女性皇族が結婚しても皇族の身位を失わない案の自民党と立憲民主党の非公式協議のニュースについて
前回のエントリーをYouTubeにアップする予定。近日のニュースについて冒頭触れることとし、以下はその台本です。 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議は、四月一七日の会議で議論を打ち切り、次回会議(連休明けとみられる)衆参両院正副議長がとりまとめ案を提示する大詰めの状況にある。報道によれば四月二十四日に自民党の麻生太郎最高顧問と立憲民主党の野田佳彦代表が会談し、女性皇族が結婚しても皇族の身分を失わない案につき自民党は、女性皇族の相手が旧皇族御子孫なら、皇族とする新しい案を提示し、野田氏は女性皇族の配偶者と子に皇族の身分を付与するかどうかについて、皇室会議で判断する案で応答した、この折衷案について麻生氏は持ち帰り、今後断続的協議をすると伝えられているが、私の意見を述べる。
自民党の新案について
そもそも私は、女性皇族が皇族以外と結婚しても身分を失わないという有識者会議案に反対なので、これを容認している自民党案にも反対である。女性宮家に反対していた日本会議系の保守派議員もこの案に賛成しているのは釈然としない。配偶者や所生子は皇族とせず、皇位継承資格付与は議論を先送りするのが有識者会議案で、自民党は有識者会議の判断をなぞったものである。しかし政府事務局は夫方の私邸でなく、御用地を居邸としてよいとの考えである。御用地に宮殿が建ってしまえば、外形上女性宮家と認知されやすい。容易に北欧、英国、ベネルクスの男女いかんにかかわらず長子が王位継承する制度に改変しやすい。
自民党は、女性皇族の配偶者が旧皇族御子孫なら、男系男子なので皇族とする案を、野田氏に提示したということだが、この案は養子案のバリエーションとすべきだある。皇統に属する男子を養子とする案については、自民党は賛成で、ただし養子には皇位継承資格は付与せず、その御子息から皇位継承資格を付与する案です。立憲民主党が総じて消極的であるが選択肢の一つとはしている。
週刊誌報道で、噂レベルであれ女性皇族のお相手として旧宮家御子孫が取り上げられるの報道はこれまであった。その場合は、有識者会議の①案ではなく、②の養子案のバリエーションとするのが筋であると思う。
つまり、結婚相手となる方は、養子となり宮家の継承者となり(もちろん直接復帰でもよい)、そこに女性皇族が嫁す。もしくは夫婦で養子となり、この場合は、御子息からではなく配偶者にも皇位継承資格を付与する皇族とすればよい。 前例は内親王が世襲親王家や旧11宮家のうち4宮家に婚嫁し親王妃、王妃となるものでその類比で先例とすべきである。
世襲親王家に婚嫁した内親王
霊元皇女 綾宮 福子内親王(ふくこないしんのう)伏見宮邦永親王妃 元禄11年1698
東山皇女 姫宮 秋子内親王 伏見宮貞建親王妃(さだたけしんのうひ)宝永7年1710
中御門皇女 籌宮(かずのみや)成子内親王(ふさこないしんのう)閑院宮典仁親王妃 明治時代に追諡(ついし)され、慶光天皇(きょうこうてんのう)の妃 寛延2年1749
明治皇室典範制定後に宮家に婚嫁した内親王
明治天皇第6皇女 明治41年(1908)明治皇女 常宮 昌子内親王 竹田宮恒久王妃 明治41年1908
明治天皇第7皇女 周宮(かねのみや) 房子内親王 北白川宮成久王妃(なるひさしんのうひ)明治42年1909
明治天皇第8皇女 富美宮 允子内親王(のぶこないしんのう) 朝香宮鳩彦王妃(やすひこおうひ)明治43年1910
明治天皇第9皇女 泰宮(やすのみや)聡子内親王(としこないしんのう) 東久邇宮稔彦王妃(なるひこおうひ)大正5年1915
昭和天皇長女 照宮 成子内親王(しげこないしんのう) 東久邇宮盛厚王妃(もりひろおうひ) 昭和18年1943
訂正 栄子内親王は二条綱平に降嫁
このように内親王が宮家に婚嫁して親王妃・王妃となるのが通例であったわけであるから、この前例を踏襲すればよいことで、要するに婚約した段階で、結婚のお相手をに復帰していだく。宮家当主か継承者として皇族に復帰していただく案のほうがよいと思う。内親王といっても天皇家から婚出して宮家に嫁していることになります。
戦後「家」制度は法的にはないから考えなくてよいなどというのは暴言です。
なお内親王が天皇家から婚出しないで結婚した前例は、後桃園皇女欣子内親王(よしこないしんのう)のように皇后になるケースである。22歳で早世された後桃園天皇の唯一の子女です。
それで、閑院宮典仁親王の第六王子祐宮(さちのみや)(東山三世王)を公卿会議をへて皇位継承者とした。安永8年11月8日(1779年12月15日)に危篤の後桃園天皇の養子となり、儲君に治定される(実際には天皇は前月中既に崩御しており、空位を避けるために公表されていなかった)と光格天皇のウィキペディアには書かれてますが、後桃園天皇の女御藤原(近衛)維子(これこ)の養子ないし猶子とされる場合もあります。それでこの系図では養子で継承した形で直系にしてます。
この前例があてはまめることができるのは敬宮愛子内親王が悠仁親王殿下と結婚される場合です。
父方いとこ婚としては10世紀の冷泉天皇と昌子内親王があります。平安時代に伯父-姪(淳和-正子内親王)、甥-伯母(醍醐-為子内親王)、異母兄妹婚(平城-朝原内親王)とか近親婚は結構ありますから全然問題ないです。昨年の大河ドラマに登場した一条天皇と藤原定子は母方のイトコですしね。

その場合、直系継承とするため、悠仁親王殿下を今上陛下の養子とすることも前例どおりとなります。
したがって自民党新案が養子案のバリエーションなら私はあえて反対はしません。
野田代表の提案について
次に野田代表の提案、女性皇族の配偶者と子に皇族の身分を付与するかどうかについて、皇室会議で判断する案ですが、これは内規として 11宮家の御子孫なら皇族に、それ以外なら皇族にしないという前提なのでしょうか。それともその時々の皇室会議構成員の良識で判断するということなのでしょうか。
もし内規なしにやると次のような問題が生じると思います。私は大正9年以降昭和18年まで次男以下の王で12方(皇族の臣籍降下を可能にした明治40年皇室典範増補第一条により、情願によって家名を賜り降下し華族に列している方々)の御子孫も復帰の対象とするという考え方です。
四月一七日の会議の報道では、養子案は11宮家の御子孫に限定という意見が趨勢とされてますが、これは昭和22年皇籍離脱以降の御子孫なのか、大正9年までさかのぼるかという問題はございます。
それから皇別摂家ですね。ネットで公開されていた論文で木村修二の「近世公家社会の「家」に関する一試論養子縁組をめぐって」史泉 79 1994年という論文がございます。五摂家について近世、幕末まで、実系で家督相続されてるか養子なのか逐一記述されてますが、まず近衛家は近世初期に後陽成皇子の近衛信尋が養子となって以降、幕末まで実系で続いています。一条家も後陽成皇子の一条昭良が養子となってますが、三代実系でしたが、鷹司家から養子を迎えたのが一条兼香ですが、、近世初期の段階で、鷹司、九条、二条の三家はすべて養子相続で准后関白二条晴良の子孫でした。この人は信長時代に関白でした。純粋藤原氏の血筋といえますが、数代続きますがこの血筋も中切れになり、醍醐家から養子を迎えてます。醍醐家というのは、後陽成皇子一条昭良の子が曩祖なので一条家の傍系、それも一代で終わったので醍醐家の分家四条家から養子を迎え、明治維新に至ってます。養子相続で幕末まで純粋藤原氏の血筋は、九条家と二条家だけです。鷹司家も二条晴良系の実系が五代続くが、近衛家から養子を迎え、それも途絶したので、また二条晴良の実系子孫である一条兼香の子を養子としたが一代で終わり、閑院宮直仁親王の王子実子を養子に迎えます。鷹司輔平ですが数代実系がつづいたが、幕末に九条家から養子を迎えてます。
ということで旧華族で男系でさかのぼると後陽成天皇となる方もそこそこいらっしゃる。そのような方々が女性皇族と縁談があった場合はどうなるのか。
私は、『椿葉記』の皇統上の格別の由緒があり、天皇と血縁が離れても、ステイタスが劣化することのない別格の宮家(准天皇家)として550年、天皇家と併存し、皇族の崇班を継承してきた、伏見宮系御子孫に限定すべきで、藤原氏の養子に迎えられた家系から復帰することに論理性がないので、八幡和郎氏が旧皇族に限定しなくていいなどと言ってますが、私は反対です、生理的血筋で男系ならよいというものではありません。
ということで、皇室会議で異論がでたりすることがあると考えます。
ところで皇室会議は異論なくしゃんしゃんと決定されることが多いように思います。「カトリック問答」は岸総理のやらせともいわれ、異論で紛糾する話は聞いたことがない。今後は異論が出たりすることも想定し、皇族の身分付与の問題で納得いかない国民もいるかも知れないので、野田代表案でまとまるかは私にはわかりません。
いずれにせよ私は 皇族以外の女性皇族の配偶者と子に皇族の身分を付与することに反対で、旧皇族がお相手なら、養子案か直接復帰案のバリエーションとすればよいことなので反対です。
« 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議に関する意見具申 | トップページ | 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議 大詰めで断続的に麻生最高顧問、野田代表が会談している状況でもしつこく意見します。 »
「皇室典範」カテゴリの記事
- 重ねて、女性皇族が結婚しても皇族身位維持案について意見する(2026.05.09)
- 女性皇族(内親王・女王)が皇族以外と結婚しても皇族の身位を失わず保持する案につき重ねて、称号付与、配偶者の准皇族化に反対 「柳原伯皇室備考」の柳原前光の試案を参考に(2026.04.15)
- PDF版 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議に関する懸念について意見具申(2025.10.27)
- 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議に関する懸念について意見具申(2025.10.27)
- 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議 4月17日議事録の批判的感想 台本 冒頭部分(2025.05.15)
« 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議に関する意見具申 | トップページ | 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた国会での協議 大詰めで断続的に麻生最高顧問、野田代表が会談している状況でもしつこく意見します。 »





コメント