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2024/12/17

東京都水道局の争議行為対応等労務管理を是正を求める意見具申 その1

令和61218

 

   東京都知事、都議会議員、水道局長、国会議員へ

 

  東京都水道局は、4類型の違法行為.外形上犯罪構成要件該当行為、職場の秩序を乱す行為を広範に許容し、平成16年3月後藤都議の質問の対応として行った東岡職員部長通知による頭上報告の警告以外、いっさい職務命令を行わない。最高裁が否認しているプロレイバー学説による脱法的不適切な労務管理・庁舎監理がなされており、抜本的是正を求める意見具申

(公開用・簡略版-実際に知事等に送ったものから実名や固有名詞等の一部等を省略したうえ、文章をやや簡略化・推敲したもの)

 

                                                 川西正彦

 

  東京都水道局は事実上、全水道東水労の違法争議行為と外形上犯罪構成要件該当行為を正当業務として扱い就業命令.中止解散命令等の職務命令を行わず、規律ある業務の運営体制を確立することを放棄し、違法行為を助長していることが、コンプライアンス経営宣言に反し、地公労法11条1項の保護法益である住民全体の利益を侵害しているので是正されるべきでありその改善策を提案するというのが意見書の基本的趣旨です。

 

 

意見書の趣旨 

 

 取るに足らない者が恐る恐る謹んで上申します、軽輩でありながら、不躾にも長文の文書を送りつける無礼をお許しください。忙しい時期に大変恐縮します。

 さしあたり非公式に再任用非正規職員が、水道局の労務管理に対する是正要望する投書に近い趣旨のもので、ぺいぺいで一廉の人間でもないので、スルーを想定し、厚かましくも回答を求めるものでは全くありません。公式の陳情や請願は今後の成り行きで検討することにします。

 職員個人は、公式の苦情処理制度や提案制度は労働条件に関して受付られないことになっており、筆者は非組合員であり制度上職員個人は労働条件を交渉できないので、意見上申それ自体は違法ではないと思いますが、当局に回答を求めることはできませんし、求めません。労組と提携のない政党で、関心をもってくださる方がいれば、さしあたり御一方でもご笑覧いただければ幸甚に存じますとの趣旨のものであります。

 基本的には労使関係の問題ですが、公的な問題として知事及び都議会議員や政党の方々へお訴えをして政治的な介入で問題解決する以外にないと考えたのがこの意見具申の趣旨です。

第Ⅰ部で、労務管理の何が問題なのか解決策など説明

プロレイバー学説による(組合側の論理、もしくは判例変更されている判例)脱法的・法外的労務管理

管理職による違法行為、外形上犯罪構成要件該当行為の助長

 中止命令・就業命令等の職務命令をしない。違法行為との認識がない。組合の指図によって管理職が動き、労務指揮権を放棄する。本番の同盟罷業だけでなく、地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」を全く取り締まっていない。

1時間ストライキ(同盟罷業)は平成20年・22年・26年・令和元年に決行されていますが、管理職は就労したいと申し出る職員を敵視し、職員の就労する権利と義務を侵害し、ピケットラインを越えてはならないとして、非組合員を締め出しそうとする。就業規則違反(ICカードリーダの出勤入力をしてはならない)を命令することもあり、違法で職権を逸脱している。

〇ストライキ時、管理職は、組合の説得に応じた非組合員には勤務実態がないのに賃金を詐欺的に受給させる「事故欠勤」を認め不正会計を行っている。つまり非組合員も悪事に染まっているほか、就労したい職員にも事故欠勤を強要しようとする。

〇懲戒処分の範囲.量定の現状は組合中央の機関責任(全水道東水労は本部中央闘争委員)のみ懲戒処分の対象で、各事業所でストを指導し、実行行為者である大多数の組合役員は懲戒の対象にはじめから外している(平成221210日ストから支部長を訓告にしているがこれは懲戒ではない)。職員一般には、警告も行われておらず、組合に非常に有利な在り方。

〇積極的業務妨害、シットダウンストライキ、業務用機器の隠匿等、犯罪構成要件該当行為を是認している問題。

〇不適切な行政財産の目的外利用が黙認され、施設管理権が不当に組合により掣肘されている問題。

第Ⅱ部で包括的改革案(私案の新方針)の提示を行います

 

 この意見書の売りは、たんに当局の不正や違法行為の助長、加担を糾弾するにとどまらず、ソリューション、包括的具体的解決策を提示し法的根拠も示し実務的に使える建設的な内容だということです。勿論余暇に自宅で作成したもので、私のアイデアは公益目的のため引用明示する必要はなく、勝手に使っていただいてけっこうです。無償奉仕して差し出すのは、良心的趣旨です。

 私は陳情やロビー活動の経験はなく作法は知りません。先生方が多忙なことは重々承知しており、地味な問題で私自身実績のない人間なので相手にされることはないと踏んでおります。

 また全水道東水労は全労協(旧社会党系)の傘下で、7月都知事選も組合ビラで小池都知事不支持表明もしているが、連合東京とも協力関係はあります。知事与党は連合東京と政策提携があるので接触しません。都知事もトレンドでない政策なのでスルーを想定。また自民党も春闘支援では連合に擦り寄っており難色を示すと想定しています。

 というより、監察指導課長や労務課長を歴任した○○から「愉快犯」と言われたことがある。当局から否定的人格とラベリングされた人間です。東京都の悪口を言っているので、信用失墜避止義務違反でクビにしろという声が出ると想定しますが、東京都と全労協系組合の共謀という巨大組織の違法行為、外形上犯罪行為の糾弾ですから、挑発すると本当にやるかもしれないのでしません。

 意見書の内容の多くは、国の各省庁の争議行為対応と、東京都は全く違うので、各省庁の対応に准じたありかたにすべきという常識的なもので、特に難しいことは何も言っていません。

 しかも大義名分があります。地方公営企業等の労働関係に関する法律(以下地公労法)111項を合憲とした北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8は、争議行為禁止の制約原理を「住民全体ひいては国民全体の共同利益」と説示しており、従って東京都水道局が最高裁判例で否認されたプロレイバー学説に依拠し、組織総ぐるみ、非組合員職員も含め総ぐるみで、争議行為に協力、助長、加担し、違法.犯罪構成要件該当行為を容認、実行している実態は、「住民全体‥‥国民全体の共同利益」という保護法益を否認、侵害していると糾弾されて当然です。

 昭和41年中郵判決の内在的制約論とか昭和44年都教組判決の争議行為通常随伴行為不罰論は明示的に判例変更されています。強い違法性がないとか、国民生活への影響の程度とか関係ありません、短時間のストで、水運用センター、浄水場は保安要員なので水供給に支障がないという反論は争議行為を正当化する理由には全くなりません。

 そこで、手法としてネットで問題提議と解決策を提示し、インフルエンサーによる拡散に期待し、国民の皆様の支持得ることとします。世論の後押しがあれば、議員も取り上げざるをえなくなる。水道局長は令和512月にコンプライアンス経営宣言をしてくれたおかげで、攻める方が圧倒的に有利なので、論戦になったら負けることはありえません。

 都議会議員の方々には、追及してくださいといいながら、当局に手の内を明かしているとのお叱りを受けるかもしれませんが、手の内をすべて明かしても、攻める方が有利なので問題ではないと考えました。

 なお第Ⅲ部で、特殊会社東京地下鉄駅員等の職務専念義務違反である私鉄総連春闘ワッペン着用禁止要請も「おまけ」で付けたと言う口実で、国と都が株主であるため国会議員にも上申したいと考えています。非現業公務員の協約締結権付与という政治課題が、福田内閣のときからくすぶっていて、野党は賛成しているので、公務員の争議行為は政治問題だからです。

 なお水道局は、平成24年収賄、平成26年水運用センターОBによる入札妨害事件の関与、平成30年入札談合関与で公正取引委員会の立入りの不祥事を受けて、再発防止策に取り組み、局長は令和元年Ⅰ2月にコンプライアンス経営宣言し、令和3年より不祥事の発見、対応を目的としたリスクマネジメントとして局横断的な内部統制の取り組み(コンプライアンスプログラム)を実施し、令和5年度の内部統制評価報告書によれば重大な不備はなく是正すべきものはないとされています。

 庁舎管理では、平成269月水運用センターOB の公契約関係競売入札妨害事件(関根事件)の再発防止として、執務室の出入り規制のため、外来者の立入り禁止エリアの表示、入室名簿の設置で対策し、28年には旗開き等庁舎内会議室の利用条件として飲酒の禁止、令和2年にはオリパラ開催の警備強化か組合対策か不明だが、知事部局と横並びで庁舎管理規程の禁止事項が追加され改訂されていますが、しかし根本的な問題として、行政財産の目的外使用、地公労法111項違反行為、労務指揮権、施設管理権の組合の奪取、掣肘その他の問題については全く取り上げられていません。コンプライアンスプログラムが全く問題視していない事柄を本意見書では取り上げます。

 責任追及は知事部局にも及びます。水道局特有の問題もありますが、争議行為対応の労務管理につき大筋は同じだからです。局長は各部長あてに建前上、地公法30条を引用して服務規律維持の確保を示達するだけで具体的な方針には関与しない。局長に責任が及ばないようになっている。

 具体的な対応は職員部監察指導課が文書を各部庶務担当課長あてに出し、各事業所の管理職は、その文書のコピーを受けるが、具体的指示が庶務担当課長からなければ何もやらない。

 各事業所で実態に応じた対応ができるようになっているが、ストライキの対応の基本的指示は職員部監察指導課が統括しており、集会場所やストライキ参加者(賃金カット)の人数を報告することになっているが、就労命令.職場復帰命令とスト指導者、率先助勢者の現認検書の上申といった国の各省庁で当然なされていることの指示はない。

 これは知事部局(平成10.11年にストがあったが以降ない)でも同じだと思う。

 神戸税関事件最三小判昭52.12.20が、争議行為中の就業命令が適法としているにもかかわらず、組合側の論理で就業命令は団結破壊などしてやらないのは都と組合に不透明な癒着があるとみなすほかない。違法行為を助長していることは東京都という組織全体の問題と言えます。

 本意見書の提案は、まず就業規則に無許可集会・演説、無許可組合活動・他の職員の職務専念妨害を禁止の明文規定を設ける。職務命令の根拠を明確にし、企業秩序論にもとづいて職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するよう根本的に職場風土を改革するものである。なくても懲戒処分は可能かもしれないが、私企業では規則の記載と周知が懲戒処分の前提であり、地方公務員法32条の適条をより明確にする規則の明文整備は絶対必要と考えている。

 提案では職員すべてに、違法行為なので必要な措置をとるとの警告と、職務命令を行うことになる。従来全くやっていないことをやるので、当然組合側の反発が想定できる。

 また従来同盟罷業の懲戒処分は、全水道東水労が本部中央闘争委員会34名に限られており、本部委員.統制委員、支部・分会役員はいっさい懲戒処分に対象にはならず守られていた(但し、過去3回の同盟罷業で支部長が訓告となっているがこれは懲戒処分ではない)が、今後は、本部委員・統制委員・支部・分会役員以下も懲戒処分の対象としたい。

 スト指導者や率先助成者の現認検書の上申を義務づけたい。各分会単位各事業場のスト指導者最低1名を戒告、悪質な態様では複数以上で量定を加重する案を提示します。全水道東水労は本部中闘を例外、組合活動での不利益賦課は絶対させない。違法であっても職員個人の責任を問えないという立場であるので当然反発が想定できる。

 懲戒処分基準の事実上の変更なので団体交渉に応じる必要がある。即この提案が実施できるというものではない。ステップを踏んでいく必要がある。

 管理職はこれまでは労務指揮権や施設管理権を凍結して組合に業務管理されて円滑な関係を維持し違法行為を認めていくのが仕事だったのが、私案を採用するなら、これからは職務命令と取り締まりをすることになるので訓練が必要であり、ストライキ対策本部を設置し、非組合員を召集し違法行為の抑止、監視、取り締まりをするので、就業命令のプラカード作製や携帯マイク、写真機、録音機の用意、抗議行動で荒れる職場対策として特別査察チームの設置など、職務命令を認めないとする組合側の暴言や暴力も想定して対策する必要もあるから、即時実施は難しいかもしれない。

 すでに、令和6年の秋季年末闘争は1031日のスト権投票で92.77%の高率でストライキは批准されており、1220日に2時間ストの配置し闘争期間に入っている。オルグ活動、昼休み集会、所属長要請行動、支所拠点動員決起集会。ビラ貼り、三六協定破棄闘争、本庁ふれあいモール3割動員毛所、合理化拠点での決起集会がなされ、前回のスト決行から5年経過し、経験則から、かつては3年おきにやっていたが時期あり、ストが決行される可能性はある。

平成16年以降の同盟罷業


 ★平成16730

1時間ストライキ

(業務手当完全防衛闘争)


和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。


★平成16101

1時間ストライキ(業務手当完全防衛闘争)


和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場だったが、西部支所と西部建設事務所はスト。


平成20319日 1時間スト 西部支所等は来客用駐車場で集会


同盟罷業 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安要員の職場であったが、唐突にストライキがあった。西部支所と西部建設事務所はスト。


平成221210日 1時間スト

中野営業所 駐車場で集会

○○所長就業命令なし


同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告(1時間ストライキ)これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく痛くない。


平成26124日 1時間スト 中野営業所 駐車場で集会 ○○所長 就業命令なし。


同盟罷業 争議行為が続行しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。


令和元年1220日 1時間スト 新宿営業所 ○○所長 事務室内ピケッティング容認 事務室内集会に就業命令等なし、外形上犯罪構成要件該当行為容認。


同盟罷業+積極的に業務遂行を妨害する職場占拠(シットダウンストライキ、)、加えて業務用機器の隠匿により業務遂行を不能にするきわめて悪質な態様。外形上威力妨害罪の構成要件該当行為も公然となされる。

(令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分)。

 

 令和25年度合理化拠点の中野営業所(監理団体に業務移管)に勤務していた。中野のケースは闘争が26年に越年となって124日にストライキ、その後、業務移転業務のため固定資産・.備品の帳簿の現品確認に来た本庁職員を追い返し、管理団体派遣説明会の前にピケを張って出席者の入場を阻止。所長に業務移転委託化関連業務の業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為がなされた。

 この時は争議行為が続行し、中野営業所では監理団体業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。本部委員○○が人事課の説明会参加阻止のピケやオルグがあり、220日停職中で出入り禁止のはずの本部書記長○○が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、最終的には移転を急ごうとしたサービス推進部担当者に謝罪を強要した。

 ストから12日という超スピードで、平成2625日に本部中闘の最大停職18日処分と、支部長の訓告という処分発令された。現認検書が上申されないので、審査する必要もないので、短期間なのである。

 2月初旬発令の懲戒処分のスケジュールはあらかじめ決まっていて、猪瀬辞任に伴う都知事選告示直後、2月の定例都議会の前に処分をさっさとすませ、議会や新知事から注文されたりしないようにしている。今回もストが決行された場合、2月初旬にさっさと発令されるはず。

 移転業務に非協力徹底抗戦のあおりや、局の業務の妨害、所長の経常業務以外の労務指揮権を凍結させるなどの悪質な争議行為がなされているのに、それらは処分に加味されず、いっさい問題視していな。

 したがって、既に闘争に入ってしまっているので提案の即時実施は難しいとは思うが、当局には今回の闘争でも最低限のことは行うべきだと要望はする。

 

12月闘争のスケジュール

 

12月に決まっている闘争スケジュールは以下のとおりです。

12月3日 昼休み集会 事務室内、本件については別紙のとおり、違法行為現認により懲戒処分要望書を上司と局長あてに出します。

12月5日支部所属長要請行動(昼休み)

12月6日 2割動員支所拠点決起集会  1530分から1時間

(当局は時間休取得で参加を認めている。他の事業所や下水道局職員からも動員され。)ビラ貼り40枚ほどがあり11日でも撤去されてない「ストライキで闘おう」とのあおりに相当する文言もある)

12月18日 3割動員決起集会 都庁ふれあいモール 1530から1時間。

3割動員は当局が争議行為と認定しているので、賃金カットとなり、その分は闘争資金より組合が補償する)

12月20日早朝2時間スト予定(決行すれば5年ぶりだが通例では1時間。スト延期で越年闘争の可能性もあり)

このほか、三六協定拒否闘争の日程が入るはず、追加の集会もあるかもしれない。

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 厚かましくも単刀直入に言ってしまえば、争議行為対応で先生方に質問してもらいたいこと、想定問答を記述します。これは、闘争が終わったあとでもいいです。3月にも春闘があります。

🔶議員 今回123日に昼休み集会、6日に支所合理化拠点決起集会が庁舎構内でなされたということですが、過去の「昼休み集会」の記録を見ましたが、これは闘争課題を確認し組合員の意思統一を図りストライキにむけて志気を鼓舞するものです。基調報告-決議文朗読(決意表明)-頑張ろう三唱などの演説行為ですが、すべて地公労法111項後段が禁止する「唆し」「あおり」にあたることは、全運輸近畿陸運支部事件・最二小判昭60.11.8等の最高裁判例によって明らかです。

 支所の2割動員決起集会や、都庁前の3割動員決起集会も同じです。3割動員職場離脱は344割休暇闘争が争議行為と最高裁が認定されているので水道局でも争議行為と認定しているのだと思いますが、職場離脱の割合の問題じゃないです。ここでいうのは、集会の内容面では、みな地公労法111項後段所定の禁止行為、違法行為です。

 しかし、当局は昼休み集会も決起集会も違法行為の慫慂であり、違法そのものなのに、いっさい中止・解散命令せず許容している、現認・監視も記録もしていないと聴いてます。庁舎構内は目的外利用でもあり不許可、強行した場合は中止・退去命令が妥当に思えます。なぜやらないのですか。

 旧郵政省では全逓が業務規制闘争、ストを配置した時点で庁舎内の組合への便宜供与を中止します。違法行為の慫慂する集会を行うおそれが高いからです。国が争議行為を助長したことになるので、施設利用の申請は拒否、強行した場合の中止.解散命令を徹底しています。これは東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6など見ていただければ明らかなことですが。

 国と同じようにストを配置し闘争体制になった時点で便宜供与を禁止することはできませんか。禁止してないということは都が違法行為に加担、助長していると評価せざるをえません。コンプライアンス宣言に反してはいませんか。

 

  • 職員部長 お言葉ですが、組織のルールに従うのもコンプライアンスです。東京都では昭和444.2都教組勤評事件大法廷判決の争議行為に通常随伴する行為は不処罰という判旨で、スケジュール闘争で通常行われることは、認めていく穏便な方針をとっています。それが組織の方針です。組合の主張もある程度受け入れ、郵政のように組合活動を弾圧することはしません。良好な労使関係を維持していくことは、都民の利益になることでもあります。

🔶議員 争議行為に通常随伴する行為不罰論というのは、全農林警職法事件最大判昭48.4.25と岩教組学力テスト事件最大判昭51.5.21大法廷判決で明示的に判例変更され、「あおり」の構成要件該当性が争点になった日教組スト事件.最一小平成元.12.188、埼教組事件.最三小判平2.4.17で最高裁は「あおり」の限定解釈は認めていません。争議行為に通常随伴して行なわれる行為として不処罰という理論が容認されたのは昭和4447年最高裁が左傾化した一時期だけです。都教組判決の判旨が正しいとでも思っているのですか。

  • 職員部長 あなたが言っているのは反動的な判決で、東京都はリベラルなのでなじみません。

🔶議員 驚きました。最高裁の判例変更を認めないというのですね。東京都は脱法的、法外的といわざるをえません。「あおり」が違法行為であることは認めませんか。

  • 職員部長 過去7回のストはたかだか1時間ストです、2時間ストもありましたが、強い違法性はありません。格別中止命令は考えてません。浄水場や水運用センターなどは保安要員としてます。水の供給に支障はないです。

🔶議員 保安要員を置いていること自体、正常な業務運営ではありません。ストを正当化することにはなりません。

あなたの見解は都教組勤評判決の趣旨ですね。強い違法性がない限り、正当というような。その考え方は判例変更で否定されています。法の解釈が間違ってます。ところで、水道局の管理職は、昼休み集会のような事務室内の組合活動について、労働基準法343項(休憩時間の自由利用)により一切規制できないとの見解と聴いてますが、米空軍立川基地事件・最三小判昭491129は休憩時間の無許可組合集会を理由とする出勤停止処分を適法としており、誤った法解釈に思えますが、あなたはどう思いますか。

  • 職員部長 それは軍用基地の事案、特殊な事例と考えます。

🔷議員 では目黒電報電話局事件・最三小判昭52・12・13は「休憩時間の自由利用といっても‥‥時間の自由な利用が企業施設内で行われる場合には‥‥企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない‥‥局所内において演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、休憩時間中であっても、局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、更に、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあって、その内容いかんによっては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがある」と説示し、最高裁判例ですよ。違法行為を慫慂する集会を許す理由はないように思いますが。

  • 職員部長 それは政治活動の判例です。組合活動の先例でないですよね。

🔷議員 目黒局事件の判旨が組合活動には適用されないというのは間違ってます。そういうなら全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58.12.20判時1102は、無許可の休憩室あるいは予備室を利用した職場集会に対する郵便局次長らによる解散命令及び監視行為は不当労働行為に当たらないとする原審の判断を支持したものだが、解散命令が行われた集会というのは以下のとおり、集配課休憩室-休憩時間中の全逓組合員約70~80名が昭和40年5月10日午後0時35分ごろから年賀区分室-6月7日5時15分ごろから5時45分ごろまで。6月11日午後0時20分~0時55分ごろまで、昼休みですよね。解散命令してよいとなってますよ。これは認めますか。最高裁判例ですよ。

  • 職員部長 郵政は郵便法79条1項に、「郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたとき」罰則規定があることや、森山欽司政務次官のような労務管理に厳しい政治家もいた。罰則規定のないわれわれとは温度差がかなりございます。郵政のように厳しくとりしまっていく必要はないと思います。

🔷議員 公労法自体は地公労法と同じように罰則はなく、同じ条件です。国鉄や私企業の判例も多数ありますよ。あなたの言い分では、違法行為を慫慂する集会でもとにかく庁舎管理権を行使して組合活動を規制したくないということですね。

  • 職員部長 労働基本権も人権ですから、かれらもストを決行できる組合と誇りをもっており、メンツをたて、良好な労使関係を維持していくことが、ひいては都民のライフラインを支えていくうえでも重要と考えており、今後も闘争指令下の集会を規制していく考えはございません。

🔷議員 違法行為の慫慂是認は、組合と不透明な癒着に思えます。コンプライアンス経営宣言に反します。次に、事前警告は組合中執委員長だけで、職員一般にはプレス発表では警告ではないと言う問題です。

 

令和元年12月19日付【東京都水道局プレス発表】

12月20日(金)の労働組合ストライキについて

1 組合の行動態様

(略)

2 当局の措置

1)組合に対する警告→(組合中執委員長宛に違法行為、庁舎管理規程違反として警告しているのは事実、本部中央闘争委員が停職処分とされる前提)

2)職員に対する服務規律確保の周知→(局長が各部長宛に服務規律確保の示達をしているのは事実だが、各事業所では行われている訓示放送は、違法行為なので必要な措置をとると絶対と言わない偽装の訓示で警告ではない)

3)管理職員による事務事業の支障の防止→(管理職対応とは非組合員も含め就業命令しないことを意味する)

 

 5年前のプレス発表では、警告しているのは組合中央執行委員長あてだけで、職員には「服務規律確保の周知」となっていて、警告はしていないということになっています。服務規律確保を周知しているが実際の対応は不確定ということですがこれは変ですよね。

 実際、通称「服務の示達」の慣行では、ストライキを違法行為と一切言わない、インチキな訓示ときいております。警告でないのは、当局が公式に認めていることです。なぜ違法行為と言わないのですか。

 次の文面は2024年11月8日付グループウェアによる「服務の示達」の通知(文面は決められてない。「違法行為」とは絶対言わないのがお約束)  

 ○○課長 

 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は11月14日(木)午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、11月14日(木)は‥(中略)

集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。

皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、服務規律を遵守願います。

 2024年12月13日グループウェアによる「服務の示達」

○○課長 

 ○○の皆様へ、全水道東京水道労働組合は12月18日(水)午後3時30分から都庁ふれあいモール3割動員決起集会を、12月20日(金)午前8時30分から早朝2時間ストライキを計画している模様です。また、東京水道労働組合は、午前8時30分から早朝1時間ストライキを計画している模様です。
 集会等の行動に参加するために多数の職員が職場を離れ、かつ権限ある上司の承認なく勤務しない等の行為に及ぶことは、当局業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼に背く結果となることは明らかです。
皆様におかれましては、全体の奉仕者として公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行するとともに、都民の批判招くことのないように良識ある行動とられることをお願いします。

 同盟罷業を違法行為と絶対言わないのは、地方公務員法2911号の適条、32条の法令遵守義務違反にはならないと示唆し、実質スト参加で不利益賦課はしませんという言う意味ですか。民事責任を負うのは組合だけで、個別職員は責任を負わないので違法行為とされないという意味ですか。

 比較的最近の国家公務員の争議行為として、全日本国立医療労組事件.東京高判平12.11.29労判840では、平成31113日、全国の国立病院等の支部において、11年ぶりに組合員約25,000人が、勤務時間に約29分以内食い込む方針で職場大会を開催したケースですが、仙台の国立西多賀病院では職員に「国家公務員法で禁止された争議行為でありますから、このような違法行為には、絶対に参加しないようにして下さい。もしこれに参加した場合には、関係法令に照らし、必要な措置をとらざるをえない」と警告していますが、国の省庁ではこのような警告を必ずやります。北九州市、福岡県、北海道では職務命令書も交付します。

 水道局では未払いで停水するとき、未払いで開栓すると封印破棄罪と警告する白札をつけます。給水契約者様には違法ですよと警告するが、職員に対しては違法ですよと警告はタブーというのは二重基準でしょ。住民には法令遵守を求めるのに職員には求めない。これがコンプライアンス宣言した組織のやることですか。

 

  • 職員部長 12時間のストでは、強い違法性がない。組合中央の機関責任を問うことにしてますし、支部長は訓告もします。あまりきつい警告は職員一般には不用という考えです。国の省庁に倣わなくてもいいんですよ。労務管理のやり方、処分の仕方も含めて、当局、懲戒権者に広範な裁量権があり、われわれのやり方がございます。

🔶議員 各事業所のスト指導者、実行行為者を懲戒処分する必要はないということですね。そういう方針であっても、水道局長が服務規律確保を指示しているというなら法令遵守義務も規律でしょ。違法行為と警告すべきです。それを言うと組合の抗議で職場が荒れるからやらないということですか。違法行為を違法行為といえないのはなぜですか。地方公務員法2911号、32条の適条をさせないという組合の意向を汲んでるんでしょ。そうとしか思えませんよ。これは八百長に等しい。王手をかけない詰将棋のようなことをやってるように思います。

  • 職員部長 八百長とはなんだ。名誉棄損だ。あんたの言い方は。

🔷議員 八百長がいやなら、無気力相撲と言いいましょう。やる気があるなら「違法行為」と警告するはずです。はじめからやる気がないということですよ。事前に違法行為と警告しました-当日も就業命令しました-でもストを実行しました。となれば地公法29条1項1号、32条の適条で戒告処分されても仕方ないですね。でも違法行為だと警告もしない、就業命令もしない。現認検書の上申もしない。どんな違法行為をしても、各事業場のスト指導者は戒告処分にもされない。これは権限があっても行使しないことは敗退行為に等しい。

 (ストが行われなかった場合の質問、決行された場合は別の対応になる)

🔶議員 では、ストライキ当日の問題です。国の省庁ではスト当日の集会参加者に対し、職場復帰命令、就業命令は非常に重視しています。プラカードなどの小道具を使ったりして、徹底してやります。それは違法行為の抑止として当然のことだと思います。

 東京都では就業命令しないと聴いています。具体的に前回のスト令和元年1220日に新宿営業所長だった○○課長を召喚していますのでお答えください。

 事務室内のほぼ中央、検針担当のエリアで、組合旗が掲出され、ビラが貼られて給水課分室と合同40名ほどでスト集会がなされ、就業場所を占拠するかたちで業務妨害態様、シットダウンストライキがなされたと聴いています。集会では組合役員の○○○○○が演説し、○○が決議文朗読し、頑張ろう三唱なども行われたと聴いています。これらのスト指導者とともに集会参加者に、中止・解散命令・就業命令はしましたか。国の省庁ではスト指導者は現認検書を上申させ処分を検討します。現認検書は上申しましたか。また組合役員の○○ICカードリーダ前にたって、出勤入力しないようピケに立っていたと聴いています。中止命令はしましたか。

  • ○○課長 集会場所、スト集会の参加人数は職員部監察指導課の指示で報告することになっていますが、就業命令や現認検書は指示がありません。上級部署の通達に従うことこそコンプライアンスですから、そのとおり行ったわけです。

🔶議員 就業命令をやらない意味は、争議行為中は労務指揮権から離脱しているから業務命令できないということですか、あるいは団結破壊になる。スト批准投票で組合員はスト指令に従うことを誓約させているから支配介入になるとのお考えか。それとも組合から争議行為目的に理解を示し職務命令しないよう要請されているためですか。

  • ○○課長 そうではありません。職員部監察指導課の指示では職務命令せよとはなっていないからそれに従っているだけです。

🔶議員 神戸税関事件・最三小判昭52.12.20で争議行為中の就業命令は適法です。職員部の方針はおかしいと思いませんか。就業命令をしないというのは争議行為が正当業務との認識ですか。

 また、この態様は業務妨害罪の犯罪構成該当行為との認識はないのですか。最高裁先例は、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする前提(朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22、羽幌炭礦鉄道事件.最大判昭33.5.28)であり、プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害権を含むことを否定しています。刑事免責がある私企業でも違法、公務員の職場は刑事免責もないので就業命令など管理意思を示せば容易に犯罪が成立する事案ですが、庁舎管理者として犯罪を拱手傍観してよいのか。

 管理職は違法行為を抑止し、正常な業務運営を維持するため、職務命令するのが債務の本旨の履行ではないですか。

  • ○○課長 このストで本部中央闘争委員は最大13日の停職処分をして相応の責任をとらせています。また懲戒処分ではないが支部長26人を訓告処分しています。われわれは上級部署に従う立場です。

🔶議員 新宿営業所では新人など非組合員が多い職場ときいていますが、○○など組合役員から、組合が説得して就労しない非組合員については水道局処務規程55条「事故欠勤」(職員は、交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できない場合に適用されるもの)とすることの要請はありましたか。また事故欠勤にした職員の人数と理由を説明してください

  • ○○課長 これは慣例として認められているものなので、非組合員はピケに従わなかった一人を除いて〇名を事故欠勤としました。

🔶議員 ストに参加した組合員は賃金カットするときいています。その分は組合が闘争資金から補償しているともきいてます。しかし非組合員はストの協力を要請しても闘争資金で補償できないので、当局が事故欠勤というかたちで賃金を支給している。つまり非組合員をストに巻き込んでスト破りさせない意味があると思いますが、ノーワーク.ノーペイの原則からしてこれは不正な賃金支給ではありませんか。勤務実態がないのに賃金を請求している非組合員は詐欺行為に思えます。

  • ○○課長 職員部が承認している組織的方針である以上違法ではありません。詐欺ではないです。

 

 ざっと、こんな調子で、労務管理の異常性を浮き彫りにして改革をせまっていただきいと考えています。突っ込みどころ満載です。時間内におさまらないほどネタがあります。

 確率としては、半々ぐらいかと思いますが、もしもストが決行されれば、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという組合の論理に従い、組合は管理職に非組合員などに業務命令させないことになっている。組合に説得された非組合員は事故欠勤にして、勤務実態がなくても賃金を支給する不正会計の慣行、説得されなくても管理職が、ピケットラインを越えないよう指図し、事故欠勤にしてしまおうとする当局と組合の事前の共謀による非組合員の就労妨害がなされる可能性がある。

 懲戒処分は定例都議会より前、2月の45日ころに発令されるのが通例です。非常に早いです。処分が出た後でいいです。処分の方針について質問してください。懲戒処分を本部中央闘争委員会に局限しているのは甘い。支部長の訓告は懲戒ではありませんから、各事業所のスト指導者実行行為者を戒告にもできない理由を。

 要するに、国の省庁やまともな自治体の管理職は組合員であれ非組合員であれ、業務命令して操業を維持しようとするが、東京都の管理職はスト破りを許さない、非組合員等に業務命令して操業を維持しようとする。組合側の学説を信奉していて、当局はスト完全防衛に協力する。法外的、脱法的でノーマルでない。

 管理意思を明確にすれば業務妨害罪、建造物侵入罪、不退去罪は成立するのにそれはやらない。職務命令しないので、なんでもありになっている。

 外形上犯罪構成要件該当行為(威力業務妨害)を東京都が全面的是認しているのは大問題であること。組合側は当局が業務妨害を是認しているので犯罪は成立しないと言うかもしれないが、管理意思を示さないのは東京都が犯罪に協力していると断定せざるをえません。

 この問題を事後でもいいから追及してもらいたい。

 圧倒的に攻めるほうが有利です。答弁は想定問答のような苦し紛れのものになるはずです。

 2月末にはまたスト権投票して3月に春闘があるこれも新体制では難しいかもしれない。

 とはいえ、知事や議員も全く反応しないことを折込ずみなので、SNSを利用します。インフルエンサーが取り上げればネット世論を味方につけると踏んでいるので、頑張りたいと思います。

 もっと早く上申すべきでしたが、その点は申し訳ありませんが、しかし都民でもあり3月で決着がつかなくても利益侵害と言う観点で東京都の労務管理は許しがたいので活動は続行しますので、よろしくお願いします。

 

第Ⅰ部 問題点の提起と解決方法   9

(Ⅰ)本意見書で取り上げる主たる問題点   9

(Ⅱ)要旨  問題点と主な要求項目   10

(一)違法行為類型1 地公労法11条1項後段所定の「唆し」「あおり」   10

(二)違法行為類型2 同盟罷業(組合の正当業務として扱っている)    12

(三)違法類型3 積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為の許容    13

(四)違法行為類型4 労務指揮権の凍結、業務管理   14

二 非組合員等の就労の権利と義務の侵害をやめるべき   15

三 受忍義務説(法益互譲論)による管理を改め、企業秩序論法理を採用する    16

四 三六協定破棄闘争時に労務指揮権を凍結する慣行の見直し    17

(Ⅲ)要求項目   18

(総論)プロレイバー学説に依拠した悪弊の一掃    18

一 平成16年3月の東岡職員部長通知を廃止し、就業規則を整備する    18

二 闘争指令下の昼休み集会等の中止・解散命令の徹底   18

三 闘争体制での組合活動の便宜供与禁止    18

四 スト対策本部の立ち上げ、非組合員を総動員する   18

五 管理職に組合役員より職務命令等をしない要請の拒否義務づけ    19

六 三六協定未締結でも業務命令を行    19

七 組合が管理職に経常業務を押し付けるいやがらせの拒否義務付け    19

八 従来なかったストライキの事前「警告」と就業命令書交付の義務付け    19

九 ストライキ当日の労務管理の全面的見直し   20

(一)組合に操業権を否定する権限などなく、業務は管理職対応とする組合の要請はきっぱり拒否すること    20

(二)管理職による非組合員締め出し、就労阻止の命令の禁止    20

(三)三六協定未締結でも労務指揮権を放棄してはならない   20

(四)スト集会に参加する組合員に就業命令を徹底的にやり、スト指導者等の現認検書上申を義務付ける   20

(五)ピケッティングの取り締まり    20

(六)業務妨害に対して、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる    21

(七)非組合員を事故欠勤とすることは不正給与支出なので禁止、申請者と指図する管理職は詐欺行為として処分する   21

十 ストライキ待機は退去命令し建造物侵入罪を成立させる    21

十一 懲戒処分の在り方の是正 安心して違法行為ができる職場を改革すべき    21

十二 勤務時間内洗身入浴は賃金カットせよ    22

十三 保険の勧誘員は中央労働金庫以外の立入を禁止すべき   22

十四 まとめ 組合の以下の主張に、局は反論し是認しないようにする   22

(一)争議行為は労務指揮命令系統から離脱する行為なので就業命令できない    22

(二)就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊する。統制権により脱落組合員の業務命令は認められない。   22

(三)争議行為は組織的団体行動であるから、指令に従って組織の義務を果たす場合は、たとえ違法であれ、組合員個人として懲戒責任を問えない。    22

(四)労働基準法第34条第3項により休憩時間の組合活動は規制できない。    22

(六)ピケット権があるので、ストライキ防衛のためスト破りを排除できる    23

(Ⅳ)全水道東水労の争議行為、大衆行動等の違法性の概略   23

一 ながら条例改正の意義は認めるが争議行為抑止には役にたっていない   23

二 管理職に争議行為の正当性を承認させ組合側に取り込む闘争スタイル    24

三 全水道東水労の平成12年以降の主な争議行為   25

四 平成15年「ながら条例」の改正の影響   27

五 平成16年3月17日の後藤雄一都議質問の影響   28

六「平成16年3月東岡職員部長通知」の影響   28

七 東京都では違法行為、外形上犯罪でも正当業務と扱われており異常   29

(一)本部中央闘争委員の停職13日程度で騙されないでください    29

(二)組織の義務を果たしている組合員の個別責任は問えないという論理は最高裁が否認している    30

(三)全水道東水労の積極的業務妨害の対応問題    30

地公労法11条1項に罰則はなくても、名古屋中郵事件方式で業務妨害罪・住居侵入罪等は違法性が阻却されない   30

🔶東京中郵判決の違法性二元論は違法性一元論へ    33

🔶争議行為違反に罰則がなくても他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用できる    33

🔶「久留米駅事件方式」の総括明確化   34

(四)平成28年最高裁判決で1時間未満の職務離脱でも戒告処分は適法と確定   35

 

第Ⅰ部 問題点の提起と解決方法

 

 (Ⅰ)本意見書で取り上げる主たる問題点

 

 全水道東水労(令和元年の組合員総数は2,778名、組織率77.2%上部団体は全労協・旧社会党系)の争議行為は頻繁・恒常的かつ悪質だが、当局は組合と事実上共謀もしくは忖度してストライキの助長と完全防衛に協力しており、正常な業務運営がなされていない。

〇唯一、平成16317日公営企業委員会後藤雄一都議の質問への場当たり的対応として、勤務時間内事務室内の演説行為は賃金カットになる旨の警告(東岡職員部長通知)がなされるようになったが、それ以外の組合活動、各事業所の管理職が職員一般に対し、警告、就業命令、中止・解散命令や監視をすることはなく管理意思が示されない。実質労務指揮権、施設管理権を発動せず奪われた状態になる。局長名の「服務の示達」なるものは違法行為という文言の一切ないインチキな訓示を行っており、警告は組合中執委員長宛のみで、組合中央だけが違法責任を負い、各事業場のスト実行行為者、職員一般は懲戒責任を問わない組合寄りの方針をはじめから示している。

16年間に6回の時限ストライキ決行は頻度が高いといえる。

 公務員のストは昭和50年代まで頻繁にあったが、平成以降公務員のストは稀になっているのに、水道局では1時間ストが、平成16年~令和元年の16年間に6回(平成162回、20年、22年、26年、令和元年各1回)決行された。

〇違法争議行為は毎年恒常的にある。

 時限スト決行は平成20年から26年は3年おき、6年おいて令和元年という間隔である。しかし、毎年恒例のスケジュール闘争では、当局も争議行為と認定し賃金カットしている勤務時間内職場離脱3割動員決起集会が年間最低34回なされるので、争議行為は恒常的にあると言ってよい。このほか、当局が取り締まらない、オルグ演説、争議行為指令や戦術日程の演説やビラによる情宣、闘争課題を確認し意思統一を図る「昼休み集会」など、地公労法111項後段所定の違法行為(唆し、あおり)は、当局が中止・解散命令をせず容認しているため、違法行為を広範に許容しており規律のある正常な業務運営はなされていない。

〇事実上、管理職の執務妨害であり、多衆の威力で、組合の争議行為目的へ賛同を強要し、管理職をスト協力者に取り込む「所属長要請行動」は闘争期間の大衆行動の核となるものだが、平成163月の後藤都議の質問により勤務時間内より昼休みに移行することになり、近年は低調になっているが、管理職が組合の言いなりの状況に変化はない。

〇三六協定一方的破棄超過勤務拒否闘争は平成5年度9日間なされ、恒常的に最低でも5日間はなされる。悪質な職制麻痺闘争で、争議行為の疑いが濃いが、当局は適法として協力している問題がある。

7判例により非組合員は勿論、組合員であれ、違法スト参加の勧誘、説得を受忍する義務はなく、違法争議行為の統制権は否定されているが、組合側の論理で管理職は非組合員を締め出し、ピケットラインを越えないよう協力し職員の就労権と義務を不当に否定している。

 スト参加の組合員は賃金カットする。しかし地公労法112項違反を避けるためか、組合の説得に応じ、ピケットラインを越えず就労しない非組合員は事故欠勤(勤務実態はないが賃金は支給される)とする慣行があり、詐欺的な不正給与支給といえる。

〇令和元年1220日ストでは、積極的業務妨害(シットダウンストライキ)、業務用機器の隠匿など刑事免責のある私企業の組合でも違法とされる外形上犯罪構成要件該当行為がなされる事業場があり、ストの態様も悪質であるが(業務妨害罪は時効)、管理職は中止・解散命令せず業務妨害を全面的に容認している。

〇当局が争議行為と認定してない悪質な争議行為もある。平成262月の中野営業所の監理団体業務移転協力拒否徹底抗戦など。組合役員が、本庁業務課の職員が固定資産・備品リストの確認のため中野営業所に来庁してきたのに、当時の課長補佐に追い返す行為を強要させた。所長に業務移転関連業務の業務命令をさせない労務指揮権の干渉。本部委員が人事課の派遣説明会の前の廊下でピケをして出席者を追い返したほか、本庁職員に謝罪を強要するなど悪質であった。『正常』な業務の運営とは使用者の労働者使用に関する指揮・支配権能が他のものに阻害を受けずに事実上円滑に行為されている状態をさすので、中野分会の徹底抗戦は、地公労法111項違反行為だが全く問題視されていない。

 〇同盟罷業の懲戒処分の在り方が本部中央闘争委員のみが対象で組合に非常に有利。

 

(Ⅱ)要旨  問題点と主な要求項目

一 違法行為4類型を是認する労務管理を改めること

 違法行為4類型とは(一)地方公営企業等の労働関係に関する法律111項後段の「唆し」「あおり」、(二)同条項前段の同盟罷業、(三)積極的業務妨害、犯罪構成要件該当行為、(四)組合による管理職の労務指揮権への介入、一部の奪取、職制を麻痺させる業務管理のことである。

 水道局の職員と組合は、地公労法111項により争議行為は禁止されている。北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42107は、同条項を合憲としたうえ、懲戒処分を適法とし、附則により地公労法111項が准用される単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員につき、北九州市清掃事業局事件・最二小判昭63.12.9民集4210880も争議行為につき地方公務員法第2911号、2号、3号同法第32条、第33条、第35条及び地公労法111項を適用した懲戒処分を合憲にして適法と判示、北九州市病院局事件.最三小判平元.4.25判時1336も類似の判例であり、最高裁の3つの小法廷すべてが、地公労法111項を合憲として懲戒処分を是認しているから、地方公営企業等の争議行為が組合の正当業務ではないことは明白である。

 全水道東水労の時限ストライキ(同盟罷業)は平成16年以降令和5年まで16年間で6回の頻度だが、それ以外の争議行為もある。全水道東水労は毎年スケジュール闘争で当局も争議行為と認定している3割動員職場離脱集会等の違法行為を恒常的に実施し、昼休み集会等、地公労法111項後段違反行為は、ストが決行されなくても恒例のようになされている。

 問題は、以下に示す各事業場の管理職は、違法行為4類型に対し職務命令などにより全く抑止することをしていない。

 今後は庁舎管理として便宜供与拒否(地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用として拒否してもよい)、強行する場合の中止・解散・退去命令、職場復帰命令、就業命令の徹底。組合が労務指揮権、施設管理権の介入することを拒否することを強く要求する。

 

(一)違法行為類型1 地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」 

 

🔷事務室内の闘争課題を説明し意思統一を図るオルグ演説、指令伝達、「昼休み集会」や支所・合理化拠点決起集会等は中止・解散・退去命令する方針に改める。

🔷組合がストライキを配置した時点で闘争期間中の組合活動の便宜供与を停止すべき。

(詳論-(Ⅴ)一(二)50頁以下)

 

◎闘争指令下の「昼休み集会」は不許可、中止命令の徹底を

 

 主として事務室内でなされる「昼休み集会」を水道局の管理職は許諾し、中止.解散命令をやらない

私が記録している令和元年以前の事務室内昼休み集会は以下のとおり、カッコ内主な演説者

1)中野営業所事務室内 平成23年7月7日(分会役員)

2)中野営業所事務室内 平成23年11月2日(分会役員)

3)中野営業所事務室内 平成23年12月9日(分会役員)

(実況見分記録 52頁参照)

4)中野営業所事務室内 平成24年3月8日(分会役員)

5)中野営業所事務室内 平成25年11月2日(支部.分会役員)

6)中野営業所事務室 平成26128日(本部委員)

7)中野営業所事務室内 平成26年2月12日(支部.分会役員)

上記は実況見分記録あり。なお、これ以外に勤務時間内の頭上報告多数、勤務時間内オルグ演説、抗議演説もあるが、上記は純然たる昼休み集会をピックアップしたもの。

8)西部支所給水課新宿分室 令和元年124日 

9)西部支所給水課新宿分室 令和元年1217

 

 令和6123日(火)の例

 12時26分○○が○○総括課長代理に話しかけたので、許諾をとったものと思われる。

 ○○が、昼休み集会決議(案)の紙を、各席に配りだし、昼休み集会が始まる。在席していたのは、16人程度、課長代理3名在籍、。所長は不在。昼当番2人が勤務中。

  • 28分~29分 司会 中央委員○○

 指令により昼休集会すると宣言、検針係と収納係の間の什器付近で演説に立つ。まず、○○が経過報告すると発言。

  • 30分~37分 支部長○○

 提案は杉並・港の政策提携団体TW業務移転、退職派遣(都職員の身分を離れての一時的に出向し戻る制度)の割合5割とのものだが、局直営7カ所TW13カ所となり局で働く職場は狭くなる。退職派遣は勧めることができない。TWは人減らしを強行し、事務職として入った職員を土木職に職種転換していて、人も少なく労働強化でサービス残業がある。TWにも組合員がいるので労働条件を検証していくことを訴え、実際、港営業所では退職派遣を希望する人がいない状態で、TW社員の面倒をみるのも大変である。TW委託の流れを変えるようにしていきたい云々。

 もう一つは徴収サイクルの変更について組合と事前協議せず強行したため、2023年度に1営業所、24年度に3営業所1名増員したが、1年限りということだが繁忙状況に変わらない。本日3日に専門委員会があれ徴収サイクルは○○分会長TW委託問題は○○で3日の次は10日が予定されている。今後の日程6日の支所拠点決起集会、18日の3割動員、19日最終回答日、20日スト配置を背景に戦っていく発言。

  • 37分~39分中央委員○○

支部で明後日5日に所属長要請行動があるので参加を促した。決議文朗読を○○分会長にふる

  • 40分から47分 分会長○○

 闘争課題を列挙し、最後に「東水労はあらためて三六破棄戦術を構え、12月闘争戦術、昼休み集会、所属長要請行動、今後の日程6日拠点決起集会、2割動員、183割動員決起集会、20日のスト配置で闘っていく」でしめくくった。

  • 48分司会 中央委員○○

 決議文採択の拍手を求め、検針担当を中心に拍手が起きた。最後に6日決起集会、18日決起集会、20日ストの日程を繰り返し発言して協力を要請して終了。

 多くのケースでは団結用意頑張ろう三唱もするが、今度は行われなかった。

 

 「昼休み集会」の違法性は明白である。地公労法111項後段が禁止する「唆し」「あおり」(演説あおり.オルグあおり)そのものであると断言できる。

 「そそのかし」とは「違法行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新に生じさせるに足りる慫慂行為をすること」(外務省秘密漏えい事件・最一小判昭53531刑集323457)と定義される。

 「あおり」とは「違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、又は、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること」(全農林警職法事件・最大判昭48425刑集27454、岩教組学力調査事件・最大判昭51521刑集3051178)と定義される。

 「唆し」「あおり」については、国家公務員法111117号、地方公務員法62条の2(旧614号)で罰則規定がある。公共企業体等労働関係法(略して公労法・現行政執行法人の労働関係に関する法律)と地方公営企業等の労働関係に関する法律(地公労法)には罰則規定はないが、違法行為である以上18条解雇、法令遵守義務等の服務規律違反として、懲戒処分の理由となる。

 例えば、北九州市減給日額二分一懲戒処分事件・福岡地判昭56629労判368は、昭和4412月北九州市水道局工務部配水課に所属する技術吏員で、市職労本部執行委員専従が、清掃事業局西港清掃工場業務第一係詰所において、同詰所にいた清掃作業員らに対し、年末休日出勤をしないよう呼びかけた等につき減給処分とされた事案で、年末休日について市職員労働組合が出勤拒否の指令を出し、清掃職員が統一的集団的に年末休日勤務を拒否したことは、地公労法11条1項に禁止される争議行為に該当し、これを指揮した組合執行委員である原告の行為も同条の禁止する「そそのかし」、「あおり」にあたる(TKCの要約の要旨)として処分を適法とした。また北九州市交通局12条解雇事件・最二小判昭55.2.8労判335では「あおり」が解雇の理由の一つになっている。

 全農林警職法判決は、公務員の勤務条件法定主義、公務員の争議行為に対する市場の抑制力の欠如を強調して、公務員法のあおり等処罰規定は、字義どおり、すべての公務員の一切の争議行為を一律全面的に禁止するものであり、その違反行為について、争議行為に通常随伴する組合役員の指令発出等を含めてすべてのあおり行為を処罰できるものとしている。

 平たくいえば 行動指令の発出伝達、スト実施体制確立のための活動、闘争指令下での演説、集会は「そそのかし」「あおり」になる。狭く解釈する必要はない。

 強い違法性がなければ正当などいう理屈は半世紀前に明示的に否定されている。日教組スト事件・最一小平成元・1218刑集431388は、日教組の昭和49年春闘411日全一日ストにつき、地方公務員法614号のあおりの罪により、当時のММ日教組委員長を懲役六月、またМT都教組委員長を懲役三月、いずれも執行猶予一年に処した原判決を支持した。

 組合側の上告趣意書では「あおり」を次のように限定的に解釈されるべきとする。

 「闘争体制、スト体制を確立することなどを目的とするにとどまるものはふくまれない‥‥「あおり」は感情に訴えるものであり、感情に訴える要素のないものを「あおり」となしえない‥‥それ自体において現実に争議行為の原動力となり、現実にその実行を誘発する危険があるとみとめられる真剣さないし迫力を有するもの、あるいはそのような行為があれば、争議行為が現実に実行され、またそのような行為がなければ争議行為が実行されることが困難であるような力を有するもの」

 しかしこの趣意は、最高裁により退けられたのであって、限定解釈はしないと決着がついている。

 集会の演説行為が「唆し」「あおり」にあたる。代表的な判例は全運輸近畿陸運支部(大阪陸運局)事件・大阪地判昭54.8.30、大阪高判昭57.2.25民集3971478、最二小判昭60.11.8民集3911375、昭和441113日の15分ないし20分勤務時間に食い込む各職場大会の事案であるが、争議行為当日であれ、その前の組合員の意思統一を図りストライキに向けて志気を鼓舞する集会でも同じことである。

 一審は、集会におけるあいさつ、メッセージと祝電の朗読、職場大会の意義の演説、所長交渉の経過の演説、決議文朗読した行為、団結頑張ろう三唱等が国公法982項後段所定の『あおり』『そそのかし』に当たるとした。

 二審は「あいさつ」「職場大会の意義についての演説」「所長交渉の経過報告」「決議文の朗読」などの行為は「そそのかし」「あおり」に該当し、とりわけ「あおり」のうち「既に生じている決意を助長させる勢いのある刺激を与える」ことに該当するとした。

 上告審は「本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する
『そそのかし』又は『あおり』に該当するとした原審の判断は正当」と判示し、戒告処分を適法としている。戒告処分に処せられた者43名の内訳は、全運輸本部役員1名、支部三役8名、分会三役34名である。

 ところが東京都の管理職は地公労法111項後段所定の「唆し」「あおり」を違法行為と全く認識していない。違法行為を助長しているのは重大なコンプライアンス違反であるので、中止・解散・退去命令を徹底すべきである。

 組合の指令伝達をする頭上報告、本庁.支所.合理化拠点での決起集会も同じことである。旧郵政省と同様に、全水道東水労が、ストライキを配置し闘争体制に入った時点で、労働組合には庁舎内の便宜供与を禁止する方針を強く提案する。東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6労判442号は、国労札幌地本判決の判断枠組により、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、郵便局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法171項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はなく不当労働行為には当たらないと、司法も認めていることである。

 東京都の管理職が「唆し」「あおり」を違法行為と認識しないのは、これは半世紀前に判例変更(全農林警職法.岩教組学テ事件)された争議行為通常随伴行為不罰論を信奉している左翼体質もしくは組合との不透明な癒着と考えられる。

 

  また管理職(平成22年当時の中野営業所長○○、のち経理部管理課長、職員部監察指導課長、労務課長)は労基法34条第3項(休憩時間の自由利用)により昼休みは組合活動を規制できないと断言し、執務室内のストライキ決行体制のため闘争課題を確認し組合員の意思統一を図る「昼休み集会」を許諾していた。他の管理職も同様である。

 しかし、労基法34条第3項を争点として最高裁は「休憩時間中といえども、その勤務する事業所又は事務所内における行動については、使用者の有する一般的な管理権に基づく適法な規制に服さなければならない」(米空軍立川基地事件.最三小判昭49.11.29)「企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない」(目黒電報電話局事件.最三小判昭52.12.13)と説示し休憩時間中の局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等についても局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める電電公社の就業規則が休憩時間の自由利用に対する合理約な制約であると判示した。昼休みや勤務時間外の集会の中止・解散命令が不当労働行為に当たらないとする判例は多数あるので当然、施設管理権の行使として規制できるのであって、労務課長にまでなった○○の見解は間違っている。東京都の管理職の法解釈がすべて組合寄りで是正されるべき。

 

(二)違法行為類型2 同盟罷業(組合の正当業務として扱っている)

 

🔷職員一般に従来行ってない、違法行為には必要な措置をとるとの文言のある事前警告を行うべき。

🔷争議行為中、職場復帰命令、就業命令を一切やらない方針の是正。

🔷懲戒処分の前例は本部中央闘争委員の34名に限定し、指令に従っている大多数の組合員の懲戒責任は問わないことになっているが、組合に著しく有利で、抑止効果に乏しいため、今後、各事業場に勤務する役員以下でスト集会の実行行為者は、各事業場単位で最低1名、戒告以上の処分をするよう方針を改めるべき

(詳論-(Ⅴ)二(一)1と2 、(二)(四)、(Ⅵ))

 東京都水道局では、同盟罷業を違法行為であるとの警告をしていることを確認できるのは組合中央執行委員長宛ての「中止の申入れ」のみで、職員一般には違法行為という文言のない警告に相当しないインチキな訓示を伝達する慣例(通称 服務の示達)になっている。

 国の官庁では職員すべてに対して、違法行為に参加したときは必要な措置をとる等の警告をする。まともな自治体では就業命令書も事前に交付する。

 しかし東京都ではあくまでも組合側の論理で、違法であっても指令に従って組合員としての義務を果すためのストの指導、参加は個別懲戒責任を生じないという誤った法解釈にもとづき、本部中闘以外の大多数の組合員には地方公務員法32条の法令遵守義務適条の懲戒処分は絶対させない体制になっているため、組合委員長と職員一般とで違った対応になっている。

 ストライキに参加することは、法令遵守義務違反として責任が問われるリスクがあると自覚させないのはコンプライアンスに著しく反するので是正する。

 また、ストライキ当日の就業命令、職場復帰命令を東京都は絶対行わないのである。

 これはたんに地方公務員法32条の職務命令に従う義務違反として処分されないようにするためだけでなく、争議中の操業(業務運営)は、争議権との対抗の中では権利性を失なうという組合側の指図で、非組合員や組合員でストに反対の職員に業務命令して業務運営を維持しない方針にしているためである。

 当局は、「就業命令しない=ピケットラインの尊重」を事実上示唆しているため、職員のすべては組合のスト参加の勧誘、説得に応じるべきものという前提で、就労したい職員ですら、服務の基本的義務であるICカードリーダによる出勤入力を認めず、他の説得に応じた非組合員と同様、事故欠勤扱いにしようとして就労の権利を侵害する。

 これは職員部監察指導課の指示にもとづく組織的対応なのである。

 組合と管理職の共謀により、違法行為の慫慂が管理職によってなされるのが実態であり、職務を離脱していて勤務実態なく詐欺的に賃金を受け取る「事故欠勤」の指示とその申請をする非組合員もコンプライアンスに著しく反する。

 この点は、令和元年1220日の1時間ストで当時新宿営業所長の○○が、組合の要請のもとに、いっさい業務命令せず、多数の非組合員の事故欠勤を承認しているので事情聴取すればわかることである。

 

 国の各省庁の争議行為対応は、スト当日の就業命令・職場復帰命令を重視し徹底している。争議行為中であることを理由として、上司の命令に従う義務(国公法981項)は免れないと説示した神戸税関事件.最三小判52.12.20以降累次の判例で就業命令が適法であることは確定していることであるが、全水道東水労が職制を抑えつけて就業命令させない意味は4つある。

 第一に争議行為を組合の正当業務として管理職に認めさせている。第二に違法行為を阻止すべく管理意思を示さないにしている。第三にストライキに対抗して操業維持させない。ストライキ時は職員を使った業務を停止しなければならないとし、保安要員以外必要な業務は管理職対応と命令しているためであり、第四に地公法32条適条の懲戒処分ができないようにするためであり、いずれも不当でありコンプライアンスに著しく反する。

 当局が管理意思を示さず、争議行為に対して労務指揮権、庁舎管理権の行使を凍結していることは、違法行為を助長、容認していることになり、地公労法111項争議行為禁止の保護法益である住民の共同利益を侵害するものとして糾弾に値する。

 懲戒処分を本部中央闘争委員会に局限せず、各事業所のスト集会の実行行為者、ストを指導している役員や率先助勢者も戒告以上の処分の対象とするよう是正が必要。

 組合役員は、争議行為は組織的団体行動であり、違法であっても指令に従って行動する組合員は組織の義務を果たしているだけで懲戒処分等の責任を問えないと言う論理を言うが、この説は指令に従うだけの組合員の個別責任も当然問えるとした全逓東北地本懲戒免職事件.最三小判昭53.7.18により明示的に否定されており、東京都は最高裁判例を無視し、法外的な組合の論理に従ったことしかやらないのである。

 

(三)違法類型3 積極的業務妨害・外形上犯罪構成要件該当行為の許容

 

🔷新宿営業所の事務室内を多衆で占拠するシットダウンストライキや業務用機器の隠匿は業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為なので、管理意思を明確にして強く中止・解散命令等を行う、強行した場合必要な措置をとる。

🔷本部役員のオルグ・ピケや支所・合理化拠点集会での外来者の立ち入り、セキュリティ破りのスト待機は、管理意思を明確にして建造物侵入罪を成立させるべき。

(詳論-(Ⅴ)二(五))

 全水道東水労の争議行為及び争議行為に付随してなされる外形上犯罪構成要件該当行為の問題である。

 最高裁先例によれば、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきとする(朝日新聞西部本社事件・最大判昭27.10.22民集6927、羽幌炭礦鉄道事件・最大判昭33.5.28刑集12816)前提であり、プロレイバー学説のように、争議権に業務阻害権を含むことを否定している。東京都はプロレイバー学説に忠実な左翼体質で、積極的業務妨害も全面的に容認しているという問題である。

 地方公営企業では争議行為が禁止されているので、単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も勿論違法行為であるが、全水道東水労のストは、私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質と断定できる。

 既に威力業務妨害罪は時効であるが、令和元年1220日の1時間ストで、新宿営業所でなされたのは、事務室の検針担当執務エリアを40人程度で占拠して集会する態様で、物理的に業務遂行を不可能にするシットダウンストライキである。また業務用機器をストの時間帯隠匿される業務阻害があった。これには組合役員でない当時○○課長代理らが関与している疑いが強く、外形上業務妨害罪の構成要件該当行為である。

 当時○○所長は、シットダウンストライキという業務妨害を全面的に容認し、中止・解散・就労命令はやっていない。私がお客様からの苦情の電話を処理しつつも、見ていることである。 私は、ストの最中、○○所長に中止命令すべきと進言したが、「これはストなんだよ」と言い返してきた。積極的業務妨害があって当然なんだという組合の主張を認めているのである。

 スト実行指導者といえる集会の演説者、○○、○○、○○についても現認検書を作成しないと言っていた。そればかりか○○所長は、ピケッティングに立って私を出ていけと恫喝し、集会でも演説してストを指導した○○を主任に昇進させている。違法行為を指導して処分されないどころか昇進するのが東京都の倣いである。

 犯罪構成要件該当行為の是認は当然という認識のようであるが、それは公労法違反の争議行為で刑事免責を肯定した中郵判決が判例を維持し、可罰的違法性論による無罪判決の多かった昭和40年代の考え方で、国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25以降、マスピケ等の無罪は有罪とされ、指導的判例で、公労法違反の争議行為とそれに付随する行為につき、刑事免責を否定した全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4は、郵便法違反幇助、建造物侵入を有罪とし、同判決方式の判断枠組をあてはめれば、新宿営業所でなされたことは、違法性が阻却されることはありえない。管理職でも違法性の判断ができない以上、再教育が必要に思える。

 職員部から就労命令等の指示はないため、職員部の指示どおり動き、犯罪構成要件該当行為容認がコンプライアンスとなっている。管理意思を示すことを義務づけ犯罪を成立させるべき。

 このほか、本部役員のオルグ演説、ピケ等での立ち入り、支所・合理化拠点の決起集会の外来者である動員組合員の立ち入り、スト前日から当日の深夜・未明に警備会社と契約しているセキュリティを破って事務室に出入りするスト待機についても管理意思を明確に示し、建造物侵入罪を成立させるべきである。

 名古屋中郵判決の判断枠組は以下のとおり(香城敏麿・国労松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集322159判解 公労法171項と地公労法111項は別異に解釈する必要はない)

 

(イ)公労法171項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法12項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法171項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法17条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければなない。

 少なくとも外形的には新宿営業所の職場占拠と、業務用機器の隠匿は(イ)の範疇に当たり、業務妨害罪は管理意思を明確に示せば違法性は阻却されないはず。オルグやピケッティング目的の無許可侵入、スト待機の深夜の無許可庁舎侵入は(ハ)に当たり、外形上建造物侵入罪の犯罪構成要件該当行為に当たり、退去命令をすれば不退去罪。組合側は当局が管理意思を示さず容認しているから犯罪にならないと主張するだろうから、今後は無許可組合活動の禁止を規則で明文化し、中止命令等の管理意思を示し、犯罪を成立させる。刑事事件にせずとも懲戒処分の対象とすべき。

 

(四)違法行為類型4 労務指揮権の凍結、業務管理 

 

🔷平成26年の中野営業所監理団体業務移転拒否闘争のような、所長の労務指揮権を組合に奪取されることがないよう、ガバナンスを徹底させ、組合役員が労務指揮権に介入したり、業務妨害に対しては毅然とした対応をとり、懲戒処分も行うこととする

(詳論-(Ⅴ)二3 66頁)

 全水道東水労の大衆行動の核となっていたのは、所属長要請行動であった。大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものがある。

 役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、怒号が飛び交い、言いなりにならないと吊るし上げる態様のもので、執務妨害だが、拒否したり、退去.解散命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもある。それゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。

 但し、平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動を質問したことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、昼休み等に移行させることとなり、近年では低調になっているが、組合が恫喝して、力関係で労務指揮権や施設管理権を凍結させ、争議行為を懲戒処分のおそれなく、有利に進めていくのが、組合側の基本戦略である。

 平成261241時間ストライキが決行された後、組合は中野営業所監理団体業務移転阻止闘争のオルグ活動に入り、退職派遣制度(一時出向して戻る)を希望させない。人事課による退職派遣の説明会には出席させないことを組合員に徹底させたうえ、当局を交渉にひきずりこむという戦略の闘争がなされた。

 2月5日には○○本部委員が勤務時間中オルグ演説し、当日の人事課の説明会の入場を阻止するピケを張った。所長○○は容認した。一方で、○○分会書記長が、移転業務の一つである固定資産、備品リストの照合業務のため来所したところ、課長補佐に組合の闘争に協力しないとまずいことになりますよと言い、サービス推進部業務課担当者を追い返し、業務妨害をしたこと。

 さらに○○分会書記長は所長の○○に対し移転関連業務の業務命令をしないよう強要したことである。

 移転関連業務が進捗しないから、4月移転は無理ということになり、組合の主張がとおって7月移転に延期したのである。

 所長の○○に質問したところ、非経常業務は組合と事前協議することになっており、協議が不調なので業務命令はしないとの趣旨を言っていたが、言い訳としては苦しい。

 事前協議の対象であるとしても、それは数か月前から再三やってきたことで、決裂後の対応としては業務命令するしかないはず。

 組合員である課長補佐の指示に従えとのことだったが、上級部署の指示に従うのがコンプライアンスであるから、組合に屈服してしまうのは問題がある。しかも組合は移転に協力させるためにはサービス推進部担当者に謝罪の文書と、実際に中野営業所にきて頭を下げるよう強要もしている。

 出先の各事業所では、普段から経常業務以外は事前協議で管理職は組合役員にお伺いする立場で、争議行為は労務指揮権・施設管理権凍結が通例なので、上級部署の指示は止まってしまうことがあるのである。

 以上述べた○○本部委員や○○分会書記長の行為は、地公労法111項違反行為であるが、報告していないにせよ職員部当局は闘争が継続にしていることに関心がない。124日のストは25日に処分を終えており、争議行為は終わったものと認識しているのが大間違いである。本部中闘指令の同盟罷業と動員集会等というスケジュール闘争だけ争議行為と認識し、特定拠点の争議行為は放置するのが職員部当局である。

 労務指揮権が空洞化してしまうのは、スケジュール化された争議行為でいっさい職務命令をやらない慣行がきいているのである。日頃から違法行為の抑止、職務命令という国の官庁ではあたりまえのことをやってないので、交渉決裂後の業務命令のような修羅場の状況でも組合のいいなりになってしまう。

 当局は杉並営業所と港営業所を令和74月に政策提携団体TW業務移管する提案がなされているが、中野のように徹底抗戦になるかはわからない。もしそうなった場合は、現場の管理職は組合のいいなりになり、業務移転業務の業務命令ができない事態もありうるので、組合による労務指揮権奪取を防ぎ、組合に掣肘されない業務運営のため、特別査察チームを派遣するなど、職制側の増員支援も必要といえるだろう。

 

二 非組合員等の就労の権利と義務の侵害をやめるべき

 

🔷当局は組合と共謀による非組合員の就労妨害の方針をやめること

🔷非組合員とスト反対の組合員には業務命令で業務運営を維持する方針にかえること

🔷勤務実態がないのに賃金を支給する非組合員の事故欠勤請求、もしくは強要は詐欺的で不正会計なので認めないこと

(詳論(Ⅴ)二(三)69頁、(Ⅵ)一88頁)

(二)でも述べた繰り返しを含む。

 公労法171項違反の争議行為は、統制の及ばない非組合員はもちろん、組合のスト決議は違法であり内部統制権を明示的に否定する判例が、中郵判決が判例を維持していた昭和4750年にかけて、7判例(最高裁1判決を含め巻末主な参照判例では★印)がある。民間の組合とは違って組合員にも就労の権利があることは明らかである。

  • 全逓横浜中郵前ピケ事件・差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20

(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却) 

  • 動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30

(上告審最一小決昭51.4.1棄却)

  • 国労岡山操車場駅・糸崎駅事件.広島高判昭48.9.13 
  • 国労尼崎駅事件・大阪高判49.4.24判時73440

(上告審-最一小判昭52.10.20 刑事裁判資料230号812頁 棄却)

  • 動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.25判時770113

(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)● 国労東和歌山・和歌山駅事件.大阪高判昭50.9.19

○ 国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28民集2910163

 

 動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30( 最一小決昭51.4.1棄却)は、「争議行為が少なくとも労働法上一般的に違法とされている国鉄においては、組合は組合員に対する統制権の行使を理由として、斯る違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は右職場集会実施の組合本部指令に服従すべき義務はなく、従って、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務もない‥‥。」と説示し、国労役員が運転室を占拠し、マスピケにより国鉄当局の業務命令で、スト参加者の代務を命じられた指導機関士の乗務阻止につき威力業務妨害罪の成立を認めている。

 地公労法111項の先例ではないが、公労法171項と同文なので同じことである。

 ところが、水道局の管理職は組合と共謀してスト完全参加と防衛のため、ストの前日に組合の説得に応じた非組合員に事故欠勤を強要し、説得に応じない職員もピケットラインの通過と出勤簿に相当するICカードリーダによる出勤記録の電磁的入力を認めず事故欠勤を強要しようとする。管理職が服務上の基本的義務である就業規則違反と違法行為を指示するのである。

 勤務実態がないのに賃金を受け取る詐欺的行為を非組合員にさせる組織的方針であり、不正会計支出を行っている。

 非組合員の締め出しは、地公労法112項違反であり、ストに参加したくない職員の就労する権利と義務を侵害しているので今後は行わないことを強く要求する。

 当局は、就労せずとも賃金を払うのであるからロックアウトではないので112項違反には当たらないと言い張るだろうが、事故欠勤とは交通機関の遅延により遅刻した場合、遅延証明により賃金カットの欠勤としない制度で、違法行為目的、ストライキ参加を促すため、ストライキ防衛のために用いるものではない。組合と当局の不透明な癒着で当局がストを全面的に支援しているのである。

 組合員だけでなく詐欺的な賃金受給を受ける非組合員も遵法精神に欠き悪事を働いているものとして糾弾されるべき。

 

三 受忍義務説(法益互譲論)による管理を改め、企業秩序論法理を採用する

 

 当局は、労働組合法71項により保護されない正当でない組合活動、違法行為、犯罪構成要件該当行為、職制麻痺闘争など秩序を乱す行為を広範に容認しています。

 45年前の国労札幌地本ビラ貼り事件.最三小判54.10.30が明示的に否定した受忍義務説(法益互譲論)にもとづく労務管理・.庁舎管理を行っており、庁舎の目的外使用を広範に許容していることは、ガバナンス・コンプライアンス上不適切であり、後藤雄一都議質問の場当たり的対応といえる、職務専念義務違反の組合活動に限って賃金カットの警告をするという平成163月東岡職員部長通知には欠陥があるので撤回し、受忍義務説を明示的に否定し、法益互譲論を否定している企業秩序論判例法理に基づいて下記のような就業規則の整備により、職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するよう根本的に職場風土を改革すべき。(詳論-(Ⅳ)(四)43頁、第Ⅱ部(Ⅰ)111頁)

(註-受忍義務説 主な論者として本多淳亮『業務命令.施設管理権と組合活動』労働法学出版 1964 、籾井常喜『経営秩序と組合活動: 不当労働行為の法理』総合労働研究所 1965 、峯村光郎『経営秩序と団結活動』総合労働研究所 1969 、片岡曻『労働組合法の争点:法からみた労使関係のルール』総合労働研究所 1971、外尾健一『労働団体法』 筑摩書房1975

 

(就業規則追加案)川西案

 

1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。

2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。

4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)

5 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両.旗.幟.拡声器.プラカード.横断幕.立看板.テントその他工作物を持込んだり、設営してはならない。又、許可なく業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、集団行進をしてはならない。

6 職員は、庁舎、局施設のその秩序維持等について庁舎管理規程に基づく庁舎管理者の指示に従わなければならない。

7 職員は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をしてはならない。また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならない。

8 

(1)職員は、局所内で、文書若しくは図画等を配布する場合、職場の規律.秩序をみだすおそれのない平穏な方法又は態様でなければならない。通行の妨害もしくは混乱をもたらす態様、受け取りを強要する態様、職員の休憩時間の自由利用を妨げる態様で行ってはならない。又、局が庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるとき、無許可配布を禁止するものとする。

(2)職員は局が許可しないメッセージ性のある旗やマグネットシート、煙突状の小物、マスコット、短冊を机上、什器等に設置、陳列、貼付してはならない。

(3)職員は、局所内で業務外の文書又は図画を掲示する場合には、あらかじめ指定された場所に許可された文書等以外、掲示してはならない。局は庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回することができる。

(4)以下に該当する文書又は図画等の配布又は掲示は中止、撤去命令の対象とする。

一 業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの。

二 地公労法11条1項等が禁止する違法行為を慫慂、そそのかし、あおるもの。

三 信用失墜行為に該当するおそれのあるもの。

四 違法な掲示物、名誉毀損又は誹謗中傷に該当するおそれのあるもの

五 公の秩序良俗に反するおそれのあるもの。

六 組合旗、激文.寄せ書き、幕の掲出など示威、闘争的言辞の掲示物。

七 その他著しく不都合なもの。

9 職員は、みだりに欠勤し、遅刻し、若しくは早退し、又は上司の許可を得ないで、執務場所を離れ,勤務時間を変更し、若しくは職務を交換してはならない。

10 職員は、みだりに業者、物品販売、保険の勧誘、当該事業所に勤務していない職員等を職場に立ち入らせてはならない。職場の規律.秩序をみだすおそれのある署名・募金活動をしてはならない。

11 職員は、職場において、みだりに飲酒し、又は酩酊してはならない。

 

 

四 三六協定破棄闘争時に労務指揮権を凍結する慣行の見直し

 

🔷現状は組合の意向に従い労基法上違法な業務命令をさせない在り方だが、労務指揮権凍結を許容し組合が管理職に下位職務を指図するあり方は異常で、必要不可欠な時間外の経常業務、事前に日程に組まれ委託業者に影響をもたらす時間外業務は、労働基準法違反を承知で、業務命令する方針に改めるべき

(詳論・(Ⅴ)一(三)、(Ⅵ)三。)

 三六協定一方的破棄闘争(超過勤務拒否)は、悪質な職制麻痺闘争だが、毎年同じ時期に恒常的に行われ令和5年度は断続的に計9日間行われた。当日は組合役員に加えて管理職も触れ回って残業厳禁とするのが通例であり、当局も適法と認めている。

 平成16年度は業務手当等大きな闘争があったので20日間ぐらい闘争がなされた職場がある。これは日時を指定しての保安要員を除いての超過勤務拒否闘争である。

 保安要員は労働調整法で争議行為時に義務付けられている趣旨でなく、当局との協議によるもので、浄水場、水運用センターなど水供給に支障なく、突発事故に対応できる最低限の人員と考えられる。保安要員を置くと言うこと自体がすでに正常な業務運営ではない。

 (なお、保安要員の範囲は、私が水道特別作業隊に在籍していた当時、庶務係や企画担当も含めて保安要員だったものが、平成20年の給水部の部署と合併して水道緊急隊に組織改正されたが、技術系職員と事務職員もいる工務係が保安要員から外れている)

 内閣法制局意見昭32.9.9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁(従来更新を重ねてきた三六協定の更新拒否が、超過勤務自体の条件改善のためではなく、労使間の他の要求貫徹の手段としてなされるときには、禁止された争議行為にあたるという趣旨)や内閣法制局意見見解に近似しているとされる見解をとった北九州市交通局事件.最一小判昭63.12.8に照らして、争議行為である疑いが極めて濃いにもかかわらず、当局の見解は、北九州市交通局事件で三六協定未締結での超勤拒否闘争を争議行為と認定したのは平常ダイヤのバス運行が9勤務、超過勤務が前提のものだからとして、水道局ではバス運転手のように毎日超勤を義務付けている職場はないので、適法とするのである(平成15年に確認した)。

 しかし営業所でも経常業務で超勤はあるし超勤予算もとっている。又、毎日ではなくても配水課などでは夜間作業が頻繁にあり、時間外労働がなければ成り立たない職場であるのに、職員部当局は適法とする判断で、協定未締結で労務指揮権は凍結されるとの組合の見解を受け容れているため管理職は労務指揮権を放棄することがコンプライアンスという異常な状態である。一方組合役員のスト前日のセキュリティ破りのスト待機の寝泊り、スト準備もすべて容認される

 施設管理権も奪取される状況がある。

 水道緊急隊は工務係を除き保安要員とされており、突発事故の対応はできるから問題ないと当局はいうだろうが、悪質な職制麻痺闘争である以上、いつでも組合が違法争議目的で労務指揮権が掣肘されることを許している職場慣行は、1400万都民と首都中枢のライフラインを支える企業としては無責任な体制といえる。

 最高裁は三六協定未締結で国鉄や郵便局が業務命令したケースで、就労を妨害する組合員による、公務執行妨害や業務妨害罪の成立が争点になった事案では以下の判断をとっている。

 仙台鉄道管理局駅事件・最二小判昭48.5.25は、「労働基準法321項は‥‥労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。‥‥職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」と説示し公務執行妨害罪の成立を認め、動労糸崎駅事件.広島高判昭和48.8.30は労働基準法違反の時間外労働という一審の争点を明示することもなく久留米駅事件方式の「法秩序の全体的見地から」という決まり文句で、名古屋中郵第二事件最二小判昭53.3.3も一審、二審で争点になった三六協定未締結の問題に言及することもなく名古屋中郵判決方式での「法秩序の全体的見地から」、職務の執行が違法となるものではなく、刑法234条によって保護される業務に該当するとし、威力業務妨害罪の成立を認めている。

 営業所ではレジをスタンバイするための一連の経常業務を組合役員が管理職対応として下位職職務を指図してやらせるいやがらせも行われている。

 総合的に判断すると、国鉄は国労や動労が三六協定未締結であっても業務命令していたように、労基法上違法であっても、それを承知で必要な業務命令をすべき。組合は罰則があるから、業務命令は許されないとして管理職を脅し労務指揮権を奪うことが、協定破棄の重要な目的になっており、信義則に反し、ストライキ決行を有利に進めるため違法行為目的であり、司法はこのような場合「法秩序全体の見地」から労働法優位には判断することはまずない。労基法の罰則を恐れる必要はなく、職員部長の判断で方針変更を行うべきである。

 また、労基法33条により災害時は三六協定未締結でも業務命令できることになっているが、それは組合を刺激するためか周知されておらず、知らない組合役員もいる。

 震度に応じて緊急配備態勢は異なるが、震度6弱以上は夜間・休日発災時には緊急災害出動として、事務職員でも資器材置き場の解錠、給水拠点での応急給水器材の設置、住民への給水活動準備、最寄り事業所での業務といった任務が割り振られている。

 三六協定破棄が土日に設定することは近年にはない。令和5年度は9日だったが、大きな闘争がない場合は年間56日程度であり、平成16年のケースは例外で、闘争時に発災する確率は小さいが、予算ゼロでできる防災対策なので災害時は未締結でも業務命令できることは周知しておくべきである。

 平成233.11の大震災でも春闘の際中で、数日後に三六協定拒否闘争が予定され、組合は機関で闘争を7月に延期して中断し、計画停電対応の待機などに協力する決定を下すまで時間がかかっている。緊急時に即応できる体制とは思えないのである。

 

(Ⅲ)要求項目

 

(総論)プロレイバー学説に依拠した悪弊の一掃

 東京都(水道局)は、コンプライアンス経営宣言しているにもかかわらず、最高裁判例が明示的に否認している組合側の論理(プロレイバー学説)に依拠して誤った労務管理を長年行っていること自体、脱法的、法外的である。

 違法行為と犯罪を著しく助長している職員部監察指導課の前例踏襲の争議行為対応は刷新されなければならない。一般職員に事前警告をせず警告に値しない偽装の訓示をやったり、争議行為時に就業命令をやらないとか、懲戒処分は組合中央の機関責任にとどめるなどは知事部局も同じと考えられ、たんに水道局特有の問題ではなく東京都全体の左翼体質改善が求められる問題である。

一 平成163月の東岡職員部長通知を廃止し、就業規則を整備する

 平成16年東岡職員部長通知による頭上報告の賃金カットの警告は、同年317日公営企業委員会の後藤都議の質問に対する場当たり的対応にすぎず、職務専念義務違反以外の理由で警告することはない。頭上報告は、指令や闘争日程の伝達、「あおり」「唆し」の違法行為であるケースも多く、本部中執や本部委員のオルグに警告できず、演説の内容や事務室内で行われる影響などは考慮されず重大な欠陥があるので廃止し、無許可演説・集会、無許可組合活動、他の職員の職務専念妨害抑制義務等の就業規則を整備したうえ、演説行為は禁止事項とする。

 囚われの聴衆での演説行為はそれが就業時限前のスタンバイの状態であれ、勤務時間中であれ、休憩時間であれ、アジ演説を聴かされなければならないというのは能率的で規律のある適正良好な職場環境ではないという観点で、そもそも演説行為を認める必要がないということである。組合の情宣活動として印刷物、機関紙、ニュース等のビラ配布は平時は無許可制とする提案であり、組合掲示板もある。

 最高裁の案出した法益権衡を否定した企業秩序維持権の行使(秩序をみだすおそれ、違法行為、正当でない組合活動等に中止命令を確実に行う)よる労務管理に移行させること。現状は国労札幌地本事件最三小判54.10.30や呉市立二河中学校事件・最三小判平18.2.7で明示的に否定された受忍義務説により、正当でない組合活動に対し、秩序維持権、施設管理権を行使せず、行政財産の目的外使用を許可なく広範に許容しているので抜本的な改革が必要。

 JRでは就業規則のほか労働協約でも無許可組合活動、業務以外の構内立入を禁止しており、そのような労務管理に改めることを強く提案する。

二 闘争指令下の昼休み集会等の中止・解散命令の徹底

 事務室内で行われることが多い「昼休み集会」は端的に違法行為を慫慂し、同盟罷業の遂行をあおるもので、地公労法111項後段で禁止する「そそのかし」「あおり」であるのに、管理職は全面容認している。

 闘争指令下の昼休み集会、本庁・支所・合理化拠点構内の決起集会、指令伝達等オルグ演説、違法行為を慫慂するビラ貼り、ビラ配りも含め、不許可・中止・解散・退去命令を義務付けること。監視・写真撮影・録音も行う。管理意思を明示して当該事業所以外の組合員のオルグ、ピケ、動員集会の立入に対し退去命令し、建造物侵入罪等を成立させる。

三 闘争体制での組合活動の便宜供与禁止

 東水労がストライキを配置し闘争態勢に入った時点で、組合活動の便宜供与の禁止を義務付けること。以下の国の省庁の実務に準拠した方針に変更する。

 (東京城東郵便局事件.東京地判昭59.9.6全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後の、局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可に権利濫用と認めるべき特段の事情はないとした事例 法律時報臨時増刊「判例回顧と展望」)。

 無許可集会等の強行は中止・解散命令と、現認検書の上申を義務づける。

四 スト対策本部の立ち上げ、非組合員を総動員する

 スケジュール闘争時にはストライキ対策本部を立ち上げ、管理職でない非組合員を全員召集して警戒および情報蒐集、組合員らの行動の監視、確認、組合員らによる違法行為の阻止、排除等の任務を与えること。抗議で荒れる職場対策として特別査察チームを編成し、違法行為・犯罪行為抑止のためオール都庁で協力態勢を構築すること。

 

五 管理職に組合役員より職務命令等をしない要請の拒否義務づけ

 所属長要請行動は、交渉ではなく多勢の威圧のもと管理職に争議目的を承認させ組合側に取り込む趣旨なので、拒否を義務づける。このほか組合役員より職務命令をさせない等の、労務指揮権に干渉する要請に従わないことを義務づける。

六 三六協定未締結でも業務命令を行う

 三六協定一方的破棄闘争(平成5年度は9日間、長くて3日連続だが、平成16年は9日連続で破棄)では、管理者の業務命令権は消失することはなく、法定時間内はもちろん、それを超えて労基法上違法であっても、職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではないとの最高裁判例にもとづき、必要な業務命令は行うこと。(具体的に提案は(Ⅵ)各論三(七)結論を参照されたい)

 また労基法33条により災害発生時は三六協定未締結でも業務命令できることなど周知・徹底することとし、緊急災害対応の初動で遅れることがないようライフラインを預かる企業として責任を果たすこと。

七 組合が管理職に経常業務を押し付けるいやがらせの拒否義務付け

 三六協定破棄闘争で、組合が経常業務を「管理職対応」として押し付けるいやがらせを拒否し、業務命令すること。

八 従来なかったストライキの事前「警告」と就業命令書交付の義務付け

 争議行為に対する職員部監察指導課が各庶務担当課長宛ての「服務の示達」にもとづく一般職員への訓示は、同盟罷業が違法行為であり、これに参加した場合は関係法令に照らし必要な措置をとる等の言及がなく、就業命令でもないことから、「警告」に値しない。地公法32条の適条による懲戒はやらないことが「お約束」であることを示唆し、むしろ違法行為を助長する趣旨となっている。見え透いた八百長のようなインチキな慣行を改め、違法行為には必要な措置をとる等の「警告」と就業命令書の交付に切り替える。就労を申し出る職員を出来るだけ多くするよう努めることとする。

(Ⅵ)各論一(六)参照。

 

 従来、ストの全日に貼りだす 「職員の皆さんへ」(平成20年頃の例-現在もフォーマットは同じと考えられる)

                                                       東京都水道局長

  皆さんは、都民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を行う立場にあります。とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待にこたえるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

 とりわけ、今日都民が都政によせる関心と期待はさらに高まりつつあり、この期待に応えるため、皆さん一人ひとりの自覚と職務への精励が従来にも増して必要な時期にあります。

 ところで、全水道東京水道労働組合は、明日318日に始業時から2時間のストライキを予定している模様です。

 皆さんが一斉に職場を離れることは、都民の生活に大きな影響を与えるばかりでなく、都政に対する信頼を都政に対する信頼を裏切ることになります。

 皆さんが、公務員の本分を十分にわきまえ、都民の批判を招くことのないように良識のある行動をとられることを求めます。

  (上記には同盟罷業が違法行為という記載がなく警告に値しない)

 

東京都水道局職員に対する警告兼就業命令書(案) 川西案

 

                                            東京都水道局長 〇〇〇〇

                                            所属長 〇〇〇〇

 

 全水道東京水道労働組合は、〇月〇日勤務時間職場離脱3割動員集会、〇月〇日に8時30分より2時間のストライキ、また自治労連東水労は1時間のストライキを予定していますが、上記の行動は、「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と定める地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項に違反し、庁内管理規程に違反する行為でもあります(この文言に対応して庁舎管理規程に無許可演説.集会の禁止の改正要)。

 争議行為は集団的組織的行動でありますが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものでなく、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者は懲戒責任を免れません(全逓東北地本事件.最三小判昭53.7.18民集32-5-1030)。従ってストライキ実行に指導的役割を果たしたり、単純に参加した場合においても関係法令に照らし必要な措置をとらざるをえません。

 労働組合は統制権の行使を理由として、かかる違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は上記組合行動の指令に服従すべき義務はなく、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務はありません(国労広島地本組合費請求事件.最三小判昭50.11.28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件差戻後控訴審.東京高判昭47.10.20判時689、動労糸崎駅事件控訴審 .広島高判昭48.8.30判タ300)。

 従って、職員各位は出勤時限前にICカードリーダの所定操作によって出勤記録を自ら入力し、定められた時刻より職務を遂行するとともに、当該組合行動の時間に職務放棄しないことを命令する。

 ICカードリーダの出勤記録を自ら入力することは,「勤務時間等規程」、「処務規程」、「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務でありますので妨害は容認しません。

 また争議行為に際して、スト参加の慫慂、庁舎構内での集会、組合旗、横断幕、立て看板等工作物の設置及無許可で旗・幟・プラカード・たすき・ゼッケン・はちまき、拡声器等を所持又は着用したままの無断立ち入り、ビラ貼り、ビラ配りを禁止します。

 地方公営企業等の労働関係に関する法律111項違反の行為については、当局には地方公務員法第2911号、2号、3号、第32条、第33条、第35条の適条により、懲戒処分等に付す権限、もしくは地公労法12条によって解雇する権限があることについて注意を喚起します。

 また当該争議行為は違法であり、労組法12項は適用されないので、争議行為に際してあるいは付随して積極的な業務遂行妨害、違法行為目的による犯罪構成要件該当行為がなされる場合には、違法性が強く推定され、厳正に対処せざるをえないので注意を喚起します

 

九 ストライキ当日の労務管理の全面的見直し

(一)組合に操業権を否定する権限などなく、業務は管理職対応とする組合の要請はきっぱり拒否すること

 労組側は、ストライキ時の職員を使った業務遂行をしてはならないとして当局の操業権を否定し、当局が非組合員や脱落組合員に業務命令をして操業を維持させない方針であり、当局も組合に従い、保安要員以外の必要業務を管理職対応としているが、この要求は不当なもので呑む理由はなく、全職員に業務命令し、非組合員はもとより組合員も切り崩して、同盟罷業参加者を一人でも減らすよう管理職に義務づける。

(二)管理職による非組合員締め出し、就労阻止の命令の禁止

 管理職が組合の要請に従いストライキ防衛に協力するため非組合員は組合の説得に応じることを事実上の義務としてビケットラインを通過してはならず、出勤時限前にICカードリーダにより電磁的に出勤入力することを禁止する悪しき慣行がある。

 就業の権利と義務のある職員を事業場から締めだす慣例が職員部監察指導課承認のもと組織的に行われている。就業規則に定められ服務上の基本的な義務を現場の管理職が勝手に変更することは権限を逸脱し、職員の就労する権利と義務を否定するものであるからこの慣例は廃止する。

 管理職が職員にピケライン通過の禁止を命じた場合は、権限を逸脱し、組合と共謀して違法行為に加担したものとして懲戒処分の対象とする。

(三)三六協定未締結でも労務指揮権を放棄してはならない

スト前日から当日は組合が三六協定破棄するのが通例だが、組合の主張のように時間外の労務指揮権が消滅するものではないので、労務指揮権や施設管理権を放棄しないことを義務付ける。

 

(四)スト集会に参加する組合員に就業命令を徹底的にやり、スト指導者等の現認検書上申を義務付ける

 従来全く行ってない、ストライキ当日の集会参加者に、中止・解散・職場復帰命令、就業命令を徹底して行うことを義務づけ、監視・写真撮影する。司会者、演説者等その内容を記録し、現認検書の上申を義務付ける。

 職員部監察指導課では、就労命令をしたり、ストで指導的役割を果たした、もしくは率先助勢者の現認検書の提出を義務付けていないので組織ぐるみで就業命令はやらないことになっているが、国の官公庁では就労命令を必須の事柄である。

 各事業所のスト集会等違法行為の実行行為者は組合の意向を汲んで、懲戒処分を避ける体制となっている。支部長の訓告は懲戒処分ではない。スト指導実行行為者を懲戒処分の対象から外すのは適切でないので、その前提となる、就業命令等を必須とすべきである。

 

(五)ピケッティングの取り締まり

 庁舎構内のピケッティングは、違法行為の慫慂それ自体が地公労法111項後段違反であり、多衆による包囲、通行妨害は庁舎管理規程違反として、中止、退去命令し、監視、写真撮影し、現認検書の上申を義務づける。

 小人数の場合は、地公労法111項後段所定の禁止事項の違反として戒告以上の処分対象とし、物理的に就労を阻止する大量動員ピケがあった場合、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる。告訴も辞さず、少なくとも実行行為者の懲戒処分の量定は重くする。

 

(六)業務妨害に対して、管理意思を明示して威力業務妨害罪を成立させる

 多衆で執務室を占拠し業務遂行を不可能にするシットダウンストライキや業務用機器隠匿による積極的業務妨害を行う事業所がある。庁舎管理者は管理意思を明示し、業務遂行を物理的に不可能とする職場占拠は、退去・解散命令する。業務用機器の隠匿等による業務妨害には原状回復命令し、強行した場合の威力業務妨害罪を成立させる。

 

(七)非組合員を事故欠勤とすることは不正給与支出なので禁止、申請者と指図する管理職は詐欺行為として処分する

 

 非組合員にも就業命令を徹底する。組合の説得に応じてピケラインを通過せず就労しない非組合員を「事故欠勤」とする措置は組合との共謀しスト防衛のためであり、ピケラインを通過しない場合は実質スト参加者なので、賃金カットとする。

 水道局処務規程55条「事故欠勤」とは「職員は、交通機関の事故等の不可抗力の原因により勤務できない」場合に適用されるもので、勤務実態なく給与を支給するのは不正会計支出であり、詐欺行為であるだけでなく、その目的が非組合員に業務命令しストに対抗した操業をさせない。スト完全防衛である。違法性が強く推定されるので、申請した非組合員の事故欠勤を承認した者も懲戒処分とすること。

 関連して、非組合員の就労の権利侵害の是正につき(Ⅵ)各論一参照

十 ストライキ待機は退去命令し建造物侵入罪を成立させる

 ストライキ前日から当日の未明、「ストライキ待機」と称し、組合役員がストライキの準備のため深夜執務室を出入りしたり寝泊りする慣行を承認しているが、組合員へのスト突入指令の伝達、スト集会の準備等違法行為目的での庁舎利用であり、セキュリティ破りをやめさせ、管理意思を明示、パトロールにより退去命令し、建造物侵入罪を成立させること。

 

十一 懲戒処分の在り方の是正 安心して違法行為ができる職場を改革すべき

 全水道東水労の過去3回の同盟罷業の懲戒処分等は以下のとおりである。

 

平成221210日 1時間スト

 

同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名(下水道局職員含)の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく人事記録に載るだけなので痛くない。スト集会参加の組合員は賃金カット(組合が補償する)

平成26124日 1時間スト 

同盟罷業 争議行為が続行(中野営業所業務移転拒否闘争)しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。スト集会参加の組合員は賃金カット

令和元年1220日 1時間スト

 

同盟罷業 令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分。スト集会組合員は賃金カット

 

 東京都の懲戒処分は、組合の機関責任のみを問う形式で、水道局の全水道東水労の場合、本部中央闘争委員のみにしぼっており、実際に各事業場のスト集会実行行為者、ストを指導している本部委員・統制委員・支部・分会役員等が懲戒処分に付されることはない。各事業所の組合員は組合活動で不利益賦課させないという組合の方針に従った対応になっているので、安心して違法行為の慫慂「あおり」「そそのかし」という違法行為ができる職場となっている。安心して違法行為ができるのである。

 これは、争議行為は違法であっても団体たる労働組合の行為としての、本来個別労働関係の主体としての地位をはなれた行為であるから、指令に従って組織の義務としてストを指導している個々の組合役員は責任を問われないとするプロレイバー学説を当局が呑んでいるためだが、この組合側の主張は、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集3251030「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示したことであり、最高裁が明示的に否定しているので、東京都の懲戒処分方針は左翼体質で異常である。

 各事業所でストに指導的役割を果たした場合は、本部委員、統制委員、支部・分会役員のほか、無役の組合員、管理職においても率先助勢した場合は、戒告以上の処分の対象とする方針に改めるべきである。

 私案は事業所スト集会毎の指導者につき最低一人は戒告にする。悪質な場合は複数以上の処分で量定も加重する。

 また、年間34回恒常的に行われている3割動員勤務時間内職場集会であるが、当局も争議行為と認めているので賃金カットだけはする(組合が補償するのが通例)。争議行為と認定しているのは、佐教組懲戒処分事件・最一小判昭63.1.21334割休暇闘争を争議行為としているためだろうが、動員1回につき3時間程度の欠務であるから、年間9時間ぐらい動員に行っている組合員はざらにいる。ベテランの組合員ではスト参加も含め累計100時間以上欠務している人も沢山いるはずである。例えば3年間で15時間の欠務といった基準で戒告等処分対象とすべきである。

十二 勤務時間内洗身入浴は賃金カットせよ

 シャワー、洗身入浴に関する内規、運用の見直し、洗身入浴が労働時間に含まれないことは最高裁判例で確定しており、賃金カットの対象としていないのは不適切なので是正する。

 

十三 保険の勧誘員は中央労働金庫以外の立入を禁止すべき

 十年以上前から苦情を言っていることだが、水道局の事業所によって、水道局庁内管理規程五条八で禁止事項となっている保険の勧誘をエントランス、廊下でなどを惰性で禁止なのに許可しているため、多数の保険会社(少なくとも第一生命、住友生命、明治安田生命、日本生命)の勧誘員でうるさい状況がある。目的外使用許可として不許可とすべき。ただし中央労働金庫の営業宣伝活動のみ組合活動の一貫として目的外使用を特別に認め組合に配慮する。組合を信頼し、入室名簿に記入すれば立入禁止エリア室内も可として便宜供与する。違法行為でない組合活動は平時には認める方針である。

 

十四 まとめ 組合の以下の主張に、局は反論し是認しないようにする

 東京都は組合の論理で労務指揮権が掣肘され異常だ。下記の見解は実質違法行為を助長、支援するものであるから受け入れないことを今後の方針とすべき

(一)争議行為は労務指揮命令系統から離脱する行為なので就業命令できない

 争議行為中であっても就業命令は当然できる 根拠 神戸税関事件・最三小判52.12.20 北九州市清掃事業局小倉清掃事務所事件・最二小判昭63.12.9

 

(二)就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊する。統制権により脱落組合員の業務命令は認められない。

 違法争議行為の内部統制権は否定されており、組合員であれスト参加の勧誘.説得に受忍義務はない 根拠 国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28 全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20(差戻後上告審最一小決昭49.7.4棄却)  動労糸崎駅事件・広島高判昭48.8.30 (上告審最一小決昭51.4.1棄却)

 

(三)争議行為は組織的団体行動であるから、指令に従って組織の義務を果たす場合は、たとえ違法であれ、組合員個人として懲戒責任を問えない。

 違法争議行為に参加して服務上の規律に違反した個人は集団性ゆえに責任を免れることはない 根拠 全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18

 

(四)労働基準法第34条第3項により休憩時間の組合活動は規制できない

 休憩時間の自由利用といっても企業施設内において行われる場合には、使用者の管理権の合理的な行使として是認される適法な規制による制約を免れることはできない。 根拠 米空軍立川基地事件・最三小判昭49.11.29 目黒電報電話局反戦プレート事件・最三小判昭52.12.13

 

(五)争議行為に対抗して非組合員やスト反対の組合員に業務命令し操業を維持してはならない。必要な業務は管理職対応とする

 私企業においてストライキの期間中であっても,業務の遂行を停止しなければならないものではなく,操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができる。正当なストに対抗して第二組合員、スト反対の組合員、脱落組合員、非組合員、臨時雇用者に業務命令し操業を維持することは正当な権利なのに、違法ストに対抗して業務命令することが認められないというのはありえない

 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件・最大判昭33.5.28、進駐軍横浜(駐留軍横浜陸上輸送部)事件・最二小昭33.6.20 東北電力大谷発電所事件・最一小昭33.12.15、嘉穂砿業事件・最一小判昭35.5.26、山陽電気軌道事件・広島高判昭52.2.10

 公共企業体でも国鉄はストライキ時にスト反対派の組合員、非組合員に業務命令し列車の運行を維持している。旧郵政省はスト決行時全逓組合員にも業務命令し、就労できる職員を確保すべく努力している

 根拠 動労糸崎駅事件・.広島高判昭48.8.30(上告審最一小決昭51.4.1棄却)、動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49.5.2(上告審-最三小決昭50.11.21判時801101頁 棄却)、国労東和歌山.和歌山駅事件・大阪高判昭50.9.19、京都西郵便局(太秦郵便局)事件・京都地判昭55.6.6、郵政省下関局事件・山口地判昭60.3.19

 

(六)ピケット権があるので、ストライキ防衛のためスト破りを排除できる

 最高裁は私企業でも積極的業務妨害を正当な行為として認めていない。争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする 根拠 羽幌炭鉱鉄道事件・最大判昭33.5.28、久留米駅事件・最大判昭48.4.25

 物理的に就労阻害する場合(不法な威力 、業務妨害.マスピケ.占拠.逮捕行為.強制的拉致)は、争議行為に労組法12項の適用の有無いかんにかかわらず、業務妨害罪や逮捕罪が成立する 根拠 全逓横浜中郵前ピケ事件、動労尾久駅事件最三小決昭49.7.1(乗務員の強制的拉致+マスピケ)、動労糸崎駅事件(運転席占拠+マスピケ)、動労鳥栖駅事件、国労東和歌山駅事件、尼崎駅ピケ事件・最一小判昭52.10.20、春闘松山駅事件・最小二判昭53.3.3、動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.2(物理的に業務遂行を妨害するマスピケ)、光文社事件・最三小判昭50.5.8(出勤途中の包囲ピケ逮捕行為)

 ピケッティングの指導・実践は地公労法11条1項後段所定の「唆し」「あおり」なので違法

根拠 北見郵便局懲戒免職事件・札幌高裁昭54.3.29、北九州交通局事件・福岡高裁昭55.12.22

 なお、組合側はピケット権ないし業務被害権があるという主張の根拠として地公労法111条違反の争議行為につき札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311(脱落組合員が乗務する市電の車庫から出庫を阻止するための40名ほどのマスピケ)を無罪とした例を挙げるかもしれないが、この判例は中郵判決や都教組判決が維持され公務員の争議行為にも刑事免責が適用され、可罰的違法性論が実質否定されていない時期の判例で、32の僅差であり、松本正雄裁判官の長文の反対意見がある。

 可罰的違法性論は国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419の判断枠組みで採用されなくなった。

 松本裁判官の反対意見にある違法争議行為に内部統制権はないという趣旨は、横浜中郵事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20判時689の中野次雄裁判長が採用し、争議行為に労組法12項刑事免責は適用されないという趣旨は名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4に採用されている。

 今日では松本反対意見が最高裁先例の見解になっているわけで、地方公営企業で刑事事件が稀少なため判例変更されていないだけで、公労法と地公労法の争議行為禁止の趣旨は同じなので、名古屋中郵判決の判断枠組みが作用され、実力ピケが無罪となることはありえない。

 

(Ⅳ)全水道東水労の争議行為、大衆行動等の違法性の概略

    恒常的・頻繁かつ積極的業務妨害もあり悪質

一 ながら条例改正の意義は認めるが争議行為抑止には役にたっていない

 まず都議会主導の改革である平成15年のながら条例改正以降の状況の変化について述べますが、結論として、その意義は大きいけれども、争議行為抑止にはつながっていません。

 平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動や頭上報告等について質問、職務専念義務違反を指摘したため、東岡職員部長が、組合活動は原則として勤務時間外にさせるよう、頭上報告等は賃金カットの警告をすると答弁したということがある。

 平成20年代は頭上報告の警告を行うようになったので、勤務時間内組合活動は自粛傾向となり闘争期間の殺気だった騒々しさが薄れたのは事実である。しかしそれ以外は一切職務命令しない方針は同じで、後藤都議の質問で問題が本質的に解決したわけでは全くない。

 つまり、その後1時間ストが6回決行されている。平成16年に業務手当廃止をめぐって4か月に及ぶ大きな闘争があり、7月と10月に1時間ストライキ、34割動員集会は6回以上、10月に9日連続の超過勤務拒否闘争などあらゆる戦術を尽くした。平成20年以降過去16年の主な争議行為は、1時間の時限ストライキは、平成20年以降4回あり、平成26年まで3年おきにストが決行されている。その後6年たって令和元年にスト決行以来スト突入はない。                                               

 東水労は令和51221日に2時間ストを配置し、4年間不実施のストライキを決行する雰囲気があったが、当局が繁忙事業所の増員を最終回答したことから、ストは延期、124日にも1時間ストを配置したが最終的に当局の回答を受け入れストは中止されている。

 昭和4050年代には官公労ストは毎年のように頻繁にあったが、平成以降公務員のストは激減している状況からみて全水道東水労のストライキは相対的にみて頻繁かつ、当局が争議行為と認定している勤務時間内3割動員集会は毎年34回実施されるので、恒常的に争議行為のある職場の実態は何も変わっていない。

 なお都労連(都庁職、都教組、都高教、東交を含む)の賃金確定闘争は平成111112日以降時限ストを決行していない。

 平成以降一般の地方公務員ストが激減しているのは水道局では適用されていない地方公務員法、62条の2(旧614号)であおりの罪、あおりの企ての罪等の罰則規定があり、あおりの限定解釈はしないことが平成初期までに最高裁で確定したので、組合事務所に家宅捜索、検挙されるリスクがあるためと考えられるが、本意見書は水道局だけの問題に絞ります。

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二 管理職に争議行為の正当性を承認させ組合側に取り込む闘争スタイル

 

 全水道東水のスケジュール闘争は、オルグ演説により、毎年11月初め頃(秋季.年末闘争)と2月末頃(春闘)の2回にスト権一票投票が呼びかけられ、毎回92%以上の高率で批准され、年最低34回(11月、1212回、3月)時限ストライキを配置し闘争体制をとる。当局に要求項目の回答を求め、「大衆行動」と称する組合員大衆を各戦術に動員して巻き込んでいく闘争体制をとる。

 闘争の特徴としては「所属長要請行動」が典型だが、大衆団交スタイルの多衆の包囲と威圧のもとに所属長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、交渉当局に分会の要請を伝える走狗にして組合側に取り込む目的のものである。

 役員が号令し、組合員は職務を離脱して所長席前に陣取り、言うことをきかなければ怒号が飛び交い、吊るし上げる態様のもので、事実上執務妨害だが、拒否したり、退去・就業命令はいっさいなく受け容れているのが東京都の管理職のならわしで、闘争期間中の職務命令はしないという慣例によるものと考えられるが、実際に平成12年度千代田営業所長は子供の使いのように本局に組合の要請を伝えに行っていたようだ。要請行動とは組合の考えを受け容れよというものだから、労務命令指揮権や庁舎管理権の発動をさせない含みもある。それゆえ、闘争シーズンは騒々しく殺気立っていた。国の省庁なら、執務妨害行為で懲戒処分とされるのが普通だが、東京都は執務妨害は組合の業務妨害権の行使として認めていたのである。

 但し、後述のとおり平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が所属長要請行動の質問をしたことを契機として、勤務時間内に騒々しく行われていたものが、昼休み等に移行させることとなった(最新の例は令和6125日に西部支所と営業と配水を統合した支部の所属長要請行動が昼休みにあった)。

 その後は、ステッカー(ビラ)貼り、朝ビラ情宣、「昼休み集会」(闘争化課題を確認し組合員の意思統一を図る)、「勤務時間内職務離脱2割、3割等動員決起集会」(支所・合理化拠点.都庁構内、組合員の志気を鼓舞、昂揚させストライキ決行に向け態勢を固める集会)、「三六協定一方的破棄超勤拒否闘争」(職制麻痺闘争)は国労や全逓が得意としていた三六協定未締結闘争を軸として闘争がなされ、所属長要請行動も昼休み行われているが、私が勤務した職場では、低調になった心証である。

 その他、団結組合旗の寄書きの掲出などの戦術をみたことがある、最近は見てないが春闘のワッペン闘争も行われていた。平成16年の業務手当闘争の頃までは、本庁庁舎内デモ、庁内廊下座り込み、青年女性部独自行動。部会独自行動も行われていた。

 懲戒処分については、水道局長名義で、組合執行委員長に対しては違法行為であるとして警告をしているので、ストライキが決行された場合、組合の機関責任を問うという形で、本部中央闘争委員会の34名を停職処分とする。過去最大平成26年の停職18日である。

 懲戒責任は本部中闘にかぶせて、他のストライキを共謀・企画・実行する本部委員・支部分会役員以下は、支部長が・23年以降の処分発令から訓告処分(懲戒ではない)としたが、それ以外は一切違法であっても責任は問わないというのが、東京都の基本方針である。

 本部中闘だけ責任をとらせる方針は、片岡曻1969「公務員の争議行為と不利益処分」季刊労働法7314頁の以下のプロレイバー学説に近い。

 「たとい労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、‥‥使用者との関係における個別契約法的評価にさらし、使用者からの懲戒その他の民事上の責任の追及を許容することはできない‥‥」

 争議行為は組織的集団行動だから、指令に従って組合員の義務としてストを実行する組合役員以下の責任は問うことは許さない組合側の方針に従った、懲戒処分の方針であるが、このような組合側の見解は、全逓などが主張していたことと同一である。

 従って各事業所においては、スト集会等の実行行為者は懲戒処分されることはない。正当でない組合活動を保護し、企業秩序を乱すことを容認している。業務命令等は職員部監察指導課からの争議行為対応の通知で求められていないので、現場の管理職は犯罪構成要件該当行為であれ、管理意思を一切示さず、拱手傍観する。全面協力である。

 むしろ組合の違法行為の慫慂、勧誘、説得に応じない、非組合員は出勤入力をさせず事故欠勤として就労を許さないのが通例のことになっている。組合の掣肘を受けて、労務指揮権、施設管理権を凍結することこそ組織の方針としてコンプライアンスと認識され、正常な業務運営の維持は管理職としての債務の本旨とは考えられてないという異常な職場なのである。

 なお、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18民集3251030が「労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と判示しているのに対し、指令を受けて組織の義務を果たしストを指導する組合役員以下は懲戒処分にしない組合側の主張に取り込まれている東京都は最高裁判例を無視したものとして激しく非難されてよいと考える。

 当局と労組の癒着のもとに本部委員・支部分会役員がどんなに悪質なことを繰り返しても懲戒処分しない方針は組合役員を増長させている。規律ある業務の運営態勢を確保するために、抜本的な改革を提言するというのが本意見書の趣旨であります。

 なお、議会が懲戒処分方針に干渉することはありうる。例えば昭和58107日の大分県教組・高教組の2時間スト(定時制は1時間)は小中高全職員の78.4%がストに参加したが、9年ぶりの参加者全員懲戒処分(減給又は戒告)が発令された。それは前年7月の大分県議会で、自民党等が前年のスト処分につき、県教委が「文書訓告者が違法ストを重ねた場合は、懲戒処分の強い姿勢で臨む」と言明してきたのに、軽い処分に止めたことで議会が空転、教育委員長は辞意を表明し、「今後‥‥従前より厳しい措置で対処する」旨言明し混乱を収拾した経緯による(大分県教組人勧スト事件・大分地判平5119判時1457)。控訴審福岡高裁平12106判タ1108は本件処分を適法としている。

三 全水道東水労の平成12年以降の主な争議行為 

 争議行為は恒常的に行われていることだが、時限ストライキ(同盟罷業)を中心に表にしたもの。昼当番拒否闘争は平成13年頃も行われていたと記憶しているが記入していない。29分職場大会などは省略しており見落としがあるかもしれない。懲戒処分を記録しているのは、平成22年以降である。

 


★平成111112

1時間ストライキ


同盟罷業 都労連スト


★平成16730

1時間ストライキ

(業務手当完全防衛闘争)


同盟罷業 通常ストライキを12回配置した局内闘争では職場離脱3割動員決起集会は多くても2回だが、この闘争では630日、713日、722日、728日と第二庁舎前15時より4回決行している。当時私は保安要員の水特隊勤務で争議に巻き込まれてないが、たまたま本庁に交換便業務で立ち寄ったとき、第二庁舎前集会終了後、鉢巻をし、組合旗や幟を持った組合員が庁舎に雪崩こんで、練り歩くデモ行進、示威行為を目撃した。退去命令や監視はなく、案内所の女性が唖然として見ていた。このほか726日、27日は14時より第二本庁舎内座り込み2割動員。この闘争は1022日まで続く長期の闘争となった。このほか、以前より行われていたことだが、623日から730日まで「ステッカー闘争」「立て看板闘争」が指令されている。西部支所では横断幕。千代田営業所は倉庫に、東一・支所江東営業所は駐輪場に立看板が置かれていて、闘争時に千代田営業所は1階屋根付き駐車場、東一支所・江東営業所は正面玄関前ロータリーに出していた。元々あったものである。


★平成16101

 


同盟罷業 1時間ストライキ(業務手当完全防衛闘争)


★平成1610月(業務手当完全防衛闘争)


22日の3時間ストライキは中止されたが、その前段で101321日9日間の三六協定破棄超勤拒否闘争、15日通常の闘争ではやらない午後14時から第2庁舎前で職場離脱4割動員決起集会が行われている。1020日は午前9時より第二庁舎座り込みが行われた。高橋局長は、妥結後、交渉経過の組合役員による勤務時間内職場報告を許可するなど組合にサービスし全職場で組合の演説が行われた。


平成20319日 1時間スト 西部支所等は来客用駐車場で集会


同盟罷業 和泉庁舎の水道特別作業隊に勤務し保安職場であったが、唐突にストライキがあり、西部支所と西部建設事務所はストライキを行った。


平成221210日 1時間スト

中野営業所 駐車場で集会

○○所長就業命令なし


 同盟罷業私の記録では2323日付発令処分は全水道東水労本部中央闘争委員会5名の最大16日間の停職処分[1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする]と各支部長に対する訓告(1時間ストライキ)これは前例がなく初めてだが、懲戒処分でなく痛くない。


平成231031日~2日と4日昼休み当番拒否闘争 管理職は闘争を全面的に容認し、代務として管理職を動員して対応している。昼当番拒否者は、不完全就労であるが○○所長から直接賃金カットしていないと聴いた。


 昼休み当番業務を組合が業務管理し組合役員が管理職に電話当番や、料金支払いのレジ業務を指図する(実質労務指揮権を組合がはく奪)する争議行為。

 足立営業所の監理団体業務移転の提案に反発して突発的にスト権一票投票もやってないのに、突然分会委員長が当局の提案に反対するため2名配置の昼休み当番を引き上げ、電話と窓口を管理職対応とすると宣言。組合役員が管理職に指図して仕事をさせるいやがらせである。当番の職員の代務者に組合役員となり、管理職に仕事を押し付けるが後ろにみえないところで控えていて、経常業務に不慣れな管理職に質問があったら、こう端末を操作するとか、回答するとか、指図する役となる。中野では昼当番は窓口のレジと電話と2人体制であるので、営業所長(後に監察指導課長、労務課長の○○)と、もう1名は西部支所配水課もしくは給水課管理職が応援体制であたっていた。昼休み当番は不完全就労だが賃金カットはしていないと所長が言っていた。

 昼休みは、午後0時から1時だが、労働協約で1時以降にずらして休憩時間をずらして勤務させることができるとしており、正常な業務運営ではなく、地公労法111項違反だが、当局は争議行為と認定していない。

 


平成26124日 スト 中野営業所 駐車場で集会 ○○所長 就業命令なし。


同盟罷業 争議行為が続行しているにもかかわらず処分は2625日発令と異様に早く猪瀬氏辞任に伴う都知事選告示の翌日、私の記録では全水道東水労は、本部中闘停職182人、停職161人、停職71人、ほかに下水道局2人、支部長28人に対する訓告処分。


★平成26128日~2月下旬 中野営業所業務移転拒否闘争

○○所長は外来者の本部委員の勤務時間内オルグ、退去命令できず、人事課説明会ピケ容認、組合の移転準備の業務命令をさせない工作により、管理職は職務命令を凍結して闘争に加担。


 監理団体移転業務のため固定資産.備品の帳簿の現品確認に来た本庁職員を追い返し、管理団体派遣説明会の前にピケを張って出席者の入場を阻止。所長に監理団体委託関連業務の業務命令の凍結を強要する、組合が労務指揮権を奪う、業務管理態様の争議行為。

 争議行為は続行し、中野営業所では業務移転業務拒否闘争で徹底抗戦、実力で4月から7月に移転時期を延期させている。220日停職中の本部書記長○○が勝手に侵入しオルグ活動をしたり、これに先立ち129日本部委員の○○が勤務時間中のオルグのほか職員部人事課の監理団体派遣説明会の前でピケを張り業務を妨害、また○○中野分会書記長が、本庁サービス推進部職員が、固定資産、備品リストの現品照合のため来庁したところ、課長補佐(営業係長)を闘争指令に従うのが組合員の義務など言って恫喝し本庁職員の作業を断るよう指図して、本庁職員を追い返す積極的な業務妨害であった。さらに○○所長に移転関係の業務命令を出さないよう指図するなど悪質な行為が行われた。最終的にはサービス推進部担当者に謝罪を強要し、7月移転に日程を変更させた。実力で3か月移転を遅らせたことを組合は誇っている。このような組合が労務指揮権を奪ってしまう違法行為でも当局はいっさい問題視していない。

 管理職は業務命令ができないというガバナンス問題は全く解決されていない。


令和元年1220日 1時間スト 新宿営業所 ○○所長 事務室内ピケッティング容認 事務室内集会に就業命令等なし、外形上犯罪構成要件該当行為容認。


 同盟罷業+積極的に業務遂行を妨害する職場占拠(シットダウンストライキ、)、業務用機器の隠匿により業務遂行を不能にするきわめて悪質な態様。外形上威力妨害罪の構成要件該当行為も公然となされる。

(令和226日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職131人、停職101人、停職71人もう一人停職3日は未確認と支部長26名の訓告処分)。

 

 水道局では私が経験したものでは2時間ストが最大で1回だけ平成初期にあった、過去7回は1時間ストである。その理由を推測すると、単純参加者の処分の雛型と思えるのが、昭和46年の林野庁の半日ストの処分例で、2時間程度職務放棄で戒告、4時間以上で減給が通例である(全林野旭川地本事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900 ストの指導を理由として旭川地本役員停職十日~三月、単純参加組合員4時間の職務放棄 減給110 1カ月美瑛営林署分会50人、名寄営林署分会組合員34人、1時間45分~2時間40分の職務放棄 戒告 羽幌営林署分会組合員48人)。当時の相場といえる。昭和48年以降郵政と電電公社で「段落とし」と言って、処分の量定を緩めたが、昭和40年代は、半日以上のストをやると、組合中央執行委員等幹部は18条解雇が普通に行われていたので、いかに違法行為を取り締まらない東京都といえども、目立つストライキをやると態度を硬化せざるをえなくなるから、1時間ストなら、現在ストを指導する役員も戒告にはしないのだから、単純参加者は厳重注意もないので、1時間ストは安全運転と踏んでいるためと思われる。

 組合側は過去の慣例から1時間ストなら、懲戒は本部中闘だけ、国の省庁や厳正な措置をとっている自治体のように大量懲戒処分に踏み込むことはないし、実際、職員一般に事前警告がなく就業命令もやってないので、地公法32条適条の懲戒処分は困難と踏んでいる。処分の前提になるスト指導者等の現認検書の上申は職員部から義務付けられてないし、現場の管理職も職員部監察指導課が指示していないことはやらないうえ、非組合員を事故欠勤させるなど管理職がストに協力している馴れ合い状態なので、懲戒処分の対象は拡大しないのである。

 

 次にスケジュール闘争で毎年恒常的になされている争議行為、大衆行動と称する活動につき述べる。

 勤務時間内離脱3割動員決起集会は近年では年間34回動員指令され、最近は都庁構内の集会に限定されているが、コロナ渦自粛期を除いて、年中行事です。午後3時半ころから開催されるとしても、本庁以外は1回につき組合員3割の職員が3時間程度の欠務となる。かつては動員職員を引率するなど闘争期間中組合員は必ず1回動員集会に参加することになっていたが、近年は低調に思え、実際3割欠務しているかどうかはわからない。平成16年の4か月続いた業務手当完全防衛闘争では、正確に把握してないが3割動員や4割動員は6回程度行われている。本当に3600人の集会があったのか数えていないから確認はできないが、相当の人数が参加していたと思われる。2割動員集会は、年次有給休暇の時間給の取得を認めて全面的に容認されている。

 動員というのはほとんど組合員の責務と認識されている状況だが、当局が3割動員を争議行為と認定している以上、違法であるから指令を受忍する義務もないのである。

 3割動員は当局が争議行為と認定しているので賃金カットする。争議行為と認定する理由は聴いてないが、たぶん、佐教組懲戒処分事件.最一小判昭63.1.21判時12843割・3割・.4割休暇闘争を争議行為としているためだろう。

 また当局は適法としているが、悪質な職制麻痺闘争であり争議行為の疑いが濃い三六協定一方的破棄(超勤拒否)闘争も戦術の大きな柱になっている。国労や全逓が得意としていた戦術だが、下位職の経常業務を助役におしつける国労と同じく、水道局でも組合の指図で、経常業務を管理職にさせるいやがらせがある。国鉄では三六協定が未締結でも業務命令しており、労働基準法に違反する業務命令に基づく業務であっても、刑法上の保護を失うものではないことは先例があるが、水道局の場合は組合の言いなりで、時間外の労務指揮権が消滅するという組合の解釈に従っている点が問題である。平成5年度は113月に営業所では7日間の定時退庁の闘争があった。特に大きな闘争でもない限り年間10日以上に及ぶことはない。ただし、業務手当防衛闘争で平成1610月には9日間連続の超過勤務拒否を全局で行うなど、1時間ストよりも影響の大きい事実上の争議行為が行われた。ほかにも平成1612月配水部会等だけで6日間連続など行われている。

 所属長要請行動は、平成16317日公営企業委員会で後藤雄一都議が水道局北部支所の勤務時間内の「所属長要請行動」で机に穴を開けた事件や頭上報告が職務専念義務違反ではないかと質問したことを契機として、当局は勤務時間中の「所属長要請行動」や組合の演説行為(頭上報告やオルグ演説)等、野放図に認めていた状況をあらためざるをえなくなり、質問に対する東岡創示職員部長の下記引用する答弁で示されている通知により、昼休み等時間外に移されたので、近年では低調になっている。

 東岡職員部長 「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました。」

 所属長要請行動が勤務時間中にやらなくなったのは事実であり、以前のように、騒々しく怒鳴り散らし殺気立った状況はみられなくなった。しかしこれは交渉ではなく、組合の多数の威力で管理職にいうことをきかせるため執務妨害行為で多衆により威圧する脅迫に近く、許容する必要のなかったものであることは既に述べたとおりである。

 なお、勤務時間内の組合活動は東岡通知により以前より低調となっていることは概ね事実である。私が平成214月から26年在籍した中野営業所の管理職が賃金カット(月間累積30分の職務離脱)の対象になると警告している例を見たことがある。しかし本部役員や他の事業所の役員が、建造物に侵入してオルグ演説することは職務、義務違反ではないので、警告対象から外れている。要するに東岡通知は、職務専念義務違反以外の違法行為や企業秩序行為を否定していない重大な欠陥があるので見直す必要がある。

 このように、東京都水道局においては、国の省庁のように、闘争期間の庁舎構内の便宜供与拒否をいっさいしないので、事務室内等の「昼休み集会」、オルグ演説、支所等構内で実行される地公労法111項後段の違法行為である「そそのかし」「あおり」そのものである違法行為が許容され、毎年のように恒常的、常態です。違法行為は抑止されず、管理職には抑止する意欲も全くない。実際、職制の労務指揮権、施設管理権の掣肘を目的とする所属長要請行動は低調となったにもかかわらず、平成16年以降ストライキは6回実行され、争議行為抑止は役立っていないのである。

四 平成15年「ながら条例」の改正の影響

 「昼休み集会」は、平成1213年頃も行われてはいるが、重視されるようになったのは平成20年代以降のことである。それは以下の事情による。

 東京都の勤務時間内組合活動について見直される契機となったのが、平成15年の昭和41年制定「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」(通称ながら条例)の改正である。

 条例改正により給与に換算して年間197千万円の有給組合活動が見直され、13億円削減となる勤務時間内の組合活動の職務専念義務免除基準が改正された(『産経新聞』平成141115日「東京都と組合合意『ながら条例』改正合意-有給活動3分の1に削減」。)

 住民監査請求もなされた上、平成14年に「三羽ガラス」と称される保守系議員、古賀俊昭都議(自民党.日野市選出)の代表)、土屋たかゆき都議(民主党.板橋区選出)が一般質問において追及し実現したもので、都議会主導の労務管理改革として特筆できる。

 企業局においても条例改正以後、部会や支部委員会その他の組合の会合等が勤務時間中に職務専念義務免除(略して職免という)として容認されていたものを、無給の職免あるいは勤務時間内に認めないかたちで仕分けされ、順次段階的に、職免の基準が改定された。

 そもそも「ながら条例」の趣旨は、ILO87条(結社の自由と団結権を保護する条約)批准に伴う関連法案として改正された昭和41年地方公務員法の55条の26項で「職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行ない、又は活動してはならない。」と定めたことによる。

 地方公務員法35条により職員は職務専念義務を負うものであるから、職員団体のための活動等も、勤務時間外にこれを行うことを原則としたものである。これは職員団体の活動は自己の責任と負担において行われことによって結社の自由が確保されるという認識に基づく。

 また、職員の給与は勤務に対する対価としてノーワーク.ノーペイの原則で行われるべきであるから、職員が給与を受けながら職員団体のための活動等を行うことは、本来許されない性質のものである。

 ところが東京都の条例は、条文に「適法な交渉」に加えて「交渉の準備行為」を認める文言を盛り込んだため、実質特例が肥大化し、結果的に部会や支部委員会、組合の会合等が勤務時間中に「職免」として合法化されていた

 昭和41年当時社会党が都議会第一党ということもあって、組合側に既得権を与えることになっていた。36年間等閑にされた問題を掘り起こしたのは都議会関係者の功績といえる。

 しかしながら、「ながら条例」で問題視されたのは職務専念義務免除がなされ当局も公式に認めていた有給組合活動であった。水道局が標的ではなかった。その他の正当な行為とはいえない組合活動、ヤミ慣行が広範に許容されている実態を問題視したわけではない。条例改正で正常化したわけでは全くないのである。

 「ながら条例」改正より前のも水道局の状況がいかに酷かったかということは、註記「平成12年~13年水道局千代田営業所の組合活動及びの違法行動等の記録」を参照されたい [i]。管理職は職場の秩序を乱す行為や、違法行為に対し、いっさい中止命令や警告はしていない、組合の掣肘を受けて労務指揮権と施設管理権を管理職は放棄しており、闘争期間中は事実上の組合支配の実態であった。

 当時水道局で勤務時間内になされていた職場集会、頭上報告等や、組合員多数が所長席前に陣取ってなされる、管理職に争議行為の正当性を恫喝して認めさせ、事実上管理職の執務妨害行動である所属長要請行動や、平成11年在籍時の江東営業所の慣行で、午後3時以降の組合会議での職場離脱の容認、「団結味噌汁」という勤務時間内での昼食の調理などの慣例は、「ながら条例」により職免として認められていたものではなく、たんにヤミ慣行であり、国労札幌地本ビラ貼り戒告事件最三小判昭54.10.30民集336676により明確に否定されたにもかかわらず、当局がプロレイバー学説である受忍義務説に依拠した組合寄りの労務管理を行い、勤務時間の職務放棄、離脱、執務妨害行為等を組合の既得権として広範に許容してきた慣行を続けていたものであって、勤務時間内職場集会は、「ながら条例」とは直接的には無関係である。頭上報告や所長要請行動は改正後にも行われていたのである。

五 平成16317日の後藤雄一都議質問の影響

 しかし、後藤雄一都議(無所属.世田谷区選出)が平成16317日公営企業委員会において職員のリークで情報を得たと推定するが、水道局の組合活動の実態について質問を行った。

 後藤都議は、32日北部支所で組合員31人が無届欠勤の組合員の分限免職処分に抗議する所属長要請行動を行ったとき、ある組合員が担当者の机を蹴っ飛ばして穴を開けた事件や頭上報告等について質問した。

 当局の答弁は、勤務時間中の所属長要請行動が執務妨害行為とは認めてないが、これを契機として、組合員多数が所長席前に陣取り、怒鳴りちらし、執務妨害行為を行う所長要請行動は勤務時間中については自粛されるようになった。

 また後藤雄一都議は西部支所ビラ貼りも写真撮影してネットで公開したことから、従来、千代田営業所がとくにひどかったが勤務時間内であれ大量になされていたビラ貼り(ステッカー)闘争も以降自粛傾向になっていたが、最近は復活の傾向がある。

六「平成163月東岡職員部長通知」の影響

 平成16317日公営企業委員会の後藤雄一都議はさらに、勤務時間中に頻繁になされる頭上報告は職務専念義務違反ではないかという趣旨の質問を行った。東岡創示職員部長(後に局長、故人)は「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをするというふうに通知をしました」と答弁した。

 これは都議の質問をかわすためのもので、場当たり的、抜本的な改革ではない。東岡通知はただ「職務専念義務違反」という狭い側面だけの是正なのである。しかし頭上報告は演説者の職務離脱だけが問題なのではない。

 頭上報告は、事務室内でなされる組合の演説行為のことで、書記長会議報告、中央委員報告という口実で、各職員は囚われの聴衆の状況である。聴きたくなくても聴かされる。闘争期間になると、ストライキ批准投票の呼びかけ、闘争課題の説明、闘争戦術.日程の説明、指令の伝達、大衆闘争と称する勤務時間内職場離脱決起集会参加(動員集会)の呼びかけ、三六協定破棄超勤拒否闘争の指示、ストライキに向けて頑張りましょうともいう。役員によっては大声でアジ演説を行う場合もあり、強度の演説あおりがなされる。職務への集中を妨げ、職務専念を妨害するものでもある。電話を受ける職員は相手の声が聞こえづらくなる。規律のある業務運営とはいえない、秩序を乱す行為であると同時に、地公労法111項後段所定の「そそのかし」「あおり」を行っているという点、演説内容じたいが違法なのである。それが休憩時間や就業時限前に移行しても違法性は同じである。

 営業所では昼休み休憩時間中の、料金のレジなど窓口対応と、電話を受ける当番を配置して、休憩時間をずらして「昼当番」として勤務している職員がおり、演説を昼休みに移行しても、他の職務への集中を妨げ、職務専念を妨害している事実も同じである。

 私が平成2125年度の間在籍していた中野営業所では3名の管理職が、分会役員の書記長会議その他の組合会議の内容を伝達する頭上報告に賃金カットする旨の警告を行っていたのは事実である。管理職が現認し月間30分以上の累積で賃金カットするというものであるが、所長不在の場合、課長補佐は組合員だから現認はしないと言っていた。実際にカットされていたかは確認していない。

 また、その後も、勤務時間内での頭上報告がなくなったわけではない、ただ頭上報告を出勤時限直前に行うとか自粛傾向にはあるとはいえるし、所属長要請行動が時間外に移されたことから、以前のように騒々しく、殺気だった状況は薄れたことも事実である。

 ただし本部中闘のオルグや、休暇をとって本部委員が勤務時間中にオルグ演説する場合は東岡通知に反しないので容認される。

 平成15年以前は、頭上報告を頻繁に行うことそれ自体がストライキ参加意思を鼓舞し、その闘争意思を堅固にするためオルグ活動、ストライキ体制を強化していくための一環という性格が強いものである。当時はいっさい警告もなく、管理職が業務妨害を受け容れている状況で実質職場を支配し、「昼休み集会」を設定しなくとも、職員をストライキ態勢に巻き込むことが容易だった。

 今日でも事業所勤務の組合員は懲戒処分せず、当局が協力する方針なので、スト決行は容易であるが、建前として組合は、都議会で有給組合活動が非難されたうえ、「平成16年東岡職員部長通知」を都議に答弁している以上、勤務時間内の活動は自粛せざるをえず、「昼休み集会」で闘争課題を確認し、組合員の意思統一を図る方針にしたものと推定できる

七 東京都では違法行為、外形上犯罪でも正当業務と扱われており異常

 水道局各事業所の管理職は、完全に組合の意向に従い、争議行為を正当業務として認めるよう取り込まれており、職員の違法行為等に対し、警戒、制止、就業命令、中止、退去命令等の職務命令はせず(但し平成163月の後藤都議の質問の対応である東岡職員部長通知による頭上報告の賃金カットの警告は例外的に行われることがある)、ストライキに協力する。現認検書の上申など組合に敵対することは絶対やらず、操業権を否定する組合の意図どおり、ストライキに対抗するため、非組合員やストに反対の組合員に業務命令して操業を維持することは絶対にしないのである。つまり組合と共謀して違法行為である争議行為を組合の正当業務として扱っている。

 そもそも局長の服務の示達は各部長級に対する形式的な指示にすぎず、具体的には職員部監察指導課が争議行為対応の指示を庶務課長あてに出している(全管理職ではない)。就業命令せよとは庶務担当課長にいっさい指示してない。

 現場の管理職は庶務担当課長から指示のないことは何もやらないし、営業所の管理職は組合と当局の指図で最低限の業務対応をすることになっているが、それは非組合員や脱落組合員に業務命令して操業をさせないスト防衛のためであり、それは職員部監察指導課も容認しており、組合の論理で管理職は行動し、取り締まりはしないのが基本方針となっている。

(一)本部中央闘争委員の停職13日程度で騙されないでください

 この点当局は、全水道東水労は中央闘争委員を停職としているので、正当業務として認めているわけではない旨反論するだろうが、騙されないでください。これだけ争議行為を繰り返し悪質なのに停職は34名で、令和元年1220日の1時間ストの例では最大13日の停職です。全水道東水労は水道局内の令和元年の組合員総数は2,778名で組合本部費月例給与の1.7%をチェックオフで徴収(これ以外に支部費がある)しているので、闘争資金は蓄積しているはず。組合が補償しても痛くないもので、それゆえ悪質なストが繰り返されている。組合は支部.分会役員以下の懲戒処分、特に大量処分がない限り堪えることはありません。現状は安心して違法行為できるようになっている。

 懲戒責任を問う範囲を本部中闘委員会のメンバーに局限し、実際に各事業場でストを指導している本部委員、統制委員、支部.分会役員、率先助勢者以下大多数の組合員は、懲戒責任を問わない方針としていることが重大問題です(少数組合の自治労連系東水労も組合委員長等に限定して処分しているが、組織率1.1%でほとんど影響力がないのでここでは問題にしない)。

 それでも、1時間ストで本部中闘の停職最大13日はそれなりに重い量定ではないかと思う方がおられるかもしれないが、例えば北海道開発局の昭46715日全開発の午前830分から29分間以内の職場集会では、在庁職員約8500名中77%の約6600名が参加。本部執行委員長.書記長を停職一月、本部副委員長を六月間俸給の月額の10分の1、本部会計長.支部役員(19名)を同じく二月間の減給処分、本部執行委員(3名)支部役員(14名)同じく一月間の減給処分(北海道開発局事件.札幌地判昭54.10.9判時964、札幌高判58.3.15訴務月報299)で、水道局では支部役員以下の懲戒がなく、本部中闘だけで責任をかぶって最大13日の停職ですから、北海道開発庁の処分の方が明らかに重いです。

 また全農林が、1時間のストライキを実施したことにつき、昭和55年に中央執行委員が停職一月の懲戒処分を受けたこと、1時間29分間のストライキにつき、昭和56年に中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキにつき、昭和57年中央執行委員が停職二月の懲戒処分を受け、1時間29分間のストライキにつき、昭和59426日に副中央執行委員長らが停職三月等の懲戒処分を受け、2時間のストライキを実施したことにつき、昭和60年に副中央執行委員長らが停職四月等の懲戒処分を受けたこと及び29分間のストライキにつき、同年に副中央執行委員長が停職一月の懲戒処分を受けた(全農林82秋季年末闘争事件.東京地判平3.10.31判時1331。全農林は昭和50年毎年のようにストを決行していたこともあるが、農林省の処分の量定との対比では水道局の本部中闘の量定が特に重いということはない。

 事実上、正当業務扱いというのは、大多数の組合員は、同盟罷業が違法行為という「警告」も就業命令も受けておらず、違法行為を実行しても懲戒責任(地公法32条適条の懲戒は絶対しないことが暗黙の了解)は問われないことがはじめからわかっているので、安心して違法行為の慫慂、あおり、ストの指導ができる在り方のことを言っています。

 つまり、当局は組合側の論理で、懲戒処分は個別的労働関係において責任を問うものであるから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員の行為は、たとえ団体として違法な行為であっても、これを組合員個人の行為として懲戒責任を問いえないことは団結権保障の法理の当然の帰結というプロレイバー学説に大筋で従い、スト指令を発出した組合中央の機関責任の部分だけ懲戒処分として責任を問い、指令に従ってストを指導している大多数の組合員は不利益賦課されず、保護する方針をとっているからである。懲戒により責任を問うのは本部中闘だけというのは組合に非常に有利な在り方である。対外的に一応処分はやっていますとの言い訳をする程度の意味しかない。

 もっとも、当局も処分の範囲が狭いという問題意識を持っているようで、平成221210日、26124日、令和元年1220日の1時間ストライキで、支部長を申し訳のように訓告処分にしていますが、これは人事記録に載るだけで懲戒ではありません。支部長は定年間際の一丁上がりの人が多く、痛くありません。本部中闘だけの処分ではゆるいという批判をかわすためと考えられます。

 なお、支部長の訓告についても、訓告処分文書の返還と抗議集会がなされます。組合は不当処分としています。

(二)組織の義務を果たしている組合員の個別責任は問えないという論理は最高裁が否認している

 組合が主張する指令に従っているだけの組合員の個別責任は問えないという論理は、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53.7.18で明示的に否定されているし、違法争議行為の決議や指令は組合員を拘束しない。内部統制権は否定されているので、組合員であれストの勧誘や説得を受忍する義務はない(国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50.11.28、全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20等)とされているので、この論理も間違っている。

 違法行為であっても大多数の組合員の責任を問うことはしない東京都の方針はその前提が脱法的な論理といえるのである。正当行為でない争議行為を事実上正当化している点で違法行為の助長であり、事実上、組合の方針に屈服している。

 地方公営企業の職員に関する労働関係については、地公労法の定めるところにより、同法に定めのないものについてのみ労働組合法、労働関係調整法が適用され、一般職員に一部適用除外の労働基準法は全面適用される。ただし分限.懲戒.服務は、地方公務員法の定めるところによるので、公法上の勤務関係とされている(名古屋市水道局事件・最一小判昭56.6.4労判36757)。

 地公労法111は「職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおってはならない」と規定し、違反者は12条により解雇することができる。

 最高裁は神戸税関事件・最三小判昭521220で競合説をとって国の争議行為対応実務を追認した。すなわち国家公務員法985項(現982項争議行為禁止)と国公法の服務規定違反とは競合的重畳的に成立する。国家公務員は、私企業における労働者と異なつて争議行為を禁止され、争議行為中であることを理由として、当然に、上司の命令に従う義務(国公法981項)、職務に専念すべき義務(同法1011項)、勤務時間中に組合活動を行つてはならない義務(人事院規則1413.17272項)等を免れないと説示した。

 事案は、昭和36102回の勤務時間に食い込む職場大会の指導のほか、1031日から3日間、輸出為替業務担当職員に対し処理件数を低下させるため、輸出事務繁忙期における通関業務の処理を妨げようと企てた。122日一斉に超過勤務命令撤回願を提出するよう勧奨し一括して部長に提出し、午後130分から25分超過勤務に服すべき約45名を三階講堂に集結させた等の争議行為により、全国税関労働組合神戸支部役員3名の懲戒免職を適法とした判例である。官公庁の争議行為は正当業務ではないことと、懲戒処分で責任を問えることは明白である。

 従ってこの時点で就業命令を躊躇する理由は全くなくなった、東京都水道局では、昭和54年頃までは組合活動に対して組合活動に職務命令していたが、抗議活動で職場が荒れるので、職務命令はやらなくなったと仄聞している。組合が管理職の労務指揮権を業務管理して黒いものを白とする労務管理がまかり通っている東京都の管理職は債務の本旨を履行していないのにコンプライアンス経営宣言しているのは恥ずべきことと糾弾されるべきである。

(三)全水道東水労の積極的業務妨害の対応問題

地公労法111項に罰則はなくても、名古屋中郵事件方式で業務妨害罪・住居侵入罪等は違法性が阻却されない

 ここで問題とするのは、全水道東水労の争議行為及び争議行為に付随してなされる外形上犯罪構成要件該当行為である。

 最高裁は早い時期から、争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきと判示し(●朝日新聞西部本社事件・最大判昭2710.22民集6927羽幌炭礦鉄道事件・最大判昭33.5.28刑集12816、プロレイバー学説のように、争議権に業務阻害権を含むことを否定している。東京都はプロレイバー学説に忠実な左翼体質で、積極的業務妨害も全面的に容認しているという問題である

 私は、多摩ニュータウン水道事務所、品川営業所、江東営業所、中野営業所、新宿営業所でストライキを経験しているが、多くの場合、スト決行時には構内駐車場で集会がなされる。2時間ストの場合は江東営業所で庁舎内を練り歩くデモもなされるが、むろん単純不作為の職務離脱(ウォークアウト)でも地公労法111項の違反行為であり、解雇・懲戒処分理由となる。

 ところが令和元年1220日の新宿営業所では、ウォークアウトでなく、40名ほどが事務室内の中央部を占拠し物理に業務妨害する悪質なシットダウンストライキ、業務用機器を隠匿して、水道料金ネットワークの端末を使用不能とするとして、業務遂行を不能とする行為が行われていた。外形上、威力業務妨害罪の構成要件該当行為といえる。シットダウンストライキは1937年に米国で流行った悪質な態様であり、争議行為には限界があることを、組合も管理職も全く自覚していないのである。またどこの事業所でも恒常的になされているスト配置日前夜から当日の朝において泊まり込みのスト待機、深夜.未明に出入りしてセキュリティ破りとストライキ突入指令とスト集会の準備が容認されている問題と、本部中執や本部委員のオルグ活動、集会主宰、ピケ等での無断事務室内立入り、庁舎構内立入といった、外形上建造物侵入罪の構成要件該当行為も容認されている。

 組合は当局が管理意思を示していない、容認していることを理由に犯罪は成立しないと言うだろうが、当局が管理意思を示せば容易に犯罪は成立する。

 罰則の構成要件に該当し、違法性があり、責任もある行為は、これを処罰するのが刑事法上の原則であり、東京都が私企業のストでも認められてない犯罪を容認するのは異常で、管理意思を明確に示して犯罪を成立させる方針に切り替えるべきである。

🔶名古屋中郵判決が指導判例とされる経緯

 地公労法は争議行為を違法としているが、一般の地方公務員に適用される地方公務員法62条の2(旧614号)のあおりの罪、あおりの企ての罪の罰則規定は適用されないので、「あおり」それ自体で刑罰に処されることはない。ゆえに家宅捜索が入ることはないが、地公労法111条の後段で「唆し」「あおり」が違法とされている以上、18条解雇や懲戒処分理由となることは先例により明らかなことである。地公労法111項後段(あおり、そそのかし)違反を理由の一つとして執行委員長が18条解雇された事例として北九州市交通局解雇事件・福岡高判昭55.11.1判タ435がある。また懲戒処分の例としては平成26年に組合西部支部長が、東水労は労働組合法が適用される組合なので、ストライキ権があると昼休み集会で述べており、多くの組合員もそのような見解を鵜呑みにしているが、間違いである。

 正確にいえば、水道局職員は労働関係では地公労法が適用され、地公労法4条が「職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定のないものについては、労働組合法(第5条第2項第8号、第7条第1号ただし書、第8条及び第18条の規定を除く。)及び労働関係調整法(第9条、第18条、第26条第4項、第30条及び第35条の2二から第42条までの規定を除く。)の定めるところによる」としている。

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  昭和40年代理論的に揺れ、混乱することとなったのは昭和41年の東京中郵判決が強い違法性がない限り、公労法に労働組合法12項(刑事免責)の適用除外規定がないので適用されると判断したことにあるが、刑事免責が適用されるとなると、争議行為を正当業務と認めたのも同然という解釈から争議権があると主張される場合がある。

 しかしこの判断は判例変更により否認されているので、争議権があるという主張は間違いであるということはいうまでもない。東京都の職場風土では判例変更が徹底していない。

全逓東京中郵事件・最大判昭41.10.26刑集208901は、「公労法18条は、同17条に違反する行為をした職員は解雇されると規定し、同3条は、公共企業体等の職員に関する労働関係について、労組法の多くの規定を適用することとしながら、労働組合または組合員の損害賠償責任に関する労組法8条の規定をとくに除外するとしている。争議行為禁止違反が違法であるというのは、これらの民事責任を免れないとの意味においてである。‥‥公労法171項に違反した者に対して、右のような民事責任を伴う争議行為の禁止をすることは、憲法28条、18条に違反するものでない」と言い、同判決を判例変更した●全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4刑集31318は労働組合又は組合員の損害賠償責任に関する労組法8条の規定の適用を特に除外することを定めているが、これは、公労法171項に違反する争議行為が労組法8条にいう『正当なもの』にあたらないので、損害賠償責任が免除されないことを明らかにした趣旨である」これは地公労法も全く同じであるから、最高裁が一貫して民事免責を否定して、公務員法制の争議行為禁止を合憲としていることは変わらない。

 公労法及び地公労法は、労働組合法12項(刑事免責)が適用除外と明文では示されていないが、●国鉄檜山丸事件・最二小判昭38.3.15刑集17223「公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為について正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがって労働組合法12項の適用はないものと解するのが相当である。」として、船長の乗船拒否にもかかわらず職場集会の指令点検、指導のため乗船した国労青函支部執行委員らの艦船侵入罪の成立を認めた。

 しかし東京中郵判決では「公労法は刑事制裁に関して、なにも規定していないから、これを科さない趣旨であると解するのが相当‥‥公労法3条が労組法12項の適用があるものとしているのは、争議行為が労組法11項の目的を達成するためのものであり、かつ、たんなる罷業または怠業等の不作為が存在するにとどまり、暴力の行使その他の不当性を伴わない場合には、刑事制裁の対象とはならないと解するのが相当である。‥‥争議行為が政治的目的のために行なわれたような場合であるとか、暴力を伴う場合であるとか、社会通念に照らして不当に長期に及ぶときのように国民生活に重大な障害をもたらす場合には‥‥正当性の限界をこえるもので、刑事制裁を免れないといわなければならない。」とした。

 東京中郵判決は争議権の保障・制約=労働基本権の保障・制約という論理的前提に立っており[臼井滋夫1976「地方公務員の争議行為禁止と刑事罰-全逓中郵事件判決以降の判例の系譜から見た岩教組事件判決の意義」『法律のひろば』298号]、東大の藤木英雄教授の可罰的違法性論の影響を受け、先例を覆して労組法12項の刑事免責を認めた。同条項は「団体交渉その他の行為であって‥‥正当なもの」と規定し、刑法35条の適用があるという形式をとっている。刑法35条は法令行為または正当業務行為の違法性阻却を認めた規定である。

 したがって禁止されている争議行為であっても公共企業体等労組の正当業務行為として認知されたと官公労側は解釈した。

 官公労は、勤務時間内職場集会、時間内くい込み行動、順法闘争、安全闘争などと称し争議行為という言葉を避けていたが、ストライキとしてこれらの行動を公然と行うようになり[高島良一1979「公企体関係労働判例の一〇年を顧みて」『季刊公企労研究』40)]、昭和40年代~50年代官公労のストは頻繁に行われていた。

「違法性の強い争議行為でなければ正当」とか「実質的に争議禁止条項に該当しない場合」があるという議論が展開されたのである。

 しかし中郵判決は、田中角栄幹事長をはじめ自民党筋から厳しい批判があっただけでなく、昭和42年夏頃から『全貌』『経済往来』『週刊時事』等を急先鋒として労働公安事件で「偏向裁判」「学生や公安事件での検察側拘置請求が却下されるのは異常だ」という裁判所非難が急速に高まり、その要因は青法協所属裁判官とされた。

 昭和441月横田正俊最高裁長官が退官に際し、裁判所非難の高まりから、佐藤首相は司法の左傾化是正の切り札となる後任人事につき元司法大臣木村篤太郎の推薦によって中郵判決で反対意見に回った陪席裁判官石田和外を指名した。石田長官は期待に応え、最高裁は局付判事補に青法協からの脱退を勧告し、青法協所属裁判官の再任を拒否している。

 最高裁判事人事も石田長官の推薦できる人物が指名された。ただし○昭和444.2都教組勤評事件●全司法仙台事件大法廷判決や、〇横浜中郵事件第一次最大判昭45.9.16、〇札幌市市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311など左派が優勢な時期のため中郵判決を踏襲した判断になった。

 中郵判決や都教組勤評判決で民事免責は否認されていたにもかかわらず、実際には東京中郵判決の争議権の保障.・制約=労働基本権の保障・制約という立論が、懲戒処分取消訴訟にも影響が及び、可罰的違法論を懲戒処分にも応用して、争議行為を理由とする懲戒処分をも無効とした下級審判例も続出した。

〇神戸税関事件の第一審判決神戸地裁昭和44.9.24行集208.91063は「争議行為であっても‥‥違法性の弱いものについては、国公法九八条五項で禁止する争議行為には当たらないものというべき」とする。この立場に立つ裁判例としては〇鶴岡市職事件・山形地判昭44.7.1労旬712号、〇佐教組事件・佐賀地判昭46.8.10判時640号、〇都教組事件・東京地判昭46.10.15判時645号、〇全財務四国地本事件・高松高判昭46.12.24労旬805等である。

 しかし、石田長官退官間際の昭和48425日の労働三事件大法廷判決から、労働基本権尊重派(中郵判決支持派)と石田和外らの秩序公益派(中郵判決反対派)が数で逆転し、石田に続いた最高裁長官、村上朝一、藤林益三は、労働事件において法全体の秩序重視の判断を継承し、藤林コートにおいて遂に東京中郵事件は判例変更にいたった。

 すなわち●全農林警職法事件・最大判昭48.4.25刑集27454、●岩教組学力調査事件・最大判昭51.5.21刑集3051178 は、昭和41年、44年大法廷判例の理論的基盤となっていた刑事民事違法性二元論からコペルニクス的に転回し、違法性の有無と、違法性の強弱に混同があるとして違法性一元論をとって先例を否定した。「あおり」の罪の解釈の「二重の絞り」は誤りとしてこれを変更したのである[臼井滋夫1976「地方公務員の争議行為禁止と刑事罰-全逓中郵事件判決以降の判例の系譜から見た岩教組事件判決の意義」『法律のひろば』298号、1977「公務員等の争議行為をめぐる刑事判例の動向--名古屋中郵事件判決までの軌跡 」『法律のひろば』308号]

 総仕上げというべき●全逓名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4刑集31318 は、公務員の争議行為全面禁止体制を非現業の国家公務員に関して全農林事件判決が、また非現業の地方公務員に関して岩手県教組事件判決が、そうして五現業の国家公務員及び三公社の職員に関して本判決がそれぞれ判示するところは、(イ)公務員及び三公社その他の公共的職務に従事する職員は、財政民主主義に表れている議会制民主主義の原則により、その勤務条件の決定に関し国会又は地方議会の直接、間接の判断を待たざるをえない特殊な地位に置かれている(ロ)労使による勤務条件の共同決定を内容とするような団体交渉権ひいては争議権を憲法上当然には主張することのできない立場にある(ハ)その争議行為により適正な勤務条件を決定しうるような勤務上の関係にはなく、かつ、その職務は公共性を有するので、全勤労者を含めた国民全体の共同利益の保障という見地からその争議行為を禁止しても、憲法28条に違反するものとはいえないと理論を組み立てた上で、「公労法171項の争議行為禁止が合憲である以上、同規定に違反する争議行為に『正当なもの』があり得べき筋合いではなく、したがつて、そこに労組法12項の適用が予定されていると解し得る余地は全くない」と断じたので、争議行為を正当業務とする余地は全くなくなったのである。

🔶東京中郵判決の違法性二元論は違法性一元論へ

 「公労法171項による争議行為の禁止が憲法28条に違反しておらず、その禁止違反の争議行為はもはや同法条による権利として保障されるものではないと解する以上民事法又は刑事法が、正当性を有しない争議行為であると評価して、これに一定の不利益を課することとしても、その不利益が不合理なものでない限り同法条に牴触することはない」

 「‥‥刑事法上の効果についてみると、右の民事法上の効果と区別して、刑事法上に限り公労法171項違反の争議行為を正当なものと評価して当然に労組法12項の適用を認めるべき特段の憲法上の根拠は、見出しがたい。かりに、争議行為が憲法28条によって保障される権利の行使又は正当な行為であることの故に、これに対し刑罰を科することが許されず、労組法12項による違法性阻却を認めるほかないものとすれば、これに対し民事責任を問うことも原則として許されないはずである」

 「公労法31項に労組法12項の適用を除外する旨の積極的な明文の定めがないことを根拠として、公労法171項に違反する争議行為についてもなお労組法12項の適用があるとみてその刑事法上の違法性阻却を肯定するのが公労法の趣旨に沿う解釈であるとする考えがある。しかしながら‥‥労組法の規定を適用する場合を公労法に定めのない場合に限定しているところからみると‥‥団体交渉等については、公労法に定めのない場合にあたるので、労組法12項が適用されて、その正当なものは違法性が阻却されるけれども、争議行為については、公労法171項にいっさいの行為を禁止する定めがあって、これに違反することが明らかであるので、労組法12項を適用する余地はないと解される。‥‥公労法は明文をもつて労組法12項の適用を除外しているわけではないが、それは、公労法171項違反の争議行為を刑事法上正当なものと認める意味をもつものではない‥‥労組法12項が、刑法35条の規定は労働組合の団体交渉その他の行為であって労組法11項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるとしているのは、東京中郵事件判決も説くように、右の行為が憲法28条の保障する権利の行使であることからくる当然の結論を注意的に規定したものと解すべきであるから、前述のように憲法28条に違反しないとされる公労法171項によっていっさい禁止されている争議行為に対しては、特別の事情のない限り、労組法12項の適用を認めえないのがむしろ当然であ」る。

🔶争議行為違反に罰則がなくても他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用できる

法には禁止違反の争議行為に対する刑事制裁の規定が欠けているが、その故をもつて、その争議行為についても原則として刑事法上の違法性阻却を認めるのが同法の趣旨であると解することは、合理的でない。由来、争議行為に関して適用が問題となる罰則には、争議行為の禁止規定の実効性を確保するためにその違反に対し制裁として刑罰を科することを定めるものと、その適用対象を争議行為に限定することなく、ある類型の行為に対し一般的に刑罰を科することを定め、その結果として、争議行為におけるその類型の行為に対しても適用されることになるものとがある。本件で問題とされる郵便法79条1項は、「郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたときは、これを一年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。」と規定しており‥‥公労法17条1項違反の争議行為に‥‥刑事制裁の規定がないことは、その違反を理由としては刑罰を科さないことを意味するにとどまるのであって郵便法79条1項など‥‥罰則に該当する争議行為に対しても刑事法上の違法性阻却を認める趣旨であると解することは、合理性を欠き、他に特段の事情のない限り、許されないのである‥‥およそ争議行為として行われたときは公労法17条1項に違反する行為であっても刑事法上の違法性を帯びることがないと断定するのは、相当でない。特に、この条項は、前記のとおり、五現業及び三公社の職員に関する勤務条件の決定過程が歪められたり、国民が重大な生活上の支障を受けることを防止するために規定されたものであつて、その禁止に違反する争議行為は、国民全体の共同利益を損なうおそれのあるものというほかないのであるから‥‥してみると、公労法において禁止された争議行為が合理的に定められた他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用するにあたり、かかる争議行為とは無関係に行われた同種の違法行為を処罰する通常の場合に比して、より強度の違法性が存在することを要求するのは、当をえないものといわなければならない。」

 これは公労法違反の争議行為の事案だが、公労法3条は、地公労法4条と同じで、公労法171項は地公労法111項と同じなので、この理論は、地公労法適用の職場を別異とする理由はない。

 但し、名古屋中郵判決は、争議行為の単純参加者については、立法の変遷とその底流にある法の理念を根拠として、処罰阻却の法理により単純参加者を処罰の範囲外と結論した。非現業公務員はあおり等積極的に争議行為を指導した者に罰則があるが、単純参加者にはないため均衡をかくうらみがあるためであるが、立法的解釈であり法理論的には問題があり、下田判事の反対意見がある。

🔶「久留米駅事件方式」の総括明確化

 可罰的違法性論が採用されなくなったターニングポイントは、私企業も含め勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準を示した●国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419である。

 久留米駅東てこ扱所二階の信号所の勤務員三名の勤務を放棄させ、勤務時間内職場集会に参加させる意図をもつて、あえて同駅長の禁止に反して同信号所に侵入する行為、労働組合員ら多数が同信号所を占拠した際にこれに加わることは刑法上違法性を欠くものでないとして建造物侵入罪の成立を認めた。

 同盟罷業自体の労働法上の労働法上の合法.違法の評価と付随的ないし補助的な行為についての刑法上の違法性判断とを意識的に区別して、違法性阻却事由の有無についての刑法的評価の判断方式を確立した(久留米駅事件方式)。

「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、その行為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない」という判断方式である。

 専門家の解説としては臼井滋夫最高検検事の判例批評が参考になるだろう。「久留米駅事件方式」の特色として「実質的違法性論に立脚して違法性阻却事由の有無を判断すべきものとしつつ、労働争議においても、一般原則のとおり犯罪構成要件該当性に刑法上の違法性を推定する機能を認め、しかも、この判断が講学上「いわゆる開かれた構成要件」に属するものとして、違法性推定機能が弱いとされている建造物侵入の成否に関してなされたものであることは注目に値するとしている[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号、1977「「可罰的違法性論」に対する批判的検討」『警察学論集』307号]

 久留米駅事件方式の「法秩序全体の見地」に深い意味があって、犯罪構成要件該当行為は労働基本権尊重だとして安易に無罪としてはならないという含意があるとみてよい。

 久留米駅事件方式のように争議行為とそれに付随する行為を分けて法的評価する考え方は、最高裁先例が争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする前提(●朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6927羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12816)にもとづくもので、プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである

 我国には、英国のようにピケッティングを6人以下とし、当該事業所以外の外部支援組合員らによるピケットを違法としていないし、組合員であれストライキに参加しない権利(消極的団結権)が立法化されておらず(米国ではタフト.ハートレー法で立法化されている)、大量動員ピケを規制する立法はないが、最高裁が「久留米駅事件方式」を案出したことにより、ピケッティングの正当性の限界につき,消極的性格の行為の限度にとどまるべきであるという見解が堅持され、いわゆる平和的説得の限度を越えたピケッティングが犯罪構成要件に該当するときは、犯罪の成立を阻却するごく特殊な事情が存在する場合は格別、原則として違法性が阻却されないものとされている臼井滋夫1977 「五.四名古屋中郵事件大法廷判決について-公企体職員の違法争議行為と刑事罰」『警察学論集』307号]

 マスピケや、包囲型ピケッティングの逮捕行為では、着衣に損傷がなく殴る蹴るもしていない逮捕行為(〇光文社事件東京高判昭48.4.26判時708)、その他物理的就労妨害、業務阻害行為につき、昭和40年代に席捲した藤木英雄ピケッティング違法性論を採用して、組合活動だから労働基本権尊重の趣旨で無罪にしてしまう下級審の傾向は久留米駅判決で完全に是正されることになった。

 国鉄が私法上の勤務関係のため、私企業を含めた先例になった久留米駅判決の意義は大きい。

   実際、藤木学説を根拠として可罰的違法性を欠くとして無罪とした判例は130件あったが、久留米駅事件方式による違法性阻却判断基準により、他組合員への断続的暴行、逮捕行為を無罪とした原判決を破棄した日本鉄工所事件最二小判昭50.8.27 以降ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去ったのである[前田雅英1984「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』5514]。

  争議行為(労務不提供)と争議行為に付随する行為(ピケッティング等)を意識的に区別するこの久留米駅事件方式は全逓名古屋中郵事件判決.最大判昭52.5.4に踏襲された。

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  • 全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53.3.3刑集32297香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。

(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

  名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法171項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入つたものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している。

 この判断枠組(「名古屋中郵事件方式」)により威力業務業務妨害罪の成立を認めた判例として、●全逓名古屋中郵第二事件・最二小判昭53.3.3刑集32297(臨時小包便搬出の業務妨害)、●春闘松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集322159(マスピケ)●動労南延岡機関区事件・最一小判昭53.6.29刑集324759(マスピケ)がある。

 東京都水道局新宿営業所のシットダウンストライキや業務用機器の隠匿は(イ)、広範に行われているスト待機の寝泊りによるセキュリティ破りや、本部中執や本部委員の無許可立入によるオルグ演説やピケッティングは(ハ)に当たる。名古屋中郵判決は公労法17条違反の争議行為だか、地公労11条違反の争議行為を別異に解釈する理由がない。

 違法性があり、責任もある行為は、これを処罰するのが刑事法上の原則であるにもかかわらず、東京都の管理職が組織的に是認していることは問題であり、令和元年の事案で私も刑事告訴せず時効にしてしまったことをお詫びしたいと思う。

 なお、組合側は物理的に阻止するピケットも合法と主張する可能性がある。地公労法111条違反の争議行為につき〇札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)・最三小決昭45.6.23刑集246311(脱落組合員が乗務する市電の車庫から出庫を阻止するための40名ほどのマスピケ)を無罪とした例がある。この判例は中郵判決や都教組判決が維持され公務員の争議行為にも刑事免責が適用され、可罰的違法性論が実質否定されていない時期の判例で、32の僅差であり、松本正雄裁判官が長文の反対意見がある。

 可罰的違法性論は国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419の判断枠組みで採用されなくなった。

 松本裁判官の反対意見にある違法争議行為に内部統制権はないという趣旨は、横浜中郵事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20判時689の中野次雄裁判長が採用し、争議行為に労組法12項刑事免責は適用されないという趣旨は名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4に採用されており。

 今日では松本反対意見が最高裁の先例の見解になっているわけで、地方公営企業で刑事事件が稀少なため判例変更されていないだけで、公労法と地公労法の争議行為禁止の趣旨は同じなので、名古屋中郵判決の判断枠組みが採用され、実力ピケが無罪となることはありえない。例えば、名古屋中郵判決が引用された動労南延岡機関区事件.最一小判昭53.6.29刑集324759は機関士の乗務を約500名のマスピケで阻止した事案を有罪としているが、札幌市電事件とさほど大きな違いからである。

(四)平成28年最高裁判決で1時間未満の職務離脱でも戒告処分は適法と確定

 地方公営企業職員の争議行為が、労組法71号で保護される正当な行為でないことは、●北九州市交通局事件・最一小判昭63.12.8民集42107が、名古屋中郵事件判決が公労法171項の規定が憲法28条に違反しないことの根拠として国営企業職員の場合について挙げた各事由は、地方公営企業職員の場合にも基本的にはすべて妥当するとして地公労法111項を合憲としたうえ、昭和42621日より73日の期間になされた、バス事業における三六協定締結更新拒否による超過勤務拒否闘争、民間ディーラー整備員の入構拒否、五割休暇闘争等を同条項違反として、地方公務員法第29113号により北九州交通局労組役員3名を停職六月、5名を停職三月、4名を停職一月、1名を戒告とする処分を適法と判示し救済命令を取消した原判決(●福岡高判昭55.10.22民集4210866)を維持し棄却したことにより確定している。

 ただし処分の適条につき、地公法32条の適条がないことが疑問と二審福岡高裁が指摘している。

 二審判決が「地公労法第111項違反の争議行為のうちにもなお、労働組合法第71号本文の「正当な行為」にあたるものと然らざるものがあるとし、右「正当な行為」に当る争議行為については、地方公務員法第2911号による懲戒処分をすることができないというような解釈は、これを採用することができない。」と説示しているとおり、争議行為がなんであれ正当な行為と認められる余地はなくなったのである。

 附則で地公労法が適用される単純労務職員につき●北九州市清掃事業局事件.最二小判昭63.12.9民集4210880●北九州市病院局事件.最三小判平元.4.25判時1336があり、最高裁の3つの小法廷すべてが、地公労法111項を合憲として懲戒処分を是認したことで、昭和63年の時点で地方公営企業等の争議行為が組合の正当業務ではないことが明白になったのである。

 従って1990年前後(●日教組スト事件・最一小平成元.12.18刑集431388、●埼教組事件・最三小判平2.4.17刑集4431)までに公務員の争議行為に関する争点の多くは決着し、実務上の混乱は収拾されているのに、逆に東京都は最高裁が否認した論理に依拠して職務命令を凍結する方針を改めようとせず、約35年経過しているのである。

 なお12条解雇の先例としては、●北九州市交通局解雇事件.福岡高判・昭55.11.1判タ435において、過去3年毎年停職処分を受けている北九交通労組執行委員長が争議行為の実施を企画指導したばかりでなく、当日はバスの出庫を阻止し、集会を主宰するなど現場の指導をなした行為が、地公労法111項後段違反に該当するとされ、解雇を適法としている。

 近年の判例としては、●北海道労委事件・最二小判決平28.6.17(中労委データベース参照)があり、北教組(混合組合)の平成20130日終業時1時間同盟罷業につき、道教委は30分以上の職務離脱者12551名に対し組合役員も単純参加者も無差別に一律戒告処分としたが、地公労法附則で地公労法111項が適用される養護学校の単純労務職員(介護員)が、参加行為に藉口して組合の弱体化を図ろうとして過重な処分であり、北教組の組織運営を妨げ、組織拡大,職場における影響力を甚だしく削ぐとして救済を申立て、平成23624日道労委命令は本件処分を労組法73号(支配介入)に該当する不当労働行為としたが、北海道が救済命令取消訴訟を提起し、最高裁は救済命令を取消、戒告処分を適法と判示した二審を支持した。30分~60分という短時間であれ、同盟罷業の単純参加であっても懲戒処分は免れないことが確定したといえる。文部省は昔から単純参加者も処分すべきと指導していた経過があり、都道府県により温度差があるとはいえ、参加者全員処分の前例はあるが、北海道では初めてだった。

 ちなみに、前記北教組1時間ストで札幌市教委の処分は、() 支部長に対し減給2月、() 副支部長、書記長、書記次長ら5名に対し各減給1月、() その他の支部専従役員に対し戒告、() 授業を欠務したストライキ参加組合員190名に対し戒告、() その他のストライキ参加組合員1,698名に対し文書訓告(道労委命令書より引用)で、ストを指導する支部役員と、単純参加者では軽重をつけた処分となっているが、通例の在り方とはいえるだろう。

 比較的処分が厳しかった昭和40年代半ばまでの処分例では、林野庁(全林野旭川地本事件.旭川地判昭50.7.17労民33-5-900)の事例を参考にすると単純参加者は2時間50分~3時間欠務で戒告、4時間以上欠務で減給が相場であったことを考慮すると単純参加1時間で戒告は厳しいと言う見方ができ、私はそこまで求めないが、いずれにせよ東京都の懲戒処分方針は組合に有利で異常である。

 続く

 

[i]平成15年以前の東水労の闘争の態様

違法行為を慫慂する組合活動に対し、労務指揮命令権を放棄、職務命令による取り締まりはいっさいなし。勤務時間内外を問わず、組合活動、あおりそそのかしを含む違法行為は広範に許容され、所長への業務妨害を受け入れている状況。庁舎管理権(施設管理権)も発動はいっさいせず、組合のやりたい放題。

 🔶水道局千代田営業諸の組合活動の記録(平成12年度11月6日から12月21日と平成13年(2001年)2月7日~3月22日)

 

 

所属長要請行動 (執務妨害・恐喝・職務離脱で違法性が強い)🔶平成12年度10回 11/13、12/5、12/12、3/8、39(2回)、3/153/193/21勤務時間中に分会役員の号令により、職務を離脱した組合員多数が、所長席前に陣取り、大衆団交スタイルの多衆の威圧のもとに所長に争議行為の目的の正当性を認めさせ、分会の要請を本局交渉当局に上申するよう(管理職を組合の走狗にします)、強要するものもので、交渉ではないです。所長の業務妨害そのものですが、就業命令、解散命令はいっさいしません。やみ慣行のひとつだが、言いなりにならないと、怒鳴り散らしながら、吊るし上げる。組合が職制に対して優位に立ち、職場を支配するための儀式である。多衆の威圧で労務指揮命令権、施設管理権を奪取する意味も含まれている。平成12年度は千代田営業所で11月~3月に10回行われている。

 ただし昭和54年頃までは職務命令もしていた。処分をすると抗議行動で職場が荒れるからやらなくなったという話も聞いているが、少なくとも平成初期以降は、組合活動で事業所勤務の組合員懲戒処分はありません。

平成163月17日公営企業委員会で後藤雄一都議が東京都水道局北部支所の所長要請行動で机に穴を開けた事件を質問したことを契機として、昼休み等時間外に移されることとなった

組合が管理職に、闘争を妨害せず、職務命令や現認検書を内申させない要請は、昭和40年代なら多くの官公労がやっていたと考えられます。

例えば福岡県教職員組合懲戒処分事件・福岡地判昭601226判タ588によると、福高教組は指令により昭和43104日頃各分会において、以下の要求決議書を校長に提出し、確約を求めることを指示している。

〇 組合の正当な闘いに対し、次のような不当な干渉、妨害をしない。

〇 組合の闘いについての事前、事後の一切の調査については報告しない。

〇 官憲、地域ボスの不当な介入を絶対に阻止する。

〇 組合の闘いに職務命令を出さない

しかし、福岡県教委は、職務命令も懲戒処分もやっています。東京都の管理職は要求を呑んでしまう職務命令を凍結してしまうのです。

城東郵便局事件では、現場では「団体交渉についても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以外の議題を制限し、また交渉人員の数にも制限を加える」ものとしており、大衆団交は拒否するのが普通です。

 

勤務時間中事務室内の頭上報告及び職場大会・オルグ演説等(職務離脱+違法行為の強度の慫慂+他の職員の職務専念を妨げる行為で違法性が強い)

平成1211月~13315に20

🔶11/8 (書記長会議報告)、 11/16 (書記長会議報告)、11/17(ストは中止したが職場大会切り替え二人演説)、11/21(二人演説)、11/29(書記長会議報告)、12/4(職場大会三人演説)、12/8(中央委員報告)、12/19(交渉経過報告)、12/21(ストは中止したが職場大会切り替え中央委員演説)。このほか12/15に通路からシュプレヒコールによる示威行為あり。2/7、2/13(春闘オルグ演説)、2/21(職場集会二人演説、抗議文朗読、拍手)、2/22(営業部会役員オルグ演説、拍手)、2/27(スト権投票の呼びかけ、2/28(港分会役員が侵入し連帯オルグ演説)、3/1(スト権投票の結果報告)、3/2(スト権一票投票の結果報告)、3/8、39(所長交渉参加呼びかけ)、3/13(職場集会三人演説)、3/15

 頭上報告とは、執務室中央に分会役員等が陣取り、書記長会議その他の組合会議の報告や、呼びかけ、闘争時にはアジ演説になる。職場集会は、決議文朗読、採択が行われる。たんに職務専念義務違反や、職務集中を妨げる行為のみならず、スト権一票投票の呼びかけ、勤務時時間内決起集会動員指令、三六協定破棄による定時退庁の呼びかけ、ストライキ態勢につき頑張ろう等の言辞、闘争課題の説明、志気を昂揚、鼓舞し、スト参加意思を強固にするための演説が含まれている以上、地公労法111項後段のそそのかし、あおりに当たる違法行為である。

 私は職務集中を妨げていると職制に苦情、中止・解散命令すべきだと上申したが、中央支所長は、報告を聴きたい人がいるから認める。聴きたい職員にも権利がある。所長席前で所長に尻を向けて演説しているのは、実質組合の職場支配と言うと、演説位置を変えてもいいが、頭上報告は断固容認するとのことであった。副支所長(笹十郎)は思想を変えろ、頭上報告許諾は東京都の倣いだ「郷に入れば郷に従え」となじられた。当局はあくまでも違法行為を容認するという方針だった。

ビラ貼り(庁舎管理規程違反)🔶千代田営業所付近平成12年度 26回登庁時にビラ貼りがあるのを確認した日、11/7、11/8、11/10、11/13、11/14、11/17、11/24、12/5、12/6、12/8、12/11、12/12、12/15、12/18、12/19、2/735363

/8、393/12、3/133/143/153/21、3/22 

 組合はステッカー闘争と言う。エレベーター前のエントランス、階段、通路に普通貼られている。事務室内に貼られることもある、39は所長席付近の什器や天井にも貼られた。3/12は事務室内で、執務中視界に入ってくるところに貼られたので私自身が自力撤去した。技術員室や喫煙室に貼られているのを見た。セロテープなので剥がすのは容易であり、最終的に管理職が自力撤去するが、組合に遠慮して、午前中は放置していることがしばしばあった。エントランスは上から下までびっしり枚数の多い時もある。赤旗や大型のものも貼ることがある。

 取り締まりをしないので515分過ぎたらすぐ貼るが、勤務時間中でも貼るケースもあり。

河上和雄[90]は、春闘仙台駅(仙台鉄道管理局)事件・最二小判昭48・5・25刑集275号1115頁が正当な事業活動としてビラ自力撤去を認めており、自救行為というより事業活動として正当という観点からビラの自力撤去を認めるのが判例の傾向とする。

 しかし、組合側はビラ等が財物だと主張しているので、自力撤去したものを転換することがある。これに対し自救行為の理論によって撤去行為に違法性がないと言う論理構成をとらざるをえない場合も想定はしている。

 とはいえ、河上は「通常のビラの場合、それを使用者の許諾なしに物的施設に貼った段階で所有権が消滅する(所有権の放棄を擬制するか、或いは民法242条、243条の付合の理論となろうか。)と解するのが正しいであろう。その意味で多くの場合、ビラの自力撤去が法的に問題とされることはない‥‥」とする。

 しかし東水労は財物と主張し、管理職は剥がしたビラを返還している。

都庁前・支所勤務時間中職場離脱動員決起集会 🔶平成12年度121536

毎年闘争シーズン恒例のものとして、闘争課題を確認し、組合員の意思統一を図り、ストライキ態勢確立のため、士気を鼓舞していくためのものである。当局も争議行為と認定し、賃金カットしている、勤務時間内職場離脱3割動員決起集会は近年では年間34回動員指令される、2割動員集会はもっと多く設定されており、これは争議行為と認定せず、休暇取得(半日休暇・時間休)昭和末期から平成前期は3割動員はもっと多かったように思う。最近は都庁構内の集会に限定されているが、支所別集会も3割だった。年中行事です。本庁以外は1回につき組合員3割の職員が34時間程度の欠務となる。

平成前期は賃金確定闘争、年末局内合理化闘争、春闘の各闘争で1回は必ず動員させる方針でとかつては動員職員を引率するなどさかんだった。つまり組合の方針はストが決行されなくても、組合員に年間10時間前後の職務離脱をさせる方針なのである。平成前期の支所集会は3割動員で、立看板、多数の組合旗掲出、庁内の壁面のおびただしいビラ貼りが行われ、来客用駐車場付近でアジ演説、庁内を練り歩き鯨波も行われた。

なお、3割動員を当局が争議行為と認定する理由は聴いてないが、たぶん、佐教組事件・最判昭46323刑集2521103割・3割・4割休暇闘争を争議行為としているためだろう

昼休みの職場集会  🔶平成12年度12/12 3/8 私は外回りの仕事だったので当日は見ていないが、闘争課題を確認し、ストライキ態勢のため組合員の意思統一を図る集会と考えられる

三六協定破棄闘争(超勤拒否闘争)国労や全逓が得意としていた戦術だが、下位職の経常業務を助役におしつける国労と同じく、水道局でも組合の指図で、時間外経常業務を管理職にさせるいやがらせがある。国鉄では三六協定が未締結でも業務命令しており、国鉄の方針が社会から非難されたことはない。労働基準法に違反する業務命令に基づく業務であっても、刑法上の保護を失うものではないことは先例があるが、水道局の場合は組合の言いなりで、時間外の労務指揮権が消滅するという組合の解釈に従っている点が最大の問題である。

局内闘争でスト当日と前日、前々日は予定されるのが通例、都労連闘争はスト前日の晩から。現在水道局では、多数組合の全水道東水労と年度末に三六協定(超過勤務及び週休日の変更に関する協定)締結し、1年後に更新することになっているが、組合側がいつでも一方的に破棄できる条文があって、現在は期間を指定し、保安要員を除いてという文言があるとはいえ、同じである。これによって超過勤務拒否闘争を合法化し、時間外労働の労務指揮命令権を奪うのが基本的狙いで、悪質な職制麻痺闘争である。〇組合は三六協定破棄により、時間外労働に関して労務指揮権が消滅するという見解をとっているが、先例や法秩序全体の見地から妥当とはいえないのではないか。〇当局は適法と言っているが争議行為ではないのか〇組合が時間外の経常業務を管理職に押し付けるいやがらせに問題はないか〇必ずストの前日は三六協定を必ず破棄した状況におく狙いは、非組合員をロックアウトする狙いである。組合側の論理では、就業時間前は、所長の労務指揮権は消滅しているので、カードリーダーに電磁的に出勤記録を入力させないものとし、よって事故欠勤を強要するものだが、出勤記録の入力は服務上の基本的義務で、少なくとも立て前として服務規律の確保を通知しているという状況で、管理職と共謀して事故欠勤を強要しているあり方は違法性が強いと判断する。

〇労基法33条により災害時には三六協定の内容、未締結いかんにかかわらず、時間外労働の命令ができるということは周知されていない。〇私が水道緊急隊に勤務していた時。三六協定破棄のために夜間作業の委託業者に日程のキャンセルを担当者が通告していたが、勝手な日程変更は下請けに不利益をは生じていないのか不透明なところがある。等の問題がある。

 

 

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