早退戦術、定時出勤、超過勤務拒否、遵法闘争、担務変更拒否、滞留業務処理拒否等も、名目如何を問わず171項違反の争議行為であり、刑事上、民事上の免責を受けず、不当労働行為の救済を受けることはできず、公労法18条により解雇されることになるとしたうえで、「職員は‥‥法令及び業務上の諸規定に従うべきことはもちろん、上司の職務上の命令に従って誠実に職務を遂行する義務を負うものであるから以上あげたところに該当する行為は、一般に服務規律違反の行為ともなるもので、それが組合の指令において行われた場合であっても、同様である。従って、右の如き服務規律違反の行為をした職員は、各公社法、又は国家公務員法に定めるところにより、免職その他の懲戒処分を免れないことはいうまでもない。」とする[峯村光郎1971 144頁以下]。 

 争議行為実行者は、公社法や国家公務員法が法令遵守義務違反や、上司の職務上の命令に従う義務を服務規律違反と当たるので、公労法違反だけなく、公社法や国家公務員法の服務規律違反として懲戒処分ができるという理屈であるが、国の争議行為対応実務は神戸税関懲戒免職事件最三小判昭52.12.20民集31-7-1101と全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18民集3251030により適法として是認された。

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註)地公法の61条4号は近年削除して62条の2に移された

 都はこの方針とは全く違う。大多数の組合員はストを指導しても懲戒処分されず、賃金カットされるだけで、当局はひたすら、組合活動で不利益賦課させないと言う組合の方針に従うので、違法行為やりたい放題。左翼にとってはホワイト企業といえる。

 なお、地公労法12条(地方公共団体及び特定地方独立行政法人は、前条の規定に違反する行為をした職員を解雇することができる)。は111項違反者に任意解雇、公労法18条は171項違反者は原則解雇(前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする)とする文言であるが、政府の見解は「解雇されるのが建前であることを規定したものであるが、現実に解雇するかどうかは、公共企業体等が決定し得る」(昭34.7.8労働省法規課長内翰、東京都交通局労働部長宛)とされ、公労法18条と地公労法12条は同義とされている[峯村光郎1971]。

 

 また地方公営企業においても昭和3478日労働省労政局労働法規課長発.東京都交通局労働部長宛回答における労働省の見解は「一二条の規定による解雇をなしうることはもちろん、地公法第二十九条の規定により懲戒免職その他の懲戒処分をなしうるが、そのいずれかによるかは、当該職員について任命権を有するものが決定しうるものである。‥‥」とする。

 参考までに企業局職員には適用されないが、地方公務員法371号違反の争議行為違反のつき政府側の見解としては自治省公務員一課長の菅野悠紀夫[『教育委員会月報』1971号数失念]は「地方公務員法第三七条一項の規定は、職員の争議行為を禁止しているのであって、この規定の趣旨は、団体的に行われる争議行為を組成する個々の職員の行為を違法のものと評価して、これを禁じていると解せざるをえないからである。この場合において、争議行為が事実上集団的性格を有するとしても、その集団的な行為を組成する職員の行為が存在するのであるから、争議行為が集団的性格をもつということを理由に、個々の職員の行為について、法律の規定に基づいて懲戒責任を問うことを妨げるべき理由は全くない。」とする。

 既に述べたとおり、国の方針は、昭和52年以降の判例で最高裁が追認しているが、東京都は方針が違う。と。国の省庁に準拠した方針にあらためるべきである。

 

(Ⅵ) 各 論

 

一 非組合員の就労する権利を侵害する管理職の行為について

 

  既に述べたとおり違法争議行為の内部統制権を最高裁1判例と6つの高裁判例(国鉄6.郵政1)が否定する説示をしている。例えば国労東和歌山和歌山駅事件・.大阪高判昭50.9.19は「国労が企てた本件ストライキが違法なものであることは明らかであり、組合がストライキの決議をしたとしても、組合員に対してストライキへの参加を求めることは組合の統制権を理由としても違法であることに変りはなく、組合員は組合の要請に従ってストライキに参加すべき義務はなく、就労の意思をもつて出務している場合においては、その受忍義務のないことは一層明白であって、まして組合は、非組合員に対してストライキへの参加を強制すべき権能を有するものではない」と述べ、公労法違反の違法争議行為も、地公労法違反も同じことであり、地方公営企業においては、私企業のユニオンショップの組合とは違って、組合員も非組合員も就労の権利と義務があるというべきである。

 

  私が一番怒り心頭にきていることは、都の管理職が組合のピケットを補強する役割を果たそうとし、ピケットラインを越えてはならず、服務上もっとも基本的な義務である出勤時限前にICカードリーダに出勤記録を電磁的に入力することと(昔の出勤簿の押印)を許さず、就労する権利の侵害に躍起になっていることである。

  管理職はストに対抗して、業務を継続してはならないという組合の言いつけを守ることに責務になっている。

  事故欠勤で給与は補償するので言うことをきけと、当時中野営業所長、○○○○は事故欠勤を強要しようとしましたが、欠務して勤務実態がなく実質ストに参加し賃金を受け取る詐欺的なことは、良心に誓ってできないです。これは詐欺的行為の強要です。

 違法行為に実質参加させるためにインセンティブを与える都の方針が間違っています。

  都水道局の管理職は、庁内管理規程で門扉を閉めた後の入庁を拒否できる(12条)こととなっているがセキュリティ破りをしてスト突入指令を組合員に伝達する地公労法111項後段違反行為とスト準備のため庁舎を深夜.未明に出入りする組合役員のスト待機は全面的に認め、非組合員は締め出すことが仕事となっていて、違法行為参加の受忍義務を強調しそれに従わない職員に敵意が向けられてくる。実際○○は、グループウェアで局長に○○の就労させない命令に抗議したところ、私を非常識、グループウェアの不正利用、「愉快犯」よばわりしたのです。ストに参加しないこと非違行為といわんばかりである。

  その後、経理部管理課長、職員部監察指導課長、令和元年ストライキ時の労務課長と本庁要職に○○は出世しています。私を攻撃してきた管理職が出世する職場風土が不愉快だ。

  しかしストライキの期間中であっても業務を停止しなければならないというものではなく、プロレイバー学説にもとづいてストライキは一糸乱れず非組合員もストライキ時に全員参加で防衛させなければならないという組合の主張に管理職が与する理由など全くない。

  実際判例に現れている、昭和40年代の福岡県庁や北九州市役所のストでは、事前警告のうえ職務命令書を交付していることもあり、ストに参加せず就労する職員もけっこう多い。全逓組合員でも、国労やとくに動労組合員では、組合による職場離脱しスト集会に参加せよという指示に従わず、当局の業務命令に従う乗務員が少なくないことはこれまで述べてきたとおりである。

   全水道東水労は11月初めと2月末恒例のスト権一票投票で。毎回92%以上という圧倒的多数でストを批准するのが通例であり、ストに賛成の職員が大多数であることを頻りに強調するが、多数決で就労の権利が奪われるものでないことは、国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28の説示「争議行為に対する直接の協力については、これを組合員に強制することはできないと解すべきである。禁止違反の争議行為の実行に対して刑罰や解雇等の不利益な法的効果が結びつけられている場合に、その不利益を受忍すべきことを強いるのが不当であることはいうまでもなく、また、右のような不利益を受ける可能性がない場合でも、法律は公共の利益のために争議行為を禁止しているのであるから、組合員が一市民として法律の尊重遵守の立場をとることは、是認されるべきであり、多数決によって違法行為の実行を強制されるべきいわれはない」とするとおりである。

   非組合員の就労権の行政解釈は「労働組合の統制力は、原則として労働組合の組合員以外には及ばないから、‥‥正当な就労を妨げることはできない。なお、労働協約等において代替要員雇入禁止の条項が規定されていない限り使用者が争議中必要な業務維持のための代替要員を雇い入れ、その業務を続けることは、労働組合の争議行為に対する使用者の対抗手段であって、そのことが妥当かどうかについては状況によって異なるが、それ自体は違法とはいえない」(昭和29116日労働省発労第41号各都道府県知事あて労働事務次官通牒。)である。

  先述のとおり地方公営企業の場合は、非組合員であれ、組合員であれ、スト参加の勧誘.説得に応ずる義務もないし、就労する権利と義務があるというべきであるから、事故欠勤のような特殊な制度を適用すべきではない。

  非組合員と統制権が及ばない組合員(脱退した組合員、争議に反対する第二組合員、組合執行部が争議中止を決定したが執行部に反対する争議続行派が就業派に対して行なうケース等)に対する物理力を行使して就業を阻止するピケットについて、最高裁は、特殊な事情や可罰的違法論の適用により無罪とした例外的二例を除きすべて有罪の判断を下しているので、当然就労権を主張できると結論する。以下はいずれも争議行為が合法である私企業等の判例である。

  例えばホテル.ラクヨー事件最判昭32.4.25刑集1141431(就労しようとする非組合員に体当たりするピケ)、羽幌炭礦鉄道事件最大判昭33.5.28刑集12881694(争議続行決議に反対して脱退した組合員が結成した第二組合に加わった労働者+非組合員に対する実力ピケ)、進駐軍横浜事件最判昭33.6.23.刑集12102250(非組合員+争議に加わらなかった組合員に対する実力ピケ)。東北電力大谷電所事件最判昭33.12.25刑集12161255(臨時雇用の非組合員に対するピケ)、嘉穂砿業事件最判昭35.5.26刑集147868(嘉穂労組執行部は上部団体の炭労の指導による争議の中止と炭労からの脱退も決定したが、上部団体支持の争議続行派が、就労派砿員+争議に加わってない職員に対してピケットを行った例)が挙げられる。

  上記の判例は使用者が、ストライキ中であっても、非組合員、反対派ないし脱落組合員、第二組合員を使って操業する自由を是認するものでもある。

  また、下級審判例においては、非組合員の就労権と組合員の争議権は対等であり、非組合員の就労権を明示するものがある。

  例えば横浜第二港湾司令部駐留軍要員労組事件.東京高裁判昭33.3.31『別冊労働法律旬報』№204.1955であるが

 「労働組合は、その所属構成員に対してのみ、労働力のコントロールを加えうるものであって、構成員以外にまでこれを強制しえないことは、労働法上の基本理論であるから労働組合が組合員の労働力を統制してストライキを継続することが、当然の権利行使であると同時に、非組合員が右ストライキに同調しないで就業することも、また当然の権利行使であり、右の争議権と就業権とは対等の立場に立ち、互いに並行する関係にあるものと解すべき‥‥非組合員らは、いずれも自己の自由意思によって‥‥労働組合に加入せず、原判示ストライキにも参加しなかったものである上に、就労しようとしたのは、ストライキに同調して就労しないでおれば、その間賃金による収入が中絶するばかりでなく、職場を馘首されるおそれがあったため、‥‥非組合員ら就労しようとしたことは、正当な権利の行使というべきであり、従って、かかる権利の行使に対しては、ストライキ参加者において、これを積極的に妨害することは許されないものといわなければならない。‥‥、組合の構成員以外の非組合員に対する関係においては、その就業を拒否する根拠がないものであり、特に、いわゆる「スト破り」の雇い入れ等のように、ストライキの効果を減殺することを目的としたものではなくて、真に生活のために就労しようとする非組合員に対しては、平和的で穏和な説得行為であるならば格別、右限度をこえてその就労を拒否することは許されないものと解すべき‥‥」と判示している

   いずれにせよ私は、法令を遵守する趣旨でストには参加しませんから管理職から歓迎されなくても、服務規律の基本的義務と東京高裁が示した、出勤記録を就業時刻前に行い通常どおり就労する。

 

🔶英米におけるストに参加しないで就労する権利について(補遺)

   ピケットに対する基本的な考え方は19世紀のアール卿やプラムウェル判事といった良識的な裁判官の認識が基本的に正しいと考える。つまり労働組合主義は個人の自由に反し、ピケッティング(監視)は恐喝の一形式という認識である。(A.V.ダイシー 清水金二郎訳『法律と世論』法律文化社1972年210 頁) アール卿は「労働者が団結し他の労働者をその労務から去らしめる場合は、たとえ平和的説得もしくは金銭の供与によってなされたとしても、そして何ら契約違反を生じせしめないとしても、使用者に対する害意をもってなされる限り犯罪である」(片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 198頁)  と述べている。つまりピケッティングの外形的行為いかんにかかわらず相手方の取引行為や労働力処分を妨害するという害意に基づく共謀でなされている以上犯罪とされるべきなのである。

   現行法制は、契約違反誘致はコモンロー上犯罪であるが起訴できないようになっているが、従って、1980年雇用法(Employment Act 19806人以下でのピースフルピケッティングを是認していること自体、最善のものとは考えてないが、サッチャー政権でのEmployment Act 1980の意義は大きい。

   同法はピケット自身の就労場所またはその付近にピケッティングの対象を制限し、その行為規範(施行規則Code of Practice)において、ピケッティングの区域は、ピケット自身の通常使用出入り口付近に限定し、それ以外の出入り口でのピケッティングや事業所施設の無許可立入は禁止され、民事責任を負うと定め、さらに脅迫的侮辱的言動、暴力的行動、脅迫行為、交通妨害、凶器所持を伴うピケッティングは、刑事上の犯罪とされ、警察官はピケットの人数を制限できるとした。(家田愛子「ワッピング争議と法的諸問題の検討(1) 一九八六年タイムズ新聞社争議にもたらした,イギリス八〇年代改正労使関係法の効果の一考察」『名古屋大學法政論集』. v.168, 1997, 14 141頁)またピケットの人数については6人以下と明記し、制限されるものとしたが、決定的には、交通妨害を犯罪としたことである。我が国の労働組合法では暴力の行使を違法としているが、脅迫.妨害については言及がない。イギリスの1980年法の行為準則は、脅迫と妨害を違法とし、大量動員ピケッティングは警察で排除できる内容である点で、就労したい労働者に権利性が示されたこということである。

   交通妨害を犯罪とし、行為規範(施行規則Code of Practice)において他人に干渉されることなく、合理的日常の事業を行う権利の保護。全ての者にピケットラインを越える権利を有すると記されていることで、個人の就労の権利を擁護する方針が明確に示したからである。(小島弘信「海外労働事情 イギリス 雇用法の成立とその周辺-二つの行為準則と労働界の反応を中心として」『日本労働協会雑誌』22111980.11

  実際、炭鉱ストでは、法の趣旨に沿ってサッチャー首相は1984530日のバンバリ-で演説を行った。

‥‥法律の順守を望み、威嚇には屈しません。ピケラインを突破して戦場に赴く人々の勇気には、心からの賛辞を贈ります。」(山崎勇治「サッチャー元首相の『回顧録』に見る炭鉱ストライキ(1984-85年)」『商経論集』北九州市立大学第422.3.4合併号(20073月)7374)労働組合主義者からは「スト破り」と悪罵が投げつけられる、就労派組合員であるが、サッチャー首相は最大級の賛辞を贈ったのである。

  このサッチャー演説はコレクティビズムの終焉を意味し、個人の自由と権利が尊重されるパラダイム転換と評価できる。

   英国ではスト指令が制定法上、労組規約上、あるいはコモンロー上違法とされる場合にはそのストライキに参加したことを理由に制裁できないことは1971年労使関係法以来確立されていた法理であるが、サッチャー政権の1988年雇用法はストライキがあらゆる点で適法であっても、それへの参加、不参加は個人の自由な決定に委ねられるものとした。のみならずストライキ指令のみだけでなく、ストライキの支援、支持行動の指示に従わないこと、ストライキに反対の表明をしたこと、ストライキに対する不支持を表明すること、労組役員が労組規約に違反していると主張し続けること、⑥労働協約に違反したストライキであると主張すること、⑦執行部が法定の投票要件に従ってないと主張することなど19種類の行為を揚げて制裁理由としてはいけないこととした[渡辺章「イギリスの労働法制とその変遷(講苑)」『中央労働時報』8041990]。つまり、指令に反しストライキを途中でやめてスト脱落者を励まし支援しても組合の統制権により制裁の対象とならないというものである。

 

   米国では全米製造業者協会、共和党、南部民主党、組合不在企業により推進され、トルーマン大統領の拒否権行使を覆して成立した1947年タフト.ハートレー法が、1935年ワグナー法の「団結する権利、労働団体を結成.加入.支援する権利、自ら選んだ代表者を通じて団体交渉を行う権利、および、団体交渉またはその他の相互扶助ないし相互保護のために、その他の団体行動を行う権利」に対し、「それらの行動のいずれかを、またはいずれも行わない権利を有する」(7) と定め消極的団結権、団体行動を行わない権利を労働者に付与して、労働組合主義奨励ではなく、中立立法としたのである。

  かつて米国はレイバーインジャンクションが多用された時代があった。財産権を無体のものに拡大し、財産権の回復不可能な侵害のために差止命令が下されることにより、労働組合の組織化と労働争議を効果的に抑止した。1917年のヒッチマン判決Hitchman Coal & Coke Co. v. Mitchell, 245 U.S. 229組合の勧誘行為の差止命令を認め、オルグ活動は労働者の「非組合員的地位」に対して有する経営者の財産権(炭坑を非組合員によって操業する権利)を侵害し、非組合員労働者の契約上の権利を侵害するとの判断を下した。

 タフトコート1921年の労働争議差止命令を支持した判例、デュプレックス印刷機製造会社判決、アメリカ鉄鋼会社判決、ツルアックス対コリガン判決は反労働組合判決であり、クレイトン法6条、20条を骨抜きにしてピケッティングを規制し、労働争議差止命令を支持、営業行為を財産権として憲法上保護されることを明らかにした名判決である。

 ところが1929年の大恐慌に端を発する著しい経済的混乱と社会不安は労働問題に新時代を画し、財産権侵害として司法の判断により禁止されるべきものであったのが、逆に特定の勢力を利する1932年ノリスラガーディア法(反インジャンクション法)のような階級立法を是認し、アメリカ社会左傾化の流れはこの時から始まった。1935年ワグナー法等のように産業平和のために労働組合活動を支援する国策に転換してしまったのである。ピースフルピケッティングは1940年のソーンヒル対アラバマ判決が合法的な業務を妨害し、干渉し、損害を与える目的で、当該業務場所をピケッティングすることを違法とした州法を言論の自由に反し違憲としたことにより、合法化したとされている。ピースフルピケッティングの合法化は比較的近年のことである。

   アメリカ合衆国の「主権理論」(統治論)とは、公務員の使用者は主権者たる全人民であり、公務員の勤務条件の決定は人民を代表する立法機関によってなされるべきとするもので、従ってアメリカでは伝統的に勤務条件法定主義であった。

   州や自治体のなかには公務員の団結権を認める立法を持つものもあったが、交渉の多くは書面交渉を伴わず、集団陳情の域にとどまっていた。

  ところが1960年代AFL.CIO系を中心とする各種公務員組合による団交獲得 の運動が活発に展開され、この動きはウィスコンシン州の自治体雇用関係法の制定に開始したが、とくに1962年のケネディによる大統領命令10988号の制定(連邦被用者に一定の団交権を初めて保障)により、一部の州や自治体で団結権.団体交渉権(協議権)を保障する立法が相次いで制定されていくようになった。

  1970年の郵便ストを契機としてニクソンが独立の公社の設立と完全な団体交渉制度保障を定めた郵便再組織法が制定された。カーター政権の1978連邦公務員改革では、団結権と団体交渉権を定めたが、ストライキの参加や主張は欠格事項に該当し解雇される。ただし団体交渉範囲がきわめて限定されており、給与は法定主義が維持されており、民間企業との均衡達成は大統領の手に委ねられている。団体交渉になりえない事項も多い。

  州公務員については、反労働組合的気風の南部の各州のように勤務条件法定主義を墨守し団体交渉を制度化してない州も少なくない。ノースカロライナ、サウスカロライナ、ウェストバージニア、ルイジアナ、ミシシッピ、アーカンソー、コロラド州は全ての公務員がそうであり、消防士のみ団交立法を設けているのがジョージア、アラバマ、ユタ、ワイオミング州、消防士と警官のみ団交を認めるテキサス、ケンタッキー州、教員のみ団交を認めるノースダコタ、メリーランド州、教員と消防士のみ認めるアイダホ州、ネバダ州は州被用者のみ団交を認めてない(菅野和夫「公務員団体交渉の法律政策」アメリカ(一)」『法学協会雑誌』981号 1981参照)。

  なお、上記の州においても任意的で法的拘束力のない団体交渉を認めている州がありますが、ノースカロライナ州は徹底していて、州、自治体政府と組合の全ての協定は州の公の政策に反し無効であり違反者の処罰を州法で定めている。

  もともと主権理論により公務員ストを主権者に対する反逆と位置づけていた米国との比較でいえば、我が国の公務員法制の争議行為禁止が格別遅れたものだというような認識は過ちである。

  我が国では英米のように実定法上、ストに参加しない権利、消極的団結権、団体行動を行わない権利をが定められていないけれども、争議行為が禁止されている公務員については、非組合員はもちろん組合員であれ、スト参加の勧誘や説得を受忍する義務などないことは判例法理により明らかであり、組織の義務としてストライキを指導する組合役員が免責されることはない。

  ストが決行された場合は非組合員はピケットラインを尊重するのが労働者のモラルという見解は、左翼のプロパガンダで、1960年代の労働運動の高揚期の古い価値観にすぎません。

  サッチャーの新自由主義的改革では個人の選択の自由が強調された。

  そもそもイギリスでは「積極的ストライキ権」がない。それは1906年労働争議法とそれを確認した1974年労働組合労使関係法による不法行為の免責(起訴されない)という「消極的権利」にすぎないわけである。コモンロー上ストライキは「拒絶的契約違反」とされ[家田愛子「ワッピング争議と法的諸問題の検討(2) : 一九八六年タイムズ新聞社争議にもたらした,イギリス八〇年代改正労使関係法の効果の一考察」Wapping Dispute and British Labor Laws in 1980's (2)名古屋大學法政論集 169]、雇用契約を終了させるという断絶理論が支配的であり、停止理論をとらない。したがってイギリス法上は、予告期間を遵守せずにストライキに参加することが重大な契約違反であり、即時解雇事由になる[山田省三「イギリスにおける一九八二年雇用法の成立」『法学新報』902]。つまりスト参加は「自己解雇」である。だからイギリスでは争議中にストライキ参加者が解雇されることは決して珍しいことではなく、スト参加はリスクがある。争議収拾後職場に復帰することは正確に言うと再雇用である。

  1986年のワッピング争議(タイムズ、サンを発行する新聞社)では印刷工の労働組合を排除する目的でストライキ中の組合員の6000人を解雇。1982年雇用法は、労働党政権の1978年雇用保護(統合)法の次の規定「使用者はストライキ参加者の全員を仕事に戻っている労働者とストを継続している者の全員を解雇できるが、選択的解雇は労働審判所の管轄権とする」を廃止し、ストライキ中の選択的解雇をも可能にしていた

  家田氏が重要な指摘をしている「マスピケッティングやデモ隊の群衆の罵倒を振り切ってピケラインを越える労働者が多数いたことも見逃せない。ストライキの代替要員として雇い入れたにしろ、組合のストライキ決定に反して戦列から外れたにせよ、彼らにとっては伝統的な労働組合主義は通用しないものであった。そこにはサッチャー政権下で、「個人の自由」、「選択の自由」を全面に押し出してなされた法改革の必然性がうかがえる」[前掲2 181]

  1986年には「ピケットラインの尊重」のような価値観は消えうせているといってよいだろう。昔は宿直時に酒を飲んだものだなどなつかしむ、○○○○労務課長のような組合の既得権を尊重する組合員あがりの管理職に、ピケットラインの尊重を説教されるいわれなど全くない。

  東京都はピケットラインの尊重政策で、非組合員の就労の権利を奪うのをやめろ。

  もとより我国では、地公労法が争議行為と「そそのかし」「あおり」が禁止されているから、ピースフルピケッイングであっても、違法行為の慫慂であるから地公労法111項後段の違法行為であり、庁舎管理規程の通行妨害としても取り締まることはできるし、名古屋中郵判決の判断枠組みに従えば、争議行為もしくはそれに付随する行為として、逮捕行為、強制連行、拉致、職場占拠、業務用機器とくに機密性のある機器の隠匿し組合の支配下におくこと、物理的に就労阻止、業務遂行阻止は業務妨害罪、スト指令伝達、スト準備等の庁舎立ち入りと部外者のオルグ、ピケは建造物侵入罪、暴力をふるった場合は公務執行妨害罪が成立する。

   管理意思を示し、犯罪を成立させるよう方針を転換すべきことを強く訴えたい。

 

二 「服務規律確保の周知(服務の示達)」の訓示は廃止して「警告及び職務命令書」に切りかえるべき

 

   東京都は、組合側の指図通り、最高裁判例が明示的に否認したプロレイバー学説に依拠した、職務命令をやらない等の脱法的労務管理をしており、実質、争議行為を助長、協力していることは正常な業務運営ではなく、組合に業務管理されていること自体が地公労法111項に反しています。

   国の各省庁や三公社五現業、まともな自治体なら、懲戒処分の前提として、違法行為に対して厳正に対処する旨の事前警告と、ストライキ当日の集会に対して、中止、職場復帰命令、就労命令、監視や現認検書の上申は徹底して行っているが、東京都は全く違います。

 

(一)「服務の示達」というインチキな慣行

 

  年間最低3回以上あるストライキを配置した闘争期間の水道局のストライキ対策はきわめて簡素で、対策本部は設置されず、2通の文書を流して終わりである。

   事前警告は、繰り返しになりますが、事実上局長名義で組合執行委員長宛だけです。これは本部中闘に限定して責任をとらせる前提になるものです。地公労法違反と書かれているから意味のある警告であり、本部中闘は処分する。

   各事業所においては職員部監察指導課の指示では下部組織(支部.分会)役員にストの中止の申し入れをすることになっているが、書面の手交を義務付けておらず、文言も決まっていない、実際に見たことがないので口頭で行われているかも不明。不透明なのである。

   職員一般には「警告」ではなく、違法行為とかストに参加した場合不利益賦課の措置をとか、権限を留保するという文言はタブーで、あたりさわりない訓示をマイク放送、口頭で行う。最近の例ではグループウェアで通知が多くなっている。

   これが「服務の示達」という慣行ですが、後段で実例を示しますが、事業所勤務の組合役員以下は懲戒処分の対象にしないことを示す示唆する文書なので、「警告」ではない。

   当該組織行動が違法であり、実行したときは違反者に対し懲戒等を辞さない等の警告書や職務命令書を交付するのが普通の対応だが、東京都は故意に地方公務員法291項、32条を適条とした懲戒処分に結びつかない文言の訓示を行っている。インチキ臭いこと、少なくとも片八百長と言ってもよいでしょう。手加減していることは見え透いていますからプレス発表は以下のとおり。

 

令和51219日付【東京都水道局プレス発表】

12月20日(金)の労働組合ストライキについて

1 組合の行動態様

(略)

2 当局の措置

1)組合に対する警告

2)職員に対する服務規律確保の周知

3)管理職員による事務事業の支障の防止 

  職員一般に「警告」していないことは上記のプレス発表で、組合に対する警告と職員とでは別の対応としていると公表しているとおりです。国の省庁の警告は全職員対象なので東京都は違うことをやっている。

   プレス発表の「服務規律確保の周知」とは外部の人にはわかりにくいが、東水労が争議行為、3割動員決起集会やストを配置すると、職員部監察指導課で、局長名義で各部(所)長あての「職員の服務について」いう文書Aと、職員部監察指導課長から庶務担当課長あての「服務の示達等について」という文書Bの2通が流され、この文書に具体的な争議行為対応の指示があり、各課長も、概ねこれに沿った行動をとり、それ以上のことはやらない。これは私が知る限り、平成10年代以降は同じである。

   重要なことは、これらの通知文書に同盟罷業が地公労法111項違反の違法行為ということは一言も言わないのである。 

 「服務規律確保の周知」「服務の示達」とは各部(所)長といった幹部あてに、服務規律を確保せよという局長名は形式的な文書が毎回発出される。このコピーは管理職が受け取っていることを指します。

  「示達」とは官庁用語で、上級部署から下級部署に指図するもので、例えば予算要求後の査定が終わると「予算の示達」があります。各予算科目につき範囲で執行してくださいという趣旨のものです。

「服務の示達」は各職員に直接「警告」していることを意味しないのでプレス発表は虚偽ではない。

 実効ある服務規律の確保する措置は行われないが、訓示があるので、局長が服務規律の確保を管理職に求めているということはなんとなく知らされているので、「服務規律確保の周知」は虚偽ではないとはいえる。正直に書かれてます。

 北九州市などは事前に職務命令書を交付していますが、東京都はストライキ当日の就労命令もいっさいしません。

 また、一般論としてに当局側は争議行為に際して、対策本部を設け、非組合員を動員して写真撮影、実況見分等により参加者の状況を記録し、現認検書を作成し、所属長が上申のうえ、処分権者が現認検書にもとづき一方的に行う[山口浩一郎1971]。

 東京都は初めから事業所勤務の組合員は懲戒処分しない方針なのでやらない。職員一般に実効のある警告や職務命令はなされておらず、ごまかしの行為がなされている。

 国の省庁やまともな自治体は、組合幹部に対しても、職員一般に対しても同盟罷業は違法行為なのでストに参加した場合は関係法令に照らして措置をとる等の「警告」をする。しかし東京都では職員一般は、初めから懲戒処分の対象としない方針のために、地方公務員法291項、32条(法令等遵守義務.上司の職務上の命令に従う義務)の適条を避けるためにあえて「警告」をしていないという非常に怪しい慣行なのである。

 

 文書Aは、形式的な指示で、昭和301211日の文書は以下のとおり

多摩水道改革推進部長 各部(所)長殿

 

 職員の服務について

 

「全水道東京水道労働組合は、「2018秋季年末闘争勝利」等と称し、1217日(月)午後315分から都庁ふれあいモールで3割動員決起集会を1220日(木)午前830分から2時間のストライキを計画している模様である。

また、東京水道労働組合も(略)‥‥

 集会等の行動に参加するために、多数の職員が職場を離れ、かつ、権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背くことは明らかであり、これを放置することはできない。

  よって貴職におかれては、所属職員に対し、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行することを命ずるとともに、管理体制の厳正を期する等、服務規律の確保について特段の配慮をされたい。」

   終りの方の「全体の奉仕者として‥‥」云々は、地方公務員法30条の引用で、平時の服務規律の基本原則を言っているにすぎない。ストライキ対応で普通使わない。

   違法行為の抑止のため警告せよとは言ってない、「職務規律の確保」をせよというのは一般論にすぎない。

「業務の正常な運営に支障を生じさせる」とは言っている。それは地公労法111項違反と推測できる文章であるが、違法行為とは一言も言っていないのである。地方公務員29132条の適条で懲戒責任は問わない方針を暗に示唆している。それを示唆することは違法行為を助長することだから、職員部監察指導課起案の文書であっても、局長名の文書である以上、違法行為の助長は組織ぐるみの合意事項とみなしてよい。

 「放置することはできない」はストを決行すれば従来どおり、本部中闘を停職としてお茶を濁す意味と受け取ることができるので強い言葉と受け取れないのである。

   文書Bに具体的指示がある。「服務の示達」を3割動員の前に行うことと、スト前日に「職員の皆さんへ」を掲示することになっており、「服務の示達」とは、文言は指定しておらず、現場の実態に応じた対応ができるもので、概ねA文書に書かれている文言か、後述のストの前日に掲示するよう指示されている「職員の皆さんへ」文書をなぞったあたりさわりのない形式的文言を読み上げるのが通例である。

   通称「服務の示達」というマイク放送、もしく口頭、グループウェア内のメールで行う管理職も近年では少なくないが、管理職による訓示を3割動員の前に行うのがルーチンとなっている。

   「職員の皆さんへ」は令和4年のケースでは杉並営業所では貼り出されない。庶務課長から指示がないからということで実際にはなおざりとされている。

 

(二)「服務の示達」の実例

 

過去のグループウェアメールでの「服務の示達」の一例を引用する。内容はA文書をなぞったものである。

2015/1201

職員の服務について

世田谷営業所のみなさま

全水道東京水道労働組合は、「2015年春闘勝利」等と称し、

310日(木)午後330分から都庁ふれあいモールで3割動員決起集会を、

316日(水)午前830分から1時間のストライキをそれぞれ計画している模様です ストライキ等の行動に参加するために、多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかであり、これを放置することはできません。よって職員のみなさんは.全休の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行していただきますようお願いします

○○(当時世田谷営業所長)

 

 違法行為とはいってないので、地方公務員法2911号、32条の適条はしませんとあえて示唆していることはA文書と同じことで事実上、違法行為を助長する内容である。

 しかし違法行為の助長は現場の管理職だけでなく、違法行為として対応せよと言っていない局長以下の指図にもとづくものと言ってよいのである。

 

(三)「職員の皆さんへ」の掲示は形骸化

 ストの前日まで貼りだすよう指示されているが、形骸化し管理職も熱心さは全くない貼りださない事業所もある。。貼りだしても「警告」でないので実質意味がない。

 

職員の皆さんへ(平成20年頃の例-現在もフォーマットは同じと考えられる)一例)

                           東京都水道局長

  皆さんは、都民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を行う立場にあります。とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待にこたえるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

 とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待はさらに高まりつつあり、この期待に応えるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

ところで、全水道東京水道労働組合は、明日318日に始業時から2時間のストライキを予定している模様です。

 皆さんが一斉に職場を離れることは、都民の生活に大きな影響を与えるばかりでなく、都政に対する信頼を都政に対する信頼を裏切ることになります。

 皆さんが、公務員の本分を十分にわきまえ、都民の批判を招くことのないように良識のある行動をとられることを求めます。

 

 能書きだけ長くて肝心なことが書かれてない。同盟罷業が違法行為とは一言も言っていない。ゆえにごまかしである。これでは地方公務員法2911号と、32条の適条により懲戒責任は問いませんよと示唆しているのも同じで、短時間のストで、管理職は締め出さないし、良識のある行動だと反論の余地をあたえている。

 それでも、上記の文面は同盟罷業が違法であることを示唆している文章と好意的に理解すると痛い目にあうことになっています。実際には管理職はストに参加したくない職員に敵対的で、就労を申し出ても、管理職はスト破りをゆるさず、ピケットラインを尊重し、出勤時限前に登庁し、カードリーダに電磁的に出勤記録を入力する服務上の基本的義務行為をしないよう組合と同じことを言って、非組合員を締め出し、事故欠勤を強要しようとするし、それは組織的方針なので、この文書が「みせかけ」にすぎないことは明白なのである。「服務の示達」が、「警告」にあたらないごまかし「偽装」の訓示と評価できるので是正されなければならない。

 

(四)厚生省の争議行為対応との比較

 

  国の省庁の事前警告では、同盟罷業は違法行為なので厳正に対処するとか必要な措置をとらざるをえないという文言が通例であり、国家公務員法821項(地公法291項と同じ)、同981項(地公法32条と同じ)の適条により懲戒処分の前提として欠かせないからである。

  比較的最近の国家公務員の争議行為としては、全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840があるが、平成31113日、全国の国立病院等の支部において、11年ぶりに組合員約25,000人が、勤務時間に約29分以内食い込む方針で職場大会を開催したケースは以下のとおりである。

  国立西多賀病院(仙台市)で、「同病院長名義の西多賀支部支部長あての『貴支部は1113日に勤務時間内職場大会を計画している模様であるが、国家公務員はいかなる場合においても争議行為を行うことは許されず、このような違法行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならないこととされている。当局は、貴支部が違法な争議行為を行った場合には、厳正な措置をとらざるを得ないので、違法行為が行われないよう貴支部の自重を強く要望する。」旨の警告書を用意して、庶務課長及び会計課長両名が、同月8日、西多賀支部副支部長に同警告書を交付しようとしたが、同人は右警告書の受領を拒否した。

   東京都水道局では、各事業場の支部分会組合役員に対してストの中止申し入れをすることはB文書いで支持されているが、見たことがないし、文面も決められておらず、現場の自由裁量なので、国のようにきちっと警告はしていないと考えてよい。

  また西多賀病院は、12日、同病院長名義の職員あての「全医労西多賀支部の時間内職場大会について」と題する書面において、「伝えられるところによれば、全医労西多賀支部は来る1113日早朝時間内職場大会を計画している模様であります。すでに承知のとおり、勤務時間内職場大会は国家公務員法で禁止された争議行為でありますから、このような違法行為には、絶対に参加しないようにして下さい。もしこれに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえないので、皆さんの良識ある行動を望んでやみません。」と記載し、この書面を、西多賀病院内の四か所の掲示板に掲出して、職員に対し、違法な時間内職場大会への参加を辞めるよう警告を発した。

   厚生省では全職員に違法行為だから必要な措置をとると警告しますが、東京都の「服務の示達」ではその文言はなく、は例えていうなら「王手をかけない詰将棋」見え透いた「片八百長」といえるだろう。「無気力相撲」と言ってもいい。やる気があれば違法行為には必要な措置をとると言うはずで、それは口が裂けても言わないのだから、片八百長そのものである。

   事実上地方公務員法291123号、32条適条はさせないという、組合側の管理意思にしたがったものであり、むしろ各事業所勤務の組合員個人の懲戒責任を問わないことを暗号のように示し、躊躇なしに争議行為に参加できるようにするためのうさん臭い慣行である。

   実際、組合員はマイク放送の際、せせら笑っており、偽装、警告としては贋物であることは知られているのである。

 

() 東京都の「服務の示達」で「違法行為」とは絶対言わない理由

 

   職員一般向けの「服務の示達」の慣行や組合の機関責任だけを問うのは、東京都水道局だけでなく、確認していませんが知事部局も同じだと思います。これはオール都庁の問題になると思います。

 同盟罷業が地公労法111項前段違反であり、それを「そそのかし」「あおる」行為も同条項後段違反だが、「服務の示達」の実施としての訓示、あるは「職員のみなさまへ」の掲示では、同盟罷業が違法行為と絶対に言いません。

 その理由はこれまで組合側の次の見解を東京都が受け入れているためだと推測しています。

 「争議行為は労働者の団結体である労働組合自体の行為であり、しかも争議行為は多数組合員の集団的、共同的な活動であることを本質とする行為であるから、違法な争議行為が行なわれた場合にも、その責任は団体である労働組合が負担すべきであって、争議行為を個々の参加者の行為に分解して、個別的労働関係の場において、個々の参加者の責任を追求することは許されない‥争議行為は労働者が企業秩序の拘束から集団的に離脱し、使用者の労務指揮権を排除することを目的とする行為であるから‥‥個々の労働者の行為に対し、懲戒をすることを許されない」

 ○都城郵便局懲戒処分取消請求事件東京地判昭46.11.12労民2261030における全逓の主張で、同判決は懲戒処分が取り消され、全逓の勝利となった下級審判例ですが、同様の見解を全水道東水労の分会書記長が言っていたのを聴いており当時から官公労は定番でなされていた主張であるからです。

 この趣旨に大筋で沿うかたちで、争議行為の違法行為責任は組合だけが負い、個々の参加者の責任は問うことは許されないのだから、争議行為が違法であっても職員一般に対しては違法行為として警告する必要はないということなります。

 ただし都側のメンツもあるため、組合中央執行委員長に対しては、違法行為である旨警告し、本部中闘の機関責任を問うということで懲戒処分するが、職員一般に対しては、組合の言い分通りとするということです。組合と職員一般は別々の対応にするというやり方です。

 都城郵便局判決は、中郵判決や都教組判決が維持されていた時代の判例で、違法性の弱い争議行為は、公務員法制で禁止される争議行為に当たらないとした神戸税関事件の第一審判決神戸地裁昭和44.9.24等の懲戒処分を取消した判決が相次いだ時期でもありますが、昭和48年以降累次の最高裁判例により、違法性の強い争議行為でなければ争議行為は禁止されないと言う見解は否定され、組合側の違法行為の責任は組合だけが負い、ストに参加した個々の組合員の懲戒処分は許されないという見解は、再三のべてきたように、神戸税関事件.最三小判52.12.20ととりわけ全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18民集3251030「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」という判示により、最高裁が明示的に否定しているので、35年前に決着がついている問題である。

  昭和40年代の雰囲気のある労務管理をいまだに続けている東京都は全く時代錯誤だといわなければならない。

   職員一般に違法行為と警告しない東京都の方針は争議行為を違法行為と職員に自覚させないことになり、違法行為を増長させる要因になっているので、シットダウンストライキのような物理的業務遂行妨害も業務用機器の隠匿もなんでもありということになってしまっており、何でも許される状況になっていしまっている。この点は都議会議員に是非質問し是正を勧告してもらいたい。

 

(六)新しい警告書の提案

 

 そこで私の提案は、「服務の示達」と、現行の「職員の皆様へ」の掲示をやめて、新しい警告書兼職務命令書の交付に切り換える。マイク放送と掲示のほか、文書で手交を義務づける。

 ペーパーレスが至上命令なので避けたいというかもしれないが、最低限組合役員には手交する。職務命令書を突き返したり、一括返還を指図したりした場合は非違行為として記録します。

 

東京都水道局職員に対する警告兼就業命令書(案)

 

                                            東京都水道局長 〇〇〇〇

                                            所属長 〇〇〇〇

 

  全水道東京水道労働組合は、〇月〇日勤務時間職場離脱3割動員集会、〇月〇日に8時30分より2時間のストライキ、また自治労連東水労は1時間のストライキを予定していますが、上記の行動は、「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と定める地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項に違反し、庁内管理規程に違反する行為でもあります(この文言に対応して庁舎管理規程に無許可演説.集会の禁止の改正要)。

  争議行為は集団的組織的行動でありますが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものでなく、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者は懲戒責任を免れません(全逓東北地本事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030)。従ってストライキ実行に指導的役割を果たしたり、単純に参加した場合においても関係法令に照らし必要な措置をとらざるをえません。

  労働組合は統制権の行使を理由として、かかる違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は上記組合行動の指令に服従すべき義務はなく、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はありません(国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時689、動労糸崎駅事件控訴審 .広島高判昭48.8.30判タ300)。

  従って、職員各位は出勤時限前にICカードリーダの所定操作によって出勤記録を自ら入力し、定められた時刻より職務を遂行するとともに、当該組合行動の時間に職務放棄しないことを命令する。

  ICカードリーダの出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務でありますので妨害は容認しません。

  また争議行為に際して、スト参加の慫慂、庁舎構内での集会、組合旗、横断幕、立て看板等工作物の設置及無許可で旗・幟・プラカード・たすき・ゼッケン・はちまき、拡声器等を所持又は着用したままの無断立ち入り、ビラ貼り、ビラ配りを禁止します。

  地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反の行為については、当局には地方公務員法第29条1項1号、2号、3号、第32条、第33条、第35条の適条により、懲戒処分等に付す権限、もしくは地公労法12条によって解雇する権限があることについて注意を喚起します。

  また当該争議行為は違法であり、労組法1条2項は適用されないので、争議行為に際してあるいは付随して積極的な業務遂行妨害、違法行為目的による犯罪構成要件該当行為がなされる場合には、違法性が強く推定され、厳正に対処せざるをえないので注意を喚起します。

  上記はくどいかもしれないが、東京都水道局職員は組合に洗脳されてしまい、違法行為を実行しても責任は問われないと認識しており、意識改革が必要です。

 

  ストに参加した組合員は賃金カットされますが、賃金カットされず事故欠勤の非組合員も含めた数がスト参加者ということで、たぶんほとんどすべての職員と予測します。しかしこれも異常なことで、よその職務命令している官公庁では、ストに参加しない職員も少なからずいます。

  例えば北九州市である。昭和42年に谷伍平市長が、争議行為には厳正に対処する旨を公約して当選したこともあり。懲戒処分も免職や停職一月以上が少なくなく量定は厳しい心証があるが、昭和4411.131時間半のストの参加率は、門司区880名中330名(38%)、小倉区1760名中500名(28%)、八幡区1710名中340名(20%)、戸畑区2180名中440名(20%)(北九州市職員組合事件.福岡地判.56.8.24労民323513)にとどまっています。ストライキの取り締まりをやっている効果とも考えられ、この点、職員一般に、警告も就業命令も、懲戒処分もしない東京都は、違法行為を助長していることは疑う余地がなく、従来通りの組合の意向に従いストライキ協力を続けたいのなら、コンプライアンス経営宣言を撤回するよう公営企業管理者に迫っていただきたいと思います。

  私の警告書案を採用すれば東京都の信用を回復ができます。突き返されたり、抗議で職場が荒れるからできないというかもしれないが特別査察チームを創設して、非組合員の動員などして対策本部を立ち上げて対策すればよいことで、収拾がつかなくなるので馴れ合いの方が無難といって当局が逃げようとするなら、都議会議員は正常な業務運営の維持が管理職員の債務の本旨だと喝を入れてください。

  もっとも管理職は組合役員に普段から平身低頭の人も少なくないから、職務命令になれてないので、組合の抗議活動で殴られたくない言う人がいると思う。正常な業務運営維持のため債務の本旨を履行するのは当然だが、ある程度訓練期間をとり、荒れる職場対策としてチームの設置等を準備万端のうえ、実施時期を猶予延期することにやぶさかではない。

三 三六協定一方的破棄闘争を適法と認め、組合のいいなりになって労務指揮権を放棄している在り方の是正

(一)三六協定破棄(超勤拒否)闘争とは

 

  労働基準法36条の三六協定が締結されている場合、労働者は定めるところに従い、時間外労働義務があるということは、日立武蔵工場事件・最一小平3.11.28(三六協定が締結されている状況の残業拒否等を理由とする懲戒解雇を是認)で確定した判例となっている

  問題は、三六協定の一方的破棄で締結されていない状況の法的評価である。

   労働基準法は、原則として一週間について40時間、一日について8時間を超えて労働させてはならないとし(32条)、この法定労働時間を超えて適法に労働させるには、事業主が、事業場ごとに、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合は従業員の過半数代表者と書面による協定を所轄労働基準監督署長に届け出た場合(36条)に、その効果を発生するとされ、これは使用者を規制の対象とする強行規定で、相手方労働者の同意.承諾があっても違反が許容されないとされており、悪質な場合は罰金が科される可能性がある。

  地方公営企業は労働基準法が全面適用される。

  但し「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」(331項)と、公務のために臨時の必要がある場合と、第一項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第一に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる(333項)という例外規定があるが、「公務のために」以下例外規定は知事部局で適用されるが、水道局は適用されないので私企業と同様である。

  全水道東水労と水道局で時間外労働に関する協定(三六協定)は、1年おきに更新され、私は平成19年まで水道特別作業隊で庶務係に勤務し、年度末の3月に新宿労基署に届け出たことがあるが、事業所ごとに締結するのでなく、組合中央と当局が協定したものをコピーするだけである。

  問題は現在の協約では第10条で「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」とあり、保安要員を除いて、組合が一方的に破棄することができるものとしていること(保安要員配置は、労働関係調整法36条「工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない」との趣旨と考えられる)。

  月日を指定して、三六協定を破棄することが勝手にできる規定があり、これにもとづいて三六協定破棄闘争と称する、超勤拒否闘争を行う。

  一方的に協定を破棄するのは信義則に反し、異常なことであるが、それを当局は許容している。この条項の設けられた経緯は不明だが、三六協定を事業所ごとに現場締結させると、国鉄のようにかえって混乱し、組合中央でコントロールしてもらうほうが、当局としては悪くないという判断なのかもしれないが、問題があるとはいえる。

   これは悪質な職制麻痺闘争で、毎年、特に大きな闘争がないかぎり、ストライキ配置日前に最低でも年間67日、当局との交渉が妥結しストが回避された時点で三六協定は再締結される。

  毎年恒常的に行われており、令和5年は1115日、121922日、1月に22日が営業所関係支部のみ、23日が水道局全支部、311.12日と9日間実施された。

  近年は年間10日未満程度に留まるので抑制的とはいえるが、平成16年では業務手当完全防衛闘争という大きな闘争では、1013日(水)から3時間ストライキを配置した1022日(金)に10日連続という、一時間ストライキよりも影響の大きい、事実上の争議行為を行っている。

   当時私は、水道特別作業隊という保安要員の職場にいたので、この闘争には巻き込まれていないが、この間の水道管の敷設替え、分岐、その他の夜間工事が中止されたとすると業務にかなり影響があったと考えられるのである。

  都民と首都中枢のライフラインを預かる企業としては組合の意向次第で時間外労働の業務命令が麻痺してしまう在り方は問題がある。

  通常はほぼ時期が決まっており、長くても3日連続程度である。スケジュール闘争の時期には夜間作業を予定しない慣例となっているが、私が平成に平成20年に勤務していた水道緊急隊では初年度だったので、担当者が破棄闘争時に夜間作業を予定し、慌てて共同で作業する水道業者にキャンセルしていたのを記憶しているか、突然のキャンセルは業者にも迷惑がかかっているといえるだろう。

  三六協定破棄闘争から除外される保安要員とは、水供給にかかわる浄水場や水運用センター等であるが、平成19年までの水道特別作業隊は全職場だったが、平成20年度の水道緊急隊は工務係が保安要員から外された。 

  当局は保安要員を置いているから問題ないと言うだろうが、それ自体が「平常」ではない。正常な業務運営を阻害しているといえるのである。

  しかし三六協定拒否闘争の狙いは、業務を遅滞させることや、管理職に仕事をおしつけるいやがらせだけではなく、ストライキの前日は必ず、未締結の状態にしているので、職制に業務命令をさせない口実をつくること。全員参加のストとして成功させるためストライキ実行を有利に進めることが最大の目的といえる。

  実際私は平成初期に江東営業所のスト決行時に、組合活動家から八時半以前は、庁舎内に立ち入るな、庁舎外に出ろと恫喝された。職制に時間外労働を業務命令の権限が消滅しているので業務命令できないからだと言っていた。就労すると管理職が刑罰に処されやばいことになると脅してきた。この見解は多くの管理職が同意しており、非組合員は、組合役員と管理職の双方から庁舎への入所は認めない。出勤簿、現在はICカードリーダに電磁的な出勤記録の入力だが、してはならないとの指図を受けることになるのである。

組合に違法争議行為の統制権はないのに、ユニオンショップの私企業のように全員参加の同盟罷業にこだわっており出勤記録は絶対させない構えなのである。

  私は組合と管理職共謀による非組合員の締め出し、ロックアウト、出勤停止指示は違法と考えるが、非組合員を締め出してむりやり全員参加でストを成功させる。これが三六協定破棄闘争の最大の目的なのだ。

  管理職は、労基法違反になるので、ロックアウトするという言い分になるだろうが、しかし三六協定未締結により職制の労務指揮権が消滅するという見解は間違いであるということを次節以下述べたい。

 

(二)三六協定破棄闘争の問題点

 

  そもそも三六協定のように、近代市民法の契約の相対効に反する異様な制度であり、世界的にも類例はない。労働基準法の母法であるアメリカの1938年公正労働基準法は、長時間労働抑止が立法目的ではない。30年代の大恐慌を背景として追加的な賃金の支払を避けるために雇用を拡大することに向けて財務上の圧力が加えることにより、提供可能な仕事を分配するのに有効な効果をもたらすことが期待された立法である。つまりワークシエアリング、失業者救済、雇用創出が目的だった。非常時といえる大恐慌時代の産物で恒久的制度としては疑問なのである。又、米国では過半数組合や過半数代表との協定の義務付けはなく(それをやると違憲になる)、たんに超過労働時間の割増賃金支払いの義務があるだけである。私は新自由主義を支持するので労働基準法はオーバーホールが必要だとおもっていたが、安倍政権の政策はホワイトカラーエグゼンプションではなく、真反対に労働時間規制強化という左傾化した政策が実施されことに不満が強くある。それは一般論であり、主題からそれるから、ここまでとするが、三六協定が官公労の闘争に利用されてきたことも大きな問題だったのである。

  全水道東水労の三六協定破棄闘争は毎年恒常的になされ、当局が適法と容認していることからスト前段階の戦術として重要な位置付けとなっている。

  当局は、三六協定未締結時は保安要員と事前協議で組合と合意した業務(私が知る範囲では平成19年以前の水道特別作業隊の定例の隊長会議)以外は超過勤務命令をするなと公式の文書を流しているが、この運用は妥当かという問題である。

  水道局の三六協定闘争時には組合役員は大声で定時退庁を促し、管理職も呼応して退庁を促す。この闘争の目的は、ストライキ前段の闘争として超過勤務拒否による怠業だけでなく、管理職の時間外の労務指揮命令権を消滅させ職制の機能を麻痺(あくまで組合側の解釈だが)させることにある。

   ストライキ予定前日には必ず、三六協定を破棄する。これは、セキュリティ破りのスト待機、ストの準備行為やビケッティングの制止、中止命令をさせない、非組合員を就業させないため、職制に業務命令させない口実に利用するといういやらしい目的がある。

   職制麻痺とは管理職に業務命令しないことこそコンプライアンスという立場に追い込むことであり、それが最大の目的なのである。

   しかし、労働基準法32条に違反する18時間以上の勤務であっても、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当することは、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件・最二小判昭48.5.25刑集2751115に理論的説示があるほか、マスピケ事犯の動労糸崎駅事件・広島高判昭和48.8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)と小包袋運搬の業務阻害行為である第二名古屋中郵事件最二小判昭53.3.3民集32297が三六協定未締結の状況で業務命令がなされた事案である。一審において管理者側の行為は、違法な業務を強いるものであって、刑法234条の保護する業務に該当しないといいう組合側の主張が認められたが、糸崎駅事件控訴審は久留米事件方式、第二名古屋中郵事件上告審は名古屋中郵事件方式の「法秩序の全体的見地から」一刀両断に業務妨害罪の成立を認めていることから、組合の主張のように一方的協定破棄によって、時間外の職制の労務指揮権が消滅し組合が職場を支配できるというものではないといえる。

   国労や全逓は戦後早い時期から、三六協定未締結により、時間外の職制の労務指揮命令権を否定するかたちで遵法闘争として、事実上、争議行為と同様の効果のある超過勤務拒否闘争を行ってきた経緯がある。国鉄の職場が荒れたのも元をたどれば三六協定の現場締結が原因である[升田嘉夫『戦後史のなかの国鉄労使-ストライキのあった時代』明石書店2011]。

   1980年代国鉄における職場規律の乱れが国会でも追及されるようになり、国民・世論の厳しい批判を受けたことは周知のとおりである。国労は三六協定締結拒否で「助役の下位職代務」仕事を押し付けるなどいやがらせを行っていた[iii]

   水道局でも管理職に下位職代務のいやがらせはある。実際、窓口を定時にオープンするためには、出勤時限定時830分以前にレジの準備が必要であり、協定未締結時は、組合役員の指図で管理職がレジの準備等をさせているケースが多い。

  実際、令和51115日の三六協定破棄の前に○○営業所では役員の○○○○が所長に、8時半前の経常業務は所長がやるように指示し、所長は従っていた。大抵の管理職は平身低頭して担当者から仕事の段取りを教えてもらい組合役員の唯々諾々従い、本来管理職の仕事ではない下位職業務を代務している。

  管理職の下位職代務という滑稽な姿は、職場を支配していのは組合であることを誇示するのである。

  知事部局では三六協定拒否闘争はないので、組合役員の指図に転任してきた管理職はむっとくるはずだが、組合の指図に従うのが東京都の倣いとなっています。

 遵法闘争を一口で言えば、ストライキと同じ効果を狙いつつ、ストライキではないと偽装した闘争である。

 安全闘争(国鉄で行なわれた運転取扱基準規定関係の遵法闘争などを含む)、定時出勤、定時退庁、一斉休暇取得、時間外労働拒否をひと括りにして、遵法闘争と称される。国家法、自主法、規則等を厳格に順守することによりノーマルな業務運営を阻害する逆説的な闘争戦術といえる。三六協定未締結による定時退庁もその一種とみなされる。

  特に評判が悪かったのが、国労の順法闘争である、運転安全規範などの諸規則を厳格に遵守するとかえって列車の運行が遅延することを逆手に取り、「順法」を口実としてダイヤを著しく混乱させ闘争の手段としていた。

  三六協定締結拒否をスケジュール闘争に組込むことにより職場での組織強化に巧みに利用したのが官公労であったといえる。全逓や国労は戦後早い時期から三六協定締結拒否による時間外労働拒否闘争を行っていた。

  郵政省人事局『新しい管理者』昭和415月第六章によると「特に全逓の場合は春、夏、秋、冬、スケジュール闘争を行い、三六協定もこれを戦術に利用し、一年の相当部分の期間を超勤拒否している状態である。これは日本だけに見られる現象であり、全逓がいまだに闘争至上主義から脱脚しきれないでいる」[新しい管理者(昭和415.郵政省人事局編)-2- 『労働法律旬報』646 1967]と組合運動のありかたを批判しているのである。

   政府は昭和31年の公労法の改正により、同法35条で「政府は仲裁裁定が実施できるようにできるだけ努力しなければならない」ことを法文で明確にしたうえで、昭和32927日の公共企業体等の職員の労働組合の争議行為についての閣議了解において、公労法171項違反者は服務規律違反として免職その他の懲戒処分を免れないことを明確に示した(第一次岸内閣)、「合法的な実力行使」と称されている勤務時間内職場集会、休暇闘争、遅刻戦術、早退戦術、定時出勤、超過勤務拒否、遵法闘争、担務変更拒否、滞留業務処理拒否等も、名目いかんをとわず171項違反の争議行為であるとしている。

   三六協定締結拒否闘争については内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁)がもっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらないとしているが、総じて政府は遵法闘争に否定的である。ところが東京都はそうではない。

  なお私は民法12項の信義誠実の原則に反する、コモンローでいう黙示的誠実労働義務に反しているという見解に賛同したいのが労働法学者はこういう考えをとらないのである。

水道局の三六協定破棄闘争の問題点は多岐に及ぶが要約すれば以下のとおりである。

〇そもそも三六協定(超過勤務及び週休日の変更に関する協定)を一方的に破棄できる協約は事実上職制麻痺闘争を当局が是認していることなり問題はないのか

〇当局は適法と言っているが争議行為ではないのか

〇組合は三六協定破棄により、時間外労働に関して労務指揮権が消滅するという見解をとっているが法秩序全体の見地から妥当とはいえないのではないか

〇組合が時間外の経常業務を管理職に押し付けるいやがらせに問題はないか

〇必ずストの前日は三六協定を必ず破棄した状況におく狙いは、非組合員をロックアウトする狙いである。組合側の論理では、就業時間前は、所長の労務指揮権は消滅しているので、カードリーダに電磁的に出勤記録を入力させないものとし、よって事故欠勤を強要するものだが、出勤記録の入力は服務上の基本的義務で、建前として服務規律の確保を通知しているという状況で、管理職と共謀して事故欠勤を強要しているあり方は違法性が強いと判断する。

  組合と管理職共謀による非組合員の締め出し、出勤停止指示は違法と考えるが、非組合員を締め出してむりやり全員参加でストを成功させる。これが三六協定破棄闘争の最大の目的と考える。

  管理職は、労基法違反になるので、非組合員を締め出すという言い分になるだろうが、しかし三六協定未締結により職制の労務指揮権が消滅するという見解は間違いである。

  実際、国鉄は動労が拠点ストを構え三六協定未締結でも時間外労働の業務命令は行っている。例えば昭和381214日の動労の全国7拠点2時間ストでは代務となる指導機関士を現地に召集して業務命令し、鉄道公安職員により実力ピケを排除して代務の機関士を乗車させ、列車を運行させている(動労糸崎駅事件.広島地判尾道支部昭43.2.26)。国労のストのケースでも運転士にピケ隊に説得されずに運転を続けろと当局が指示する。

〇労基法33条により災害時には三六協定の内容、未締結いかんにかかわらず、時間外労働の命令ができるということは周知されていない。たぶん、当局は三六協定破棄闘争を適法と認めてるので、組合を刺激するから口が腐ってもいえないと言うだろうが、防災は東京都の重点政策なので周知すべき。予算ゼロでできる防災対策だ。

   災害時の緊急対応参集は、第1非常配備要員は震度5弱で発令を受けて参集、震度5強以上で発令を待たず参集。第2.3非常配備要員は震度5強以上で発令を受けて参集するそれ以外の全職員(免除者除く)は震度6弱以上で発令を待たず参集して、それぞれの任務につく。毎年訓練も行っているが、私も応急給水拠点要員を10年以上経験しており、夜間休日の発災時には駆けつけることになっていた。平成23年の大震災では、計画停電対応や金町浄水場で放射性ヨウ素を検出した時も当局は一部の職員に超過勤務を命令している。

   東日本大震災も春闘の際中でその数日後に三六協定破棄闘争に入る予定だった。この時は闘争を中断し7月に闘争を延期したが、もし闘争中に災害等があった場合、組合員は三六協定未締結では労務指揮権は消滅するという組合の宣伝で洗脳されているため、本当に出務してくれるのか不透明な面がある。

   実際、私の職場では今年の能登地震支援業務に出張する新人職員に、組合役員が三六協定による月間の労働時間規制があるので、超勤は規制の範囲で申請し、翌月に申請を回すようアドバイスしているのを聴いたが、災害関連業務の超過勤務は一般会計予算だと思うし、33条により時間外労働協定と無関係に時間制限なく超勤させることができるはずである。

   国会でもこの質問があり、労働時間規制とは無関係に超勤可能と政府は答弁していた。この点、管理職の認識を問い合わせたが、返答はない。組合役員でも、災害対応は、三六協定の適用外との認識がない人がいるのである。

 

(三)当局は適法としているが争議行為である疑いが非常に濃い

三六協定未締結闘争について大きく分けて三つの見解がある

1) 信義則に反する違法行為である

2) 争議行為である

3) 労働者側の正当な権利行使である

  初期の労働委員会の裁定とである三井造船事件岡山地労委の裁定(昭26.4.27命令) 『労働法律旬報』77(1951)では、会社は申立人のなした時間外労働協定の拒否ないし保留行為に対し造船業と残業の特殊関係、特に造船工程中、残業が計画中に織込まれている点、永年の慣行であった点、従来累次の協定締結の際何らの紛議を生じなかった点等を挙げ右行為はこれ等の現実を無視し、信義則に反するものとして不当なる争議行為と主張したが、このまっとうな主張は認められず、本件は違法不当な争議手段ではないとした。

 したがって学説は、基本的に争議行為かとするか、正当な権利行使とするかで見解が分かれているだけである。

内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁)がもっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらないとしている。

  「‥‥『業務の正常な運営』とは、業務の運営であって、経験則に照らし、経常.普通の状態にあると客観的に認められるものというと解されるが、特定の事業場において時間外又は休日の労働の行なわれることが常態であり、また、そういうことが行なわれることによってのみ当該事業場における業務の運営が経常.普通の状態にあると客観的に判断しうる事情の存するときは、労働組合が当該協定の有効期間の満了により、時間外又は休日の労働行なわれなくなった場合は、当該事業場における『業務の正常な運営』が阻害されたことになるといいうるところであろうと考えられる。してみれば、このような事情のもとに労働組合が当該協定の更新を拒否する行為は、争議行為にあたるといいうる‥‥‥労働組合が労働基準法第三六条を引用して協定の更新を拒否しているにかかわらず、労働組合以外の者が当該協定の更新の拒否をもって争議行為にあたると主張するためには、労働組合による当該協定の更新の拒否が、もっぱら時間外労働又は休日労働以外の事項についての労働関係に関してその保持する主張を貫徹するのに有利であるかどうかの判断に基き、ただその目的を達成するがためにのみむなされたものであることを立証しなければならない‥‥」

 この趣旨によれば、水道局は12月の局内闘争は三六協定の更新は闘争課題ではないから、3月の春闘は、三六協定が交渉事項とはいえ、他の闘争課題による争議行為があるから、いずれも争議行為といいうる。

  一日約九勤務の超過勤務が平常勤務として組み入れられたバス事業の職場において、他の要求を実現するための手段として三六協定の締結.更新を拒否したことが争議行為に当たるとされた最高裁判例として北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-739がある。

  平成15年に管理職を通じて、職員部に直接尋ねたのですが、北九州市交通局はバス運行で超過勤務が平常勤務に組み込まれていたが、水道局はそういう事情はないので適法との見解であり、過半数組合の正当な権利行使とするが、私は異論をもつ。

営業所では時間外の経常業務があり超勤手当も支給されているはず。実際、管理職へのいやがらせとして、組合は、窓口のレジの準備等を押し付けていることからも明らかであり、そのほか廊下やエントランスのワックス掛けの清掃が平日の退庁時間後になされるケースがあり、その検査のため、超勤予算は組まれていた。経常業務は超過勤務なしで完結してはいない。「ノーマルな業務」を阻害する。

   給水部で配水管の取替、敷設替え等水道工事の夜間工事は頻繁にあり、近年は業者への委託が多いとはいえ、職員と合同の作業、少なくとも監督業務はあるので、時間外労働がなければ水道局の業務は成り立たないことはいうまでもなく、営業所でも超勤は常態的にある。

  交通局と水道局の違いは、バス運転手19勤務(毎日超過勤務)の職場か、超過勤務は頻繁にあり、それなくして業務は成り立たないが職員が毎日超過勤務を義務づけられてはいないという違いだけである。水道局当局が三六協定破棄闘争は争議行為に当たらず、適法な組合の権利としている根拠は薄弱といえる。

  また水道局の1日の所定労働時間は、7時間45分だから法内超勤であと15分は労基法上違法とはならない。レジの準備や金庫にしまう下位職務は管理職がやらず業務命令すべきではないか。

  北九州市交通局事件の岩淵正紀判解は、最高裁は明示しなかったが、内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁)に近い判断だと解説しており、これはもっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらないとするものである。

  少なくとも時間外労働協定の交渉は年度末の春闘だけなので、下記に引用するやや組合寄りの吾妻説をとるとしても賃金確定闘争の11月の都労連闘争や、局内の合理化反対闘争である12月や1月の闘争は争議行為という結論になる。

 参考までに学説をみていくと、争議行為とするのはプロレイバー学者も多い。つまり争議行為を官公労の正当業務としてうえで争議行為と認識しているケースもあり正当な権利という説と同じである。

 

1 争議行為であると言う説

1)吾妻光俊

 争議を有利に解決する手段としておこなわれる順法闘争は「ノーマルな業務」を阻害しているかぎり争議行為となる。法律の評価としては実質的な争議行為として価値評価する観点から、時間外労働拒否は正真正銘の争議行為とする。「遵法闘争の法理」『季刊労働法』151955

 三六協定拒否については「協定拒否を行った労働組合または争議団の主たる意図が、その拒否を他の争議目的のためにする争議手段とするにあった場合には、労調法、公労法にいう「労働争議」の定義ないしその関連においてはこれを「争議行為」とみるべきであり、したがって協定拒否に対して争議目的になっている係争問題につき当事者は労委.公労委に調整を申請し、また労委.公労委は法律の規定に従い調整に乗り出すことができると解される(‥‥)。協定拒否の主たる意図が、これを他の争議目的のためにする手段とするにあった場合には、労調法の争議行為禁止との関連においても、協定拒否をこれら法条にいう争議行為と解すべきである(公益事業での争議手段としての協定拒否には労調法三七条の予告義務が課せられ、労調法三六条との関連においても同条にいう争議行為と解すべきである)。」とする。

 さらに「公労法、公務員法等の争議行為禁止との関連において、協定拒否がこれらの規定にいう「業務の正常な運営を阻害する行為」、「争議行為」または「政府(ないし地方公共団体の機関)の活動能率を低下させる行為」に該当するかどうかは、協定拒否がもっぱら他の争議行為目的のためにする争議行為のためにする争議手段として用いられた場合にかぎり、右規定にいう争議行為と解し、当事者の意図がかような点にあったと認められるかどうかは、拒否を右規定にいう争議行為と主張する側において立証する責を負うと解すべきだろう。副次的にも協定拒否が法律上非正常な時間外(休日)労働の常態化をあらためようとする意図に発するものであるかぎり、争議行為の禁止規定に触れると解することは時間外労働の常態化を法律が保障する結果になるからである。」と述べているが、時間外労働が副次的な闘争課題とされることよくあることであり、この点プロレイバー学説に接近しているといえる。『註解労働基準法』青林書院新社1960

 

2)石井照久

  「労使関係においては慣行的事実が尊重さるべく、期待された業務の通常の運営が阻害される限り」順法闘争は争議行為となる。『労働法』1954

3)三橋正

  「通常順法斗争と呼ばれる一連の斗争手段は、組合も争議戦術と呼び、社会通念的に又社会事実的に争議行為と考えられている通りに「業務の正常な運営を阻害し」「争議目的の貫徹のためになされ」る限り、労調法七条、従って公労法一七条の云う争議行為であると考えられる。」『不当労働行為の諸問題』勁草書房1955256

4)大野雄一郎

   三六協定締結拒否でなく、たんに超勤拒否戦術について言及し、一斉休暇戦術、勤務時間内職場大会、いわゆる定時出勤戦術と同じく、時限ストの類型に属する。公務員.公企体の職員の場合争議行為に合法の衣を装わせるためにストライキと呼ばない工夫をした名称をつけたにつぎないとする。『争議行為法総論』日刊労働通信社1967年

5)林迪広

 「怠業.順法闘争」『労働争議論 浅井淸信教授還暦記念』法律文化社て1965は、

 「順法そのものを目的とする順法闘争はともかく、他の争議目的達成のための手段たる順法闘争においては、それを労使間に生じている紛争を全体的に直視して位置づけるならば、結局は「労働関係における意見の不一致」を原因として順法闘争が行われていることは明らかである。したがって‥‥法的意味での争議行為たる一定要件を満たす」 ‥‥結論的にいえば「労調法第七条にいう『正常』な業務の運営とは使用者の労働者使用に関する指揮.支配権能が他のものに阻害を受けずに事実上円滑に行為されている状態をさすのであって、この場合においては、使用者の指揮.支配の内容が個別的契約関係の権利義務にてらして適法なりやいなやを価値的に判断することを前提とせず、ただ雇用関係を有する労働者に対する使用者の事実としての指揮権限が、労働組合の事実行為による阻害によらず貫徹されている状態をいう‥‥」  

6)中村博(労働省大臣官房秘書課長、中労委次長、人事院公平局長)

 この場合の残業命令については残業義務が発生を認めるという説と、その場合でも個別の合意が必要とする説があるが、仮に後者をとるとしても、組合の意思に基づいて、個々の労働者の合意による残業義務の発生を抑制することになるので、正常な業務運営を阻害するので争議行為となるとする。昭和32法制局一発第22号の法制意見を妥当とする。『公務員の争議行為と処分』中央経済社1971108頁以下

7)恒藤武二 

   我が国では一般的ではないが、争議行為とは同盟罷業、怠業、業務管理の三種類に大別して概念を整理すべきと云い、「怠業とは、団結した労働者が、使用者に対抗するため、その労働契約の履行を部分的に拒否すること=労働契約の不完全履行」「怠業とは能率低下(スローダウン)による典型的な怠業のみでなく、定時出勤、順法闘争、上部遮断スト、納金スト、などのようなやや変則的な争議行為を包括し、さらに残業拒否、時限ストのような労働契約に基づくその日その日の労働義務の一部分を履行しない形でなされる争議行為を包括し」と述べ、「怠業」は争議行為の範疇なので残業拒否=争議行為説である。

「サボタージュ」日本労働法学会編『新労働法講座4』労働争議 有斐閣1967年所収

 

2  労働者側の正当な権利行使とする説

8)沼田稲次郎

   三六協定が有効要件を欠くか有効期限が切れた場合「組合としても、個々の労働者としてもいつでも時間外労働を拒否できる。権利濫用などというトンデモナイ議論の生じる余地はない。」また時間外労働拒否だけの争議行為もできるとしている。労基法36条は32条の例外であるとして「争議状態においては、労使は対立状態に在るわけであって、かゝる場合においてまで、使用者のための恩典的例外を労働者に受忍せよというのは労働良識上認めがたいことである」と反市民法的見解を述べ「労働者側が第32条の原則に遵うという態度(遵法斗争)を以て36条の例外を拒否することは当然である」とする。

「遵法斗争と権利濫用-三井造船事件に関連して-」『労働法律旬報』77(1951)

   したがって、争議行為という認識を示しているが、順法闘争は権利の行使であるから、争議権の濫用にあたらず、争議禁止規定にも該当しないとする。プロレイバー学説。

3 三六協定締結拒否が争議行為に当たるかが争点の判例

(1)東京都水道局事件・東京高判昭43.4.26労民集19-2-623

  本件は、地方公営企業において三六協定なしに時間外勤務をする慣行が行われており、公務のために臨時の就労があったとしても、その時間外勤務命令を拒否する行為が地公労法111項に当たるものと解することはできないとして、18条解雇を無効とした事例である。

  つまり、三六協定の交渉過程で勤務命令拒否なので内閣法制局見解が争議行為としないケースに近いとはいえるが、三六協定が平時は締結され、夜間作業や残業が常態となっている状況で、ストライキ前段の戦術として協定が一方的に破棄されるという今日の闘争とは性格が違うので、これを先例とみなすことはできない。

   なお水道局と東水労本部と昭和368月に「三六協定」とされるものは締結されており、超勤時間の最高限度と有効期間を定め、さらに具体的な協定は支所、部局単位で締結することになっていたが、北一支所長と北一支部長は三六協定について合意が得られず協定を届け出ていなかったのであり、その都度組合支部と時間外労働の条件を交渉して時間外勤務を行う慣行であった。なお東水労はこのような作業に、昼夜交替勤務制の職員や、臨時の雇い上げに反対していた事情もある。組合員は、昭和37416日から勤務時間外の午後10時と午前5時の二回制水弁を操作する作業の要請を受けこれを行った。北一支部は北一支部長に対し、組合員に14時間15分相当の超勤手当と翌日の完全休養を要求し、支所長は420日まで認めたが、421日以降の作業は支部要求を認めなかったので、時間外労働を拒否し、その理由として三六協定が締結されていないということを言い出した事案で、局は組合の就労阻止行動が地公労法111項に違反するとして、12条によりXら4名(中央委員.青年婦人部長、支部書記長、中央委員.支部長、支部執行委員.組織部長)を解雇したものである。一審東京地判昭40.12.27労民166121は、水道局が主張した「業務の正常な運営」とは日常的慣行的に行われている現実の業務形態であるという主張を否定し、慣行化、状態化を正常な運営視できないとし、労働法規侵犯としたうえで、法の趣旨は事業場毎の協定であるとし、12条解雇を無効とした。組合寄りの判断である。

   控訴審も棄却し解雇を無効としたが、東水労本部との協約は労基法36条が要求している協定の内容ではなく、各支部を拘束しないとして、三六協定は成立していないとしている。

   昭和30年代の支所単位では三六協定を締結せずに、その都度組合と交渉するというやり方であった。ライフラインを預かる公営企業であるのに屡々組合要求で業務が左右されてしまうことを意味し、市民法感覚でいえば争議行為そのものといえるのに争議行為でないとした同判例につき疑問が残る。

 

(2)北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8民集42-10-73

  本件は、三六協定締結を拒否した超勤拒否闘争が。地公労法111項違反であり、懲戒処分を適法とした原判決を是認したものである。

 

A 争議行為の概略

    7月3日の状況

   参加人は財政再建計画案が市議会で議決される予定の73日に第三派の実力行使、休暇斗争、北九州市の交通事業は独占地域である若松区を除いて、西鉄バスと競合関係にあり、旧五市時代から承継した事業も含め赤字が累積し昭和40年に16000万円に達したため、運賃改訂、給与改定、人員削減、高齢者退職完全実施、ワンマンカーへの移行等による財政再建計画案を作成し、北九州市交通局労組と協議を重ねだが意見の一致をみず、自治省の指示に従った最終案を昭和42615日市議会に上程し(73日本会議可決)、621日~23日、627日から71日まで及び73日三六協定締結、更新拒否による超過勤務拒否闘争、ディーラー整備員入構拒否、完全点検闘争、五割休暇闘争が行われた。一審判決では超勤拒否、安全点検、あるいは年休要求と、いろいろ名目は違っても自らの事業所における業務阻害を目的とした争議行為ないしはそれに付随した争議手段であったとしている。

   闘争によるバスの欠行率は、6/21 8.04%6/22 8.55%6/23 4.19% 6/27 8.48%6/28 8.60%6/29 3.90%6/30 6.62%7/1 6.40%7/2 1.47%7.3 36.79%であった。

   北九州市交通局長は、12名の行為 が、同市交通事業の業務の正常な運営を阻害する行為であって、地公労法111項に違反し、北九州市交通局就業規程第9011号、地方公務員法第29条第1項第1、第3号に該当するので、前記の如き争議の計画、指導及び実行を行った執行委員長もしくはその他の役員である前記訴外X1ほか一二名に対し、昭和四二年八月二日付をもって懲戒処分を行った。

   停職6か月3(1、X2、X3バス運転手、うち1人執行委員長、)。停職3か月4(4、X5、X6、X7、X8バス運転手3人と事務1人、うち書記長1人、副執行委員長1)、停職1か月4(9、X10、X11、X12バス運転手2、車掌1、整備士1、うち中央委員1)。  

 

*註 北九州市交通局就業規程

90条 職員が次の各号の一に該当するときは、免職の処分をする。

11)同盟罷業、怠業、その他局の正常な運営を阻害する行為をしたとき、もしくはこのような行為を共謀し、そそのかしまたはあおったとき。

 

  争議行為の内容ににつき一審判決で引用される使用者側の説明をピックアップする。

  参加人は、昭和42611日頃から本庁舎及び整備工場にある整備課事務所に合理化反対等のビラを多数貼付し、更に同月15日、戦術委員会で同月21日ないし23日の超過勤務拒否闘争、同月27日ないし同年71日の超過勤務拒否闘争及び完全点検闘争、同月3日のストライキを決定し、当局の警告を無視してこれを実施した。関係は、以下述べるとおりである。

  昭和42621日から同月23日までの間の状況

  参加人は621日から同月23日までの3日間、第一波実力行使超過勤務拒否闘争と称し労働基準法第36条の規定にもとづく協定(「三六協定」)の締結を拒否し、養護学校スクールバスおよび福岡行き定期便を除く全ての部門で超過勤務を拒否し争議行為を行った。

  北九州市交通局においては運行ダイヤの編成にあたっては事業管理者への諮問機関として労使双方の委員によって構成されるダイヤ審議委員会の審議を経て定められていたが、本件紛争当時の公示ダイヤは参加人側の同意のもとに一日約九勤務の超過勤務ダイヤを組み入れており、超過勤務拒否が行われれば正常なダイヤ運行に支障をきたすことは労働組合も充分承知のうえでこれを争議行動の手段として行ったものである。

 6月21日前述のとおり参加人が超過勤務を拒否したので整備関係の勤務時間外の整備作業が困難となり、当局としては何とかして業務の正常な運営を維持しようとして、いすず自動車、ニッサン自動車、ふそう自動車の各ディーラーに整備業務を依頼した。またこのことを参加人に申し入れたところX6書記長は「ディーラー整備員の入構は認めない。あえて入構を強行するなら実力を もって阻止せざるをえない。」と答え各営業所においてディーラーの派遣した整備員の入構について次のとおり妨害した。(以下略)

  昭和42627日から71日までの間の状況

  参加人は627日から71日まで5日間第二波実力行使、超過勤務拒否、車両の完全点検斗争と称する争議行為を行った。  

  超過勤務拒否斗争は前述のとおりである。完全点検斗争は次のような方法で行われた。             北九州市交通局においては出庫前30分間乗務員を始業点検に従事させることと定めており乗務員は局所定の始業点検表に従い車両を点検し、運行管理者に経果を報告し確認または指示を受けることが義務づけられている。

  ところが右期間において参加人は完全点検斗争と称して運転手が行う始業点検にことさら執行委員を加え運行にまったく支障のないささいな欠陷をとりあげ完全に修理整備しなければ運行させないとしつように抗議し出庫を遅らせたりあるいは出庫を不能にしたりしたものである。

  昭和42年超過勤務拒否斗争と称して多数の組合員が一斉に休暇をとりダイヤの大幅な欠行を生じる争議行動を行った。

  これに対し当局は業務阻害を目的とした休暇申請については承認しない方針を、その申請を拒否したのであるが、参加人はその承認を強要し各営業所等 において次のような紛争を生じさせた。

 (小石営業所)

   7月2日午後2時すぎ、小石営業所においてY9営業所長は73日の同営業所のワンマン五番勤務の乗務員が欠員となることを知り、73日が休日の予定となっていた北九州市交通局新労働組合所属のZ1運転手に休日振替による出勤を命じた。  

   7月3日午前440分頃X2、X8両執行委員ら組合員多数がY9営業所長に対し「労働組合が超過勤務拒否斗争として三六協定の締結を拒否しているときであり、Z1運転手の振替勤務を取り消すよう」要求して激しく抗議した。Y9営業所長らは「Z1運転手の振替勤務は休日の振替えによるもので休日出勤でない。三六協定の有無にはかかわりない」旨反論したが組合側の激しい抗議に抗しきれずやむなくZ1運転手の振替勤務を取消した。

 (二島営業所)

  7月2日午前10時頃X3執行委員外組合員20名が本庁舎二階事務室においてY5職員課長、Y11 自動車課長およびY8営業所長に対し、73日の休暇を承認せよと激しくせまり、Y5職員課長が「73日は労働組合が休暇斗争を予定しており、業務に支障をきたすので、当日の休暇は承認できない」と 承認を拒否したのに対し激しく抗議を繰り返し、休暇承認を強要し、Y5職員課長らはつるしあげの中で抗しきれずやむなく当日の休暇を承認した。

  本件懲戒処分につき組合側は、地労委に救済を申立、福岡地労委は昭和47426日処分の取消しを命令したので、使用者側が不服として救済命令取消訴訟を提起したが一審福岡地判昭52.11.18判時874号は請求を棄却。

 

B 二審福岡高判昭55.12.22労民31 51033

  原判決を取消し、福岡地労委の救済命令を取り消す。

  判示事項概略

○地方公営企業労働関係法111項は、憲法28条に違反しない

労働組合が超過勤務の正当性を是認しながら超過勤務に関する労働条件自体ではなく、労使間の他の紛争について自己の要求を貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否することは、同盟罷業に該当する。

労働組合の参加しているダイヤ編成審議会の審議を経て定められたダイヤ編成において、超勤が恒常化され、それを拒否すれば平常のダイヤ運行に支障を来す状況の下で労働組合が三六協定の締結ないし更新拒否により超勤拒否闘争を行ったことが地方公営企業労働関係法111項に禁止する争議行為に当る。

○地方公営企業におけるピケは、争議行為の適法性を前提とし、争議権保障の範囲内で許されるものであって、地公労法により争議行為が禁止されている以上、本件ピケは正当な組合活動ということはできない。

○地方公営企業における安全点検闘争は、単に交通安全配慮の仕業点検ではなく、組合の要求貫徹の手段としてなすものであるから、業務の正常な運営を阻害する行為に該当する。

○ 地方公営企業における年次有給休暇闘争は、組合の指令に基づき組合員全員が一斉に職場を離脱し、業務の正常な運営の阻害を狙った同盟罷業ということができ、争議行為に該当する。

○地方公営企業における超勤拒否闘争、ピケ、安全点検闘争、年次有給休暇闘争は、地公労法及び市就業規則に違反するものであるから、同闘争を企画、指導、実行させた組合幹部に対する停職等の処分は不当労働行為に該当しない。

○地方公営企業労働関係法4条は争議行為以外の職員の組合活動につき労働組合法71号本文を適用しているにとどまり、地方公営企業労働関係法111項に禁止する争議行為には、労働組合法の該規定を適用する余地はない。

良性の判決といえる。丁寧にも交通局長が懲戒処分の根拠に挙げていない地公法32条違反でもあるということを説明している。

 

 判決抜粋

「 ‥超過勤務に関する三六協定を締結するか否かは、原則として、労働組合ないし労働者の自由に属するところであるから、労働組合が超過勤務自体の労働条件に関する労使間の意見不一致のため、同協定の締結ないしは更新を拒否したとしても、これをもつて直ちに違法とすることはできないことはいうまでもないところである。しかし、労働組合が、当該事業の運営が超過勤務に依存すること、すなわち、超過勤務の正当性を是認しながら、超過勤務に関する労働条件そのものではなく、労使間の他の紛争についての自己の要求を貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否し、超勤を拒否することは、争議行為(同盟罷業)に該当するものと解するのが相当であるところ、‥‥控訴人の交通事業におけるバスの平常の運行ダイヤは、参加人も加わったダイヤ編成審議会の審議を経て定められたものであり、一日九勤務が超勤ダイヤとして編成されていて超勤が恒常化され、超勤の拒否があれば平常のダイヤ運行に支障を来たす状況にあつたところ、参加人の前記三六協定の締結ないし更新拒否による超勤拒否闘争は、超勤の恒常化(正当性)を認めながら、控訴人の財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段としていたものであり、かつ、控訴人の交通業務の正常な運営を阻害するためにしたものであつて、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に該当するものといわざるをえない。」

 

C 上告審.最一小判昭63.12.8民集42-10-73

 棄却

(1)上告参加人は、被上告人の提示する本件財政再建計画の実施を阻止するため、昭和42610日ころ、組合員の投票によってストライキを行うことを決定し、これを受けて、上告参加人の戦術委員会は、同月21日から23日まで超勤拒否闘争を、同月27日から同年7月日まで超勤拒否闘争及び安全点検闘争を、同年73日に超勤拒否闘争及び一斉休暇闘争を行うことを決定した、(2)被上告人経営のバスの運行ダイヤは、労使の委員によって構成されるダイヤ編成審議会の議を経て定められていたが、当時の公示ダイヤは、上告参加人の同意のもとに一日9勤務が時間外勤務ダイヤとして編成されており、被上告人の交通局においては、このダイヤを実施するために超過勤務が恒常化していて、超過勤務拒否があれば、平常のダイヤ運行に支障を来す状況にあつた、(3)右運行ダイヤを実施するため、被上告人と上告参加人との間において従来から三六協定が締結、更新されてきたが、上告参加人は、本件財政再建計画についての労使の交渉が難航することが予想されるようになった同年4月ころから、同協定を1日ないし数日の期間を定めて締結、更新しつつ事態の推移をみていたところ、同年615日本件財政再建計画案が市議会に上程されるや、前記戦術委員会の決定どおり超勤拒否闘争を行うこととし、バスの正常な運行のための同協定の締結、更新方の当局の要望を拒否して、右決定に係る期間各部門において組合員に時間外勤務を拒否させた、というのである。

‥‥交通局においては、従来から上告参加人同意のもとに三六協定の締結、更新を前提とした超過勤務が平常勤務として組み入れられてきたところ、上告参加人は、当該超過勤務自体に関する勤務条件については格別の要求を有していた事情は認められないのに、本件財政再建計画の実施阻止という要求を貫徹するための手段として、三六協定の締結、更新を拒否し、組合員に時間外勤務を拒否させて本件超勤拒否闘争を実施したということになるから、右超勤拒否闘争は、地公労法111項の禁止する争議行為に当たるものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。‥‥」

 

D 岩淵正紀判解の要所  

岩渕調査官はこれについては大きく分けて3つの見解があると説明している。

 

A説(吾妻昭俊「遵法闘争の法理」『季刊労働法』15号)

 

  争議行為とは使用者の業務の正常な運営を阻害する、右の「業務の運営」とは法令に従った業務の運営に限られるものではなく、現に行われている通常の業務をいうものと解されるから、三六協定を締結するか否かは本来労働者側の自由に属すること事柄ではあっても、超勤自体が通常の業務に含まれている場合には、右協定の締結、更新を拒否することは業務の正常な運営を阻害するものであり争議行為にあたる。

 

B説(内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁)

 

  もっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらない。

 

C説(松岡三郎『條解労働基準法上』443頁、西村信雄ほか『労働基準法論』187頁、野村平爾『労働関係調整法(法律学全集)』106頁)

 

  法外超勤は三六協定が締結されてはじめて可能であるから、協定の成立前に右超勤を前提とする正常な業務の運営というものは存在しえない。従前三六協定が結ばれていたからといって、直ちにその終了後、それを更新する義務が労働者側に課せられているとはいえないから、右期限経過後は新たに労使双方の意見の合致により協定の締結されることが法外超勤の前提になる。したがって、労働者側が新協定の締結を拒否したからといって業務の正常な運営を阻害したことにはならない。

  岩渕正紀判解は、「本判決は、一般論としては右三説のうちどの立場をとるのか明らかにせず、本件の事案のもとにおいて、参加人組合が三六協定の締結、更新を拒否した超過勤務拒否闘争は争議行為にあたると判断したものであるが、三六協定の締結更新を前提とした残業が恒常化している職場において、労働者が、三六協定の締結、更新を拒否することを、他の要求を貫徹するめの手段として用いたと認められる場合に、争議行為の成立を認めたものであるから、基本的には、B説かそれに近い立場を前提としている‥‥」と述べる。

  岩渕判解がB説に近いと論評していることの意味は重くみてよい。

  東京都水道局当局は、本判決から超勤しなければバスの平常ダイヤが運行できなくなるような特殊なケースに限って争議行為と認定した事例と狭く解釈している。

  なるほど、水道局職員はバス運転手と違って常に超過勤務が義務付けられているとはいえないかもしれないが、実際に営業所では平時は一般職員が始業時前に超過勤務しており実際手当も払われ、闘争時は管理職に窓口を開けてレジのつり銭の準備などを押し付けているだけでなく、年数回であるが、年間計画で時間外に指定している、先に述べた、ワックスがけなどの庁舎内清掃の監督、検査業務に超勤手当が予算化され実施されていて、広い意味で、経常業務は時間外労働に組み込まれているのである。

  B説(法制)は「業務の正常な運営」とは必ずしも厳格な法律的意味において「適法な業務の運営」と解すべきでなく、労使関係における慣行的事実も考慮において、慣行的に期待される「通常の業務運営」をさすという石井照久『新版労働法』367頁の考え方に近く、慣行的事実としては平常において超勤がない職場はないという点は、交通局と水道局も同じであって、組合は超勤が必要な職場であることは一年間の有効期限で三六協定を締結していることでも明らかであつて、交通局の三六協定締結拒否が争議行為であっても、水道局がそうではないと確信できる材料などない。水道局の三六協定破棄闘争も争議行為と認定される可能性は高く、少なくとも疑いが強い行為といえる。

  しかし、当局は組合の権利行使として適法の考えを変えないだろうから、この争議行為か否かグレイかという議論は生産的でなく、労働基準法上違法であっても業務命令は可能で、三六協定締結してないことをもって時間外の労務指揮権、管理権は消失せず、労働基準法の強行規定であっても、「法秩序全体の見地から」判断されるので、労務指揮権を発動すべきと言う認識から論じることとする。

  

 

四)労働基準法所定の労働時間の制限を超える公務の執行の正当性に関する判例

 

  組合は、労働基準法を利用して、職制の労務指揮権を奪うことができると考えているようである。しかし労基法違反の業務命令に基づく業務であっても、刑法上の保護を失うものではないことについては、多くの先例があるので間違っている。

  まず浜松動労事件・東京高判昭42.9.18判タ216は、三六協定未締結の状況で「違法な業務命令に基づいて機関士等が本件第二四列車に乗務しているという一事によって右列車の輸送業務が刑法第234条によつて保護を受くべき『業務』に該当しなくなるということはできない」とし、威力業務妨害事件.名古屋高等裁判所金沢支部第二部判決・昭40.10.20は「就労が労働基準法違反の就労であるとして、‥‥同法が労働者の労働時間を制限した趣旨は労働者の保護にあるから、労働者が自ら就労し業務を遂行しようとする場合、右就労が同法所定の労働時間の制限に違反するものであつても、労働者の業務遂行そのものまでを違法視して右業務を威力業務妨害罪の保護対象から除外すべき理由はない」とした。(引用は仙台鉄道管理局事務件の上告趣意書)

 

  • 仙台鉄道管理局事件.最二小判昭5.25刑集27-5-1115

   労働基準法所定の労働時間の制限を超える公務の執行が適法とされた最高裁判例として、仙台鉄道管理局春闘仙台駅ビラ剥がし事件.最二小判昭48.5.25刑集2751115がある。

  事案は昭和39415日春闘仙台駅対策本部に仙台鉄道管理局総務部労働課職員全員を含む200余名を早朝から召集し、被害者Aは、駅構内の警戒および情報蒐集、組合員らの行動の監視、確認、組合員らによる違法行為の阻止、排除等の任務にあたるよう命じてられた非組合員であり、国労等の活動に備えていたが、過半を組織する国労.動労との三六協定は未締結だった。

   Aが18時間労働を超える時間帯に列車ボディに貼付されたビラを剥がす業務をしていたところ、動員された支援組合員に半円状に取り囲まれ、激しく抗議を受けたが、なお作業を続行したことなどから、動員された支援組合員全電通宮城県支部執行委員がAの顔部を殴りけがを負わせたことから傷害罪と公務執行妨害罪に問われた。

   一審(仙台地判昭41.1.8刑集2751148)は組合側の三六協定未締結なので、8時間を超えた業務は違法という主張に対し、外形的刑法的に一個と評価されうる継続的行為の中間において、当該公務員につき純客観的には具体的職務権限が消滅したとしても、その瞬間に当該職務行為が「適法」から「違法」に転化してしまうとみるべきではなく、以後の行為部分もなお「適法」なものとして公務執行妨害罪の対象となると解するを相当とするとして有罪(懲役二月、執行猶予)、二審(仙台高判昭44.4.1刑集2751170)は、破棄自判し、被害者Aに労働基準法上の休憩時間は与えられておらず、八時間の労働時間は、本件暴行時間の約40分前の午後2時に終了していたと認めるのが相当であるとし、労働基準法321項は、強行規定であり、たとえ相手方の同意、承諾にもとづいても、許容されることはないから、重大な違法性を帯有していたというべき命令部分をもってして、Aの職務行為に対し、公務執行妨害罪の保護法益たるに値する適法性を付与しないとして、公務執行妨害罪の成立を否定し、傷害罪の成立のみを認めた。これに対して検察官が上告した。

  第二小法廷(岡原昌男、村上朝一、小川信雄、大塚喜一郎)は原判決を破棄自判して公務執妨害罪の成立を認めた。

  村上は最高裁長官であり、岡原は後の最高裁長官である。

  「原判決によれば、右Aに対し発せられた本件職務命令は、昭和39415日午前6時から仙台駅構内において組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のものであつたというのであり、これによれば、右命令が同人に対し、前記の職務に従事すべき労働関係上の義務を課するものであるとともに、その反面、右職務を執行する権限をも付与する性質のものであることが明らかである。一方、労働基準法321項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが,右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。してみると、本件職務命令に右強行規定の違反があったとしても、その法意にかんがみ、その違反は、右命令のうち前記Aに対して就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はないと解するのが相当であって、本件における右Aの職務行為は、その与えられた具体的権限に基づいて行われたものであると認めるのに十分である。

  そして、右Aの行為自体は、列車車体にほしいままに貼付されたビラを取りはがして原状を回復するというものであつて、もとより日本国有鉄道の本来の正当な事業活動に属し、作業の方法、態様においても特段の違法不当な点は認められないのであるから、右が適法な公務の執行というべきものであることは疑いの余地がない。 

  すなわち、本件のように、法令により公務に従事する者とみなされる日本国有鉄道職員であって労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げないと解するのが相当である。

  そうすると、これと異なる見地に立ち、被告人の本件所為につき公務執行妨害罪の成立を認めなかつた原判決は、法令の解釈適用を誤り、ひいて事実を誤認するにいたつたものであつて、これが判決に影響することはいうまでもなく、かつ、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。」と解するのが相当であると判示している。

  柴田孝夫判解は労働基準法違反がどの程度に法律上の効果を及ぼすかについては、労働者の保護と関係ない事項について、労基法違反があってもただちに当該事項を無効としなくてはならないものではない。強行規定であるから、これに違反する労働は保護にあたいせず、超勤手当請求権もないとするのは失当であるとする。

  例えば契約担当社員が三六協定未締結の状況で8時間を超える超過時間に顧客と大きな契約をした、それは労基法違反の時間での職務行為だからその効果は会社に帰属しないということはないと云う。

  そのようにまともな法曹は労働法の論理一辺倒の偏った考え方はとらない。

  労基法違反の超過勤務であっても、職務遂行が刑法上保護されることは、以下の判例によっても補強されている。

 

  • 動労糸崎駅事件.広島高判昭和8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)

 

  動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30は、昭和381213日、動労は全国7拠点(函館.盛岡.尾久.田端.稲沢第二.糸崎.鳥栖各機関区)19時より2時間の 勤務時間内職場集会(事実上の時限スト)を決行した。一審は動労側弁護士の主張を認め、本件スト対策で糸崎発折り返し呉行651D列車に代替乗務したS指導機関士になされた業務命令は、当局と組合との間に三六協定が締結されていないのになされたもので違法であり、同機関士の乗務は刑法第234条の威力業務妨害罪にいう業務に該当しないというべく、威力業務妨害罪を構成しないというものであったが、控訴審は、国労久留米駅事件大法廷判決昭48.4.25刑集273418の判断枠組を引用し、「組合の組織的集団行動としての本件合理化反対闘争に際して行なわれた刑法234条所定の構成要件に該当する有責行為であると原判決が認定した被告人の本件所為について‥‥違法性阻却事由の有無を判断するに当っては、当該所為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、叙上行為の具体的諸状況を考慮に容れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定する」として、闘争に備え前日国鉄当局から代替乗務の業務命令を受けて糸崎駅に待機していたS機関士の就労を妨害する行為につき威力業務妨害罪の成立を求めている。三六協定に関する理論的な説示がなく、端的に久留米事件方式の「法秩序全体の見地」から労基法上違法であっても刑法上保護される業務との結論を出している。

  労働法と市民法秩序は矛盾する。労働法と民法等が相いれない場合は、労働法一辺倒の判断をとらず、法秩序全体の見地から判断していくという意味を含んでいるとみてよい。

 

3 第二名古屋中郵事件・最二小判昭53.3.3民集32-2-97

   第二名古屋中郵事件・名古屋地判昭39.2.20判時383は、昭和34123日小包課長の指示により、受入係事務補助員ら数名が年賀予備室に保管中の滞貨小包郵袋約140個を開袋作業室に運搬するため郵袋1516個を運搬車に積載し搬出せんとするや、被告人全逓中央本部執行委員2名、愛知地本執行委員長、名古屋中郵局支部長は他の組合員と共謀してその前面に立ち塞がり、これを押し返して搬出を不能にし、さらに、小包課長らが自ら郵袋を搬出するため年賀予備室に入室しようとするや、その前面に多数とともにスクラムを組むなどして入室を不能にし、もって威力により臨時小包便の搬出等を不能ならしめたうえ、管理者の数回にわたる退去命令を拒否した事案で、組合側は本件当時において三六協定と年末首緊忙に関する諸取決めがなされていないから、全逓労組員が臨時便の取扱いの労務を提供する義務は存在しないと主張し、管理者側の行為は違法な業務を全逓労組員に押し付けようとするものでという主張し、一審はこれを支持して、右業務は刑法234条にいう「業務」には該当しないものとして無罪。組合側の主張が通った判例である。

   控訴審名古屋高判昭45.9.30刑事裁判月報29号は、臨時小包便の搬出は、全逓との団体交渉を経ないままなされたもので不相当ではあるが、やむをえない措置であったから、刑法上保護されるべき業務にあたると述べ、三六協定未締結での業務が正当な業務でないという一審の判断とは違うものとなったが、東京中郵判決.最大判昭41.10.26刑集208901の判旨に従い、約九時間の郵便物処理の遅延であって国民生活に重大な障害を及ぼしたわけではないので、労組法一条二項にいう「正当な行為」として違法性を欠くとして棄却した。

   上告審最二小判昭53.3.3民集32297は、東京中郵判決は、全逓名古屋中郵事件.最大判昭52.5.4刑集313182で判例変更されたゆえ、名古屋中郵判決の判断枠組(久留米駅事件方式を踏襲)にもとづいて、三六協定未締結時の業務であって、労働基準法上違法であっても刑法上保護される業務であると説示をせずに端的に以下の理由で、破棄自判し、威力業務妨害罪の成立を認め、各罰金三万円に処している。

 「原判決‥‥認定した前記事実は、威力業務妨害罪及び不退去罪の構成要件に該当し、かつ、いずれも公労法一七条一項に違反する争議行為であるから、他に特段の違法性阻却事由が存在しない限り、その刑法上の違法性を肯定すべきものである。原判決が違法性阻却を認めるうえで根拠とした、本件行為の目的、手段、影響のいずれの点も、その根拠となるものではなく、他に法秩序全体の見地からみて本件行為の違法性を否定すべき事由は見当たらない‥‥」

  上告審は、本件業務妨害は争議行為そのものとしており、違法性を阻却する特段の事由がないとしており、三六協定未締結なので正当な業務でないという一審の判断に関し理論的な説示はしておらず、名古屋中郵判決の枠組みが古屋中郵事件方式)では、久留米駅事件方式を踏襲し違法性推定機能を強化した「行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない」というものなので一刀両断に有罪と結論している。

 

4 労働基準法上違法でも就労は刑法上保護される意義

  以上、総括すると、労働基準法違反がどの程度に法律上の効果を及ぼすかについては、労働者の保護と関係ない事項について、労基法違反があってもただちに当該事項を無効としなくてはならないものではない。労働基準法の労働時間制限を超えた就労であっても、刑法第234条によって保護される業務であることは確定しているが、その理論的説示は、二つの系統がある。

  東京都水道局の現状は、三六協定破棄によって、管理職は組合から、業務命令すると犯罪になるぞと脅し、労働者の保護と関係ない職制麻痺闘争、争議行為目的、特に時間外の職制の労務指揮権を消滅させ業務命令させないという悪意にもとづいており、労働者の保護とは関係ない事項であるから、労基法違反の業務があったとしてもただちに無効となるというものではないことは明らかである。

  組合が主張するように、三六協定未締結状態は、所定労働時間外の労務指揮権や施設管理権が組合によって奪い取られることを意味しないし、動労糸崎駅事件や名古屋中郵第二判決で労基上違法な超過勤務に相当する就労になっても職務命令等ができる。仮に春闘仙台駅判決の狭い解釈をとるとしても就労を拘束しないかたちで、職務権限を与えることができるので、少なくとも経常的業務については職務命令すべきと考える。

  仙台鉄道管理局事件・.最二小判昭48.5.25の柴田孝夫判解によれは、最高裁のテクニックは、労働者に一定の職務を処理する権限を与える管理職の行為と、一定の職務に従事させる義務とを区別して、職務命令の性質を二分して、権限を与えるだけの使用者の行為を違法.無効とする理由は、労基法321項からは出てこないというものである。

  春闘仙台事件は、非組合員が春闘対策本部に召集され、組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のものであったからであるが、広義に解釈すれば、多くの事務職員は経常的な業務でも特定の職務を処理する権限が与えられており、所定時間で終了しない場合、自発的な残業をすることは普通みられることである。

  この理屈が職員課職員の特殊なケースか汎用性のある議論かは判然としないが、少なくとも春闘対策本部の業務が該当する。所定時間外だからできないということになると、争議行為対策ができないことになり、違法争議行為を助長するので当然のことといえる。

  狭く解釈するとしても、たとえば三六協定未締結でも災害時の業務命令は労基法33条でできるが、あらかじめ日時が指定されてない災害時の応急給水拠点要員が、給水所に休日.夜間等の所定時間外に立ち入り、応急給水の準備を行う権限が認められているのと同じ理屈になる。

   最高裁は車両ボディの「ビラ剥がし行為」を「日本国有鉄道の本来の正当な事業活動」であり、刑法第234条によって保護される業務とし、真面目に任務にあたった非組合員が非難される立場ではないことも明らかにしているのである。春闘仙台駅判決はビラ貼りの使用者の自力撤去の先例としても意義がある。

   一方、動労糸崎駅事件・広島高判昭和48.8.30判タ300(上告審.最一小決昭50.4.1刑事裁判資料230棄却)は、昭和381213日全国7拠点の動労の19時より2時間職場集会決行に際し、当局は三六協定未締結であってもスト参加者の代替要員として指導機関士を糸崎に召集、代替乗務を命令された機関士の糸崎発呉行列車乗務を妨害するため、動労岡山地本津山支部執行委員長が運転室を占拠し、引率した組合員、他の支援組合員百数十名にスクラムを組むマスピケを指揮して列車運行を妨害した事案で、名古屋中郵第二事件・最二小判昭53.3.3民集32297は、昭和34123日名古屋中央郵便局と全逓支部が三六協定未締結、年末首繁忙期の取決めもなされていない状況で、局長は約九時間の郵便物処理の遅延に対し、名古屋郵政局と協議のうえ小包臨時便の滞貨の解袋作業につき全逓組合員とアルバイト学生に業務命令した。被告人、全逓中央本部執行委員、愛知地区本部執行委員長、名古屋中央郵便局支部長は、組合員は臨時便を取り扱う義務がないとして、管理者側の臨時便郵袋搬出作業に対し、組合員2030名がスクラムを組んで立ち塞がって業務を妨害した事案があるが、双方とも一審は、組合側の主張を認め無罪だったが、糸崎駅事件二審は久留米駅事件方式、第二名古屋中郵事件上告審は、名古屋中郵事件方式の判断枠組みである「法秩序の全体的見地から」業務妨害罪の成立を認めている。

   両判例とも、仙台鉄道管理局判決は引用されておらず、三六協定の性格について理論的説示もなされていない。仙台鉄道管理局は「就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし」という判断をとっているが、糸崎駅や名古屋中郵第二はそれと違うのである。

   理論的説示はないが、動労糸崎控訴審はストライキに対抗して、反対派組合員や非組合員に業務命令し操業を維持するのは使用者の正当な権利であり、スト参加の乗務員の代務となる指導機関士の乗務の業務命令は全く正当だと言う前提にたっているし、名古屋中郵第二最高裁判決も約九時間の郵便物処理の遅延のため、全逓組合員とアルバイトに業務命令により滞貨を処理することは正当との前提に立っている。そうすると三六協定締結されておらず、労働基準法では違法な18時間以上の勤務であっても必要な業務命令はできるという前提と推定できる。

   要するに労働基準法違反は承知での上での業務命令はありうる。労働法上違法であっても、市民法、公法上、信義則に反する違法争議行為目的の戦術に対抗して操業を維持するための業務命令はあってしかるべきで、法秩序全体の見地から使用者側の罰則はくらわないだろうという推測で業務命令してよいと考える。

   実際に国鉄は国労や動労との三六協定未締結でもストライキ(勤務時間内職場集会)も超過勤務となりうる業務命令を行っている、動労糸崎駅事件と同日の動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.25判時770においても、二審で三六協定は問題になっていないが、指導機関士26名を門司鉄道管理局管内から召集している。

   郵便局は、法内超勤は合法との見解だが、名古屋中郵第二判決のように全逓との三六協定が締結されない場合でも業務命令をすることがあるということであるし、そのような場合、職制側が処罰されたということは聴いたことがない。

   労働協約が契約の相対効原則に反するように、市民法と労働法は矛盾し衝突する側面が多いわけだが、労働基準法の強行規程であれ、それを絶対視する考え方を最高裁はとっていない。「法秩序の全体的見地」とは市民法・公法と労働法が衝突する場合、労働法を優位とみる考え方をしないのである。

  もちろん上記判例は、組合役員の業務妨害罪や不退去罪だが、使用者に対する罰則にも争議行為でもそれに付随する行為についての本来労働基準法と全く関係ない「名古屋中郵事件」の判断枠組みがとられるとは限らないといえる。

  しかし名古屋中郵判決の汎用性は大きいのではないか。 

違法争議行為目的の争議行為に付随した行為がなされた場合、違法性推定機能を強化した判断基準なのである。

   名古屋中郵判決から引用すると「公労法一七条一項に違反する争議行為が刑法その他の罰則の構成要件に該当する場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却事由が存在しない限り、刑事法上これを違法と評価すべきものであるが、そのことと、右の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為についての違法性阻却事由の有無の判断とは、区別をしなければならない。すなわち、このような付随的な行為は、直接公労法一七条一項に違反するものではないから、その違法性阻却事由の有無の判断は、争議行為そのものについての違法性阻却事由の有無の判断とは別に行うべきであって、これを判断するにあたっては、その行為が同条項違反の争議行為に際し付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならない」とする。

   つまり三六協定破棄闘争が争議行為と確定できないとしても、ストライキ配置の前日に必ず配置される戦術で、これは、ストライキ指令時に職制の業務命令をさせない、職制の機能を麻痺させて違法ストライキを有利にすすめるためのものである。職制麻痺闘争が悪質であり、使用者側が一方的に違法行為をしているとみなし、労働基準法に罰則があるぞと管理職を脅して、労務指揮権、管理意思を制圧する違法争議行為目的なのであり、これらに対抗して、操業を維持するため業務命令することは使用者の正当な権利であり、労働基準法の罰則とバッティングする件は、法秩序全体の見地から判断されるのが道理である。

   物事を総合的に判断すると、全水道東水労の三六協定破棄闘争は、一方的、違法行為目的のものであるので信義則に反し、組合側が労基法違反といかに糾弾したとても、三六破棄闘争自体が争議行為の疑いが濃いだけでなく、そうでないとしても違法行為目的の行為であり、争議行為に対抗する措置として、違法性は阻却されるという前提でおそれることなく業務命令すべきであり、国鉄のようにそういう方針のもと必要な業務については職務命令すべきである。

 

(五)ストライキ決行時の非組合員を締め出す目的で三六協定破棄している問題点

 

  組合役員はこの闘争を重視し、繰り返ししつこく職制に業務命令の権利はなく、犯罪になるから、超過勤務をしない号令をかけている。

  三六協定未締結の状態では一日八時間を超える労働を命ずる部分は、被用者の同意ないし承諾の有無いかんにかかわりなく労基法に反するので、職務執行を適法ならしめる具体的権限が管理職にはないとするのが組合側の見解である。

  三六協定拒否闘争は平成16年の10日間連続、年間17日は越えたはずで、この場合は、時限ストライキよりも業務阻害が大きい。近年は年間10日を越えることはなく、長くて3日連続程度にすぎないが、その本質はいやがらせではなく、ストライキの前日は必ず、未締結の状態にしているので、職制に業務命令をさせない口実をつくること全員参加のストとして成功させることが目的と考えている。

   実際私は平成611年に在籍していた江東営業所のスト決行時(3回あった)に、組合活動家から八時半以前は、庁舎内に立ち入るな、庁舎外に出ろと恫喝された。また江東営業所では包囲型ピケッティングがあり罵声も浴びせられた。職制は傍観し無関心である。労務指揮権ははく奪されることに多くの管理職が同意しているようであり、非組合員は、組合役員と管理職の双方から庁舎への入所は認めないことがある。出勤簿、現在はICカードリーダに電磁的に出勤記録の入力だが、してはならないとの指図を受けることになるのである。

  組合に違法争議行為の統制権はないのに、全員参加の同盟罷業にこだわっており出勤記録は絶対させない構えなのである。

  私は組合と管理職共謀による非組合員の締め出し、出勤停止指示は違法と考えるが、就労したい職員をも締め出して全員参加でストを成功させる。三六協定破棄闘争の重要な目的である。

  地公労法112項は事業場の閉鎖を認めていない。当局は、ストライキに対抗して、非組合員や反対派組合員等に業務命令して操業を維持するのが筋で、それは正当な権利であり義務でもあるのに放棄し、組合のいいなりになっているストライキ完全防衛に協力している。

  水道局三六協定破棄で、就業時間以前の業務命令ができないので、ピケの取り締まりも、横断幕、立て看板、ビラ貼りなどのスト準備、セキュリティ破りのスト待機、中止.解散命令ができないとするのは組合側の立場だが、管理職もこの立場をとっているので、労務指揮命令権を放棄し、違法行為や犯罪構成要件該当行為をいっさい認めていくことこそ、コンプライアンスになってしまっているという、異常な現実は変えなければならないのである。

  遵法精神から就労したい職員の権利と義務の否定であり容認しがたい。全水道東水労は常に高率の、スト権一票投票の批准を誇示しており、当局に圧力になっていることを宣伝している。裏面に闘争課題が書かれており、多数により批准された場合は、組合の指令に従い団結して行動する旨誓約するとの文章がある。しかし国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集291016等のとおり、争議行為は違法なので組合員に対する内部統制権は否定されている。組合員の圧倒的多数がストに賛成しても、その違法性が減殺されるわけではない。非組合員はもちろん組合員においても違法争議行為の勧誘.説得に応じる義務はないことは確定している事柄である。

   したがって、公務員の職場においては管理職が職務命令を発出して、スト参加者を切崩したとしても、支配介入には当たらない。にもかかわらず、当局は、口が腐っても組合の意向に従っているか、あるいは忖度し職務命令をやらないのである。

   東京都は、組合を刺激する職務命令は凍結状態で、組合に下手に出るのが管理職の処世術としてまかりとおっている。しかしまともな官公庁や自治体、公共企業体は、職務命令をきちんとやっているので改めなければならないということである

六)ストライキ決行時の非組合員を締め出す目的で三六協定破棄の対抗策

 組合と当局が共謀して非組合員を締め出す口実として用いられている点については、それなりの対策が可能なので、この闘争の対応策は抜本的に改める必要があると考える。

  私の提案は、三六協定未締結時の業務命令について理論的説示のある仙台鉄道管理局事件.最二小判昭48.5.25の判旨に沿って、非組合員に時間制限のない職務権限を与えた場合、たとえ労基法上違反であっても、時間外の職務遂行は正当であり刑法上保護される業務であると判示した論理を利用すべきだと思う。

  本件は、労務課に所属する非組合員がビラ剥がし作業中、国労.動労の春闘支援に動員された全電通組合員によって顔面を殴られたので傷害罪だけでなく公務執行妨害罪が成立したものである。

  被害者Aに対し発せられた「本件職務命令は、昭和三九年四月一五日午前六時から仙台駅構内において組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の任務に従事すべきことを内容とし、執務時間についてはあらかじめ制限を付さない趣旨のもの」であつたというのであり、最高裁は時間制限のない命令を認めている。ただし三六協定未締結なので「就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし」うるとも説示している。

 水道局では組合が出勤時限以前に非組合員がICカードリーダにより電磁的に出勤記録を入力することを許さないことを方針とし、当局も就業規則違反と違法行為は承知でその方針に従っている。出勤時限以前の登庁から締め出すのが組織ぐるみの方針であるゆえ、逆にストライキ対策本部を立ち上げ、労務担当職員だけでなく、名目的であっても非組合員全員を召集し、春闘仙台事件の被害者と全く同じ権限を付与することを提案する。

 状況としては仙台駅事件の被害者と同じ状況にすることにより、最高裁判例により労基法上違法な業務であっても、刑法第234条によって保護される業務であるは、確定した判例だからである。

 これにより、三六協定が締結されていようがいまいが、時間の定めのない権限(組合員の監視等)を付与されている以上、出勤時限前の登庁は正当な行為になる。

「使用者を規制の対象とする強行規定であるが,右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない」とした仙台鉄道管理局事件・.最二小判昭48.5.25は相当な重みがあるというべきで、組合が文句いっても粉砕できるのである。

 そんなことをしなくても、出勤時限前の登庁は服務上の基本的義務履行なので全く合法だが、組合が三六協定破棄を口実に管理職の意思を制圧して、基本的義務履行を妨げ業務命令をさせない違法行為をやる以上、その対抗措置をとるということである。

 もっとも、仙台駅事件判決が、就労を拘束的に義務付けることには影響及ぼすとの見解があるため、三六協定未締結の時間外では、非組合員全員が監視、記録、写真撮影などに協力するとは限らないし、やってくれればそれにこしたことはないが、抗議活動で管理職に暴力をふるった場合はその証人にもなってくれるだけでもよい。たんに名目的な権限付与により、組合側のスト当日の出勤入力阻止について三六協定未締結を口実にさせないことだけでもよいのだ。

組合の論理を否定して、ストライキ時就労命令することができるようにできれば、目的は半分以上達成していることになるのである。

 非組合員にこの任務を与えるのは、スト当日組合員の立て看板等工作物の設営、ビラ貼り、ピケットなどの組合員の行動の監視、抑止だけでなく、就労命令、中止解散命令、職場復帰命令をしないで組合となれあっている管理職も監視してもらうという趣旨である。

 スト対策本部に上申し事実と確認できれば、管理職も違法行為に加担したとして処分する。

 この提案は組合と非組合員を対立することになるので、呑めないと当局はいうだろうが、現状の就労命令をしないで、違法行為と犯罪構成要件該当行為を是認している在り方は改革しなければならないのであり、攻勢に出ることは必要である。

 当局が本気で取り締まる。従来の本部中闘だけに絞るやり方でなく、事業所勤務の組合員も懲戒処分の対象となりうる。違法争議行為に内部統制権がないことがわかれば、組合員でも良識的な部分はストから離反していくはず、正常化のために必要である。

 

(七)結論

 

  内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁従来更新を重ねてきた三六協定の更新拒否が、超過勤務自体の条件改善のためではなく、労使間の他の要求貫徹の手段としてなされるときには、禁止された争議行為にあたるという趣旨)とこれに近似した見解をとっている北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42107、三六協定締結拒否を争議行為と認定しているので、全水道東水労の三六協定破棄闘争は、争議行為と判断される可能性が高いとみてよい。

  とはいえ当局は適法としている。組合の権利行使と言うだろうから、仮にそうだとしても、ストライキ配置の前日と当日は必ず三六協定破棄をしているので、この戦術は、事実上、職制麻痺闘争であり、管理職の時間外の労務指揮権を消滅させることによりスト突入を有利にすすめる争議行為に付随する行為とみなしてよいと思う。そしてその目的の一つが、非組合員の出勤時限前に入庁してICカードリーダに出勤入力させない。管理職、職制にストライキ準備行為の抑止や就業命令等をさせないことにある。

   三六協定破棄じたいがグレイだとしても、争議行為目的という点ではクロ、違法行為目的の行為であるから、この場合、労働基準法違反だとしても、法秩序全体の見地から、一方的に労働法優位、組合に有利な結論にはならないと判断する。国鉄や郵政では三六協定未締結でも業務命令していた。

  今後は、経常業務で不可欠な業務と、あらかじめ時間外にされていた時間外に委託業者発注の監督、検査業務などは日程を動かせないので、三六協定破棄の時間外でも業務命令することを提案する。

  また組合が管理職に下位職を押し付ける、管理職を組合が顎でこき使う滑稽ないやがらせはやめさせ、業務命令する。

  くわえて非組合員の出勤時限前に入庁してICカードリーダに出勤入力することを妨害させないため仙台鉄道管理局事件・最二小判昭48.5.25の判例法理をそのまま活用する。非組合員全員をスト対策本部に召集し、時間制限のない組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の権限を付与するものとする。権限を付与する業務命令なら、就労が労働基準法の制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではないと最高裁は言っているので、三六協定破棄でも、出勤時限前の入庁が正当化され、職制はこれにもとづき、出勤入力して就労命令を堂々とできることになるからである。

  三六協定を争議行為目的に利用させないための対抗措置であり、非組合員の就労する権利と義務の侵害をなくすためである。この対抗策を提案する。

 

 

 

[i] 呉市立中学校教研集会学校施設使用不許可事件最三小判平18.2.7

 

判批[本多滝夫2007]は判旨を6項目に分けているが、学校教育特有の項目を除くと以下の5項目とみなすことができる。

判旨1 学校教育上支障がなくても不許可とする管理者の裁量を認める

   目的外使用の許可は「学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、そのような支障がないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく、行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。」

 

判旨2 裁量権の濫用として違法となるかどうかは、社会通念審査+判断過程合理性審査による

 「管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。」

 

判旨3 職員団体の使用の必要性が大きいからといって管理者に受忍義務はないとする国労札幌地本ビラ貼り事件・最三小判昭54103と類似の説示。

 「教職員の職員団体は、教職員を構成員とするとはいえ、その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであって、学校における教育活動を直接目的とするものではないから、職員団体にとって使用の必要性が大きいからといって、管理者において職員団体の活動のためにする学校施設の使用を受忍し、許容しなければならない義務を負うものではないし、使用を許さないことが学校施設につき管理者が有する裁量権の逸脱又は濫用であると認められるような場合を除いては、その使用不許可が違法となるものでもない。」

  厳密に言えば地方自治法238条の47項(旧4項)の目的外使用許可の判断枠組みは一般私企業の指導判例である国労札幌地本判決とはかなり違う。同判決は「当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては‥‥正当な組合活動として許容されるところであるということはできない。」という特段の事情論であるが、風穴は開けられていないし、行政裁量のような、判断過程合理性審査はとらないのであるから、一般私企業の施設管理権とは一線を画しているが、受忍義務はないという趣旨は同じということである。

 

判旨4 従前の運用と異なる取扱についての判断枠組

「従前、同一目的での使用許可申請を物理的支障のない限り許可してきたという運用があったとしても、そのことから直ちに、従前と異なる取扱いをすることが裁量権の濫用となるものではない。もっとも、従前の許可の運用は、使用目的の相当性やこれと異なる取扱いの動機の不当性を推認させることがあったり、比例原則ないし平等原則の観点から、裁量権濫用に当たるか否かの判断において考慮すべき要素となったりすることは否定できない。」

 

判旨5 事実関係に過大考慮・過小考慮定式を当てはめる判断枠組

 

「本件不許可処分は、重視すべきでない考慮要素を重視するなど、考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものということができる。」

 

  本件使用不許可が裁量権の濫用という結論に導いたのが以下のように、判断過程合理性審査における過大考慮・過小考慮定式を当てはめたことにある。

 

(1)当然考慮すべき事項を十分考慮していない

 

 教研集会は教育特例法19条、20条(平成15年改正で21条・22条)の趣旨にかなう自主研修であることを考慮してない

 

「教育研究集会は、被上告人の労働運動としての側面も強く有するもの‥‥教員らによる自主的研修としての側面をも有しているところ、その側面に関する限りは、自主的で自律的な研修を奨励する教育公務員特例法19条、20[平成15年改正で21条・22条・引用)の趣旨にかなうものであり‥‥使用目的が相当なものである」

 コメント-これが本件を裁量権の濫用とする決め手ともいえる。一審広島地判平14.3.28民集602443号は、市教委に積極的に研修の場として学校施設を確保すべき配慮義務があるとし、本件を、目的外使用の問題ではなく、設置目的に沿った使用の問題と捉えているような行論を展開している[安藤高行2010]。こまの、最高裁も教研集会に好意的だった一審の論理構成に引きずられた感がしないでもない。

  行政法学者の仲野武志[2007]は、教研集会には教職員の人事、労働条件等の分科会もあり、純粋に労働運動として性格が表れており、自主的研修としての性格と、労働運動としての性格を別個の対象事実として捉え、労働運動としての性格を重視したとしても適正な考慮であるはずと批判的な見解を示している。

 

B 学校施設でなく他の公共施設を利用する場合利便性に大きな差違があることを考慮してない。

 

 「教育研究集会の中でも学校教科項目の研究討議を行う分科会の場として、実験台、作業台等の教育設備や実験器具、体育用具等、多くの教科に関する教育用具及び備品が備わっている学校施設を利用することの必要性が高いことは明らかであり、学校施設を利用する場合と他の公共施設を利用する場合とで、本件集会の分科会活動にとっての利便性に大きな差違があることは否定できない。」

 

(2)重視すべきでない考慮要素を重視している(過大考慮)

 

A 右翼団体の妨害行動は過大考慮である

 

  「過去‥‥学校に右翼団体の街宣車が来て街宣活動を行ったことがあったという‥‥しかしながら、本件不許可処分の時点で、本件集会について具体的な妨害の動きがあったことは認められず(‥‥実際には右翼団体等による妨害行動は行われなかった‥‥)、本件集会の予定された日は、休校日である土曜日と日曜日であり、生徒の登校は予定されていなかったことからすると、仮に妨害行動がされても、生徒に対する影響は間接的なものにとどまる可能性が高かった」

 

B 教研集会の政治的性格は過大考慮である

 

 「教育研究集会の要綱などの刊行物に学習指導要領や文部省の是正指導に対して批判的な内容の記載が存在することは認められるが、いずれも抽象的な表現にとどまり、本件集会において具体的にどのような討議がされるかは不明であるし、また、それらが本件集会において自主的研修の側面を排除し、又はこれを大きくしのぐほどに中心的な討議対象となるものとまでは認められないのであって、本件集会をもって人事院規則147所定の政治的行為に当たるものということはできず、また、これまでの教育研究集会の経緯からしても、上記の点から、本件集会を学校施設で開催することにより教育上の悪影響が生ずるとする評価を合理的なものということはできない。」

 

   コメント-仲野武志[2007]はこの説示についても、人事院規則1476項の犯罪構成要件にならない限り使用目的の相当性の考慮対象事項になせないと解されるが、そのような絞り込みの根拠は必ずしも明確でないと疑問を呈し、全体として過大考慮・過小考慮の判定の根拠は脆弱だとする。最高裁は不許可処分を違法とする論理の脆弱性を補強するために、従前の運用と異なる取扱から「推認」された「動機の不当性」(処分は、県教委等の教育委員会と被上告人との緊張関係と対立の激化を背景として行われたことを指すものと思われる)を補強論理としているが、これがなければこの判例は批判を免れることができなかったと述べているが同感である。

   私は、最高裁が行政財産の目的外使用不許可の司法審査で、過大考慮・過小考慮定式を加えたことに批判的な見方をとる。

   なぜならば、この審査方式の先例が神戸市立工業高等専門学校においてエホバの証人の剣道実技履修の拒否のため原級留置となったため退学処分とされた事案で、処分は、裁量権の範囲を超える違法なものした最二小判平838民集503469なのである。これは信教の自由や教育を受ける権利という人権にかかわる深刻な問題で、違憲判断にしてもよさそうな事案、密度の濃い司法審査であるのは当然であってそれに対して本件は管理者が広範な裁量権を有する庁舎管理権の事案で同列の問題とはいえないからである。

   とはいえ、最高裁の先例として確立している以上、行政財産の目的外使用不許可は、過大考慮・過小考慮定式による判断過程の合理性審査に耐えられる判断でなければならない。しかし過大考慮・過小考慮定式による判断過程審査が、教研集会以外で組合側に有利に働くことはあまりないと考えられる。

 

[ii] 冒頭に述べたように、全水道東水労の争議行為の特徴は、組合側の大衆行動、多衆の威圧によって業務命令をさせないことにある。

   闘争シーズンでない平時においても組合側は、非経常業務や土日の勤務、新しいОAの導入などについて全て組合と事前協議と言い、組合が承認しないと、非経常業務やОA機器の導入が難しいという職場の慣行がある。問題は組合が強く抵抗するものについて業務命令しないことである

  古い話、平成13年頃ですが、既に11台パソコンが設置されているのに使わないで共用パソコンだけ使わせるとか、電磁的な記録では信用できないので、電話で受け付けたことすべてハードコピーをとって、ファイルにつづる業務確立闘争をしていたので紙であふれていた時期があった。ジョブコントロールをする。当局と本庁の方針は、一人一台で事前協議があってパソコンを導入しているので、現場まで徹底していないのは業務命令をさせていないということで、争議行為とみてよいと思う。

  組合の方針で非能率的で仕事のさせ方になってしまったケースはほかにも重要な例があるが今回は触れないこととする。

 自己申告制度(М)は1990年代民間企業で成果主義の導入として流行し、都では平成15年頃から始まったものだが、東水労は、自己申告制度を形骸化させる闘争として、数値目標は絶対に書くな、組合が記載例のひな形を示しそれをなぞった記述とするよう指導しているから、毎年同じことを書いている人が多い。組合員にコピーの提出を求めているので検閲されている。

○○課長代理は令和元年に、非組合員の新人2年目の職員に数値目標は絶対書くな、書くとあなたのためにならないと指導していた。

 しかも面談は強要しないといる勝手なルールが分会レベルの管理職との協議でまかり通っており、目標管理制度でふりながら目標成果の進行管理はなく実質、異動希望者に異動先をきくことだけの制度になっている。

 当局の公式の方針は、分会と現場管理職の協議で捻じ曲げられる、職務命令をさせないで組合が業務管理しているという点で争議行為といってもいい。

 イベントでの広報活動、防災訓練、保健所支援、コロナ感染者の宿泊療養ホテル業務、国体やオリパラの動員、被災地支援などの業務については組合との事前協議したうえでのことで、これらは総じて協力的。

 令和2年の4月初め新型ウイルスの緊急事態宣言より少し前、知事部局でスピーカー付きの広報車が足りないということで、水道局に支援を頼んできた事例で、広報車の巡回のような広報活動も、組合との事前協議があり、管理職対応などの注文をつけていたように記憶している。

 私が平成20年水道緊急隊工務係の庶務経理担当の時、応急給水時に水を入れるリックサック型の袋を購入し、緊急隊だけでなく各支所にも配布したところ、組合から事前協議がないから受け入れられないとして、庶務課長のほうから苦情があった怒られたことがあるが、

 組合対応は係長の役目だが、新しい仕事を持ち込むときは全て事前協議と言ってくる。

 組合活動や組合が認めない非経常業務に職務命令をしないという慣例は、ガバナンス上改めなければならないと思います。

 なお、非経常業務はОA導入が事前協議というのは、以下の労働協約が根拠と思われる。

 

 労働条件に関する重要事項に関する取扱い等に関する協約

 

東京都水道局(以下「甲」という。)と全水道東京水道組合(以下「乙」という。)は職員の労働条件に関係する重要な事項の取り扱い等について、次のとおり協約を締結する。

 

(事前協議)

 

1       甲は、業務能率の向上等のため職制の改廃又は事務の改善等を行うに当たり、職員の労働条件の原則に著しい変更を生じることなる場合、その変更を生じる部分について事前に乙と協議することとする。

 

(福利厚生)

2       甲は、職員の福利及び厚生のための事業及び施設の改善に努めるものとし、その実施については乙と協議する。

(安全衛生)

3       甲は、安全及び衛生に関する事項について職員の意見を聞くため、安全及び衛生に関する委員会を設置するものとする。

 

以下略

 終戦の日の戦没者追悼や震災犠牲者追悼の日の黙祷などもそうで、組合は強制を認めてないので、私は全て出先勤務なので黙とうしたことは一度もない。

 本庁勤務したことがないので知らないが、たぶん政府から通知があるので黙祷していると思う。夏は28度、冬は20度という空調の設定温度はと本庁ではそのとおりやっているはずだが、出先の事業所では全然そうではない。

 組合のいいなりになった事例としては、少し古いが、香淳皇后の斂葬の儀(平成12725日)である。当時千代田営業所勤務だったが都税事務所との合同庁舎で弔旗が掲出されないだけでなく、政府より午前10時の黙祷時刻が要請されていたが、組合役員が仕切って、庁内放送を切り、黙祷すべき時間の前後、赤腕章をした分会役員が空席の所長席前に立って、組合の反天皇制の趣旨から黙祷の強制に反対の演説を行い黙祷をさせないようにした。管理職は演説をみないことにして責任を逃れようとする、組合と示し合わせていたとみるほかない。

 平成21年11月12日陛下の御即位二十年奉祝記念日ももちろん国旗掲出なし(当時中野営業所勤務)。消防署や筆者が勤務する杉並区は革新系の区長だか区の施設などは、終戦の日など戦没者追悼のため弔旗を掲揚している。水道局は、そもそも国旗が倉庫にないのでやらない。都税事務所と同居していた千代田営業所も同じです。

 平成248月都の政策に協力するため尖閣募金啓発ポスターが水道局庁舎にも貼り出されたときも、お客様から尋ねられても職員は対応せず、管理職対応にするということになっていた。というより当時震災のため蛍光灯を間引きしていて、暗いトイレの前の廊下の全く見えないところに貼付されていた(中野営業所の例)。

 

[iii] 鈴木善幸首相時代の昭和56年10月・11月に開かれた第95回国会の衆議院及び参議院の行財政改革における特別委員会においては、国鉄におけるヤミ慣行、ヤミ協定、ヤミ休暇、ポカ休等の問題がとり上げられ、職場規律の乱れが指摘された。また昭和573月頃から一部の新聞、月刊誌等において鉄労の内部告発をもとに、国鉄労使悪慣行の実態「ヤミ手当」「カラ超勤」「ブラ日勤」「突発休」「時間内洗身入浴」「時間内の食事の仕度」「現場協議における管理職のつるし上げ」等の職場規律の乱れについて厳しい批判が展開されたのである。報道は、国鉄の現場管理者の弱腰・軟弱とそれを制度的に保障する現場協議制を諸悪の根源とみなしていた。

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2008『石炭で栄え滅んだ大英帝国-産業革命からサッチャー改革まで-』ミネルヴァ書房

〇山田省三「イギリスにおける一九八二年雇用法の成立」『法学新報』902号横井芳弘

1976「労働事件にみる村上コートの思想と論理」『労働法律旬報』908

〇山本隆司

2010「判例から探究する行政法第23回行政裁量(1)」法学教室359

〇脇田滋1997 「組合バッヂ着用を理由とする一時金減額の不当労働行為性/JR東海(新幹線支部)事件」法律時報692

〇渡辺章1974「判批」三六協定の締結拒否-東京都水道局事件『労働判例百選』3

1990「イギリスの労働法制とその変遷(講苑)」『 中央労働時報』804

2011『労働法講義 下 労使関係法.雇用関係法』信山社

〇渡辺裕1989「判批」「単労職員の争議行為-北九州市清掃事業局事件」『昭和63年度重要判例解説』

 

 

 

2024/12/17

東京都水道局の争議行為対応等労務管理を是正を求める意見具申 その1

令和61218

 

   東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ

 

  東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎監理がなされており、抜本的是正を求める意見具申

(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化・推敲したもの)

 

                                                 川西正彦

 

  東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。

 

 

意見書の趣旨 

 

 取るに足らない者が恐る恐る謹んで上申します、軽輩でありながら、不躾にも長文の文書を送りつける無礼をお許しください。忙しい時期に大変恐縮します。

 さしあたり非公式に再任用非正規職員が、水道局の労務管理に対する是正要望する投書に近い趣旨のもので、ぺいぺいで一廉の人間でもないので、スルーを想定し、厚かましくも回答を求めるものでは全くありません。公式の陳情や請願は今後の成り行きで検討することにします。

 職員個人は、公式の苦情処理制度や提案制度は労働条件に関して受付られないことになっており、筆者は非組合員であり制度上職員個人は労働条件を交渉できないので、意見上申それ自体は違法ではないと思いますが、当局に回答を求めることはできませんし、求めません。労組と提携のない政党で、関心をもってくださる方がいれば、さしあたり御一方でもご笑覧いただければ幸甚に存じますとの趣旨のものであります。

 基本的には労使関係の問題ですが、公的な問題として知事及び都議会議員や政党の方々へお訴えをして政治的な介入で問題解決する以外にないと考えたのがこの意見具申の趣旨です。

第Ⅰ部で、労務管理の何が問題なのか解決策など説明

プロレイバー学説による(組合側の論理、もしくは判例変更されている判例)脱法的・法外的労務管理

管理職による違法行為、外形上犯罪構成要件該当行為の助長

 中止命令・就業命令等の職務命令をしない。違法行為との認識がない。組合の指図によって管理職が動き、労務指揮権を放棄する。本番の同盟罷業だけでなく、地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」を全く取り締まっていない。

1時間ストライキ(同盟罷業)は平成20年・22年・26年・令和元年に決行されていますが、管理職は就労したいと申し出る職員を敵視し、職員の就労する権利と義務を侵害し、ピケットラインを越えてはならないとして、非組合員を締め出しそうとする。就業規則違反(ICカードリーダの出勤入力をしてはならない)を命令することもあり、違法で職権を逸脱している。

〇ストライキ時、管理職は、組合の説得に応じた非組合員には勤務実態がないのに賃金を詐欺的に受給させる「事故欠勤」を認め不正会計を行っている。つまり非組合員も悪事に染まっているほか、就労したい職員にも事故欠勤を強要しようとする。

〇懲戒処分の範囲.量定の現状は組合中央の機関責任(全水道東水労は本部中央闘争委員)のみ懲戒処分の対象で、各事業所でストを指導し、実行行為者である大多数の組合役員は懲戒の対象にはじめから外している(平成221210日ストから支部長を訓告にしているがこれは懲戒ではない)。職員一般には、警告も行われておらず、組合に非常に有利な在り方。

〇積極的業務妨害、シットダウンストライキ、業務用機器の隠匿等、犯罪構成要件該当行為を是認している問題。

〇不適切な行政財産の目的外利用が黙認され、施設管理権が不当に組合により掣肘されている問題。

第Ⅱ部で包括的改革案(私案の新方針)の提示を行います

 

 この意見書の売りは、たんに当局の不正や違法行為の助長、加担を糾弾するにとどまらず、ソリューション、包括的具体的解決策を提示し法的根拠も示し実務的に使える建設的な内容だということです。勿論余暇に自宅で作成したもので、私のアイデアは公益目的のため引用明示する必要はなく、勝手に使っていただいてけっこうです。無償奉仕して差し出すのは、良心的趣旨です。

 私は陳情やロビー活動の経験はなく作法は知りません。先生方が多忙なことは重々承知しており、地味な問題で私自身実績のない人間なので相手にされることはないと踏んでおります。

 また全水道東水労は全労協(旧社会党系)の傘下で、7月都知事選も組合ビラで小池都知事不支持表明もしているが、連合東京とも協力関係はあります。知事与党は連合東京と政策提携があるので接触しません。都知事もトレンドでない政策なのでスルーを想定。また自民党も春闘支援では連合に擦り寄っており難色を示すと想定しています。

 というより、監察指導課長や労務課長を歴任した○○から「愉快犯」と言われたことがある。当局から否定的人格とラベリングされた人間です。東京都の悪口を言っているので、信用失墜避止義務違反でクビにしろという声が出ると想定しますが、東京都と全労協系組合の共謀という巨大組織の違法行為、外形上犯罪行為の糾弾ですから、挑発すると本当にやるかもしれないのでしません。

 意見書の内容の多くは、国の各省庁の争議行為対応と、東京都は全く違うので、各省庁の対応に准じたありかたにすべきという常識的なもので、特に難しいことは何も言っていません。

 しかも大義名分があります。地方公営企業等の労働関係に関する法律(以下地公労法)111項を合憲とした北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8は、争議行為禁止の制約原理を「住民全体ひいては国民全体の共同利益」と説示しており、従って東京都水道局が最高裁判例で否認されたプロレイバー学説に依拠し、組織総ぐるみ、非組合員職員も含め総ぐるみで、争議行為に協力、助長、加担し、違法.犯罪構成要件該当行為を容認、実行している実態は、「住民全体‥‥国民全体の共同利益」という保護法益を否認、侵害していると糾弾されて当然です。

 昭和41年中郵判決の内在的制約論とか昭和44年都教組判決の争議行為通常随伴行為不罰論は明示的に判例変更されています。強い違法性がないとか、国民生活への影響の程度とか関係ありません、短時間のストで、水運用センター、浄水場は保安要員なので水供給に支障がないという反論は争議行為を正当化する理由には全くなりません。

 そこで、手法としてネットで問題提議と解決策を提示し、インフルエンサーによる拡散に期待し、国民の皆様の支持得ることとします。世論の後押しがあれば、議員も取り上げざるをえなくなる。水道局長は令和512月にコンプライアンス経営宣言をしてくれたおかげで、攻める方が圧倒的に有利なので、論戦になったら負けることはありえません。

 都議会議員の方々には、追及してくださいといいながら、当局に手の内を明かしているとのお叱りを受けるかもしれませんが、手の内をすべて明かしても、攻める方が有利なので問題ではないと考えました。

 なお第Ⅲ部で、特殊会社東京地下鉄駅員等の職務専念義務違反である私鉄総連春闘ワッペン着用禁止要請も「おまけ」で付けたと言う口実で、国と都が株主であるため国会議員にも上申したいと考えています。非現業公務員の協約締結権付与という政治課題が、福田内閣のときからくすぶっていて、野党は賛成しているので、公務員の争議行為は政治問題だからです。

 なお水道局は、平成24年収賄、平成26年水運用センターОBによる入札妨害事件の関与、平成30年入札談合関与で公正取引委員会の立入りの不祥事を受けて、再発防止策に取り組み、局長は令和元年Ⅰ2月にコンプライアンス経営宣言し、令和3年より不祥事の発見、対応を目的としたリスクマネジメントとして局横断的な内部統制の取り組み(コンプライアンスプログラム)を実施し、令和5年度の内部統制評価報告書によれば重大な不備はなく是正すべきものはないとされています。

 庁舎管理では、平成269月水運用センターOB の公契約関係競売入札妨害事件(関根事件)の再発防止として、執務室の出入り規制のため、外来者の立入り禁止エリアの表示、入室名簿の設置で対策し、28年には旗開き等庁舎内会議室の利用条件として飲酒の禁止、令和2年にはオリパラ開催の警備強化か組合対策か不明だが、知事部局と横並びで庁舎管理規程の禁止事項が追加され改訂されていますが、しかし根本的な問題として、行政財産の目的外使用、地公労法111項違反行為、労務指揮権、施設管理権の組合の奪取、掣肘その他の問題については全く取り上げられていません。コンプライアンスプログラムが全く問題視していない事柄を本意見書では取り上げます。

 責任追及は知事部局にも及びます。水道局特有の問題もありますが、争議行為対応の労務管理につき大筋は同じだからです。局長は各部長あてに建前上、地公法30条を引用して服務規律維持の確保を示達するだけで具体的な方針には関与しない。局長に責任が及ばないようになっている。

 具体的な対応は職員部監察指導課が文書を各部庶務担当課長あてに出し、各事業所の管理職は、その文書のコピーを受けるが、具体的指示が庶務担当課長からなければ何もやらない。

 各事業所で実態に応じた対応ができるようになっているが、ストライキの対応の基本的指示は職員部監察指導課が統括しており、集会場所やストライキ参加者(賃金カット)の人数を報告することになっているが、就労命令.職場復帰命令とスト指導者、率先助勢者の現認検書の上申といった国の各省庁で当然なされていることの指示はない。

 これは知事部局(平成10.11年にストがあったが以降ない)でも同じだと思う。

 神戸税関事件最三小判昭52.12.20が、争議行為中の就業命令が適法としているにもかかわらず、組合側の論理で就業命令は団結破壊などしてやらないのは都と組合に不透明な癒着があるとみなすほかない。違法行為を助長していることは東京都という組織全体の問題と言えます。

 本意見書の提案は、まず就業規則に無許可集会・演説、無許可組合活動・他の職員の職務専念妨害を禁止の明文規定を設ける。職務命令の根拠を明確にし、企業秩序論にもとづいて職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するよう根本的に職場風土を改革するものである。なくても懲戒処分は可能かもしれないが、私企業では規則の記載と周知が懲戒処分の前提であり、地方公務員法32条の適条をより明確にする規則の明文整備は絶対必要と考えている。

 提案では職員すべてに、違法行為なので必要な措置をとるとの警告と、職務命令を行うことになる。従来全くやっていないことをやるので、当然組合側の反発が想定できる。

 また従来同盟罷業の懲戒処分は、全水道東水労が本部中央闘争委員会34名に限られており、本部委員.統制委員、支部・分会役員はいっさい懲戒処分に対象にはならず守られていた(但し、過去3回の同盟罷業で支部長が訓告となっているがこれは懲戒処分ではない)が、今後は、本部委員・統制委員・支部・分会役員以下も懲戒処分の対象としたい。

 スト指導者や率先助成者の現認検書の上申を義務づけたい。各分会単位各事業場のスト指導者最低1名を戒告、悪質な態様では複数以上で量定を加重する案を提示します。全水道東水労は本部中闘を例外、組合活動での不利益賦課は絶対させない。違法であっても職員個人の責任を問えないという立場であるので当然反発が想定できる。

 懲戒処分基準の事実上の変更なので団体交渉に応じる必要がある。即この提案が実施できるというものではない。ステップを踏んでいく必要がある。

 管理職はこれまでは労務指揮権や施設管理権を凍結して組合に業務管理されて円滑な関係を維持し違法行為を認めていくのが仕事だったのが、私案を採用するなら、これからは職務命令と取り締まりをすることになるので訓練が必要であり、ストライキ対策本部を設置し、非組合員を召集し違法行為の抑止、監視、取り締まりをするので、就業命令のプラカード作製や携帯マイク、写真機、録音機の用意、抗議行動で荒れる職場対策として特別査察チームの設置など、職務命令を認めないとする組合側の暴言や暴力も想定して対策する必要もあるから、即時実施は難しいかもしれない。

 すでに、令和6年の秋季年末闘争は1031日のスト権投票で92.77%の高率でストライキは批准されており、1220日に2時間ストの配置し闘争期間に入っている。オルグ活動、昼休み集会、所属長要請行動、支所拠点動員決起集会。ビラ貼り、三六協定破棄闘争、本庁ふれあいモール3割動員毛所、合理化拠点での決起集会がなされ、前回のスト決行から5年経過し、経験則から、かつては3年おきにやっていたが時期あり、ストが決行される可能性はある。

平成16年以降の同盟罷業


 ★平成16730

1時間ストライキ

(業務手当完全防衛闘争)


和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。


★平成16101

1時間ストライキ(業務手当完全防衛闘争)


和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。


平成20319日 1時間スト 西部支所等は来客用駐車場で集会


同盟罷業 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場であったが、唐突にストライキがあった。西部支所と西部建設事務所はスト。


平成221210日 1時間スト

中野営業所 駐車場で集会

○○所長就業命令なし


同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告(1時間ストライキ)これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく痛くない。


平成26124日 1時間スト 中野営業所 駐車場で集会 ○○所長 就業命令なし。


同盟罷業 争議行為が続行しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。


令和元年1220日 1時間スト 新宿営業所 ○○所長 事務室内ピケッティング容認 事務室内集会に就業命令等なし、外形上犯罪構成要件該当行為容認。


同盟罷業+積極的に業務遂行を妨害する職場占拠(シットダウンストライキ、)、加えて業務用機器の隠匿により業務遂行を不能にするきわめて悪質な態様。外形上威力妨害罪の構成要件該当行為も公然となされる。

(令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分)。

 

 令和25年度合理化拠点の中野営業所(監理団体に業務移管)に勤務していた。中野のケースは闘争が26年に越年となって124日にストライキ、その後、業務移転業務のため固定資産・.備品の帳簿の現品確認に来た本庁職員を追い返し、管理団体派遣説明会の前にピケを張って出席者の入場を阻止。所長に業務移転委託化関連業務の業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為がなされた。

 この時は争議行為が続行し、中野営業所では監理団体業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。本部委員○○が人事課の説明会参加阻止のピケやオルグがあり、220日停職中で出入り禁止のはずの本部書記長○○が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、最終的には移転を急ごうとしたサービス推進部担当者に謝罪を強要した。

 ストから12日という超スピードで、平成2625日に本部中闘の最大停職18日処分と、支部長の訓告という処分発令された。現認検書が上申されないので、審査する必要もないので、短期間なのである。

 2月初旬発令の懲戒処分のスケジュールはあらかじめ決まっていて、猪瀬辞任に伴う都知事選告示直後、2月の定例都議会の前に処分をさっさとすませ、議会や新知事から注文されたりしないようにしている。今回もストが決行された場合、2月初旬にさっさと発令されるはず。

 移転業務に非協力徹底抗戦のあおりや、局の業務の妨害、所長の経常業務以外の労務指揮権を凍結させるなどの悪質な争議行為がなされているのに、それらは処分に加味されず、いっさい問題視していな。

 したがって、既に闘争に入ってしまっているので提案の即時実施は難しいとは思うが、当局には今回の闘争でも最低限のことは行うべきだと要望はする。

 

12月闘争のスケジュール

 

12月に決まっている闘争スケジュールは以下のとおりです。

12月3日 昼休み集会 事務室内、本件については別紙のとおり、違法行為現認により懲戒処分要望書を上司と局長あてに出します。

12月5日支部所属長要請行動(昼休み)

12月6日 2割動員支所拠点決起集会  1530分から1時間

(当局は時間休取得で参加を認めている。他の事業所や下水道局職員からも動員され。)ビラ貼り40枚ほどがあり11日でも撤去されてない「ストライキで闘おう」とのあおりに相当する文言もある)

12月18日 3割動員決起集会 都庁ふれあいモール 1530から1時間。

3割動員は当局が争議行為と認定しているので、賃金カットとなり、その分は闘争資金より組合が補償する)

12月20日早朝2時間スト予定(決行すれば5年ぶりだが通例では1時間。スト延期で越年闘争の可能性もあり)

このほか、三六協定拒否闘争の日程が入るはず、追加の集会もあるかもしれない。

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 厚かましくも単刀直入に言ってしまえば、争議行為対応で先生方に質問してもらいたいこと、想定問答を記述します。これは、闘争が終わったあとでもいいです。3月にも春闘があります。

🔶議員 今回123日に昼休み集会、6日に支所合理化拠点決起集会が庁舎構内でなされたということですが、過去の「昼休み集会」の記録を見ましたが、これは闘争課題を確認し組合員の意思統一を図りストライキにむけて志気を鼓舞するものです。基調報告-決議文朗読(決意表明)-頑張ろう三唱などの演説行為ですが、すべて地公労法111項後段が禁止する「唆し」「あおり」にあたることは、全運輸近畿陸運支部事件・最二小判昭60.11.8等の最高裁判例によって明らかです。

 支所の2割動員決起集会や、都庁前の3割動員決起集会も同じです。3割動員職場離脱は344割休暇闘争が争議行為と最高裁が認定されているので水道局でも争議行為と認定しているのだと思いますが、職場離脱の割合の問題じゃないです。ここでいうのは、集会の内容面では、みな地公労法111項後段所定の禁止行為、違法行為です。

 しかし、当局は昼休み集会も決起集会も違法行為の慫慂であり、違法そのものなのに、いっさい中止・解散命令せず許容している、現認・監視も記録もしていないと聴いてます。庁舎構内は目的外利用でもあり不許可、強行した場合は中止・退去命令が妥当に思えます。なぜやらないのですか。

 旧郵政省では全逓が業務規制闘争、ストを配置した時点で庁舎内の組合への便宜供与を中止します。違法行為の慫慂する集会を行うおそれが高いからです。国が争議行為を助長したことになるので、施設利用の申請は拒否、強行した場合の中止.解散命令を徹底しています。これは東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6など見ていただければ明らかなことですが。

 国と同じようにストを配置し闘争体制になった時点で便宜供与を禁止することはできませんか。禁止してないということは都が違法行為に加担、助長していると評価せざるをえません。コンプライアンス宣言に反してはいませんか。

 

  • 職員部長 お言葉ですが、組織のルールに従うのもコンプライアンスです。東京都では昭和444.2都教組勤評事件大法廷判決の争議行為に通常随伴する行為は不処罰という判旨で、スケジュール闘争で通常行われることは、認めていく穏便な方針をとっています。それが組織の方針です。組合の主張もある程度受け入れ、郵政のように組合活動を弾圧することはしません。良好な労使関係を維持していくことは、都民の利益になることでもあります。

🔶議員 争議行為に通常随伴する行為不罰論というのは、全農林警職法事件最大判昭48.4.25と岩教組学力テスト事件最大判昭51.5.21大法廷判決で明示的に判例変更され、「あおり」の構成要件該当性が争点になった日教組スト事件.最一小平成元.12.188、埼教組事件.最三小判平2.4.17で最高裁は「あおり」の限定解釈は認めていません。争議行為に通常随伴して行なわれる行為として不処罰という理論が容認されたのは昭和4447年最高裁が左傾化した一時期だけです。都教組判決の判旨が正しいとでも思っているのですか。

  • 職員部長 あなたが言っているのは反動的な判決で、東京都はリベラルなのでなじみません。

🔶議員 驚きました。最高裁の判例変更を認めないというのですね。東京都は脱法的、法外的といわざるをえません。「あおり」が違法行為であることは認めませんか。

  • 職員部長 過去7回のストはたかだか1時間ストです、2時間ストもありましたが、強い違法性はありません。格別中止命令は考えてません。浄水場や水運用センターなどは保安要員としてます。水の供給に支障はないです。

🔶議員 保安要員を置いていること自体、正常な業務運営ではありません。ストを正当化することにはなりません。

あなたの見解は都教組勤評判決の趣旨ですね。強い違法性がない限り、正当というような。その考え方は判例変更で否定されています。法の解釈が間違ってます。ところで、水道局の管理職は、昼休み集会のような事務室内の組合活動について、労働基準法343項(休憩時間の自由利用)により一切規制できないとの見解と聴いてますが、米空軍立川基地事件・最三小判昭491129は休憩時間の無許可組合集会を理由とする出勤停止処分を適法としており、誤った法解釈に思えますが、あなたはどう思いますか。

  • 職員部長 それは軍用基地の事案、特殊な事例と考えます。

🔷議員 では目黒電報電話局事件・最三小判昭52・12・13は「休憩時間の自由利用といっても‥‥時間の自由な利用が企業施設内で行われる場合には‥‥企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない‥‥局所内において演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、休憩時間中であっても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあって、その内容いかんによっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがある」と説示し、最高裁判例ですよ。違法行為を慫慂する集会を許す理由はないように思いますが。

  • 職員部長 それは政治活動の判例です。組合活動の先例でないですよね。

🔷議員 目黒局事件の判旨が組合活動には適用されないというのは間違ってます。そういうなら全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20判時1102は、無許可の休憩室あるいは予備室を利用した職場集会に対する郵便局次長らによる解散命令及び監視行為は不当労働行為に当たらないとする原審の判断を支持したものだが、解散命令が行われた集会というのは以下のとおり、集配課休憩室-休憩時間中の全逓組合員約70~80名が昭和40年5月10日午後0時35分ごろから年賀区分室-6月7日5時15分ごろから5時45分ごろまで。6月11日午後0時20分~0時55分ごろまで、昼休みですよね。解散命令してよいとなってますよ。これは認めますか。最高裁判例ですよ。

  • 職員部長 郵政は郵便法79条1項に、「郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたとき」罰則規定があることや、森山欽司政務次官のような労務管理に厳しい政治家もいた。罰則規定のないわれわれとは温度差がかなりございます。郵政のように厳しくとりしまっていく必要はないと思います。

🔷議員 公労法自体は地公労法と同じように罰則はなく、同じ条件です。国鉄や私企業の判例も多数ありますよ。あなたの言い分では、違法行為を慫慂する集会でもとにかく庁舎管理権を行使して組合活動を規制したくないということですね。

  • 職員部長 労働基本権も人権ですから、かれらもストを決行できる組合と誇りをもっており、メンツをたて、良好な労使関係を維持していくことが、ひいては都民のライフラインを支えていくうえでも重要と考えており、今後も闘争指令下の集会を規制していく考えはございません。

🔷議員 違法行為の慫慂是認は、組合と不透明な癒着に思えます。コンプライアンス経営宣言に反します。次に、事前警告は組合中執委員長だけで、職員一般にはプレス発表では警告ではないと言う問題です。

 

令和元年12月19日付【東京都水道局プレス発表】

12月20日(金)の労働組合ストライキについて

1 組合の行動態様

(略)

2 当局の措置

1)組合に対する警告→(組合中執委員長宛に違法行為、庁舎管理規程違反として警告しているのは事実、本部中央闘争委員が停職処分とされる前提)

2)職員に対する服務規律確保の周知→(局長が各部長宛に服務規律確保の示達をしているのは事実だが、各事業所では行われている訓示放送は、違法行為なので必要な措置をとると絶対と言わない偽装の訓示で警告ではない)

3)管理職員による事務事業の支障の防止→(管理職対応とは非組合員も含め就業命令しないことを意味する)

 

 5年前のプレス発表では、警告しているのは組合中央執行委員長あてだけで、職員には「服務規律確保の周知」となっていて、警告はしていないということになっています。服務規律確保を周知しているが実際の対応は不確定ということですがこれは変ですよね。

 実際、通称「服務の示達」の慣行では、ストライキを違法行為と一切言わない、インチキな訓示ときいております。警告でないのは、当局が公式に認めていることです。なぜ違法行為と言わないのですか。

 次の文面は2024年11月8日付グループウェアによる「服務の示達」の通知(文面は決められてない。「違法行為」とは絶対言わないのがお約束)  

 ○○課長 

 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は11月14日(木)午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、11月14日(木)は‥(中略)

集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。

皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、服務規律を遵守願います。

 2024年12月13日グループウェアによる「服務の示達」

○○課長 

 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は12月18日(水)午後3時30分から都庁ふれあいモール3割動員決起集会を、12月20日(金)午前8時30分から早朝2時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。
 集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。
皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、都民の批判招くことのないように良識ある行動とられることをお願いします。

 同盟罷業を違法行為と絶対言わないのは、地方公務員法2911号の適条、32条の法令遵守義務違反にはならないと示唆し、実質スト参加で不利益賦課はしませんという言う意味ですか。民事責任を負うのは組合だけで、個別職員は責任を負わないので違法行為とされないという意味ですか。

 比較的最近の国家公務員の争議行為として、全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840では、平成31113日、全国の国立病院等の支部において、11年ぶりに組合員約25,000人が、勤務時間に約29分以内食い込む方針で職場大会を開催したケースですが、仙台の国立西多賀病院では職員に「国家公務員法で禁止された争議行為でありますから、このような違法行為には、絶対に参加しないようにして下さい。もしこれに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえない」と警告していますが、国の省庁ではこのような警告を必ずやります。北九州市、福岡県、北海道では職務命令書も交付します。

 水道局では未払いで停水するとき、未払いで開栓すると封印破棄罪と警告する白札をつけます。給水契約者様には違法ですよと警告するが、職員に対しては違法ですよと警告はタブーというのは二重基準でしょ。住民には法令遵守を求めるのに職員には求めない。これがコンプライアンス宣言した組織のやることですか。

 

  • 職員部長 12時間のストでは、強い違法性がない。組合中央の機関責任を問うことにしてますし、支部長は訓告もします。あまりきつい警告は職員一般には不用という考えです。国の省庁に倣わなくてもいいんですよ。労務管理のやり方、処分の仕方も含めて、当局、懲戒権者に広範な裁量権があり、われわれのやり方がございます。

🔶議員 各事業所のスト指導者、実行行為者を懲戒処分する必要はないということですね。そういう方針であっても、水道局長が服務規律確保を指示しているというなら法令遵守義務も規律でしょ。違法行為と警告すべきです。それを言うと組合の抗議で職場が荒れるからやらないということですか。違法行為を違法行為といえないのはなぜですか。地方公務員法2911号、32条の適条をさせないという組合の意向を汲んでるんでしょ。そうとしか思えませんよ。これは八百長に等しい。王手をかけない詰将棋のようなことをやってるように思います。

  • 職員部長 八百長とはなんだ。名誉棄損だ。あんたの言い方は。

🔷議員 八百長がいやなら、無気力相撲と言いいましょう。やる気があるなら「違法行為」と警告するはずです。はじめからやる気がないということですよ。事前に違法行為と警告しました-当日も就業命令しました-でもストを実行しました。となれば地公法29条1項1号、32条の適条で戒告処分されても仕方ないですね。でも違法行為だと警告もしない、就業命令もしない。現認検書の上申もしない。どんな違法行為をしても、各事業場のスト指導者は戒告処分にもされない。これは権限があっても行使しないことは敗退行為に等しい。

 (ストが行われなかった場合の質問、決行された場合は別の対応になる)

🔶議員 では、ストライキ当日の問題です。国の省庁ではスト当日の集会参加者に対し、職場復帰命令、就業命令は非常に重視しています。プラカードなどの小道具を使ったりして、徹底してやります。それは違法行為の抑止として当然のことだと思います。

 東京都では就業命令しないと聴いています。具体的に前回のスト令和元年1220日に新宿営業所長だった○○課長を召喚していますのでお答えください。

 事務室内のほぼ中央、検針担当のエリアで、組合旗が掲出され、ビラが貼られて給水課分室と合同40名ほどでスト集会がなされ、就業場所を占拠するかたちで業務妨害態様、シットダウンストライキがなされたと聴いています。集会では組合役員の○○○○○が演説し、○○が決議文朗読し、頑張ろう三唱なども行われたと聴いています。これらのスト指導者とともに集会参加者に、中止・解散命令・就業命令はしましたか。国の省庁ではスト指導者は現認検書を上申させ処分を検討します。現認検書は上申しましたか。また組合役員の○○ICカードリーダ前にたって、出勤入力しないようピケに立っていたと聴いています。中止命令はしましたか。

  • ○○課長 集会場所、スト集会の参加人数は職員部監察指導課の指示で報告することになっていますが、就業命令や現認検書は指示がありません。上級部署の通達に従うことこそコンプライアンスですから、そのとおり行ったわけです。

🔶議員 就業命令をやらない意味は、争議行為中は労務指揮権から離脱しているから業務命令できないということですか、あるいは団結破壊になる。スト批准投票で組合員はスト指令に従うことを誓約させているから支配介入になるとのお考えか。それとも組合から争議行為目的に理解を示し職務命令しないよう要請されているためですか。

  • ○○課長 そうではありません。職員部監察指導課の指示では職務命令せよとはなっていないからそれに従っているだけです。

🔶議員 神戸税関事件・最三小判昭52.12.20で争議行為中の就業命令は適法です。職員部の方針はおかしいと思いませんか。就業命令をしないというのは争議行為が正当業務との認識ですか。

 また、この態様は業務妨害罪の犯罪構成該当行為との認識はないのですか。最高裁先例は、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする前提(朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22、羽幌炭礦鉄道事件.最大判昭33.5.28)であり、プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害権を含むことを否定しています。刑事免責がある私企業でも違法、公務員の職場は刑事免責もないので就業命令など管理意思を示せば容易に犯罪が成立する事案ですが、庁舎管理者として犯罪を拱手傍観してよいのか。

 管理職は違法行為を抑止し、正常な業務運営を維持するため、職務命令するのが債務の本旨の履行ではないですか。

  • ○○課長 このストで本部中央闘争委員は最大13日の停職処分をして相応の責任をとらせています。また懲戒処分ではないが支部長26人を訓告処分しています。われわれは上級部署に従う立場です。

🔶議員 新宿営業所では新人など非組合員が多い職場ときいていますが、○○など組合役員から、組合が説得して就労しない非組合員については水道局処務規程55条「事故欠勤」(職員は、交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できない場合に適用されるもの)とすることの要請はありましたか。また事故欠勤にした職員の人数と理由を説明してください

  • ○○課長 これは慣例として認められているものなので、非組合員はピケに従わなかった一人を除いて〇名を事故欠勤としました。

🔶議員 ストに参加した組合員は賃金カットするときいています。その分は組合が闘争資金から補償しているともきいてます。しかし非組合員はストの協力を要請しても闘争資金で補償できないので、当局が事故欠勤というかたちで賃金を支給している。つまり非組合員をストに巻き込んでスト破りさせない意味があると思いますが、ノーワーク.ノーペイの原則からしてこれは不正な賃金支給ではありませんか。勤務実態がないのに賃金を請求している非組合員は詐欺行為に思えます。

  • ○○課長 職員部が承認している組織的方針である以上違法ではありません。詐欺ではないです。

 

 ざっと、こんな調子で、労務管理の異常性を浮き彫りにして改革をせまっていただきいと考えています。突っ込みどころ満載です。時間内におさまらないほどネタがあります。

 確率としては、半々ぐらいかと思いますが、もしもストが決行されれば、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという組合の論理に従い、組合は管理職に非組合員などに業務命令させないことになっている。組合に説得された非組合員は事故欠勤にして、勤務実態がなくても賃金を支給する不正会計の慣行、説得されなくても管理職が、ピケットラインを越えないよう指図し、事故欠勤にしてしまおうとする当局と組合の事前の共謀による非組合員の就労妨害がなされる可能性がある。

 懲戒処分は定例都議会より前、2月の45日ころに発令されるのが通例です。非常に早いです。処分が出た後でいいです。処分の方針について質問してください。懲戒処分を本部中央闘争委員会に局限しているのは甘い。支部長の訓告は懲戒ではありませんから、各事業所のスト指導者実行行為者を戒告にもできない理由を。

 要するに、国の省庁やまともな自治体の管理職は組合員であれ非組合員であれ、業務命令して操業を維持しようとするが、東京都の管理職はスト破りを許さない、非組合員等に業務命令して操業を維持しようとする。組合側の学説を信奉していて、当局はスト完全防衛に協力する。法外的、脱法的でノーマルでない。

 管理意思を明確にすれば業務妨害罪、建造物侵入罪、不退去罪は成立するのにそれはやらない。職務命令しないので、なんでもありになっている。

 外形上犯罪構成要件該当行為(威力業務妨害)を東京都が全面的是認しているのは大問題であること。組合側は当局が業務妨害を是認しているので犯罪は成立しないと言うかもしれないが、管理意思を示さないのは東京都が犯罪に協力していると断定せざるをえません。

 この問題を事後でもいいから追及してもらいたい。

 圧倒的に攻めるほうが有利です。答弁は想定問答のような苦し紛れのものになるはずです。

 2月末にはまたスト権投票して3月に春闘があるこれも新体制では難しいかもしれない。

 とはいえ、知事や議員も全く反応しないことを折込ずみなので、SNSを利用します。インフルエンサーが取り上げればネット世論を味方につけると踏んでいるので、頑張りたいと思います。

 もっと早く上申すべきでしたが、その点は申し訳ありませんが、しかし都民でもあり3月で決着がつかなくても利益侵害と言う観点で東京都の労務管理は許しがたいので活動は続行しますので、よろしくお願いします。

 

第Ⅰ部 問題点の提起と解決方法   9

(Ⅰ)本意見書で取り上げる主たる問題点   9

(Ⅱ)要旨  問題点と主な要求項目   10

(一)違法行為類型1 地公労法11条1項後段所定の「唆し」「あおり」   10

(二)違法行為類型2 同盟罷業(組合の正当業務として扱っている)    12

(三)違法類型3 積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為の許容    13

(四)違法行為類型4 労務指揮権の凍結、業務管理   14

二 非組合員等の就労の権利と義務の侵害をやめるべき   15

三 受忍義務説(法益互譲論)による管理を改め、企業秩序論法理を採用する    16

四 三六協定破棄闘争時に労務指揮権を凍結する慣行の見直し    17

(Ⅲ)要求項目   18

(総論)プロレイバー学説に依拠した悪弊の一掃    18

一 平成16年3月の東岡職員部長通知を廃止し、就業規則を整備する    18

二 闘争指令下の昼休み集会等の中止・解散命令の徹底   18

三 闘争体制での組合活動の便宜供与禁止    18

四 スト対策本部の立ち上げ、非組合員を総動員する   18

五 管理職に組合役員より職務命令等をしない要請の拒否義務づけ    19

六 三六協定未締結でも業務命令を行    19

七 組合が管理職に経常業務を押し付けるいやがらせの拒否義務付け    19

八 従来なかったストライキの事前「警告」と就業命令書交付の義務付け    19

九 ストライキ当日の労務管理の全面的見直し   20

(一)組合に操業権を否定する権限などなく、業務は管理職対応とする組合の要請はきっぱり拒否すること    20

(二)管理職による非組合員締め出し、就労阻止の命令の禁止    20

(三)三六協定未締結でも労務指揮権を放棄してはならない   20

(四)スト集会に参加する組合員に就業命令を徹底的にやり、スト指導者等の現認検書上申を義務付ける   20

(五)ピケッティングの取り締まり    20

(六)業務妨害に対して、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる    21

(七)非組合員を事故欠勤とすることは不正給与支出なので禁止、申請者と指図する管理職は詐欺行為として処分する   21

十 ストライキ待機は退去命令し建造物侵入罪を成立させる    21

十一 懲戒処分の在り方の是正 安心して違法行為ができる職場を改革すべき    21

十二 勤務時間内洗身入浴は賃金カットせよ    22

十三 保険の勧誘員は中央労働金庫以外の立入を禁止すべき   22

十四 まとめ 組合の以下の主張に、局は反論し是認しないようにする   22

(一)争議行為は労務指揮命令系統から離脱する行為なので就業命令できない    22

(二)就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊する。統制権により脱落組合員の業務命令は認められない。   22

(三)争議行為は組織的団体行動であるから、指令に従って組織の義務を果たす場合は、たとえ違法であれ、組合員個人として懲戒責任を問えない。    22

(四)労働基準法第34条第3項により休憩時間の組合活動は規制できない。    22

(六)ピケット権があるので、ストライキ防衛のためスト破りを排除できる    23

(Ⅳ)全水道東水労の争議行為、大衆行動等の違法性の概略   23

一 ながら条例改正の意義は認めるが争議行為抑止には役にたっていない   23

二 管理職に争議行為の正当性を承認させ組合側に取り込む闘争スタイル    24

三 全水道東水労の平成12年以降の主な争議行為   25

四 平成15年「ながら条例」の改正の影響   27

五 平成16年3月17日の後藤雄一都議質問の影響   28

六「平成16年3月東岡職員部長通知」の影響   28

七 東京都では違法行為、外形上犯罪でも正当業務と扱われており異常   29

(一)本部中央闘争委員の停職13日程度で騙されないでください    29

(二)組織の義務を果たしている組合員の個別責任は問えないという論理は最高裁が否認している    30

(三)全水道東水労の積極的業務妨害の対応問題    30

地公労法11条1項に罰則はなくても、名古屋中郵事件方式で業務妨害罪・住居侵入罪等は違法性が阻却されない   30

🔶東京中郵判決の違法性二元論は違法性一元論へ    33

🔶争議行為違反に罰則がなくても他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用できる    33

🔶「久留米駅事件方式」の総括明確化   34

(四)平成28年最高裁判決で1時間未満の職務離脱でも戒告処分は適法と確定   35

 

第Ⅰ部 問題点の提起と解決方法

 

 (Ⅰ)本意見書で取り上げる主たる問題点

 

 全水道東水労(令和元年の組合員総数は2,778名、組織率77.2%上部団体は全労協・旧社会党系)の争議行為は頻繁・恒常的かつ悪質だが、当局は組合と事実上共謀もしくは忖度してストライキの助長と完全防衛に協力しており、正常な業務運営がなされていない。

〇唯一、平成16317日公営企業委員会後藤雄一都議の質問への場当たり的対応として、勤務時間内事務室内の演説行為は賃金カットになる旨の警告(東岡職員部長通知)がなされるようになったが、それ以外の組合活動、各事業所の管理職が職員一般に対し、警告、就業命令、中止・解散命令や監視をすることはなく管理意思が示されない。実質労務指揮権、施設管理権を発動せず奪われた状態になる。局長名の「服務の示達」なるものは違法行為という文言の一切ないインチキな訓示を行っており、警告は組合中執委員長宛のみで、組合中央だけが違法責任を負い、各事業場のスト実行行為者、職員一般は懲戒責任を問わない組合寄りの方針をはじめから示している。

16年間に6回の時限ストライキ決行は頻度が高いといえる。

 公務員のストは昭和50年代まで頻繁にあったが、平成以降公務員のストは稀になっているのに、水道局では1時間ストが、平成16年~令和元年の16年間に6回(平成162回、20年、22年、26年、令和元年各1回)決行された。

〇違法争議行為は毎年恒常的にある。

 時限スト決行は平成20年から26年は3年おき、6年おいて令和元年という間隔である。しかし、毎年恒例のスケジュール闘争では、当局も争議行為と認定し賃金カットしている勤務時間内職場離脱3割動員決起集会が年間最低34回なされるので、争議行為は恒常的にあると言ってよい。このほか、当局が取り締まらない、オルグ演説、争議行為指令や戦術日程の演説やビラによる情宣、闘争課題を確認し意思統一を図る「昼休み集会」など、地公労法111項後段所定の違法行為(唆し、あおり)は、当局が中止・解散命令をせず容認しているため、違法行為を広範に許容しており規律のある正常な業務運営はなされていない。

〇事実上、管理職の執務妨害であり、多衆の威力で、組合の争議行為目的へ賛同を強要し、管理職をスト協力者に取り込む「所属長要請行動」は闘争期間の大衆行動の核となるものだが、平成163月の後藤都議の質問により勤務時間内より昼休みに移行することになり、近年は低調になっているが、管理職が組合の言いなりの状況に変化はない。

〇三六協定一方的破棄超過勤務拒否闘争は平成5年度9日間なされ、恒常的に最低でも5日間はなされる。悪質な職制麻痺闘争で、争議行為の疑いが濃いが、当局は適法として協力している問題がある。

7判例により非組合員は勿論、組合員であれ、違法スト参加の勧誘、説得を受忍する義務はなく、違法争議行為の統制権は否定されているが、組合側の論理で管理職は非組合員を締め出し、ピケットラインを越えないよう協力し職員の就労権と義務を不当に否定している。

 スト参加の組合員は賃金カットする。しかし地公労法112項違反を避けるためか、組合の説得に応じ、ピケットラインを越えず就労しない非組合員は事故欠勤(勤務実態はないが賃金は支給される)とする慣行があり、詐欺的な不正給与支給といえる。

〇令和元年1220日ストでは、積極的業務妨害(シットダウンストライキ)、業務用機器の隠匿など刑事免責のある私企業の組合でも違法とされる外形上犯罪構成要件該当行為がなされる事業場があり、ストの態様も悪質であるが(業務妨害罪は時効)、管理職は中止・解散命令せず業務妨害を全面的に容認している。

〇当局が争議行為と認定してない悪質な争議行為もある。平成262月の中野営業所の監理団体業務移転協力拒否徹底抗戦など。組合役員が、本庁業務課の職員が固定資産・備品リストの確認のため中野営業所に来庁してきたのに、当時の課長補佐に追い返す行為を強要させた。所長に業務移転関連業務の業務命令をさせない労務指揮権の干渉。本部委員が人事課の派遣説明会の前の廊下でピケをして出席者を追い返したほか、本庁職員に謝罪を強要するなど悪質であった。『正常』な業務の運営とは使用者の労働者使用に関する指揮・支配権能が他のものに阻害を受けずに事実上円滑に行為されている状態をさすので、中野分会の徹底抗戦は、地公労法111項違反行為だが全く問題視されていない。

 〇同盟罷業の懲戒処分の在り方が本部中央闘争委員のみが対象で組合に非常に有利。

 

(Ⅱ)要旨  問題点と主な要求項目

一 違法行為4類型を是認する労務管理を改めること

 違法行為4類型とは(一)地方公営企業等の労働関係に関する法律111項後段の「唆し」「あおり」、(二)同条項前段の同盟罷業、(三)積極的業務妨害、犯罪構成要件該当行為、(四)組合による管理職の労務指揮権への介入、一部の奪取、職制を麻痺させる業務管理のことである。

 水道局の職員と組合は、地公労法111項により争議行為は禁止されている。北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42107は、同条項を合憲としたうえ、懲戒処分を適法とし、附則により地公労法111項が准用される単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員につき、北九州市清掃事業局事件・最二小判昭63.12.9民集4210880も争議行為につき地方公務員法第2911号、2号、3号同法第32条、第33条、第35条及び地公労法111項を適用した懲戒処分を合憲にして適法と判示、北九州市病院局事件.最三小判平元.4.25判時1336も類似の判例であり、最高裁の3つの小法廷すべてが、地公労法111項を合憲として懲戒処分を是認しているから、地方公営企業等の争議行為が組合の正当業務ではないことは明白である。

 全水道東水労の時限ストライキ(同盟罷業)は平成16年以降令和5年まで16年間で6回の頻度だが、それ以外の争議行為もある。全水道東水労は毎年スケジュール闘争で当局も争議行為と認定している3割動員職場離脱集会等の違法行為を恒常的に実施し、昼休み集会等、地公労法111項後段違反行為は、ストが決行されなくても恒例のようになされている。

 問題は、以下に示す各事業場の管理職は、違法行為4類型に対し職務命令などにより全く抑止することをしていない。

 今後は庁舎管理として便宜供与拒否(地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用として拒否してもよい)、強行する場合の中止・解散・退去命令、職場復帰命令、就業命令の徹底。組合が労務指揮権、施設管理権の介入することを拒否することを強く要求する。

 

(一)違法行為類型1 地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」 

 

🔷事務室内の闘争課題を説明し意思統一を図るオルグ演説、指令伝達、「昼休み集会」や支所・合理化拠点決起集会等は中止・解散・退去命令する方針に改める。

🔷組合がストライキを配置した時点で闘争期間中の組合活動の便宜供与を停止すべき。

(詳論-(Ⅴ)一(二)50頁以下)

 

◎闘争指令下の「昼休み集会」は不許可、中止命令の徹底を

 

 主として事務室内でなされる「昼休み集会」を水道局の管理職は許諾し、中止.解散命令をやらない

私が記録している令和元年以前の事務室内昼休み集会は以下のとおり、カッコ内主な演説者

1)中野営業所事務室内 平成23年7月7日(分会役員)

2)中野営業所事務室内 平成23年11月2日(分会役員)

3)中野営業所事務室内 平成23年12月9日(分会役員)

(実況見分記録 52頁参照)

4)中野営業所事務室内 平成24年3月8日(分会役員)

5)中野営業所事務室内 平成25年11月2日(支部.分会役員)

6)中野営業所事務室 平成26128日(本部委員)

7)中野営業所事務室内 平成26年2月12日(支部.分会役員)

上記は実況見分記録あり。なお、これ以外に勤務時間内の頭上報告多数、勤務時間内オルグ演説、抗議演説もあるが、上記は純然たる昼休み集会をピックアップしたもの。

8)西部支所給水課新宿分室 令和元年124日 

9)西部支所給水課新宿分室 令和元年1217

 

 令和6123日(火)の例

 12時26分○○が○○総括課長代理に話しかけたので、許諾をとったものと思われる。

 ○○が、昼休み集会決議(案)の紙を、各席に配りだし、昼休み集会が始まる。在席していたのは、16人程度、課長代理3名在籍、。所長は不在。昼当番2人が勤務中。

  • 28分~29分 司会 中央委員○○

 指令により昼休集会すると宣言、検針係と収納係の間の什器付近で演説に立つ。まず、○○が経過報告すると発言。

  • 30分~37分 支部長○○

 提案は杉並・港の政策提携団体TW業務移転、退職派遣(都職員の身分を離れての一時的に出向し戻る制度)の割合5割とのものだが、局直営7カ所TW13カ所となり局で働く職場は狭くなる。退職派遣は勧めることができない。TWは人減らしを強行し、事務職として入った職員を土木職に職種転換していて、人も少なく労働強化でサービス残業がある。TWにも組合員がいるので労働条件を検証していくことを訴え、実際、港営業所では退職派遣を希望する人がいない状態で、TW社員の面倒をみるのも大変である。TW委託の流れを変えるようにしていきたい云々。

 もう一つは徴収サイクルの変更について組合と事前協議せず強行したため、2023年度に1営業所、24年度に3営業所1名増員したが、1年限りということだが繁忙状況に変わらない。本日3日に専門委員会があれ徴収サイクルは○○分会長TW委託問題は○○で3日の次は10日が予定されている。今後の日程6日の支所拠点決起集会、18日の3割動員、19日最終回答日、20日スト配置を背景に戦っていく発言。

  • 37分~39分中央委員○○

支部で明後日5日に所属長要請行動があるので参加を促した。決議文朗読を○○分会長にふる

  • 40分から47分 分会長○○

 闘争課題を列挙し、最後に「東水労はあらためて三六破棄戦術を構え、12月闘争戦術、昼休み集会、所属長要請行動、今後の日程6日拠点決起集会、2割動員、183割動員決起集会、20日のスト配置で闘っていく」でしめくくった。

  • 48分司会 中央委員○○

 決議文採択の拍手を求め、検針担当を中心に拍手が起きた。最後に6日決起集会、18日決起集会、20日ストの日程を繰り返し発言して協力を要請して終了。

 多くのケースでは団結用意頑張ろう三唱もするが、今度は行われなかった。

 

 「昼休み集会」の違法性は明白である。地公労法111項後段が禁止する「唆し」「あおり」(演説あおり.オルグあおり)そのものであると断言できる。

 「そそのかし」とは「違法行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為をすること」(外務省秘密漏えい事件・最一小判昭53531刑集323457)と定義される。

 「あおり」とは「違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、又は、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること」(全農林警職法事件・最大判昭48425刑集27454、岩教組学力調査事件・最大判昭51521刑集3051178)と定義される。

 「唆し」「あおり」については、国家公務員法111117号、地方公務員法62条の2(旧614号)で罰則規定がある。公共企業体等労働関係法(略して公労法・現行政執行法人の労働関係に関する法律)と地方公営企業等の労働関係に関する法律(地公労法)には罰則規定はないが、違法行為である以上18条解雇、法令遵守義務等の服務規律違反として、懲戒処分の理由となる。

 例えば、北九州市減給日額二分一懲戒処分事件・福岡地判昭56629労判368は、昭和4412月北九州市水道局工務部配水課に所属する技術吏員で、市職労本部執行委員専従が、清掃事業局西港清掃工場業務第一係詰所において、同詰所にいた清掃作業員らに対し、年末休日出勤をしないよう呼びかけた等につき減給処分とされた事案で、年末休日について市職員労働組合が出勤拒否の指令を出し、清掃職員が統一的集団的に年末休日勤務を拒否したことは、地公労法11条1項に禁止される争議行為に該当し、これを指揮した組合執行委員である原告の行為も同条の禁止する「そそのかし」、「あおり」にあたる(TKCの要約の要旨)として処分を適法とした。また北九州市交通局12条解雇事件・最二小判昭55.2.8労判335では「あおり」が解雇の理由の一つになっている。

 全農林警職法判決は、公務員の勤務条件法定主義、公務員の争議行為に対する市場の抑制力の欠如を強調して、公務員法のあおり等処罰規定は、字義どおり、すべての公務員の一切の争議行為を一律全面的に禁止するものであり、その違反行為について、争議行為に通常随伴する組合役員の指令発出等を含めてすべてのあおり行為を処罰できるものとしている。

 平たくいえば 行動指令の発出伝達、スト実施体制確立のための活動、闘争指令下での演説、集会は「そそのかし」「あおり」になる。狭く解釈する必要はない。

 強い違法性がなければ正当などいう理屈は半世紀前に明示的に否定されている。日教組スト事件・最一小平成元・1218刑集431388は、日教組の昭和49年春闘411日全一日ストにつき、地方公務員法614号のあおりの罪により、当時のММ日教組委員長を懲役六月、またМT都教組委員長を懲役三月、いずれも執行猶予一年に処した原判決を支持した。

 組合側の上告趣意書では「あおり」を次のように限定的に解釈されるべきとする。

 「闘争体制、スト体制を確立することなどを目的とするにとどまるものはふくまれない‥‥「あおり」は感情に訴えるものであり、感情に訴える要素のないものを「あおり」となしえない‥‥それ自体において現実に争議行為の原動力となり、現実にその実行を誘発する危険があるとみとめられる真剣さないし迫力を有するもの、あるいはそのような行為があれば、争議行為が現実に実行され、またそのような行為がなければ争議行為が実行されることが困難であるような力を有するもの」

 しかしこの趣意は、最高裁により退けられたのであって、限定解釈はしないと決着がついている。

 集会の演説行為が「唆し」「あおり」にあたる。代表的な判例は全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件・大阪地判昭54.8.30、大阪高判昭57.2.25民集3971478、最二小判昭60.11.8民集3911375、昭和441113日の15分ないし20分勤務時間に食い込む各職場大会の事案であるが、争議行為当日であれ、その前の組合員の意思統一を図りストライキに向けて志気を鼓舞する集会でも同じことである。

 一審は、集会におけるあいさつ、メッセージと祝電の朗読、職場大会の意義の演説、所長交渉の経過の演説、決議文朗読した行為、団結頑張ろう三唱等が国公法982項後段所定の『あおり』『そそのかし』に当たるとした。

 二審は「あいさつ」「職場大会の意義についての演説」「所長交渉の経過報告」「決議文の朗読」などの行為は「そそのかし」「あおり」に該当し、とりわけ「あおり」のうち「既に生じている決意を助長させる勢いのある刺激を与える」ことに該当するとした。

 上告審は「本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する
『そそのかし』又は『あおり』に該当するとした原審の判断は正当」と判示し、戒告処分を適法としている。戒告処分に処せられた者43名の内訳は、全運輸本部役員1名、支部三役8名、分会三役34名である。

 ところが東京都の管理職は地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」を違法行為と全く認識していない。違法行為を助長しているのは重大なコンプライアンス違反であるので、中止・解散・退去命令を徹底すべきである。

 組合の指令伝達をする頭上報告、本庁.支所.合理化拠点での決起集会も同じことである。旧郵政省と同様に、全水道東水労が、ストライキを配置し闘争体制に入った時点で、労働組合には庁舎内の便宜供与を禁止する方針を強く提案する。東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442号は、国労札幌地本判決の判断枠組により、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法171項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はなく不当労働行為には当たらないと、司法も認めていることである。

 東京都の管理職が「唆し」「あおり」を違法行為と認識しないのは、これは半世紀前に判例変更(全農林警職法.岩教組学テ事件)された争議行為通常随伴行為不罰論を信奉している左翼体質もしくは組合との不透明な癒着と考えられる。

 

  また管理職(平成22年当時の中野営業所長○○、のち経理部管理課長、職員部監察指導課長、労務課長)は労基法34条第3項(休憩時間の自由利用)により昼休みは組合活動を規制できないと断言し、執務室内のストライキ決行体制のため闘争課題を確認し組合員の意思統一を図る「昼休み集会」を許諾していた。他の管理職も同様である。

 しかし、労基法34条第3項を争点として最高裁は「休憩時間中といえども、その勤務する事業所又は事務所内における行動については、使用者の有する一般的な管理権に基づく適法な規制に服さなければならない」(米空軍立川基地事件.最三小判昭49.11.29)「企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない」(目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13)と説示し休憩時間中の局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等についても局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める電電公社の就業規則が休憩時間の自由利用に対する合理約な制約であると判示した。昼休みや勤務時間外の集会の中止・解散命令が不当労働行為に当たらないとする判例は多数あるので当然、施設管理権の行使として規制できるのであって、労務課長にまでなった○○の見解は間違っている。東京都の管理職の法解釈がすべて組合寄りで是正されるべき。

 

(二)違法行為類型2 同盟罷業(組合の正当業務として扱っている)

 

🔷職員一般に従来行ってない、違法行為には必要な措置をとるとの文言のある事前警告を行うべき。

🔷争議行為中、職場復帰命令、就業命令を一切やらない方針の是正。

🔷懲戒処分の前例は本部中央闘争委員の34名に限定し、指令に従っている大多数の組合員の懲戒責任は問わないことになっているが、組合に著しく有利で、抑止効果に乏しいため、今後、各事業場に勤務する役員以下でスト集会の実行行為者は、各事業場単位で最低1名、戒告以上の処分をするよう方針を改めるべき

(詳論-(Ⅴ)二(一)1と2 、(二)(四)、(Ⅵ))

 東京都水道局では、同盟罷業を違法行為であるとの警告をしていることを確認できるのは組合中央執行委員長宛ての「中止の申入れ」のみで、職員一般には違法行為という文言のない警告に相当しないインチキな訓示を伝達する慣例(通称 服務の示達)になっている。

 国の官庁では職員すべてに対して、違法行為に参加したときは必要な措置をとる等の警告をする。まともな自治体では就業命令書も事前に交付する。

 しかし東京都ではあくまでも組合側の論理で、違法であっても指令に従って組合員としての義務を果すためのストの指導、参加は個別懲戒責任を生じないという誤った法解釈にもとづき、本部中闘以外の大多数の組合員には地方公務員法32条の法令遵守義務適条の懲戒処分は絶対させない体制になっているため、組合委員長と職員一般とで違った対応になっている。

 ストライキに参加することは、法令遵守義務違反として責任が問われるリスクがあると自覚させないのはコンプライアンスに著しく反するので是正する。

 また、ストライキ当日の就業命令、職場復帰命令を東京都は絶対行わないのである。

 これはたんに地方公務員法32条の職務命令に従う義務違反として処分されないようにするためだけでなく、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという組合側の指図で、非組合員や組合員でストに反対の職員に業務命令して業務運営を維持しない方針にしているためである。

 当局は、「就業命令しない=ピケットラインの尊重」を事実上示唆しているため、職員のすべては組合のスト参加の勧誘、説得に応じるべきものという前提で、就労したい職員ですら、服務の基本的義務であるICカードリーダによる出勤入力を認めず、他の説得に応じた非組合員と同様、事故欠勤扱いにしようとして就労の権利を侵害する。

 これは職員部監察指導課の指示にもとづく組織的対応なのである。

 組合と管理職の共謀により、違法行為の慫慂が管理職によってなされるのが実態であり、職務を離脱していて勤務実態なく詐欺的に賃金を受け取る「事故欠勤」の指示とその申請をする非組合員もコンプライアンスに著しく反する。

 この点は、令和元年1220日の1時間ストで当時新宿営業所長の○○が、組合の要請のもとに、いっさい業務命令せず、多数の非組合員の事故欠勤を承認しているので事情聴取すればわかることである。

 

 国の各省庁の争議行為対応は、スト当日の就業命令・職場復帰命令を重視し徹底している。争議行為中であることを理由として、上司の命令に従う義務(国公法981項)は免れないと説示した神戸税関事件.最三小判52.12.20以降累次の判例で就業命令が適法であることは確定していることであるが、全水道東水労が職制を抑えつけて就業命令させない意味は4つある。

 第一に争議行為を組合の正当業務として管理職に認めさせている。第二に違法行為を阻止すべく管理意思を示さないにしている。第三にストライキに対抗して操業維持させない。ストライキ時は職員を使った業務を停止しなければならないとし、保安要員以外必要な業務は管理職対応と命令しているためであり、第四に地公法32条適条の懲戒処分ができないようにするためであり、いずれも不当でありコンプライアンスに著しく反する。

 当局が管理意思を示さず、争議行為に対して労務指揮権、庁舎管理権の行使を凍結していることは、違法行為を助長、容認していることになり、地公労法111項争議行為禁止の保護法益である住民の共同利益を侵害するものとして糾弾に値する。

 懲戒処分を本部中央闘争委員会に局限せず、各事業所のスト集会の実行行為者、ストを指導している役員や率先助勢者も戒告以上の処分の対象とするよう是正が必要。

 組合役員は、争議行為は組織的団体行動であり、違法であっても指令に従って行動する組合員は組織の義務を果たしているだけで懲戒処分等の責任を問えないと言う論理を言うが、この説は指令に従うだけの組合員の個別責任も当然問えるとした全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18により明示的に否定されており、東京都は最高裁判例を無視し、法外的な組合の論理に従ったことしかやらないのである。

 

(三)違法類型3 積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為の許容

 

🔷新宿営業所の事務室内を多衆で占拠するシットダウンストライキや業務用機器の隠匿は業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為なので、管理意思を明確にして強く中止・解散命令等を行う、強行した場合必要な措置をとる。

🔷本部役員のオルグ・ピケや支所・合理化拠点集会での外来者の立ち入り、セキュリティ破りのスト待機は、管理意思を明確にして建造物侵入罪を成立させるべき。

(詳論-(Ⅴ)二(五))

 全水道東水労の争議行為及び争議行為に付随してなされる外形上犯罪構成要件該当行為の問題である。

 最高裁先例によれば、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきとする(朝日新聞西部本社事件・最大判昭27.10.22民集6927、羽幌炭礦鉄道事件・最大判昭33.5.28刑集12816)前提であり、プロレイバー学説のように、争議権に業務阻害権を含むことを否定している。東京都はプロレイバー学説に忠実な左翼体質で、積極的業務妨害も全面的に容認しているという問題である。

 地方公営企業では争議行為が禁止されているので、単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も勿論違法行為であるが、全水道東水労のストは、私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質と断定できる。

 既に威力業務妨害罪は時効であるが、令和元年1220日の1時間ストで、新宿営業所でなされたのは、事務室の検針担当執務エリアを40人程度で占拠して集会する態様で、物理的に業務遂行を不可能にするシットダウンストライキである。また業務用機器をストの時間帯隠匿される業務阻害があった。これには組合役員でない当時○○課長代理らが関与している疑いが強く、外形上業務妨害罪の構成要件該当行為である。

 当時○○所長は、シットダウンストライキという業務妨害を全面的に容認し、中止・解散・就労命令はやっていない。私がお客様からの苦情の電話を処理しつつも、見ていることである。 私は、ストの最中、○○所長に中止命令すべきと進言したが、「これはストなんだよ」と言い返してきた。積極的業務妨害があって当然なんだという組合の主張を認めているのである。

 スト実行指導者といえる集会の演説者、○○、○○、○○についても現認検書を作成しないと言っていた。そればかりか○○所長は、ピケッティングに立って私を出ていけと恫喝し、集会でも演説してストを指導した○○を主任に昇進させている。違法行為を指導して処分されないどころか昇進するのが東京都の倣いである。

 犯罪構成要件該当行為の是認は当然という認識のようであるが、それは公労法違反の争議行為で刑事免責を肯定した中郵判決が判例を維持し、可罰的違法性論による無罪判決の多かった昭和40年代の考え方で、国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25以降、マスピケ等の無罪は有罪とされ、指導的判例で、公労法違反の争議行為とそれに付随する行為につき、刑事免責を否定した全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4は、郵便法違反幇助、建造物侵入を有罪とし、同判決方式の判断枠組をあてはめれば、新宿営業所でなされたことは、違法性が阻却されることはありえない。管理職でも違法性の判断ができない以上、再教育が必要に思える。

 職員部から就労命令等の指示はないため、職員部の指示どおり動き、犯罪構成要件該当行為容認がコンプライアンスとなっている。管理意思を示すことを義務づけ犯罪を成立させるべき。

 このほか、本部役員のオルグ演説、ピケ等での立ち入り、支所・合理化拠点の決起集会の外来者である動員組合員の立ち入り、スト前日から当日の深夜・未明に警備会社と契約しているセキュリティを破って事務室に出入りするスト待機についても管理意思を明確に示し、建造物侵入罪を成立させるべきである。

 名古屋中郵判決の判断枠組は以下のとおり(香城敏麿・国労松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集322159判解 公労法171項と地公労法111項は別異に解釈する必要はない)

 

(イ)公労法171項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法12項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法171項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法17条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければなない。

 少なくとも外形的には新宿営業所の職場占拠と、業務用機器の隠匿は(イ)の範疇に当たり、業務妨害罪は管理意思を明確に示せば違法性は阻却されないはず。オルグやピケッティング目的の無許可侵入、スト待機の深夜の無許可庁舎侵入は(ハ)に当たり、外形上建造物侵入罪の犯罪構成要件該当行為に当たり、退去命令をすれば不退去罪。組合側は当局が管理意思を示さず容認しているから犯罪にならないと主張するだろうから、今後は無許可組合活動の禁止を規則で明文化し、中止命令等の管理意思を示し、犯罪を成立させる。刑事事件にせずとも懲戒処分の対象とすべき。

 

(四)違法行為類型4 労務指揮権の凍結、業務管理 

 

🔷平成26年の中野営業所監理団体業務移転拒否闘争のような、所長の労務指揮権を組合に奪取されることがないよう、ガバナンスを徹底させ、組合役員が労務指揮権に介入したり、業務妨害に対しては毅然とした対応をとり、懲戒処分も行うこととする

(詳論-(Ⅴ)二3 66頁)

 全水道東水労の大衆行動の核となっていたのは、所属長要請行動であった。大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものがある。

 役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、怒号が飛び交い、言いなりにならないと吊るし上げる態様のもので、執務妨害だが、拒否したり、退去.解散命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもある。それゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。

 但し、平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動を質問したことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、昼休み等に移行させることとなり、近年では低調になっているが、組合が恫喝して、力関係で労務指揮権や施設管理権を凍結させ、争議行為を懲戒処分のおそれなく、有利に進めていくのが、組合側の基本戦略である。

 平成261241時間ストライキが決行された後、組合は中野営業所監理団体業務移転阻止闘争のオルグ活動に入り、退職派遣制度(一時出向して戻る)を希望させない。人事課による退職派遣の説明会には出席させないことを組合員に徹底させたうえ、当局を交渉にひきずりこむという戦略の闘争がなされた。

 2月5日には○○本部委員が勤務時間中オルグ演説し、当日の人事課の説明会の入場を阻止するピケを張った。所長○○は容認した。一方で、○○分会書記長が、移転業務の一つである固定資産、備品リストの照合業務のため来所したところ、課長補佐に組合の闘争に協力しないとまずいことになりますよと言い、サービス推進部業務課担当者を追い返し、業務妨害をしたこと。

 さらに○○分会書記長は所長の○○に対し移転関連業務の業務命令をしないよう強要したことである。

 移転関連業務が進捗しないから、4月移転は無理ということになり、組合の主張がとおって7月移転に延期したのである。

 所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。

 事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応としては業務命令するしかないはず。

 組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。しかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。

 出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権・施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。

 以上述べた○○本部委員や○○分会書記長の行為は、地公労法111項違反行為であるが、報告していないにせよ職員部当局は闘争が継続にしていることに関心がない。124日のストは25日に処分を終えており、争議行為は終わったものと認識しているのが大間違いである。本部中闘指令の同盟罷業と動員集会等というスケジュール闘争だけ争議行為と認識し、特定拠点の争議行為は放置するのが職員部当局である。

 労務指揮権が空洞化してしまうのは、スケジュール化された争議行為でいっさい職務命令をやらない慣行がきいているのである。日頃から違法行為の抑止、職務命令という国の官庁ではあたりまえのことをやってないので、交渉決裂後の業務命令のような修羅場の状況でも組合のいいなりになってしまう。

 当局は杉並営業所と港営業所を令和74月に政策提携団体TW業務移管する提案がなされているが、中野のように徹底抗戦になるかはわからない。もしそうなった場合は、現場の管理職は組合のいいなりになり、業務移転業務の業務命令ができない事態もありうるので、組合による労務指揮権奪取を防ぎ、組合に掣肘されない業務運営のため、特別査察チームを派遣するなど、職制側の増員支援も必要といえるだろう。

 

二 非組合員等の就労の権利と義務の侵害をやめるべき

 

🔷当局は組合と共謀による非組合員の就労妨害の方針をやめること

🔷非組合員とスト反対の組合員には業務命令で業務運営を維持する方針にかえること

🔷勤務実態がないのに賃金を支給する非組合員の事故欠勤請求、もしくは強要は詐欺的で不正会計なので認めないこと

(詳論(Ⅴ)二(三)69頁、(Ⅵ)一88頁)

(二)でも述べた繰り返しを含む。

 公労法171項違反の争議行為は、統制の及ばない非組合員はもちろん、組合のスト決議は違法であり内部統制権を明示的に否定する判例が、中郵判決が判例を維持していた昭和4750年にかけて、7判例(最高裁1判決を含め巻末主な参照判例では★印)がある。民間の組合とは違って組合員にも就労の権利があることは明らかである。

  • 全逓横浜中郵前ピケ事件・差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20

(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却) 

  • 動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30

(上告審最一小決昭51.4.1棄却)

  • 国労岡山操車場駅・糸崎駅事件.広島高判昭48.9.13 
  • 国労尼崎駅事件・大阪高判49.4.24判時73440

(上告審-最一小判昭52.10.20 刑事裁判資料230号812頁 棄却)

  • 動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.25判時770113

(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)● 国労東和歌山・和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19

○ 国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28民集2910163

 

 動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30( 最一小決昭51.4.1棄却)は、「争議行為が少なくとも労働法上一般的に違法とされている国鉄においては、組合は組合員に対する統制権の行使を理由として、斯る違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は右職場集会実施の組合本部指令に服従すべき義務はなく、従って、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務もない‥‥。」と説示し、国労役員が運転室を占拠し、マスピケにより国鉄当局の業務命令で、スト参加者の代務を命じられた指導機関士の乗務阻止につき威力業務妨害罪の成立を認めている。

 地公労法111項の先例ではないが、公労法171項と同文なので同じことである。

 ところが、水道局の管理職は組合と共謀してスト完全参加と防衛のため、ストの前日に組合の説得に応じた非組合員に事故欠勤を強要し、説得に応じない職員もピケットラインの通過と出勤簿に相当するICカードリーダによる出勤記録の電磁的入力を認めず事故欠勤を強要しようとする。管理職が服務上の基本的義務である就業規則違反と違法行為を指示するのである。

 勤務実態がないのに賃金を受け取る詐欺的行為を非組合員にさせる組織的方針であり、不正会計支出を行っている。

 非組合員の締め出しは、地公労法112項違反であり、ストに参加したくない職員の就労する権利と義務を侵害しているので今後は行わないことを強く要求する。

 当局は、就労せずとも賃金を払うのであるからロックアウトではないので112項違反には当たらないと言い張るだろうが、事故欠勤とは交通機関の遅延により遅刻した場合、遅延証明により賃金カットの欠勤としない制度で、違法行為目的、ストライキ参加を促すため、ストライキ防衛のために用いるものではない。組合と当局の不透明な癒着で当局がストを全面的に支援しているのである。

 組合員だけでなく詐欺的な賃金受給を受ける非組合員も遵法精神に欠き悪事を働いているものとして糾弾されるべき。

 

三 受忍義務説(法益互譲論)による管理を改め、企業秩序論法理を採用する

 

 当局は、労働組合法71項により保護されない正当でない組合活動、違法行為、犯罪構成要件該当行為、職制麻痺闘争など秩序を乱す行為を広範に容認しています。

 45年前の国労札幌地本ビラ貼り事件.最三小判54.10.30が明示的に否定した受忍義務説(法益互譲論)にもとづく労務管理・.庁舎管理を行っており、庁舎の目的外使用を広範に許容していることは、ガバナンス・コンプライアンス上不適切であり、後藤雄一都議質問の場当たり的対応といえる、職務専念義務違反の組合活動に限って賃金カットの警告をするという平成163月東岡職員部長通知には欠陥があるので撤回し、受忍義務説を明示的に否定し、法益互譲論を否定している企業秩序論判例法理に基づいて下記のような就業規則の整備により、職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するよう根本的に職場風土を改革すべき。(詳論-(Ⅳ)(四)43頁、第Ⅱ部(Ⅰ)111頁)

(註-受忍義務説 主な論者として本多淳亮『業務命令.施設管理権と組合活動』労働法学出版 1964 、籾井常喜『経営秩序と組合活動: 不当労働行為の法理』総合労働研究所 1965 、峯村光郎『経営秩序と団結活動』総合労働研究所 1969 、片岡曻『労働組合法の争点:法からみた労使関係のルール』総合労働研究所 1971、外尾健一『労働団体法』 筑摩書房1975

 

(就業規則追加案)川西案

 

1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。

2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。

4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)

5 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.プラカード.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設営してはならない。又、許可なく業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進をしてはならない。

6 職員は、庁舎、局施設のその秩序維持等について庁舎管理規程に基づく庁舎管理者の指示に従わなければならない。

7 職員は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をしてはならない。また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならない。

8 

(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。

(2)職員は局が許可しないメッセージ性のある旗やマグネットシート、煙突状の小物、マスコット、短冊を机上、什器等に設置、陳列、貼付してはならない。

(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に許可された文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。

(4)以下に該当する文書又は図画等の配布又は掲示は中止、撤去命令の対象とする。

一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。

二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。

三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの。

四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの

五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。

六 組合旗、激文.寄せ書き、幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。

七 その他著しく不都合なもの。

9 職員は、みだりに欠勤し、遅刻し、若しくは早退し、又は上司の許可を得ないで、執務場所を離れ,勤務時間を変更し、若しくは職務を交換してはならない。

10 職員は、みだりに業者、物品販売、保険の勧誘、当該事業所に勤務していない職員等を職場に立ち入らせてはならない。職場の規律.秩序をみだすおそれのある署名・募金活動をしてはならない。

11 職員は、職場において、みだりに飲酒し、又は酩酊してはならない。

 

 

四 三六協定破棄闘争時に労務指揮権を凍結する慣行の見直し

 

🔷現状は組合の意向に従い労基法上違法な業務命令をさせない在り方だが、労務指揮権凍結を許容し組合が管理職に下位職務を指図するあり方は異常で、必要不可欠な時間外の経常業務、事前に日程に組まれ委託業者に影響をもたらす時間外業務は、労働基準法違反を承知で、業務命令する方針に改めるべき

(詳論・(Ⅴ)一(三)、(Ⅵ)三。)

 三六協定一方的破棄闘争(超過勤務拒否)は、悪質な職制麻痺闘争だが、毎年同じ時期に恒常的に行われ令和5年度は断続的に計9日間行われた。当日は組合役員に加えて管理職も触れ回って残業厳禁とするのが通例であり、当局も適法と認めている。

 平成16年度は業務手当等大きな闘争があったので20日間ぐらい闘争がなされた職場がある。これは日時を指定しての保安要員を除いての超過勤務拒否闘争である。

 保安要員は労働調整法で争議行為時に義務付けられている趣旨でなく、当局との協議によるもので、浄水場、水運用センターなど水供給に支障なく、突発事故に対応できる最低限の人員と考えられる。保安要員を置くと言うこと自体がすでに正常な業務運営ではない。

 (なお、保安要員の範囲は、私が水道特別作業隊に在籍していた当時、庶務係や企画担当も含めて保安要員だったものが、平成20年の給水部の部署と合併して水道緊急隊に組織改正されたが、技術系職員と事務職員もいる工務係が保安要員から外れている)

 内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁(従来更新を重ねてきた三六協定の更新拒否が、超過勤務自体の条件改善のためではなく、労使間の他の要求貫徹の手段としてなされるときには、禁止された争議行為にあたるという趣旨)や内閣法制局意見見解に近似しているとされる見解をとった北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8に照らして、争議行為である疑いが極めて濃いにもかかわらず、当局の見解は、北九州市交通局事件で三六協定未締結での超勤拒否闘争を争議行為と認定したのは平常ダイヤのバス運行が9勤務、超過勤務が前提のものだからとして、水道局ではバス運転手のように毎日超勤を義務付けている職場はないので、適法とするのである(平成15年に確認した)。

 しかし営業所でも経常業務で超勤はあるし超勤予算もとっている。又、毎日ではなくても配水課などでは夜間作業が頻繁にあり、時間外労働がなければ成り立たない職場であるのに、職員部当局は適法とする判断で、協定未締結で労務指揮権は凍結されるとの組合の見解を受け容れているため管理職は労務指揮権を放棄することがコンプライアンスという異常な状態である。一方組合役員のスト前日のセキュリティ破りのスト待機の寝泊り、スト準備もすべて容認される

 施設管理権も奪取される状況がある。

 水道緊急隊は工務係を除き保安要員とされており、突発事故の対応はできるから問題ないと当局はいうだろうが、悪質な職制麻痺闘争である以上、いつでも組合が違法争議目的で労務指揮権が掣肘されることを許している職場慣行は、1400万都民と首都中枢のライフラインを支える企業としては無責任な体制といえる。

 最高裁は三六協定未締結で国鉄や郵便局が業務命令したケースで、就労を妨害する組合員による、公務執行妨害や業務妨害罪の成立が争点になった事案では以下の判断をとっている。

 仙台鉄道管理局駅事件・最二小判昭48.5.25は、「労働基準法321項は‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」と説示し公務執行妨害罪の成立を認め、動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30は労働基準法違反の時間外労働という一審の争点を明示することもなく久留米駅事件方式の「法秩序の全体的見地から」という決まり文句で、名古屋中郵第二事件最二小判昭53.3.3も一審、二審で争点になった三六協定未締結の問題に言及することもなく名古屋中郵判決方式での「法秩序の全体的見地から」、職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとし、威力業務妨害罪の成立を認めている。

 営業所ではレジをスタンバイするための一連の経常業務を組合役員が管理職対応として下位職職務を指図してやらせるいやがらせも行われている。

 総合的に判断すると、国鉄は国労や動労が三六協定未締結であっても業務命令していたように、労基法上違法であっても、それを承知で必要な業務命令をすべき。組合は罰則があるから、業務命令は許されないとして管理職を脅し労務指揮権を奪うことが、協定破棄の重要な目的になっており、信義則に反し、ストライキ決行を有利に進めるため違法行為目的であり、司法はこのような場合「法秩序全体の見地」から労働法優位には判断することはまずない。労基法の罰則を恐れる必要はなく、職員部長の判断で方針変更を行うべきである。

 また、労基法33条により災害時は三六協定未締結でも業務命令できることになっているが、それは組合を刺激するためか周知されておらず、知らない組合役員もいる。

 震度に応じて緊急配備態勢は異なるが、震度6弱以上は夜間・休日発災時には緊急災害出動として、事務職員でも資器材置き場の解錠、給水拠点での応急給水器材の設置、住民への給水活動準備、最寄り事業所での業務といった任務が割り振られている。

 三六協定破棄が土日に設定することは近年にはない。令和5年度は9日だったが、大きな闘争がない場合は年間56日程度であり、平成16年のケースは例外で、闘争時に発災する確率は小さいが、予算ゼロでできる防災対策なので災害時は未締結でも業務命令できることは周知しておくべきである。

 平成233.11の大震災でも春闘の際中で、数日後に三六協定拒否闘争が予定され、組合は機関で闘争を7月に延期して中断し、計画停電対応の待機などに協力する決定を下すまで時間がかかっている。緊急時に即応できる体制とは思えないのである。

 

(Ⅲ)要求項目

 

(総論)プロレイバー学説に依拠した悪弊の一掃

 東京都(水道局)は、コンプライアンス経営宣言しているにもかかわらず、最高裁判例が明示的に否認している組合側の論理(プロレイバー学説)に依拠して誤った労務管理を長年行っていること自体、脱法的、法外的である。

 違法行為と犯罪を著しく助長している職員部監察指導課の前例踏襲の争議行為対応は刷新されなければならない。一般職員に事前警告をせず警告に値しない偽装の訓示をやったり、争議行為時に就業命令をやらないとか、懲戒処分は組合中央の機関責任にとどめるなどは知事部局も同じと考えられ、たんに水道局特有の問題ではなく東京都全体の左翼体質改善が求められる問題である。

一 平成163月の東岡職員部長通知を廃止し、就業規則を整備する

 平成16年東岡職員部長通知による頭上報告の賃金カットの警告は、同年317日公営企業委員会の後藤都議の質問に対する場当たり的対応にすぎず、職務専念義務違反以外の理由で警告することはない。頭上報告は、指令や闘争日程の伝達、「あおり」「唆し」の違法行為であるケースも多く、本部中執や本部委員のオルグに警告できず、演説の内容や事務室内で行われる影響などは考慮されず重大な欠陥があるので廃止し、無許可演説・集会、無許可組合活動、他の職員の職務専念妨害抑制義務等の就業規則を整備したうえ、演説行為は禁止事項とする。

 囚われの聴衆での演説行為はそれが就業時限前のスタンバイの状態であれ、勤務時間中であれ、休憩時間であれ、アジ演説を聴かされなければならないというのは能率的で規律のある適正良好な職場環境ではないという観点で、そもそも演説行為を認める必要がないということである。組合の情宣活動として印刷物、機関紙、ニュース等のビラ配布は平時は無許可制とする提案であり、組合掲示板もある。

 最高裁の案出した法益権衡を否定した企業秩序維持権の行使(秩序をみだすおそれ、違法行為、正当でない組合活動等に中止命令を確実に行う)よる労務管理に移行させること。現状は国労札幌地本事件最三小判54.10.30や呉市立二河中学校事件・最三小判平18.2.7で明示的に否定された受忍義務説により、正当でない組合活動に対し、秩序維持権、施設管理権を行使せず、行政財産の目的外使用を許可なく広範に許容しているので抜本的な改革が必要。

 JRでは就業規則のほか労働協約でも無許可組合活動、業務以外の構内立入を禁止しており、そのような労務管理に改めることを強く提案する。

二 闘争指令下の昼休み集会等の中止・解散命令の徹底

 事務室内で行われることが多い「昼休み集会」は端的に違法行為を慫慂し、同盟罷業の遂行をあおるもので、地公労法111項後段で禁止する「そそのかし」「あおり」であるのに、管理職は全面容認している。

 闘争指令下の昼休み集会、本庁・支所・合理化拠点構内の決起集会、指令伝達等オルグ演説、違法行為を慫慂するビラ貼り、ビラ配りも含め、不許可・中止・解散・退去命令を義務付けること。監視・写真撮影・録音も行う。管理意思を明示して当該事業所以外の組合員のオルグ、ピケ、動員集会の立入に対し退去命令し、建造物侵入罪等を成立させる。

三 闘争体制での組合活動の便宜供与禁止

 東水労がストライキを配置し闘争態勢に入った時点で、組合活動の便宜供与の禁止を義務付けること。以下の国の省庁の実務に準拠した方針に変更する。

 (東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないとした事例 法律時報臨時増刊「判例回顧と展望」)。

 無許可集会等の強行は中止・解散命令と、現認検書の上申を義務づける。

四 スト対策本部の立ち上げ、非組合員を総動員する

 スケジュール闘争時にはストライキ対策本部を立ち上げ、管理職でない非組合員を全員召集して警戒および情報蒐集、組合員らの行動の監視、確認、組合員らによる違法行為の阻止、排除等の任務を与えること。抗議で荒れる職場対策として特別査察チームを編成し、違法行為・犯罪行為抑止のためオール都庁で協力態勢を構築すること。

 

五 管理職に組合役員より職務命令等をしない要請の拒否義務づけ

 所属長要請行動は、交渉ではなく多勢の威圧のもと管理職に争議目的を承認させ組合側に取り込む趣旨なので、拒否を義務づける。このほか組合役員より職務命令をさせない等の、労務指揮権に干渉する要請に従わないことを義務づける。

六 三六協定未締結でも業務命令を行う

 三六協定一方的破棄闘争(平成5年度は9日間、長くて3日連続だが、平成16年は9日連続で破棄)では、管理者の業務命令権は消失することはなく、法定時間内はもちろん、それを超えて労基法上違法であっても、職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではないとの最高裁判例にもとづき、必要な業務命令は行うこと。(具体的に提案は(Ⅵ)各論三(七)結論を参照されたい)

 また労基法33条により災害発生時は三六協定未締結でも業務命令できることなど周知・徹底することとし、緊急災害対応の初動で遅れることがないようライフラインを預かる企業として責任を果たすこと。

七 組合が管理職に経常業務を押し付けるいやがらせの拒否義務付け

 三六協定破棄闘争で、組合が経常業務を「管理職対応」として押し付けるいやがらせを拒否し、業務命令すること。

八 従来なかったストライキの事前「警告」と就業命令書交付の義務付け

 争議行為に対する職員部監察指導課が各庶務担当課長宛ての「服務の示達」にもとづく一般職員への訓示は、同盟罷業が違法行為であり、これに参加した場合は関係法令に照らし必要な措置をとる等の言及がなく、就業命令でもないことから、「警告」に値しない。地公法32条の適条による懲戒はやらないことが「お約束」であることを示唆し、むしろ違法行為を助長する趣旨となっている。見え透いた八百長のようなインチキな慣行を改め、違法行為には必要な措置をとる等の「警告」と就業命令書の交付に切り替える。就労を申し出る職員を出来るだけ多くするよう努めることとする。

(Ⅵ)各論一(六)参照。

 

 従来、ストの全日に貼りだす 「職員の皆さんへ」(平成20年頃の例-現在もフォーマットは同じと考えられる)

                                                       東京都水道局長

  皆さんは、都民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を行う立場にあります。とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待にこたえるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

 とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待はさらに高まりつつあり、この期待に応えるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

 ところで、全水道東京水道労働組合は、明日318日に始業時から2時間のストライキを予定している模様です。

 皆さんが一斉に職場を離れることは、都民の生活に大きな影響を与えるばかりでなく、都政に対する信頼を都政に対する信頼を裏切ることになります。

 皆さんが、公務員の本分を十分にわきまえ、都民の批判を招くことのないように良識のある行動をとられることを求めます。

  (上記には同盟罷業が違法行為という記載がなく警告に値しない)

 

東京都水道局職員に対する警告兼就業命令書(案) 川西案

 

                                            東京都水道局長 〇〇〇〇

                                            所属長 〇〇〇〇

 

 全水道東京水道労働組合は、〇月〇日勤務時間職場離脱3割動員集会、〇月〇日に8時30分より2時間のストライキ、また自治労連東水労は1時間のストライキを予定していますが、上記の行動は、「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と定める地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項に違反し、庁内管理規程に違反する行為でもあります(この文言に対応して庁舎管理規程に無許可演説.集会の禁止の改正要)。

 争議行為は集団的組織的行動でありますが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものでなく、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者は懲戒責任を免れません(全逓東北地本事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030)。従ってストライキ実行に指導的役割を果たしたり、単純に参加した場合においても関係法令に照らし必要な措置をとらざるをえません。

 労働組合は統制権の行使を理由として、かかる違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は上記組合行動の指令に服従すべき義務はなく、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はありません(国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時689、動労糸崎駅事件控訴審 .広島高判昭48.8.30判タ300)。

 従って、職員各位は出勤時限前にICカードリーダの所定操作によって出勤記録を自ら入力し、定められた時刻より職務を遂行するとともに、当該組合行動の時間に職務放棄しないことを命令する。

 ICカードリーダの出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務でありますので妨害は容認しません。

 また争議行為に際して、スト参加の慫慂、庁舎構内での集会、組合旗、横断幕、立て看板等工作物の設置及無許可で旗・幟・プラカード・たすき・ゼッケン・はちまき、拡声器等を所持又は着用したままの無断立ち入り、ビラ貼り、ビラ配りを禁止します。

 地方公営企業等の労働関係に関する法律111項違反の行為については、当局には地方公務員法第2911号、2号、3号、第32条、第33条、第35条の適条により、懲戒処分等に付す権限、もしくは地公労法12条によって解雇する権限があることについて注意を喚起します。

 また当該争議行為は違法であり、労組法12項は適用されないので、争議行為に際してあるいは付随して積極的な業務遂行妨害、違法行為目的による犯罪構成要件該当行為がなされる場合には、違法性が強く推定され、厳正に対処せざるをえないので注意を喚起します

 

九 ストライキ当日の労務管理の全面的見直し

(一)組合に操業権を否定する権限などなく、業務は管理職対応とする組合の要請はきっぱり拒否すること

 労組側は、ストライキ時の職員を使った業務遂行をしてはならないとして当局の操業権を否定し、当局が非組合員や脱落組合員に業務命令をして操業を維持させない方針であり、当局も組合に従い、保安要員以外の必要業務を管理職対応としているが、この要求は不当なもので呑む理由はなく、全職員に業務命令し、非組合員はもとより組合員も切り崩して、同盟罷業参加者を一人でも減らすよう管理職に義務づける。

(二)管理職による非組合員締め出し、就労阻止の命令の禁止

 管理職が組合の要請に従いストライキ防衛に協力するため非組合員は組合の説得に応じることを事実上の義務としてビケットラインを通過してはならず、出勤時限前にICカードリーダにより電磁的に出勤入力することを禁止する悪しき慣行がある。

 就業の権利と義務のある職員を事業場から締めだす慣例が職員部監察指導課承認のもと組織的に行われている。就業規則に定められ服務上の基本的な義務を現場の管理職が勝手に変更することは権限を逸脱し、職員の就労する権利と義務を否定するものであるからこの慣例は廃止する。

 管理職が職員にピケライン通過の禁止を命じた場合は、権限を逸脱し、組合と共謀して違法行為に加担したものとして懲戒処分の対象とする。

(三)三六協定未締結でも労務指揮権を放棄してはならない

スト前日から当日は組合が三六協定破棄するのが通例だが、組合の主張のように時間外の労務指揮権が消滅するものではないので、労務指揮権や施設管理権を放棄しないことを義務付ける。

 

(四)スト集会に参加する組合員に就業命令を徹底的にやり、スト指導者等の現認検書上申を義務付ける

 従来全く行ってない、ストライキ当日の集会参加者に、中止・解散・職場復帰命令、就業命令を徹底して行うことを義務づけ、監視・写真撮影する。司会者、演説者等その内容を記録し、現認検書の上申を義務付ける。

 職員部監察指導課では、就労命令をしたり、ストで指導的役割を果たした、もしくは率先助勢者の現認検書の提出を義務付けていないので組織ぐるみで就業命令はやらないことになっているが、国の官公庁では就労命令を必須の事柄である。

 各事業所のスト集会等違法行為の実行行為者は組合の意向を汲んで、懲戒処分を避ける体制となっている。支部長の訓告は懲戒処分ではない。スト指導実行行為者を懲戒処分の対象から外すのは適切でないので、その前提となる、就業命令等を必須とすべきである。

 

(五)ピケッティングの取り締まり

 庁舎構内のピケッティングは、違法行為の慫慂それ自体が地公労法111項後段違反であり、多衆による包囲、通行妨害は庁舎管理規程違反として、中止、退去命令し、監視、写真撮影し、現認検書の上申を義務づける。

 小人数の場合は、地公労法111項後段所定の禁止事項の違反として戒告以上の処分対象とし、物理的に就労を阻止する大量動員ピケがあった場合、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる。告訴も辞さず、少なくとも実行行為者の懲戒処分の量定は重くする。

 

(六)業務妨害に対して、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる

 多衆で執務室を占拠し業務遂行を不可能にするシットダウンストライキや業務用機器隠匿による積極的業務妨害を行う事業所がある。庁舎管理者は管理意思を明示し、業務遂行を物理的に不可能とする職場占拠は、退去・解散命令する。業務用機器の隠匿等による業務妨害には原状回復命令し、強行した場合の威力業務妨害罪を成立させる。

 

(七)非組合員を事故欠勤とすることは不正給与支出なので禁止、申請者と指図する管理職は詐欺行為として処分する

 

 非組合員にも就業命令を徹底する。組合の説得に応じてピケラインを通過せず就労しない非組合員を「事故欠勤」とする措置は組合との共謀しスト防衛のためであり、ピケラインを通過しない場合は実質スト参加者なので、賃金カットとする。

 水道局処務規程55条「事故欠勤」とは「職員は、交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できない」場合に適用されるもので、勤務実態なく給与を支給するのは不正会計支出であり、詐欺行為であるだけでなく、その目的が非組合員に業務命令しストに対抗した操業をさせない。スト完全防衛である。違法性が強く推定されるので、申請した非組合員の事故欠勤を承認した者も懲戒処分とすること。

 関連して、非組合員の就労の権利侵害の是正につき(Ⅵ)各論一参照

十 ストライキ待機は退去命令し建造物侵入罪を成立させる

 ストライキ前日から当日の未明、「ストライキ待機」と称し、組合役員がストライキの準備のため深夜執務室を出入りしたり寝泊りする慣行を承認しているが、組合員へのスト突入指令の伝達、スト集会の準備等違法行為目的での庁舎利用であり、セキュリティ破りをやめさせ、管理意思を明示、パトロールにより退去命令し、建造物侵入罪を成立させること。

 

十一 懲戒処分の在り方の是正 安心して違法行為ができる職場を改革すべき

 全水道東水労の過去3回の同盟罷業の懲戒処分等は以下のとおりである。

 

平成221210日 1時間スト

 

同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名(下水道局職員含)の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく人事記録に載るだけなので痛くない。スト集会参加の組合員は賃金カット(組合が補償する)

平成26124日 1時間スト 

同盟罷業 争議行為が続行(中野営業所業務移転拒否闘争)しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。スト集会参加の組合員は賃金カット

令和元年1220日 1時間スト

 

同盟罷業 令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分。スト集会組合員は賃金カット

 

 東京都の懲戒処分は、組合の機関責任のみを問う形式で、水道局の全水道東水労の場合、本部中央闘争委員のみにしぼっており、実際に各事業場のスト集会実行行為者、ストを指導している本部委員・統制委員・支部・分会役員等が懲戒処分に付されることはない。各事業所の組合員は組合活動で不利益賦課させないという組合の方針に従った対応になっているので、安心して違法行為の慫慂「あおり」「そそのかし」という違法行為ができる職場となっている。安心して違法行為ができるのである。

 これは、争議行為は違法であっても団体たる労働組合の行為としての、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であるから、指令に従って組織の義務としてストを指導している個々の組合役員は責任を問われないとするプロレイバー学説を当局が呑んでいるためだが、この組合側の主張は、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集3251030「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示したことであり、最高裁が明示的に否定しているので、東京都の懲戒処分方針は左翼体質で異常である。

 各事業所でストに指導的役割を果たした場合は、本部委員、統制委員、支部・分会役員のほか、無役の組合員、管理職においても率先助勢した場合は、戒告以上の処分の対象とする方針に改めるべきである。

 私案は事業所スト集会毎の指導者につき最低一人は戒告にする。悪質な場合は複数以上の処分で量定も加重する。

 また、年間34回恒常的に行われている3割動員勤務時間内職場集会であるが、当局も争議行為と認めているので賃金カットだけはする(組合が補償するのが通例)。争議行為と認定しているのは、佐教組懲戒処分事件・最一小判昭63.1.21334割休暇闘争を争議行為としているためだろうが、動員1回につき3時間程度の欠務であるから、年間9時間ぐらい動員に行っている組合員はざらにいる。ベテランの組合員ではスト参加も含め累計100時間以上欠務している人も沢山いるはずである。例えば3年間で15時間の欠務といった基準で戒告等処分対象とすべきである。

十二 勤務時間内洗身入浴は賃金カットせよ

 シャワー、洗身入浴に関する内規、運用の見直し、洗身入浴が労働時間に含まれないことは最高裁判例で確定しており、賃金カットの対象としていないのは不適切なので是正する。

 

十三 保険の勧誘員は中央労働金庫以外の立入を禁止すべき

 十年以上前から苦情を言っていることだが、水道局の事業所によって、水道局庁内管理規程五条八で禁止事項となっている保険の勧誘をエントランス、廊下でなどを惰性で禁止なのに許可しているため、多数の保険会社(少なくとも第一生命、住友生命、明治安田生命、日本生命)の勧誘員でうるさい状況がある。目的外使用許可として不許可とすべき。ただし中央労働金庫の営業宣伝活動のみ組合活動の一貫として目的外使用を特別に認め組合に配慮する。組合を信頼し、入室名簿に記入すれば立入禁止エリア室内も可として便宜供与する。違法行為でない組合活動は平時には認める方針である。

 

十四 まとめ 組合の以下の主張に、局は反論し是認しないようにする

 東京都は組合の論理で労務指揮権が掣肘され異常だ。下記の見解は実質違法行為を助長、支援するものであるから受け入れないことを今後の方針とすべき

(一)争議行為は労務指揮命令系統から離脱する行為なので就業命令できない

 争議行為中であっても就業命令は当然できる 根拠 神戸税関事件・最三小判52.12.20 北九州市清掃事業局小倉清掃事務所事件・最二小判昭63.12.9

 

(二)就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊する。統制権により脱落組合員の業務命令は認められない。

 違法争議行為の内部統制権は否定されており、組合員であれスト参加の勧誘.説得に受忍義務はない 根拠 国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28 全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)  動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)

 

(三)争議行為は組織的団体行動であるから、指令に従って組織の義務を果たす場合は、たとえ違法であれ、組合員個人として懲戒責任を問えない。

 違法争議行為に参加して服務上の規律に違反した個人は集団性ゆえに責任を免れることはない 根拠 全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18

 

(四)労働基準法第34条第3項により休憩時間の組合活動は規制できない

 休憩時間の自由利用といっても企業施設内において行われる場合には、使用者の管理権の合理的な行使として是認される適法な規制による制約を免れることはできない。 根拠 米空軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29 目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13

 

(五)争議行為に対抗して非組合員やスト反対の組合員に業務命令し操業を維持してはならない。必要な業務は管理職対応とする

 私企業においてストライキの期間中であっても,業務の遂行を停止しなければならないものではなく,操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができる。正当なストに対抗して第二組合員、スト反対の組合員、脱落組合員、非組合員、臨時雇用者に業務命令し操業を維持することは正当な権利なのに、違法ストに対抗して業務命令することが認められないというのはありえない

 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件・最大判昭33.5.28、進駐軍横浜(駐留軍横浜陸上輸送部)事件・最二小昭33.6.20 東北電力大谷発電所事件・最一小昭33.12.15、嘉穂砿業事件・最一小判昭35.5.26、山陽電気軌道事件・広島高判昭52.2.10

 公共企業体でも国鉄はストライキ時にスト反対派の組合員、非組合員に業務命令し列車の運行を維持している。旧郵政省はスト決行時全逓組合員にも業務命令し、就労できる職員を確保すべく努力している

 根拠 動労糸崎駅事件・.広島高判昭48.8.30(上告審最一小決昭51.4.1棄却)、動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.2(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)、国労東和歌山.和歌山駅事件・大阪高判昭50.9.19、京都西郵便局(太秦郵便局)事件・京都地判昭55.6.6、郵政省下関局事件・山口地判昭60.3.19

 

(六)ピケット権があるので、ストライキ防衛のためスト破りを排除できる

 最高裁は私企業でも積極的業務妨害を正当な行為として認めていない。争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件・最大判昭33.5.28、久留米駅事件・最大判昭48.4.25

 物理的に就労阻害する場合(不法な威力 、業務妨害.マスピケ.占拠.逮捕行為.強制的拉致)は、争議行為に労組法12項の適用の有無いかんにかかわらず、業務妨害罪や逮捕罪が成立する 根拠 全逓横浜中郵前ピケ事件、動労尾久駅事件最三小決昭49.7.1(乗務員の強制的拉致+マスピケ)、動労糸崎駅事件(運転席占拠+マスピケ)、動労鳥栖駅事件、国労東和歌山駅事件、尼崎駅ピケ事件・最一小判昭52.10.20、春闘松山駅事件・最小二判昭53.3.3、動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.2(物理的に業務遂行を妨害するマスピケ)、光文社事件・最三小判昭50.5.8(出勤途中の包囲ピケ逮捕行為)

 ピケッティングの指導・実践は地公労法11条1項後段所定の「唆し」「あおり」なので違法

根拠 北見郵便局懲戒免職事件・札幌高裁昭54.3.29、北九州交通局事件・福岡高裁昭55.12.22

 なお、組合側はピケット権ないし業務被害権があるという主張の根拠として地公労法111条違反の争議行為につき札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311(脱落組合員が乗務する市電の車庫から出庫を阻止するための40名ほどのマスピケ)を無罪とした例を挙げるかもしれないが、この判例は中郵判決や都教組判決が維持され公務員の争議行為にも刑事免責が適用され、可罰的違法性論が実質否定されていない時期の判例で、32の僅差であり、松本正雄裁判官の長文の反対意見がある。

 可罰的違法性論は国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419の判断枠組みで採用されなくなった。

 松本裁判官の反対意見にある違法争議行為に内部統制権はないという趣旨は、横浜中郵事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20判時689の中野次雄裁判長が採用し、争議行為に労組法12項刑事免責は適用されないという趣旨は名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4に採用されている。

 今日では松本反対意見が最高裁先例の見解になっているわけで、地方公営企業で刑事事件が稀少なため判例変更されていないだけで、公労法と地公労法の争議行為禁止の趣旨は同じなので、名古屋中郵判決の判断枠組みが作用され、実力ピケが無罪となることはありえない。

 

(Ⅳ)全水道東水労の争議行為、大衆行動等の違法性の概略

    恒常的・頻繁かつ積極的業務妨害もあり悪質

一 ながら条例改正の意義は認めるが争議行為抑止には役にたっていない

 まず都議会主導の改革である平成15年のながら条例改正以降の状況の変化について述べますが、結論として、その意義は大きいけれども、争議行為抑止にはつながっていません。

 平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動や頭上報告等について質問、職務専念義務違反を指摘したため、東岡職員部長が、組合活動は原則として勤務時間外にさせるよう、頭上報告等は賃金カットの警告をすると答弁したということがある。

 平成20年代は頭上報告の警告を行うようになったので、勤務時間内組合活動は自粛傾向となり闘争期間の殺気だった騒々しさが薄れたのは事実である。しかしそれ以外は一切職務命令しない方針は同じで、後藤都議の質問で問題が本質的に解決したわけでは全くない。

 つまり、その後1時間ストが6回決行されている。平成16年に業務手当廃止をめぐって4か月に及ぶ大きな闘争があり、7月と10月に1時間ストライキ、34割動員集会は6回以上、10月に9日連続の超過勤務拒否闘争などあらゆる戦術を尽くした。平成20年以降過去16年の主な争議行為は、1時間の時限ストライキは、平成20年以降4回あり、平成26年まで3年おきにストが決行されている。その後6年たって令和元年にスト決行以来スト突入はない。                                               

 東水労は令和51221日に2時間ストを配置し、4年間不実施のストライキを決行する雰囲気があったが、当局が繁忙事業所の増員を最終回答したことから、ストは延期、124日にも1時間ストを配置したが最終的に当局の回答を受け入れストは中止されている。

 昭和4050年代には官公労ストは毎年のように頻繁にあったが、平成以降公務員のストは激減している状況からみて全水道東水労のストライキは相対的にみて頻繁かつ、当局が争議行為と認定している勤務時間内3割動員集会は毎年34回実施されるので、恒常的に争議行為のある職場の実態は何も変わっていない。

 なお都労連(都庁職、都教組、都高教、東交を含む)の賃金確定闘争は平成111112日以降時限ストを決行していない。

 平成以降一般の地方公務員ストが激減しているのは水道局では適用されていない地方公務員法、62条の2(旧614号)であおりの罪、あおりの企ての罪等の罰則規定があり、あおりの限定解釈はしないことが平成初期までに最高裁で確定したので、組合事務所に家宅捜索、検挙されるリスクがあるためと考えられるが、本意見書は水道局だけの問題に絞ります。

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二 管理職に争議行為の正当性を承認させ組合側に取り込む闘争スタイル

 

 全水道東水のスケジュール闘争は、オルグ演説により、毎年11月初め頃(秋季.年末闘争)と2月末頃(春闘)の2回にスト権一票投票が呼びかけられ、毎回92%以上の高率で批准され、年最低34回(11月、1212回、3月)時限ストライキを配置し闘争体制をとる。当局に要求項目の回答を求め、「大衆行動」と称する組合員大衆を各戦術に動員して巻き込んでいく闘争体制をとる。

 闘争の特徴としては「所属長要請行動」が典型だが、大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものである。

 役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、言うことをきかなければ怒号が飛び交い、吊るし上げる態様のもので、事実上執務妨害だが、拒否したり、退去・就業命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、闘争期間中の職務命令はしないという慣例によるものと考えられるが、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもある。それゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。国の省庁なら、執務妨害行為で懲戒処分とされるのが普通だが、東京都は執務妨害は組合の業務妨害権の行使として認めていたのである。

 但し、後述のとおり平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動の質問をしたことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、昼休み等に移行させることとなった(最新の例は令和6125日に西部支所と営業と配水を統合した支部の所属長要請行動が昼休みにあった)。

 その後は、ステッカー(ビラ)貼り、朝ビラ情宣、「昼休み集会」(闘争化課題を確認し組合員の意思統一を図る)、「勤務時間内職務離脱2割、3割等動員決起集会」(支所・合理化拠点.都庁構内、組合員の志気を鼓舞、昂揚させストライキ決行に向け態勢を固める集会)、「三六協定一方的破棄超勤拒否闘争」(職制麻痺闘争)は国労や全逓が得意としていた三六協定未締結闘争を軸として闘争がなされ、所属長要請行動も昼休み行われているが、私が勤務した職場では、低調になった心証である。

 その他、団結組合旗の寄書きの掲出などの戦術をみたことがある、最近は見てないが春闘のワッペン闘争も行われていた。平成16年の業務手当闘争の頃までは、本庁庁舎内デモ、庁内廊下座り込み、青年女性部独自行動。部会独自行動も行われていた。

 懲戒処分については、水道局長名義で、組合執行委員長に対しては違法行為であるとして警告をしているので、ストライキが決行された場合、組合の機関責任を問うという形で、本部中央闘争委員会の34名を停職処分とする。過去最大平成26年の停職18日である。

 懲戒責任は本部中闘にかぶせて、他のストライキを共謀・企画・実行する本部委員・支部分会役員以下は、支部長が・23年以降の処分発令から訓告処分(懲戒ではない)としたが、それ以外は一切違法であっても責任は問わないというのが、東京都の基本方針である。

 本部中闘だけ責任をとらせる方針は、片岡曻1969「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法7314頁の以下のプロレイバー学説に近い。

 「たとい労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、‥‥使用者との関係における個別契約法的評価にさらし、使用者からの懲戒その他の民事上の責任の追及を許容することはできない‥‥」

 争議行為は組織的集団行動だから、指令に従って組合員の義務としてストを実行する組合役員以下の責任は問うことは許さない組合側の方針に従った、懲戒処分の方針であるが、このような組合側の見解は、全逓などが主張していたことと同一である。

 従って各事業所においては、スト集会等の実行行為者は懲戒処分されることはない。正当でない組合活動を保護し、企業秩序を乱すことを容認している。業務命令等は職員部監察指導課からの争議行為対応の通知で求められていないので、現場の管理職は犯罪構成要件該当行為であれ、管理意思を一切示さず、拱手傍観する。全面協力である。

 むしろ組合の違法行為の慫慂、勧誘、説得に応じない、非組合員は出勤入力をさせず事故欠勤として就労を許さないのが通例のことになっている。組合の掣肘を受けて、労務指揮権、施設管理権を凍結することこそ組織の方針としてコンプライアンスと認識され、正常な業務運営の維持は管理職としての債務の本旨とは考えられてないという異常な職場なのである。

 なお、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集3251030が「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示しているのに対し、指令を受けて組織の義務を果たしストを指導する組合役員以下は懲戒処分にしない組合側の主張に取り込まれている東京都は最高裁判例を無視したものとして激しく非難されてよいと考える。

 当局と労組の癒着のもとに本部委員・支部分会役員がどんなに悪質なことを繰り返しても懲戒処分しない方針は組合役員を増長させている。規律ある業務の運営態勢を確保するために、抜本的な改革を提言するというのが本意見書の趣旨であります。

 なお、議会が懲戒処分方針に干渉することはありうる。例えば昭和58107日の大分県教組・高教組の2時間スト(定時制は1時間)は小中高全職員の78.4%がストに参加したが、9年ぶりの参加者全員懲戒処分(減給又は戒告)が発令された。それは前年7月の大分県議会で、自民党等が前年のスト処分につき、県教委が「文書訓告者が違法ストを重ねた場合は、懲戒処分の強い姿勢で臨む」と言明してきたのに、軽い処分に止めたことで議会が空転、教育委員長は辞意を表明し、「今後‥‥従前より厳しい措置で対処する」旨言明し混乱を収拾した経緯による(大分県教組人勧スト事件・大分地判平5119判時1457)。控訴審福岡高裁平12106判タ1108は本件処分を適法としている。

三 全水道東水労の平成12年以降の主な争議行為 

 争議行為は恒常的に行われていることだが、時限ストライキ(同盟罷業)を中心に表にしたもの。昼当番拒否闘争は平成13年頃も行われていたと記憶しているが記入していない。29分職場大会などは省略しており見落としがあるかもしれない。懲戒処分を記録しているのは、平成22年以降である。

 


★平成111112

1時間ストライキ


同盟罷業 都労連スト


★平成16730

1時間ストライキ

(業務手当完全防衛闘争)


同盟罷業 通常ストライキを12回配置した局内闘争では職場離脱3割動員決起集会は多くても2回だが、この闘争では630日、713日、722日、728日と第二庁舎前15時より4回決行している。当時私は保安要員の水特隊勤務で争議に巻き込まれてないが、たまたま本庁に交換便業務で立ち寄ったとき、第二庁舎前集会終了後、鉢巻をし、組合旗や幟を持った組合員が庁舎に雪崩こんで、練り歩くデモ行進、示威行為を目撃した。退去命令や監視はなく、案内所の女性が唖然として見ていた。このほか726日、27日は14時より第二本庁舎内座り込み2割動員。この闘争は1022日まで続く長期の闘争となった。このほか、以前より行われていたことだが、623日から730日まで「ステッカー闘争」「立て看板闘争」が指令されている。西部支所では横断幕。千代田営業所は倉庫に、東一・支所江東営業所は駐輪場に立看板が置かれていて、闘争時に千代田営業所は1階屋根付き駐車場、東一支所・江東営業所は正面玄関前ロータリーに出していた。元々あったものである。


★平成16101

 


同盟罷業 1時間ストライキ(業務手当完全防衛闘争)


★平成1610月(業務手当完全防衛闘争)


22日の3時間ストライキは中止されたが、その前段で101321日9日間の三六協定破棄超勤拒否闘争、15日通常の闘争ではやらない午後14時から第2庁舎前で職場離脱4割動員決起集会が行われている。1020日は午前9時より第二庁舎座り込みが行われた。高橋局長は、妥結後、交渉経過の組合役員による勤務時間内職場報告を許可するなど組合にサービスし全職場で組合の演説が行われた。


平成20319日 1時間スト 西部支所等は来客用駐車場で集会


同盟罷業 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安職場であったが、唐突にストライキがあり、西部支所と西部建設事務所はストライキを行った。


平成221210日 1時間スト

中野営業所 駐車場で集会

○○所長就業命令なし


 同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告(1時間ストライキ)これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく痛くない。


平成231031日~2日と4日昼休み当番拒否闘争 管理職は闘争を全面的に容認し、代務として管理職を動員して対応している。昼当番拒否者は、不完全就労であるが○○所長から直接賃金カットしていないと聴いた。


 昼休み当番業務を組合が業務管理し組合役員が管理職に電話当番や、料金支払いのレジ業務を指図する(実質労務指揮権を組合がはく奪)する争議行為。

 足立営業所の監理団体業務移転の提案に反発して突発的にスト権一票投票もやってないのに、突然分会委員長が当局の提案に反対するため2名配置の昼休み当番を引き上げ、電話と窓口を管理職対応とすると宣言。組合役員が管理職に指図して仕事をさせるいやがらせである。当番の職員の代務者に組合役員となり、管理職に仕事を押し付けるが後ろにみえないところで控えていて、経常業務に不慣れな管理職に質問があったら、こう端末を操作するとか、回答するとか、指図する役となる。中野では昼当番は窓口のレジと電話と2人体制であるので、営業所長(後に監察指導課長、労務課長の○○)と、もう1名は西部支所配水課もしくは給水課管理職が応援体制であたっていた。昼休み当番は不完全就労だが賃金カットはしていないと所長が言っていた。

 昼休みは、午後0時から1時だが、労働協約で1時以降にずらして休憩時間をずらして勤務させることができるとしており、正常な業務運営ではなく、地公労法111項違反だが、当局は争議行為と認定していない。

 


平成26124日 スト 中野営業所 駐車場で集会 ○○所長 就業命令なし。


同盟罷業 争議行為が続行しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。


★平成26128日~2月下旬 中野営業所業務移転拒否闘争

○○所長は外来者の本部委員の勤務時間内オルグ、退去命令できず、人事課説明会ピケ容認、組合の移転準備の業務命令をさせない工作により、管理職は職務命令を凍結して闘争に加担。


 監理団体移転業務のため固定資産.備品の帳簿の現品確認に来た本庁職員を追い返し、管理団体派遣説明会の前にピケを張って出席者の入場を阻止。所長に監理団体委託関連業務の業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為。

 争議行為は続行し、中野営業所では業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。220日停職中の本部書記長○○が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、これに先立ち129日本部委員の○○が勤務時間中のオルグのほか職員部人事課の監理団体派遣説明会の前でピケを張り業務を妨害、また○○中野分会書記長が、本庁サービス推進部職員が、固定資産、備品リストの現品照合のため来庁したところ、課長補佐(営業係長)を闘争指令に従うのが組合員の義務など言って恫喝し本庁職員の作業を断るよう指図して、本庁職員を追い返す積極的な業務妨害であった。さらに○○所長に移転関係の業務命令を出さないよう指図するなど悪質な行為が行われた。最終的にはサービス推進部担当者に謝罪を強要し、7月移転に日程を変更させた。実力で3か月移転を遅らせたことを組合は誇っている。このような組合が労務指揮権を奪ってしまう違法行為でも当局はいっさい問題視していない。

 管理職は業務命令ができないというガバナンス問題は全く解決されていない。


令和元年1220日 1時間スト 新宿営業所 ○○所長 事務室内ピケッティング容認 事務室内集会に就業命令等なし、外形上犯罪構成要件該当行為容認。


 同盟罷業+積極的に業務遂行を妨害する職場占拠(シットダウンストライキ、)、業務用機器の隠匿により業務遂行を不能にするきわめて悪質な態様。外形上威力妨害罪の構成要件該当行為も公然となされる。

(令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分)。

 

 水道局では私が経験したものでは2時間ストが最大で1回だけ平成初期にあった、過去7回は1時間ストである。その理由を推測すると、単純参加者の処分の雛型と思えるのが、昭和46年の林野庁の半日ストの処分例で、2時間程度職務放棄で戒告、4時間以上で減給が通例である(全林野旭川地本事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900 ストの指導を理由として旭川地本役員停職十日~三月、単純参加組合員4時間の職務放棄 減給110 1カ月美瑛営林署分会50人、名寄営林署分会組合員34人、1時間45分~2時間40分の職務放棄 戒告 羽幌営林署分会組合員48人)。当時の相場といえる。昭和48年以降郵政と電電公社で「段落とし」と言って、処分の量定を緩めたが、昭和40年代は、半日以上のストをやると、組合中央執行委員等幹部は18条解雇が普通に行われていたので、いかに違法行為を取り締まらない東京都といえども、目立つストライキをやると態度を硬化せざるをえなくなるから、1時間ストなら、現在ストを指導する役員も戒告にはしないのだから、単純参加者は厳重注意もないので、1時間ストは安全運転と踏んでいるためと思われる。

 組合側は過去の慣例から1時間ストなら、懲戒は本部中闘だけ、国の省庁や厳正な措置をとっている自治体のように大量懲戒処分に踏み込むことはないし、実際、職員一般に事前警告がなく就業命令もやってないので、地公法32条適条の懲戒処分は困難と踏んでいる。処分の前提になるスト指導者等の現認検書の上申は職員部から義務付けられてないし、現場の管理職も職員部監察指導課が指示していないことはやらないうえ、非組合員を事故欠勤させるなど管理職がストに協力している馴れ合い状態なので、懲戒処分の対象は拡大しないのである。

 

 次にスケジュール闘争で毎年恒常的になされている争議行為、大衆行動と称する活動につき述べる。

 勤務時間内離脱3割動員決起集会は近年では年間34回動員指令され、最近は都庁構内の集会に限定されているが、コロナ渦自粛期を除いて、年中行事です。午後3時半ころから開催されるとしても、本庁以外は1回につき組合員3割の職員が3時間程度の欠務となる。かつては動員職員を引率するなど闘争期間中組合員は必ず1回動員集会に参加することになっていたが、近年は低調に思え、実際3割欠務しているかどうかはわからない。平成16年の4か月続いた業務手当完全防衛闘争では、正確に把握してないが3割動員や4割動員は6回程度行われている。本当に3600人の集会があったのか数えていないから確認はできないが、相当の人数が参加していたと思われる。2割動員集会は、年次有給休暇の時間給の取得を認めて全面的に容認されている。

 動員というのはほとんど組合員の責務と認識されている状況だが、当局が3割動員を争議行為と認定している以上、違法であるから指令を受忍する義務もないのである。

 3割動員は当局が争議行為と認定しているので賃金カットする。争議行為と認定する理由は聴いてないが、たぶん、佐教組懲戒処分事件.最一小判昭63.1.21判時12843割・3割・.4割休暇闘争を争議行為としているためだろう。

 また当局は適法としているが、悪質な職制麻痺闘争であり争議行為の疑いが濃い三六協定一方的破棄(超勤拒否)闘争も戦術の大きな柱になっている。国労や全逓が得意としていた戦術だが、下位職の経常業務を助役におしつける国労と同じく、水道局でも組合の指図で、経常業務を管理職にさせるいやがらせがある。国鉄では三六協定が未締結でも業務命令しており、労働基準法に違反する業務命令に基づく業務であっても、刑法上の保護を失うものではないことは先例があるが、水道局の場合は組合の言いなりで、時間外の労務指揮権が消滅するという組合の解釈に従っている点が問題である。平成5年度は113月に営業所では7日間の定時退庁の闘争があった。特に大きな闘争でもない限り年間10日以上に及ぶことはない。ただし、業務手当防衛闘争で平成1610月には9日間連続の超過勤務拒否を全局で行うなど、1時間ストよりも影響の大きい事実上の争議行為が行われた。ほかにも平成1612月配水部会等だけで6日間連続など行われている。

 所属長要請行動は、平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が水道局北部支所の勤務時間内の「所属長要請行動」で机に穴を開けた事件や頭上報告が職務専念義務違反ではないかと質問したことを契機として、当局は勤務時間中の「所属長要請行動」や組合の演説行為(頭上報告やオルグ演説)等、野放図に認めていた状況をあらためざるをえなくなり、質問に対する東岡創示職員部長の下記引用する答弁で示されている通知により、昼休み等時間外に移されたので、近年では低調になっている。

 東岡職員部長 「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました。」

 所属長要請行動が勤務時間中にやらなくなったのは事実であり、以前のように、騒々しく怒鳴り散らし殺気立った状況はみられなくなった。しかしこれは交渉ではなく、組合の多数の威力で管理職にいうことをきかせるため執務妨害行為で多衆により威圧する脅迫に近く、許容する必要のなかったものであることは既に述べたとおりである。

 なお、勤務時間内の組合活動は東岡通知により以前より低調となっていることは概ね事実である。私が平成214月から26年在籍した中野営業所の管理職が賃金カット(月間累積30分の職務離脱)の対象になると警告している例を見たことがある。しかし本部役員や他の事業所の役員が、建造物に侵入してオルグ演説することは職務、義務違反ではないので、警告対象から外れている。要するに東岡通知は、職務専念義務違反以外の違法行為や企業秩序行為を否定していない重大な欠陥があるので見直す必要がある。

 このように、東京都水道局においては、国の省庁のように、闘争期間の庁舎構内の便宜供与拒否をいっさいしないので、事務室内等の「昼休み集会」、オルグ演説、支所等構内で実行される地公労法111項後段の違法行為である「そそのかし」「あおり」そのものである違法行為が許容され、毎年のように恒常的、常態です。違法行為は抑止されず、管理職には抑止する意欲も全くない。実際、職制の労務指揮権、施設管理権の掣肘を目的とする所属長要請行動は低調となったにもかかわらず、平成16年以降ストライキは6回実行され、争議行為抑止は役立っていないのである。

四 平成15年「ながら条例」の改正の影響

 「昼休み集会」は、平成1213年頃も行われてはいるが、重視されるようになったのは平成20年代以降のことである。それは以下の事情による。

 東京都の勤務時間内組合活動について見直される契機となったのが、平成15年の昭和41年制定「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」(通称ながら条例)の改正である。

 条例改正により給与に換算して年間197千万円の有給組合活動が見直され、13億円削減となる勤務時間内の組合活動の職務専念義務免除基準が改正された(『産経新聞』平成141115日「東京都と組合合意『ながら条例』改正合意-有給活動3分の1に削減」。)

 住民監査請求もなされた上、平成14年に「三羽ガラス」と称される保守系議員、古賀俊昭都議(自民党.日野市選出)の代表)、土屋たかゆき都議(民主党.板橋区選出)が一般質問において追及し実現したもので、都議会主導の労務管理改革として特筆できる。

 企業局においても条例改正以後、部会や支部委員会その他の組合の会合等が勤務時間中に職務専念義務免除(略して職免という)として容認されていたものを、無給の職免あるいは勤務時間内に認めないかたちで仕分けされ、順次段階的に、職免の基準が改定された。

 そもそも「ながら条例」の趣旨は、ILO87条(結社の自由と団結権を保護する条約)批准に伴う関連法案として改正された昭和41年地方公務員法の55条の26項で「職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行ない、又は活動してはならない。」と定めたことによる。

 地方公務員法35条により職員は職務専念義務を負うものであるから、職員団体のための活動等も、勤務時間外にこれを行うことを原則としたものである。これは職員団体の活動は自己の責任と負担において行われことによって結社の自由が確保されるという認識に基づく。

 また、職員の給与は勤務に対する対価としてノーワーク.ノーペイの原則で行われるべきであるから、職員が給与を受けながら職員団体のための活動等を行うことは、本来許されない性質のものである。

 ところが東京都の条例は、条文に「適法な交渉」に加えて「交渉の準備行為」を認める文言を盛り込んだため、実質特例が肥大化し、結果的に部会や支部委員会、組合の会合等が勤務時間中に「職免」として合法化されていた

 昭和41年当時社会党が都議会第一党ということもあって、組合側に既得権を与えることになっていた。36年間等閑にされた問題を掘り起こしたのは都議会関係者の功績といえる。

 しかしながら、「ながら条例」で問題視されたのは職務専念義務免除がなされ当局も公式に認めていた有給組合活動であった。水道局が標的ではなかった。その他の正当な行為とはいえない組合活動、ヤミ慣行が広範に許容されている実態を問題視したわけではない。条例改正で正常化したわけでは全くないのである。

 「ながら条例」改正より前のも水道局の状況がいかに酷かったかということは、註記「平成12年~13年水道局千代田営業所の組合活動及びの違法行動等の記録」を参照されたい [i]。管理職は職場の秩序を乱す行為や、違法行為に対し、いっさい中止命令や警告はしていない、組合の掣肘を受けて労務指揮権と施設管理権を管理職は放棄しており、闘争期間中は事実上の組合支配の実態であった。

 当時水道局で勤務時間内になされていた職場集会、頭上報告等や、組合員多数が所長席前に陣取ってなされる、管理職に争議行為の正当性を恫喝して認めさせ、事実上管理職の執務妨害行動である所属長要請行動や、平成11年在籍時の江東営業所の慣行で、午後3時以降の組合会議での職場離脱の容認、「団結味噌汁」という勤務時間内での昼食の調理などの慣例は、「ながら条例」により職免として認められていたものではなく、たんにヤミ慣行であり、国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30民集336676により明確に否定されたにもかかわらず、当局がプロレイバー学説である受忍義務説に依拠した組合寄りの労務管理を行い、勤務時間の職務放棄、離脱、執務妨害行為等を組合の既得権として広範に許容してきた慣行を続けていたものであって、勤務時間内職場集会は、「ながら条例」とは直接的には無関係である。頭上報告や所長要請行動は改正後にも行われていたのである。

五 平成16317日の後藤雄一都議質問の影響

 しかし、後藤雄一都議(無所属.世田谷区選出)が平成16317日公営企業委員会において職員のリークで情報を得たと推定するが、水道局の組合活動の実態について質問を行った。

 後藤都議は、32日北部支所で組合員31人が無届欠勤の組合員の分限免職処分に抗議する所属長要請行動を行ったとき、ある組合員が担当者の机を蹴っ飛ばして穴を開けた事件や頭上報告等について質問した。

 当局の答弁は、勤務時間中の所属長要請行動が執務妨害行為とは認めてないが、これを契機として、組合員多数が所長席前に陣取り、怒鳴りちらし、執務妨害行為を行う所長要請行動は勤務時間中については自粛されるようになった。

 また後藤雄一都議は西部支所ビラ貼りも写真撮影してネットで公開したことから、従来、千代田営業所がとくにひどかったが勤務時間内であれ大量になされていたビラ貼り(ステッカー)闘争も以降自粛傾向になっていたが、最近は復活の傾向がある。

六「平成163月東岡職員部長通知」の影響

 平成16317日公営企業委員会の後藤雄一都議はさらに、勤務時間中に頻繁になされる頭上報告は職務専念義務違反ではないかという趣旨の質問を行った。東岡創示職員部長(後に局長、故人)は「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました」と答弁した。

 これは都議の質問をかわすためのもので、場当たり的、抜本的な改革ではない。東岡通知はただ「職務専念義務違反」という狭い側面だけの是正なのである。しかし頭上報告は演説者の職務離脱だけが問題なのではない。

 頭上報告は、事務室内でなされる組合の演説行為のことで、書記長会議報告、中央委員報告という口実で、各職員は囚われの聴衆の状況である。聴きたくなくても聴かされる。闘争期間になると、ストライキ批准投票の呼びかけ、闘争課題の説明、闘争戦術.日程の説明、指令の伝達、大衆闘争と称する勤務時間内職場離脱決起集会参加(動員集会)の呼びかけ、三六協定破棄超勤拒否闘争の指示、ストライキに向けて頑張りましょうともいう。役員によっては大声でアジ演説を行う場合もあり、強度の演説あおりがなされる。職務への集中を妨げ、職務専念を妨害するものでもある。電話を受ける職員は相手の声が聞こえづらくなる。規律のある業務運営とはいえない、秩序を乱す行為であると同時に、地公労法111項後段所定の「そそのかし」「あおり」を行っているという点、演説内容じたいが違法なのである。それが休憩時間や就業時限前に移行しても違法性は同じである。

 営業所では昼休み休憩時間中の、料金のレジなど窓口対応と、電話を受ける当番を配置して、休憩時間をずらして「昼当番」として勤務している職員がおり、演説を昼休みに移行しても、他の職務への集中を妨げ、職務専念を妨害している事実も同じである。

 私が平成2125年度の間在籍していた中野営業所では3名の管理職が、分会役員の書記長会議その他の組合会議の内容を伝達する頭上報告に賃金カットする旨の警告を行っていたのは事実である。管理職が現認し月間30分以上の累積で賃金カットするというものであるが、所長不在の場合、課長補佐は組合員だから現認はしないと言っていた。実際にカットされていたかは確認していない。

 また、その後も、勤務時間内での頭上報告がなくなったわけではない、ただ頭上報告を出勤時限直前に行うとか自粛傾向にはあるとはいえるし、所属長要請行動が時間外に移されたことから、以前のように騒々しく、殺気だった状況は薄れたことも事実である。

 ただし本部中闘のオルグや、休暇をとって本部委員が勤務時間中にオルグ演説する場合は東岡通知に反しないので容認される。

 平成15年以前は、頭上報告を頻繁に行うことそれ自体がストライキ参加意思を鼓舞し、その闘争意思を堅固にするためオルグ活動、ストライキ体制を強化していくための一環という性格が強いものである。当時はいっさい警告もなく、管理職が業務妨害を受け容れている状況で実質職場を支配し、「昼休み集会」を設定しなくとも、職員をストライキ態勢に巻き込むことが容易だった。

 今日でも事業所勤務の組合員は懲戒処分せず、当局が協力する方針なので、スト決行は容易であるが、建前として組合は、都議会で有給組合活動が非難されたうえ、「平成16年東岡職員部長通知」を都議に答弁している以上、勤務時間内の活動は自粛せざるをえず、「昼休み集会」で闘争課題を確認し、組合員の意思統一を図る方針にしたものと推定できる

七 東京都では違法行為、外形上犯罪でも正当業務と扱われており異常

 水道局各事業所の管理職は、完全に組合の意向に従い、争議行為を正当業務として認めるよう取り込まれており、職員の違法行為等に対し、警戒、制止、就業命令、中止、退去命令等の職務命令はせず(但し平成163月の後藤都議の質問の対応である東岡職員部長通知による頭上報告の賃金カットの警告は例外的に行われることがある)、ストライキに協力する。現認検書の上申など組合に敵対することは絶対やらず、操業権を否定する組合の意図どおり、ストライキに対抗するため、非組合員やストに反対の組合員に業務命令して操業を維持することは絶対にしないのである。つまり組合と共謀して違法行為である争議行為を組合の正当業務として扱っている。

 そもそも局長の服務の示達は各部長級に対する形式的な指示にすぎず、具体的には職員部監察指導課が争議行為対応の指示を庶務課長あてに出している(全管理職ではない)。就業命令せよとは庶務担当課長にいっさい指示してない。

 現場の管理職は庶務担当課長から指示のないことは何もやらないし、営業所の管理職は組合と当局の指図で最低限の業務対応をすることになっているが、それは非組合員や脱落組合員に業務命令して操業をさせないスト防衛のためであり、それは職員部監察指導課も容認しており、組合の論理で管理職は行動し、取り締まりはしないのが基本方針となっている。

(一)本部中央闘争委員の停職13日程度で騙されないでください

 この点当局は、全水道東水労は中央闘争委員を停職としているので、正当業務として認めているわけではない旨反論するだろうが、騙されないでください。これだけ争議行為を繰り返し悪質なのに停職は34名で、令和元年1220日の1時間ストの例では最大13日の停職です。全水道東水労は水道局内の令和元年の組合員総数は2,778名で組合本部費月例給与の1.7%をチェックオフで徴収(これ以外に支部費がある)しているので、闘争資金は蓄積しているはず。組合が補償しても痛くないもので、それゆえ悪質なストが繰り返されている。組合は支部.分会役員以下の懲戒処分、特に大量処分がない限り堪えることはありません。現状は安心して違法行為できるようになっている。

 懲戒責任を問う範囲を本部中闘委員会のメンバーに局限し、実際に各事業場でストを指導している本部委員、統制委員、支部.分会役員、率先助勢者以下大多数の組合員は、懲戒責任を問わない方針としていることが重大問題です(少数組合の自治労連系東水労も組合委員長等に限定して処分しているが、組織率1.1%でほとんど影響力がないのでここでは問題にしない)。

 それでも、1時間ストで本部中闘の停職最大13日はそれなりに重い量定ではないかと思う方がおられるかもしれないが、例えば北海道開発局の昭46715日全開発の午前830分から29分間以内の職場集会では、在庁職員約8500名中77%の約6600名が参加。本部執行委員長.書記長を停職一月、本部副委員長を六月間俸給の月額の10分の1、本部会計長.支部役員(19名)を同じく二月間の減給処分、本部執行委員(3名)支部役員(14名)同じく一月間の減給処分(北海道開発局事件.札幌地判昭54.10.9判時964、札幌高判58.3.15訴務月報299)で、水道局では支部役員以下の懲戒がなく、本部中闘だけで責任をかぶって最大13日の停職ですから、北海道開発庁の処分の方が明らかに重いです。

 また全農林が、1時間のストライキを実施したことにつき、昭和55年に中央執行委員が停職一月の懲戒処分を受けたこと、1時間29分間のストライキにつき、昭和56年に中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキにつき、昭和57年中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキにつき、昭和59426日に副中央執行委員長らが停職三月等の懲戒処分を受け、2時間のストライキを実施したことにつき、昭和60年に副中央執行委員長らが停職四月等の懲戒処分を受けたこと及び29分間のストライキにつき、同年に副中央執行委員長が停職一月の懲戒処分を受けた(全農林82秋季年末闘争事件.東京地判平3.10.31判時1331。全農林は昭和50年毎年のようにストを決行していたこともあるが、農林省の処分の量定との対比では水道局の本部中闘の量定が特に重いということはない。

 事実上、正当業務扱いというのは、大多数の組合員は、同盟罷業が違法行為という「警告」も就業命令も受けておらず、違法行為を実行しても懲戒責任(地公法32条適条の懲戒は絶対しないことが暗黙の了解)は問われないことがはじめからわかっているので、安心して違法行為の慫慂、あおり、ストの指導ができる在り方のことを言っています。

 つまり、当局は組合側の論理で、懲戒処分は個別的労働関係において責任を問うものであるから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員の行為は、たとえ団体として違法な行為であっても、これを組合員個人の行為として懲戒責任を問いえないことは団結権保障の法理の当然の帰結というプロレイバー学説に大筋で従い、スト指令を発出した組合中央の機関責任の部分だけ懲戒処分として責任を問い、指令に従ってストを指導している大多数の組合員は不利益賦課されず、保護する方針をとっているからである。懲戒により責任を問うのは本部中闘だけというのは組合に非常に有利な在り方である。対外的に一応処分はやっていますとの言い訳をする程度の意味しかない。

 もっとも、当局も処分の範囲が狭いという問題意識を持っているようで、平成221210日、26124日、令和元年1220日の1時間ストライキで、支部長を申し訳のように訓告処分にしていますが、これは人事記録に載るだけで懲戒ではありません。支部長は定年間際の一丁上がりの人が多く、痛くありません。本部中闘だけの処分ではゆるいという批判をかわすためと考えられます。

 なお、支部長の訓告についても、訓告処分文書の返還と抗議集会がなされます。組合は不当処分としています。

(二)組織の義務を果たしている組合員の個別責任は問えないという論理は最高裁が否認している

 組合が主張する指令に従っているだけの組合員の個別責任は問えないという論理は、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18で明示的に否定されているし、違法争議行為の決議や指令は組合員を拘束しない。内部統制権は否定されているので、組合員であれストの勧誘や説得を受忍する義務はない(国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28、全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20等)とされているので、この論理も間違っている。

 違法行為であっても大多数の組合員の責任を問うことはしない東京都の方針はその前提が脱法的な論理といえるのである。正当行為でない争議行為を事実上正当化している点で違法行為の助長であり、事実上、組合の方針に屈服している。

 地方公営企業の職員に関する労働関係については、地公労法の定めるところにより、同法に定めのないものについてのみ労働組合法、労働関係調整法が適用され、一般職員に一部適用除外の労働基準法は全面適用される。ただし分限.懲戒.服務は、地方公務員法の定めるところによるので、公法上の勤務関係とされている(名古屋市水道局事件・最一小判昭56.6.4労判36757)。

 地公労法111は「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と規定し、違反者は12条により解雇することができる。

 最高裁は神戸税関事件・最三小判昭521220で競合説をとって国の争議行為対応実務を追認した。すなわち国家公務員法985項(現982項争議行為禁止)と国公法の服務規定違反とは競合的重畳的に成立する。国家公務員は、私企業における労働者と異なつて争議行為を禁止され、争議行為中であることを理由として、当然に、上司の命令に従う義務(国公法981項)、職務に専念すべき義務(同法1011項)、勤務時間中に組合活動を行つてはならない義務(人事院規則1413.17272項)等を免れないと説示した。

 事案は、昭和36102回の勤務時間に食い込む職場大会の指導のほか、1031日から3日間、輸出為替業務担当職員に対し処理件数を低下させるため、輸出事務繁忙期における通関業務の処理を妨げようと企てた。122日一斉に超過勤務命令撤回願を提出するよう勧奨し一括して部長に提出し、午後130分から25分超過勤務に服すべき約45名を三階講堂に集結させた等の争議行為により、全国税関労働組合神戸支部役員3名の懲戒免職を適法とした判例である。官公庁の争議行為は正当業務ではないことと、懲戒処分で責任を問えることは明白である。

 従ってこの時点で就業命令を躊躇する理由は全くなくなった、東京都水道局では、昭和54年頃までは組合活動に対して組合活動に職務命令していたが、抗議活動で職場が荒れるので、職務命令はやらなくなったと仄聞している。組合が管理職の労務指揮権を業務管理して黒いものを白とする労務管理がまかり通っている東京都の管理職は債務の本旨を履行していないのにコンプライアンス経営宣言しているのは恥ずべきことと糾弾されるべきである。

(三)全水道東水労の積極的業務妨害の対応問題

地公労法111項に罰則はなくても、名古屋中郵事件方式で業務妨害罪・住居侵入罪等は違法性が阻却されない

 ここで問題とするのは、全水道東水労の争議行為及び争議行為に付随してなされる外形上犯罪構成要件該当行為である。

 最高裁は早い時期から、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきと判示し(●朝日新聞西部本社事件・最大判昭2710.22民集6927羽幌炭礦鉄道事件・最大判昭33.5.28刑集12816、プロレイバー学説のように、争議権に業務阻害権を含むことを否定している。東京都はプロレイバー学説に忠実な左翼体質で、積極的業務妨害も全面的に容認しているという問題である

 私は、多摩ニュータウン水道事務所、品川営業所、江東営業所、中野営業所、新宿営業所でストライキを経験しているが、多くの場合、スト決行時には構内駐車場で集会がなされる。2時間ストの場合は江東営業所で庁舎内を練り歩くデモもなされるが、むろん単純不作為の職務離脱(ウォークアウト)でも地公労法111項の違反行為であり、解雇・懲戒処分理由となる。

 ところが令和元年1220日の新宿営業所では、ウォークアウトでなく、40名ほどが事務室内の中央部を占拠し物理に業務妨害する悪質なシットダウンストライキ、業務用機器を隠匿して、水道料金ネットワークの端末を使用不能とするとして、業務遂行を不能とする行為が行われていた。外形上、威力業務妨害罪の構成要件該当行為といえる。シットダウンストライキは1937年に米国で流行った悪質な態様であり、争議行為には限界があることを、組合も管理職も全く自覚していないのである。またどこの事業所でも恒常的になされているスト配置日前夜から当日の朝において泊まり込みのスト待機、深夜.未明に出入りしてセキュリティ破りとストライキ突入指令とスト集会の準備が容認されている問題と、本部中執や本部委員のオルグ活動、集会主宰、ピケ等での無断事務室内立入り、庁舎構内立入といった、外形上建造物侵入罪の構成要件該当行為も容認されている。

 組合は当局が管理意思を示していない、容認していることを理由に犯罪は成立しないと言うだろうが、当局が管理意思を示せば容易に犯罪は成立する。

 罰則の構成要件に該当し、違法性があり、責任もある行為は、これを処罰するのが刑事法上の原則であり、東京都が私企業のストでも認められてない犯罪を容認するのは異常で、管理意思を明確に示して犯罪を成立させる方針に切り替えるべきである。

🔶名古屋中郵判決が指導判例とされる経緯

 地公労法は争議行為を違法としているが、一般の地方公務員に適用される地方公務員法62条の2(旧614号)のあおりの罪、あおりの企ての罪の罰則規定は適用されないので、「あおり」それ自体で刑罰に処されることはない。ゆえに家宅捜索が入ることはないが、地公労法111条の後段で「唆し」「あおり」が違法とされている以上、18条解雇や懲戒処分理由となることは先例により明らかなことである。地公労法111項後段(あおり、そそのかし)違反を理由の一つとして執行委員長が18条解雇された事例として北九州市交通局解雇事件・福岡高判昭55.11.1判タ435がある。また懲戒処分の例としては平成26年に組合西部支部長が、東水労は労働組合法が適用される組合なので、ストライキ権があると昼休み集会で述べており、多くの組合員もそのような見解を鵜呑みにしているが、間違いである。

 正確にいえば、水道局職員は労働関係では地公労法が適用され、地公労法4条が「職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定のないものについては、労働組合法(第5条第2項第8号、第7条第1号ただし書、第8条及び第18条の規定を除く。)及び労働関係調整法(第9条、第18条、第26条第4項、第30条及び第35条の2二から第42条までの規定を除く。)の定めるところによる」としている。

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  昭和40年代理論的に揺れ、混乱することとなったのは昭和41年の東京中郵判決が強い違法性がない限り、公労法に労働組合法12項(刑事免責)の適用除外規定がないので適用されると判断したことにあるが、刑事免責が適用されるとなると、争議行為を正当業務と認めたのも同然という解釈から争議権があると主張される場合がある。

 しかしこの判断は判例変更により否認されているので、争議権があるという主張は間違いであるということはいうまでもない。東京都の職場風土では判例変更が徹底していない。

全逓東京中郵事件・最大判昭41.10.26刑集208901は、「公労法18条は、同17条に違反する行為をした職員は解雇されると規定し、同3条は、公共企業体等の職員に関する労働関係について、労組法の多くの規定を適用することとしながら、労働組合または組合員の損害賠償責任に関する労組法8条の規定をとくに除外するとしている。争議行為禁止違反が違法であるというのは、これらの民事責任を免れないとの意味においてである。‥‥公労法171項に違反した者に対して、右のような民事責任を伴う争議行為の禁止をすることは、憲法28条、18条に違反するものでない」と言い、同判決を判例変更した●全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4刑集31318は労働組合又は組合員の損害賠償責任に関する労組法8条の規定の適用を特に除外することを定めているが、これは、公労法171項に違反する争議行為が労組法8条にいう『正当なもの』にあたらないので、損害賠償責任が免除されないことを明らかにした趣旨である」これは地公労法も全く同じであるから、最高裁が一貫して民事免責を否定して、公務員法制の争議行為禁止を合憲としていることは変わらない。

 公労法及び地公労法は、労働組合法12項(刑事免責)が適用除外と明文では示されていないが、●国鉄檜山丸事件・最二小判昭38.3.15刑集17223「公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為について正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがって労働組合法12項の適用はないものと解するのが相当である。」として、船長の乗船拒否にもかかわらず職場集会の指令点検、指導のため乗船した国労青函支部執行委員らの艦船侵入罪の成立を認めた。

 しかし東京中郵判決では「公労法は刑事制裁に関して、なにも規定していないから、これを科さない趣旨であると解するのが相当‥‥公労法3条が労組法12項の適用があるものとしているのは、争議行為が労組法11項の目的を達成するためのものであり、かつ、たんなる罷業または怠業等の不作為が存在するにとどまり、暴力の行使その他の不当性を伴わない場合には、刑事制裁の対象とはならないと解するのが相当である。‥‥争議行為が政治的目的のために行なわれたような場合であるとか、暴力を伴う場合であるとか、社会通念に照らして不当に長期に及ぶときのように国民生活に重大な障害をもたらす場合には‥‥正当性の限界をこえるもので、刑事制裁を免れないといわなければならない。」とした。

 東京中郵判決は争議権の保障・制約=労働基本権の保障・制約という論理的前提に立っており[臼井滋夫1976「地方公務員の争議行為禁止と刑事罰-全逓中郵事件判決以降の判例の系譜から見た岩教組事件判決の意義」『法律のひろば』298号]、東大の藤木英雄教授の可罰的違法性論の影響を受け、先例を覆して労組法12項の刑事免責を認めた。同条項は「団体交渉その他の行為であって‥‥正当なもの」と規定し、刑法35条の適用があるという形式をとっている。刑法35条は法令行為または正当業務行為の違法性阻却を認めた規定である。

 したがって禁止されている争議行為であっても公共企業体等労組の正当業務行為として認知されたと官公労側は解釈した。

 官公労は、勤務時間内職場集会、時間内くい込み行動、順法闘争、安全闘争などと称し争議行為という言葉を避けていたが、ストライキとしてこれらの行動を公然と行うようになり[高島良一1979「公企体関係労働判例の一〇年を顧みて」『季刊公企労研究』40)]、昭和40年代~50年代官公労のストは頻繁に行われていた。

「違法性の強い争議行為でなければ正当」とか「実質的に争議禁止条項に該当しない場合」があるという議論が展開されたのである。

 しかし中郵判決は、田中角栄幹事長をはじめ自民党筋から厳しい批判があっただけでなく、昭和42年夏頃から『全貌』『経済往来』『週刊時事』等を急先鋒として労働公安事件で「偏向裁判」「学生や公安事件での検察側拘置請求が却下されるのは異常だ」という裁判所非難が急速に高まり、その要因は青法協所属裁判官とされた。

 昭和441月横田正俊最高裁長官が退官に際し、裁判所非難の高まりから、佐藤首相は司法の左傾化是正の切り札となる後任人事につき元司法大臣木村篤太郎の推薦によって中郵判決で反対意見に回った陪席裁判官石田和外を指名した。石田長官は期待に応え、最高裁は局付判事補に青法協からの脱退を勧告し、青法協所属裁判官の再任を拒否している。

 最高裁判事人事も石田長官の推薦できる人物が指名された。ただし○昭和444.2都教組勤評事件●全司法仙台事件大法廷判決や、〇横浜中郵事件第一次最大判昭45.9.16、〇札幌市市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311など左派が優勢な時期のため中郵判決を踏襲した判断になった。

 中郵判決や都教組勤評判決で民事免責は否認されていたにもかかわらず、実際には東京中郵判決の争議権の保障.・制約=労働基本権の保障・制約という立論が、懲戒処分取消訴訟にも影響が及び、可罰的違法論を懲戒処分にも応用して、争議行為を理由とする懲戒処分をも無効とした下級審判例も続出した。

〇神戸税関事件の第一審判決神戸地裁昭和44.9.24行集208.91063は「争議行為であっても‥‥違法性の弱いものについては、国公法九八条五項で禁止する争議行為には当たらないものというべき」とする。この立場に立つ裁判例としては〇鶴岡市職事件・山形地判昭44.7.1労旬712号、〇佐教組事件・佐賀地判昭46.8.10判時640号、〇都教組事件・東京地判昭46.10.15判時645号、〇全財務四国地本事件・高松高判昭46.12.24労旬805等である。

 しかし、石田長官退官間際の昭和48425日の労働三事件大法廷判決から、労働基本権尊重派(中郵判決支持派)と石田和外らの秩序公益派(中郵判決反対派)が数で逆転し、石田に続いた最高裁長官、村上朝一、藤林益三は、労働事件において法全体の秩序重視の判断を継承し、藤林コートにおいて遂に東京中郵事件は判例変更にいたった。

 すなわち●全農林警職法事件・最大判昭48.4.25刑集27454、●岩教組学力調査事件・最大判昭51.5.21刑集3051178 は、昭和41年、44年大法廷判例の理論的基盤となっていた刑事民事違法性二元論からコペルニクス的に転回し、違法性の有無と、違法性の強弱に混同があるとして違法性一元論をとって先例を否定した。「あおり」の罪の解釈の「二重の絞り」は誤りとしてこれを変更したのである[臼井滋夫1976「地方公務員の争議行為禁止と刑事罰-全逓中郵事件判決以降の判例の系譜から見た岩教組事件判決の意義」『法律のひろば』298号、1977「公務員等の争議行為をめぐる刑事判例の動向--名古屋中郵事件判決までの軌跡 」『法律のひろば』308号]

 総仕上げというべき●全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4刑集31318 は、公務員の争議行為全面禁止体制を非現業の国家公務員に関して全農林事件判決が、また非現業の地方公務員に関して岩手県教組事件判決が、そうして五現業の国家公務員及び三公社の職員に関して本判決がそれぞれ判示するところは、(イ)公務員及び三公社その他の公共的職務に従事する職員は、財政民主主義に表れている議会制民主主義の原則により、その勤務条件の決定に関し国会又は地方議会の直接、間接の判断を待たざるをえない特殊な地位に置かれている(ロ)労使による勤務条件の共同決定を内容とするような団体交渉権ひいては争議権を憲法上当然には主張することのできない立場にある(ハ)その争議行為により適正な勤務条件を決定しうるような勤務上の関係にはなく、かつ、その職務は公共性を有するので、全勤労者を含めた国民全体の共同利益の保障という見地からその争議行為を禁止しても、憲法28条に違反するものとはいえないと理論を組み立てた上で、「公労法171項の争議行為禁止が合憲である以上、同規定に違反する争議行為に『正当なもの』があり得べき筋合いではなく、したがつて、そこに労組法12項の適用が予定されていると解し得る余地は全くない」と断じたので、争議行為を正当業務とする余地は全くなくなったのである。

🔶東京中郵判決の違法性二元論は違法性一元論へ

 「公労法171項による争議行為の禁止が憲法28条に違反しておらず、その禁止違反の争議行為はもはや同法条による権利として保障されるものではないと解する以上民事法又は刑事法が、正当性を有しない争議行為であると評価して、これに一定の不利益を課することとしても、その不利益が不合理なものでない限り同法条に牴触することはない」

 「‥‥刑事法上の効果についてみると、右の民事法上の効果と区別して、刑事法上に限り公労法171項違反の争議行為を正当なものと評価して当然に労組法12項の適用を認めるべき特段の憲法上の根拠は、見出しがたい。かりに、争議行為が憲法28条によって保障される権利の行使又は正当な行為であることの故に、これに対し刑罰を科することが許されず、労組法12項による違法性阻却を認めるほかないものとすれば、これに対し民事責任を問うことも原則として許されないはずである」

 「公労法31項に労組法12項の適用を除外する旨の積極的な明文の定めがないことを根拠として、公労法171項に違反する争議行為についてもなお労組法12項の適用があるとみてその刑事法上の違法性阻却を肯定するのが公労法の趣旨に沿う解釈であるとする考えがある。しかしながら‥‥労組法の規定を適用する場合を公労法に定めのない場合に限定しているところからみると‥‥団体交渉等については、公労法に定めのない場合にあたるので、労組法12項が適用されて、その正当なものは違法性が阻却されるけれども、争議行為については、公労法171項にいっさいの行為を禁止する定めがあって、これに違反することが明らかであるので、労組法12項を適用する余地はないと解される。‥‥公労法は明文をもつて労組法12項の適用を除外しているわけではないが、それは、公労法171項違反の争議行為を刑事法上正当なものと認める意味をもつものではない‥‥労組法12項が、刑法35条の規定は労働組合の団体交渉その他の行為であって労組法11項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるとしているのは、東京中郵事件判決も説くように、右の行為が憲法28条の保障する権利の行使であることからくる当然の結論を注意的に規定したものと解すべきであるから、前述のように憲法28条に違反しないとされる公労法171項によっていっさい禁止されている争議行為に対しては、特別の事情のない限り、労組法12項の適用を認めえないのがむしろ当然であ」る。

🔶争議行為違反に罰則がなくても他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用できる

法には禁止違反の争議行為に対する刑事制裁の規定が欠けているが、その故をもつて、その争議行為についても原則として刑事法上の違法性阻却を認めるのが同法の趣旨であると解することは、合理的でない。由来、争議行為に関して適用が問題となる罰則には、争議行為の禁止規定の実効性を確保するためにその違反に対し制裁として刑罰を科することを定めるものと、その適用対象を争議行為に限定することなく、ある類型の行為に対し一般的に刑罰を科することを定め、その結果として、争議行為におけるその類型の行為に対しても適用されることになるものとがある。本件で問題とされる郵便法79条1項は、「郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたときは、これを一年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。」と規定しており‥‥公労法17条1項違反の争議行為に‥‥刑事制裁の規定がないことは、その違反を理由としては刑罰を科さないことを意味するにとどまるのであって郵便法79条1項など‥‥罰則に該当する争議行為に対しても刑事法上の違法性阻却を認める趣旨であると解することは、合理性を欠き、他に特段の事情のない限り、許されないのである‥‥およそ争議行為として行われたときは公労法17条1項に違反する行為であっても刑事法上の違法性を帯びることがないと断定するのは、相当でない。特に、この条項は、前記のとおり、五現業及び三公社の職員に関する勤務条件の決定過程が歪められたり、国民が重大な生活上の支障を受けることを防止するために規定されたものであつて、その禁止に違反する争議行為は、国民全体の共同利益を損なうおそれのあるものというほかないのであるから‥‥してみると、公労法において禁止された争議行為が合理的に定められた他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用するにあたり、かかる争議行為とは無関係に行われた同種の違法行為を処罰する通常の場合に比して、より強度の違法性が存在することを要求するのは、当をえないものといわなければならない。」

 これは公労法違反の争議行為の事案だが、公労法3条は、地公労法4条と同じで、公労法171項は地公労法111項と同じなので、この理論は、地公労法適用の職場を別異とする理由はない。

 但し、名古屋中郵判決は、争議行為の単純参加者については、立法の変遷とその底流にある法の理念を根拠として、処罰阻却の法理により単純参加者を処罰の範囲外と結論した。非現業公務員はあおり等積極的に争議行為を指導した者に罰則があるが、単純参加者にはないため均衡をかくうらみがあるためであるが、立法的解釈であり法理論的には問題があり、下田判事の反対意見がある。

🔶「久留米駅事件方式」の総括明確化

 可罰的違法性論が採用されなくなったターニングポイントは、私企業も含め勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準を示した●国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419である。

 久留米駅東てこ扱所二階の信号所の勤務員三名の勤務を放棄させ、勤務時間内職場集会に参加させる意図をもつて、あえて同駅長の禁止に反して同信号所に侵入する行為、労働組合員ら多数が同信号所を占拠した際にこれに加わることは刑法上違法性を欠くものでないとして建造物侵入罪の成立を認めた。

 同盟罷業自体の労働法上の労働法上の合法.違法の評価と付随的ないし補助的な行為についての刑法上の違法性判断とを意識的に区別して、違法性阻却事由の有無についての刑法的評価の判断方式を確立した(久留米駅事件方式)。

「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、その行為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない」という判断方式である。

 専門家の解説としては臼井滋夫最高検検事の判例批評が参考になるだろう。「久留米駅事件方式」の特色として「実質的違法性論に立脚して違法性阻却事由の有無を判断すべきものとしつつ、労働争議においても、一般原則のとおり犯罪構成要件該当性に刑法上の違法性を推定する機能を認め、しかも、この判断が講学上「いわゆる開かれた構成要件」に属するものとして、違法性推定機能が弱いとされている建造物侵入の成否に関してなされたものであることは注目に値するとしている[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号、1977「「可罰的違法性論」に対する批判的検討」『警察学論集』307号]

 久留米駅事件方式の「法秩序全体の見地」に深い意味があって、犯罪構成要件該当行為は労働基本権尊重だとして安易に無罪としてはならないという含意があるとみてよい。

 久留米駅事件方式のように争議行為とそれに付随する行為を分けて法的評価する考え方は、最高裁先例が争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする前提(●朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6927羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12816)にもとづくもので、プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである

 我国には、英国のようにピケッティングを6人以下とし、当該事業所以外の外部支援組合員らによるピケットを違法としていないし、組合員であれストライキに参加しない権利(消極的団結権)が立法化されておらず(米国ではタフト.ハートレー法で立法化されている)、大量動員ピケを規制する立法はないが、最高裁が「久留米駅事件方式」を案出したことにより、ピケッティングの正当性の限界につき,消極的性格の行為の限度にとどまるべきであるという見解が堅持され、いわゆる平和的説得の限度を越えたピケッティングが犯罪構成要件に該当するときは、犯罪の成立を阻却するごく特殊な事情が存在する場合は格別、原則として違法性が阻却されないものとされている臼井滋夫1977 「五.四名古屋中郵事件大法廷判決について-公企体職員の違法争議行為と刑事罰」『警察学論集』307号]

 マスピケや、包囲型ピケッティングの逮捕行為では、着衣に損傷がなく殴る蹴るもしていない逮捕行為(〇光文社事件東京高判昭48.4.26判時708)、その他物理的就労妨害、業務阻害行為につき、昭和40年代に席捲した藤木英雄ピケッティング違法性論を採用して、組合活動だから労働基本権尊重の趣旨で無罪にしてしまう下級審の傾向は久留米駅判決で完全に是正されることになった。

 国鉄が私法上の勤務関係のため、私企業を含めた先例になった久留米駅判決の意義は大きい。

   実際、藤木学説を根拠として可罰的違法性を欠くとして無罪とした判例は130件あったが、久留米駅事件方式による違法性阻却判断基準により、他組合員への断続的暴行、逮捕行為を無罪とした原判決を破棄した日本鉄工所事件最二小判昭50.8.27 以降ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去ったのである[前田雅英1984「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』5514]。

  争議行為(労務不提供)と争議行為に付随する行為(ピケッティング等)を意識的に区別するこの久留米駅事件方式は全逓名古屋中郵事件判決.最大判昭52.5.4に踏襲された。

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  • 全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53.3.3刑集32297香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。

(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

  名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法171項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入つたものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している。

 この判断枠組(「名古屋中郵事件方式」)により威力業務業務妨害罪の成立を認めた判例として、●全逓名古屋中郵第二事件・最二小判昭53.3.3刑集32297(臨時小包便搬出の業務妨害)、●春闘松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集322159(マスピケ)●動労南延岡機関区事件・最一小判昭53.6.29刑集324759(マスピケ)がある。

 東京都水道局新宿営業所のシットダウンストライキや業務用機器の隠匿は(イ)、広範に行われているスト待機の寝泊りによるセキュリティ破りや、本部中執や本部委員の無許可立入によるオルグ演説やピケッティングは(ハ)に当たる。名古屋中郵判決は公労法17条違反の争議行為だか、地公労11条違反の争議行為を別異に解釈する理由がない。

 違法性があり、責任もある行為は、これを処罰するのが刑事法上の原則であるにもかかわらず、東京都の管理職が組織的に是認していることは問題であり、令和元年の事案で私も刑事告訴せず時効にしてしまったことをお詫びしたいと思う。

 なお、組合側は物理的に阻止するピケットも合法と主張する可能性がある。地公労法111条違反の争議行為につき〇札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)・最三小決昭45.6.23刑集246311(脱落組合員が乗務する市電の車庫から出庫を阻止するための40名ほどのマスピケ)を無罪とした例がある。この判例は中郵判決や都教組判決が維持され公務員の争議行為にも刑事免責が適用され、可罰的違法性論が実質否定されていない時期の判例で、32の僅差であり、松本正雄裁判官が長文の反対意見がある。

 可罰的違法性論は国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419の判断枠組みで採用されなくなった。

 松本裁判官の反対意見にある違法争議行為に内部統制権はないという趣旨は、横浜中郵事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20判時689の中野次雄裁判長が採用し、争議行為に労組法12項刑事免責は適用されないという趣旨は名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4に採用されており。

 今日では松本反対意見が最高裁の先例の見解になっているわけで、地方公営企業で刑事事件が稀少なため判例変更されていないだけで、公労法と地公労法の争議行為禁止の趣旨は同じなので、名古屋中郵判決の判断枠組みが採用され、実力ピケが無罪となることはありえない。例えば、名古屋中郵判決が引用された動労南延岡機関区事件.最一小判昭53.6.29刑集324759は機関士の乗務を約500名のマスピケで阻止した事案を有罪としているが、札幌市電事件とさほど大きな違いからである。

(四)平成28年最高裁判決で1時間未満の職務離脱でも戒告処分は適法と確定

 地方公営企業職員の争議行為が、労組法71号で保護される正当な行為でないことは、●北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42107が、名古屋中郵事件判決が公労法171項の規定が憲法28条に違反しないことの根拠として国営企業職員の場合について挙げた各事由は、地方公営企業職員の場合にも基本的にはすべて妥当するとして地公労法111項を合憲としたうえ、昭和42621日より73日の期間になされた、バス事業における三六協定締結更新拒否による超過勤務拒否闘争、民間ディーラー整備員の入構拒否、五割休暇闘争等を同条項違反として、地方公務員法第29113号により北九州交通局労組役員3名を停職六月、5名を停職三月、4名を停職一月、1名を戒告とする処分を適法と判示し救済命令を取消した原判決(●福岡高判昭55.10.22民集4210866)を維持し棄却したことにより確定している。

 ただし処分の適条につき、地公法32条の適条がないことが疑問と二審福岡高裁が指摘している。

 二審判決が「地公労法第111項違反の争議行為のうちにもなお、労働組合法第71号本文の「正当な行為」にあたるものと然らざるものがあるとし、右「正当な行為」に当る争議行為については、地方公務員法第2911号による懲戒処分をすることができないというような解釈は、これを採用することができない。」と説示しているとおり、争議行為がなんであれ正当な行為と認められる余地はなくなったのである。

 附則で地公労法が適用される単純労務職員につき●北九州市清掃事業局事件.最二小判昭63.12.9民集4210880●北九州市病院局事件.最三小判平元.4.25判時1336があり、最高裁の3つの小法廷すべてが、地公労法111項を合憲として懲戒処分を是認したことで、昭和63年の時点で地方公営企業等の争議行為が組合の正当業務ではないことが明白になったのである。

 従って1990年前後(●日教組スト事件・最一小平成元.12.18刑集431388、●埼教組事件・最三小判平2.4.17刑集4431)までに公務員の争議行為に関する争点の多くは決着し、実務上の混乱は収拾されているのに、逆に東京都は最高裁が否認した論理に依拠して職務命令を凍結する方針を改めようとせず、約35年経過しているのである。

 なお12条解雇の先例としては、●北九州市交通局解雇事件.福岡高判・昭55.11.1判タ435において、過去3年毎年停職処分を受けている北九交通労組執行委員長が争議行為の実施を企画指導したばかりでなく、当日はバスの出庫を阻止し、集会を主宰するなど現場の指導をなした行為が、地公労法111項後段違反に該当するとされ、解雇を適法としている。

 近年の判例としては、●北海道労委事件・最二小判決平28.6.17(中労委データベース参照)があり、北教組(混合組合)の平成20130日終業時1時間同盟罷業につき、道教委は30分以上の職務離脱者12551名に対し組合役員も単純参加者も無差別に一律戒告処分としたが、地公労法附則で地公労法111項が適用される養護学校の単純労務職員(介護員)が、参加行為に藉口して組合の弱体化を図ろうとして過重な処分であり、北教組の組織運営を妨げ、組織拡大,職場における影響力を甚だしく削ぐとして救済を申立て、平成23624日道労委命令は本件処分を労組法73号(支配介入)に該当する不当労働行為としたが、北海道が救済命令取消訴訟を提起し、最高裁は救済命令を取消、戒告処分を適法と判示した二審を支持した。30分~60分という短時間であれ、同盟罷業の単純参加であっても懲戒処分は免れないことが確定したといえる。文部省は昔から単純参加者も処分すべきと指導していた経過があり、都道府県により温度差があるとはいえ、参加者全員処分の前例はあるが、北海道では初めてだった。

 ちなみに、前記北教組1時間ストで札幌市教委の処分は、() 支部長に対し減給2月、() 副支部長、書記長、書記次長ら5名に対し各減給1月、() その他の支部専従役員に対し戒告、() 授業を欠務したストライキ参加組合員190名に対し戒告、() その他のストライキ参加組合員1,698名に対し文書訓告(道労委命令書より引用)で、ストを指導する支部役員と、単純参加者では軽重をつけた処分となっているが、通例の在り方とはいえるだろう。

 比較的処分が厳しかった昭和40年代半ばまでの処分例では、林野庁(全林野旭川地本事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900)の事例を参考にすると単純参加者は2時間50分~3時間欠務で戒告、4時間以上欠務で減給が相場であったことを考慮すると単純参加1時間で戒告は厳しいと言う見方ができ、私はそこまで求めないが、いずれにせよ東京都の懲戒処分方針は組合に有利で異常である。

 続く

 

[i]平成15年以前の東水労の闘争の態様

違法行為を慫慂する組合活動に対し、労務指揮命令権を放棄、職務命令による取り締まりはいっさいなし。勤務時間内外を問わず、組合活動、あおりそそのかしを含む違法行為は広範に許容され、所長への業務妨害を受け入れている状況。庁舎管理権(施設管理権)も発動はいっさいせず、組合のやりたい放題。

 🔶水道局千代田営業諸の組合活動の記録(平成12年度11月6日から12月21日と平成13年(2001年)2月7日~3月22日)

 

 

所属長要請行動 (執務妨害・恐喝・職務離脱で違法性が強い)🔶平成12年度10回 11/13、12/5、12/12、3/8、39(2回)、3/153/193/21勤務時間中に分会役員の号令により、職務を離脱した組合員多数が、所長席前に陣取り、大衆団交スタイルの多衆の威圧のもとに所長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、分会の要請を本局交渉当局に上申するよう(管理職を組合の走狗にします)、強要するものもので、交渉ではないです。所長の業務妨害そのものですが、就業命令、解散命令はいっさいしません。やみ慣行のひとつだが、言いなりにならないと、怒鳴り散らしながら、吊るし上げる。組合が職制に対して優位に立ち、職場を支配するための儀式である。多衆の威圧で労務指揮命令権、施設管理権を奪取する意味も含まれている。平成12年度は千代田営業所で11月~3月に10回行われている。

 ただし昭和54年頃までは職務命令もしていた。処分をすると抗議行動で職場が荒れるからやらなくなったという話も聞いているが、少なくとも平成初期以降は、組合活動で事業所勤務の組合員懲戒処分はありません。

平成163月17日公営企業委員会で後藤雄一都議が東京都水道局北部支所の所長要請行動で机に穴を開けた事件を質問したことを契機として、昼休み等時間外に移されることとなった

組合が管理職に、闘争を妨害せず、職務命令や現認検書を内申させない要請は、昭和40年代なら多くの官公労がやっていたと考えられます。

例えば福岡県教職員組合懲戒処分事件・福岡地判昭601226判タ588によると、福高教組は指令により昭和43104日頃各分会において、以下の要求決議書を校長に提出し、確約を求めることを指示している。

〇 組合の正当な闘いに対し、次のような不当な干渉、妨害をしない。

〇 組合の闘いについての事前、事後の一切の調査については報告しない。

〇 官憲、地域ボスの不当な介入を絶対に阻止する。

〇 組合の闘いに職務命令を出さない

しかし、福岡県教委は、職務命令も懲戒処分もやっています。東京都の管理職は要求を呑んでしまう職務命令を凍結してしまうのです。

城東郵便局事件では、現場では「団体交渉についても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以外の議題を制限し、また交渉人員の数にも制限を加える」ものとしており、大衆団交は拒否するのが普通です。

 

勤務時間中事務室内の頭上報告及び職場大会・オルグ演説等(職務離脱+違法行為の強度の慫慂+他の職員の職務専念を妨げる行為で違法性が強い)

平成1211月~13315に20

🔶11/8 (書記長会議報告)、 11/16 (書記長会議報告)、11/17(ストは中止したが職場大会切り替え二人演説)、11/21(二人演説)、11/29(書記長会議報告)、12/4(職場大会三人演説)、12/8(中央委員報告)、12/19(交渉経過報告)、12/21(ストは中止したが職場大会切り替え中央委員演説)。このほか12/15に通路からシュプレヒコールによる示威行為あり。2/7、2/13(春闘オルグ演説)、2/21(職場集会二人演説、抗議文朗読、拍手)、2/22(営業部会役員オルグ演説、拍手)、2/27(スト権投票の呼びかけ、2/28(港分会役員が侵入し連帯オルグ演説)、3/1(スト権投票の結果報告)、3/2(スト権一票投票の結果報告)、3/8、39(所長交渉参加呼びかけ)、3/13(職場集会三人演説)、3/15

 頭上報告とは、執務室中央に分会役員等が陣取り、書記長会議その他の組合会議の報告や、呼びかけ、闘争時にはアジ演説になる。職場集会は、決議文朗読、採択が行われる。たんに職務専念義務違反や、職務集中を妨げる行為のみならず、スト権一票投票の呼びかけ、勤務時時間内決起集会動員指令、三六協定破棄による定時退庁の呼びかけ、ストライキ態勢につき頑張ろう等の言辞、闘争課題の説明、志気を昂揚、鼓舞し、スト参加意思を強固にするための演説が含まれている以上、地公労法111項後段のそそのかし、あおりに当たる違法行為である。

 私は職務集中を妨げていると職制に苦情、中止・解散命令すべきだと上申したが、中央支所長は、報告を聴きたい人がいるから認める。聴きたい職員にも権利がある。所長席前で所長に尻を向けて演説しているのは、実質組合の職場支配と言うと、演説位置を変えてもいいが、頭上報告は断固容認するとのことであった。副支所長(笹十郎)は思想を変えろ、頭上報告許諾は東京都の倣いだ「郷に入れば郷に従え」となじられた。当局はあくまでも違法行為を容認するという方針だった。

ビラ貼り(庁舎管理規程違反)🔶千代田営業所付近平成12年度 26回登庁時にビラ貼りがあるのを確認した日、11/7、11/8、11/10、11/13、11/14、11/17、11/24、12/5、12/6、12/8、12/11、12/12、12/15、12/18、12/19、2/735363

/8、393/12、3/133/143/153/21、3/22 

 組合はステッカー闘争と言う。エレベーター前のエントランス、階段、通路に普通貼られている。事務室内に貼られることもある、39は所長席付近の什器や天井にも貼られた。3/12は事務室内で、執務中視界に入ってくるところに貼られたので私自身が自力撤去した。技術員室や喫煙室に貼られているのを見た。セロテープなので剥がすのは容易であり、最終的に管理職が自力撤去するが、組合に遠慮して、午前中は放置していることがしばしばあった。エントランスは上から下までびっしり枚数の多い時もある。赤旗や大型のものも貼ることがある。

 取り締まりをしないので515分過ぎたらすぐ貼るが、勤務時間中でも貼るケースもあり。

河上和雄[90]は、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件・最二小判昭48・5・25刑集275号1115頁が正当な事業活動としてビラ自力撤去を認めており、自救行為というより事業活動として正当という観点からビラの自力撤去を認めるのが判例の傾向とする。

 しかし、組合側はビラ等が財物だと主張しているので、自力撤去したものを転換することがある。これに対し自救行為の理論によって撤去行為に違法性がないと言う論理構成をとらざるをえない場合も想定はしている。

 とはいえ、河上は「通常のビラの場合、それを使用者の許諾なしに物的施設に貼った段階で所有権が消滅する(所有権の放棄を擬制するか、或いは民法242条、243条の付合の理論となろうか。)と解するのが正しいであろう。その意味で多くの場合、ビラの自力撤去が法的に問題とされることはない‥‥」とする。

 しかし東水労は財物と主張し、管理職は剥がしたビラを返還している。

都庁前・支所勤務時間中職場離脱動員決起集会 🔶平成12年度121536

毎年闘争シーズン恒例のものとして、闘争課題を確認し、組合員の意思統一を図り、ストライキ態勢確立のため、士気を鼓舞していくためのものである。当局も争議行為と認定し、賃金カットしている、勤務時間内職場離脱3割動員決起集会は近年では年間34回動員指令される、2割動員集会はもっと多く設定されており、これは争議行為と認定せず、休暇取得(半日休暇・時間休)昭和末期から平成前期は3割動員はもっと多かったように思う。最近は都庁構内の集会に限定されているが、支所別集会も3割だった。年中行事です。本庁以外は1回につき組合員3割の職員が34時間程度の欠務となる。

平成前期は賃金確定闘争、年末局内合理化闘争、春闘の各闘争で1回は必ず動員させる方針でとかつては動員職員を引率するなどさかんだった。つまり組合の方針はストが決行されなくても、組合員に年間10時間前後の職務離脱をさせる方針なのである。平成前期の支所集会は3割動員で、立看板、多数の組合旗掲出、庁内の壁面のおびただしいビラ貼りが行われ、来客用駐車場付近でアジ演説、庁内を練り歩き鯨波も行われた。

なお、3割動員を当局が争議行為と認定する理由は聴いてないが、たぶん、佐教組事件・最判昭46323刑集2521103割・3割・4割休暇闘争を争議行為としているためだろう

昼休みの職場集会  🔶平成12年度12/12 3/8 私は外回りの仕事だったので当日は見ていないが、闘争課題を確認し、ストライキ態勢のため組合員の意思統一を図る集会と考えられる

三六協定破棄闘争(超勤拒否闘争)国労や全逓が得意としていた戦術だが、下位職の経常業務を助役におしつける国労と同じく、水道局でも組合の指図で、時間外経常業務を管理職にさせるいやがらせがある。国鉄では三六協定が未締結でも業務命令しており、国鉄の方針が社会から非難されたことはない。労働基準法に違反する業務命令に基づく業務であっても、刑法上の保護を失うものではないことは先例があるが、水道局の場合は組合の言いなりで、時間外の労務指揮権が消滅するという組合の解釈に従っている点が最大の問題である。

局内闘争でスト当日と前日、前々日は予定されるのが通例、都労連闘争はスト前日の晩から。現在水道局では、多数組合の全水道東水労と年度末に三六協定(超過勤務及び週休日の変更に関する協定)締結し、1年後に更新することになっているが、組合側がいつでも一方的に破棄できる条文があって、現在は期間を指定し、保安要員を除いてという文言があるとはいえ、同じである。これによって超過勤務拒否闘争を合法化し、時間外労働の労務指揮命令権を奪うのが基本的狙いで、悪質な職制麻痺闘争である。〇組合は三六協定破棄により、時間外労働に関して労務指揮権が消滅するという見解をとっているが、先例や法秩序全体の見地から妥当とはいえないのではないか。〇当局は適法と言っているが争議行為ではないのか〇組合が時間外の経常業務を管理職に押し付けるいやがらせに問題はないか〇必ずストの前日は三六協定を必ず破棄した状況におく狙いは、非組合員をロックアウトする狙いである。組合側の論理では、就業時間前は、所長の労務指揮権は消滅しているので、カードリーダーに電磁的に出勤記録を入力させないものとし、よって事故欠勤を強要するものだが、出勤記録の入力は服務上の基本的義務で、少なくとも立て前として服務規律の確保を通知しているという状況で、管理職と共謀して事故欠勤を強要しているあり方は違法性が強いと判断する。

〇労基法33条により災害時には三六協定の内容、未締結いかんにかかわらず、時間外労働の命令ができるということは周知されていない。〇私が水道緊急隊に勤務していた時。三六協定破棄のために夜間作業の委託業者に日程のキャンセルを担当者が通告していたが、勝手な日程変更は下請けに不利益をは生じていないのか不透明なところがある。等の問題がある。

 

 

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